説明

二成分系現像剤、補給用現像剤及び画像形成方法

【課題】従来よりも少ないトナー載り量で高精細な画像を達成でき、印刷に匹敵する色域が得られ、高速化にも対応可能で、長期使用においても色味の安定した画像形成が可能な二成分系現像剤を提供すること。
【解決手段】マゼンタトナー及び磁性キャリアを含有する二成分系現像剤であって、前記マゼンタトナーが、i)クロロホルム溶解液におけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、前記溶解液の波長538nmにおける吸光度をA538としたときに、CmとA538の関係が、2.00<A538/Cm<6.55を満足し、ii)粉体状態で求めた明度L及び彩度Cが、35.0≦L≦45.0及び60.0≦C≦72.0であり、iii)前記マゼンタトナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した前記マゼンタトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下である二成分系現像剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式に用いられる二成分系現像剤、補給用現像剤及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリントオンデマンド(POD)が注目されている。このデジタル印刷技術は、製版工程を経ずに直接印刷するものである。そのため、小ロット印刷、短納期の需要に対応可能で、1枚毎に内容を変えた印刷(バリアブル印刷)や、ひとつのデータから通信機能を利用して複数の出力機を動かす分散印刷にも対応できることから、従来のオフセット印刷に対してアドバンテージがある。電子写真方式による画像形成方法のPOD市場への適用を考えた場合には、高速、高画質、低ランニングコストという印刷の3つの基本要素に加え、さらに色味安定性を改善していく必要がある。このことから、トナーに望まれる性能としては、色域再現範囲を狭めることなく、従来以上に高画質、高精細画像を達成し、トナー消費量を低減することが必須である。さらに、定着エネルギーの低減、種々の記録紙へ対応する必要がある。
【0003】
トナー載り量を0.35mg/cm以下にし、トナー消費量を低減しながら、定着時に発生する不具合(ブリスターなど)を抑制し、安定して広い色再現範囲を有する高画質・高品位のカラー画像を形成するという提案がある(特許文献1)。この提案によれば、画像荒れが少なく、定着性に優れ、安定して広色再現範囲を有する高画質・高品位のカラー画像の形成が可能とされる。着色剤の量を増やしたトナー粒子を有するトナーを従来の電子写真システムに使用すると、定着特性については一定の効果が期待できるが、画像の彩度低下や色域が狭くなることがある。この原因は、着色剤の量を増やした結果、着色剤の分散性が低下し、色相が変化し、画像の彩度が低下し色域が狭くなったためと推察される。前述の通り、トナー粒子に含有される着色剤の量を増やすと、長期使用時に濃度安定性や階調性が低下しやすい。横軸に電位(現像コントラスト)、縦軸に濃度をとると、従来トナーでは、図1の曲線Aのようになる(尚、この曲線で表される特性を“γ特性”と称する。)。従来トナーよりも着色剤の含有量を増加させると、より少ないトナー載り量で記録紙上に所定濃度が出せるようになり、より狭い現像コントラストの電位で階調を表現することになる(特許文献1)。このときには、図1の曲線Bのようなγ特性となり、γ特性が急峻となり、高い階調性を得る事が困難になる場合がある。また、γ特性が急峻であるために、電位の変動による画像濃度の変化が従来トナーに比較して大きくなり、画像濃度の安定性が低下することもある。
POD市場では、幅広い階調性が得られること、色味安定性は必須条件となっており、少ないトナーの載り量であってもγ特性が緩やかな傾きになるようにして現像する必要がある。着色剤の含有量を上げたトナーを用いて、従来と同じ現像コントラスト電位で階調を形成するには、トナーの摩擦帯電量を上げていくことがひとつの有力な手法となる。特許文献1では、トナーの摩擦帯電量には言及しておらず、また、摩擦帯電量を積極的に制御している様子は認められない。
【0004】
しかし、トナーの摩擦帯電量を高めていくと、キャリアや感光体の表面との静電的付着力が大きくなるため、現像性や転写性が低下し、画像濃度の低下が起こることがある。トナー帯電量とトナーとキャリアとの付着力の関係を規定した提案がある(特許文献2)。特許文献2によれば、トナー帯電量と付着力を所定の範囲にすることで、画像不良のない高画質な画像形成が可能とされる。しかし、トナーの消費量を低減することが可能な着色剤の含有量が多いトナーに要求されるような摩擦帯電量の領域は想定しておらず、キャリアとトナーの付着力が依然として強く、充分な画像の濃度が得られないことがある。
このため、従来よりも少ないトナー載り量で画像形成するには、着色剤の含有量が多く、着色剤の分散性が高く着色力の高いトナーを用いて、高摩擦帯電量のトナーを効率よく現像することが必要となる。着色剤の分散性のよい、高摩擦帯電量のトナーを効率よく現像し、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、良好な画像品質を、連続使用時にも安定して発現するトナー及び現像剤が待望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−195674号公報
【特許文献2】特開2006−195079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の上記課題を解消したものである。
すなわち、本発明の目的は、従来よりも少ないトナー載り量で高精細な画像を得ることができる二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法を提供することである。
また、本発明のほかの目的は、高速化にも対応可能で、長期使用においても色味の安定した画像を継続して出力することのできる二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するマゼンタトナー粒子と外添剤とを有するマゼンタトナー、及び、磁性キャリアを含有する二成分系現像剤であって、前記マゼンタトナーが、
i)前記マゼンタトナーのクロロホルム溶解液におけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、前記溶解液の波長538nmにおける吸光度をA538としたときに、CmとA538の関係が、下記式(3)を満足し、
2.00<A538/Cm<6.55 (3)
ii)前記マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度Cが、35.0≦L≦45.0及び60.0≦C≦72.0であり、
iii)前記マゼンダトナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した前記マゼンダトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg〜120mC/kgであること、を特徴とする二成分系現像剤に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、着色剤の含有量が多く着色力の強いトナーを用い、トナー消費量を低減しながら、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、連続使用時にも良好な画像品質を安定して発現する二成分系現像剤、補給剤用現像剤及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】トナーのγ特性を示す図。
【図2】トナーにおける、コントラスト電位と(飽和)画像濃度の関係を示す図。
【図3】トナーにおける、コントラスト電位と(飽和)画像濃度の関係を説明するための図。
【図4】トナーのγ特性の変更を説明するための図。
【図5】CIELABのa*b*平面における、従来のトナーと着色力の高いトナーの色相のプロファイルを示した図。
【図6】補給用現像剤を用いた画像形成装置における現像剤の流れを示した模式図。
【図7】本発明の補給用現像剤が使用されるフルカラー画像形成装置の一つの実施の形態である概略構成図。
【図8】本発明のトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の構成の一例を示す模式的断面図。
【図9】図8の表面改質装置が有する分散ローターの構成を示す模式的平面図。
【図10】磁性キャリアの磁性成分の比抵抗を測定するための装置の一例を示す図。
【図11】定着下限温度の評価に用いた画像及び方法を説明する図。
【図12】付着力測定試料の概略図である。
【図13】付着力測定の全工程を示す図である。
【図14】スピンコート装置の概略図である。
【図15】遠心分離装置のローター内部の模式図を示した図である。
【図16】トナー付着工程を示す図である。
【図17】遠心分離法の原理の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、1)トナーのクロロホルム溶解液の濃度C(mg/ml)と所定の波長における吸光度Aとの関係、2)トナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度C、3)トナーの摩擦帯電量の絶対値、を所定の数値範囲に調整することによって、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、連続使用時に良好な画像品質の画像を安定して得ることができることを見いだし、本発明に至った。そして、本発明は、着色剤の含有量の多い着色力の強いトナーを、着色剤の含有量を上げたときの弊害のひとつである色相変化を抑制しながら、高帯電量のトナーとして現像することで、上記目的を達成しようとするものである。
【0011】
また、マゼンタトナーを含有する二成分系現像剤では、マゼンタトナーの、クロロホルム溶解液におけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、前記溶解液の波長538nmにおける吸光度をA538としたときに、A538をCmで除した値(A538/Cm)が、2.00より大きく、6.55未満となるマゼンタトナーを使用する。上記(A538/Cm)は、2.40より大きく、4.90未満であることが必要な着色力を得るうえでより好ましい。上記(A538/Cm)が2.00以下のとき、トナーの単位質量あたりの着色度が低くなり、必要となる着色度を得るためには、記録紙上のトナー載り量を多くし、トナー層を厚くする必要がある。そのため、トナー消費量の低減ができず、転写・定着時にチリが発生したり、画像上のライン画像、文字画像のラインの中央部が転写されずにエッジ部のみが転写される「転写中抜け」現象が発生したりすることがある。一方、上記(A538/Cm)が6.55以上のとき、充分な着色力は得られるが、明度が低下し、画像が暗く、鮮やかさが低下しやすい。また、トナー表面に露出する着色剤の量が多くなる傾向があり、トナーの帯電性が悪化し、低摩擦帯電量のトナーが生じ、画像白地部でカブリが発生したり、トナー飛散により装置内を汚染したりすることがある。
上記、(A538/Cm)及びの値の制御は、トナーに含有させる着色剤の種類、量を調整することによってでき、本技術分野の当業者であれば、これら数値を調整することは可能である。
【0012】
マゼンタトナーを含有する二成分系現像剤では、マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度Cにおいて、Lが35.0以上45.0以下である。マゼンタトナーのLが上記範囲にある場合、表現できる画像の色空間が十分に広くなり、画像品質が向上する。マゼンタトナーのLが35.0未満であると、他の色のトナーと組み合わせてフルカラー画像を形成した場合に、表現できる色空間が小さくなる場合がある。一方、マゼンタトナーのLが45.0を超えると所望の画像濃度が得られにくくなる。必要な画像濃度を得るために、記録紙上のトナー量を増やすと、転写定着時のチリの発生や転写中抜けが悪化する。また、トナー量の増加に伴い、トナーの段差が大きくなり、画像品質が
低下することがある。また、マゼンタトナーの彩度Cは、60.0以上72.0以下であり、好ましくは62.0以上72.0以下である。マゼンタトナーのCが上記範囲にある場合、表現できる画像の色空間が十分に広く、記録紙上のトナー量を低減することができる。マゼンタトナーのCが60.0未満であると、所望の画像濃度が得られにくくなる。一方、マゼンタトナーのCが72.0を超えると、フルカラー画像を形成した場合に、カラーバランスが崩れやすくなる。上記トナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度Cは、トナーに含有させる着色剤の種類、量、着色剤の分散状態を制御することにより、上記範囲に適宜調整することが可能である。また、これらの数値は、結着樹脂の種類や製造法、製造条件によって調整することができる。
【0013】
しかし、着色力の高いトナーを従来システムで現像すると、長期使用時に色味安定性に欠けた画像となることがある。そのため、高い摩擦帯電量を有するトナーを用いることが重要となる。
【0014】
本発明の二成分現像剤に用いられるマゼンダトナー(以下、単に本発明のトナー又はトナーともいう)は、トナーと磁性キャリアとを用いて二成分法により測定したトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする。上記トナーの摩擦帯電量の絶対値が50mC/kg未満のトナーを用いた現像剤では、本発明に用いられる着色力の強いトナーを用いた場合、γ特性が急峻になり、長期使用によって濃度の変動が大きくなり、安定性に欠けることがある。一方、上記トナーの摩擦帯電量の絶対値が120mC/kgを超えると、画像濃度や転写効率が低下することがある。これは、磁性キャリアや感光体表面との静電的付着力が大きくなったためと考えられる。上記トナーの摩擦帯電量の絶対値を上記範囲に調整するためには、外添剤の種類、表面処理剤の種類、粒径、外添剤によるトナー粒子の被覆率を制御したり、磁性キャリアのコート樹脂種やコート量を最適化したり、コート樹脂中に粒子や荷電制御剤成分を添加する等の方法がある。
【0015】
上記のように高い摩擦帯電量のトナーが必要となる理由は次のように説明される。
例えば、従来のトナーの摩擦帯電量が−40mC/kg、Vcont=500Vで、感光体上のトナーの載り量が0.5mg/cmとなる現像剤とシステムを仮定する。横軸にコントラスト電位、縦軸に画像濃度をとると、従来のトナーを用いて飽和画像濃度を得るためには、図1の曲線Aのようなγ特性となる。現像は、コントラスト電位を、トナーの電荷で埋めることで現像を行っている。図2のa点は、従来のトナーによって飽和濃度が得られるポイントである。
【0016】
一方、本発明のトナーのような着色力が高いトナーを使った場合には、仮に着色力が従来のトナーに対して2倍となっているとすると、従来のトナーの半分の載り量0.25mg/cmで飽和画像濃度が得られることになり、Vcont=250Vである図2のb地点で、必要なトナーが現像されることになる。b地点から、さらにVcontを大きくしていくと、載り量は増加していくが、画像濃度は飽和しており、それ以上濃度が上がることはない(図3参照)。Vcont=500Vにするとトナーの載り量が0.5mg/cmとなり、a地点に至る。a地点では、着色力の高いトナーが過剰となり、暗く沈んだ画像となり、色相が大きく変化する。図5には、CIELABのa平面の従来のトナーと着色力の高いトナーの色相のプロファイルを示した。実線が従来のトナー、点線が着色力の高いトナーであり、着色力の高いトナーで図3におけるb地点を超え、a’地点まで現像したときの色相のプロファイルである。a’地点にまで至ると、図5のa軸側に曲線が曲がりこみ、色相が変化する。明度の低下も同時に起こってしまう。そのため、画像濃度が飽和する最低量のトナー量で飽和画像濃度を出力すればよい。しかし、載り量0.25mg/cm、Vcont=250Vで飽和する高着色力のトナーを現像するシステムを考えると、図1の曲線Bで示されるように、従来の半分のVcont(=25
0V)で階調を形成せざるを得ず、電位の変動に対する濃度変動が大きくなり、画像の安定性において課題が残る。載り量を半減させたまま、従来のトナーと同等のVcont(=500V)で階調を得る、つまり、図4の曲線C(破線)を横軸方向に拡大したような曲線A’(点線)にして、γ特性を従来のトナーのような緩やかな傾きにすることができれば、着色力の高いトナーが過剰に存在することによって引き起こされる色相の変化を抑制し、同時に電位変動に対する色相の安定性を向上させることができる。そのためには、従来のトナーの半分のトナー量で従来のトナーと同等のコントラスト電位Vcont(=500V)を埋めるために、トナーの帯電量を上げることが必要となる。本発明の着色力を上げたトナーを用いて、載り量0.25mg/cm、Vcont=500Vのコントラスト電位で、飽和画像濃度を得るためには、摩擦帯電量を従来のトナーの2倍である、飽和帯電量が−80mC/kgのトナーとして、現像すれば、従来のトナーと同様のγ特性で階調を形成することが可能となる。上述した如く、着色力を上げたトナーで、載り量を減らしながら、高い階調性を維持し、濃度変動を抑えるためには、高摩擦帯電量のトナーとして、効率よく現像することが必要になる。
【0017】
また、トナーは、トナーと磁性キャリアとを用いて二成分法により測定したトナーの摩擦帯電量の絶対値が50mC/kgのときの、遠心分離法による磁性キャリアとの付着力(F50)が11nN以上16nN以下であることが好ましい。付着力が上記の範囲内にある場合には、キャリアに対するトナーの離型性が好適なものとなり、トナー飛散の発生を良好に抑制でき、また高い現像効率や転写効率を得ることができる。上記付着力(F50)を上記範囲に調整するためには、トナーとしては、トナー粒子の円形度を調整したり、外添剤の種類、表面処理剤の種類、粒径、外添剤によるトナー粒子の被覆率を制御する等の方法がある。尚、キャリア側での調整方法に関しては、後述する。
【0018】
また、本発明の二成分系現像剤に用いられる磁性キャリア(以下、単に本発明の磁性キャリア又は磁性キャリアともいう)は、トナーと混合して測定した際のトナーの摩擦帯電量が所定の範囲となるものであれば特に限定されず、少なくとも磁性成分と樹脂成分を含有する磁性キャリアを好ましく用いることができる。トナーに対する付着力を小さくすることができるという観点では、多孔質磁性コア粒子の空孔に樹脂を含有する樹脂含有磁性粒子を含有する磁性キャリアであって、該多孔質磁性コア粒子の固め見掛け密度をρ1(g/cm)、真密度をρ2(g/cm)としたときに、ρ1が0.80以上2.40以下、かつ、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であり、該多孔質磁性コア粒子の比抵抗が1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cm以下であるキャリアを用いることが好ましい。また、特に、上記の磁性キャリアが、体積分布基準の50%粒径をD50とした時、D50−5μm以上D50+5μm以下の粒径を有する磁性キャリアの平均破壊強度をP1(MPa)とし、粒径10μm以上20μm未満の粒径を有する磁性キャリアの平均破壊強度をP2(MPa)としたときに、P2/P1が0.50以上1.10以下であることが好ましい。
【0019】
前記多孔質磁性コア粒子の固め見掛け密度をρ1としたときに、ρ1が0.80g/cm以上2.40g/cm以下とすることで感光ドラムへの磁性キャリアの付着防止と静電潜像のドット再現性の向上を達成することができる。ρ1を上記範囲とした場合には、感光ドラムへの磁性キャリアの付着を抑制しつつ、ドット再現性を向上させることができる。本発明のトナーは、着色力が高いため、ドットの崩れや、トナーの飛散が目立ちやすいため、ドット再現性を向上しておくことが好ましい。
【0020】
また、同時に前記多孔質磁性コア粒子の固め見掛け密度をρ1(g/cm)、真密度をρ2(g/cm)としたときに、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下とすることで、感光ドラムへの磁性キャリアの付着を抑制しつつ、画像面積が広い画像(例えば、画像面積率50%)を、常温低湿(例えば、23℃/5RH%)環境下で10万枚印刷した
場合でも、画像濃度の低下を防止することができる。
さらに、前記多孔質磁性コア粒子の比抵抗を1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cm以下とすることで、ベタ画像後端の濃度低下を防止することができる。
【0021】
この理由を本発明者らは以下のように推察している。
トナーが現像された時に磁性キャリアには、トナーと逆極性のカウンター電荷が残る。この電荷は感光ドラム上に現像されたトナーを引き戻すために、その部分の濃度を低下させてしまう。しかし、多孔質磁性コア粒子の比抵抗を上記の範囲内とすることで、電荷のリークを抑制しつつ、磁性キャリアに残ったカウンター電荷を、磁性キャリアの磁性成分を伝わらせて現像スリーブに逃がすことが可能となる。このため、トナーを感光ドラムに引き戻す力が弱まり、ベタ画像の後端でも画像濃度の低下が抑制される。
【0022】
次に、上記固め見掛け密度、真密度、比抵抗等を上記範囲に調整する具体的手法について述べる。磁性コア粒子に含まれる磁性成分の元素の種類や、多孔質磁性コア粒子の結晶径、空孔径、空孔径分布、空孔比率等をコントロールすることで、上記固め見掛け密度、真密度、比抵抗を上記範囲に調整することができる。
例えば、以下の(1)〜(4)の手法を用いることが可能である。
(1)磁性成分の焼成時の温度を調整することにより、結晶の成長速度をコントロールする。(2)発泡剤や有機微粒子の空孔形成剤を磁性成分に添加し、空孔を発生させる。(3)発泡剤の種類・量、焼成時間をコントロールすることにより、空孔径・空孔径分布・空孔比率を調整する。(4)空孔形成剤の径・径分布・量、焼成時間をコントロールして、空孔径・空孔径分布・空孔比率を調整する。
【0023】
上記発泡剤としては、60〜180℃で気化又は分解するのに伴い、気体を発生する物質であれば、特に限定はされない。例えば、以下のものが挙げられる。アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルの如き発泡性のアゾ系重合開始剤;ナトリウム、カリウム、カルシウムの如き金属の炭酸水素塩;炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、硝酸アンモニウム塩、アジド化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、アリルビス(スルホヒドラジド)、ジアミノベンゼン。
上記有機微粒子としては、例えば、ワックス;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の如き熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂の如き熱硬化性樹脂が挙げられる。これらを、微粒子化して使用する。微粒子化する方法としては、公知の方法が使用できる。例えば、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕する。粉砕工程では、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕し、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター、ターボ工業社製のターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー)、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する方法が挙げられる。
また、粉砕後に分級し、微粒子の粒度分布を調整しても良い。分級装置としては、例えば、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機が挙げられる。
これら使用する微粒子の径・径分布・量により磁性成分の空孔の径・径分布・空孔率を調整できる。
【0024】
また磁性成分の材質としては、以下のものが挙げられる。1)表面が酸化された鉄粉または表面が未酸化の鉄粉、2)リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム及び希土類元素の如き金属粒子、3)鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム及び希土類元素の如き金属の合金粒子、またはこれらの元素を含む酸化物粒子、4)マグネタイト粒子またはフェライト粒子。
上記フェライト粒子とは次式で表される焼結体である。
(LO)(MO)(QO)(Fe
[式中、w+x+y+z=100mol%(w,x,yは0でも良いが、全てが0になることは無い。)であって、L、M、Qはそれぞれ、Ni、Cu、Zn、Li、Mg、Mn、Sr、Ca、Baの金属原子である。]
例えば、磁性のLi系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、MnMgSr系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトが挙げられる。これらのうち、結晶の成長速度のコントロールが容易という観点から、Mn元素を含有する、Mn系フェライトまたはMn−Mg系フェライトが好ましい。
【0025】
上記多孔質磁性コア粒子の比抵抗は、磁性材料の種類以外に、磁性キャリアの磁性成分を不活性ガス中で熱処理を行い磁性成分の表面を還元し、調節する方法がある。例えば、不活性ガス(例えば窒素)雰囲気下で、600℃以上1000℃以下で熱処理を行う手法が好適に用いられる。上記磁性キャリアにおいて、体積分布基準の50%粒径をD50とした時、D50−5μm以上D50+5μm以下の粒径を有する磁性キャリアの平均破壊強度をP1(MPa)とし、粒径10μm以上20μm未満の粒径を有する磁性キャリアの平均破壊強度をP2(MPa)としたときに、P2/P1が0.50以上1.10以下であることが好ましい。P2/P1が上記範囲である場合、長期使用時の感光ドラムキズの発生を良好に抑制し、カブリの発生を良好に防止できる。P2/P1は、0.70以上1.10以下であることがより好ましい。
【0026】
この理由を本発明者らは以下のように推察している。
粒径が10μm以上20μm未満の磁性キャリアは、体積分布基準の50%粒径近傍の粒径を有する磁性キャリアに比べ、多孔質磁性コア粒子内部の樹脂の含有量が少なくなりやすい傾向にある。樹脂の含有量が少ない樹脂含有磁性粒子を含有する磁性キャリアは、強度が低くなりやすく、現像機内での攪拌時や現像スリーブ上の規制部材で磁性キャリアにかかるストレスにより破壊され、微小粒子になりやすい。そして破壊により微小な磁性成分が生じた場合には、これらの粒子は真比重が高く硬いため、感光ドラム上に移行すると感光ドラムのクリーニング時に感光ドラム表層を摺擦し、キズを生じる原因となりやすい。その結果、ベタ画像に白いスジが生じる原因となる。
このため、特に10μm以上20μm未満の磁性キャリアにおいて、樹脂成分を前記多孔質磁性コア粒子の内部へしっかり含有させ、P2/P1が0.50以上となるようにすることが必要である。また、P2/P1が上記範囲内であれば、トナーへの帯電付与能も揃ったものとなり、良好な摩擦帯電性能を得ることができる。
P2/P1を0.50以上1.10以下に調整するためには、多孔質磁性コア粒子の空孔と含有させる樹脂成分の組成、及び、樹脂の含有工程をコントロールし、樹脂成分を均一に含有させることで達成できる。
樹脂成分を均一に含有させるために、含有させる樹脂成分溶液の粘度(25℃)を0.6Pa・s以上100Pa・s以下とすることがより好ましい。樹脂成分溶液の粘度が上記範囲内であれば、空孔への樹脂成分の浸透が均一に且つ十分に行われ、また、磁性成分に樹脂がしっかりと付着し、良好な含有状態が得られる。
【0027】
上記多孔質磁性コア粒子内部に含有させる樹脂成分としては、磁性キャリアの磁性成分に対する濡れ性が高いものであれば、特に制限されることはなく、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれの樹脂を用いてもかまわない。
熱可塑性の樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体の如きアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、溶剤可溶
性パーフルオロカーボン樹脂、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、ノボラック樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリーレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂。
熱硬化性樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂。
また、これらの樹脂を変性した樹脂でも良い。中でもポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂又は溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂の如き含フッ素系樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂あるいはシリコーン樹脂は、磁性キャリアの磁性成分に対する濡れ性が高く好ましい。
【0028】
より具体的には、シリコーン樹脂は、従来から知られているシリコーン樹脂が使用可能である。オルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂及びアルキッド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が挙げられる。
例えば、市販品のストレートシリコーン樹脂としては、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レダウコーニング社製のSR2400、SR2405等が挙げられる。市販品の変性シリコーン樹脂としては、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)が挙げられる。
【0029】
前記多孔質磁性コア粒子の内部に樹脂成分を含有させる方法としては、樹脂成分を溶剤に希釈し、前記磁性キャリアの磁性成分に添加するのが一般的である。ここに用いられる溶剤は、各樹脂成分を溶解できるものであればよい。有機溶剤に可溶な樹脂である場合は、有機溶剤として、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール等が挙げられ、水溶性の樹脂成分またはエマルジョンタイプの樹脂成分である場合には、水を用いればよい。前記多孔質磁性コア粒子の内部に、溶剤で希釈された樹脂成分を添加させる方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、流動床、及び混練法の如き塗布方法により樹脂成分を含浸させ、その後、溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
【0030】
また、本発明の磁性キャリアは、上記多孔質磁性コア粒子の内部に含有させる樹脂成分とは別に、さらに磁性キャリア表面を被覆する樹脂成分を有していても良い。その場合、磁性コア粒子の内部に含有させる樹脂成分と、磁性キャリア表面を被覆する樹脂成分は同じであっても、異なっていても良い。磁性キャリア表面を被膜する樹脂成分としてアクリル樹脂を用いることが磁性キャリアの耐久性能を高められるため、より好ましい。
【0031】
上記磁性キャリアの体積分布基準の50%粒子径(D50)は20μm以上70μm以下であることが、トナーへの摩擦帯電性と画像領域へのキャリア付着とカブリ防止の観点から好ましい。磁性キャリアの50%粒子径(D50)は、風力分級や篩分級を行うことで、上記の範囲に調整することができる。
【0032】
トナーは、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.37μm×0.37μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径(個数基準)2.0μm以
上のトナーの平均円形度が0.945以上0.970以下であることが好ましい。トナーの平均円形度が上記範囲内にある場合には、トナーと磁性キャリアとの接触が良好なものとなり、良好な現像性が得られ、また、トナー粒子表面への外添剤の埋め込みも抑制される。更に、上記範囲内であれば、クリーニング性も良好となる。
トナーの平均円形度を調整する手段としては特に限定されないが、上記平均円形度を上記範囲に調整するためには、例えば、機械的衝撃法により粉砕トナー粒子を球形化する方法、ディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法等様々な方法が採用できる。
上記のうち機械的衝撃法によりトナー粒子を得た場合には、トナー粒子表面のワックス量の制御を簡便に行うことが可能である。また、トナー粒子の表面形状の制御も簡便に行うことが可能であるため、より好ましい。トナー粒子表面のワックス量の調整は原材料の物性、特に樹脂の粘弾性を制御したり、製造条件、特に溶融混練条件や重合条件を制御したりすることによって行うことができるが、所望の物性が得られれば特に限定されない。機械式粉砕機としては、例えば、奈良機械製作所製のハイブリタイザー、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等を例示することができる。
中でもトナー粒子表面のワックス量が適当であり、且つ、平均円形度が0.945〜0.970であるトナーを良好に得るためには、図8に記載の装置を用いることが好ましい。この装置を用いることによって、優れた定着性と転写性を高い次元で達成できるトナーを得ることができる。
【0033】
図8は、本発明のトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の構成の一例を示す模式的断面図であり、図9は、図8の表面改質装置が有する分散ローターの構成を示す模式的平面図である。これは、発生する微粉を系外に排出しながら、機械的衝撃力を与えることにより、所望の形状、性能を得るものである。通常、機械的に球形化処理する場合には、粉砕時に生じる、かなり小さな微粉が再度凝集することで形状を凹凸にするため、発生する微粉を系外に排出しながら行わなければならず、所望の球形度にするには必要以上に機械的衝撃力が必要となる。その結果、余分な熱量を与えトナー表面のワックス量が多くなってしまう弊害が生じる。また、ごく小さな微粉はキャリアへのスペントを悪化させる大きな原因となる。これに対し、図8及び図9の装置においては、機械的衝撃力を加えている同一気流を止めることなく分級するため、再凝集させることなく効率良く系外に排出することができる。
【0034】
さらに詳しく説明すると、図8に示す表面改質装置は、ケーシング、冷却水又は不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、ケーシング内において中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク又は円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤状の回転体である表面改質手段としての分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置された、表面に多数の溝が設けられているライナー34(なお、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、表面改質時間を自在に調整可能となるように開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための製品排出口37、分級ローター31と分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級ローター31へ導入される前の第一の空間41と、分級ローター31により微粉を分級除去された粒子を表面処理手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39から構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター31及びその周辺部分が分級ゾーンである。
【0035】
以上のような構成の表面改質装置は、排出弁38を閉じた状態で原料供給口33から微粉砕品を投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引さ
れ、分級ローター31で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流によって表面改質ゾーンへ導かれる。
表面改質ゾーンに導かれた原料は、分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれる。この時発生した微粉は、分級ローター31により再度機外へ排出され、粗粉は循環流に乗って再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開き、製品排出口37より表面改質粒子を回収する。
【0036】
本発明者等が検討した結果、上記表面改質装置を用いた表面改質処理の工程において、原料供給口33からの微粉砕品の投入から排出弁開放までの時間(サイクルタイム)と分散ローターの回転数が、トナーの平均円形度とトナー粒子表面のワックス量をコントロールする上で重要なことが分かった。平均円形度を上げるには、サイクルタイムを長くするか、分散ローターの周速を上げるのが効果的である。またトナーの透過率を低く抑えようとするなら、逆にサイクルタイムを短くするか、周速を下げることが有効である。その中でも特に分散ローターの周速がある一定以上にならないと、トナーを効率的に球形化できないため、サイクルタイムを長くして球形化しなければならず、必要以上にトナーの透過率を高くしてしまうことがある。前記透過率を所定以下に抑えつつトナーの円形度を向上させて、トナーの平均円形度及び前記透過率を上記範囲とするためには、分散ローターの周速は1.2×10mm/s以上で、サイクルタイムは5〜60秒であることが有効である。
【0037】
本発明の二成分系現像剤は、補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する二成分現像方法に使用する補給用現像剤としても用いることができる。このような構成とすることで、現像器内の二成分現像剤の性能を維持することができる。補給用現像剤として用いる場合には、上記磁性キャリア1質量部に対して上記トナーを2質量部以上50質量部以下の質量比とする。上記補給用現像剤を用いることにより、長期にわたり、安定して現像器内の二成分現像剤の性能を維持することができる。結果、トナーの帯電性の変動が少なく、ドット再現性も良好で、かぶりの少ない画像を得ることができる。本発明のトナーのような、一粒子あたりの着色力が高いトナーを用いた現像剤で画像形成する場合、通常よりもかぶりが目立ちやすくなるため、上述のようにかぶりの少ない画像を得ることができることは有利である。また、本発明のような着色力の高いトナーを用いた現像剤の場合、低消費量での現像となるため、従来のトナーを用いた現像剤よりも、トナー及びキャリアにかかるストレスが大きくなることが予想される。ストレスを受けたキャリアは、帯電付与能が初期の状態に比べ低下していることが多く、耐久性が悪化することがある。そこで、本発明においては、補給用現像剤から新しいトナーとともに帯電付与能の高い新しいキャリアを絶えず供給することによって、本発明の二成分現像剤の耐久性を向上させ、長期使用した場合であっても、より安定した画像出力が得られるようになる。
尚、上記のような補給用現像剤を用いる画像形成装置においては、補給された補給用現像剤に含有される磁性キャリアによって増量した磁性キャリアは、容量の増加分が現像器からオーバーフローして、現像剤回収オーガに取り込まれ、補給用現像剤容器あるいは別の回収容器へ搬送され、排出される。
また、上記現像器に最初に充填される二成分現像剤(以下、スタート用現像剤ともいう)及び上記補給用現像剤に用いる、本発明のトナー及び本発明の磁性キャリアは、それぞれ同一であっても異なっていてもかまわない。
【0038】
また、本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体を帯電させる帯電工程;前記帯電工程
で帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程;前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、本発明の二成分現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程;前記静電潜像担持体上のトナー画像を、中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程;及び、前記トナー画像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、前記転写材に形成される未定着のトナー画像において、単色ベタ画像部分(画像濃度1.5)の前記トナーの載り量が0.10mg/cm以上0.50mg/cm以下の範囲であることを特徴とする。前記転写材に形成される未定着のトナー画像において、単色ベタ画像部分の前記トナーの載り量が0.10mg/cm以上0.35mg/cm以下の範囲であることがより好ましい。
上記トナーの載り量が、0.10mg/cm未満では、トナー一粒子当たりの着色力が上がっていても、トナー粒子数が不足し、記録紙の地合の影響を受け、濃度があがらない場合がある。また、上記トナーの載り量が、0.50mg/cmを超えると、トナーの段差が目立つようになる。また、転写・定着時のチリが目立つようになることもある。
本発明のトナーは、懸濁重合法、乳化凝集法、会合重合法又は混練粉砕法により得ることができ、その製造方法は特に限定されるものではない。
【0039】
本発明のトナーの重量平均粒径は、4.0μm以上8.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以上7.0μm以下であることがより好ましく、4.5μm以上6.5μm以下であることがさらに好ましい。トナーの重量平均粒径が上記範囲内であれば、ドットの再現性や転写効率を十分に高めることができる。トナーの重量平均粒径は、製造時におけるトナー粒子の分級や、分級品の混合によって調整することができる。
【0040】
本発明のトナーを構成するトナー粒子に用いられる結着樹脂は、ポリエステルユニットを有する樹脂を含むことが好ましい。「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を示す。
上記ポリエステルユニットはエステル系モノマーを縮重合させることにより形成される。エステル系モノマーとしては、多価アルコール成分、および多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、又は2以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸エステルの如きカルボン酸成分が挙げられる。
【0041】
多価アルコール成分のうち二価アルコール成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如きビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA。
多価アルコール成分のうち三価以上のアルコール成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
ポリエステルユニットを構成するカルボン酸成分としては、例えば、以下のものが挙げ
られる。フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
【0042】
上記ポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例としては、下記式で表される構造に代表されるビスフェノール誘導体をアルコール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)をカルボン酸成分として、これらを縮重合させることにより得られるポリエステル樹脂が挙げられる。該ポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有することから、本発明において好ましい。
【化1】


〔式中、Rはエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。〕
【0043】
また、上記ポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例には、架橋構造を有するポリエステル樹脂が含まれる。架橋構造を有するポリエステル樹脂は、多価アルコールと、三価以上の多価カルボン酸を含むカルボン酸成分を縮重合反応させることにより得られる。この三価以上の多価カルボン酸成分の例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物やエステル化合物が挙げられるが、これらに限定はされない。縮重合されるエステル系モノマーに含まれる三価以上の多価カルボン酸成分の含有量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%であることが好ましい。
【0044】
さらに、上記ポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例としては、(a)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとが化学的に結合しているハイブリッド樹脂、(b)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(c)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物が挙げられる。
上記ハイブリッド樹脂は、例えば、ポリエステルユニットと、アクリル酸エステル或いはメタクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合して得られるビニル系重合体ユニットとが、エステル交換反応して結合することにより形成されるものである。
該ハイブリッド樹脂としては、ビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体あるいはブロック共重合体が好ましい。
なお、上記ビニル系重合体ユニットとは、ビニル系重合体に由来する部分を示す。上記ビニル系重合体ユニットまたはビニル系重合体は、ビニル系モノマーを重合させることで得られる。
【0045】
ビニル系モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。スチレン系モノマー、アクリル系モノマー;メタクリル系モノマー;エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマー;ビニルエステル類のモノマー;ビニルエーテル類のモノマー;ビニルケトン類のモ
ノマー;N−ビニル化合物のモノマー;その他のビニルモノマー。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン。
アクリル系モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類やアクリル酸及びアクリル酸アミド類。
メタクリル系モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類やメタクリル酸及びメタクリル酸アミド類。
エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンが挙げられる。
ビニルエステル類のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルが挙げられる。
ビニルエーテル類のモノマーとしては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルが挙げられる。
ビニルケトン類のモノマーとしては、例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンが挙げられる。
N−ビニル化合物のモノマーとしては、例えば、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
その他のビニルモノマーとしては、例えば、ビニルナフタリン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体が挙げられる。
これらのビニル系モノマーは単独で又は2つ以上を用いることができる。
【0046】
ビニル系重合体ユニット、ビニル系重合体又はビニル系樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンの如き過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩;過酸化水素。
また、ラジカル重合性の三官能以上の重合開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−
ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンの如きラジカル重合性多官能重合開始剤。
【0047】
本発明の二成分系現像剤及び補給用現像剤は、いずれもオイルレス定着方式を採用する電子写真プロセスに用いられることが好ましい。そのため、トナーには離型剤を含有させることが好ましい。
上記離型剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス、ベヘン酸ベヘニルの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
【0048】
トナーは、上記の如き離型剤を含有するものであって、示差走査熱量分析測定におけるトナーの吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に吸熱ピークを有するものであることが好ましい。そして、吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの温度が50〜110℃であることが、低温定着性と耐久性の点で、特に好ましい。
示差走査熱量分析測定装置としては、パーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000などが挙げられる。該装置を用いた測定においては、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定する。
上記離型剤の含有量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。離型剤の含有量が1〜15質量部であると、オイルレス定着方式を採用したときなどに優れた離型性を発揮できる。
【0049】
トナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯体、金属塩、キレート化合物、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類の如きカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体、ビスフェノール類、カリックスアレーンの如きフェノール誘導体が挙げられる。
上記有機金属錯体としては、例えば、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体が挙げられる。これらのうち、トナーの帯電立ち上がりを良好にする観点から、芳香族カルボン酸の金属化合物であることが好ましい。
上記荷電制御剤の含有量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して0.1〜10.0質量部であることが好ましく、0.2〜5.0質量部であることがより好ましい。トナーに含まれる荷電制御剤の量を上記範囲に調整することで、高温高湿から低温低湿までの広範な環境においてトナーの帯電量の変化を小さくすることができる。
【0050】
トナーは着色剤を含有する。着色剤は、顔料もしくは染料、またはそれらの組み合わせであってもよい。
上記染料としては、例えば、以下のものが挙げられる。C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6。
顔料としては、例えば、以下のものが挙げられる。ミネラルファストイエロー、ネーブ
ルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG。
【0051】
また、本発明の二成分系現像剤及び補給用現像剤をフルカラー画像形成用現像剤として使用する場合は、トナーはマゼンタ、シアン、イエローの各色用着色顔料を含むことができる。マゼンタ用着色顔料としては、例えば、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
トナー粒子は、マゼンタ用着色顔料だけを含んでもよいが、染料と顔料とを組み合わせて含むと、現像剤の鮮明度を向上させ、フルカラー画像の画質を向上させることができる。マゼンタ用染料としては、例えば、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアン用着色顔料としては、例えば、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、16、17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
イエロー用着色顔料としては、例えば、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、97、155、180、C.I.バットイエロー1、3、20。
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックの如きカーボンブラックの他、マグネタイト、フェライトの如き磁性粉が挙げられる。また、マゼンタ染料及び顔料、イエロー染料及び顔料、シアン染料及び顔料を組み合わせて黒色に調色してもよく、更に、それらに上記カーボンブラックを併用しても良い。
【0052】
また、トナーは、外添剤として無機微粒子を含有する。無機微粒子としては、個数平均粒径が80nm以上300nm以下であることが好ましく、90nm以上150nm以下であることがより好ましい。無機微粒子の個数平均粒子径が上記範囲内であれば、前記無機微粒子はトナー粒子へ埋め込まれにくく、長期間に渡り画像出力を続けても、スペーサーとして機能しつづけることができる。また、一方でトナー粒子からの脱利も生じにくい。この結果として、摩擦帯電量の絶対値が50mC/kg以上120mC/kg以下というトナーであっても、キャリアからのトナー離れが悪化せず、効率よく現像することが可能となる。また、トナーと感光ドラムがトナー粒子の面で接触するのではなく、無機微粒
子と感光ドラムが点で接触する状態を維持でき、トナーと感光ドラムの離型性も維持され、転写効率の低下を抑制することができる。このような無機微粒子は、トナーに、0.1〜3.0質量%外添されることが好ましく、0.5〜2.5質量%外添されることがより好ましい。
上記記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子が挙げられる。シリカ微粒子の場合、例えば、気相分解法、燃焼法、爆燃法の如き従来公知の技術を用いて製造された、いかなるシリカ微粒子をも使用することができる。
また、上記無機微粒子は、水が存在する有機溶媒中において、アルコキシシランを触媒により加水分解、縮合反応させて得られるシリカゾル懸濁液から、溶媒を除去、乾燥して、粒子化する、公知のゾルゲル法により製造された粒子であることが好ましい。ゾルゲル法により製造されたシリカ微粒子は、形状が略球形であり、単分散であり、スペーサー粒子として優れている。さらにゾルゲル法により得られたシリカ微粒子表面を疎水化処理して用いてもよく、疎水化処理剤としては、シラン化合物が好ましく用いられる。上記シラン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン;トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシランの如きモノクロロシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランの如きモノアルコキシシラン;トリメチルシリルジメチルアミン、トリメチルシリルジエチルアミンの如きモノアミノシラン;トリメチルアセトキシシランの如きモノアシロキシシランが挙げられる。
【0053】
また、トナーには、外添剤として、個数平均粒径が80nm以上300nm以下の上記無機微粒子以外にも、微粒子を添加してもよく、5nm以上60nm以下のものが好ましい。上記無機微粒子以外の微粒子がトナーに外添されることにより、トナーの流動性や転写性が向上しうる。該微粒子としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、およびシリカ微粒子のいずれかの無機微粒子を含むことが好ましい。上記微粒子の表面は、疎水化処理をされていることが好ましい。疎水化処理は、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤の如きカップリング剤;脂肪酸及びその金属塩;シリコーンオイル;またはそれらの組み合わせ;等の疎水化処理剤を用いて行われることが好ましい。
上記疎水化処理用のチタンカップリング剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート。
上記疎水化処理用のシランカップリング剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン。
上記疎水化処理用の脂肪酸及びその金属塩としては、例えば、以下のものが挙げられる。ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸の如き長鎖脂肪酸が挙げられる。上記金属塩の金属としては、亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウム等が挙げられる。
上記疎水化処理用のシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0054】
上記疎水化処理は、無機微粒子に対して1〜30質量%(より好ましくは3〜7質量%
)の上記疎水化処理剤を添加して、無機微粒子を被覆することにより行われることが好ましい。疎水化処理された無機微粒子の疎水化の程度は特に限定されないが、例えば、疎水化処理後の無機微粒子のメタノール滴定試験によって滴定された疎水化度(メタノールウェッタビリティー;メタノールに対する濡れ性を示す指標)が40〜95の範囲であることが好ましい。上記外添剤のトナー中における総含有量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜4.0質量%であることがより好ましい。また外添剤は、複数種の微粒子の組み合わせでもよい。
【0055】
フルカラー画像を形成する場合には、上記のシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーを併用することができる。また、その際の各色トナーの載り量は、0.10mg/cm以上0.50mg/cm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.10mg/cm以上0.35mg/cm以下の範囲である。
【0056】
図7は、本発明の画像形成方法をフルカラー画像形成装置に適用した概略図を示す。
フルカラー画像形成装置本体には、第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設され、各々異なった色の画像が潜像形成、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について第1の画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
【0057】
第1の画像形成ユニットPaは、静電潜像担持体としての直径30mmの感光体61aを具備し、この感光体61aは矢印a方向へ回転移動される。帯電手段としての一次帯電器の如き帯電ローラ62aは、直径16mmのスリーブの表面に形成された帯電用磁気ブラシが感光体61aの表面に接触するように配置されている。露光光67aは、帯電ローラ62aにより表面が均一に帯電されている感光体61aに静電潜像を形成するために、図示されていない露光装置により照射される。感光体61a上に担持されている静電潜像を現像してカラートナー像を形成するための現像手段としての現像器63aは、カラートナーを保持している。転写手段としての転写ブレード64aは、感光体61aの表面に形成されたカラートナー像をベルト状の転写材担持体68によって搬送されて来る転写材(記録材)の面に転写する。この転写ブレード64aは、転写材担持体68の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
第1の画像形成ユニットPaは、帯電ローラー62aによって感光体61aを均一に一次帯電した後、露光装置からの露光光67aにより感光体に静電潜像を形成し、現像器63aで静電潜像を、カラートナーを用いて現像する。この現像されたトナー像を第1の転写部(感光体と転写材の当接位置)で転写材を担持搬送するベルト状の転写材担持体68の裏面側に当接する転写ブレード64aから転写バイアスを印加することによって転写材の表面に転写する。
現像によりトナーが消費され、T/C(トナー/磁性キャリア)比が低下すると、その低下をコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサー85で検知し、消費されたトナー量に応じて補給用現像剤容器65aから補給用現像剤を補給する。なお、トナー濃度検知センサー85は図示されないコイルを内部に有している。
【0058】
本画像形成装置は、第1の画像形成ユニットPaと同様の構成で、現像装置に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。例えば、第1の画像形成ユニットPaにイエロートナー、第2の画像形成ユニットPbにマゼンタトナー、第3の画像形成ユニットPcにシアントナー、及び第4の画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用いる。それより、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行なわれる。この工程で、レジストレーションを合わ
せつつ、同一転写材上に一回の転写材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器69によって転写材担持体68上から転写材が分離される。その後、搬送ベルトの如き搬送手段によって定着装置70に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
定着装置70は、定着ローラー71と加圧ローラー72を有し、定着ローラー71は、内部に加熱手段75及び76を有している。
転写材上に転写された未定着のカラートナー像は、この定着装置70の定着ローラー71と加圧ローラー72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により転写材上に定着される。
図7において、転写材担持体68は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、駆動ローラー80によって矢印e方向に移動するものである。他に、転写ベルトクリーニング装置79、ベルト従動ローラー81、ベルト除電器82を有し、一対のレジストローラー83は転写材ホルダー内の転写材を転写材担持体68に搬送するためのものである。転写手段としては、転写材担持体68の裏面側に当接する転写ブレード64aに代えて、ローラー状の転写ローラーを転写材担持体68の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能とした接触転写手段を用いることも可能である。
さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている転写材担持体68の裏面側に非接触で配置されているから転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。
【0059】
補給用現像剤を用いた画像形成装置における現像剤の流れについて図6を用いて説明する。感光体上の静電潜像がトナーにより現像されることによって現像器102の中のトナーが消費される。トナー濃度検知センサー(不図示)により現像器内のトナーが少なくなったことを検知して、補給用現像剤収容容器101から補給用現像剤が現像器102に供給される。現像器内で過剰になった磁性キャリアは、現像剤回収容器104に移動する。なお、現像剤回収容器104は、クリーニング装置103で回収したトナーを一緒に回収しても良い。
【0060】
<トナーの単位濃度あたりの吸光度の測定法>
トナーを50mg秤量し、これにピペットでクロロホルム50mlを加え溶解する。さらに、該溶解液をクロロホルムで5倍に希釈し、0.2mg/mlのトナーのクロロホルム溶解液を得た。該トナーのクロロホルム溶解液を、吸光度測定用試料とした。測定には、紫外可視分光光度計V−500V(日本分光株式会社製)を用い、光路長10mm幅となる石英セルを用い波長350nm〜800nmの範囲で該溶解液の吸光度を測定した。シアントナーでは波長712nm、マゼンタトナーでは波長538nm、イエロートナーでは波長422nmにおける吸光度を測定した。得られた吸光度を上記クロロホルム溶解液のトナーの濃度で除し、単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度を算出した。算出した値をそれぞれ(A712/Cc)、(A538/Cm)、及び、(A422/Cy)とした。
【0061】
<二成分法によるトナーの摩擦帯電量の測定法>
50mlのポリビンに、磁性キャリア9.2gを秤量する。その上に、トナー0.8gを秤量し、磁性キャリアとトナーを積層させた状態で、常温常湿環境下(23℃、60%)に24時間調湿する。調湿後、ポリビンの蓋を閉め、ロールミルで、一秒間に1回転の速度で、15回転させた。続いて、試料をポリ瓶ごと振とう機に取り付け、一分間あたり150回のストロークで振とうし、5分間トナーと磁性キャリアを混合し測定用の現像剤を調整した。
摩擦帯電量を測定する装置として、吸引分離式帯電量測定器セパソフト STC−1−C1型(三協パイオテク製)を用いた。サンプルフォルダー(ファラデーゲージ)底に目開き20μmのメッシュ(金網)を設置し、その上に、上記のようにして調製した現像剤
0.10gを入れフタをする。この時のサンプルフォルダー全体の質量を秤りW1(g)とする。次にサンプルフォルダーを本体に設置し風量調節弁を調整して吸引圧力を2kPaとする。この状態で2分間吸引しトナーを吸引除去する。この時の電荷Q(μC)とする。また、吸引後のサンプルフォルダー全体の質量を秤りW2(g)とする。この時もとまるQは、キャリアの電荷を計測しているため、トナーの摩擦帯電量としては、その逆極性になる。この現像剤の摩擦帯電量(mC/kg)の絶対値は下式の如く算出される。尚、測定も、常温常湿環境下(23℃、60%)で実施した。
摩擦帯電量(mC/kg)=Q/(W1−W2)
【0062】
<遠心分離法によるトナーと磁性キャリアとの付着力の測定法>
付着力の測定は、特開2006−195079号公報に記載された方法に基づいて行った。詳細は以下の通りである。
図12は、本発明に係る付着力測定試料の概略図である。アルミニウム製の円形試料基板1(直径10mm)に接着剤2が均一に塗布され、キャリア3が一層固定されており、その上にトナー4が被覆している。図13はこの付着力測定の全工程を示す図である。接着剤塗布工程5では接着剤2を試料基板1にスピンコート装置を用いて塗布する。図14に示すスピンコート装置12は、台座13、台座13を回転させるモーター14、電源装置15及び接着剤の飛散防止のためのカバー16によって構成されるものである。
接着剤2はエポキシ樹脂系の接着剤で本願では「セメダイン ハイスーパー5」を使用した。また接着剤の塗布については60秒間、およそ10000rpmで回転させ、約20μmの膜厚にして接着剤を試料基板1に固定させた。
接着剤2の塗布後キャリア固定工程6に移る。試料基板1を台座13から外し、接着剤2が硬化しないうちにキャリア3を接着剤層の上に振りかける。できるだけ山盛りにした状態で接着剤3が完全に硬化するまで放置をする。後述の実施例では24時間放置した。
その後、図15に示すように、試料基板1の試料面の垂線が回転軸18に対して垂直になるように、遠心分離用のローター17内に設置されたフォルダ19の内部に、試料基板1を試料面が外側になるようにして設置した。また、試料基板1に平行で、試料基板1よりも外側になるように、スペーサー20のような中心部が空洞のものをかいして受け基板21を設置した。この状態で、ローターに十分な回転数を与える。この際には使用する遠心分離機の最大回転数を与えるのがよい。本願で用いた遠心分離機は日立工機製CP100MX(最大回転速度:100,000rpm、最大遠心加速度803,000×g)であり、ローターは日立工機製アングルローターP100ATを用いた。遠心分離により生じる遠心力によって接着剤2に接していない余分なキャリア3を取り除くことが可能であり、トナー4を付着させて遠心分離を行う際に、試料基板1からキャリアが脱離してしまうのを防ぐことができる。遠心力の大きさの算出に関しては後述する。こうしてキャリアが一層、或いは、それに近い状態で固定された試料を作成した。
【0063】
次に、トナー付着工程7を行う。この工程ではキャリア3が固定された試料基板1に帯電させたトナー4を付着させる作業を行う。通常、キャリアとトナーとは、現像器内において、互いに摩擦帯電されて、それぞれが逆極性に帯電し、付着している。それに近い状態を再現するために、以下の操作を行う。先ず、トナー4とキャリア3を、トナー濃度が、4、6、8、10、12、14質量%となるように、ポリ瓶に秤量してとり、その後、常温常湿(23℃、50%RH)環境下で24時間保管した。その後、秤量した試料をポリ瓶ごと振とう機に取り付け、一分間あたり150回のストロークで振とうし、5分間トナーと磁性キャリアを混合し、各トナー濃度の現像剤22を得た。
その後、図16のように、容器23の底部に試料基板1を貼り付け、その上に現像剤22を該試料基板が隠れるまで十分に投入し、容器23を手でしっかりと振り混ぜて、現像剤22を試料基板1表面に存在するキャリア3に接触させた。その結果、試料基板1表面に存在するキャリア3の上に、現像剤22中のトナー4が移動し、トナー4が付着した試料基板1を得た。試料基板1上におけるトナーとキャリアとの状態は、一般的な現像剤に
おけるトナーとキャリアとの関係に近い状態である。
【0064】
トナー付着工程7を行った後、遠心分離工程8に入る。作成した試料基板1と受け基板21を、上記のようにして、遠心分離用のローター17内に設置されたフォルダ19の内部にいれ、ローター17に回転を加える。このとき試料基板1および受け基板21にはあらかじめ一箇所印等を入れておき、フォルダ19に入れる際には向きを常に合わせるようにする。また受け基板21と測定試料基板1との距離は近づけるほうが好ましい。本願では2mmとした。
遠心分離装置を駆動させローター17を回転させると測定セル内の紛体はそれぞれの大きさや質量に応じた遠心力を受ける。概略図を図17に示す。Faは付着力(adhesive force)、Fcは遠心力(centrifugal force)である。測定試料面上1のトナー4は各回転数に応じた遠心力をうけ、そのトナー4に働く遠心力が測定試料面1での付着力よりも大きくなった場合に測定試料面1から受け基板21にトナー4は移動する。質量m(kg)の粒子の受ける遠心力F’(N)は、ローターの回転数f(rpm)、回転軸18と測定試料基板1の上のトナー4までの距離r(m)24とした場合、下式)を用いて式(1)で求められる。
F’=m×r×(2πf/60) (1)
また、ここで粉体の質量m(kg)は、真比重ρ(kg/m)、円相当径d(m)を用いて式(2)で求められる。
m=(4π/3)×ρ×(d/2) (2)
【0065】
遠心分離工程8では一定の回転数ごと(5000rpm、10000rpmで交換を行い、10000rpm以降は2000rpmごとに交換を行うことが好ましい。)に受け基板21を替える。外された受け基板を顕微鏡(1000倍程度)で観察し、顕微鏡に接続したカメラで撮影する。得られた画像を解析することによって、その円相当径(投影面積と同じ面積を有する円の直径)を求める。尚、解析の際には、必要に応じて画像を更に拡大しても良い。例えば、交換した際のローターの回転数が1000rpmである場合には、f=1000とし、また上記で得られたトナーの円相当径分布を用いて式(2)から質量mを算出し、これらを用いて、式(1)から各粒子に作用した遠心力を算出する。
また、上記のようにして得られた遠心力F’から、式(3)より、遠心力の個数平均常用対数値Aを求める。Aは、各粒子に作用した遠心力F’の常用対数値の和をトナーの個数Nで割った値である。
A=Σlog(F’)/ N (3)
そして、以下の式(4)を用いて、あるトナー濃度における平均付着力Fを得る。
F=10 (4)
得られたそれぞれのトナー濃度における現像剤の平均付着力と、別途求められたそれぞれのトナー濃度におけるトナーの摩擦帯電量の絶対値を用いて、横軸に摩擦帯電量の絶対値、縦軸に平均付着力となるようプロットし、一次の直線近似を行い、摩擦帯電量の絶対値が50mC/kgのときの付着力を算出し、F(50)とした。
【0066】
<粉体状態のトナーの明度L及び彩度Cの測定法>
粉体状態のトナーの明度L及び彩度Cは、JIS Z−8722に準拠する分光式
色差計「SE−2000」(日本電色工業社製)を用い、観測光源としてD50を、観測視野は2度(2°)で測定する。測定は付属の取り扱い説明書に沿って行うが、標準板の標準合わせには、オプションの粉体測定用セル内に2mm厚で直径30mmのガラスを介した状態で行うのが良い。
より詳しくは、上記分光式色差計の粉体試料用試料台(アタッチメント)上に、試料粉体を充填したセルを設置した状態で測定を行う。尚、セルを粉体試料用試料台に設置する以前に、セル内の内容積に対して80%以上の粉体試料を充填し、振動台上で1回/秒の振動を30秒間加えた上で測定する。
【0067】
<磁性キャリアから磁性成分(多孔質磁性コア粒子)を取り出す方法>
磁性キャリアを10.0g準備し、るつぼ中に入れる。Nガス導入口、排気装置ユニットを装着したマッフル炉(FP−310、ヤマト科学製)を用い、Nガスを導入しながら、900℃で16時間加熱する。その後、磁性キャリアの温度が50℃以下になるまで放置する。
50ccのポリ瓶中に加熱後の磁性キャリアを入れ、アルキルベンゼンスルホン酸塩0.2g及び水20gを加え、磁性キャリアに付着しているスス等を洗浄する。この時、磁性キャリアが流れないように、すすぐ時は磁石で磁性キャリアを固定して行う。また、アルキルベンゼンスルホン酸塩が磁性キャリアに残らないようにすすぎは水で5回以上実施する。その後、60℃で24時間乾燥し、磁性キャリアから磁性成分を取り出す。なお、上記の操作を複数回行い、磁性成分の必要量を確保する。
【0068】
<磁性キャリアの磁性成分の固め見掛け密度の測定法>
JIS Z 2504に従い、磁性キャリアの磁性成分の固め見掛け密度を測定した。具体的には、常温常湿環境下(23℃、60%)に24時間調湿した磁性キャリアを、JISカサ比重測定器(筒井理化学器械株式会社)により測定する。
【0069】
<磁性キャリアの磁性成分の真密度の測定法>
磁性キャリアの磁性成分の真密度は、乾式自動密度計オートピクノメーター(ユアサアイオニクス社製)を用い、下記条件で測定した。
セル : SMセル(10ml)
サンプル量 : 2.0g
この測定方法は、気相置換法に基づいて、固体・液体の真密度を測定するものである。液相置換法と同様、アルキメデスの原理に基づいているが、置換媒体としてガス(アルゴンガス)を用いるため、微細孔を有する物質の測定において精度が高い。
【0070】
<磁性キャリアの磁性成分(多孔質磁性コア粒子)の比抵抗>
磁性キャリアの磁性成分(多孔質磁性コア粒子)の比抵抗は、図10に概略される測定装置を用いて測定される。抵抗測定セルEに磁性キャリアの磁性成分17を充填し、充填された磁性キャリアの磁性成分に接するように下部電極11および上部電極12を配し、これらの電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって磁性キャリアの磁性成分の比抵抗を求める。
上記比抵抗の測定条件は、磁性成分と電極との接触面積Sを2.4cm、上部電極の荷重240gとする。10.0g測りとり、サンプル(磁性成分)を抵抗測定セルに充填し、サンプルの厚みdを正確に測定する。電圧の印加条件は、印加条件I、II、IIIの順に印加し、印加条件IIIの印加電圧での電流を測定する。印加条件IIIの時の電界強度100V/cm(即ち、印加電圧/d=100V/cmになる時)における比抵抗を、磁性キャリアの磁性成分の比抵抗とした。
印加条件I :(0Vから500Vに変更:30秒おき100Vずつステップ状に増大)
II :(500Vで30秒ホールド)
III:(500Vから0Vに変更:30秒おき100Vずつステップ状に減少)
比抵抗(Ω・cm)=(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm)/d(cm)電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
【0071】
<D50−5μm以上D50+5μm以下の粒径を有する磁性キャリアの平均破壊強度P1及び10μm以上20μm未満の粒径を有する磁性キャリアの平均破壊強度P2の測定方法>
磁性キャリアの平均破壊強度P1及びP2は、株式会社島津製作所の微小圧縮試験機M
CTM−500を用い、該測定装置の操作マニュアルに従い測定を行う。測定装置の各種設定は以下の通りである。
測定モード 1(圧縮試験)、荷重 300mN、負荷速度 3.87mN/sec、変位スケール 100μm、上部加圧圧子 平面圧子50μm径、下部加圧板 SKS平板
下部加圧板上の磁性キャリアを装置の光学モニタで観察し、体積分布基準の50%粒径をD50とした時に、D50−5μm以上D50+5μm以下の粒径を有する磁性キャリアを無作為に選択し、該当する粒子を100個測定する。その破壊強度の平均値を平均破壊強度P1(MPa)とした。
尚、D50が25μm未満のキャリアの場合は、20μm以上D50+5μm以下の粒径を有する磁性キャリアを同様に測定して、P1とする。また、粒径が10μm以上20μm未満の磁性キャリアに関しても、無作為に選択し、該当する粒子を30個測定し、その破壊強度の平均値を平均破壊強度P2(MPa)とした。
【0072】
<トナー粒子及びトナーの重量平均粒径の測定方法>
上記トナー粒子及びトナーの重量平均粒径は、コールターカウンターTA−IIまたはコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、該測定装置の操作マニュアルに従い測定を行う。電解液は約1%NaCl水溶液であり、一級塩化ナトリウムを用いて調製されてもよく、またISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)であってもよい。
以下、トナーの重量平均粒径の測定法を具体的に記載する。上記電解液100mlに、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を0.1g加え、さらに測定試料(トナー又はトナー粒子)を5mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約2分間分散処理して、測定サンプルとする。
アパーチャーは100μmのアパーチャーとする。試料の体積及び個数を、チャンネルごとに測定して、試料の体積分布と個数分布を算出する。算出された分布から、試料の重量平均粒径を求める。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0073】
<無機微粒子又は微粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
上記無機微粒子又は微粒子の個数平均粒径(D1)は、走査型電子顕微鏡FE−SEM(日立製作所社製 S−4700)を用い、該測定装置の操作マニュアルに従い行う。具体的には、10万倍に拡大したトナー表面の写真を撮影し、画像のコントラストを調整後、2値化する。さらに、その2値化画像を更に拡大し、任意の50個の粒子について、定規又はノギスを用い、粒子の長径を計測し、その個数平均粒径を算出する。その際、微粒子の組成の判別には、上記装置付属のX線マイクロアナライザーを用いる。
【0074】
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による樹脂の分子量の測定>
GPCによる樹脂の分子量は次の条件で測定することができる。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.5質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を100μl注入して測定する。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、1×10〜2×10の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせることが好ましい。このような市販のポリスチレンゲルカラムの組み合わせとしては、例えば、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせや、昭和電工社製のshodex KA−801、802、803、804、805、806、8
07の組み合わせが好ましい。
試料である樹脂の分子量の測定にあたっては、樹脂の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の、分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用いる。少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0075】
<トナーの平均円形度の測定>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)を用い、該測定装置の操作マニュアルに従い、校正作業時と同一の測定・解析条件で測定する。
具体的には、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製)などを用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードのトータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径範囲を円相当径2.00μm以上200.00μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素(一画素あたり0.37μm×0.37μm)の画像処理解像度で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
【0076】
次に、計測された各粒子像の粒子投影面積と粒子投影像の周囲長の数値を用いて、円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円相当径=(粒子投影面積/π)1/2×2
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
粒子像が円形のときに円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.2〜1.0の範囲
を800分割し、測定粒子数で除して平均円形度を算出する。
【0077】
<BET比表面積の測定>
微粒子のBET比表面積は、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて、BET法に従って、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出する。
【0078】
<磁性キャリアの体積分布基準の50%粒子径(D50)の測定方法>
磁性キャリアの体積分布基準の50%粒径(D50)は、例えばマルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定される。約1%NaCl水溶液とグリセリンとを、50体積%:50体積%で混合した溶液を電解液として用いる。ここでNaCl水溶液は、一級塩化ナトリウムを用いて調製されればよく、例えばISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)であってもよい。グリセリンは、特級あるいは一級の試薬であればよい。電解液(約30ml)に、分散剤として界面活性剤(好ましくはドデシルベンゼンスルホンナトリウム)を、0.5ml加え、さらに測定試料を10mg加える。試料が懸濁された電解液を、超音波分散器で約1分間分散処理して、分散液を得る。ガラス測定容器に電解液、および前記分散液を入れて、測定容器中の磁性キャリア粒子の濃度を10体積%とする。ガラス測定容器内容物を最大撹拌スピードで撹拌する。サンプルの吸引圧を10kPaにする。磁性キャリア粒子の比重が大きく沈降しやすい場合は、測定時間を20分とする。また、5分ごとに測定を中断して、サンプル液の補充および電解溶液−グリセリン混合溶液の補充を行う。
装置の設定としては、アパーチャーとしては200μmアパーチャーを用い、20倍のレンズを用いて、以下の条件とする。尚、測定個数は2000個とする。
測定フレーム内平均輝度:220〜230
測定フレーム設定:300
SH(スレシュホールド):50
2値化レベル:180
測定終了後、本体ソフトにより、粒子画像画面でピンぼけ画像、凝集粒子(複数同時測定)などの除去を行う。
磁性キャリア円相当径は、下記式で算出される。
円相当径=(4・Area/π)1/2
ここで、「Area」とは二値化された粒子像の投影面積であり、「MaxLength」とは粒子像の最大径と定義される。円相当径は、「Area」を真円の面積としたときの真円の直径で表される。得られた個々の円相当径を4〜100μmを256分割し、体積基準で対数表示したグラフに載せ、これより、体積分布基準の50%粒径(D50)を求める。
【実施例】
【0079】
以下に、具体的製造例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0080】
[樹脂Aの製造例(ハイブリッド樹脂)]
ビニル系重合体として、スチレン1.9mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、
撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂のモノマー及び重合開始剤を5時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温し、200℃で4.5時間反応させてハイブリッド樹脂(樹脂A)を得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量測定の結果を表1に示す。なお、表1において、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、Mpはピーク分子量である。
【表1】

【0081】
[無機微粒子の製造例]
メタノール、水、アンモニア水を混合した分散媒体を35℃に加温し、攪拌しながらテトラメトキシシランを該分散媒体に滴下し、シリカ微粒子の懸濁液を得た。溶媒置換を行い、得られた分散液に疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザンを室温で添加し、その後、130℃まで加熱して反応させ、シリカ微粒子表面の疎水化処理を行った。湿式で篩いを通過させ、粗大粒子を除去後、溶媒を除去し、乾燥することにより、無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子)を得た。該無機微粒子の個数平均粒径は76nmであった。同様に、反応温度と攪拌速度を適宜変更することによって個数平均粒径が84nm、110nm、290nm、310nmの無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子)をそれぞれ調製した。
【0082】
[マゼンタトナー1の製造]
<マゼンタマスターバッチの製造>
・樹脂A(マスターバッチ用) 60質量部
・マゼンタ顔料(C.I.Pigment Red 57) 20質量部
・マゼンタ顔料(C.I.Pigment Red 122) 20質量部
上記の材料をニーダーミキサーにより溶融混練しマゼンタマスターバッチを作製した。<マゼンタトナーの製造>
・樹脂A 88.3質量部
・精製パラフィンワックス(最大吸熱ピーク:70℃、Mw=450、Mn=320)
5.0質量部
・上記マゼンタマスターバッチ(着色剤分40質量%) 19.5質量部
・3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(負荷電制御剤)
1.0質量部
上記の処方でヘンシェルミキサーにより十分に予備混合し、二軸押出し混練機で混練物温度が150℃になるように溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕した。その後、ハンマー形状を変更したハンマーミルを用いて粉砕を行い、粗大粒子をメッシュで除去し、約0.3mm程度の粗粉砕物を作製した。次に、ターボ工業社製のターボ・ミル(RSローター/SNBライナー)を用いて11μm程度の中粉砕物を
作った。さらに、ターボ工業社製のターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー)を用いて6μm程度に粉砕後、再度ターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー)を用いて5μm程度の微粉砕物を作製した。その後、ハンマー形状と数を改良したホソカワミクロン社製の粒子設計装置(製品名:ファカルティ)を用いて、分級と同時に球形化を行うことで重量平均粒径5.3μmのマゼンタトナー粒子1を得た。
上記マゼンタトナー粒子1 100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、個数平均粒径(D1):15nm、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)0.9質量部をヘンシェルミキサーを用いて外添した。次いでオイル処理シリカ微粒子(BET比表面積95m/g、シリコーンオイル15質量%処理)1.2質量部、上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子:BET比表面積24m
g、個数平均粒径(D1):110nm)1.5質量部をヘンシェルミキサーに投入し、外添してマゼンタトナー1とした。該マゼンタトナー1の物性値を表2に示す。
【0083】
[マゼンタトナー2〜8の製造]
上記マゼンタトナー1の製造において、樹脂A、精製パラフィンワックス、マゼンタマスターバッチ及びジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミニウム化合物の配合割合を、表3に示す割合に変更する以外は同様にして、マゼンタトナー2〜8を製造した。マゼンタトナー2〜8の物性値を表2に示す。
【0084】
[イエロートナー1の製造]
<イエローマスターバッチの製造>
・樹脂A 60質量部
・イエロー顔料(C.I.Pigment Yellow 17) 40質量部
上記の材料をニーダーミキサーにより溶融混練しイエローマスターバッチを作製した。<イエロートナーの製造>
・樹脂A 89.5質量部
・精製パラフィンワックス(最大吸熱ピーク:70℃、Mw=450、Mn=320)
5.0質量部
・上記イエローマスターバッチ(着色剤分40質量%) 17.5質量部
・3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(負荷電制御剤)
1.0質量部
上記の処方で、マゼンタトナー1の製造例と同様の方法でイエロートナー1を得た。該イエロートナー1の物性値を表2に示す。
【0085】
[イエロートナー2〜7の製造]
上記イエロートナー1の製造において、樹脂A、精製パラフィンワックス、イエローマスターバッチ及びジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミニウム化合物の配合割合を、表3に示す割合に変更する以外は同様にして、イエロートナー2〜7を製造した。イエロートナー2〜7の物性値を表2に示す。
【0086】
[シアントナー1の製造]
<シアンマスターバッチの製造>
・樹脂A 60.0質量部
・シアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3) 40.0質量部
上記の処方でニーダーミキサーにより溶融混練し、シアンマスターバッチを作製した。<シアントナーの製造>
・樹脂A 92.6質量部
・精製パラフィンワックス(最大吸熱ピーク:70℃、Mw=450、Mn=320)
5.0質量部
・シアンマスターバッチ(着色剤分40質量%) 12.4質量部
・3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(負荷電制御剤)
1.0質量部
上記の処方で、マゼンタトナー1の製造例と同様の方法でシアントナー1を得た。該シアントナー1の物性値を表2に示す。
【0087】
[シアントナー2の製造]
上記シアントナー1の製造において、樹脂Aを91.6質量部、シアンマスターバッチを14.1質量部と変更する以外は同様にして、シアントナー2を製造した。シアントナー2の物性値を表2に示す。
[シアントナー3の製造]
上記シアントナー1の製造において、樹脂Aを89.9質量部、シアンマスターバッチを16.9質量部と変更する以外は同様にして、シアントナー3を製造した。シアントナー3の物性値を表2に示す。
[シアントナー4の製造]
上記シアントナー1の製造において、樹脂Aを86.5質量部、シアンマスターバッチを22.5質量部と変更する以外は同様にして、シアントナー4を製造した。シアントナー4の物性値を表2に示す。
[シアントナー5の製造]
上記シアントナー4の製造において、個数平均粒径(D1)が110nmの無機微粒子を用いる代わりに、個数平均粒径(D1)が76nmの上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子;BET比表面積34m/g)を1.5質量部添加する以外は同様にして、シアントナー5を製造した。シアントナー5の物性値を表2に示す。
[シアントナー6の製造]
上記シアントナー4の製造において、個数平均粒径(D1)が110nmの無機微粒子を用いる代わりに、個数平均粒径(D1)が84nmの上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子;BET比表面積32m/g)を1.5質量部添加する以外は同様にして、シアントナー6を製造した。シアントナー6の物性値を表2に示す。
[シアントナー7の製造]
上記シアントナー4の製造において、個数平均粒径(D1)が110nmの無機微粒子を用いる代わりに、個数平均粒径(D1)が280nmのフュームドシリカ(BET比表面積10m/g)を1.5質量部添加する以外は同様にして、シアントナー7を製造した。シアントナー7の物性値を表2に示す。
[シアントナー8の製造]
上記シアントナー4の製造において、個数平均粒径(D1)が110nmの無機微粒子を用いる代わりに、個数平均粒径(D1)が290nmの上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子;BET比表面積9.1m/g)を1.5質量部添加する以外は同様にして、シアントナー8を製造した。シアントナー8の物性値を表2に示す。
[シアントナー9の製造]
上記シアントナー4の製造において、個数平均粒径(D1)が110nmの無機微粒子を用いる代わりに、個数平均粒径(D1)が310nmの上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子;BET比表面積8.5m/g)を1.5質量部添加する以外は同様にして、シアントナー9を製造した。シアントナー9の物性値を表2に示す。
[シアントナー10の製造]
上記シアントナー1の製造において、樹脂Aを83.1質量部、シアンマスターバッチを28.1質量部とし、個数平均粒径(D1)が110nmの無機微粒子の代わりに、個数平均粒径(D1)が290nmの上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子;BET比表面積9.1m/g)を1.5質量部添加するように変更する以外は同様にして、シアントナー10を製造した。シアントナー10の物性値を表2に示す。
【0088】
[シアントナー11の製造]
二軸押出し混練機による混練物温度を110℃とした以外は、シアントナー10の製造例と同様にシアントナー11を製造した。シアントナー11の物性値を表2に示す。
[シアントナー12の製造]
上記シアントナー11の製造において、樹脂Aを79.8質量部、シアンマスターバッチを33.8質量部と変更した以外は同様にして、シアントナー12を製造した。シアントナー12の物性値を表2に示す。
[シアントナー13の製造]
上記シアントナー12の製造において、ホソカワミクロン社製の粒子設計装置(製品名:ファカルティ)を用いて分級及び球形化を行う代わりに、メテオレインボー(日本ニューマチック社製)を用いて、熱処理温度250℃にて熱球形化処理し、エルボージェット
分級機を用いて分級した以外は同様にして、シアントナー13を製造した。シアントナー13の物性値を表2に示す。
[シアントナー14の製造]
上記シアントナー13の製造において、メテオレインボー(日本ニューマチック社製)の熱球形化処理において、熱処理温度を50℃高く設定した以外は同様にして、シアントナー14を製造した。シアントナー14の物性値を表2に示す。
[シアントナー15の製造]
上記シアントナー12の製造において、ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕した後、ターボ・ミル(RSローター/SNNBライナー)を用いて一気に5μm程度の微粉砕物を作製した以外は同様にして、シアントナー15を製造した。シアントナー15の物性値を表2に示す。
[シアントナー16の製造]
上記シアントナー15の製造において、ホソカワミクロン社製の粒子設計装置(製品名:ファカルティ)での処理条件に関して、分散回転数を2分の1とした以外は同様にして、シアントナー粒子を製造した。
得られたシアントナー粒子100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)0.9質量部をヘンシェルミキサーを用いて外添した。さらに、オイル処理シリカ(BET比表面積147m/g、シリコーンオイル15質量%処理)2.5質量部、上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子:個数平均粒径(D1):290nm)0.5質量部をヘンシェルミキサーに投入して外添してシアントナー16とした。シアントナー16の物性値を表2に示す。
[シアントナー17の製造]
上記シアントナー16の製造で得られたシアントナー粒子100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)1.0質量部をヘンシェルミキサーを用いて外添した。さらに、オイル処理シリカ(BET比表面積95m/g、シリコーンオイル15質量%処理)0.5質量部、上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子:個数平均粒径(D1):290nm)1.5質量部をヘンシェルミキサーに投入して外添してシアントナー17とした。シアントナー17の物性値を表2に示す。
[シアントナー18の製造]
上記シアントナー13の製造で得られたシアントナー粒子100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)0.5質量部をヘンシェルミキサーを用いて外添した。さらに、ルチル型酸化チタン微粉末(BET比表面積33m/g、イソブチルトリメトキシシラン/トリフロロプロピルトリメトキシシラン=6質量%/6質量%)0.5質量部、個数平均粒径(D1):35nm、オイル処理シリカ(BET比表面積95m/g、シリコーン
オイル15質量%処理)0.5質量部、及び上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子:個数平均粒径(D1):290nm)1.5質量部をヘンシェルミキサーに順次投入して外添してシアントナー18とした。シアントナー18の物性値を表2に示す。
[シアントナー19の製造]
上記シアントナー13の製造で得られたシアントナー粒子100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)1.0質量部をヘンシェルミキサーを用いて外添した。さらに、オイル処理シリカ(BET比表面積147m/g、シリコーンオイル15質量%処理)0.5質量部、上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子:個数平均粒径(D1):290nm)0.5質量部をヘンシェルミキサーに投入して外添してシアントナー19とした。シアントナー19の物性値を表2に示す。
[シアントナー20の製造]
上記シアントナー1の製造において、樹脂Aを73.0質量部、シアンマスターバッチ
を45.0質量部と変更した以外は同様にして、シアントナー粒子を得た。該シアントナー粒子100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)0.5質量部をヘンシェルミキサーを用いて外添した。さらに、ルチル型酸化チタン微粉末(BET比表面積33m/g、イソブチルトリメトキシシラン/トリフロロプロピルトリメトキシシラン=6質量%/6質量%)0.5質量部、オイル処理シリカ(BET比表面積95m/g、シリコーンオイル15質量%処理)0.5質量部、上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子:個数平均粒径(D1):290nm)1.5質量部をヘンシェルミキサーに投入して、外添してシアントナー20とした。シアントナー20の物性値を表2に示す。
【0089】
[シアントナー21の製造]
上記シアントナー11の製造において、樹脂Aを66.3質量部、シアンマスターバッチを56.3質量部とした以外は同様にして、シアントナー21を得た。シアントナー21の物性値を表2に示す。
[シアントナー22の製造]
・樹脂A 100.0質量部
・シアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3) 23.4質量部
・精製パラフィンワックス(最大吸熱ピーク:70℃、Mw=450、Mn=320)
5.0質量部
・3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(負荷電制御剤)
1.0質量部
上記の処方を用い、シアントナー1の製造例と同様の方法でシアントナー粒子を得た。該シアントナー粒子100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m/g、個数平均粒径(D1):15nm、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)0.9質量部をヘンシェルミキサーを用いて外添した。さらに、オイル処理シリカ微粒子(BET比表面積95m/g、シリコーンオイル15質量%処理)1.2質量部、上記無機微粒子(ゾルゲルシリカ微粒子:個数平均粒径(D1):290nm)1.5質量部をヘンシェルミキサーに投入して、外添してシアントナー22を得た。該シアントナー22の物性値を表2に示す。
[シアントナー23の製造]
シアントナー22の製造において、シアン顔料(PigmentBlue15:3)を4.5質量部とし、トナー粒子の製造工程において、ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、エアージェット方式による微粉砕機(スーパーソニックジェットミル、日本ニューマチック)を用いて一気に5μm程度の微粉砕物を作製した以外は同様にして、シアントナー23を得た。シアントナー23の物性値を表2に示す。
[シアントナー24の製造]
シアントナー22の製造において、シアン顔料(PigmentBlue15:3)を4.5質量部に変更した。更に、トナー粒子の製造工程において、ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、エアージェット方式による微粉砕機(スーパーソニックジェットミル、日本ニューマチック)を用いて一気に5μm程度の微粉砕物を作製し、次いで分級機(エルボージェット、日鉄鉱業社製)を用いて分級するように変更した以外は、シアントナー22の製造と同様にして、シアントナー24を得た。シアントナー24の物性値を表2に示す。
[シアントナー25の製造]
シアントナー22の製造において、シアン顔料(PigmentBlue15:3)を0.6質量部とした以外は同様にして、シアントナー25を得た。シアントナー25の物性値を表2に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
[キャリアの磁性成分粒子(多孔質磁性コア粒子)Aの製造例]
<1.秤量・混合>
Fe 76.6質量%
MnO 20.0質量%
MgO 3.0質量%
SrO 0.4質量%
となるように秤量した。
上記組成で配合したフェライト原材料をボールミルで湿式混合した。
<2.仮焼成>上記混合物を乾燥・粉砕した後、900℃で2時間焼成し、フェライトを作成した。
<3.粉砕>クラッシャーで0.1〜1.0mmに粉砕した後に、水を加え湿式ボールミルで0.1〜0.5μmに微粉砕し、フェライトスラリーを得た。
<4.造粒>得られたフェライトスラリーに、空孔形成剤としてポリエステル微粒子(重量平均粒径2μm)を4%、バインダーとしてポリビニルアルコール2%を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で球状粒子に造粒した。
<5.焼成>上記造粒物を電気炉にて、酸素ガス濃度1.0%の窒素ガス雰囲気下、1200℃で4時間焼成した。
<6.選別1>得られた焼成物を目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去した。<7.選別2>得られた粒子を風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級し、キャリアの磁性成分粒子Aを得た。表4に磁性成分粒子Aの物性を示す。
【0093】
〔キャリアの磁性成分粒子(多孔質磁性コア粒子)B、C、Fの製造例〕
キャリアの磁性成分粒子Aの製造例において、造粒工程で用いたポリエステル微粒子の添加量を4%から12%に、ポリビニルアルコールの添加量を2%から5%に変更した以外は同様にして、磁性成分粒子Bを得た。また、ポリエステル微粒子の添加量を4%から3%に変更した以外は同様にして、磁性成分粒子Cを得た。更に、ポリエステル微粒子の添加量を4%から15%に、ポリビニルアルコールの添加量を2%から7%に変更した以外は同様にして、磁性成分粒子Fを得た。磁性成分粒子B、C、Fの物性を表4に示す。〔キャリアの磁性成分粒子(多孔質磁性コア粒子)Dの製造例〕
キャリアの磁性成分粒子Aの製造例において、焼成工程と選別1工程の間に、焼成2:「得られた焼成物を電気炉にて、窒素雰囲気下、800度で1時間焼成して還元した。」を実施した以外は同様にして、キャリアの磁性成分粒子Dを得た。磁性成分粒子Dの物性を表4に示す。
〔キャリアの磁性成分粒子(多孔質磁性コア粒子)Eの製造例〕
キャリアの磁性成分粒子Aの製造例において、焼成工程の条件を、「酸素ガス濃度1.5%の窒素ガス雰囲気下、1250℃で4時間焼成した」と変更する以外は同様にして、キャリアの磁性成分粒子Eを得た。磁性成分粒子Eの物性を表4に示す。
〔キャリアの磁性成分粒子(多孔質磁性コア粒子)Gの製造例〕
キャリアの磁性成分粒子Aの製造例において、造粒工程で用いたポリエステル微粒子の添加量を4%から1%に変更し、焼成工程の条件を、「酸素ガス濃度0.5%の窒素ガス雰囲気下、1100℃で4時間焼成した」と変更する以外は同様にして、キャリアの磁性成分粒子Gを得た。磁性成分粒子Gの物性を表4に示す。
〔キャリアの磁性成分粒子(多孔質磁性コア粒子)Hの製造例〕
キャリアの磁性成分粒子Aの製造例において、フェライト原材料を以下のように変更する以外は同様にして、キャリアの磁性成分粒子Hを得た。磁性成分粒子Hの物性を表4に示す。
Fe 69.0質量%
ZnO 16.0質量%
CuO 15.0質量%
[キャリアの磁性成分粒子(多孔質磁性コア粒子)Iの製造例]
キャリアの磁性成分粒子Aの製造例において、造粒工程で用いたスプレードライヤーのアトマイザーディスクの回転数を上げ、更に選別2工程の風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)の分級条件を、より粗粉が除去されるように変更した以外は同様にして、キャリアの磁性成分粒子Iを得た。磁性成分粒子Iの物性を表4に示す。[キャリアの磁性成分粒子Jの製造例]
モル比で、Fe=54モル%、CuO=16モル%、MgO=30モル%になるように秤量し、ボールミルを用いて8時間混合を行った。これを900℃で2時間仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、更にスプレードライヤーにより造粒を行った。これを1150℃で10時間焼結し、粉砕し、更に分級して磁性成分粒子Jを得た。磁性成分粒子Jの物性を表4に示す。
【0094】
【表4】

【0095】
[磁性キャリア1の製造例]
<1.樹脂液の調製>
ストレートシリコーン樹脂(信越化学社製KR255) 20.0質量%
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 2.0質量%
キシレン 78.0質量%
上記の3種の材料を混合し、樹脂液1を得た。
<2.樹脂浸透工程>磁性成分粒子Aの質量に対してシリコーン樹脂の質量が10質量%となるように、磁性成分粒子Aの空孔に樹脂液1を浸透させ、磁性成分粒子Aの空孔を樹脂で充填した。樹脂の充填は、万能混合攪拌機(製品名NDMV;不二パウダル株式会社)を用いて、真空度を50kPaにし、70℃に加熱して行った。樹脂液1は、0分、10分、20分の3回に分け投入し、その後、1時間攪拌した。
<3.乾燥工程>万能混合攪拌機(製品名NDMV;不二パウダル株式会社)を用いて、真空度を5kPaにし、100℃で5時間加熱してキシレンを除去した。
<4.硬化工程>200℃で3時間加熱し樹脂を硬化させた。
<5.篩工程>篩振とう機(300MM−2型、筒井理化学器械株式会社)を用い、目開き75μmの篩で篩い、磁性キャリア1を得た。尚、得られた磁性キャリア1は、多孔質磁性コア粒子の表面が、空孔に充填された樹脂によって覆われていた。得られた磁性キャリア1の物性値を表5に示す。
【0096】
[磁性キャリア2の製造例]
磁性キャリア1の製造例において、磁性成分粒子Aに変えて、磁性成分粒子Bを用いた。更に、磁性キャリア1の製造例の樹脂浸透工程において、磁性成分粒子の質量に対して
シリコーン樹脂の質量が20質量%となるように樹脂液1を浸透させた。それ以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして、磁性キャリア2を得た。得られた磁性キャリア2の物性値を表5に示す。
[磁性キャリア3の製造例]
磁性キャリア1の製造例において、磁性成分粒子Aに変えて、磁性成分粒子Cを用いた。更に、磁性キャリア1の製造例の樹脂浸透工程において、磁性成分粒子の質量に対してシリコーン樹脂の質量が5質量%となるように樹脂液1を浸透させた。それ以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして、磁性キャリア3を得た。得られた磁性キャリア3の物性値を表5に示す。
[磁性キャリア4、5及び10の製造例]
磁性キャリア1の製造例において、磁性成分粒子Aに変えて、磁性成分粒子D、E或いはHを用いた以外は磁性キャリア1の製造例と同様にして、磁性キャリア4、5、10をそれぞれ得た。得られた磁性キャリア4、5及び10の物性値を表5に示す。
【0097】
[磁性キャリア6の製造例]
<1.樹脂液の調製工程>
ポリメチルメタクリレート(Mw=58,000) 1.5質量%
トルエン 98.5質量%
以上を混合し、樹脂液2を得た。
<2.樹脂浸透工程>磁性成分粒子Aの質量に対してポリメチルメタクリレートの質量が4質量%となるように、磁性成分粒子Aの空孔に樹脂液2を浸透させ、磁性成分粒子Aの空孔を樹脂で充填した。樹脂の充填は、万能混合攪拌機(製品名NDMV;不二パウダル株式会社)を用いて、真空度を50kPaにし、60℃に加熱して行った。樹脂液2は、0分、10分、20分の3回に分け投入し、その後、1時間攪拌した。
<3.乾燥工程>万能混合攪拌機(製品名NDMV;不二パウダル株式会社)を用いて、真空度を5kPaにし、100℃で5時間加熱してトルエンを除去した。
<4.硬化工程>オーブンを用い、窒素雰囲気下で、220℃で3時間加熱し樹脂を硬化させた。
<5.篩工程>篩振とう機(300MM−2型、筒井理化学器械株式会社)を用い、目開き75μmの篩で篩い、樹脂含有磁性粒子6を得た。樹脂含有磁性粒子6を磁性キャリア6とした。尚、得られた磁性キャリア6は、多孔質磁性コア粒子の表面が、空孔に充填された樹脂によって覆われていた。得られた磁性キャリア6の物性値を表5に示す。
【0098】
[磁性キャリア7の製造例]
磁性キャリア1の製造例で得られた磁性キャリア1を、衝突式気流粉砕機を用いて粉砕し、その後、風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級して、磁性キャリア7を得た。得られた磁性キャリア7の物性値を表5に示す。
[磁性キャリア8の製造例]
磁性キャリア2の製造例において、キャリアの磁性成分粒子Bからキャリアの磁性成分粒子Fに変更した以外は同様にして、磁性キャリア8を得た。得られた磁性キャリア8の物性値を表5に示す。
[磁性キャリア9の製造例]
磁性キャリア3の製造例において、キャリアの磁性成分粒子Cからキャリアの磁性成分粒子Gに変更した以外は同様にして、磁性キャリア9を得た。得られた磁性キャリア9の物性値を表5に示す。
[磁性キャリア11の製造例]
磁性キャリア6の製造例の樹脂浸透工程において、磁性キャリアコア(磁性成分粒子A)の質量に対してポリメチルメタクリレートを3質量%用いるように変更する以外は同様にして、磁性キャリア11を得た。得られた磁性キャリア11の物性値を表5に示す。
[磁性キャリア12の製造例]
磁性キャリア2の製造例において、キャリアの磁性成分粒子Bからキャリアの磁性成分粒子Iに変更した以外は同様にして、磁性キャリア12’を得た。該磁性キャリア12’と磁性キャリア1を20:80の質量比になるように混合し、磁性キャリア12を得た。得られた磁性キャリア12の物性値を表5に示す。
[磁性キャリア13の製造例]
トルエン20質量部,ブタノール20質量部、水20質量部、氷40質量部を四つ口フラスコにとり、撹拌しながらCHSiCl15モルと(CHSiCl10モルとの混合物40質量部を加え、更に30分間撹拌した後、60℃で1時間縮合反応を行った。その後シロキサンを水で十分に洗浄し、トルエン−メチルエチルケトン−ブタノール混合溶媒に溶解して固型分10%のシリコーンワニスを調製した。このシリコーンワニスにシロキサン固型分100質量部に対して2.0質量部のイオン交換水および2.0質量部の下記(3)の硬化剤と、3.0質量部の下記アミノシランカップリング剤(4)を同時添加し、キャリア被覆溶液を作製した。
【化2】

【化3】


塗布機(岡田精工社製:スピラコーター)を用いて、上記キャリア被覆溶液を上記磁性成分粒子J100質量部に樹脂コート量が1.0質量部となるように塗布し、シリコーン樹脂で被覆された磁性キャリア13を得た。得られた磁性キャリア13の物性値を表5に示す。
【0099】
【表5】

【0100】
[実施例1〜6、参考例7〜38、比較例1〜12]
上記磁性キャリアとトナーとを表6に示すように組合せ、スタート用現像剤及び補給用現像剤を作成し、キヤノン(株)製フルカラー複写機CLC5000改造機(改造の内容は後述)に充填し、各種評価を実施した。なお、スタート用現像剤は、磁性キャリア90質量部にトナー10質量部を加え、常温常湿(23℃、50%RH)の環境において、V型混合機により混合して調製した。また、実施例1〜6、参考例7〜19及び比較例1〜4で用いられる補給用現像剤は、磁性キャリア10質量部にトナー90質量部を加え、常温常湿(23℃、50%RH)の環境において、V型混合機により混合して調製した。さ
らに、参考例20〜38、および比較例5〜12の補給用現像剤は、磁性キャリアを含有しない。補給用現像剤は、補給用現像剤容器に充填した。
上記CLC5000改造機の改造点は以下のとおりである。
現像器を図6のように、補給用現像剤導入口105より、補給用現像剤を導入し、過剰になった磁性キャリアが、現像室に設置してある排出口106より排出されるように改造した。また、レーザースポット径を絞り、600dpiで出力できるようにした。更に、定着ユニットの定着ローラーの表層をPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)チューブに変え、オイル塗布機構を取り外した。
【0101】
<評価>
転写材(紙:OKトップコート、127.9g/m、王子製紙株式会社)上に、単色ベタ画像を形成し、反射濃度が1.5となるトナー載り量を求めた。反射濃度は、分光濃度計500シリーズ(X−Rite社)を用いて画像濃度を測定した。
単色ベタ画像の反射濃度が1.5となるトナー載り量の条件で、常温低湿(23℃、5%RH)の環境下で、画像面積が5%となるチャートを用いて、5万枚の耐久画像出力試験を行った。常温低湿での試験終了後、色味変動(ΔE)、キャリア付着、カブリを評価した。その後、引き続き、高温高湿環境(30℃、80%RH)下で、画像面積が25%となるチャートを用いて、さらに5万枚の耐久画像出力試験を行った。高温高湿での試験終了後、耐久後の転写中抜け、転写性、クリーニング性を評価した。尚、評価項目と評価基準については、下記に示すとおりである。得られた評価結果を表7に示す。
【0102】
<カブリの評価>
紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメーター(東京電色社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。次に、5万枚の耐久画像出力試験後にベタ白画像を印刷し(Vback 150Vに設定)、該ベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。下記式を用いてカブリ(%)を算出した。
カブリ(%) = Dr(%)−Ds(%)
得られたカブリ(%)を下記の評価基準に従って評価した。
A: 0.5%未満(良い)
B: 0.5%以上1.0%未満
C: 1.0%以上2.0%未満
D: 2.0%以上(悪い)
【0103】
<耐久前後の色味変動の評価>
耐久試験前に、紙上のベタ定着画像で反射濃度が1.5となるトナー量が紙上に載るように現像電圧を調整した。続いて、定着器を取り外し、ベタ画像(3cm×3cm)を400線で出力し、評価用未定着画像を得た。次いで、5万枚の耐久画像出力試験後に、耐久試験前と同じ現像電圧で、同様の未定着ベタ画像を出力した。
CLC5000の定着器を取り外し、取り外した定着器の定着ローラーを160℃に温調し、300mm/secで通紙し、定着画像を得た。次いで得られた定着画像の色度測定を行った。色度測定には、色度計(Spectrolino、GRETAGMACBETH社製)を用い、観測光源はD50、観測視野は2°にて行い、ΔEを算出し評価を行った。
色味変動は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格された表色系の定義に基づき、耐久前後のベタ画像の色差(ΔE)を以下の通り定量的に評価し、以下の評価基準に基づいて評価した。
ΔE={(L1−L2+(a1−a2+(b1−b21/2L1: 耐久前の画像の明度
a1,b1: 耐久前の画像の色相と彩度を示す色度
L2: 耐久後の画像の明度
a2,b2: 耐久後の画像の色相と彩度を示す色度
(ΔEの評価基準)
A: 0.0以上1.5未満(良い)
B: 1.5以上3.0未満
C: 3.0以上6.0未満
D: 6.0以上(悪い)
【0104】
<ドット再現性の評価>
常温低湿(23℃、5%RH)の環境下で5万枚の耐久画像出力試験を行った後に評価を実施した。評価は、次のように行う。1画素を1ドットで形成するドット画像を作成した。紙上の1ドットあたりの面積が、20000μm以上25000μm未満となるように、キヤノン(株)製のCLC−5000のレーザービームのスポット径を調整した。その後、デジタルマイクロスコープVHX−500(レンズワイドレンジズームレンズVH−Z100を装着・共にキーエンス社製)を用い、ドット1000個あたりの面積を測定した。ドット面積の個数平均(S)とドット面積の標準偏差(σ)を算出し、ドット再現性指数を下式により算出した。
ドット再現性指数(I)=σ/S×100
(ドット再現性の評価基準)
A: Iが4.0未満(良い)
B: Iが4.0以上6.0未満
C: Iが6.0以上8.0未満
D: Iが8.0以上(悪い)
【0105】
<画像の中抜け評価>
高温高湿環境下(30℃/80%RH)での5万枚の耐久画像出力試験後、紙上のトナー載り量が単色ベタの反射濃度で1.5となるように現像コントラストを調整する。縦横両方向に細線が存在するよう画像を形成し、2、4、6、8、10ドットラインを各二本、各ライン間の非潜像部幅が約1mmになるようプリントし、目視及び20倍ルーペにより観察した。
(中抜けの評価基準)
A: 2ドットラインにおいて、拡大観察によっても中抜けが殆ど観察されない画像。
B: 2ドットラインにおいて、拡大観察によって中抜けが若干観察され、目視では観察されない画像。
C: 2ドットラインにおいて、目視によって中抜けが観察され、4ドットラインにおいて、目視によって中抜けが観察されない画像。
D: 4ドットラインにおいて、目視によって中抜けが観察される画像。
【0106】
<転写性の評価>
高温高湿環境下(30℃/80%RH)での5万枚の耐久画像出力試験後に、ベタ画像を出力した。ベタ画像形成時の感光体ドラム上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープによりテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼り、その濃度を分光濃度計500シリーズ(X−Rite社)で測定した。また、粘着テープのみを紙上に貼り、その際の濃度も測定した。前者の濃度から後者の濃度の値を差し引いた濃度差を算出し、この濃度差に基づいて評価した。
(転写性の評価基準)
A: 非常に良好(濃度差0.05未満)
B: 良好(濃度差0.05以上0.1未満)
C: 普通(濃度差0.1以上0.2未満)
D: 悪い(濃度差0.2以上)
【0107】
<クリーニング性の評価>
高温高湿環境下(30℃/80%RH)での5万枚の耐久画像出力試験後に、さらに画像面積比率10%の画像を1000枚出力した。1000枚出力後の画像において、クリーニングされない残トナーに起因するたて筋状や斑点状の像の発生の程度を観察した。
(クリーニング性の評価基準)
A: 非常に良好(画像欠陥はまったくない。)
B: 良好(斑点状の模様が2〜3点発生。)
C: 普通(斑点状あるいは筋状の模様が若干発生。)
D: 悪い(斑点状、筋状の模様、濃度ムラが発生。)
【0108】
<定着下限温度の評価>
CLC5000改造機を用い、記録材上におけるベタ部反射濃度が1.5となるのに必要なトナーの載り量を求め、その2倍量のトナーが記録材上に載るよう現像条件及び転写条件を調整した。この条件で、図11に示す未定着画像(A4)を出力した。尚、記録材としては、127.9g/m紙(OKトップコート、王子製紙株式会社)を用いた。得られた画像は、低温低湿環境下(15℃/10%RH)にて24時間調湿し、その後、同環境下にてトナーの定着性の評価を行った。定着器としては、CLC5000の定着器を取り外し、取り外した定着器の定着ローラー温度を100〜200℃の範囲で5℃ずつ上げながら、プロセススピード350mm/secにて通紙を行った。トナー画像が定着された記録材をトナー画像部分で十字に折り曲げ、その上を外径60mm、長さ40mmの円柱状のローラー(真鍮製:798g)を5往復させた。その後、折り曲げた箇所を開き、22mm×22mm×47mmの四角柱状のおもり(真鍮製:198g)の断面にシルボン紙(ダスパーK3−半切、小津産業(株)製)を巻き付け10回擦った。この試験で、トナー像の剥離率が25%以下となる温度を、定着下限温度とした。剥離率の測定には、画像処理システム(Personal IAS(登録商標)、QEA社)を用いた。
【0109】
<キャリア付着の評価>
常温低湿(23℃、5%RH)の環境下で、5万枚の耐久画像出力試験後に、紙上におけるトナーの載り量が0.1mg/cmとなるように現像電圧を調整し、その条件で、ベタ画像(1cm×1cm)用の潜像を感光ドラム上に形成した。感光ドラム上に形成された潜像をトナーで現像した時点で本体電源を切り、感光ドラム上に付着している磁性キャリアの個数を光学顕微鏡で数えた。
(キャリア付着の評価基準)
A: 3個以下(良い)
B: 4個以上10個以下
C: 11個以上20個以下
D: 21個以上(悪い)
【0110】
【表6】

【0111】
【表7】

【0112】
[実施例39]
実施例1の構成としたマゼンタ二成分系現像剤、参考例7の構成としたイエロー二成分系現像剤、参考例12の構成としたシアン二成分系現像剤を、前述のキヤノン(株)製フルカラー複写機CLC5000改造機に充填した。そして、各色の単色ベタ画像濃度が1.5となるトナー載り量の条件で、フルカラー画像形成を行ったところ、良好なフルカラー画像が得られた。尚、本実施例では、ブラック現像剤を用いずにフルカラー画像の形成
を行ったが、ブラック現像剤を用いた場合にも、良好なフルカラー画像が同様に得られる。
【符号の説明】
【0113】
11 下部電極、12 上部電極、13 絶縁物、14 電流計、15 電圧計、16 定電圧装置、17 磁性キャリア、18 ガイドリング、61a 感光体、62a 帯電ローラー、63a 現像器、64a 転写ブレード、65a 補給用現像剤容器、67a
露光光、68 転写材担持体、69 分離帯電器、70 定着装置、71 定着ローラー、72 加圧ローラー、75 加熱手段、76 加熱手段、79 クリーニング装置、80 駆動ローラー、81 ベルト従動ローラー、82 ベルト除電器、83 レジストローラー、85 トナー濃度検知センサー、101 補給用現像剤容器、102 現像器、103 クリーニングユニット、104 廃現像剤容器、105 補給用現像剤導入口、106 排出口、Pa 画像形成ユニット、Pb 画像形成ユニット、Pc 画像形成ユニット、Pd 画像形成ユニット、E 抵抗測定セル、L 試料厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するマゼンタトナー粒子と外添剤とを有するマゼンタトナー、及び、磁性キャリアを含有する二成分系現像剤であって、
前記マゼンタトナーが、
i)前記マゼンタトナーのクロロホルム溶解液におけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、前記溶解液の波長538nmにおける吸光度をA538としたときに、CmとA538の関係が、下記式(3)を満足し、
2.00<A538/Cm<6.55 (3)
ii)前記マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度Cが、35.0≦L≦45.0及び60.0≦C≦72.0であり、
iii)前記マゼンタトナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した前記マゼンダトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であること、
を特徴とする二成分系現像剤。
【請求項2】
前記マゼンタトナーのCmとA538の関係が、下記式(4)を満足し、
2.40<A538/Cm<4.90 (4)
前記マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度Cが、35.0≦L≦45.0及び62.0≦L≦72.0であることを特徴とする請求項1に記載の二成分系現像剤。
【請求項3】
前記マゼンダトナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した前記マゼンダトナーの摩擦帯電量の絶対値が50mC/kgのときの、遠心分離法による前記マゼンダトナーと前記磁性キャリアとの付着力(F50)が11nN以上16nN以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分系現像剤。
【請求項4】
前記磁性キャリアが、少なくとも磁性コア粒子と樹脂成分を含有する磁性キャリアであり、前記磁性キャリアの磁性コア粒子の固め見掛け密度をρ1(g/cm)、真密度をρ2(g/cm)としたときに、0.80≦ρ1≦2.40、かつ、0.20≦ρ1/ρ2≦0.42であり、
前記磁性キャリアの磁性コア粒子の比抵抗が1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cm以下であり、
磁性キャリアの体積分布基準の50%粒径をD50とした時、D50−5μm以上D+5μm以下の粒径を有する前記磁性キャリアの平均破壊強度をP1(MPa)とし、粒径10μm以上20μm未満の粒径を有する前記磁性キャリアの平均破壊強度をP2(MPa)としたときに、0.50≦P2/P1≦1.10であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
【請求項5】
前記マゼンタトナーは、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.37μm×0.37μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径(個数基準)2.0μm以上200.00μm以下の前記マゼンタトナーの平均円形度が0.945以上0.970以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
【請求項6】
前記外添剤は無機微粒子を含有し、前記無機微粒子の個数平均粒径が80nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の二成分系現像剤。
【請求項7】
前記無機微粒子が、ゾルゲル法により製造された球状シリカであることを特徴とする請求
項6に記載の二成分系現像剤。
【請求項8】
補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する二成分現像方法に使用する補給用現像剤において、
前記補給用現像剤は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するマゼンタトナー粒子と外添剤とを有するマゼンタトナー、及び、磁性キャリアを、磁性キャリア1質量部に対してマゼンタトナーを2質量部以上50質量部以下の質量比で含有する二成分系現像剤であって、
前記マゼンタトナーが、
i)前記マゼンタトナーのクロロホルム溶解液におけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、前記溶解液の波長538nmにおける吸光度をA538としたときに、CmとA538の関係が、下記式(3)を満足し、
2.00<A538/Cm<6.55 (3)
ii)前記マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度Cが、35.0≦L≦45.0及び60.0≦C≦72.0であり、
iii)前記マゼンダトナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した前記マゼンタトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であること、
を特徴とする補給用現像剤。
【請求項9】
像担持体を帯電させる帯電工程;前記帯電工程で帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程;前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するマゼンタトナー粒子と外添剤とを有するマゼンタトナー、及び、磁性キャリアを含有する二成分系現像剤を用いて現像し、マゼンタトナー画像を形成する現像工程;前記静電潜像担持体上のマゼンタトナー画像を、中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程;及び、前記マゼンタトナー画像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
前記転写材に形成される未定着のマゼンタトナー画像において、単色ベタ画像部分(画像濃度1.5)の前記マゼンタトナーの載り量が0.10mg/cm以上0.50mg/cm以下の範囲であり、
前記マゼンタトナーが、
i)前記マゼンタトナーのクロロホルム溶解液におけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、前記溶解液の波長538nmにおける吸光度をA538としたときに、CmとA538の関係が、下記式(3)を満足し、
2.00<A538/Cm<6.55 (3)
ii)前記マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度Cが、35.0≦L≦45.0及び60.0≦C≦72.0であり、
iii)前記マゼンダトナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した前記マゼンダトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であること、
を特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記転写材に形成される未定着のマゼンタトナー画像において、単色ベタ画像部分(画像濃度1.5)の前記マゼンタトナーの載り量が0.10mg/cm以上0.35mg/cm以下の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記マゼンタトナーのCmとA538の関係が、下記式(4)を満足し、
2.40<A538/Cm<4.90 (4)
前記マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L及び彩度Cが、35.0≦L≦45.0及び62.0≦C≦72.0であることを特徴とする請求項9または10に記載の
画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−70217(P2011−70217A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266965(P2010−266965)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【分割の表示】特願2010−25711(P2010−25711)の分割
【原出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】