二次電池用トリアジン含有電極材料
本発明は、活物質として、トリアジン構造要素に結合された立体障害ニトロキシドラジカルの酸化還元のサイクルを利用する、安定な二次電池に関する。本発明の別の局面は、このような二次電池を提供する方法、それぞれの化合物の二次電池における活物質としての使用、および選ばれた新規なニトロキシド化合物である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質として、トリアジン構造要素に結合された立体障害ニトロキシドラジカルの酸化還元サイクルを利用する、安定な二次電池に関する。本発明の別の局面は、このような二次電池を与える方法、それぞれの化合物の二次電池における活物質としての使用、および選ばれた新規なニトロキシド化合物である。
【0002】
有機ラジカル電池におけるカソード活物質としてのニトロキシドポリマーは、例えばElectrochimica Acta 50, 827 (2004)にすでに記載されている。4−メタ−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造、そのフリーラジカル重合、続いてポリマーの対応するポリマーニトロキシドへの酸化が記載されている。
【0003】
二次電池の電極材料における活物質として、例えばニトロキシドラジカルのような種々のラジカルの使用も、EP1128453に開示されている。電池電解液中で電極材料は低溶解性または不溶性であるのが好ましいので、ポリマーまたはオリゴマーのニトロキシドが特に有用である。
【0004】
電子装置、例えば携帯電話およびモバイルパーソナルコンピュータ(ラップトップ)の市場の急速な拡大のために、ここ数年、高いエネルギー密度を有する小さく大容量の二次電池がますます必要とされてきている。
【0005】
現在、このような用途に最も多く用いる二次電池は、リチウムイオン二次電池である。このようなリチウムイオン二次電池は、活物質として、正極(カソード)にリチウム含有遷移金属酸化物を、負極(アノード)に炭素が用いられ、充電および放電を、これら活物質からのLiの挿入およびLiの脱離を介して行う。
【0006】
しかし、リチウムイオン二次電池は、特に正極に比重の大きな遷移金属酸化物を用いるので、単位重量当りの二次電池容量は望ましいものではない。したがって、より軽量の電極材料を用いる大容量の二次電池の開発が試みられてきている。例えば、米国特許第4,833号および第2,715,778号には、正極にジスルフィド結合を有する有機化合物を用いる二次電池が開示されており、これはジスルフィド結合の形成および解離を伴う電気化学的な酸化−還元反応を二次電池の原理として利用する。
【0007】
上記のように、EP1128453には、同様に、二次電池の電極材料における活物質として、例えばニトロキシドラジカルが開示されている。
【0008】
驚くべきことには、1,3,5トリアジンに化学結合されたニトロキシドラジカルが、分子中に存在する全てのニトロキシド基の可逆酸化/還元から理論的に到達しうる値よりも高い充電容量を有する電極活物質をもたらすことができることが今や見出された。1,3,5トリアジンとニトロキシドの分子組合せは、実に、予期せざる驚くべき相乗効果を示すことができる。この効果は、今までは確認または記述されていない。
【0009】
本発明の一つの局面は、正極または負極の少なくとも一方における可逆酸化/還元サイクルで、活物質の電極反応を利用する改良された容量を有する二次電池であって、この活物質が、
式(Ia)〜(Iq):
【0010】
【化88】
【0011】
[式中、*は、トリアジン構造要素への結合を示す原子価であり;
アリールは、フェニルまたはナフチルであり;そして
Gは、
【0012】
【化89】
【0013】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である]のラジカルであって、直接または結合基を介して式(II):
【0014】
【化90】
【0015】
(式中、*は、式(Ia)〜(Iq)のラジカル少なくとも1種が、直接または結合基を介して付けられる結合を示す)のトリアジン構造要素に化学結合されたラジカルよりなる群から選択される化合物を含むが;
ただし化合物(A):
【0016】
【化91】
【0017】
は除外される、二次電池である。
【0018】
この発明は、ラジカル化合物を電極活物質として用いる二次電池を提供する。ラジカル化合物が軽元素、例えば炭素、水素および酸素からなるなら、重量当りのエネルギー密度が高い二次電池を提供することが期待できる。
【0019】
本明細書で用いる電極活物質は、充電および放電反応のような電極反応に直接に寄与する材料を指し、二次電池システムにおいて主要な役割を果たす。この発明における活物質は、正極または負極いずれかの活物質としても用いることができるが、これは重さが軽いという特徴があり、金属酸化物系に比べてエネルギー密度が良好であるので、正極活物質として使用するのがより好ましいであろう。
【0020】
エネルギー貯蔵の基本的機構は、スキーム1:
【0021】
【化92】
【0022】
で表されるニトロキシドラジカルの可逆酸化/還元である。
【0023】
オキソアンモニウムカチオンの対イオンA-は、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3およびLIC(C2FsSO2)3から誘導されるアニオンとすることができる。
【0024】
たとえ、全レドックス枠(ヒドロキシルアミンアニオン<−−>オキソアンモニウムカチオン)の使用が可能であるとしても、現在のところ好ましい電池は、レドックスペア:ニトロキシドラジカル<−−>オキソアンモニウムカチオンを用いる。したがって、電子は酸化状態N+=Oと還元状態N−O*の間で交換される。
【0025】
したがって、上述の電極反応が正極での反応である二次電池が好ましい。
【0026】
この発明では、成分間の結合を補強するためにバインダーを用いることができる。
【0027】
バインダーの例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンとブタジエンのコポリマーゴム、並びに樹脂バインダー、例えばポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリイミドが挙げられる。
【0028】
本発明によれば、正極および負極の少なくとも一方における活物質は、トリアジン構造要素に結合されたラジカル化合物を含み、その量は制限されない。しかし、二次電池としての容量は電極中に含まれるラジカル化合物の量に依存するので、十分な効果をあげるためには、含量は、望ましくは10〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、特に50〜100重量%である。
【0029】
電極活物質として2種以上のラジカル化合物を用いることもできる。本発明による化合物は、錯体活物質として機能するために、例えば公知活物質と混合してもよい。
【0030】
本発明のラジカル化合物を正極に使用する場合、負極層用の材料の例として、炭素材料、例えばグラファイトおよびアモルファスカーボン、リチウム金属またはリチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、および導電性ポリマーが挙げられる。これらの材料は、適切な形状、例えばフィルム、バルク、粒状化粉末、繊維およびフレークであってよい。
【0031】
電極層を形成する間、インピーダンスを低下させるために、補助導電材またはイオン伝導補助材を添加してもよい。このような材料の例には、補助導電材として炭素質の粒子、例えばグラファイト、カーボンブラック、およびアセチレンブラック、並びに導電性ポリマー、例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、およびポリアセン、そしてイオン伝導補助材としてゲル電解質および固体電解質が含まれる。
【0032】
本発明の好ましい態様は、活物質が、式(II)のトリアジン構造要素に化学結合された式(Ia)〜(Iq)のラジカルよりなる群から選択される化合物10〜100重量%を含む二次電池である。
【0033】
例えば、特にリチウムまたはリチウムイオン二次電池において、活物質の残りは、リチウム遷移金属/主族金属複合酸化物を含有する。このような活物質は、例えばLiMnPO4、LiCoO2、LiNiO2、LiNi1-xCoyMetzO2、LiMn0.5Ni0.5O2、LiMn0.3Co0.3Ni0.3O2、LiFePO4、LiMn2O4、LiFeO2、LiMet0.5Mn1.5O4、酸化バナジウム、またはこれら任意の2種以上の混合物(式中、MetはAl、Mg、Ti、B、Ga、Si、Ni、またはCoであり、0<x<0.3、0<z<0.5、0<y<0.5である)である。さらなる適切な活物質は、式Li1+xMn2-zMetyO4-mXn(式中、MetはAl、Mg、Ti、B、Ga、Si、Ni、またはCoであり、Xは、SまたはFであり、0<x<0.3、0<z<0.5、0<y<0.5、0<m<0.5および0<n<0.5である)のスピネルマンガン酸化物である。
【0034】
電極反応を促進するために、触媒を使用することもできる。触媒の例には、導電性ポリマー、例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンおよびポリアセン;塩基性化合物、例えばピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体およびアクリジン誘導体;並び金属イオン錯体がある。
【0035】
この発明において、ラジカル化合物の濃度を、好ましくは1019spin/g以上、より好ましくは1021spin/g以上に保持する。二次電池の容量に関しては、できるだけ多いspin/gが望ましい。
【0036】
一般に、ラジカル濃度は、スピン濃度で表すことができる。すなわち、スピン濃度は、単位重量当りの不対電子(ラジカル)の数を意味し、例えば、次の手順により、電子スピン共鳴スペクトル(以下、ESRスペクトルと呼ぶ)における吸収面積強度から求める。まず、ESR分光法で測定するサンプルを、例えば乳鉢中ですりつぶすことにより微粉砕し、これによりサンプルは表皮効果、すなわち、マイクロ波がサンプルに入り込めない現象を無視し得る粒子サイズまですりつぶされる。所定量の微粉砕されたサンプルを内径2mm以下、好ましくは1〜0.5mmの石英ガラスキャピラリーに充填し、10-5mmHg以下に減圧し、封止し、ESR分光法に付す。ESR分光法は、任意の市販されているモデルで行うことができる。スピン濃度は、得られたESRシグナルを2回積分して、それを検量線と比較して求めることができる。スピン濃度が正確に測定できるならば、分光計または測定条件は制限されない。二次電池の安定性のために、ラジカル化合物は安定であるのが望ましい。本明細書で用いる安定なラジカルは、ラジカルの形が長寿命である化合物を指す。
【0037】
したがって、活物質のスピン濃度が少なくとも1021spin/gである二次電池が好ましい。
【0038】
スキーム1で概説したように、エネルギー貯蔵の基本的機構は、ニトロキシドラジカルの可逆的酸化/還元である。それは、充電および放電の間に、常に2つの種、すなわちニトロキシドラジカルおよびその酸化形または還元形(それが正極の活物質であるか負極の活物質であるかに応じて)が存在することを意味する。
【0039】
二次電池の好適な態様では、Gはニトロキシドラジカル:
【0040】
【化93】
【0041】
である。
【0042】
この発明による二次電池は、例えば、EP1128453に記載されているような、負極層および正極層が電解質を含有するセパレータを介して積み重ねた構成である。負極層または正極層で用いる活物質は、上述したトリアジン構造要素に結合されたラジカル化合物である。
【0043】
積層された二次電池の別の構成では、正極集電体、正極層、電解質を含有するセパレータ、負極層および負極電極集電体が順に積み重ねられている。この二次電池は、多層ラミネート、並びに集電体の両面の層との組み合わせ、およびロールドラミネート(rolled laminate)とすることができる。
【0044】
負極集電体および正極集電体は、例えば、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金およびステンレス鋼で作られた金属箔または金属板;メッシュ状電極;および炭素電極とすることができる。集電体は、触媒として活性であってもよく、活物質は集電体と化学的に結合されてもよい。上の正極が負極と接触するのを妨げるために、多孔質フィルムまたは不織布製のセパレータを用いることができる。
【0045】
セパレータに含まれる電解質は、電極間、すなわち負極および正極間で荷電担体を輸送し、一般に、室温で10-5〜10-1S/cmの電解質−イオン伝導率を示す。この発明で用いる電解質は、例えば、電解質塩を溶剤に溶解させることにより調製した電解質溶液とすることができる。このような溶剤の例には、有機溶剤、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびN−メチル−2−ピロリドンが含まれる。この発明では、これらの溶剤を単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。電解質塩の例は、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3、およびLIC(C2FsSO2)3を含む。電解質は、固体であってもよい。固体電解質に用いられるポリマーの例として、フッ化ビニリデン系ポリマー、例えばポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとモノフルオロエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、およびフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのターポリマー;アクリロニトリル系ポリマー、例えばアクリロニトリルとメチルメタクリレートのコポリマー、アクリロニトリルとメチルアクリレートのコポリマー、アクリロニトリルとエチルメタクリレートのコポリマー、アクリロニトリルとエチルアクリレートのコポリマー、アクリロニトリルとメタクリル酸のコポリマー、アクリロニトリルとアクリル酸のコポリマー、およびアクリロニトリルと酢酸ビニルのコポリマー;ポリエチレンオキシド;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;およびこれらのアクリレートまたはメタクリレートのポリマーが挙げられる。ポリマーは電解質溶液を含有してゲルを形成しても、ポリマー単独で用いてもよい。
【0046】
この発明における二次電池は、従来の構成でよく、例えば、電極ラミネートまたはロールドラミネートが、例えば、金属ケース、樹脂ケース、またはアルミニウム箔のような金属箔と合成樹脂フィルムで作られたラミネートフィルムに封止される。円筒形、角柱、コインまたはシートの形状をとりうるがこれらに限定されない。
【0047】
この発明による二次電池は、従来の方法により製造することができる。例えば、溶剤中の活物質のスラリーを電極ラミネート上に塗布する。この生成物をカウンター電極と共に、セパレータを介して積み重ねる。あるいはまた、ラミネートを巻いて、ケースに入れ、次にそれを電解質溶液で満たす。二次電池は、すでに上述したように、ラジカル化合物それ自体を用いるか、またはレドックス反応によりラジカル化合物に転化することができる化合物を用いて製造することができる。
【0048】
活物質は、直接または結合基を介して式(II)のトリアジン構造要素に化学結合された式(Ia)〜(Iq)のラジカルよりなる群から選択される化合物を含む。
【0049】
結合基の例は、C1〜C12アルキレン、フェニレン、アミンまたはアルキルアミン基、例えば−NH−、−N(C1〜C12)−または−N(C5〜C6シクロアルキル)−、および−O−原子である。
【0050】
例えば、二次電池は、活物質として、式(II)のトリアジン構造要素に式(Ia)〜(Iq)のラジカルが少なくとも2個結合された化合物を含有する。
【0051】
例えば、二次電池は、活物質として、式(II)のトリアジン構造要素がオリゴマーまたはポリマーの繰り返し単位の一部である化合物を含有する。
【0052】
トリアジン構造要素に結合された好ましいラジカルは、式(Ib)、(Ic)、(In)、(Ip)または(Iq)である。
【0053】
例えば、活物質は、式(c1)〜(c7)の化合物を含む。
【0054】
【化94】
【0055】
[式中、nは、0〜100の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基:
【0056】
【化95】
【0057】
であり;
R2は、C2〜C12アルキレンまたはフェニレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45):
【0058】
【化96】
【0059】
(式中、lは、2〜6であり;
R4およびR5は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、あるいは式(c33)、(c36)または(c44)の基である)、好ましくは(c31)または(c32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキルフェニル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、C1〜C12アルキニルアミノ、−SCN、−NHNH−C1〜C12アルキル、−NHNH−フェニル、−N3、−CN、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニルであり、ここで該アルキルは、非置換またはOR4、NR4R5若しくはSR4で置換されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ非中断または−O−、−S−若しくは−NR4−で中断されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつOR4、−NR4R5またはSR4で置換され、同時に−O−、−S−または−NR4−で中断されている;
ただし、X1〜X8の少なくとも一つは、式(c31)〜(c45)で表される基であり;そして
Gは、請求項1定義の通りである];
【0060】
【化97】
【0061】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【0062】
【化98】
【0063】
(式中、mは、0〜100であり;
R6は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基(c33)若しくは(c36)、または基:
【0064】
【化99】
【0065】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0066】
【化100】
【0067】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C12アルキレン、フェニレン、C2〜C12ジアシルまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
さらに、Y1がNであるなら、Y2およびR13は共に直接結合でよく;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0068】
【化101】
【0069】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0070】
【化102】
【0071】
(式中、pは、0〜18の数であり;
X17は、独立に、基(c33)若しくは(c36)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【0072】
【化103】
【0073】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0074】
【化104】
【0075】
であり;
tは、3〜6であり;
Y4は、三価、四価、五価、または六価の、無機残基または有機残基である);
【0076】
【化105】
【0077】
(式中、R16は、H、またはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0078】
【化106】
【0079】
であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0080】
12個までの炭素原子を有するアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチル−ブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシルである。
【0081】
12個までの炭素原子を有するアルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシである。
【0082】
C5〜C6シクロアルキルの例は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルであり、特にシクロヘキシルが好ましい。
【0083】
8個の炭素原子を含有するアシルの例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイルおよびベンゾイルである。
【0084】
12個までの炭素原子を有するアルキレンの例は、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン、トリメチルヘキサメチレン、オクタメチレンおよびデカメチレンである。
【0085】
ハロゲンの例は、F、Cl、BrおよびI、特にFおよびClである。
【0086】
三価および四価の残基の例は、例えば、次の基:
【0087】
【化107】
【0088】
である。
【0089】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45)、好ましくは(c31)または(c32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、−NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキルまたはフェニルである。
【0090】
例えば、式(c1)、(c3)〜(c7)の化合物に対するX1〜X8は、前記定義の通りである。
【0091】
式(c2)の化合物が好ましい。
【0092】
好ましくは、活物質は、式(d1)〜(d7)の化合物を含む。
【0093】
【化108】
【0094】
(式中、nは、0〜50の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【0095】
【化109】
【0096】
であり;
R2は、C2〜C6アルキレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(d31)〜(d34):
【0097】
【化110】
【0098】
、好ましくは(d31)または(d32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−SH、C1〜C12アルキル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【0099】
【化111】
【0100】
であり;
R4は、水素、C1〜C4アルキル、または式(d33)若しくは(d34)の基である);
【0101】
【化112】
【0102】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0103】
【化113】
【0104】
(式中、mは、0〜50であり;
R6は、C2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【0105】
【化114】
【0106】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0107】
【化115】
【0108】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基、または基:
【0109】
【化116】
【0110】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0111】
【化117】
【0112】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(d33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0113】
【化118】
【0114】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【0115】
【化119】
【0116】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(d33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0117】
式(d2)の化合物が好ましい。
【0118】
例えば、X1〜X8は前記定義の通りである。
【0119】
特に、活物質は、式(e1)〜(e7)の化合物を含む。
【0120】
【化120】
【0121】
(式中、nは、0〜10の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、または基:
【0122】
【化121】
【0123】
であり;
R2は、−CH2−CH2−であり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)〜(e34):
【0124】
【化122】
【0125】
、好ましくは(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【0126】
【化123】
【0127】
であり;
R4は、水素、または式(e33)の基である);
【0128】
【化124】
【0129】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0130】
【化125】
【0131】
(式中、mは、0〜10であり;
R6は、−CH2CH2−または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、基:
【0132】
【化126】
【0133】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0134】
【化127】
【0135】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は−CH2CH2−または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、式(e33)の基、または基:
【0136】
【化128】
【0137】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0138】
【化129】
【0139】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(e33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0140】
【化130】
【0141】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、または式(e33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【0142】
【化131】
【0143】
(式中、R16は、Hであり;
Y5は、NまたはOであり;
Y5がOなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(e33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、−CH2CH2−N−または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0144】
例えば、X1〜X8は前記定義の通りである。
【0145】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノである。
【0146】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、ハロゲン、NH2、またはC1〜C12アルキニルアミノである。
【0147】
例えば、活物質は式(e2)である。
【0148】
活物質は、好ましくは、式(e2)の化合物であって、
X9、X10、およびX11が、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX9〜X11の1個以上が、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;そして
R4が、H、または式(e33)の基である、式(e2)の化合物である。
【0149】
より好ましくは、活物質は、式(e2)の化合物であって、
X9、X10、およびX11が、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX9〜X11の1個以上が、C1〜C12アルキルアミノ、ハロゲン、NH2、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;そして
R4が、H、または式(e33)の基である、式(e2)の化合物である。
【0150】
ニトロキシドの前駆化合物(立体障害NH化合物)は、本質的に公知であり、一部市販されている。これらの全ては公知の方法により製造することができる。これらの製造は、例えば、US−A−5,679,733、US−A−3,640,928、US−A−4,198,334、US−A−5,204,473、US−A−4,619,958、US−A−4,110,306、US−A−4,110,334、US−A−4,689,416、US−A−4,408,051、SU−A−768,175(Derwent 88−138,751/20)、US−A−5,049,604、US−A−4,769,457、US−A−4,356,307、US−A−4,619,956、US−A−5,182,390、GB−A−2,269,819、US−A−4,292,240、US−A−5,026,849、US−A−5,071,981、US−A−4,547,538、US−A−4,976,889、US−A−4,086,204、US−A−6,046,304、US−A−4,331,586、US−A−4,108,829、US−A−5,051,458、WO−A−94/12,544(Derwent 94−177,274/22)、DD−A−262,439(Derwent 89−122,983/17)、US−A−4,857,595、US−A−4,529,760、US−A−4,477,615、CAS136,504−96−6、US−A−4,233,412、US−A−4,340,534、WO−A−98/51,690、およびEP−A−1,803、特にUS4442250またはUS−A−6,046,304に開示されている。
【0151】
酸化は、US5,654,434に記載されている4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの酸化と同様に、過酸化水素を用いて行うことができる。また過酢酸を用いる、別の適切な酸化方法が、WO00/40550に記載されている。
【0152】
ニトロキシド化学の網羅的な記載を、例えば、L. B. Volodarsky, V.A. Reznikov, V.I. Ovcharenko.: "Synthetic Chemistry of Stable Nitroxides", CRC Press, 1994に見ることができる。
【0153】
WO2004/031150に記載されている方法は、オキソアンモニウム塩の製造に使用できる。
【0154】
正極または負極における活物質として適切な個々の化合物の例を、次の表Aに示す(TMPは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである)が、これらに限定されない。
【0155】
【化132】
【0156】
本発明の他の局面は、正極または負極の少なくとも一方に、前記定義の活物質を組み入れることを含む、二次電池を与える方法;並びに
式(Ia)〜(Iq):
【0157】
【化133】
【0158】
[式中、*は、トリアジン構造要素への結合を示す原子価であり;
アリールは、フェニルまたはナフチルであり;そして
Gは、
【0159】
【化134】
【0160】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である]のラジカルであって、直接または結合基を介して式(II):
【0161】
【化135】
【0162】
(式中、*は、式(Ia)〜(Iq)のラジカル少なくとも1種が、直接または結合基を介して付けられる結合を示す)のトリアジン構造要素に化学結合されたラジカルよりなる群から選択される化合物の使用であるが;
ただし、化合物(A):
【0163】
【化136】
【0164】
は除外される。
【0165】
さらに本発明の別の局面は、本発明に特に有用な新規なニトロキシルラジカル化合物である。
【0166】
例えば、式(c1)〜(c7)の化合物である。
【0167】
【化137】
【0168】
[式中、nは、0〜100の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基:
【0169】
【化138】
【0170】
であり;
R2は、C2〜C12アルキレンまたはフェニレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45):
【0171】
【化139】
【0172】
、好ましくは(c31)または(c32)の基であり;
ただし、少なくとも一つの基は、式:
【0173】
【化140】
【0174】
(式中、lは、2〜6であり;
R4およびR5は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または式(c33)若しくは(c36)の基である)であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキル、フェニル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、C1〜C12アルキニルアミノ、−SCN、−NHNH−C1〜C12アルキル、−NHNH−フェニル、−N3、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニルであり、ここで該アルキルは、非置換またはOR4、NR4R5若しくはSR4で置換されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ非中断または−O−、−S−若しくは−NR4−で中断されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつOR4、−NR4R5またはSR4で置換され、同時に−O−、−S−または−NR4−で中断されている;そして
Gは、
【0175】
【化141】
【0176】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である];
【0177】
【化142】
【0178】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり);
【0179】
【化143】
【0180】
(式中、mは、0〜100であり;
R6は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基(c33)若しくは(c36)、または基:
【0181】
【化144】
【0182】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0183】
【化145】
【0184】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0185】
【化146】
【0186】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0187】
【化147】
【0188】
(式中、pは、0〜18の数であり;
X17は、独立に、基(c33)若しくは(c36)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【0189】
【化148】
【0190】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0191】
【化149】
【0192】
であり;
tは、3〜6であり;
Y4は、三価、四価、五価、または六価の、無機残基または有機残基である);
【0193】
【化150】
【0194】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0195】
【化151】
【0196】
であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)。
【0197】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45)、好ましくは(c31)または(c32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキルまたはフェニルである。
【0198】
式(c2)の化合物が好ましい。
【0199】
特に、化合物は式(d1)〜(d7)である。
【0200】
【化152】
【0201】
(式中、nは、0〜50の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【0202】
【化153】
【0203】
であり;
R2は、C2〜C6アルキレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(d31)〜(d34):
【0204】
【化154】
【0205】
、好ましくは(d31)または(d32)の基であり;
ただし、少なくとも一つが、基:
【0206】
【化155】
【0207】
であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−SH、C1〜C12アルキル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【0208】
【化156】
【0209】
であり;
R4は、水素、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基である);
【0210】
【化157】
【0211】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0212】
【化158】
【0213】
(式中、mは、0〜50であり;
R6は、C2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【0214】
【化159】
【0215】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0216】
【化160】
【0217】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基、または基:
【0218】
【化161】
【0219】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0220】
【化162】
【0221】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(d33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0222】
【化163】
【0223】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【0224】
【化164】
【0225】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(d33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0226】
式(d2)の化合物が好ましい。
【0227】
好ましくは、化合物は式(e1)〜(e7)である。
【0228】
【化165】
【0229】
(式中、nは、0〜10の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、または基:
【0230】
【化166】
【0231】
であり;
R2は、−CH2−CH2−であり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)〜(e34):
【0232】
【化167】
【0233】
好ましくは(e31)または(e32)の基であり;
ただし、少なくとも一つは、式
【0234】
【化168】
【0235】
の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【0236】
【化169】
【0237】
であり;
R4は、水素、または式(e33)の基である);
【0238】
【化170】
【0239】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0240】
【化171】
【0241】
(式中、mは、0〜10であり;
R6は、−CH2CH2−または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、基:
【0242】
【化172】
【0243】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0244】
【化173】
【0245】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は−CH2CH2−または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、式(e33)の基、または基:
【0246】
【化174】
【0247】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0248】
【化175】
【0249】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(e33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0250】
【化176】
【0251】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、または式(e33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【0252】
【化177】
【0253】
(式中、R16は、Hであり;
Y5は、NまたはOであり;
Y5がOなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(e33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0254】
例えば、X1〜X8は、前記定義の通りである。
【0255】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノである。
【0256】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、ハロゲン、NH2またはC1〜C12アルキニルアミノである。
【0257】
例えば、活物質は、式(e2)である。
【0258】
活物質は、好ましくは、
X9、X10、およびX11が、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX9〜X11の1個以上が、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;そして
R4は、H、または式(e33)の基である、式(e2)の化合物である。
【0259】
より好ましくは、活物質は、
X9、X10、およびX11が、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX9〜X11の1個以上が、C1〜C12アルキルアミノ、ハロゲン、NH2またはC1〜C12アルキニルアミノであり;そして
R4は、H、または式(e33)の基である、式(e2)の化合物である。
【0260】
上述した定義および選択を本発明の全ての局面に適用する。
【0261】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0262】
A)製造例
実施例A1:N,N’,N”−トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル−N−オキシル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物101)
【0263】
A)N,N’,N”−トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン
スターラ、温度計および還流冷却器を備えた1500mlの四つ口フラスコに、1,2−ジクロロベンゼン600ml、および4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン125g(0.8mol)を入れた。次に、塩化シアヌル36.9g(0.2mol)を一度に加え、混合物を30分間攪拌した。次に得られた懸濁液を5時間の間還流させながら攪拌し、次に室温に冷ました。次に、水400ml中のNaOH25.2g(0.63mol)の溶液を加え、混合物を80℃で45分攪拌した。次にそれをヘキサン500mlで希釈し、5℃に冷却し、ろ過した。ろ過ケークを乾燥し、ヘキサン300mlに再懸濁し、ろ過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物88.4gを白色粉末、mp.219〜221℃として得た。
【0264】
B)酸化
スターラ、温度計および滴下漏斗を備えた2500mlの四つ口フラスコに、ジクロロメタン400ml、水150ml、NaHCO3113.4g(1.35mol)、およびN,N’,N”−トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン81.6g(0.15mol)を入れた。次に、過酢酸(137g、酢酸中の40%溶液として、0.72mol)を、攪拌した混合物に、温度を25〜32℃に保ちながら1時間で加えた。追加の水150mlおよびジクロロメタン100mlを加え、濃厚な、赤色混合物を、室温で15時間攪拌した。さらに過酢酸(酢酸中の40%溶液として、0.18mol)34gを加え、混合物を室温で5時間攪拌した。次に、赤色有機層を分離し、5%のNa2CO3水溶液および水(それぞれ100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、メタノール250mlで希釈した。次にジクロロメタンを留去し、沈殿した赤色結晶をろ別した。さらなる精製を、4回、結晶をジクロロメタン約100mlに溶解し、メタノール約200mlを加え、ジクロロメタンを留去することにより行った。最後に、タイトルの材料(化合物101)31.8gを赤色、微結晶性の粉末、mp249〜251℃として得た。元素分析(C30H54N9O3)(588.82);計算値/実測値:C61.20/60.88;H9.24/9.22;N21.41/21.38。HPLC−MS:M=588.4。
【0265】
実施例A2:
1,3,5−トリアジン,2,4,6−トリス[(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシド−4−ピペリジニル)オキシ]−(化合物102)
【0266】
この材料は、DE2,319,816(実施例7)に記載されているように製造した。橙色粉末、mp.201〜3℃。
【0267】
実施例A3:N,N,N’,N’,N”−ペンタキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル−N−オキシル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物103)
【0268】
A)6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン
スターラ、温度計および還流冷却器を備えた1500mlの四つ口フラスコに、1,2−ジクロロベンゼン350ml、塩化シアヌル18.45g(0.1mol)、およびビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン(EP838455にしたがって製造)65.0g(0.22mol)を入れた。攪拌した混合物を285分間還流した。次にそれを120℃に冷却し、追加のビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン53.2g(0.18mol)、および1,2−ジクロロベンゼン100mlを加えた。次に、混合物を再び150分間還流し、室温に冷まし、乾燥するまで蒸発させた。残留物に、ジクロロメタン2800ml、および水100ml中のNaOH8g(0.2mol)の溶液を加えた。15分攪拌後、有機層を分離し、水200mlで洗浄し、K2CO3で乾燥し、蒸発させた。固体残留物を、ヘキサン250に再分散させ、固体をろ別し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物55.25を白色粉末として得た。
【0269】
B)N,N,N’,N’,N”−ペンタキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン
マグネチックスターラ、温度計および還流冷却器を備えた100mlの三つ口フラスコに、1,2−ジクロロベンゼン25ml、上で述べたクロロ誘導体5.1g(7.25mmol)、および4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン2.3g(14.7mmol)を入れた。混合物を4時間の間還流し、次に5℃に冷却し、ろ過した。固体をヘキサンで洗浄し、乾燥した。このようにして得たオフホワイト粉末(3.16g)を、水40ml中のNaOH0.2g溶液に分散させ、30分間加熱還流した。冷却後、ろ過し、水で洗浄し、乾燥して、タイトルの材料2.53gを白色粉末、mp318〜320℃として得た。
【0270】
C)酸化
スターラ、温度計および滴下漏斗を備えた200mlの四つ口フラスコに、ジクロロメタン30ml、NaHCO33.2g(38mmol)、水5ml、および上述したように製造したアミン2.06g(2.5mmol)を入れた。攪拌した混合物に、温度を20〜26℃に保ちながら、過酢酸3.8g(酢酸中の40%溶液として、20mmol)を5分間で加えた。室温で4時間攪拌した後、追加の過酢酸0.3mlを加え、混合物を室温で24時間攪拌した。有機層を分離し、1MのNa2CO3および水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(5:3)]精製し、次に酢酸エチルから結晶して、タイトルの化合物1.22gを、赤色結晶、mp260〜262℃として得た。HPLC−MS:M=896.7のシングルピーク(C48H86N11O5 M=897.29)。
【0271】
実施例A4:
1−ピペリジニルオキシ,4,4’,4”,4’’’−[12,25−ビス[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−2,9,11,13,15,22,24,26,27,28−デカアザトリシクロ[21.3.1.110,14]オクタコサ−1(27),10,12,14(28),23,25−ヘキサエン−2,9,15,22−テトライル]テトラキス[2,2,6,6−テトラメチル−(化合物104)。
【0272】
この材料は、WO02/058844A1に記載されているように製造した。橙色粉末、mp.267〜270℃、ニトロキシル含量(ESRによる)95%。
【0273】
実施例A5:
6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(化合物105)
【0274】
1500mlのフラスコに、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)35.1g(0.05mol)、ジクロロメタン550ml、水60ml、およびNaHCO350.4g(0.6mol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸64.65g(0.34mol、酢酸中の40%溶液)を70分間で加えた。この赤色混合物を室温で18時間攪拌した。次に、有機層を分離し、5%のNa2CO3水溶液で、次に水で3回洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(1:1)]にかけ、次にメタノール−ジクロロメタンから結晶して、タイトルの化合物26.1gを得た。赤色結晶、mp.252〜256℃。HPLC−MS:M=761.3のシングルピーク(C39H68N9O4 M=762.48)。
【0275】
実施例A6:
N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−6−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イルオキシ)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(化合物106)
【0276】
丸底フラスコに、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル3.8g(22mmol)、水素化ナトリウム0.96g(22mmol、パラフィン(parrafine)中55%)、およびテトラヒドロフラン22mlを入れた。混合物を50℃で2時間攪拌し、次に28℃に冷却した。その後、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(化合物105)15.2g(20mmol)、およびテトラヒドロフラン10mlを加え、混合物を5時間還流し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(7:3)]にかけ、次にメタノール−ジクロロメタンから結晶して、タイトルの化合物15.2gを得た。赤色結晶、mp.233〜236℃。HPLC−MS:M=897.5のシングルピーク(C48H85N10O6 M=898.28)。
【0277】
実施例A7:N,N,N’,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物107)
【0278】
N,N,N’,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン
1500mlのフラスコに、塩化シアヌル27.6g(0.15mol)、および1,2−ジクロロベンゼン320mlを入れた。その後、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン(EP838455にしたがって製造)44.45g(0.15mol)を20分間で加えた。次に混合物を、室温から137℃に7時間でゆっくり加熱し、その後137℃に90分間保った。次に、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン70.3g(0.45mol)を加え、混合物を180℃で2時間加熱した。次に溶剤を蒸発させ、水150ml中NaOH18g(0.45mol)の溶液を加えた。混合物を90℃で30分攪拌し、次いで冷却し、ろ過し、固体を水で洗浄し、乾燥した。乾燥材料をヘキサン170mlに懸濁し、懸濁液を2時間攪拌し、ろ過し、乾燥してタイトルの化合物77.8gを得た。白色粉末、mp.235〜243℃。
【0279】
B)酸化
1500mlのフラスコに、上で製造した化合物35.1g(0.051mol)、ジクロロメタン350ml、水120ml、およびNaHCO348.2g(0.574mol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸58.15g(0.306mol、酢酸中40%溶液)を70分間で加えた。この赤色混合物を室温で19時間攪拌し、次に水50mlおよび10%のNaOH水溶液30mlで希釈した。次に有機層を分離し、1%のNaOH水溶液で、次いで水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(7:3)]にかけ、次にジクロロメタンから結晶して、タイトルの化合物17.0gを得た。赤色結晶、mp.243〜246℃。HPLC−MS:M=742.5のシングルピーク(C39H70N10O4 M=743.06)
【0280】
実施例A8:N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]−トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物108)
【0281】
A)N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]−トリアジン−2,4,6−トリアミン
50mlのスチールオートクレーブに、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン(EP838455にしたがって製造)7.4g(0.025mol)、および6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)8.78g(0.0125mol)を入れた。次に、オートクレーブを250℃で15時間加熱した。得られた固体を、ジクロロメタン500ml、水75ml、および30%のNaOH水溶液25mlと共に10分攪拌し、有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をヘキサンですり砕き、ろ過、乾燥して、タイトルの化合物9.47gを得た。白色粉末、mp.325〜330℃。
【0282】
B)酸化
100mlのフラスコに、上で製造した化合物0.6g(0.624mmol)、ジクロロメタン20ml、水1.5ml、およびNaHCO31g(11.9mmol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸1.5g(7.9mmol、酢酸中の40%溶液)を滴下した。この赤色混合物を室温で90時間攪拌し、次に10%のNa2CO3水溶液10mlで希釈した。次に有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル−ヘキサン(1:1:1)]にかけて、タイトルの化合物0.13gを得た。赤色結晶、mp.258〜261℃。HPLC−MS:M=1050.5のシングルピーク(C57H102N12O6 M=1051.53)。
【0283】
実施例A9:
6−フルオロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(化合物109)
【0284】
A)6−フルオロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
300mlのフラスコに、1,2−ジクロロベンゼン150ml、およびビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン(EP838455にしたがって製造)44.35g(0.15mol)を入れた。フッ化シアヌル(6.75g、0.05mol)を滴下し、次に混合物を還流させながら4.5時間加熱した。溶剤をその後蒸発させ、残留物を水50ml中のNaOH4g溶液およびヘキサン100mlと共に30分間攪拌した。次に懸濁液をろ過し、ヘキサンおよび水で洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物30gを、白色粉末、mp.298〜304℃として得た。
【0285】
B)酸化
750mlのフラスコに、上で製造した化合物13.7g(20mmol)、ジクロロメタン250ml、水25ml、およびNaHCO320.7g(246mmol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸26g(137mmol、酢酸中の40%溶液)を滴下した。この赤色混合物を室温で3.5時間攪拌し、次に2MのNa2CO3水溶液75mlで希釈した。次に有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(4:1)]にかけて、タイトルの化合物8.2gを得た。赤色結晶、mp.254〜257℃。HPLC−MS:M=745のシングルピーク(C39H68N9O4 M=746.03)。
【0286】
実施例A10:
N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル-ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物110)
【0287】
N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン
50mlのスチールオートクレーブに、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)14g(0.02mol)、およびメタノール性アンモニア溶液(16.6重量%)11gを入れた。次に、オートクレーブを200℃で13時間加熱した。得られた固体を水100mlと共に1時間還流し、ろ過、水で洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物11.9を白色固体として得た。
【0288】
B)酸化
750mlのフラスコに、上で製造した化合物9g(13.2mmol)、およびジクロロメタン400mlを入れた。次に、温度を20〜22℃に保ちながら、m−クロロ過安息香酸(20.8g、84.4mmol、70%)を1時間で加えた。次に混合物を2MのNa2CO3水溶液90mlで希釈し、有機層を分離し、水で洗浄し、蒸発させた。残留物をジクロロメタン−メタノールから2回結晶して、タイトルの化合物6.0gを得た。赤色結晶、mp.249〜253℃。HPLC−MS:M=742.5のシングルピーク(C39H70N10O4 M=743.06)。
【0289】
実施例A11:
N−メチル−N’,N’,N”,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物111)
【0290】
A)N−メチル−N’,N’,N”,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン
50mlのスチールオートクレーブに、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)14g(0.02mol)、およびエタノール性メチルアミン溶液(33重量%)12.5mlを入れた。次に、オートクレーブを200℃で16時間加熱した。得られた固体を、水100mlと共に攪拌し、ろ過し、水で洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物12gを白色固体として得た。
【0291】
B)酸化
750mlのフラスコに、上で製造した化合物12g(17.2mmol)、ジクロロメタン350ml、水20ml、およびNaHCO321.4g(0.255mol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸26g(137mmol、酢酸中の40%溶液)を滴下した。この赤色混合物を室温で16時間攪拌し、次に10%のNa2CO3水溶液50ml、水100ml、およびジクロロメタン100mlで希釈した。次に有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(4:1)]にかけて、タイトルの化合物6.7gを得た。赤色結晶、mp.254〜257℃。HPLC−MS:M=757のシングルピーク(C40H72N10O4 M=757.08)。
【0292】
実施例A12:
N−プロパ−2−イニル−N’,N’,N”,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物112)
【0293】
A)N−プロパ−2−イニル−N’,N’,N”,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン
250mlのスチールオートクレーブに、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)21.1g(0.03mol)、プロパルギルアミン5.0g(0.091mol)、およびトルエン75mlを入れた。次に、オートクレーブを200℃で40時間加熱した。得られた固体を水100ml中のNaOH1.6g溶液ですり砕き、ろ過、乾燥して、タイトルの化合物92%および出発原料8%を含有する(GC−MS)白色固体20gを得た。
【0294】
B)酸化
750mlのフラスコに、上で製造した化合物11.5g(約14.7mmol)、ジクロロメタン200ml、水35ml、およびNaHCO322g(0.262mol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸23g(0.121mol、酢酸中の40%溶液)を滴下した。この赤色混合物を室温で18時間攪拌し、次に10%のNaOH水溶液10mlで希釈した。次に有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(7:3)]にかけて、タイトルの化合物2.45gを得た。赤色結晶、mp.249〜252℃。HPLC−MS:M=780(C42H72N10O4 M=781.11)。
【0295】
本発明を具体的に説明する化合物を次の表1にまとめる。
【0296】
【表1】
【0297】
B)応用例
一般的な説明
ニトロキシドラジカルからなる好結果の電極材料の重要なパラメータは、その充電容量C[Ah/kg]である。これは、式1にしたがって計算される:
C[Ah/kg]=n×F/3600=f×26803.64/M (式1)
n=ニトロキシド(Mol)/材料(kg);
F=ファラデー定数=96493.1クーロン;
M=ニトロキシド分子量(g/Mol);
f=分子中のニトロキシド基の数
【0298】
この式は、理論充電容量を求めるのに用いた。
【0299】
実施例B1:電池における化合物101の評価
1部の化合物101を、8部の気相成長炭素繊維、および1部のポリ(テトラフルオロエチレン)バインダーと十分に混合した。混合物をロールプレスによって薄い電極に作り上げ、これから直径12mmのカソードを打ち抜いた。次に、リチウム金属アノード、1MのLiPF6を含有するエチレンカーボネート−ジエチルカーボネート(3/7 v/v)電解液、およびセパレータからなるコイン電池を組み立てた。繰り返し充放電サイクルは、平均放電容量165Ah/kgを示した。これは、式(1)を用いて化合物101に対して計算された容量(136.6Ah/kg)よりも28.4Ah/kg大きい。
【0300】
実施例B2:電池における化合物105の評価
化合物105を、実施例B1と同様に試験した。
【0301】
繰り返し充放電サイクルは、平均放電容量160Ah/kgを示した。これは、式(1)を用いて化合物105に対して計算された容量(140.6Ah/kg)よりも19.4Ah/kg大きい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質として、トリアジン構造要素に結合された立体障害ニトロキシドラジカルの酸化還元サイクルを利用する、安定な二次電池に関する。本発明の別の局面は、このような二次電池を与える方法、それぞれの化合物の二次電池における活物質としての使用、および選ばれた新規なニトロキシド化合物である。
【0002】
有機ラジカル電池におけるカソード活物質としてのニトロキシドポリマーは、例えばElectrochimica Acta 50, 827 (2004)にすでに記載されている。4−メタ−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造、そのフリーラジカル重合、続いてポリマーの対応するポリマーニトロキシドへの酸化が記載されている。
【0003】
二次電池の電極材料における活物質として、例えばニトロキシドラジカルのような種々のラジカルの使用も、EP1128453に開示されている。電池電解液中で電極材料は低溶解性または不溶性であるのが好ましいので、ポリマーまたはオリゴマーのニトロキシドが特に有用である。
【0004】
電子装置、例えば携帯電話およびモバイルパーソナルコンピュータ(ラップトップ)の市場の急速な拡大のために、ここ数年、高いエネルギー密度を有する小さく大容量の二次電池がますます必要とされてきている。
【0005】
現在、このような用途に最も多く用いる二次電池は、リチウムイオン二次電池である。このようなリチウムイオン二次電池は、活物質として、正極(カソード)にリチウム含有遷移金属酸化物を、負極(アノード)に炭素が用いられ、充電および放電を、これら活物質からのLiの挿入およびLiの脱離を介して行う。
【0006】
しかし、リチウムイオン二次電池は、特に正極に比重の大きな遷移金属酸化物を用いるので、単位重量当りの二次電池容量は望ましいものではない。したがって、より軽量の電極材料を用いる大容量の二次電池の開発が試みられてきている。例えば、米国特許第4,833号および第2,715,778号には、正極にジスルフィド結合を有する有機化合物を用いる二次電池が開示されており、これはジスルフィド結合の形成および解離を伴う電気化学的な酸化−還元反応を二次電池の原理として利用する。
【0007】
上記のように、EP1128453には、同様に、二次電池の電極材料における活物質として、例えばニトロキシドラジカルが開示されている。
【0008】
驚くべきことには、1,3,5トリアジンに化学結合されたニトロキシドラジカルが、分子中に存在する全てのニトロキシド基の可逆酸化/還元から理論的に到達しうる値よりも高い充電容量を有する電極活物質をもたらすことができることが今や見出された。1,3,5トリアジンとニトロキシドの分子組合せは、実に、予期せざる驚くべき相乗効果を示すことができる。この効果は、今までは確認または記述されていない。
【0009】
本発明の一つの局面は、正極または負極の少なくとも一方における可逆酸化/還元サイクルで、活物質の電極反応を利用する改良された容量を有する二次電池であって、この活物質が、
式(Ia)〜(Iq):
【0010】
【化88】
【0011】
[式中、*は、トリアジン構造要素への結合を示す原子価であり;
アリールは、フェニルまたはナフチルであり;そして
Gは、
【0012】
【化89】
【0013】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である]のラジカルであって、直接または結合基を介して式(II):
【0014】
【化90】
【0015】
(式中、*は、式(Ia)〜(Iq)のラジカル少なくとも1種が、直接または結合基を介して付けられる結合を示す)のトリアジン構造要素に化学結合されたラジカルよりなる群から選択される化合物を含むが;
ただし化合物(A):
【0016】
【化91】
【0017】
は除外される、二次電池である。
【0018】
この発明は、ラジカル化合物を電極活物質として用いる二次電池を提供する。ラジカル化合物が軽元素、例えば炭素、水素および酸素からなるなら、重量当りのエネルギー密度が高い二次電池を提供することが期待できる。
【0019】
本明細書で用いる電極活物質は、充電および放電反応のような電極反応に直接に寄与する材料を指し、二次電池システムにおいて主要な役割を果たす。この発明における活物質は、正極または負極いずれかの活物質としても用いることができるが、これは重さが軽いという特徴があり、金属酸化物系に比べてエネルギー密度が良好であるので、正極活物質として使用するのがより好ましいであろう。
【0020】
エネルギー貯蔵の基本的機構は、スキーム1:
【0021】
【化92】
【0022】
で表されるニトロキシドラジカルの可逆酸化/還元である。
【0023】
オキソアンモニウムカチオンの対イオンA-は、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3およびLIC(C2FsSO2)3から誘導されるアニオンとすることができる。
【0024】
たとえ、全レドックス枠(ヒドロキシルアミンアニオン<−−>オキソアンモニウムカチオン)の使用が可能であるとしても、現在のところ好ましい電池は、レドックスペア:ニトロキシドラジカル<−−>オキソアンモニウムカチオンを用いる。したがって、電子は酸化状態N+=Oと還元状態N−O*の間で交換される。
【0025】
したがって、上述の電極反応が正極での反応である二次電池が好ましい。
【0026】
この発明では、成分間の結合を補強するためにバインダーを用いることができる。
【0027】
バインダーの例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンとブタジエンのコポリマーゴム、並びに樹脂バインダー、例えばポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリイミドが挙げられる。
【0028】
本発明によれば、正極および負極の少なくとも一方における活物質は、トリアジン構造要素に結合されたラジカル化合物を含み、その量は制限されない。しかし、二次電池としての容量は電極中に含まれるラジカル化合物の量に依存するので、十分な効果をあげるためには、含量は、望ましくは10〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、特に50〜100重量%である。
【0029】
電極活物質として2種以上のラジカル化合物を用いることもできる。本発明による化合物は、錯体活物質として機能するために、例えば公知活物質と混合してもよい。
【0030】
本発明のラジカル化合物を正極に使用する場合、負極層用の材料の例として、炭素材料、例えばグラファイトおよびアモルファスカーボン、リチウム金属またはリチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、および導電性ポリマーが挙げられる。これらの材料は、適切な形状、例えばフィルム、バルク、粒状化粉末、繊維およびフレークであってよい。
【0031】
電極層を形成する間、インピーダンスを低下させるために、補助導電材またはイオン伝導補助材を添加してもよい。このような材料の例には、補助導電材として炭素質の粒子、例えばグラファイト、カーボンブラック、およびアセチレンブラック、並びに導電性ポリマー、例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、およびポリアセン、そしてイオン伝導補助材としてゲル電解質および固体電解質が含まれる。
【0032】
本発明の好ましい態様は、活物質が、式(II)のトリアジン構造要素に化学結合された式(Ia)〜(Iq)のラジカルよりなる群から選択される化合物10〜100重量%を含む二次電池である。
【0033】
例えば、特にリチウムまたはリチウムイオン二次電池において、活物質の残りは、リチウム遷移金属/主族金属複合酸化物を含有する。このような活物質は、例えばLiMnPO4、LiCoO2、LiNiO2、LiNi1-xCoyMetzO2、LiMn0.5Ni0.5O2、LiMn0.3Co0.3Ni0.3O2、LiFePO4、LiMn2O4、LiFeO2、LiMet0.5Mn1.5O4、酸化バナジウム、またはこれら任意の2種以上の混合物(式中、MetはAl、Mg、Ti、B、Ga、Si、Ni、またはCoであり、0<x<0.3、0<z<0.5、0<y<0.5である)である。さらなる適切な活物質は、式Li1+xMn2-zMetyO4-mXn(式中、MetはAl、Mg、Ti、B、Ga、Si、Ni、またはCoであり、Xは、SまたはFであり、0<x<0.3、0<z<0.5、0<y<0.5、0<m<0.5および0<n<0.5である)のスピネルマンガン酸化物である。
【0034】
電極反応を促進するために、触媒を使用することもできる。触媒の例には、導電性ポリマー、例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンおよびポリアセン;塩基性化合物、例えばピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体およびアクリジン誘導体;並び金属イオン錯体がある。
【0035】
この発明において、ラジカル化合物の濃度を、好ましくは1019spin/g以上、より好ましくは1021spin/g以上に保持する。二次電池の容量に関しては、できるだけ多いspin/gが望ましい。
【0036】
一般に、ラジカル濃度は、スピン濃度で表すことができる。すなわち、スピン濃度は、単位重量当りの不対電子(ラジカル)の数を意味し、例えば、次の手順により、電子スピン共鳴スペクトル(以下、ESRスペクトルと呼ぶ)における吸収面積強度から求める。まず、ESR分光法で測定するサンプルを、例えば乳鉢中ですりつぶすことにより微粉砕し、これによりサンプルは表皮効果、すなわち、マイクロ波がサンプルに入り込めない現象を無視し得る粒子サイズまですりつぶされる。所定量の微粉砕されたサンプルを内径2mm以下、好ましくは1〜0.5mmの石英ガラスキャピラリーに充填し、10-5mmHg以下に減圧し、封止し、ESR分光法に付す。ESR分光法は、任意の市販されているモデルで行うことができる。スピン濃度は、得られたESRシグナルを2回積分して、それを検量線と比較して求めることができる。スピン濃度が正確に測定できるならば、分光計または測定条件は制限されない。二次電池の安定性のために、ラジカル化合物は安定であるのが望ましい。本明細書で用いる安定なラジカルは、ラジカルの形が長寿命である化合物を指す。
【0037】
したがって、活物質のスピン濃度が少なくとも1021spin/gである二次電池が好ましい。
【0038】
スキーム1で概説したように、エネルギー貯蔵の基本的機構は、ニトロキシドラジカルの可逆的酸化/還元である。それは、充電および放電の間に、常に2つの種、すなわちニトロキシドラジカルおよびその酸化形または還元形(それが正極の活物質であるか負極の活物質であるかに応じて)が存在することを意味する。
【0039】
二次電池の好適な態様では、Gはニトロキシドラジカル:
【0040】
【化93】
【0041】
である。
【0042】
この発明による二次電池は、例えば、EP1128453に記載されているような、負極層および正極層が電解質を含有するセパレータを介して積み重ねた構成である。負極層または正極層で用いる活物質は、上述したトリアジン構造要素に結合されたラジカル化合物である。
【0043】
積層された二次電池の別の構成では、正極集電体、正極層、電解質を含有するセパレータ、負極層および負極電極集電体が順に積み重ねられている。この二次電池は、多層ラミネート、並びに集電体の両面の層との組み合わせ、およびロールドラミネート(rolled laminate)とすることができる。
【0044】
負極集電体および正極集電体は、例えば、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金およびステンレス鋼で作られた金属箔または金属板;メッシュ状電極;および炭素電極とすることができる。集電体は、触媒として活性であってもよく、活物質は集電体と化学的に結合されてもよい。上の正極が負極と接触するのを妨げるために、多孔質フィルムまたは不織布製のセパレータを用いることができる。
【0045】
セパレータに含まれる電解質は、電極間、すなわち負極および正極間で荷電担体を輸送し、一般に、室温で10-5〜10-1S/cmの電解質−イオン伝導率を示す。この発明で用いる電解質は、例えば、電解質塩を溶剤に溶解させることにより調製した電解質溶液とすることができる。このような溶剤の例には、有機溶剤、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびN−メチル−2−ピロリドンが含まれる。この発明では、これらの溶剤を単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。電解質塩の例は、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3、およびLIC(C2FsSO2)3を含む。電解質は、固体であってもよい。固体電解質に用いられるポリマーの例として、フッ化ビニリデン系ポリマー、例えばポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとモノフルオロエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、およびフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのターポリマー;アクリロニトリル系ポリマー、例えばアクリロニトリルとメチルメタクリレートのコポリマー、アクリロニトリルとメチルアクリレートのコポリマー、アクリロニトリルとエチルメタクリレートのコポリマー、アクリロニトリルとエチルアクリレートのコポリマー、アクリロニトリルとメタクリル酸のコポリマー、アクリロニトリルとアクリル酸のコポリマー、およびアクリロニトリルと酢酸ビニルのコポリマー;ポリエチレンオキシド;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;およびこれらのアクリレートまたはメタクリレートのポリマーが挙げられる。ポリマーは電解質溶液を含有してゲルを形成しても、ポリマー単独で用いてもよい。
【0046】
この発明における二次電池は、従来の構成でよく、例えば、電極ラミネートまたはロールドラミネートが、例えば、金属ケース、樹脂ケース、またはアルミニウム箔のような金属箔と合成樹脂フィルムで作られたラミネートフィルムに封止される。円筒形、角柱、コインまたはシートの形状をとりうるがこれらに限定されない。
【0047】
この発明による二次電池は、従来の方法により製造することができる。例えば、溶剤中の活物質のスラリーを電極ラミネート上に塗布する。この生成物をカウンター電極と共に、セパレータを介して積み重ねる。あるいはまた、ラミネートを巻いて、ケースに入れ、次にそれを電解質溶液で満たす。二次電池は、すでに上述したように、ラジカル化合物それ自体を用いるか、またはレドックス反応によりラジカル化合物に転化することができる化合物を用いて製造することができる。
【0048】
活物質は、直接または結合基を介して式(II)のトリアジン構造要素に化学結合された式(Ia)〜(Iq)のラジカルよりなる群から選択される化合物を含む。
【0049】
結合基の例は、C1〜C12アルキレン、フェニレン、アミンまたはアルキルアミン基、例えば−NH−、−N(C1〜C12)−または−N(C5〜C6シクロアルキル)−、および−O−原子である。
【0050】
例えば、二次電池は、活物質として、式(II)のトリアジン構造要素に式(Ia)〜(Iq)のラジカルが少なくとも2個結合された化合物を含有する。
【0051】
例えば、二次電池は、活物質として、式(II)のトリアジン構造要素がオリゴマーまたはポリマーの繰り返し単位の一部である化合物を含有する。
【0052】
トリアジン構造要素に結合された好ましいラジカルは、式(Ib)、(Ic)、(In)、(Ip)または(Iq)である。
【0053】
例えば、活物質は、式(c1)〜(c7)の化合物を含む。
【0054】
【化94】
【0055】
[式中、nは、0〜100の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基:
【0056】
【化95】
【0057】
であり;
R2は、C2〜C12アルキレンまたはフェニレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45):
【0058】
【化96】
【0059】
(式中、lは、2〜6であり;
R4およびR5は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、あるいは式(c33)、(c36)または(c44)の基である)、好ましくは(c31)または(c32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキルフェニル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、C1〜C12アルキニルアミノ、−SCN、−NHNH−C1〜C12アルキル、−NHNH−フェニル、−N3、−CN、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニルであり、ここで該アルキルは、非置換またはOR4、NR4R5若しくはSR4で置換されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ非中断または−O−、−S−若しくは−NR4−で中断されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつOR4、−NR4R5またはSR4で置換され、同時に−O−、−S−または−NR4−で中断されている;
ただし、X1〜X8の少なくとも一つは、式(c31)〜(c45)で表される基であり;そして
Gは、請求項1定義の通りである];
【0060】
【化97】
【0061】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【0062】
【化98】
【0063】
(式中、mは、0〜100であり;
R6は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基(c33)若しくは(c36)、または基:
【0064】
【化99】
【0065】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0066】
【化100】
【0067】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C12アルキレン、フェニレン、C2〜C12ジアシルまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
さらに、Y1がNであるなら、Y2およびR13は共に直接結合でよく;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0068】
【化101】
【0069】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0070】
【化102】
【0071】
(式中、pは、0〜18の数であり;
X17は、独立に、基(c33)若しくは(c36)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【0072】
【化103】
【0073】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0074】
【化104】
【0075】
であり;
tは、3〜6であり;
Y4は、三価、四価、五価、または六価の、無機残基または有機残基である);
【0076】
【化105】
【0077】
(式中、R16は、H、またはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0078】
【化106】
【0079】
であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0080】
12個までの炭素原子を有するアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチル−ブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシルである。
【0081】
12個までの炭素原子を有するアルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシである。
【0082】
C5〜C6シクロアルキルの例は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルであり、特にシクロヘキシルが好ましい。
【0083】
8個の炭素原子を含有するアシルの例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイルおよびベンゾイルである。
【0084】
12個までの炭素原子を有するアルキレンの例は、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン、トリメチルヘキサメチレン、オクタメチレンおよびデカメチレンである。
【0085】
ハロゲンの例は、F、Cl、BrおよびI、特にFおよびClである。
【0086】
三価および四価の残基の例は、例えば、次の基:
【0087】
【化107】
【0088】
である。
【0089】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45)、好ましくは(c31)または(c32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、−NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキルまたはフェニルである。
【0090】
例えば、式(c1)、(c3)〜(c7)の化合物に対するX1〜X8は、前記定義の通りである。
【0091】
式(c2)の化合物が好ましい。
【0092】
好ましくは、活物質は、式(d1)〜(d7)の化合物を含む。
【0093】
【化108】
【0094】
(式中、nは、0〜50の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【0095】
【化109】
【0096】
であり;
R2は、C2〜C6アルキレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(d31)〜(d34):
【0097】
【化110】
【0098】
、好ましくは(d31)または(d32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−SH、C1〜C12アルキル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【0099】
【化111】
【0100】
であり;
R4は、水素、C1〜C4アルキル、または式(d33)若しくは(d34)の基である);
【0101】
【化112】
【0102】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0103】
【化113】
【0104】
(式中、mは、0〜50であり;
R6は、C2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【0105】
【化114】
【0106】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0107】
【化115】
【0108】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基、または基:
【0109】
【化116】
【0110】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0111】
【化117】
【0112】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(d33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0113】
【化118】
【0114】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【0115】
【化119】
【0116】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(d33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0117】
式(d2)の化合物が好ましい。
【0118】
例えば、X1〜X8は前記定義の通りである。
【0119】
特に、活物質は、式(e1)〜(e7)の化合物を含む。
【0120】
【化120】
【0121】
(式中、nは、0〜10の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、または基:
【0122】
【化121】
【0123】
であり;
R2は、−CH2−CH2−であり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)〜(e34):
【0124】
【化122】
【0125】
、好ましくは(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【0126】
【化123】
【0127】
であり;
R4は、水素、または式(e33)の基である);
【0128】
【化124】
【0129】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0130】
【化125】
【0131】
(式中、mは、0〜10であり;
R6は、−CH2CH2−または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、基:
【0132】
【化126】
【0133】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0134】
【化127】
【0135】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は−CH2CH2−または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、式(e33)の基、または基:
【0136】
【化128】
【0137】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0138】
【化129】
【0139】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(e33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0140】
【化130】
【0141】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、または式(e33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【0142】
【化131】
【0143】
(式中、R16は、Hであり;
Y5は、NまたはOであり;
Y5がOなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(e33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、−CH2CH2−N−または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0144】
例えば、X1〜X8は前記定義の通りである。
【0145】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノである。
【0146】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、ハロゲン、NH2、またはC1〜C12アルキニルアミノである。
【0147】
例えば、活物質は式(e2)である。
【0148】
活物質は、好ましくは、式(e2)の化合物であって、
X9、X10、およびX11が、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX9〜X11の1個以上が、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;そして
R4が、H、または式(e33)の基である、式(e2)の化合物である。
【0149】
より好ましくは、活物質は、式(e2)の化合物であって、
X9、X10、およびX11が、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX9〜X11の1個以上が、C1〜C12アルキルアミノ、ハロゲン、NH2、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;そして
R4が、H、または式(e33)の基である、式(e2)の化合物である。
【0150】
ニトロキシドの前駆化合物(立体障害NH化合物)は、本質的に公知であり、一部市販されている。これらの全ては公知の方法により製造することができる。これらの製造は、例えば、US−A−5,679,733、US−A−3,640,928、US−A−4,198,334、US−A−5,204,473、US−A−4,619,958、US−A−4,110,306、US−A−4,110,334、US−A−4,689,416、US−A−4,408,051、SU−A−768,175(Derwent 88−138,751/20)、US−A−5,049,604、US−A−4,769,457、US−A−4,356,307、US−A−4,619,956、US−A−5,182,390、GB−A−2,269,819、US−A−4,292,240、US−A−5,026,849、US−A−5,071,981、US−A−4,547,538、US−A−4,976,889、US−A−4,086,204、US−A−6,046,304、US−A−4,331,586、US−A−4,108,829、US−A−5,051,458、WO−A−94/12,544(Derwent 94−177,274/22)、DD−A−262,439(Derwent 89−122,983/17)、US−A−4,857,595、US−A−4,529,760、US−A−4,477,615、CAS136,504−96−6、US−A−4,233,412、US−A−4,340,534、WO−A−98/51,690、およびEP−A−1,803、特にUS4442250またはUS−A−6,046,304に開示されている。
【0151】
酸化は、US5,654,434に記載されている4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの酸化と同様に、過酸化水素を用いて行うことができる。また過酢酸を用いる、別の適切な酸化方法が、WO00/40550に記載されている。
【0152】
ニトロキシド化学の網羅的な記載を、例えば、L. B. Volodarsky, V.A. Reznikov, V.I. Ovcharenko.: "Synthetic Chemistry of Stable Nitroxides", CRC Press, 1994に見ることができる。
【0153】
WO2004/031150に記載されている方法は、オキソアンモニウム塩の製造に使用できる。
【0154】
正極または負極における活物質として適切な個々の化合物の例を、次の表Aに示す(TMPは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである)が、これらに限定されない。
【0155】
【化132】
【0156】
本発明の他の局面は、正極または負極の少なくとも一方に、前記定義の活物質を組み入れることを含む、二次電池を与える方法;並びに
式(Ia)〜(Iq):
【0157】
【化133】
【0158】
[式中、*は、トリアジン構造要素への結合を示す原子価であり;
アリールは、フェニルまたはナフチルであり;そして
Gは、
【0159】
【化134】
【0160】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である]のラジカルであって、直接または結合基を介して式(II):
【0161】
【化135】
【0162】
(式中、*は、式(Ia)〜(Iq)のラジカル少なくとも1種が、直接または結合基を介して付けられる結合を示す)のトリアジン構造要素に化学結合されたラジカルよりなる群から選択される化合物の使用であるが;
ただし、化合物(A):
【0163】
【化136】
【0164】
は除外される。
【0165】
さらに本発明の別の局面は、本発明に特に有用な新規なニトロキシルラジカル化合物である。
【0166】
例えば、式(c1)〜(c7)の化合物である。
【0167】
【化137】
【0168】
[式中、nは、0〜100の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基:
【0169】
【化138】
【0170】
であり;
R2は、C2〜C12アルキレンまたはフェニレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45):
【0171】
【化139】
【0172】
、好ましくは(c31)または(c32)の基であり;
ただし、少なくとも一つの基は、式:
【0173】
【化140】
【0174】
(式中、lは、2〜6であり;
R4およびR5は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または式(c33)若しくは(c36)の基である)であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキル、フェニル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、C1〜C12アルキニルアミノ、−SCN、−NHNH−C1〜C12アルキル、−NHNH−フェニル、−N3、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニルであり、ここで該アルキルは、非置換またはOR4、NR4R5若しくはSR4で置換されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ非中断または−O−、−S−若しくは−NR4−で中断されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつOR4、−NR4R5またはSR4で置換され、同時に−O−、−S−または−NR4−で中断されている;そして
Gは、
【0175】
【化141】
【0176】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である];
【0177】
【化142】
【0178】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり);
【0179】
【化143】
【0180】
(式中、mは、0〜100であり;
R6は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基(c33)若しくは(c36)、または基:
【0181】
【化144】
【0182】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0183】
【化145】
【0184】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0185】
【化146】
【0186】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0187】
【化147】
【0188】
(式中、pは、0〜18の数であり;
X17は、独立に、基(c33)若しくは(c36)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【0189】
【化148】
【0190】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0191】
【化149】
【0192】
であり;
tは、3〜6であり;
Y4は、三価、四価、五価、または六価の、無機残基または有機残基である);
【0193】
【化150】
【0194】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【0195】
【化151】
【0196】
であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)。
【0197】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45)、好ましくは(c31)または(c32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキルまたはフェニルである。
【0198】
式(c2)の化合物が好ましい。
【0199】
特に、化合物は式(d1)〜(d7)である。
【0200】
【化152】
【0201】
(式中、nは、0〜50の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【0202】
【化153】
【0203】
であり;
R2は、C2〜C6アルキレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(d31)〜(d34):
【0204】
【化154】
【0205】
、好ましくは(d31)または(d32)の基であり;
ただし、少なくとも一つが、基:
【0206】
【化155】
【0207】
であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−SH、C1〜C12アルキル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【0208】
【化156】
【0209】
であり;
R4は、水素、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基である);
【0210】
【化157】
【0211】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0212】
【化158】
【0213】
(式中、mは、0〜50であり;
R6は、C2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【0214】
【化159】
【0215】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0216】
【化160】
【0217】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基、または基:
【0218】
【化161】
【0219】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0220】
【化162】
【0221】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(d33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0222】
【化163】
【0223】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【0224】
【化164】
【0225】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(d33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0226】
式(d2)の化合物が好ましい。
【0227】
好ましくは、化合物は式(e1)〜(e7)である。
【0228】
【化165】
【0229】
(式中、nは、0〜10の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、または基:
【0230】
【化166】
【0231】
であり;
R2は、−CH2−CH2−であり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)〜(e34):
【0232】
【化167】
【0233】
好ましくは(e31)または(e32)の基であり;
ただし、少なくとも一つは、式
【0234】
【化168】
【0235】
の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【0236】
【化169】
【0237】
であり;
R4は、水素、または式(e33)の基である);
【0238】
【化170】
【0239】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0240】
【化171】
【0241】
(式中、mは、0〜10であり;
R6は、−CH2CH2−または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、基:
【0242】
【化172】
【0243】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【0244】
【化173】
【0245】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は−CH2CH2−または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、式(e33)の基、または基:
【0246】
【化174】
【0247】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0248】
【化175】
【0249】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(e33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【0250】
【化176】
【0251】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、または式(e33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【0252】
【化177】
【0253】
(式中、R16は、Hであり;
Y5は、NまたはOであり;
Y5がOなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(e33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)
【0254】
例えば、X1〜X8は、前記定義の通りである。
【0255】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノである。
【0256】
例えば、X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、ハロゲン、NH2またはC1〜C12アルキニルアミノである。
【0257】
例えば、活物質は、式(e2)である。
【0258】
活物質は、好ましくは、
X9、X10、およびX11が、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX9〜X11の1個以上が、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;そして
R4は、H、または式(e33)の基である、式(e2)の化合物である。
【0259】
より好ましくは、活物質は、
X9、X10、およびX11が、互いに独立に、式(e31)または(e32)の基であり;
さらにX9〜X11の1個以上が、C1〜C12アルキルアミノ、ハロゲン、NH2またはC1〜C12アルキニルアミノであり;そして
R4は、H、または式(e33)の基である、式(e2)の化合物である。
【0260】
上述した定義および選択を本発明の全ての局面に適用する。
【0261】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0262】
A)製造例
実施例A1:N,N’,N”−トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル−N−オキシル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物101)
【0263】
A)N,N’,N”−トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン
スターラ、温度計および還流冷却器を備えた1500mlの四つ口フラスコに、1,2−ジクロロベンゼン600ml、および4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン125g(0.8mol)を入れた。次に、塩化シアヌル36.9g(0.2mol)を一度に加え、混合物を30分間攪拌した。次に得られた懸濁液を5時間の間還流させながら攪拌し、次に室温に冷ました。次に、水400ml中のNaOH25.2g(0.63mol)の溶液を加え、混合物を80℃で45分攪拌した。次にそれをヘキサン500mlで希釈し、5℃に冷却し、ろ過した。ろ過ケークを乾燥し、ヘキサン300mlに再懸濁し、ろ過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物88.4gを白色粉末、mp.219〜221℃として得た。
【0264】
B)酸化
スターラ、温度計および滴下漏斗を備えた2500mlの四つ口フラスコに、ジクロロメタン400ml、水150ml、NaHCO3113.4g(1.35mol)、およびN,N’,N”−トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン81.6g(0.15mol)を入れた。次に、過酢酸(137g、酢酸中の40%溶液として、0.72mol)を、攪拌した混合物に、温度を25〜32℃に保ちながら1時間で加えた。追加の水150mlおよびジクロロメタン100mlを加え、濃厚な、赤色混合物を、室温で15時間攪拌した。さらに過酢酸(酢酸中の40%溶液として、0.18mol)34gを加え、混合物を室温で5時間攪拌した。次に、赤色有機層を分離し、5%のNa2CO3水溶液および水(それぞれ100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、メタノール250mlで希釈した。次にジクロロメタンを留去し、沈殿した赤色結晶をろ別した。さらなる精製を、4回、結晶をジクロロメタン約100mlに溶解し、メタノール約200mlを加え、ジクロロメタンを留去することにより行った。最後に、タイトルの材料(化合物101)31.8gを赤色、微結晶性の粉末、mp249〜251℃として得た。元素分析(C30H54N9O3)(588.82);計算値/実測値:C61.20/60.88;H9.24/9.22;N21.41/21.38。HPLC−MS:M=588.4。
【0265】
実施例A2:
1,3,5−トリアジン,2,4,6−トリス[(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシド−4−ピペリジニル)オキシ]−(化合物102)
【0266】
この材料は、DE2,319,816(実施例7)に記載されているように製造した。橙色粉末、mp.201〜3℃。
【0267】
実施例A3:N,N,N’,N’,N”−ペンタキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル−N−オキシル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物103)
【0268】
A)6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン
スターラ、温度計および還流冷却器を備えた1500mlの四つ口フラスコに、1,2−ジクロロベンゼン350ml、塩化シアヌル18.45g(0.1mol)、およびビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン(EP838455にしたがって製造)65.0g(0.22mol)を入れた。攪拌した混合物を285分間還流した。次にそれを120℃に冷却し、追加のビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン53.2g(0.18mol)、および1,2−ジクロロベンゼン100mlを加えた。次に、混合物を再び150分間還流し、室温に冷まし、乾燥するまで蒸発させた。残留物に、ジクロロメタン2800ml、および水100ml中のNaOH8g(0.2mol)の溶液を加えた。15分攪拌後、有機層を分離し、水200mlで洗浄し、K2CO3で乾燥し、蒸発させた。固体残留物を、ヘキサン250に再分散させ、固体をろ別し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物55.25を白色粉末として得た。
【0269】
B)N,N,N’,N’,N”−ペンタキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン
マグネチックスターラ、温度計および還流冷却器を備えた100mlの三つ口フラスコに、1,2−ジクロロベンゼン25ml、上で述べたクロロ誘導体5.1g(7.25mmol)、および4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン2.3g(14.7mmol)を入れた。混合物を4時間の間還流し、次に5℃に冷却し、ろ過した。固体をヘキサンで洗浄し、乾燥した。このようにして得たオフホワイト粉末(3.16g)を、水40ml中のNaOH0.2g溶液に分散させ、30分間加熱還流した。冷却後、ろ過し、水で洗浄し、乾燥して、タイトルの材料2.53gを白色粉末、mp318〜320℃として得た。
【0270】
C)酸化
スターラ、温度計および滴下漏斗を備えた200mlの四つ口フラスコに、ジクロロメタン30ml、NaHCO33.2g(38mmol)、水5ml、および上述したように製造したアミン2.06g(2.5mmol)を入れた。攪拌した混合物に、温度を20〜26℃に保ちながら、過酢酸3.8g(酢酸中の40%溶液として、20mmol)を5分間で加えた。室温で4時間攪拌した後、追加の過酢酸0.3mlを加え、混合物を室温で24時間攪拌した。有機層を分離し、1MのNa2CO3および水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(5:3)]精製し、次に酢酸エチルから結晶して、タイトルの化合物1.22gを、赤色結晶、mp260〜262℃として得た。HPLC−MS:M=896.7のシングルピーク(C48H86N11O5 M=897.29)。
【0271】
実施例A4:
1−ピペリジニルオキシ,4,4’,4”,4’’’−[12,25−ビス[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−2,9,11,13,15,22,24,26,27,28−デカアザトリシクロ[21.3.1.110,14]オクタコサ−1(27),10,12,14(28),23,25−ヘキサエン−2,9,15,22−テトライル]テトラキス[2,2,6,6−テトラメチル−(化合物104)。
【0272】
この材料は、WO02/058844A1に記載されているように製造した。橙色粉末、mp.267〜270℃、ニトロキシル含量(ESRによる)95%。
【0273】
実施例A5:
6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(化合物105)
【0274】
1500mlのフラスコに、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)35.1g(0.05mol)、ジクロロメタン550ml、水60ml、およびNaHCO350.4g(0.6mol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸64.65g(0.34mol、酢酸中の40%溶液)を70分間で加えた。この赤色混合物を室温で18時間攪拌した。次に、有機層を分離し、5%のNa2CO3水溶液で、次に水で3回洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(1:1)]にかけ、次にメタノール−ジクロロメタンから結晶して、タイトルの化合物26.1gを得た。赤色結晶、mp.252〜256℃。HPLC−MS:M=761.3のシングルピーク(C39H68N9O4 M=762.48)。
【0275】
実施例A6:
N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−6−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イルオキシ)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(化合物106)
【0276】
丸底フラスコに、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル3.8g(22mmol)、水素化ナトリウム0.96g(22mmol、パラフィン(parrafine)中55%)、およびテトラヒドロフラン22mlを入れた。混合物を50℃で2時間攪拌し、次に28℃に冷却した。その後、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(化合物105)15.2g(20mmol)、およびテトラヒドロフラン10mlを加え、混合物を5時間還流し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(7:3)]にかけ、次にメタノール−ジクロロメタンから結晶して、タイトルの化合物15.2gを得た。赤色結晶、mp.233〜236℃。HPLC−MS:M=897.5のシングルピーク(C48H85N10O6 M=898.28)。
【0277】
実施例A7:N,N,N’,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物107)
【0278】
N,N,N’,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン
1500mlのフラスコに、塩化シアヌル27.6g(0.15mol)、および1,2−ジクロロベンゼン320mlを入れた。その後、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン(EP838455にしたがって製造)44.45g(0.15mol)を20分間で加えた。次に混合物を、室温から137℃に7時間でゆっくり加熱し、その後137℃に90分間保った。次に、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン70.3g(0.45mol)を加え、混合物を180℃で2時間加熱した。次に溶剤を蒸発させ、水150ml中NaOH18g(0.45mol)の溶液を加えた。混合物を90℃で30分攪拌し、次いで冷却し、ろ過し、固体を水で洗浄し、乾燥した。乾燥材料をヘキサン170mlに懸濁し、懸濁液を2時間攪拌し、ろ過し、乾燥してタイトルの化合物77.8gを得た。白色粉末、mp.235〜243℃。
【0279】
B)酸化
1500mlのフラスコに、上で製造した化合物35.1g(0.051mol)、ジクロロメタン350ml、水120ml、およびNaHCO348.2g(0.574mol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸58.15g(0.306mol、酢酸中40%溶液)を70分間で加えた。この赤色混合物を室温で19時間攪拌し、次に水50mlおよび10%のNaOH水溶液30mlで希釈した。次に有機層を分離し、1%のNaOH水溶液で、次いで水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(7:3)]にかけ、次にジクロロメタンから結晶して、タイトルの化合物17.0gを得た。赤色結晶、mp.243〜246℃。HPLC−MS:M=742.5のシングルピーク(C39H70N10O4 M=743.06)
【0280】
実施例A8:N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]−トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物108)
【0281】
A)N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]−トリアジン−2,4,6−トリアミン
50mlのスチールオートクレーブに、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン(EP838455にしたがって製造)7.4g(0.025mol)、および6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)8.78g(0.0125mol)を入れた。次に、オートクレーブを250℃で15時間加熱した。得られた固体を、ジクロロメタン500ml、水75ml、および30%のNaOH水溶液25mlと共に10分攪拌し、有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をヘキサンですり砕き、ろ過、乾燥して、タイトルの化合物9.47gを得た。白色粉末、mp.325〜330℃。
【0282】
B)酸化
100mlのフラスコに、上で製造した化合物0.6g(0.624mmol)、ジクロロメタン20ml、水1.5ml、およびNaHCO31g(11.9mmol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸1.5g(7.9mmol、酢酸中の40%溶液)を滴下した。この赤色混合物を室温で90時間攪拌し、次に10%のNa2CO3水溶液10mlで希釈した。次に有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル−ヘキサン(1:1:1)]にかけて、タイトルの化合物0.13gを得た。赤色結晶、mp.258〜261℃。HPLC−MS:M=1050.5のシングルピーク(C57H102N12O6 M=1051.53)。
【0283】
実施例A9:
6−フルオロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(化合物109)
【0284】
A)6−フルオロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
300mlのフラスコに、1,2−ジクロロベンゼン150ml、およびビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミン(EP838455にしたがって製造)44.35g(0.15mol)を入れた。フッ化シアヌル(6.75g、0.05mol)を滴下し、次に混合物を還流させながら4.5時間加熱した。溶剤をその後蒸発させ、残留物を水50ml中のNaOH4g溶液およびヘキサン100mlと共に30分間攪拌した。次に懸濁液をろ過し、ヘキサンおよび水で洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物30gを、白色粉末、mp.298〜304℃として得た。
【0285】
B)酸化
750mlのフラスコに、上で製造した化合物13.7g(20mmol)、ジクロロメタン250ml、水25ml、およびNaHCO320.7g(246mmol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸26g(137mmol、酢酸中の40%溶液)を滴下した。この赤色混合物を室温で3.5時間攪拌し、次に2MのNa2CO3水溶液75mlで希釈した。次に有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(4:1)]にかけて、タイトルの化合物8.2gを得た。赤色結晶、mp.254〜257℃。HPLC−MS:M=745のシングルピーク(C39H68N9O4 M=746.03)。
【0286】
実施例A10:
N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル-ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物110)
【0287】
N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン
50mlのスチールオートクレーブに、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)14g(0.02mol)、およびメタノール性アンモニア溶液(16.6重量%)11gを入れた。次に、オートクレーブを200℃で13時間加熱した。得られた固体を水100mlと共に1時間還流し、ろ過、水で洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物11.9を白色固体として得た。
【0288】
B)酸化
750mlのフラスコに、上で製造した化合物9g(13.2mmol)、およびジクロロメタン400mlを入れた。次に、温度を20〜22℃に保ちながら、m−クロロ過安息香酸(20.8g、84.4mmol、70%)を1時間で加えた。次に混合物を2MのNa2CO3水溶液90mlで希釈し、有機層を分離し、水で洗浄し、蒸発させた。残留物をジクロロメタン−メタノールから2回結晶して、タイトルの化合物6.0gを得た。赤色結晶、mp.249〜253℃。HPLC−MS:M=742.5のシングルピーク(C39H70N10O4 M=743.06)。
【0289】
実施例A11:
N−メチル−N’,N’,N”,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物111)
【0290】
A)N−メチル−N’,N’,N”,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン
50mlのスチールオートクレーブに、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)14g(0.02mol)、およびエタノール性メチルアミン溶液(33重量%)12.5mlを入れた。次に、オートクレーブを200℃で16時間加熱した。得られた固体を、水100mlと共に攪拌し、ろ過し、水で洗浄し、乾燥して、タイトルの化合物12gを白色固体として得た。
【0291】
B)酸化
750mlのフラスコに、上で製造した化合物12g(17.2mmol)、ジクロロメタン350ml、水20ml、およびNaHCO321.4g(0.255mol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸26g(137mmol、酢酸中の40%溶液)を滴下した。この赤色混合物を室温で16時間攪拌し、次に10%のNa2CO3水溶液50ml、水100ml、およびジクロロメタン100mlで希釈した。次に有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(4:1)]にかけて、タイトルの化合物6.7gを得た。赤色結晶、mp.254〜257℃。HPLC−MS:M=757のシングルピーク(C40H72N10O4 M=757.08)。
【0292】
実施例A12:
N−プロパ−2−イニル−N’,N’,N”,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン(化合物112)
【0293】
A)N−プロパ−2−イニル−N’,N’,N”,N”−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4,6−トリアミン
250mlのスチールオートクレーブに、6−クロロ−N,N,N’,N’−テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(実施例A3を参照)21.1g(0.03mol)、プロパルギルアミン5.0g(0.091mol)、およびトルエン75mlを入れた。次に、オートクレーブを200℃で40時間加熱した。得られた固体を水100ml中のNaOH1.6g溶液ですり砕き、ろ過、乾燥して、タイトルの化合物92%および出発原料8%を含有する(GC−MS)白色固体20gを得た。
【0294】
B)酸化
750mlのフラスコに、上で製造した化合物11.5g(約14.7mmol)、ジクロロメタン200ml、水35ml、およびNaHCO322g(0.262mol)を入れた。攪拌した混合物に、過酢酸23g(0.121mol、酢酸中の40%溶液)を滴下した。この赤色混合物を室温で18時間攪拌し、次に10%のNaOH水溶液10mlで希釈した。次に有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン−酢酸エチル(7:3)]にかけて、タイトルの化合物2.45gを得た。赤色結晶、mp.249〜252℃。HPLC−MS:M=780(C42H72N10O4 M=781.11)。
【0295】
本発明を具体的に説明する化合物を次の表1にまとめる。
【0296】
【表1】
【0297】
B)応用例
一般的な説明
ニトロキシドラジカルからなる好結果の電極材料の重要なパラメータは、その充電容量C[Ah/kg]である。これは、式1にしたがって計算される:
C[Ah/kg]=n×F/3600=f×26803.64/M (式1)
n=ニトロキシド(Mol)/材料(kg);
F=ファラデー定数=96493.1クーロン;
M=ニトロキシド分子量(g/Mol);
f=分子中のニトロキシド基の数
【0298】
この式は、理論充電容量を求めるのに用いた。
【0299】
実施例B1:電池における化合物101の評価
1部の化合物101を、8部の気相成長炭素繊維、および1部のポリ(テトラフルオロエチレン)バインダーと十分に混合した。混合物をロールプレスによって薄い電極に作り上げ、これから直径12mmのカソードを打ち抜いた。次に、リチウム金属アノード、1MのLiPF6を含有するエチレンカーボネート−ジエチルカーボネート(3/7 v/v)電解液、およびセパレータからなるコイン電池を組み立てた。繰り返し充放電サイクルは、平均放電容量165Ah/kgを示した。これは、式(1)を用いて化合物101に対して計算された容量(136.6Ah/kg)よりも28.4Ah/kg大きい。
【0300】
実施例B2:電池における化合物105の評価
化合物105を、実施例B1と同様に試験した。
【0301】
繰り返し充放電サイクルは、平均放電容量160Ah/kgを示した。これは、式(1)を用いて化合物105に対して計算された容量(140.6Ah/kg)よりも19.4Ah/kg大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極または負極の少なくとも一方における可逆酸化/還元サイクルで、活物質の電極反応を利用する改良された容量を有する二次電池であって、この活物質が、
式(Ia)〜(Iq):
【化1】
[式中、*は、トリアジン構造要素への結合を示す原子価であり;
アリールは、フェニルまたはナフチルであり;そして
Gは、
【化2】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である]のラジカルであって、直接または結合基を介して式(II):
【化3】
(式中、*は、式(Ia)〜(Iq)のラジカル少なくとも1種が、直接または結合基を介して付けられる結合を示す)のトリアジン構造要素に化学結合されたラジカルよりなる群から選択される化合物を含むが;
ただし、化合物(A):
【化4】
は除外される、二次電池。
【請求項2】
電極反応が正極における反応である、請求項1記載の二次電池。
【請求項3】
活物質が、式(II)のトリアジン構造要素に化学結合された式(Ia)〜(Iq)のラジカルよりなる群から選択される化合物10〜100重量%を含む、請求項1記載の二次電池。
【請求項4】
活物質のスピン濃度が少なくとも1021spin/gである、請求項1記載の二次電池。
【請求項5】
Gがニトロキシドラジカル:
【化5】
である、請求項1記載の二次電池。
【請求項6】
式(II)のトリアジン構造要素に、式(Ia)〜(Iq)のラジカルが少なくとも2個結合された、請求項1記載の二次電池。
【請求項7】
式(II)のトリアジン構造要素がオリゴマーまたはポリマーの繰り返し単位の一部である、請求項1記載の二次電池。
【請求項8】
ラジカルが式(Ib)、(Ic)、(In)、(Ip)または(Iq)である、請求項1記載の二次電池。
【請求項9】
活物質が、式(c1)〜(c7):
【化6】
[式中、nは、0〜100の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基:
【化7】
であり;
R2は、C2〜C12アルキレンまたはフェニレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45):
【化8】
(式中、lは、2〜6であり;
R4およびR5は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシルあるいは、式(c33)、(c36)または(c44)の基である)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、−NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキル、フェニル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、C1〜C12アルキニルアミノ、−SCN、−NHNH−C1〜C12アルキル、−NHNH−フェニル、−N3、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニルであり、ここで該アルキルは、非置換またはOR4、NR4R5若しくはSR4で置換されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ非中断または−O−、−S−若しくは−NR4−で中断されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつOR4、−NR4R5またはSR4で置換され、同時に−O−、−S−または−NR4−で中断されている;
ただし、X1〜X8の少なくとも一つは、式(c31)〜(c45)で表される基であり;そして
Gは、請求項1定義の通りである];
【化9】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の基である);
【化10】
(式中、mは、0〜100であり;
R6は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基(c33)若しくは(c36)、または基:
【化11】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化12】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、C2〜C12ジアシルまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
さらに、Y1がNであるなら、Y2およびR13は共に直接結合でよく;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化13】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化14】
(式中、pは、0〜18の数であり;
X17は、独立に、基(c33)若しくは(c36)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【化15】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15は、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化16】
であり;
tは、3〜6であり;
Y4は、三価、四価、五価、または六価の、無機残基または有機残基である);
【化17】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化18】
であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の化合物を含む、請求項1記載の二次電池。
【請求項10】
活物質が、式(d1)〜(d7):
【化19】
(式中、nは、0〜50の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【化20】
であり;
R2は、C2〜C6アルキレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(d31)〜(d34):
【化21】
の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−SH、C1〜C12アルキル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【化22】
であり;
R4は、水素、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基である);
【化23】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化24】
(式中、mは、0〜50であり;
R6は、C2〜C6アルキレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【化25】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化26】
(式中、Y1およびY2は、N、O、またはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C6アルキレン、または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基、または基:
【化27】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化28】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(d33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化29】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15は、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【化30】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり
Y5がNなら、R17はH、または式(d33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の化合物を含む、請求項9記載の二次電池。
【請求項11】
活物質が、式(e1)〜(e7):
【化31】
(式中、nは、0〜10の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、または基:
【化32】
であり;
R2は、−CH2−CH2−であり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)〜(e34):
【化33】
の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【化34】
であり;
R4は、水素、または式(e33)の基である);
【化35】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化36】
(式中、mは、0〜10であり;
R6は、−CH2CH2−または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、基:
【化37】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化38】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は−CH2CH2−または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、式(e33)の基、または基:
【化39】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化40】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(e33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化41】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、または式(e33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【化42】
(式中、R16は、Hであり;
Y5は、NまたはOであり;
Y5がOなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(e33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の化合物を含む、請求項10記載の二次電池。
【請求項12】
正極または負極の少なくとも一方に、請求項1定義の活物質を組み入れることを含む、二次電池を提供する方法。
【請求項13】
式(Ia)〜(Iq):
【化43】
[式中、*は、トリアジン構造要素への結合を示す原子価であり;
アリールは、フェニルまたはナフチルであり;そして
Gは、
【化44】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である]のラジカルであって、直接または結合基を介して式(II):
【化45】
(式中、*は、式(Ia)〜(Iq)のラジカル少なくとも1種が、直接または結合基を介して付けられる結合を示す)のトリアジン構造要素に化学結合されたラジカルよりなる群から選択される化合物であるが;
ただし、化合物(A):
【化46】
は除外される化合物の、二次電池の正極または負極の少なくとも一方における活物質としての使用。
【請求項14】
式(c1)〜(c7):
【化47】
[式中、nは、0〜100の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基:
【化48】
であり;
R2は、C2〜C12アルキレンまたはフェニレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45):
【化49】
の基であり;
ただし、少なくとも一つは式:
【化50】
(式中、lは、2〜6であり;
R4およびR5は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または式(c33)若しくは(c36)の基である)であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、−NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキル、フェニル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、C1〜C12アルキニルアミノ、−SCN、−NHNH−C1〜C12アルキル、−NHNH−フェニル、−N3、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニルであり、ここで該アルキルは、非置換、またはOR4、NR4R5若しくはSR4で置換されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ非中断または−O−、−S−若しくは−NR4−で中断されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつOR4、−NR4R5またはSR4で置換され、同時に−O−、−S−、または−NR4−で中断されている;そして
Gは、
【化51】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である];
【化52】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【化53】
(式中、mは、0〜100であり;
R6は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基(c33)若しくは(c36)、または基:
【化54】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化55】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化56】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化57】
(式中、pは、0〜18の数であり;
X17は、独立に、基(c33)若しくは(c36)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【化58】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15は、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化59】
であり;
tは、3〜6であり;
Y4は、三価、四価、五価、または六価の、無機残基または有機残基である);
【化60】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17は、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化61】
であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の化合物。
【請求項15】
式(d1)〜(d7):
【化62】
(式中、nは、0〜50の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【化63】
であり;
R2は、C2〜C6アルキレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(d31)〜(d34):
【化64】
の基であり;
ただし、少なくとも一つが、基:
【化65】
であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−SH、C1〜C12アルキル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【化66】
であり;
R4は、水素、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基である);
【化67】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化68】
(式中、mは、0〜50であり;
R6は、C2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【化69】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化70】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基、または基:
【化71】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化72】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(d33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化73】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【化74】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(d33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の請求項14記載の化合物。
【請求項16】
式(e1)〜(e7):
【化75】
(式中、nは、0〜10の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、または基:
【化76】
であり;
R2は、−CH2−CH2−であり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)〜(e34):
【化77】
の基であり;
ただし、少なくとも一つが、式:
【化78】
の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【化79】
であり;
R4は、水素、または式(e33)の基である);
【化80】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化81】
(式中、mは、0〜10であり;
R6は、−CH2CH2−または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、基:
【化82】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化83】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は−CH2CH2−または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、式(e33)の基、または基:
【化84】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化85】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(e33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化86】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、または式(e33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【化87】
(式中、R16は、Hであり;
Y5は、NまたはOであり;
Y5がOなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(e33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の請求項15記載の化合物。
【請求項1】
正極または負極の少なくとも一方における可逆酸化/還元サイクルで、活物質の電極反応を利用する改良された容量を有する二次電池であって、この活物質が、
式(Ia)〜(Iq):
【化1】
[式中、*は、トリアジン構造要素への結合を示す原子価であり;
アリールは、フェニルまたはナフチルであり;そして
Gは、
【化2】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である]のラジカルであって、直接または結合基を介して式(II):
【化3】
(式中、*は、式(Ia)〜(Iq)のラジカル少なくとも1種が、直接または結合基を介して付けられる結合を示す)のトリアジン構造要素に化学結合されたラジカルよりなる群から選択される化合物を含むが;
ただし、化合物(A):
【化4】
は除外される、二次電池。
【請求項2】
電極反応が正極における反応である、請求項1記載の二次電池。
【請求項3】
活物質が、式(II)のトリアジン構造要素に化学結合された式(Ia)〜(Iq)のラジカルよりなる群から選択される化合物10〜100重量%を含む、請求項1記載の二次電池。
【請求項4】
活物質のスピン濃度が少なくとも1021spin/gである、請求項1記載の二次電池。
【請求項5】
Gがニトロキシドラジカル:
【化5】
である、請求項1記載の二次電池。
【請求項6】
式(II)のトリアジン構造要素に、式(Ia)〜(Iq)のラジカルが少なくとも2個結合された、請求項1記載の二次電池。
【請求項7】
式(II)のトリアジン構造要素がオリゴマーまたはポリマーの繰り返し単位の一部である、請求項1記載の二次電池。
【請求項8】
ラジカルが式(Ib)、(Ic)、(In)、(Ip)または(Iq)である、請求項1記載の二次電池。
【請求項9】
活物質が、式(c1)〜(c7):
【化6】
[式中、nは、0〜100の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基:
【化7】
であり;
R2は、C2〜C12アルキレンまたはフェニレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45):
【化8】
(式中、lは、2〜6であり;
R4およびR5は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシルあるいは、式(c33)、(c36)または(c44)の基である)の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、−NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキル、フェニル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、C1〜C12アルキニルアミノ、−SCN、−NHNH−C1〜C12アルキル、−NHNH−フェニル、−N3、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニルであり、ここで該アルキルは、非置換またはOR4、NR4R5若しくはSR4で置換されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ非中断または−O−、−S−若しくは−NR4−で中断されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつOR4、−NR4R5またはSR4で置換され、同時に−O−、−S−または−NR4−で中断されている;
ただし、X1〜X8の少なくとも一つは、式(c31)〜(c45)で表される基であり;そして
Gは、請求項1定義の通りである];
【化9】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の基である);
【化10】
(式中、mは、0〜100であり;
R6は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基(c33)若しくは(c36)、または基:
【化11】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化12】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、C2〜C12ジアシルまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
さらに、Y1がNであるなら、Y2およびR13は共に直接結合でよく;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化13】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化14】
(式中、pは、0〜18の数であり;
X17は、独立に、基(c33)若しくは(c36)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【化15】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15は、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化16】
であり;
tは、3〜6であり;
Y4は、三価、四価、五価、または六価の、無機残基または有機残基である);
【化17】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化18】
であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の化合物を含む、請求項1記載の二次電池。
【請求項10】
活物質が、式(d1)〜(d7):
【化19】
(式中、nは、0〜50の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【化20】
であり;
R2は、C2〜C6アルキレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(d31)〜(d34):
【化21】
の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−SH、C1〜C12アルキル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【化22】
であり;
R4は、水素、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基である);
【化23】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化24】
(式中、mは、0〜50であり;
R6は、C2〜C6アルキレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【化25】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化26】
(式中、Y1およびY2は、N、O、またはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C6アルキレン、または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基、または基:
【化27】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化28】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(d33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化29】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15は、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【化30】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり
Y5がNなら、R17はH、または式(d33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の化合物を含む、請求項9記載の二次電池。
【請求項11】
活物質が、式(e1)〜(e7):
【化31】
(式中、nは、0〜10の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、または基:
【化32】
であり;
R2は、−CH2−CH2−であり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)〜(e34):
【化33】
の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【化34】
であり;
R4は、水素、または式(e33)の基である);
【化35】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化36】
(式中、mは、0〜10であり;
R6は、−CH2CH2−または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、基:
【化37】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化38】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は−CH2CH2−または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、式(e33)の基、または基:
【化39】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化40】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(e33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化41】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、または式(e33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【化42】
(式中、R16は、Hであり;
Y5は、NまたはOであり;
Y5がOなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(e33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の化合物を含む、請求項10記載の二次電池。
【請求項12】
正極または負極の少なくとも一方に、請求項1定義の活物質を組み入れることを含む、二次電池を提供する方法。
【請求項13】
式(Ia)〜(Iq):
【化43】
[式中、*は、トリアジン構造要素への結合を示す原子価であり;
アリールは、フェニルまたはナフチルであり;そして
Gは、
【化44】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である]のラジカルであって、直接または結合基を介して式(II):
【化45】
(式中、*は、式(Ia)〜(Iq)のラジカル少なくとも1種が、直接または結合基を介して付けられる結合を示す)のトリアジン構造要素に化学結合されたラジカルよりなる群から選択される化合物であるが;
ただし、化合物(A):
【化46】
は除外される化合物の、二次電池の正極または負極の少なくとも一方における活物質としての使用。
【請求項14】
式(c1)〜(c7):
【化47】
[式中、nは、0〜100の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基:
【化48】
であり;
R2は、C2〜C12アルキレンまたはフェニレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(c31)〜(c45):
【化49】
の基であり;
ただし、少なくとも一つは式:
【化50】
(式中、lは、2〜6であり;
R4およびR5は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または式(c33)若しくは(c36)の基である)であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C5〜C6シクロアルキルオキシ、フェノキシ、C1〜C12アシルオキシ、C1〜C12アシルアミノ、C1〜C12アルキルアミノ、C5〜C6シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、N−モルホリノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C5〜C6ジシクロアルキルアミノ、ジフェニルアミノ、C1〜C12アルキルチオ、C5〜C5シクロアルキルチオ、フェニルチオ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、−NH2、−NH−NH2、−SH、C1〜C12アルキル、フェニル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、C1〜C12アルキニルアミノ、−SCN、−NHNH−C1〜C12アルキル、−NHNH−フェニル、−N3、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニルであり、ここで該アルキルは、非置換、またはOR4、NR4R5若しくはSR4で置換されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ非中断または−O−、−S−若しくは−NR4−で中断されているか、あるいは該アルキルは、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつOR4、−NR4R5またはSR4で置換され、同時に−O−、−S−、または−NR4−で中断されている;そして
Gは、
【化51】
(式中、A-は、有機酸または無機酸から誘導されるアニオンである)である];
【化52】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【化53】
(式中、mは、0〜100であり;
R6は、C2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、フェニル、C1〜C12アシル、または基(c33)若しくは(c36)、または基:
【化54】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化55】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C12アルキレン、フェニレン、または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化56】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化57】
(式中、pは、0〜18の数であり;
X17は、独立に、基(c33)若しくは(c36)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基である);
【化58】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りの基であり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15は、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化59】
であり;
tは、3〜6であり;
Y4は、三価、四価、五価、または六価の、無機残基または有機残基である);
【化60】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17は、H、またはC1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C1〜C12アシル、フェニル、または式(c33)若しくは(c36)の基、または基:
【化61】
であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の化合物。
【請求項15】
式(d1)〜(d7):
【化62】
(式中、nは、0〜50の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【化63】
であり;
R2は、C2〜C6アルキレンであり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(d31)〜(d34):
【化64】
の基であり;
ただし、少なくとも一つが、基:
【化65】
であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルオキシ、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、カルボキシメチル、ハロゲン、−OH、NH2、−SH、C1〜C12アルキル、H、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【化66】
であり;
R4は、水素、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基である);
【化67】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化68】
(式中、mは、0〜50であり;
R6は、C2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、独立に、H、メチル、ホルミル、アセチル、または基:
【化69】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化70】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13はC2〜C6アルキレンまたは直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は独立に、H、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基、または基:
【化71】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化72】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(d33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化73】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、C1〜C4アルキル、または式(d33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【化74】
(式中、R16は、HまたはCH3であり;
Y5は、N、OまたはSであり;
Y5がOまたはSなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(d33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、または−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の請求項14記載の化合物。
【請求項16】
式(e1)〜(e7):
【化75】
(式中、nは、0〜10の数であり;
R1およびR3は、独立に、H、または基:
【化76】
であり;
R2は、−CH2−CH2−であり;
X1〜X8は、互いに独立に、式(e31)〜(e34):
【化77】
の基であり;
ただし、少なくとも一つが、式:
【化78】
の基であり;
さらにX1〜X8の1個以上は、C1〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、ハロゲン、NH2、C1〜C12アルケニルアミノ、またはC1〜C12アルキニルアミノであり;
Gは、
【化79】
であり;
R4は、水素、または式(e33)の基である);
【化80】
(X9〜X11は、互いに独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化81】
(式中、mは、0〜10であり;
R6は、−CH2CH2−または直接結合であり;
R7、R8、R9およびR10は、基:
【化82】
であり;
そして、X12は、X1〜X8に対する定義の通りの意味を有する);
【化83】
(式中、Y1およびY2は、N、OまたはSであり;
Y1およびY2がNまたはSであるなら、R13は−CH2CH2−または直接結合であり;
Y1またはY2がOまたはSであるなら、R11またはR12は電子対であり;
Y1およびY2がNであるなら、R11およびR12は、式(e33)の基、または基:
【化84】
であり;
X13〜X16は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化85】
(式中、pは、2〜6の数であり;
X17は、基(e33)であり;そして
X18およびX19は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りである);
【化86】
(式中、X20およびX21は、独立に、X1〜X8に対する定義の通りであり;
Y3は、N、OまたはSであり;
Y3がOまたはSなら、R15は電子対であり;
Y3がNなら、R15はH、または式(e33)の基であり;
tは、3であり;
Y4は、三価の無機残基または有機残基である);
【化87】
(式中、R16は、Hであり;
Y5は、NまたはOであり;
Y5がOなら、R17は電子対であり;
Y5がNなら、R17はH、または式(e33)の基であり;
Y6は、直接結合、−NH−、−CH2CH2−N−、または−CH2CH2−O−であり;そして
X22およびX23は、X1〜X8に対する定義と同じ意味を有する)の請求項15記載の化合物。
【公表番号】特表2009−531812(P2009−531812A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500816(P2009−500816)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052261
【国際公開番号】WO2007/107468
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052261
【国際公開番号】WO2007/107468
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】
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