説明

二層の浸出用シート材及び浸出用パッケージを形成する方法

【課題】慣用の熱シールステーションを有する機械にて使用されるのに望ましい特性を有する二層の浸出用シート材又はかかる二層の浸出用シート材を用いて形成される浸出用パッケージの形成方法を提供すること。
【解決手段】本発明の方法に於いては、第一の融点を有する熱可塑性ポリマーの第一の層を押し出し形成することと、第一の融点と異なる第二の融点を有する熱可塑性ポリマーの第二の層を重層することと、点結合されたカレンダリングロールを用いてカレンダー処理によって第一の層及び第二の層を接合して二層のシート材を形成することとによって二層の浸出用シート材を形成し、かかる二層の浸出用シート材の二つの部分の間に飲料前駆物質を梱包し、熱及び圧力を与えることにより二層の浸出用シート材の二つの部分の間にシームを形成し、浸出用パッケージを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、不織ウェブ材に係る。本発明の一つの局面は、より詳細には、熱及び圧力式シーリング(融着)処理を用いたパッキング装置に使用されるのに適した新規で且改良された押出し形成されたシート材を形成する方法に関するものである。本発明のもう一つの局面は、浸出用パッケージを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティーバッグ、コーヒーバッグなどの、飲料を煎ずるための浸出用パッケージは、一般的には、細かく挽いた飲料の前駆物質を多孔性ウェブ材内に梱包することにより製造される。飲料前駆物質は、茶、コーヒー、ホットチョコレートミックス及びスープミックスであってよい。浸出用パッケージは、沸騰した湯の入ったカップ若しくはポットに置かれるか、又は、空のカップ若しくはポットに置かれ、続いて、沸騰した湯が注がれる。いずれの場合にも、湯は、ウェブ材を透過してバッグ内へ入り、飲料前駆物質を抽出し、抽出物がバッグから外へ透過し、煎じられた飲料が調製される。
【0003】
浸出用パッケージは、一般的に、穿孔や刺し穴はないが、高い孔隙率を有するセルロース繊維ベースの不織ウェブ材から製造される。浸出用パッケージとして特に好ましいものは、長い天然繊維を用いた傾斜型ワイヤ製紙機上で製造される湿式に形成された繊維性材料であった。これらのウェブ材料は、一般的には、軽量で、柔軟な薄い組織からなる繊維性材料であり、最良の浸出特性により特徴づけられる。浸出用パッケージの製造に用いられる繊維は、食用製品のためのパッケージングとして用いられるために管理当局により管理規制されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浸出用パッケージが飲料前駆物質の抽出を可能することは望ましいのであるが、細かく挽かれた飲料前駆物質が、シールされた浸出用パッケージからカップ内へ物理的に放出されることは望ましくない。シールされた浸出用パッケージから煎ずるための容器内へ細かく挽かれた飲料前駆物質が移動することを防ぐために、不織ウェブ材の孔隙率および「シフト」特性は、慎重に制御される。重要なことは、飲料前駆物質を浸出用パッケージ内に維持するシーム(継ぎ目)は、完全性を維持し、浸出用パッケージの開放及びそれによって生ずる煎じ飲料への飲料前駆物質の望ましくない放出を防ぐようになっていなければならないということである。
【0005】
浸出用パッケージのシームは、「熱シール」又は「非熱シール」など種々であってよい。非熱式シールの浸出用パッケージにおいては、ウェブ材の縁が共に合わせられ、数回折りたたまれ、この数回の折りたたみに癖をつけて、浸出用パッケージをシールする機械的な癖を付けられたシームを与える。典型的には、非熱式シール浸出用パッケージに用いられる不織ウェブ材は、植物性繊維からなる単一の層を含み、融合可能なポリマー繊維は組み込まれていない。
【0006】
熱シールされた浸出用パッケージは、典型的には、湿式に形成された、二層又は二相を含むセルロースベースの不織ウェブ材から製造される。それらの相のうちの一つの熱シール相は、典型的には、乾燥重量にして25パーセント以上の融合可能な熱可塑性ポリマー繊維を含んでいる。第二の相の表面及び、典型的には、第二の相自体には、実質的に融合可能な繊維はない。ウェブ材は、折りたたまれ、融合可能な繊維を含む相が互いに接触する。典型的には、折りたたまれたウェブ材は、予め定められた温度まで加熱されるダイス、ジョー又はローラの如き、対向する可動表面の間を通過する。互いに向ってそれらの表面を作動すると、折りたたまれたウェブ材へ必要な圧力又は熱が与えられ、接触している融合可能な繊維を流動し融合して、ウェブ材の層を接合する熱シールシームを形成する。
【0007】
第二の相の表面は、ダイス、ジョー又はローラーの加熱された表面へ溶融されたポリマー繊維の蓄積を防ぐよう機能する。重要なことは、加熱された表面に実質的に接着性のポリマー繊維がなく、熱及び圧力式シーリング装置が適切に機能することを確実にすることである。
【0008】
特殊化されたシーリングの用途のために、スパンボンディング法又はメルトブロー法によって形成された熱可塑性不織材を用いることが知られている。そのような材料のための特殊化されたシーリング装置のほとんどは、熱及び圧力を与えることに代えて、接触したウェブ材を超音波により接合することを採用している。典型的には、慣用的な熱シール装置にスパンボンデッド又はメルトブローンウェブ材を用いると、加熱された表面上に望ましくない熱可塑性材料の蓄積が生じてしまう。超音波接合は、慣用の熱及び圧力式のシーリング装置と熱可塑性スパンボンデッド材料とを使用することに伴う材料の蓄積を回避するが、慣用の熱シール技術よりも効率的でない。浸出用パッケージの如き大量生産される物品を高速にて調製する上で、超音波接合は、慣用の熱シーリング技術よりも遅く、また費用効果的ではなく、既存の装置及び処理過程の修正を必要とする。更に、公知のスパンボンデッド或いはメルトブローウェブ材に、熱及び圧力式シーリングプロセスを有する慣用のパッキング装置を用いると、ウェブの脆弱化、トラッキング及び切断の問題を生ずる。また、スパンボンデッド又はメルトブロー材料を用いて構成された浸出用パッケージは、脆弱化の問題を有する。更にまた、浸出用パッケージとして許容可能とするために、ウェブ材は、最低限の浸出特性の組み合わせを有していなければならず、スパンボンデッド又はメルトブローウェブ材において、そのような浸出特性が、常に備わっているわけではない。
【0009】
[定義]
異相構造(バイコンポーネント)繊維−単一のスピナレット孔を介して別々の押出し機から押出された少なくとも二つの重合体から形成され単一のフィラメントをなす繊維。複数の重合体は、異相構造繊維の断面に於いて実質的に一定に位置決めされた明確に識別されるゾーンに於いて配置され、繊維の長さ方向に沿って連続的に延在する。このような異相構造繊維の構成は、例えば、一つのポリマーがもう一つのポリマーにより囲繞されたシース/コア配置構成若しくは並列に並んだ(サイド・バイ・サイド)配置構成であってよい。
【0010】
二成分繊維−同一のスピナレットから押出された二つ若しくはそれ以上のポリマーの混合物から形成された繊維。二成分繊維においては、種々のポリマー成分は、繊維の断面に於いて相対的に一定に位置決めされた明確に識別できるゾーンに配置構成されておらず、種々のポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続的ではなく、ランダムに始端及び終端を有するフィブリルを形成する。二成分繊維は、しばしば、多成分繊維と呼ばれる。
【0011】
セルロース繊維−実質的にセルロースからなる繊維。かかる繊維は、典型的には、木質及び非木質植物の如き天然の原料から得られる。しかしながら、再生されたセルロース繊維もセルロース繊維と考えられる。木質植物は、例えば、落葉樹及び針葉樹を含む。非木質植物は、例えば、綿、亜麻、アフリカ羽根萱、サイザル麻、籐綿、藁、ジュート、麻、バガスを含む。
【0012】
横方向(CD)−機械方向に垂直な方向。
【0013】
デニール−フィラメントの細さを表示するために用いられる単位。単位は、フィラメントの長さで割られたフィラメントの重量で表わされ、1デニールのフィラメントは、9000メートルの長さ当り1グラムの重量を有する。
【0014】
押出し形成ウェブ材−少なくとも一つの熱可塑性ポリマーを或る表面上に押出し少なくとも一つの不織ウェブを形成することにより構成されるシート材。
【0015】
押出し形成ウェブ材は、繊維、フィラメント、異相構造繊維、異相構造フィラメント、二成分繊維及び二成分フィラメントのうちの少なくとも一つを含んでいてよい。押出し形成ウェブ部材は、実質的に、天然由来のセルロース材を含んでいない。押出し形成ウェブ材は一つ若しくはそれ以上の層を含んでいてよく、形成後処理されたものを含んでいてよい。
【0016】
機械方向(MD)−不織ウェブの形成中に於いて繊維が層状に置かれる形成表面の移動方向。
【0017】
メルトブローン繊維−細かい通常円形の複数のダイキャピラリーから溶融した熱可塑製材料を高速ガス(例えば空気)流へ押出すことによりフィラメントとして形成された繊維。高速ガス流は、溶融した熱可塑性剤のフィラメントを細くし、それらの直径を低減する。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流により搬送され、収集表面上に層状に置かれ、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、概ね非連続的である。メルトブロー法は、メルトスプレー法を含む。
【0018】
非熱可塑性材料−熱可塑性材料の定義に入らない材料。
【0019】
不織布又はウェブ−相互に重ねられているが、編まれた布地の如く個々に識別可能な態様ではない独立の繊維の構造を有するウェブ。不織布若しくはウェブは、例えば、メルトブロー法、スパンボンディング法及び湿式層形成法の如き多くの方法から形成される。不織布の坪量は、通常、平方メートル当りのグラム(gsm)により表わされ、繊維の細かさはデニールで計られる。
【0020】
ポリマー(重合体)−概ね、例えば、ホモポリマー、例えばブロック、クラフト、ランダム及び交互コポリマーの如きコポリマー、ターポリマーなど及びそれらの混合物及び変態を含む。更に、特に限定しなければ、用語「ポリマー」は物質の全ての可能な幾何学的構成を含む。これらの構成には、例えば、アイソタクチック対象性、シンジオタクチック対象性及びランダム対象性を含む。
【0021】
スパンボンデッド繊維−スピナレットの複数の細い通常円形のキャピラリーから溶融した熱可塑性材料をフィラメントとして押出すことにより形成される繊維。押出されたフィラメントの直径は、例えば、吸引排出による引き延ばし或いはまたその他の公知のスパンボンディングの機構により迅速に低減される。スパンボンド繊維は、概ね、連続的であり、約0.1〜5若しくはそれ以上の範囲のデニールを有する。
【0022】
熱可塑性−熱に曝されると溶融し、軟化し、室温に冷却されると、概ね軟化されていない状態へ戻るポリマー。熱可塑性材料は、例えば塩化ポリビニル、幾つかのポリエステル、ポリアミド、ポリフロオロカーボン、ポリオレフィン、幾つかのポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、カプロラクタム、エチレンと少なくとも一つのビニールポリマー(例えば、ポリ(エチレンビニールアセテート))とのコポリマー、セルロースエステル及びアクリル樹脂を含む。
【0023】
二相スパンボンド材料−熱可塑性ポリマーから紡糸された第一の層若しくは相に熱可塑性ポリマーから紡糸された第二の層又は相が重ねられている二相の繊維性不織ウェブ材。第一及び第二の層は、接合若しくは結合され二相材料を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
端的に述べれば、本発明の一つの局面は、慣用の熱及び圧力式シーリングプロセス及び装置で使用されるためのスパンボンデッド若しくはメルトブローン押出し形成ウェブ材を含む。本発明のウェブ材は、第一の融点を有する熱可塑性ポリマーから押出し形成された第一の層又はバリア相に第二の融点を有する熱可塑性ポリマーから押出し形成された第二の層又は熱シール相が重層されている二相材料であってよい。熱シール相の融点は、バリア相の融点よりも低い。第一及び第二の層は接合され二相材料を形成する。二つの層は、例えば、押出し、カレンダリング処理、エアボンディング処理、接着剤による結合、エンボス処理などの公知の方法により接合されてよい。
【0025】
二つの熱シール層の表面が熱及び圧力下に於いて接触されると、その中に於いて熱可塑性繊維が流動し融合して熱シール層を互いに結合する。バリア層は、熱シール層よりも高い融点を有し、熱シール層の低融点ポリマーが加熱されたシーリング装置へ粘着することを防ぐためのバリアとして機能する。後述する試験によれば、本発明のウェブ材のしみ通しは、40グラム以下である。
【0026】
多くの熱可塑性ポリマー、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリアミド、又は熱可塑性ポリマーの組合せが熱シール相のために用いることができる。熱シール相は、異相構造繊維又は二成分繊維を含んでいてよい。生分解性熱可塑性ポリマー、例えば、脂肪族の又は部分的に芳香族のアミドやポリ乳酸の如き脂肪族若しくは部分的に芳香族のポリエステルなども熱シール相として用いることが出来る。
【0027】
例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリアミドの如き多くの熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーの組合せがバリア相として使用することができる。生分解性熱可塑性ポリマー、例えば、脂肪族若しくは部分的に芳香族のアミド、ポリ乳酸の如き脂肪族若しくは部分的に芳香族のポリエステルなども、バリア相として用いることができる。バリア相は、異相構造繊維又は二成分繊維を含んでいてよい。
【0028】
二相の押出し形成されたウェブ材について、二つの相の各々の坪量は、約0.5gsmから約40gsmの範囲であってよい。有利には、熱シール相の坪量が約2〜約12gsmの範囲にあり、バリア相の坪量が約8〜約18gsmの範囲にあるということである。
【0029】
押出し形成ウェブ材の坪量は、約80gsmより小さくなる。好ましい二層材料として、坪量は、有利には、約10〜約30gsmの範囲となり、公称坪量は約16.5gsmである。
【0030】
繊維のデニール及び繊維の形状は、最終段階での使用の要件に(例えば、特定の飲料前駆物質に対して望ましい移動/浸出特性を得るために)最適となるよう公知の方法により変更されてよい。典型的には繊維のデニールは、例えば、0.1〜5デニールの範囲であり、約0.5デニールから約3デニールの範囲がより有利である。
【0031】
押出し形成ウェブ材は、不織材料の特性を更に改善するべく、例えば、バインダ、静電気防止剤、界面活性剤、撥水材料及びそれらの組合せなどの化学剤が与えられてよい。化学剤は、押出し形成ウェブ材の製造中に、例えば、静電気防止剤を押出し機の溶解ゾーンへ添加することによって加えることができる。また、化学剤は、押出し形成ウェブ材の製造後に、例えば、サイズプレスを用いてバインダをウェブ材へ添加することによって与えることができる。
【0032】
端的に述べれば、本発明のもう一つの局面は、慣用のスパンボンデッド若しくはメルトブローンウェブ材に比して、伸度の低減されたスパンボンデッド又は又はメルトブローン押出し形成ウェブ材を含む。有利なことに、本発明のこの局面の不織材は、1000gm張力下に於いて約0.5%から約3%の範囲の機械方向(MD)の伸度を有する。幾つかの実施態様に於いて、本発明のこの局面の不織材には、例えばカレンダリング、エンボス処理又はバインダの添加を含む形成後処理が施され、伸度を低減することができる。伸度の低減は、既存の高速パッキング機械に於いて用いるために必要である。
【0033】
端的に述べれば、本発明のもう一つの局面は、浸出用パッケージ材料として用いるために適した特性の最低限の組合せを有するスパンボンデッド若しくはメルトブローン押出し形成ウェブ材を含む。好ましくは、本発明のこの局面を具現化するウェブ材は、穿孔又は刺し孔がなく、約13秒未満の第一着色時間を有し、約75%未満のパーセント透過度を有する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、新しい改良された押出し形成ウェブ部材が提供される。
【0035】
また、本発明によれば、慣用の熱及び圧力式シーリング装置上で処理することのできるスパンボンデッド押出し形成ウェブ材が提供される。
【0036】
更に、本発明によれば、慣用の熱シール浸出用ウェブ材の望ましい多孔性と浸出特性を保持しているスパンボンデッド押出し形成ウェブ材が提供される。
【0037】
以下の本明細書の詳しい説明から本発明のよりよい理解が得られるであろう。以下の説明及び例示された実施例に於いて、本発明の望ましい特徴、性質、特性及び各要素の関係は、処理過程とかかる処理過程の各々の関係と伴に、開示され例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、「しみ通し」試験に於ける熱シールのために構成された本発明の押出し形成ウェブ材の模式図。
【図2】図2は、「しみ通し」試験に於ける引っ張り試験のために構成された本発明の押出し形成ウェブ材の模式図。
【図3】図3は、本発明の押出し形成ウェブ部材を浸出用パッケージに形成するための熱及び圧力式シール処理過程を用いた慣用のパッキング機械の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の一つの局面は、熱可塑性繊維又はフィラメントを含み、慣用の熱及び圧力式シーリング装置上に於いてその加熱されたシーリング表面上に過剰な又は障害となり得る蓄積を惹起すことなく用いるのに適した押出し形成ウェブ材を含む。本発明のもう一つの局面は、既存の高速パッキング装置に於いて用いるのに適した熱可塑性繊維又はフィラメントを含む押出し形成ウェブ材を含む。本発明の更なる局面は、熱可塑性繊維又はフィラメントを含み、湿式に層形成されるセルロースベースの浸出用ウェブ材の望ましい浸出特性を実質的に保持している押出し形成されたウェブ材を含む。
【0040】
概ね、本発明の不織押出し形成ウェブ材は、非連続的な繊維、連続的なフィラメント又はそれらの組合せから調製することができる。現時点では、スパンボンド技術により製造された連続的なフィラメントが好ましい。しかしながら、不連続な繊維を生成するメルトブロー技術も本発明の範囲内であると考えられる。本発明の押出し形成ウェブ材に於いて有用な繊維又はフィラメントは、単一ポリマー、異相構造ポリマー、二成分ポリマー及びそれらの混合物を含んでいてよい。
【0041】
概ね、スパンボンド法では、ポリマーを加熱された押出し機へ供給するホッパーを用いる。押出し機は、溶融されたポリマーをスピナレットへ供給し、スピナレットに於いて、ポリマーは、スピナレット中の一つ若しくはそれ以上の列に構成された細かい開孔部を通過する際に繊維化され、フィラメントのカーテンを形成する。フィラメントは、通常、低圧にて空気により急冷され、通常、空力学的に引張られ、移動ベルト又は「フォーミングワイヤ」上に層状に置かれて不織布を形成する。スパンボンド処理過程に於いて有用なポリマーは、概して、約80℃〜約320℃(約176°F〜610°F)の間の処理融点又は温度を有する。より好ましくは、ポリマーは、約110℃〜260℃(230°F〜約500°F)の間の処理融点又は温度を有することとなろう。
【0042】
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート及びポリアミドの如きポリマーが押出し形成ウェブ材に於いて用いることができる。例えば、脂肪族又は部分的に芳香族のアミド、及びポリ乳酸の如き脂肪族又は部分的に芳香族のポリエステルなどの生分解性熱可塑性ポリマーも、バリア相として用いることができる。
【0043】
本発明を実施するのに有用な繊維は、通常約0.1〜約5デニールまでの範囲内であり、より好ましくは約0.5〜約3デニールの範囲内であり、処理条件及びかかる繊維から製造されるべき布に用いられる望ましい最終使用状態に依存する。繊維のデニールは、公知の態様にて、ポリマーの分子量を増大し、処理温度を低減し、又は、急冷流体温度若しくは空気式の引張り作用に於ける圧力を変更することにより調節されてよい。
【0044】
本発明を実施するのに有用な繊維は、第一のポリマーシースが第二のポリマーコアを囲繞する構成又はサイド・バイ・サイドの配置構成の異相構造繊維であってよい。また、本発明に於いて二成分繊維も有用である。繊維の形状は、最終的な使用に必要な条件に適合するべく変更されてよい。
【0045】
本発明の押出し形成ウェブ材は、有利には、一つの層に、より高融点の熱可塑性ポリマーと、別の層に、より低融点の熱可塑性ポリマーとを組み込んだ多相又は層より構成される。層は、一つの層をもう一つの層上に押出す手法、接着的に結合する方法、ニードルパンチング、超音波接合、熱的エンボス処理及び熱的カレンダー処理を含む(これらに限定されない)公知の多くの技術のうちの任意のものにより接合される。二つ以上の層が本発明の実施に於いて用いられてよい。かかる多層押出し形成ウェブ材は、層のうちの幾つかがスパンボンドフィラメントで構成され、幾つかの層がメルトブローン繊維で構成され、例えばスパンボンド/メルトブローン/スパンボンドラミネート又はスパンボンド/スパンボンドラミネートの如き実施態様になっていてよい。スパンボンド/スパンボンドラミネートは、第一のスパンボンド繊維層を移動コンベアベルト又はフォーミングワイヤ上に連続的に層状に置き、第一のスパンボンド層上にもう一つのスパンボンド層を層状に置いて、層を接合することにより構成することができる。勿論、双方の層が場所を少しずらして配列した態様にて押出され、これにより多層ウェブ材が単一のパスにて形成できるようにすることもできる。別の態様として、層が個々に形成されロールに収集され、別の接合過程に於いて組み合わされるようにすることもできる。
【0046】
注意すべきことは、上記の説明に於いて低融点層と高融点層は、各々第一の層形成されたウェブ若しくは第二の層形成されたウェブの何れであってもよいということである。説明の目的として用語「第一の層形成されたウェブ」は、処理ラインに於いて先に形成されたウェブ又は以前の過程に於いて形成され巻き上げられているウェブのことを云っているということは気付かれるべきである。また、ここに於いて用いられている如く、特許請求の範囲に於いて特に用語「第一」及び「第二」は、それらの形成の順番を必ずしも述べていない任意の表現であるということも気付かれるべきである。
【0047】
本発明の押出し形成ウェブ材は、約1〜80gsmの坪量を有する。多層の実施態様に於いて、各々の層は、約0.5〜約40gsmの坪量を有していてよい。好ましい二相の実施態様について、熱シール相は、2〜12gsmの坪量を有していてよく、バリア相は、8〜18gsmの坪量を有し、これにより、仕上げられた二相ウェブ材の坪量は、約10〜30gsmであり、公称16.5gsmとなろう。より好ましくは、熱シール相は、約8gsmの坪量を有し、バリア相は、約8gsmの坪量を有し、これにより仕上げられた二相ウェブ材についての坪量は、約16gsmとなろう。
【0048】
熱シール可能な押出し形成ウェブ材は、勿論、意図された用途のために充分な強さの熱シールシームを形成することができなければならない。「乾燥時層間接着強度試験」は、ウェブ材内の乾燥した熱シールされたシームを分離するのに必要な最大力を測定するものである。
【0049】
乾燥時層間接着強度試験
スパンボンデッドウェブ材が半分に折られ、低融点相の各々の面が隣接し又は接触し、各々の高融点相が外方に向けられる。任意に、折り畳まれたウェブは、同一又はそれより大きい寸法のセルロース繊維紙の折り畳まれた片の中に置かれる。セルロース紙の機能は、ウェブ材のしみ通し量がより高い場合に、低融点熱シール相が、熱シール機械の加熱された表面へ付着することを防ぐことである。セルロース紙内のスパンボンデッドウェブ材は、その後、熱及び圧力の下に置かれ、下記の如き熱シールシームを形成する。
【0050】
熱シールシームは、サーマルバー形式の熱シール機械の加熱されたジョーの間にて、折られたスパンボンデッドウェブ材/セルロース紙の組合せをプレスすることによりウェブ材の間に形成される。熱及び圧力により低融点相内の熱可塑性繊維は流動し、融合してシームを形成する。熱シーリング機械は、1インチ(2.54cm)幅のシームを提供すべきである。センチネル マシーナリ(Sentinel
Machinery, Hyannis Mass.)から入手可能なSENTINEL 12−ASサーマルバーヒートシーラーが適当であることが見出されている。ジョーの温度は、接合される材料に依存する。ジョーの温度は、典型的には、適当なシームを形成するために、最も低い融点の材料の融点より少なくとも10℃高くすべきである。典型的には、ジョーは、72psi(5.0×105Pa)の空気シリンダ圧力にて維持され、ジョー上に力が印加され、0.38秒のドゥエルタイムの間維持される。
【0051】
サンプル上へ熱及び圧力を印加した後、熱シールされたウェブ材/セルロース紙の組合せは、熱シール機械から除去され、スパンボンデッドウェブ材が、セルロース紙から分離される。熱シールされたサンプルは切断され、1インチ(2.54cm)幅の試験サンプルが得られ、熱シールされたシームは、サンプルの幅方向に亙っている。熱シールされたウェブ材の側部の各々は、引張り試験器具のジョーにクランプされる。シームは、増大する引張り力の下に置かれ、シームが破壊するのに必要な最大力が記録される。熱シールされたシームを分離するのに必要な最大力は、乾燥時層間接着強度を示す。浸出用の用途に用いられるウェブ剤として最小の許容可能な乾燥時層間接着強度は、150gmであり、より好ましくは、約300gmとなろう。
【0052】
高温の水性環境に於ける熱シールされたシームの強度も、シームが熱湯若しくは沸騰した湯に浸潤されるような浸出用パッケージの如き用途に於いて重要である。「湿潤時層間接着強度試験」は、或る高温の水性環境に於いて或る特定の負荷の下で熱シールされたシームを分離するのに必要な時間を測定する。
【0053】
湿潤時層間接着強度試験
6インチ(15.2cm)長さで2インチ(5.1cm)幅の熱シール可能なウェブ材の試験試料が折られ、低融点熱シール相が縁にて接触したループを形成する。熱及び圧力が上記の如く与えられ、試験試料のループの縁を接合する0.25インチ(0.635cm)幅の熱シールされたシームを生成する。接合されたループは、約200°F(93.3℃)に加熱された蒸留水バス中に吊るされ、シームがループの上部及び低部の間の中間に位置決めされる。ループの低部に錘りが置かれ、シームが破れるのに必要な時間が記録される。本発明の押出し形成ウェブ材に於いて、100gmの錘りを用いた最小の許容可能な熱シールされたシームの湿潤時層間剥離時間は、600秒となろう。より好ましくは、熱シールされたシームの湿潤時層間剥離時間は約1200秒となろう。
【0054】
本発明の幾つかの実施態様に於いて、本発明の押出し形成ウェブ材の重要な局面は、慣用の熱及び圧力式シーリング装置に対する適合可能性である。かかる適合可能性を確実にするために、スパンボンデッドウェブ材は、適当に強く熱シールされたシームを提供するだけでなく、加熱されたシーリング表面上にデポジットを残さないようにしなければならない。例えば、ティーバッグの製造などに於いて熱シール処理中にスパンボンデッド材の低融点熱シール相が、高融点ベース相を通って流動し、又は、「しみ出す」ことは望ましくない。かかるしみ出しにより、「蓄積」が生じ、熱シール装置を汚染することとなる。加熱された表面上のスパンボンデッドウェブ材の蓄積に対する抵抗性を測定するために「しみ通し試験」が用いられる。
【0055】
しみ通し試験
図1を参照して、スパンボンデッドウェブ材10は、各々の高融点相12の面が隣接し且つ各々の低融点相14が外方を向くように半分に折られる。折られたウェブは、同一若しくは大きな寸法のセルロース繊維紙16の折られた片の中に置かれる。セルロース紙は、熱シール機械の加熱された表面へ低融点熱シール相が付着することを防ぐよう機能する。セルロース紙内のスパンボンデッドウェブ材は、熱及び圧力(矢印にて示されている)の下に置かれ、以下により完全に説明される如く熱シールシームを形成する。
【0056】
熱シールシームは、サーマルバー式熱シーリング機械の加熱されたジョーの間にて折られたスパンボンデッドウェブ材/セルロース紙の組合せを押圧することによりウェブ材の側部の間に形成される。熱シーリング機械は、1インチ(2.54cm)幅のシームを提供すべきである。SENTINEL 12−ASサーマルバーヒートシーラーが適当であることが見出されている。典型的には、ジョーは、72psi(5.0×105Pa)の空気シリンダ圧力にて維持され、ジョー上に力が印加され、0.5秒のドゥエルタイムの間維持される。ジョーの温度は、接合される材料に依存する。ジョーの温度は、典型的には、適当なシームを形成するために、最も低い融点の材料の融点より少なくとも10℃高くすべきである。
【0057】
サンプル上へ熱及び圧力を印加した後、熱シールされたウェブ材/セルロース紙の組合せは、熱シーラーから除去され、ウェブ材が、セルロース紙から分離される。熱シールされたサンプルは切断され、幅1インチ(2.54cm)×長さ1/2インチ(1.27cm)の試験サンプルが得られ、熱シールされたシームは、サンプルの幅方向に亙っている。熱シールされたウェブ材の側部の各々は、図2に示されている如く、引張り試験器具のジョーにクランプされる。シームは、増大する引張り力の下に置かれ、シームを破壊するのに必要な最大力が記録される。熱シールされたシームを分離するのに必要な最大の力が高融点のベース相を通る低融点熱シール相の「しみ通し」のレベルの測定値を示す。しみ通し試験に於いて記録される高い最大力の値は、ウェブ材が慣用の熱及び圧力式シーリング装置に於いて望ましくない熱可塑性繊維の蓄積と汚染状態を惹起す確率が高いということを示すこととなる。現在に於いて、スパンボンデッドウェブ材が40グラム以下のしみ通し度を有していることが好ましい。もし熱シール機械のジョーの温度が充分に高ければ、バリア相も溶融し、流動し、シールされることとなるということは気付かれるべきである。
【0058】
しみ通しの振舞いについて単一相の材料を検査するために、単一相のスパンボンデッドウェブ材が、側部を接触するよう半分に折られ、折られたウェブ材がセルロース繊維紙の折られた片の中に置かれる。前記の如く、セルロース紙内のスパンボンデッドウェブ材が熱及び圧力の下に置かれ、熱シールシームを形成する。また、ウェブ材は、セルロース紙にも結合することとなろう。熱シールされた材料は切断され、1インチ(2.54cm)幅の試験サンプルを得る。試験サンプルはその幅に亙る熱シールされたシームによりスパンボンデッドウェブ材の層へ接合されたセルロース紙層を含む。各々の層は、引張り試験器具のジョーにクランプされ、シームが増大する引張り力の下に置かれ、ウェブ材とセルロース繊維紙との間の結合を分離するのに必要な最大の力が記録される。必要な最大力は、セルロース紙層を通る低融点熱シール相の「しみ通し」のレベルの測定値を示す。
【0059】
慣用のセルロースベースの熱及び圧力にてシール可能な不織ウェブ材は、しばしば、ロールから、紅茶若しくはコーヒーの浸出用パッケージを調製するのに用いられる装置の如き、高速のウェブ処理機械上へ供給される。図3に於いて模式的に示されている如く、典型的には、パッケージング及びシーリング装置18は、ウェブ材22、24の二つの部分の間にて飲料前駆物質20を入れる。各々の部分22、24の熱シール相14は、外方へ向いた各々の部分22、24のバリア相に隣接している。飲料前駆物質20と共に部分22、24は、熱及び圧力式シーリングユニット26を通して供給され、飲料前駆物質を内部に梱包しながら部分22、24に於いて熱シールシームを形成する。部分22、24は分離され、浸出用パッケージ28を形成する。熱及び圧力式シーリングプロセスを用いた上記の如き高速パッキング機械の幾つかの例には、毎分150個の浸出用パッケージを調製することのできるマイ エス.エー.(Mai S.A. Mar dePlata, Argentina)により製造されるEC12単一レーンパッケージング機械(EC12)、毎分350個の浸出用パッケージを調製することのできるデラメア アンド ウイリアムズ(Delamere & Williams, Toronto, Canada)により製造されるRotorex単一レーンパッケージング機械(D&W)、毎分800個の浸出用パッケージを調製することのできるテクニパック エンジニアリング(TECHNIPAC Engineering, Ronford, Essex, U.K.)により製造されるタイプ1000 4レーンパッケージング機械(TECHNIPAC)、毎分約2000個の侵出用パッケージを調製することのできるIMA インダストリアルマキネ オートマチケSpA(IMA Industrial Machine Automatiche
S.p.A., Bologna, Italy)により製造されるC51 2レーン機械(C51)が含まれる。かかる装置は、上記の速度にて浸出用パッケージを調製するために毎分250フィート(76.2m)までの速度にてウェブ材料を供給することが要求される。驚くべきことに、上記の浸出用パッケージのパッケージング及びシーリング機械の如き高速のウェブ処理機械は、或る狭い範囲の厚さ、スティフネス及び伸度の製品に於いて最良に作動するということが見出されている。かかる装置を用いるべく本発明の局面に於いて、本発明の押出し形成ウェブ材が約30〜約100μの範囲の厚さを有し、好ましくは、約50〜約80μの範囲の厚さを有しているということは有利である。
【0060】
不織ウェブ材の乾燥時伸度は、「乾燥時伸度試験」により測定される。乾燥時伸度試験は、TAPPI試験方法T494 OM 88に従って実行される。インストロン1122引張り試験器具がかかる乾燥時伸度試験に有利に用いることができる。1000グラムの負荷に対して、本発明の押出し形成ウェブ材は、約0.5%〜約3%の乾燥時伸度を有していることは有利である。好ましくは、乾燥時伸度は、約0.5%〜約2%の範囲である。
【0061】
紅茶を含む浸出用パッケージの調製に用いられる本発明の実施態様に於いて、ウェブ材に於ける静電気の電荷の蓄積及び残留が問題となり得る。静電的な電荷は、茶の粒子をシーム領域に引き付け若しくは浸出用パッケージの内側表面を横切り、これにより完成された製品の様相を望ましくないものとし得る。静電的な電荷の蓄積を放出するウェブの能力は、「静電減衰試験」により測定できる。
【0062】
静電減衰試験
不織ウェブから検査されるべき方向に長い3インチ(7.62cm)×5.5インチ(14.0cm)の試験試料が切り出される。試験試料は、相対湿度50±4%及び73.4±2°F(23±1.1℃)の温度を有する制御環境に少なくとも10分間配置することにより状態が調節される。試験試料は、静電減衰メーターの電極の間にて、センサヘッドに測定されるべき側部が面するよう配置される。エレクトロ−テック システム社(Electro-Tech Systems, Inc., Glenside, PA. 19038)からの静電減衰メーターモデル406Cが適当であることが見出されている。試験試料は、5000ボルトDCにより誘導的に帯電される。試験試料に生ずる最大電圧が測定され、測定された最大電圧の10%まで消散するのに必要な時間が決定される。茶を含む浸出用パッケージに用いられる本発明の押出し形成ウェブ材が、約1秒から約60秒の範囲、好ましくは、約1秒から40秒の静電減衰を有するということは有利であると信じられる。
【0063】
幾つかの実施態様に於いて、本発明の押出し形成ウェブ材は、カレンダ処理又はエンボス処理の如き追加的な処理がなされてよい。カレンダー処理又はエンボス処理は、部分的に材料中の繊維の幾つかを溶融し融合する。これらの形成後処理は、ウェブの強度を増大し、幾つかの用途に於いて有利である。
【0064】
幾つかの実施態様に於いて、本発明の押出し形成ウェブ材は、例えば、バインダ材料、静電気防止剤、界面活性剤、又は撥水材などのスパンボンデッド材料の特性を更に改善する追加的な材料を含んでいてよい。追加的な材料は、押出し形成ウェブ材の製造中に於いて、例えば、押出し機の溶融ゾーンへ静電気防止剤を添加することにより添加されてよい。また、追加的な材料は、押出し形成ウェブ材の製造後、例えば、サイズプレスを用いてウェブ材へバインダを添加することにより与えられてよい。本発明の一つの実施態様に於いて、硬化されると水溶液中に於いて不溶であり、煮沸により影響されないバインダ材料により本発明の押出し形成ウェブ材が全体的に処理される。バインダは、強度及びスティフネスを増大し、伸度を低減する。更に、本発明により用いられるバインダ材料は、ウェブ材の繊維に容易に吸収される親和性を有しているべきである。本発明の押出し形成ウェブ材が浸出用パッケージに用いられる本発明の実施態様に於いては、バインダ材料は、ウェブの多孔性を実質的に維持しながら、ウェブ材の望ましい浸出特性に悪影響を及ぼさずに上記の望ましい特性を有していなければならない。従って、ここで使用される材料は、処理された領域に於いて充填されたフィルムを形成する材料とは区別される。
【0065】
本発明に於いて有用であると見出されたバインダ材料は、例えば、カルボキシル化されたポリスチレン、SBRベースの材料、PBAベースの材料及びアクリル分散ポリマーを含む。B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich, Cleveland, Ohio)から入手可能なTN586が本発明に於いて用いるのに適していることが見出されている。勿論、押出し形成ウェブ材へ望ましい強度、スティフネス或いはまた低減された伸度特性を提供するその他のバインダ材料も、本発明に於いて有用であり、本発明に含まれる。
【0066】
バインダ材料は、ウェブ材を確実に完全に覆うようにかかる材料を添加するのに用いられる公知の技術により予め形成された押出し形成ウェブ材へ与えられてよい。例えば、ウェブ材へ望ましいバインダ材料の適用を実現するために、ウェブ材は、ブラシ、ローラ、スプレー、フォーム若しくは浸漬バスにより処理されてよい。ウェブ材の完全な含浸が望まれるので、浸潤処理が望ましい。バインダのエマルジョンは、概ね、やや薄い吸収性のあるウェブ材を通して素早く浸透し、繊維性ウェブ材の製造に於いて適当な段階中に適用されてよい。例えば、バインダ材料を含む浸潤サイズプレスがウェブ材の最終的な乾燥及び収集に先立って用いられてよい。バインダ材料の分散液を用いて押出し形成ウェブ材を処理すると、バインダ材料は、ウェブ材の厚さ方向全体に亙って非常に速やかに透過し、その後、バインダを硬化し、ウェブ材からバインダ材料がしみ出ることを防ぐべく、処理されたウェブ材は、熱的に硬化される。
【0067】
バインダ材料は希釈されていない状態で与えられてもよく、また、望ましいバインダ濃度、粘性及び適用中に於ける取り込みを提供するべく水により希釈されてよい。バインダ材料は、完成されたウェブ材がその坪量の約1%〜約50%の範囲内のバインダ装填量を有するように適用されるべきである。好ましくは、完成されたウェブ材は、最終ウェブ材の坪量の約5%〜約30%の範囲のバインダ充填量を有する。カレンダー処理又はエンボス処理が上記の追加的な材料と組合せて用いることができる。
【0068】
理解されるべきことは、湿式層形成法、スパンボンド法若しくはメルトブロー法に依らず、全ての不織ウェブ材は、浸出用パッケージに用いることが適しているわけではないということである。許容可能な浸出用ウェブ材は、穿孔がない状態で、浸出を許す適当な多孔性を有していなければならない。概ね孔隙率は、例えばウェブ材の坪量に影響される。浸出用ウェブ材は、また、シーム強度、水透過性及び浸出特性の最小限の組合せを有していなければならない。容易に理解するため及び説明の簡単のため、本発明は、以下に於いて、ティーバッグ等の製造に於いて用いられる熱シール可能な多孔性の浸出用ウェブ材への適用に於いて説明される。
【0069】
浸出用の熱シール可能な押出し形成ウェブ材に関して重要な幾つかの浸出特性は、水がティーバッグ内へ透過し、茶の溶質がティーバッグから透過してくる速度と、或る特定の時間に於いて生じ得る抽出の程度に関したものである。これは、通常、各々「第一着色及びパーセント透過度」の用語で報告される。
【0070】
第一着色
第一着色について検査する際、検査されるべき材料から作成されたティーバッグは、水が煮沸された後の落着いた状態の蒸留水中に注意深く配置される。ストップウォッチを用い、サンプルの低部にて最初の褐色の流れが表れた時点が記録される。約14gsmの坪量を有するウェブ材について12秒未満の第一着色時間が必要とされ、10秒以下が好ましい。約5−7秒の第一着色が、優れた浸出用特性を示すものと考えられる。勿論、典型的には、厚く、坪量の大きい材料は、軽い坪量の材料よりも高い第一着色値を有することとなろう。
【0071】
パーセント透過度
パーセント透過度試験は、530mμの波長に設定された比色計と1cmの光路のセルを用いて60秒の浸漬時間後の煎じ飲料の透過度を測定することにより行なわれる。良好な浸出としての目標値は、60%台中間の範囲であり、浸出が改善されると共に透過度は低減する。
【0072】
シフトは不織ウェブ材が或る特定の大きさの粒子を保持する能力を示す。勿論、この特性は、細かく挽かれた茶若しくはコーヒーの粒子をパッケージ内に保持しなければならないという浸出用パッケージに重要である。シフトは、「シフト試験」により測定される。
【0073】
シフト試験
ジャー内に砂が配置され、ウェブ材のサンプルがジャーの口上に固定される。検査されるウェブ材の表面面積は8.6平方インチ(55.5cm2)である。カップがウェブ材上に置かれ、ウェブ材を通って移動する粒子が収集される。組立体が、14分間振とう若しくは振動される。シフトは、通常、特定の寸法の砂粒子の損失のパーセントとして測定される。シフト試験の結果が30%未満の損失である場合が浸出用ウェブの用途に於いて望ましく、結果が10%未満の損失であることが望ましい。
【0074】
本発明の一つの局面は、熱及び圧力式シーリングプロセスを用いた高速パッキング装置に於いて浸出用パッケージを調製するのに用いられる押出し形成ウェブ材を含む。この用途に於いて、本発明の押出し形成ウェブ材は、高速パッキング装置に於いて許容可能に使用できるスティフネスと及び最小乾燥時伸度の組合せと、熱及び圧力式プロセスを用いて浸出用パッケージ内に飲料前駆物質をシールすることのできる適切なシーム強度と、加熱されたシーリング表面上のウェブ材の蓄積を最小にする最小のしみ通し度と、完成された浸出用パッケージを用いて煎じ飲料を形成することができるような許容可能な浸出用特性とを提供しなければならない。
【0075】
本発明を概して説明してきたが、以下の実施例は、本発明がよりよく理解されるよう例示の目的で含まれる。以下に説明する機械の試行は、慣用のセルロースベースの熱シール可能な不織材に典型的に用いられる条件にて熱及び圧力シーリング処理過程及び装置を用いた慣用のパッキング機械に於いて本発明の押出し形成ウェブ材を用いることに基づいている。本発明のウェブ材の幾つかは、或る条件に於いては許容できない特性を示しているが、同一の押出し形成ウェブ材の使用は、僅かに異なる条件に於いて、又は、異なる用途に於いて許容可能であるということは理解されるべきである。従って、以下の実施例は、特に示されていない限り本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0076】
例1−4
複数の単一層ウェブ材が調製され、特定の浸出特性について検査された。例1は、浸出用途に於いて典型的に用いられる二相の湿式に層を形成された熱シール可能なセルロース繊維ベースの不織ウェブ材を含む比較のためのウェブ材である。非熱シール相又はバリア相は、セルロース材料を含み、熱シール相は、ポリプロピレン繊維を含む。典型的には、例1の材料は、約16.5gsmの坪量を有する。
【0077】
例2は、スパンボンデッドポリエチレンテレフタレート(PET)フィラメントの単一層押出し形成のウェブ材を含む。例2の材料は15gsmの坪量を有していた。
【0078】
例3は、スパンボンデッド異相構造フィラメントの単一層の押出し形成ウェブ材を含む。例3の異相構造フィラメントは、シース/コア構成に於いてポリエチレンポリマー及びポリエステルポリマーを各々含んでいた。例3の材料は15gsmの坪量を有していた。
【0079】
例4は、スパンボンデッドポリプロピレンフィラメントの単一層の押出し形成ウェブ材を含んでいた。例4のウェブ材は、レイフェンハウザー(Reifenhauser, Troisdorf, Germany)から入手可能なREIFENHAUSERスパンボンディング装置上にて調製された。例4の材料は、15gsmの坪量を有していた。各々のサンプルは、第一着色及びパーセント透過度について検査された。結果は以下の表1にまとめられている。
【表1】

【0080】
例2−4は、浸出用パッケージに於いて用いられるための優れた第一着色値を示した。例3及び4は、浸出用パッケージに用いるのに許容可能であるが幾分か高いパーセント透過度を示した。
【0081】
例5−8
複数の、単一層及び多層の押出し形成ウェブ材が製造された。例5は、約162℃の溶融温度を有するスパンボンデッドポリプロピレンの単一層の押出し形成ウェブ材を含む。エクソン ケミカル ポリマーズ グループ(Exxon Chemical, Polymers Group, Houston, Texas)からのESCORENE PP3155が例5に用いられている如き約162℃の溶融温度を有するポリプロピレン材の例である。
【0082】
例6は、約151℃の溶融温度を有するスパンボンデッドポリプロピレンの単一層の押出し形成ウェブ材を含んでいた。エクソンケミカルポリマーグループからのACHIEVE 3825が、例6に用いられている如き約151℃の溶融温度を有するポリプロピレン材料の一つの例である。
【0083】
例7は、二層の押出し形成ウェブ材を含んでいた。約162℃の溶融温度を有するスパンボンデッドポリプロピレンの層(ESCORENE PP3155)が、約151℃の溶融温度を有するスパンボンデッドポリプロピレンの層(ACHIEVE 3825)に重畳された。
【0084】
例8は、二層の押出し形成ウェブ材を含んでいた。約162℃の溶融温度を有するスパンボンデッドポリプロピレンの層(ESCORENE PP3155)が、125℃の溶融温度を有するスパンボンデッドポリエチレンの層に重畳された。ダウケミカル(Dow Chemical, Midland, Michigan)からのASPUN
6811が例8に用いられる如き約125℃の融点を有するポリエチレン材料の例である。
【0085】
例5−8に於ける本発明のウェブ材の各々は、最終ウェブ材に於いて約16.5gsmの坪量を有していた。この坪量は、装置のセットアップの関数であった。例えば、特定の装置、用いられるポリマー及び最終的な使用の要件の如きパラメータに依存して、その他の坪量を用いることができる。例5−8に於いて製造された繊維の全ては、断面形状に於いて丸かった。
【0086】
例5−8に於ける材料の各々は、スパンボンディング装置上に於いて調製された。例7及び8の多層ウェブ材は、ベース層を押出し形成することにより調製された。形成されたベース層は、スパンボンディング装置に通され、二回目に第二の層がベース層上に押出し形成された。第二の層の押出し形成後、ウェブ材は、サーマルエンボス処理機に通され、層が接合された。例5−8からのウェブ材のサンプルは、一対のスチールロールを通して高温カレンダー処理され、スティフネスを増大した。ロールのうちの一つは、約250〜260°F(121-127℃)に加熱された。
【0087】
例5−8に於ける材料の各々は、シーム乾燥時層間接着強度(MD及びCD横方向の双方について)、シーム湿潤時層間接着強度(MD及びCD方向の双方について)、しみ通し度及び選択された浸出特性について検査された。結果は表2にまとめられている。
【表2】

【0088】
例5の単一層の押出し形成ウェブ材は、乾燥時層間接着強度が望ましい値よりも僅かに低く、湿潤時層間接着強度値が良好で、許容可能なしみ通し度を有した。例5のウェブ材は、良好な第一着色時間、好ましい値よりも僅かに高いパーセント透過度及び非常に良好なシフト値を示した。
【0089】
例6の単一層押出し形成ウェブ材は、良好な乾燥時層間接着強度値、良好な湿潤時層間接着強度値を示したが、しみ通し度が好ましい値よりも高かった。例6のウェブ材は、優れた第一着色時間と、好ましい値よりも僅かに高いパーセント透過度値と、非常に良好なシフト値を示した。
【0090】
例7の二相の押出し形成ウェブ材は、非常に良好な乾燥及び湿潤時層間接着強度値と、非常に低いしみ通し度を示した。例7のウェブ材は、優れた第一着色時間と、好ましい値よりも僅かに高いパーセント透過度値と、非常に良好なシフト値を示した。
【0091】
例8の二相押出し形成ウェブ材は、非常に良好な乾燥及び湿潤時層間接着強度値を示したが、しみ通し度が許容不可能な程高かった。例8のウェブ材は、良好な第一着色時間と良好なパーセント透過度値を示した。このウェブは、許容できないシフト値を示した。
【0092】
例5の押出し形成ウェブ材のロールが、EC12機械に通された。典型的には、EC機械は、比較例1により例示されている如きセルロースベースの不織材に120℃の熱シールステーション温度にて用いられている。120℃に於いて、押出し形成ウェブ材からのポリプロピレンの蓄積は、熱シーラーユニットの表面上に於いて明らかであった。熱シールステーションの温度が、85℃の温度へ低減され、そこに於いて熱シーラーユニット上の蓄積が除去された。しかしながら、製造されたパッケージは、熱シールシームの強度を有していなかった。
【0093】
例7の押出し形成ウェブ材のロールがEC12上に通された。熱シールステーションの温度が85℃から101℃まで上昇されると、熱シールシームに「しわ」が形成し始めた。シームのしわは、低融点層の収縮を示した。この熱シールステーションの温度の範囲に於いては、熱シールシームは、パッキング機械の運転者によって、慣用のセルロースべースの不織材に於いて形成される熱シールシームに比較して許容できないシーム強度を有していると判断された。押出し形成ウェブ材は、個々のパッケージに切断されることとなるシールされたパッケージのストリングとしては充分なスティフネスを有していなかった。
【0094】
例7の押出し形成ウェブ材のロールがD & W機械上に通された。典型的には、D&W機械は、比較例1により例示されている如き慣用のセルロースベースの不織材に150℃の熱シールステーション温度にて作動される。この形式の機械に於いては、ウェブ材は、熱シールシーム形成のための熱シールステーションに通される前に、始めに、個々の片に切断される。135℃〜171℃の範囲の熱シールステーション温度に於いて、製造された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって、セルロースベースの不織材から製造される浸出用パッケージと比較して許容できない熱シールシーム強度を有していると判断された。許容できない熱シールシームの強度は、切断操作中に於ける引っ張り状態及びその後の緩和状態の下で本発明のウェブ材が伸張されることによるアーチファクトであると考えられ、その結果シーム領域が所望のものよりも狭くなった。
【0095】
例8の押出し形成ウェブ材のロールがEC12機械に通された。80℃〜92℃の範囲の熱シールステーションの温度に於いて、本発明のウェブ材は、熱シールステーションに隣接した引張り制御ローラ上にて溶融する傾向を有していた。この熱シール温度の範囲に於いて製造された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって、セルロースベースの不織材を用いて製造された浸出用パッケージと比較して許容できない熱シールシーム強度を有していると判断された。この本発明のウェブ材は、個々のパッケージに切断されるシールされた浸出用パッケージのストリングとして充分なスティフネスを有していなかった。
【0096】
まとめると、例7及び8の押出し形成ウェブ材は、熱及び圧力式シーリングプロセスを用いた上記のパッキング機械に於いて、同一の機械上で同一の条件下に於いてセルロースベースの不織材に比較して許容可能な性能としての熱シーリング中のスティフネス及び寸法安定性が充分ではなかった。
【0097】
例9−22
例9は、スパンボンデッドポリエチレンテレフタレートフィラメントを含む単一相の押出し形成ウェブ材であった。各々のフィラメントは、約1デニールを有していた。ポリエチレンテレフタレートフィラメントは、約250℃の融点を有していた。イーストマン ケミカル(Eastman Chemical,
Kingsport, TN)から入手可能なF61 HCが、例9に用いられる約250℃の融点を有するポリエチレンテレフタレート材料の一つの例である。例9のウェブ材は、約8gsmの坪量を有していた。
【0098】
例10は、スパンボンデッド異相構造フィラメントを含む単一相の押出し形成ウェブ材であった。各々のフィラメントは、コア上にシースがある構成であり、約0.5デニールを有していた。各々のフィラメントは、約162℃の融点を有するポリプロピレン(ESCORENE 3155)のシースと、250℃の融点を有するポリエチレンテレフタレート(F61 HC)のコアを含んでいた。コア材料に対するシース材料の重量の比は、約1:1であった。例10のウェブ材は、約8gsmの坪量を有していた。
【0099】
例11は、予め形成された例9のウェブ上に例10の材料を押出し形成することにより製造された2相の押出し形成ウェブ材を含んでいた。二相は、第一の相上に第二の相を押出し形成した後、ある程度の接着をした。二相は、更に、20%の点表面領域を有する点結合されるカレンダリングロールを用いてカレンダー処理によって接合された。カレンダーロールは150℃まで加熱された。例11の押出し形成ウェブ材は、ポリエチレンテレフタレートのコア(250℃の融点)上にポリプロピレンのシース(約162℃の融点)を有する約0.5デニールの異相構造フィラメントからなる第一の相を約1デニールのポリエチレンテレフタレートフィラメント(約250℃の融点)の第二の相に重畳したものを含んでいた。例11のウェブ材の坪量は約16gsmであった。
【0100】
例12は、スパンボンデッド異相構造フィラメントを含む単一相の押出し形成ウェブ材であった。各々のフィラメントは、シースがコアを覆う構成であり、約0.9デニールを有していた。各々のフィラメントは、約125℃の融点を有するポリエチレン(ASPUN 6811)のシースと、約250℃の融点を有するポリエチレンテレフタレート(F61 HC)のコアとを含んでいた。コア材料に対するシース材料の重量の比は、約1:1であった。例12のウェブ材は、約8gsmの坪量を有していた。
【0101】
例13は、予め形成された例9のウェブ上に例12の材料を押出し形成することにより製造された2相の押出し形成ウェブ材を含んでいた。二相は、第一の相上に第二の相を押出し形成した後、ある程度の接着をした。二相は、更に、20%の点表面領域を有する点結合されるカレンダリングロールを用いてカレンダー処理によって接合された。カレンダーロールは110℃まで加熱された。例13のウェブ材は、ポリエチレンテレフタレートのコア(250℃の融点)上にポリエチレンのシース(約125℃の融点)を有する約0.9デニールの異相構造フィラメントからなる第一の相を約1デニールのポリエチレンテレフタレートフィラメント(約250℃の融点)の第二の相に重畳したものを含んでいた。例13のウェブ材の坪量は約16gsmであった。
【0102】
例14は、スパンボンデッド異相構造フィラメントを含む単一相の押出し形成ウェブ材であった。各々のフィラメントは、サイド・バイ・サイド構成であり、約0.9デニールを有していた。各々のフィラメントは、約125℃の融点を有するポリエチレン(ASPUN 6811)の一方の側と、それに付着された約250℃の融点を有するポリエチレンテレフタレート(F61 HC)のもう一方の側とを含んでいた。一方の側に対する他方の側の重量の比は、約1:1であった。例14のウェブ材は、約8gsmの坪量を有していた。
【0103】
例15は、予め形成された例9のウェブ上に例14の材料を押出し形成することにより製造された2相の押出し形成ウェブ材を含んでいた。二相は、第一の相上に第二の相を押出し形成した後、ある程度の接着をした。二相は、更に、20%の点表面領域を有する点結合されるカレンダリングロールを用いてカレンダー処理によって接合された。カレンダーロールは110℃まで加熱された。例15の押出し形成ウェブ材は、ポリエチレンテレフタレートの側部(250℃の融点)にポリエチレンの側部(約125℃の融点)を付着した約0.9デニールの異相構造フィラメントからなる第一の相を約1デニールのポリエチレンテレフタレートフィラメント(約250℃の融点)の第二の相に重畳したものを含んでいた。例15のウェブ材の坪量は約16gsmであった。
【0104】
例16は、異相構造フィラメントを含む単一相のスパンボンデッド押出し形成不織ウェブ材であった。各々のフィラメントは、サイド・バイ・サイド構成であり、約0.5デニールを有していた。各々のフィラメントは、約162℃の融点を有するポリプロピレン(ESCORENE 3155)の側と、約250℃の融点を有するポリエチレンテレフタレート(F61 HC)の側とを含んでいた。一方の側に対する他方の側の重量の比は、約1:1であった。例16のウェブ材は、約8gsmの坪量を有していた。
【0105】
例17は、予め形成された例9のウェブ上に例16の材料を押出し形成することにより製造された2相の押出し形成ウェブ材を含んでいた。二相は、第一の相上に第二の相を押出し形成した後、ある程度の接着をした。二相は、更に、20%の点表面領域を有する点結合されるカレンダリングロールを用いてカレンダー処理によって接合された。カレンダーロールは150℃まで加熱された。例17のウェブ材は、ポリエチレンテレフタレートの側部(250℃の融点)にポリプロピレンの側部(約162℃の融点)を付着した約0.5デニールの異相構造フィラメントからなる第一の相を約1デニールのポリエチレンテレフタレートフィラメント(約250℃の融点)の第二の相に重畳したものを含んでいた。例17のウェブ材は約16gsmの坪量を有していた。
【0106】
例18は、約1.1デニールのスパンボンデッドフィラメントを含む単一相の押出し形成不織ウェブ材であった。各々のフィラメントは、約162℃の融点を有するポリプロピレン(ESCORENE 3155)を含んでいた。例18のウェブ材は、約8gsmの坪量を有していた。
【0107】
例19は、スパンボンデッド異相構造フィラメントを含む単一相の押出し形成ウェブ材であった。各々のフィラメントは、サイド・バイ・サイド構成であり、約1.7デニールを有していた。各々のフィラメントは、約162℃の融点を有するポリプロピレン(ESCORENE 3155)の一方の側と、それに付着された約125℃の融点を有するポリエチレン(ASPUN 6811)のもう一方の側とを含んでいた。一方の側に対する他方の側の重量の比は、約1:1であった。例19のウェブ材は、約8gsmの坪量を有していた。
【0108】
例20は、予め形成された例18のウェブ上に例19の材料を押出し形成することにより製造された2相の不織押出し形成ウェブ材を含んでいた。二相は、第一の相上に第二の相を押出し形成した後、ある程度の接着をした。二相は、更に、20%の点表面領域を有する点結合されるカレンダリングロールを用いてカレンダー処理によって接合された。カレンダーロールは140℃まで加熱された。例20のウェブ材は、ポリエチレンの側部(約125℃の融点)にポリプロピレンの側部(約162℃の融点)を付着した約1.7デニールの異相構造フィラメントからなる第一の相を約1.1デニールのポリプロピレン(約162℃の融点)の第二の相に重畳したものを含んでいた。例20のウェブ材は約16gsmの坪量を有していた。
【0109】
例21は、例11の如く製造された押出し形成ウェブ材の一部を含み、ウェブ形成後、一つの平滑なスチールロールと一つの平滑なゴムロールを用いてカレンダー処理された。スチールロールは、約150℃まで加熱され、ゴムロールは周囲温度の状態のままとした。ポリエチレンテレフタレートベース相は、カレンダー処理中加熱されたロールへ向けられた。
【0110】
例22は、例13の如く製造された押出し形成ウェブ材の一部を含み、ウェブ形成後、一つの平滑なスチールロールと一つの平滑なゴムロールを用いてカレンダー処理された。スチールロールは、約125℃まで加熱され、ゴムロールは周囲温度の状態のままとした。ポリエチレンテレフタレートベース相は、カレンダー処理中加熱されたロールへ向けられた。
【0111】
例20の押出し形成ウェブ材が、D&W機械に通された。D&W機械の熱シールステーションは、140℃に設定された。例20のウェブ材は、張力による幾分かのウェブの伸張が認められるが、概ね、D&W機械全体に亙って寸法安定性を維持した。例20のウェブ材は、熱シールステーションの前に小片に良好に切断可能であった。製造された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージと比較して許容できないと判断される熱シールシームを有していた。熱シールシームの寸法安定性は、パッキング機械の運転者によって許容可能であると判断された。張力の作用の下で本発明のウェブ材が伸張したことにより、熱シールシームの幾つかは幅が狭くなったものと考えられる。熱シールステーションの温度を151℃まで上昇すると、熱シールシームの強度は許容可能なレベルまで増大したが、熱シールステーションに於けるウェブの収縮が認められた。
【0112】
例21の押出し形成ウェブ材がC51機械に通された。典型的には、C51機械は、比較例1に例示されている如きセルロースベースの熱シール可能な不織材に用いられる。C51機械の熱シールステーションは180℃に設定された。C51機械は、熱シールステーションの前に、裁断ステーションを含み、ウェブ材が機械を通って移動すると共にウェブ材を機械方向に切断する。この機械に於ける裁断ステーションは、非モーター駆動のブレードを用いていた。例21のウェブ材は、C51機械の非モーター駆動裁断ステーションに於いて切断されるのに充分なスティフネスを有していなかった。
【0113】
例21のウェブ材が別のC51機械に通された。この機械に於ける(熱シールステーションの前の)裁断ステーションは、モーター駆動されたブレードを用いていた。熱シールステーションの温度が160℃のとき、形成された浸出用パッケージは、パッキング機械運転者によって、セルロースベースの不織材により作成された浸出用パッケージと比較してシーム強度及びシームの寸法安定性(シール操作中に於ける材料の収縮)については許容可能であると判断された。熱シールステーションに於ける材料の蓄積は認められなかった。ウェブ材は、裁断ステーションに於いて良好に切断されるが、二つの浸出用パッケージの組として切断される場合、浸出用パッケージのストリングとして充分なスティフネスを有していなかった。
【0114】
例22のウェブ材がC51機械に通された。この機械に於ける(熱シールステーションの前の)裁断ステーションは、モーター駆動されたブレードを用いていた。熱シールステーションの温度が130℃から160℃の範囲のとき、浸出用パッケージは、パッキング機械運転者によって、セルロースベースの不織材により作成された浸出用パッケージと比較してシーム強度及びシームの寸法安定性(シール操作中に於ける材料の収縮)については許容可能であると判断された。熱シールステーションに於ける材料の蓄積は認められなかった。本発明のウェブ材は、裁断ステーションに於いて良好に切断された。また、浸出用パッケージのストリングは、二つの浸出用パッケージの組に切断することはできるが、本発明のウェブ材は、非モーター駆動のブレードによって個々の浸出用パッケージに切断されるための充分なスティフネスを有していなかった。
【0115】
例22の押出し形成ウェブ材がEC12機械に通された。EC12機械の熱シールステーションは、96℃の温度に設定された。例22のウェブ材は、例8のウェブ材よりも良好にEC12引張りローラ上に於いて寸法安定性を維持した。例22により作成された浸出用パッケージの熱シールシームは、パッキング機械運転者によって、慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージと比較して許容可能な強度を有していると判断された。熱シールシームの寸法安定性(シーリング処理中に於ける材料の収縮)も、パッキング機械運転者によって許容可能であると判断された。本発明のウェブ材は、浸出用パッケージのストリングを個々のパッケージに切断するのには充分なスティフネスを有していなかった。
【0116】
例22の押出し形成ウェブ材が、D&W機械に通された。D&W機械の熱シールステーションは、149℃に設定された。例20のウェブ材は、張力による幾分かのウェブの伸張が認められたが、概ね、D&W機械全体に亙って例7のウェブ材よりも良好な寸法安定性を維持した。例22のウェブ材は、熱シールステーションの前に小片に良好に切断可能であった。D&W機械にて製造された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージと比較して許容可能であると判断される熱シールシームを有していた。熱シールシームの寸法安定性(シーリング処理中に於ける材料の収縮)も、パッキング機械の運転者によって許容可能であると判断された。張力の作用の下で本発明のウェブ材が伸張したことにより、熱シールシームの幾つかは幅が狭くなったものと考えられる。
【0117】
例21及び22のウェブ材が共にTECHNIPAC機械に通された。TECHNIPAC機械は、同時に作動する二つの別々のロールから不織材を互いにシールし、浸出用パッケージを形成する。典型的には、用いられる不織材はセルロースベースである。TECHNIPAC機械の熱シールステーションは、165℃に設定された。ウェブ材の各々は、機械方向及び横方向の双方に良好に切断可能であり、熱シール中に於ける寸法安定性(シール操作中に於ける材料の収縮)を示した。かかるシーリング温度にて製造された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージと比較して許容可能であると判断された。
【0118】
総じて、例21及び22の押出し形成ウェブ材は、熱シール中に於ける寸法安定性(シール操作中に於ける材料の収縮)を有し、同一の機械及び同一の条件の下で製造された慣用のセルロースベースの不織材に匹敵する熱シールシーム強度を有していた。幾つかの機械の形式に於いては、例21及び22の押出し形成ウェブ材は、慣用のセルロースベースの不織材と比較して幾つかの切断操作については充分なスティフネスを示していなかった。
【0119】
例23−27
例23は、例11の如く製造されアクリルバインダ混合物で処理されウェブ材のスティフネスを増大した押出し形成ウェブ材の一部を含む。
【0120】
バインダ混合物は、
100部 水
22部 バインダ
0.3部 水酸化アンモニウム
0.2部 界面活性剤
トレース 消泡剤
【0121】
バインダ混合物は、市販のサイズプレスに於いて適用され、ウェブ材が乾燥された後20%に算定されるバインダ取り込みレベルを達成するよう適用された。静電気防止剤は用いられなかった。例21(カレンダー処理された)と23(バインダー処理された)の押出し形成ウェブ材が物理的な特性について検査された。この試験の結果は表3に列記されている。
【0122】
例24は、例13の如く製造されアクリルバインダ混合物で処理されウェブ材のスティフネスを増大した押出し形成ウェブ材の一部を含む。バインダ混合物は、例23について述べられているものと同一であった。バインダ混合物は、市販のサイズプレスに於いて適用され、ウェブ材が乾燥された後20%に算定されるバインダ取り込みレベルを達成するよう適用された。静電気防止剤は用いられなかった。例22(カレンダー処理された)と24(バインダー処理された)の押出し形成ウェブ材が物理的な特性について検査された。この試験の結果は表3に列記されている。また表3には、例25として慣用の熱シール可能なセルロース繊維べースのウェブ材についての選択された物理的特性が含まれている。
【表3】

【0123】
表3の結果から理解される如く、バインダ処理は、押出し形成ウェブ材の(MD乾燥時伸度試験によって測定される如き)スティフネスを増大し、静電荷の蓄積を低減する。驚くべきことに、バインダ処理は、本発明のウェブ材の残りの特性には殆ど影響を与えない。乾燥時伸度の結果により示されている如く、本発明のウェブ材は、バインダ処理されていないもの及びバインダ処理されているものの双方について、慣用のセルロースベースの熱シール可能なウェブ材(例25)ほど硬くない。
【0124】
例26は、例11の如く製造され、ウェブ材形成後スチールロールの間にてカレンダー処理された押し出し形成ウェブ材の一部を含む。ポリエチレンテレフタレートのベース相が平滑な加熱されたスチールロールに接触され、ポリエチレンテレフタレートのコア上にポリプロピレンのシースが与えられた熱シール相が平滑な加熱されていないスチールロールに接触された。上部ロールは、約190℃まで加熱された。底部ロールは、加熱されていないが、ウェブ材の走行中に於いて、ロールの温度は約120℃まで上昇した。例26のウェブ材は、毎分約50フィート(15.2m)の初期ロール速度にて走行され、走行中に速度は、毎分75フィート(22.9m)まで上昇した。例26のウェブ材は、直線方向のインチ(2.54cm)当り約600ポンド(272kg)の一定の圧力にて走行された。
【0125】
例27は、例13の如く製造され、ウェブ材形成後スチールロールの間にてカレンダー処理された押し出し形成ウェブ材の一部を含む。ポリエチレンテレフタレートのベース相が平滑な加熱されたスチールロールに接触され、ポリエチレンテレフタレートのコア上にポリエチレンのシースが与えられた熱シール相が平滑な加熱されていないスチールロールに接触された。上部ロールは、初めに約182℃まで加熱され、ウェブの走行中に約186℃まで増大した。底部ロールは、加熱されていないが、ウェブ材の走行中に於いて、ロールの温度は約115℃まで上昇した。例27のウェブ材は、毎分約50フィート(15.2m)の初期ロール速度にて走行され、走行中に速度は、毎分75フィート(22.3m)まで上昇した。例27のウェブ材は、直線方向のインチ(2.54cm)当り約600ポンド(272kg)の一定の圧力にて走行された。
【0126】
例24の押出し形成ウェブ材が、D&W機械に通された。D&W機械の熱シールステーションは、220℃(慣用のセルロースベースの熱シール可能な不織材の設定)から150℃に低減された。例24の材料は、数分間の試験期間において良好に走行した。製造された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージと比較して許容可能であると判断される熱シールシームを有していた。熱シールステーションの前にウェブ材を小片に切断することに問題はなかった。熱シールステーションに於いて材料の蓄積は認められなかった。非常に少ない数のシールされていないシームを有している浸出用パッケージが見つかった。この問題は、切断後のウェブ材の収縮又はこの機械に於けるウェブ材の滑りによるものだと考えられる。ウェブ材上の張力は、低減され、かかる問題を幾分か改善するように見られた。通常の領域よりも小さいシームを有する浸出用パッケージであっても許容可能なシームの強度を示しているということは気付かれるべきことである。
【0127】
例24の押出し形成ウェブ材がEC12機械に通された。熱シールステーションの温度は、この試行に於いては、120℃から90℃まで下げられた。この本発明のウェブ材をこの機械に通す際に幾分かの難しさがあったが、一旦通されたウェブ材は比較的容易に搬送された。浸出用パッケージのストリングは、個々のパッケージに容易に切断された。この試行に於いて作成された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者により、慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージに比較して許容可能な熱シールシームの強度を有していると判断された。完成された浸出用パッケージのストリングから個々の浸出用パッケージに分離するカッターのタイミングの調節に於いて幾分かの難しさがあった。機械の調節により、かかる難しさは解決されると思われるが、時間的な拘束の理由により機械の調節は行なわなかった。
【0128】
例24の押出し形成ウェブ材がC51機械に通された。(熱シールステーションの前の)裁断ステーションに於いて、非モーター駆動ブレードが機械方向に本発明のウェブ材を切断することができず、この試行は停止した。
【0129】
例24の押出し形成ウェブ材が第二のC51機械に通された。この機械に於ける(熱シールステーションの前の)裁断ステーションは、モーター駆動されるブレードを用いていた。この機械の熱シールステーションは、約130℃に設定され、かかる温度は、慣用の熱シール可能なセルロースベースのウェブ材に典型的に用いられる温度よりも非常に低いものである。この試行中に於いて、本発明のウェブ材は容易に処理され機械内に於いて良好に移動された。浸出用パッケージのストリングは、容易に個々のパッケージに切断された。この試行に於いて作成された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって、慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージに比較して、許容可能な熱シールシームの強度を有していると判断された。この試行に於いて作成された浸出用パッケージに於いて欠落している熱シールシームは見つからなかった。作成された浸出用バッグの多くの四つの側部の各々についての熱シールシームの幅が測定され記録された。この測定されたシームの幅は、慣用の熱シール可能なセルロースベースのウェブ材を用いて同一の機械にて調製された浸出用パッケージのシームの幅と匹敵し得るものであることが見出された。この試行の最後に於いて機械上にウェブ材の蓄積若しくは付着は認められなかった。
【0130】
例24の押出し形成ウェブ材がTECHNIPAC機械の双方の巻き戻しステーション上に配置された。熱シールステーションは、124℃に設定された。僅かに幅が広過ぎるウェブ材のロールであるにも拘わらず、本発明のウェブ材は、容易に処理され、多数の浸出用パッケージが作成された。この試行中に重大な問題は見付からなかった。この試行に於いて、ウェブ材の進行、浸出用パッケージのストリングの個々のパッケージへの切断及び熱シール操作は、パッキング機械の運転者によって許容可能であると判断された。この試行に於いて作成された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって、慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージに比較して、許容可能な熱シールシームの強度を有していると判断された。
【0131】
例26の押出し形成ウェブ材が、D&W機械に通された。D&W機械の熱シールステーションは、220℃(慣用のセルロースベースの熱シール可能な不織材の設定)から170℃に低減された。例26の材料は、数分間の試験期間において良好に走行した。製造された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージと比較して許容可能な熱シールシーム強度を有すると判断される熱シールシームを有していた。熱シールステーションの前にウェブ材を小片に切断することに問題はなかった。この試験期間において、機械の熱シールステーションに於いて材料の蓄積は認められなかった。
【0132】
例26の押出し形成ウェブ材がEC12機械に通された。熱シールステーションの温度は、この試行に於いては、約102℃に設定された。この本発明のウェブ材は比較的容易に搬送された。完成された浸出用パッケージのストリングは、個々のパッケージに容易に切断された。この試行に於いて作成された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者により、慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージに比較して許容可能な熱シールシームの強度を有していると判断された。完成された浸出用パッケージのストリングから個々の浸出用パッケージに分離するカッターのタイミングの調節に於いて幾分かの難しさがあった。
【0133】
例26の押出し形成ウェブ材がC51機械に通された。この機械に於ける(熱シールステーションの前の)裁断ステーションは、非モーター駆動のブレードを用いていた。前に見られたように、非モータ駆動のブレードは、機械方向に本発明のウェブ材を裁断することができず、この試行は停止した。
【0134】
例26の押出し形成ウェブ材がもう一つのC51機械に通された。この機械に於ける(熱シールステーションの前の)裁断ステーションは、モーター駆動されるブレードを用いていた。この機械の熱シールステーションは、約160℃に設定された。この試行に於いて、本発明のウェブ材は、「緩く」この機械に於いて走行し、種々のステーションに於いて走行上の問題を生じた。走行上の問題は、パッケージ毎の熱シールシームの幅の違い、及び、浸出用パッケージのストリングを二つの浸出用パッケージの組に分離するカッターのタイミングに関する問題によるものであった。しかしながら、カッターのタイミングが正しい場合、機械は、容易にストリングを組に切断した。驚くべきことに、熱シールシームの強度は、パッキング機械の運転者により、最適の幅よりも小さいシームについても、慣用のセルロースベースのウェブ材から作成された浸出用パッケージに比較して許容可能であるということが判断された。この試行の最後に於いて、機械上にウェブ材の蓄積若しくは付着は認められなかった。
【0135】
例27の押出し形成ウェブ材が、D&W機械に通された。D&W機械の熱シールステーションは、220℃(慣用のセルロースベースの熱シール可能な不織材の設定)から150℃に低減された。例27の材料は、数分間の試験期間において良好に走行した。製造された浸出用パッケージは、パッキング機械の運転者によって慣用のセルロースベースの不織材から作成された浸出用パッケージと比較して許容可能な熱シールシーム強度を有すると判断された。熱シールステーションの前にウェブ材を小片に切断することに問題はなかった。この試験期間において、機械の熱シールステーションに於いて材料の蓄積は認められなかった。非常に少ない数のシールされていないシームを有している浸出用パッケージが見つかった。この問題は、切断後のウェブ材の収縮又はこの機械に於けるウェブ材の滑りによるものだと考えられる。ウェブ材上の張力は、低減され、かかる問題を幾分か改善するように見られた。驚くべきことに、作成されたシームが通常の領域よりも小さい浸出用パッケージであっても適当なシームの強度を示していた。
【0136】
例27の押出し形成ウェブ材がC51機械に通された。この機械に於ける(熱シールステーションの前の)裁断ステーションは、モーター駆動されるブレードを用いていた。この機械の熱シールステーションは、典型的に、セルロースベースの熱シール可能なウェブ材に用いられるよりも相当に低い温度である約130℃に設定された。この試行に於いて、本発明のウェブ材は、「緩く」この機械に於いて走行し、種々のステーションに於いて走行上の問題を生じた。走行上の問題は、パッケージ毎の熱シールシームの幅の違い、及び、浸出用パッケージのストリングを二つの浸出用パッケージの組に分離するカッターのタイミングに関する問題によるものであった。しかしながら、カッターのタイミングが正しい場合、機械は、容易にストリングを組に切断した。驚くべきことに、熱シールシームの強度は、パッキング機械の運転者により、最適の幅よりも小さいシームについても、慣用のセルロースベースのウェブ材から作成された浸出用パッケージに比較して許容可能であるということが判断された。この試行の最後に於いて、機械上にウェブ材の蓄積若しくは付着は認められなかった。
【0137】
例21−22及び24−27の材料が或る物理的な特性について検査され、その結果が表4に列記されている。
【0138】
【表4】

【表4】

【0139】
前記の如く、比較例25は、熱及び圧力式シーリングプロセスを用いたパッキング機械上に於いて典型的に用いられる慣用のセルロースベースの湿式層形成された熱シール可能なウェブ材の例である。例24、26及び27の強度及び負荷による乾燥時伸度特性は、やや、例25の同一の特性よりも望ましいものではないが、例26及び27のウェブ材は、成功裡に、熱及び圧力式シーリングプロセスを用いた種々のパッキング機械に於いて用いられた。又、例24、26及び27のウェブ材は、浸出用パッケージとして使用されるのに許容可能な浸出特性を有していた。
【0140】
例21及び22のウェブ材の強度及び負荷が作用している際の乾燥時伸度の特性は、例24、25、26及び27の同一の特性よりも劣っていた。例21及び22のウェブ材は、例24及び26のウェブ材と同一の種々のパッキング及びシーリング機械上に於いては良好に用いられなかった。
【0141】
当業者にとって明らかなように前記の開示の種々の変形、適用、変更は本発明の教示から逸脱することなくなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二層の浸出用シート材を形成する方法であって、
第一の融点を有する熱可塑性ポリマーの第一の層を押し出し形成することと、
前記第一の融点と異なる第二の融点を有する熱可塑性ポリマーの第二の層を重層することと、
前記第一の層及び第二の層をカレンダー処理によって接合して二層のシート材を形成することとを含み、
硬化されると水溶液中に於いて不溶であるバインダ材料によって前記二層のシート材全体が処理される方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、前記第一の層及び第二の層が点結合されたカレンダリングロールを用いてカレンダー処理によって接合される方法。
【請求項3】
浸出用パッケージを形成する方法であって、
(a)第一の融点を有する熱可塑性ポリマーの第一の層を押し出し形成することと、
(b)前記第一の融点と異なる第二の融点を有する熱可塑性ポリマーの第二の層を重層することと、
(c)点結合されたカレンダリングロールを用いてカレンダー処理によって前記第一の層及び第二の層を接合して二層のシート材を形成することと
によって二層の浸出用シート材を形成することと、
前記二層の浸出用シート材の二つの部分の間に飲料前駆物質を梱包することと、
熱及び圧力を与えることにより前記二層の浸出用シート材の二つの部分の間にシームを形成し、浸出用パッケージを形成することと
を含む方法。
【請求項4】
請求項2又は3の方法であって、前記点結合されたカレンダリングロールが20%の点表面領域を有している方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの方法であって、前記浸出用シート材が静電気防止剤、界面活性剤及び撥水材料のうちの少なくとも一つを含んでいる方法。
【請求項6】
請求項3の方法であって、硬化されると水溶液中に於いて不溶であるバインダ材料によって前記浸出用シート材全体が処理される方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの方法であって、前記第一の層及び/又は前記第二の層が連続的なスパンボンデッドフィラメントを含んでいる方法。
【請求項8】
請求項7の方法であって、前記第一の層及び/又は前記第二の層のフィラメントが0.1〜5の範囲のデニールを有している方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの方法であって、形成された前記浸出用シート材が1〜80gsmの坪量を有する方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかの方法であって、前記第一の層の熱可塑性ポリマー及び/又は前記第二の層の熱可塑性ポリマーがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びポリアミドから選択される方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかの方法であって、前記第一の層の熱可塑性ポリマー及び/又は前記第二の層の熱可塑性ポリマーがポリ乳酸から選択される方法。
【請求項12】
請求項7又は8の方法であって、前記第一の層及び/又は前記第二の層のフィラメントが異相構造フィラメント若しくは二成分フィラメントを含む方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかの方法であって、前記二層の浸出用シート材が1000gの張力下に於いて0.5%から3%の範囲の機械方向伸度を有する方法。
【請求項14】
請求項1の方法により得られるシート材を含む浸出用パッケージ材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−7286(P2012−7286A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180345(P2011−180345)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【分割の表示】特願2002−510747(P2002−510747)の分割
【原出願日】平成13年6月12日(2001.6.12)
【出願人】(502230240)アールストローム ノンウーブンズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】