説明

二次元座標測定機の測定テーブル

【課題】二次元座標測定機において、大型の測定物を測定できるようにしながら、製造コストとメンテナンスコストを上げないような測定テーブルを提供する。
【解決手段】最大の測定物の縦及び横よりいくらか大きな縦及び横を有するとともに上面を研削しポリシングされたガラス製の測定物載置部(36)と、測定物載置部の4辺にそれぞれ連結するために測定物載置部との連結部を設けた周辺板(38)と、前記測定物載置部及び前記周辺板の平面度を調整する平面度調整手段(42)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、種々の製品の寸法形状が設計図面と一致しているかどうかの検査に用いられる二次元座標測定機の測定テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
二次元座標測定機としては、下記特許文献1に開示されたようなもの(測定テーブルが固定された二次元座標測定機)が知られている。この二次元座標測定機は、図6に示したように、基台10上に設置されたガラス製の測定テーブル21の下方から測定物に向けて照明光を照射し、測定物の上面側に、例えば、CCDカメラ等の検出器18を設置し、検出器18により測定物を撮像して、測定物の各部の座標を数μmといった精度で測定するものである。
【0003】
なお、検出器18は、二次元座標測定機に固定した直交座標系のX軸に平行なX軸フレーム14上をスライド可能になっている。また、X軸フレーム14は、X軸と直交するY軸と平行な一対のガイドレール12にガイドされてY軸方向へ移動可能になっている。これで、検出器18は、テーブル21上の任意の点へ自在に移動可能になっている。
【0004】
なお、二次元座標測定機の測定テーブルには、前記したような固定式のものもあるが、測定テーブルが移動可能な移動式のものもある。
【特許文献1】特許第2889083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、液晶表示装置に特に大型の液晶ガラス基板が用いられるようになってきた。このような大型の液晶ガラス基板を二次元座標測定機で測定するためには、測定テーブルを液晶ガラス基板よりもさらに大型化しなければならない。
【0006】
しかしながら、大型のガラス製の測定テーブルを製造することは困難で、測定テーブルが高価になるという問題があった。さらに、測定テーブルの上面を高精度な平面とするため、その上面を研削しポリシングする必要があることが、測定テーブルをいっそう高価にしていた。また、メンテナンスのために測定テーブルの交換が必要になる場合があるが、測定テーブルが大きいと、メンテナンスの費用も高価になるという問題があった。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、二次元座標測定機において、大型の測定物を測定できるようにしながら、製造コストとメンテナンスコストを上げないような測定テーブルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の二次元座標測定機の測定テーブルでは、最大の測定物の縦及び横よりいくらか大きな縦及び横を有するとともに上面を研削しポリシングされたガラス製の測定物載置部と、該測定物載置部の4辺にそれぞれ連結するために前記測定物載置部との連結部を設けた周辺板と、前記測定物載置部及び前記周辺板の平面度を調整する平面度調整手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明の二次元座標測定機の測定テーブルでは、上テーブルと、該上テーブルの下側に設置された下テーブルと、前記上テーブルと前記下テーブルの間に配置され前記上テーブルの平面度を調整する平面度調整手段とを備えており、前記上テーブルは、最大の測定物の縦及び横よりいくらか大きな縦及び横を有するとともに上面を研削しポリシングされたガラス製の測定物載置部と、該測定物載置部の4辺にそれぞれ連結するために前記測定物載置部との連結部を設けた周辺板とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、最大の測定物の縦及び横よりいくらか大きな縦横を有するとともに上面を研削しポリシングされたガラス製の測定物載置部の4辺それぞれに周辺板を連結した測定テーブルとしたから、これまで測定物を載置できなかった測定テーブルの周縁部においては、上面を研削しポリシングする必要のない周辺板とすることができる。これで、上面を研削しポリシングする必要がある測定物載置部の大型化を避けることができ、大型の測定物を測定できるようにしながら、製造コストとメンテナンスコストを上げないで済む。また、測定物載置部及び周辺板の平面度を調整する平面度調整手段とを備えたから、測定テーブルが大型化して自重によって撓み易い場合でも、測定物載置部を高精度の平面度に維持して、高精度な座標測定を可能にする。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明と同様に、測定物載置部と該測定物載置部の4辺に連結された周辺板を備えた上テーブルを有し、かつ、上テーブルと下テーブルの間に平面度調整手段とを備えたから、請求項1に係る発明と同じ効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添附図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例に係る測定テーブルの平面図である。図2は、図1におけるII−II線に沿う断面図である。図3は、測定テーブルを二次元測定機に固定した状態を示す断面図である。図4は、測定テーブルの平面度調整手段を説明する断面図である。
【0013】
この測定テーブル30は、図2に示したように、略同じ形状と大きさを有する上テーブル32と下テーブル34とから構成される。そして、測定テーブル30は、例えば、図3に示したような二次元座標測定機の基台10上の凹部10a内に載置される。
【0014】
上テーブル32は、図1に示したように、最大の測定物の縦及び横よりいくらか大きな縦及び横を有する長方形でガラス製の測定物載置部36と、測定物載置部36の4辺にそれぞれ連結されたポリシングされていない周辺板(例えば、金属板又はガラス板)38とからなる。測定物載置部36の上面は研削とポリシングをして高精度なガラス平面にされる。
【0015】
周辺板38は、本実施例では、幅wが約200mm程度の長方形の金属板とした。もちろん、周辺板38をガラス板又はセラミック板としてもよい。周辺板38を金属製とすると、測定テーブル30を強固にすることができるとともに、測定物載置部36との連結部の形成を容易にできる。測定物載置部36と周辺板38との間は、接合ピン40と接着剤とで連結される。
【0016】
下テーブル34は、その上面を研削とポリシングをせず、4辺に周辺板38を接続せずに1枚のガラス板から構成する。下テーブル34は、研削とポリシングが不要なため、1枚のガラス板から構成したほうが、下テーブル34の四辺に周辺板を接続する場合よりもコスト増加が少なくなる。また、下方から透過照明した場合に、均一な照明を可能にするためである。測定テーブル30は、二次元座標測定機の基台10上の凹部10aの底に高さ調整可能に取り付けられているテーブル受座46上に載置される。下テーブル34の周縁部は、測定テーブル30を二次元座標測定機の基台10に水平調整ねじ48によって水平方向のずれを固定している。
【0017】
上テーブル32と下テーブル34との間には、多数個所に平面度調整手段42が配置される。平面度調整手段42は、図4に示すように、上側T形ナット50、下側T形ナット52、頭無しボルト54及び十字形ボルト56とからなる。上側T形ナット50は、頭50aの内面からは鍔50bが突出しており、軸部50cの内面と頭50aの内面の途中までめねじ50dが切られている。下側T形ナット52は、頭52aと軸部52cの内面全体にめねじ52dが切られている。頭無しボルト54は、外周面の全長にわたっておねじ54dが切られており、上端にドライバー挿入用溝54eが切られている。十字形ボルト56は、下端におねじ56dが切られており、略中央から鍔56bが突出しており、上端にドライバー挿入用溝56eが切られている。
【0018】
上テーブル32と下テーブル34とを平面度調整手段42で連結するには、最初に上側T形ナット50の軸部50cの外周面50gと頭50aの上面50fに接着剤を塗布して、これを上テーブル32の下側から挿入して固着する。次に、下側T形ナット52の頭52aの下面52fと軸部52cの外周面52gに接着剤を塗布して、これを下テーブル32の上側から挿入して固着する。次に、十字形ボルト56を上テーブル32の上側から挿入して、これを下側T形ナット52に螺合させ、上側T形ナット50の鍔50bと十字形ボルト56の鍔56bとを当接させる。次に、頭無しボルト54を上テーブル32の上側から挿入して、これを上側T形ナット50に螺合させ、頭無しボルト54の先端54gを十字形ボルト56の鍔56bに当接させる。ここで、上側T形ナット50の軸部50cの上端、頭無しボルト54の上端及び十字形ボルト56の上端は、上テーブル32の上面よりいくらか低くされて、測定に支障が出ないようにする。また、下側T形ナット52の下端及び十字形ボルト56の下端は、下テーブル34の下面よりいくらか高くされている。
【0019】
こうして、両テーブル32、34を平面度調整手段42で連結すると、上テーブル32の上面からドライバーで十字形ボルト56のドライバー挿入用溝56eに挿入して、これを回すことによって、上テーブル32の各部を上下に変位させて、測定物載置部36の上面を高精度な平面に調整することができる。
【0020】
なお、上テーブル32の平面度を調整するには、検出器18のかわりに1μ読みマイクロメータを取付け、これを所定位置に移動して上テーブル32の上面の高さを検査することによって行う。
【0021】
本実施例によれば、上テーブル32が最大の測定物の縦及び横よりいくらか大きな縦及び横を有する長方形でガラス製の測定物載置部36と、測定物載置部36の4辺にそれぞれ連結された周辺板38とからなるので、これまで測定物を載置できなかった上テーブル32の周縁部を周辺板38として、上面を研削しポリシングする必要がなくなる。このため、測定物が大きくなっても、研削とポリシングが必要な測定物載置部36の大型化を避けながら、大型の測定物を測定できるようになり、しかも製造コストとメンテナンスコストを上げないで済む。
【0022】
ところで、本発明は、前記実施例に限るものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、前記実施例では測定テーブル30は、上テーブル32と下テーブル34の2枚から構成されたが、1枚のテーブルだけから構成することも可能である。この場合は、平面度調整手段は、基台とテーブルの間に配置される。また、前記実施例では、図1に示したような4枚の周辺板38を用いたが、図5の(A)に示したような4枚の周辺板を用いてもよいし、図5の(B)に示したように、6枚の周辺板38を用いてもよい。図5に示した実施例においては、いっそうのコスト低減を図るため、各周辺板38が全て同じ大きさと形にすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例に係る二次元座標測定機の測定テーブルの平面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿う断面図である。
【図3】測定テーブルを二次元座標測定機に固定した状態を示す断面図である。
【図4】平面度調整手段を説明する断面図である。
【図5】本発明の別の実施例に係る二次元座標測定機の測定テーブルの平面図である。
【図6】従来の二次元座標測定機の斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
30 測定テーブル
32 上テーブル
34 下テーブル
36 測定物載置部
38 周辺板
40 接合ピン
42 平面度調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大の測定物の縦及び横よりいくらか大きな縦及び横を有するとともに上面を研削しポリシングされたガラス製の測定物載置部と、該測定物載置部の4辺にそれぞれ連結するために前記測定物載置部との連結部を設けた周辺板と、前記測定物載置部及び前記周辺板の平面度を調整する平面度調整手段を備えたことを特徴とする二次元座標測定機の測定テーブル。
【請求項2】
上テーブルと、該上テーブルの下側に設置された下テーブルと、前記上テーブルと前記下テーブルの間に配置され前記上テーブルの平面度を調整する平面度調整手段とを備えた二次元座標測定機の測定テーブルであって、
前記上テーブルは、最大の測定物の縦及び横よりいくらか大きな縦及び横を有するとともに上面を研削しポリシングされたガラス製の測定物載置部と、該測定物載置部の4辺にそれぞれ連結するために前記測定物載置部との連結部を設けた周辺板とを備えたことを特徴とする二次元座標測定機の測定テーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−58368(P2009−58368A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225785(P2007−225785)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000148623)株式会社 ソキア・トプコン (114)
【Fターム(参考)】