説明

二段式の力覚センサーキーボード

【課題】少なくとも一つのキーとキーの下方に位置づけられる薄膜スイッチ回路を有する二段式の力覚センサーキーボードを提供する。
【解決手段】薄膜スイッチ回路は第一接続点と、第二接続点と、第一接続点と第二接続点を隔てる第一隔離層と、第三接続点と、第四接続点と、第三接続点と第四接続点を隔てる第二隔離層とを含み、第二隔離層の厚さは第一隔離層の厚さより厚い。キーが第一圧力によって押される時、第一接続点と第二接続点は接触し、第一信号が発生させられる。また、キーが第二圧力によって押される時、第一接続点と第二接続点は接触し、かつ、第三接続点と第四接続点は接触し、第二信号が発生させられる。第二隔離層の厚さと第一隔離層の厚さの比例値がより大きければ大きいほど、ユーザーは第一圧力と第二圧力の違いをより容易に識別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキーボードに関し、より詳しくは、力覚センサー機能を有する力覚センサー式のキーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
キーボードはコンピューターのキーボードや、携帯電話のキーボードや、個人用の携帯情報末端(Personal Digital Assistant, PDA)など各種電子設備に応用されている。図1は従来のコンピューターのキーボードの外観を示す概略図である。従来のコンピューターキーボード1の表面上には複数のキーがあり、これらキーは一般のキー10、数字キー11、及びファンクションキー12などに分類され、これらのキーはユーザーが指で押すことにより、対応する信号が発生させられ、これにより、コンピューターは押されたキーの機能を実行することになる。例えば、一般のキー10は英字アルファベットなどの符号を入力させるために用いられ、数字キー11は数字を入力させるために用いられ、かつF1キー〜F12キーなどのファンクションキーは各種機能を提供させるために用いられる。
【0003】
技術の革新とともに、一般の基本的な機能を持つキーボードでは満足できないユーザーもおり、このため、それぞれのキーボードメーカーは各種機能を有するキーボード装置の開発を行っており、例えば、力覚センサー機能を有する力覚センサー式のキーボードも従来の技術の中の一つである。力覚センサー式のキーボードでは、複数のキーの下方に力覚センサーモジュールが増設され、ユーザーによってどのような圧力で押されたかを複数のキーによって検知し、かつ、キーには所定の圧力が設定されており、キーが所定の圧力より小さい圧力で押される時、力覚センサー式のキーボードは弱い力覚信号を発生させ、コンピューターに弱い力覚信号に対応する弱い力覚指令を実行させる。また、キーが所定の圧力より大きい圧力で押される時、力覚センサー式のキーボードは強い力覚信号を発生させ、コンピューターに強い力覚信号に対応する強い力覚指令を実行させる。例を挙げて説明すると、ユーザーが所定の圧力より小さい圧力で力覚センサー式のキーボードのAキーを押した時、コンピューターは小文字の“a”の入力を行い、ユーザーが所定の圧力より大きい圧力で力覚センサー式のキーボードのAキーを押した時、コンピューターは大文字の“A”の入力を行う。
【0004】
続いて、従来の力覚センサー式のキーボードの構造と作動状況を説明する。図2は従来の力覚センサー式のキーボードの局部断面図である。従来の力覚センサー式のキーボード2はベース20と、少なくとも一つのキー21と、薄膜スイッチ回路22と、制御ユニット(図示せず)を含み、キー21はベース20上に設けられ、薄膜スイッチ回路22はキー21とベース20の間に設けられる。キー21はキーキャップ211と弾性部材212を有し、キーキャップ211はベース20の外に露呈され、ユーザーに押されることによって、ベース20に対して、上下に移動させるために用いられる。弾性部材212はキーキャップ211の下方に設けられ、キーキャップ211が押される時に、キーキャップ211によって押し縮められ、弾性が形成され、薄膜スイッチ回路22を押す。
【0005】
図2では、薄膜スイッチ回路22はキー21の下方に位置づけられ、薄膜スイッチ回路22は第一層薄膜回路基板221と、第二層薄膜回路基板22と、隔離層223を含む。第一層薄膜回路基板221は第一接続点2211を有し、第二層薄膜回路基板222は第一層薄膜回路基板221の下方に位置づけられ、第二層薄膜回路基板222は第二接続点2221を有し、ここでは、第二接続点2221は第二左金属接続点2221Aと、第二右金属接続点2221Bと、第二黒鉛接続点2221Cが組み合わされることにより形成され、第二黒鉛接続点2221Cは第二左金属接続点2221Aと第二右金属接続点2221Bの間に位置づけられる。隔離層223は第一層薄膜回路基板221と第二層薄膜回路基板222の間に位置づけられ、かつ、隔離層223は貫通孔2231を有する。薄膜スイッチ回路22は隔離層223によって第一層薄膜回路基板221と第二層薄膜回路基板222とに隔てられ、それぞれの基板上の第一接続点2211と第二接続点2221が相互に接触することにより、伝導されることを防ぐ。また、制御ユニットは押されるキー21の圧力強度を判断するために用いられ、かつ、制御ユニットは所定の圧力に対応する所定電圧値を有する。
【0006】
ユーザーが所定の圧力より小さい第一圧力でキー21を押す時、キーキャップ211はベース20に対して、下向きに移動し、弾性部材212を押し、これにより、弾性部材212は押し縮められ、弾性が形成される。同時に、弾性部材212は薄膜スイッチ回路22を押し、薄膜スイッチ回路22を湾曲させ、下へ移動させる。薄膜スイッチ回路22では、第一層薄膜回路基板221と隔離層223は下に向かって移動し、第二層薄膜回路基板222に近づき、かつ、第一層薄膜回路基板221上の第一接続点2211は貫通孔2231内に入り込み、第二層薄膜回路基板222上の第二接続点2221と接触し、伝導される。第一圧力の強度は大きくないため、第一接続点2211と第二接続点2221内の第二黒鉛接続点2221Cの接触面積は大きくなく、第一接続点2211と第二接続点2221の間には比較的小さい第一力覚強度電圧が発生させられる。この時、制御ユニットは第一力覚強度電圧と所定の電圧値を比較することにより、第一力覚強度電圧は所定の電圧値より小さいことが自明となり、これにより、第一圧力は小さいということを示す弱い力覚信号を制御ユニットは発生させる。また、ユーザーがキー21を押さないとき、弾性部材212は押し縮められた状態から原状へ回復されることにより、弾性をリリースし、キーキャップ211と当接し、キーキャップ211をベース20に対して上向きに移動させ、押される前の位置へと戻す。
【0007】
ユーザーが所定の圧力より大きい第二圧力でキー21を押す時、キーキャップ211はベース20に対して、下向きに移動し、薄膜スイッチ回路22を押し、これにより、薄膜スイッチ回路22は湾曲させられ、下へ移動させられる。薄膜スイッチ回路22では、第一層薄膜回路基板221と隔離層223は下に向かって移動し、第二層薄膜回路基板222に近づき、かつ、第一層薄膜回路基板221上の第一接続点2211は貫通孔2231内に入り込み、第二層薄膜回路基板222上の第二接続点2221と接触し、伝導される。第一圧力の強度は比較的大きいため、第一接続点2211と第二接続点2221内の第二黒鉛接続点2221Cの接触面積は増加し、第一接続点2211と第二接続点2221の間には比較的大きい第一力覚強度電圧が発生させられる。この時、制御ユニットは第一力覚強度電圧と所定の電圧値を比較することにより、第一力覚強度電圧は所定の電圧値より大きいことが自明となり、これにより、第一圧力は大きいということを示す弱い力覚信号を制御ユニットは発生させる。また、ユーザーがキー21をリリースした後、キー21は元の位置へと戻される。以上が従来の力覚センサー式のキーボードの作動状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の力覚センサー式のキーボードが作動する過程では、力覚強度電圧は第一接続点2211と第二接続点2221内の第二黒鉛接続点2221Cの接触面積の大きさによって決定され、かつ、制御ユニットは力覚強度電圧と、所定の電圧値を比較することによってのみ、押されたキーの圧力の大きさを判断することが可能である。つまり、制御ユニットは押されたキーの圧力の大きさを判断するためには、計算を行う時間が必要であり、かなりのコンピューターのリソースが使用されることとなる。このため、煩雑な計算を行うことが必要でない力覚センサー式のキーボードが必要とされている。
【0009】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、煩雑な計算を行うことを必要としない、力覚センサー式のキーボードを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る二段式の力覚センサーキーボードは、
ベースと、
第一圧力か、第二圧力によって押される少なくとも一つのキーと、
ベース上、かつ、キーの下方に位置づけられ、キーによって当接されることにより、弱い力覚信号か、強い力覚信号かを発生させる薄膜スイッチ回路とを含む二段式の力覚センサーキーボードであって、
薄膜スイッチ回路はさらに、
キーの第一接続点に対応する第一層薄膜回路基板と、
第一層薄膜回路の下方に設けられ、第一貫通孔と第一厚さを有する第一隔離層と、
第一隔離層の下方に設けられ、第二接続点と第三接続点を有し、第二接続点はその基板の第一面上に設けられ、第二接続点はキーが第一圧力によって押される時に第一貫通孔へと入り込み、第一接続点と接触することによって、弱い力覚信号を発生させ、第三接続点は第二層薄膜回路基板の第二面上に設けられ、
第二接続点と電気的に接続される第二層薄膜回路基板と、
第二層薄膜回路基板の下方に設けられ、かつ、第二貫通孔と第二厚さを有する第二隔離層と、
第二隔離層の下方に設けられ、第四接続点を有し、第四接続点はキーが第二圧力によって押される時に第二貫通孔へと入り込み、第三接続点と接触することによって、強い力覚信号を発生させる第三層薄膜回路基板とを含み、
ここでは第一厚さと第二厚さは異なり、
第一層薄膜回路基板は複数のスキャン入力線を含み、第一接続点は複数のスキャン入力線の第一スキャン入力線と接続され、第二層薄膜回路基板は複数の出力線を含み、第二接続点と第三接続点は複数のスキャン出力線の第一スキャン出力線に接続され、複数のスキャン出力線は複数のスキャン入力線と複数のキーに対応する第一層キーボードスキャンマトリックスを形成させることを特徴とする。
【0011】
好ましい実施形態では、第一貫通孔の直径と第二貫通孔の直径は同じである。
【0012】
好ましい実施形態では、第一接続点と、第二接続点と、第三接続点と、第四接続点は低インピーダンス材料によって形成される。
【0013】
好ましい実施形態では、キーは、
押されることにより、ベースに対して上下移動をさせるためのキーキャップと、
キーキャップと接続され、キーキャップをベースに対して上下移動させるための接続部材と、
キーキャップの下方に設けられ、キーキャップが押され、ベースに対して下向きに移動する時、押し縮められ、弾性を形成し、キーキャップがリリースされる時、弾性をキーキャップに加え、キーキャップをベースに対して上向きに移動させるための弾性部材とを含む。
【0014】
好ましい実施形態では、本発明に係る二段式の力覚センサーキーボードは、薄膜スイッチ回路に接続される制御ユニットをさらに含み、制御ユニットは複数のスキャン入力線と複数のスキャン出力線に基づき、どのキーが押されたかを判断する、或いは、第三接続点と第四接続点が伝導されたかどうかを判断するために用いられ、ここでは、キーが押され、第一接続点と第二接続点が接触し、伝導される時、制御ユニットは接続されている第一接続点の第一スキャン入力線と、接続されている第二接続点の第一スキャン出力線に基づき、キーに対応するキーコードを出力させる。
【0015】
好ましい実施形態では、本発明に係る二段式の力覚センサーキーボードは、キーとベースの間に設けられる提示モジュールをさらに含み、提示モジュールは制御ユニットに接続され、提示モジュールは制御ユニットが第三接続点と第四接続点が伝導したと判断されたときに提示メッセージを発生されるために用いられる。
【0016】
好ましい実施形態では、提示モジュールは発光モジュールであり、提示メッセージは発光モジュールによって発生されるビームである。
【0017】
好ましい実施形態では、提示モジュールはブザーであり、かつ、提示メッセージはブザーによって発生される警告音である。
【0018】
好ましい実施形態では、第一隔離層と第二隔離層はそれぞれ第一層薄膜回路基板と第二層薄膜基板回路上にプリントされ、形成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、本発明によれば、煩雑な計算を行うことが必要でない力覚センサー式のキーボードが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来のキーボードの外観を示す概略図である。
【図2】従来の力覚センサー式のキーボードの局部断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードの断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードのキーを示す断面図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードの内部の回路を示す電気回路図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードの第一層キースキャンマトリックスを示す電気回路図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードの第二層キースキャンマトリックスを示す電気回路図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードのキーが弱く押された状態を示す断面図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードのキーが強く押された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードは、図3の本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードの断面図で示されている。図3の二段式の力覚センサーキーボード3はベース30と、複数のキー31と、薄膜スイッチ回路32と、制御ユニット33(図5参照)と、提示モジュール34を含む。好ましい実施形態では、提示モジュール34は発光モジュールであり、かつ、発光モジュール34は複数の発光ダイオード341(Light Emitter Diode, LED)と導光板342を有し、複数の発光ダイオード341はそれぞれ複数のキー31の両側(図中では2つだけ表示)に設置、配列され、ビームを出力させるために用いられる。導光板342は薄膜スイッチ回路32と重ね合わせられ、薄膜スイッチ回路32の下方に位置づけられ、ビームの射出方向を変え、二段式の力覚センサーキーボード3を透光させるために用いられる。
【0022】
続いて、複数のキー31の詳細な構造について、最も右側のキー31を用いて説明を加える。図4は本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードのキーを示す断面図であり、キー31はベース30の外に露呈され、キー31はキーキャップ311と、弾性部材312と、接続部材313から構成され、キーキャップ311はベース30の外に露呈され、ユーザーによって押されることにより、キー31に対応する信号を発生させるために用いられ、かつ、キーキャップ31は部分透明、或いは、すべて透明な部材によって形成され、光を透過させる。弾性部材312はキーキャップ311の下方に設けられ、キーキャップ311がユーザーによって押され、ベース30に対して、下向きに移動させられる時、押し縮められ、弾性を形成させる。ユーザーがキーキャップ311を押さず、これがリリースされる時、弾性はキーキャップ311に加えられ、キーキャップ311をベース30に対して、上向きに移動させ、押される前の位置へと押し戻す。また、接続部材312はキーキャップ311に接続され、キーキャップ311をベース30に対して、上下に移動させるために用いられる。好ましい実施形態では、弾性部材312はゴムによって形成され、接続部材312はシャー型接続部材である。
【0023】
さらに、薄膜スイッチ回路32の構造について、説明を加える。薄膜スイッチ回路32はベース30上に設けられ、キー31の下方に位置づけられ、キー31に当接されることにより、信号を発生させる。薄膜スイッチ回路32は第一層薄膜回路基板321と、第一隔離層322と、第二層薄膜回路基板323と、第二隔離層324と、第三層薄膜回路基板325とを含む。第一層薄膜回路基板321はキー31に対応する第一接続点3211を有する。第一隔離層322は第一層薄膜回路基板321の下方に設けられ、かつ、第一隔離層322は第一貫通孔3221を含み、第一貫通孔3221の位置は第一接続点3211の位置に対応し、第一隔離層322は第一厚さT1を有する。第二層薄膜回路基板323は第一隔離層322の下方に設けられ、第二層薄膜回路基板323は第二接続点3231Aと第三接続点3232Aを有し、第二接続点3231Aは第二層薄膜回路基板323の第一面3231上に設けられ、第二接続点3231Aの位置は第一開口部3221の位置に対応し、第三接続点3232Aは第二層薄膜回路基板323の第二面3232上に設けられ、第三接続点3232Aの位置は第二接続点3231Aの位置に対応し、ここでは、第三接続点3232Aは第二接続点3231Aと電気的に接続される。
【0024】
薄膜スイッチ回路32では、第二隔離層324は第二層薄膜回路基板323の下方に設けられ、第二隔離層324は第二貫通孔3241を有し、第二貫通孔3241の位置は第三接続点3232Aの位置と対応し、第二隔離層324は第二厚さT2を有し、ここでは、第一隔離層322の第一厚さT1と第二隔離層324の第二厚さT2は異なる。好ましい実施形態では、第一厚さT1は第二厚さT2より薄く、第二厚さT2と第一厚さT1の比例値は1.5である。第三層薄膜回路基板325は第二隔離層324の下方に設けられ、第三層薄膜回路基板325は第四接続点3251を有し、第四接続点3251の位置は第二貫通孔3241の位置と対応する。図4に示すように、第一貫通孔3221の直径と第二貫通孔3241の直径は同じである。好ましい実施形態では、第一接続点3211と、第二接続点3231Aと、第三接続点3232Aと、第四接続点3251は低インピーダンス材料によって形成され、低インピーダンス材料とは、金属、シルバーインクなどの材料である。
【0025】
続いて、図4と図5を用いて、二段式の力覚センサーキーボード3の内部回路について説明する。図5は本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードの内部の回路を示す電気回路図であり、薄膜スイッチ回路32内の第一層薄膜回路基板321は複数のスキャン入力線Col.1〜Col.18を有し、かつ、それぞれのスキャン入力線はすべて第一接続点3211に対応し、また、第二層薄膜回路基板323は複数のスキャン出力線Row1〜Row8を有し、かつ、それぞれのスキャン入力線は第二接続点3231Aに対応する。第三層薄膜回路基板325は複数の検知線Sen.1〜Sen.18を有し、かつ、それぞれの検知線はすべて第四接続点3251に対応する。図4に示すキー31では、その第一層薄膜回路基板321のスキャン入力線Col.1は第一接続点3211に対応し、その第二層薄膜回路基板323のスキャン出力線Row1は第二接続点3231Aに対応し、第三接続点3232Aは第二接続点3231Aと電気的に接続され、第三接続点3232Aはスキャン出力線Row1と接続させられる(図4に示す)。複数のスキャン出力線Row1〜Row8と複数のスキャン入力線Col.1〜Col.18はそれぞれ制御ユニット34に接続され、かつ、第三層薄膜回路基板325上の第四接続点3251は検知線Sen.1に接続され(図4に示す)、かつ、検知線Sen.1は制御ユニット34に接続される。制御ユニット34は複数のスキャン出力線Row1〜Row8のどのスキャン出力線と複数のスキャン入力線Col.1〜Col.18のどのスキャン入力線が伝導されているかに基づき、どのキーが押されているかを判断する。これ以外に、制御ユニット34はさらに複数のスキャン出力線Row1〜Row8のどのスキャン出力線と複数の検知線Sen.1〜Sen.18のどの検知線が伝導されているかに基づき、このキーの第三接続点3232Aと第四接続点3251が伝導されているかどうかを判断する。また、好ましい実施形態では、制御ユニット34はマイクロプロセッサーである。
【0026】
図6の本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードの第一層キースキャンマトリックスを示す電気回路図と図7の本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードの第二層キースキャンマトリックスを示す電気回路図に示すように、図6の複数のスキャン出力線Row1〜Row8と、複数のスキャン入力線Col.1〜Col.18は互い違いに交わり、複数のキー31に対応する第一層キーボードスキャンマトリックスM1を形成させる。また、複数のスキャン出力線Row1〜Row8と、複数の検知線Sen.1〜Sen.18は互い違いに交わり、複数のキー31に対応する第二層キーボードスキャンマトリックスM2を形成させ、図7のように示される。さらに、第一層キーボードスキャンマトリックスM1と第二層キーボードスキャンマトリックスM2は重ね合わせられ、キーボードスキャンマトリックスが形成させられる(図示せず)。
【0027】
図4と、図8の本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードのキーが弱く押された状態を示す断面図に示すように、ユーザーがキー31を押していない時、第一隔離層322は第一層薄膜回路基板321と第二層薄膜回路基板323を分け隔てさせ、第一接続点3211は第二接続点3231Aと接触せず、第二隔離層324は第二層薄膜回路基板323と第三層薄膜回路基板325を分け隔てさせ、第三接続点3232Aは第四接続点3251と接触しない。ユーザーが比較的弱い第一圧力F1でキー31のキーキャップ311を押す時、接続部材313はキーキャップ311をベース30に対して、下向きに移動させ、弾性部材312はキーキャップ311によって押し縮められ、第一層薄膜回路基板321と当接し、第一層薄膜回路基板321と第一隔離層322は湾曲させられる。さらに、第一接続点3211は第一貫通孔3221に入り込み、第二接続点3231Aと接触し、図8のように示される。第一接続点3211と第二接続点3231Aは伝導されるため、制御ユニット34は弱い力覚信号を出力させ、ここでは、弱い力覚信号とは、ハイロジックレベル信号のことである。ユーザーがキーを押さない時、弾性部材312は押し縮められた状態から現状へと戻り、リリースされる弾性によって、キーキャップ311と当接し、キーキャップ311をベース30に対して、上向きに移動させ、押される前の位置へと押し戻す。
【0028】
図4と、図9の本発明の好ましい実施形態に係る二段式の力覚センサーキーボードのキーが強く押された状態を示す断面図に示すように、ユーザーがキー31を押していない時、第一接続点3211と第二接続点3231Aは接触し、かつ、第三接続点3232Aは第四接続点3251と接触しない。ユーザーが比較的強い第二圧力F1でキー31のキーキャップ311を押した時、接続部材313はキーキャップ311をベース30に対して、下向きに移動させ、弾性部材312はキーキャップ311によって押し縮められ、第一層薄膜回路基板321と当接し、第一層薄膜回路基板321と第一隔離層322は湾曲させられる。さらに、第一接続点3211は第一貫通孔32221に入り込み、第二接続点3231Aと接触し、これにより、第一接続点3211と第二接続点3231Aは伝導され、弱い力覚信号が出力される。同時に、第二層薄膜回路基板323は第二圧力F2によって湾曲し、第二層薄膜回路基板323上の第三接続点3232Aは第二貫通孔3241へと入り込み、第四接続点3251と接触し、これにより、第三接続点3232Aと第四接続点3251は伝導され、制御ユニット34は強い力覚信号を出力させ、ここでは、弱い力覚信号とはハイロジックレベル信号のことである。
【0029】
制御ユニット34が強い力覚信号を出力する時、発光モジュール34の複数の発光ダイオード341はビームを出力し、導光板342はビームの射出方向を変更し、キーボード3は透光させられ、ユーザーのキーボード3が強い力覚信号を発生させていることを提示する。同様に、ユーザーがキー31を押していない時、キーキャップ311と、弾性部材312と、接続部材313は元の位置に戻される。例を挙げて説明すると、キーボード3はコンピューター(図示せず)に接続され、例えば、押されるキー31がAキーだとすると、これは、スキャン入力線Col.1とスキャン出力線Row1の対応するキーはAキーであるということを意味する。制御ユニット34が弱い力覚信号をコンピューターに出力させる時、コンピューターは小文字の“a”の入力を実行し、制御ユニット34が強い力覚信号をコンピューターに出力させる時、コンピューターは大文字の“A”の入力を実行し、この時、キーボード3は発光する。
【0030】
上述の説明で明らかなように、本発明の二段式の力覚センサーキーボード3は三層の薄膜回路基板によって、二段式のスイッチが提供され、第一圧力F1によって弱くキー31が押される時、第一接続点3211と第二接続点3231Aだけが接触し、第一機能である弱い力覚信号が発生される。第二圧力F2によって強くキー31が押される時、第一接続点3211と第二接続点3231Aが接触すると共に、第三接続点3232Aと第四接続点3251も接触し、これにより、第二機能である強い力覚信号が発生される。
【0031】
本発明は以下の三つの特徴がある。第一に、本発明の二段式の力覚センサーキーボード3は比較的薄い第一隔離層322と比較的厚い第二隔離層324が薄膜スイッチ回路32内に設けられ、ユーザーが第一圧力F1で押す時には、第一接続点3211と第二接続点3231Aは接触させられ、比較的強い第二圧力F2で押す時には、第三接続点3232Aと第四接続点3251も接触させられる。つまり、第二隔離層324の第二厚さT2と第一隔離層322の第一厚さT1の比例値が大きくなるにつれ、第三接続点3232Aと第四接続点3251を接触させるための第二圧力F2はより大きい必要があり、このため、ユーザーが第一圧力F1と第二圧力F2の違いをより明確に識別することが可能となる。上述の好ましい実施形態では、第二厚さT2と第一厚さT1の比例値は1.5であるが、本発明はこの比例値1.5に限定されるわけではなく、本発明の二段式の力覚センサーキーボードでは、第二厚さT2と第一厚さT1の比例値は1.1から2の間で設定される。
【0032】
第二に、第一隔離層322と第二隔離層324の製造方法は二通りあり、一つ目は、第一層薄膜回路基板321と同じ薄膜回路基板を第一層薄膜回路基板321と第二層薄膜回路基板323とで挟み、その挟まれている薄膜回路基板を第一隔離層322として形成させる方法であり、第二隔離層324も同じ原理により製造される。別の製造方法は、第一層薄膜回路基板321にさらにプリントを行い、プリント物層を形成させ、第二層薄膜回路基板323と第一層薄膜回路基板321を重ね合わせ、プリント物層を第一隔離層322とさせる方法であり、第二隔離層324も同じ原理により製造される。
【0033】
第三に、本発明の二段式の力覚センサーキーボードの提示モジュールは発光モジュールに制限されず、ブザーや、振動モジュールによって、取り替えることも可能であり、ブザーを提示モジュールとして採用する場合で、強い力覚信号が発生される時、提示メッセージはブザーによって発生される警告音である。また、振動モジュールを提示モジュールとして採用する場合で、強い力覚信号が発生される時、提示メッセージは振動モジュールによって発生される振動である。つまり、本発明の二段式力覚センサーキーボードは三層の薄膜回路基板を設けることにより、二段式のデジタルスイッチを提供し、これにより、煩雑な計算を行う必要のあった従来の力覚センサー式のキーボードと取って代わり、計算時間を節約し、莫大なコンピューターリソースを必要としなくても作動するのである。
【0034】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0035】
1、2、3 キーボード
10 一般のキー
11 数字キー
12 ファンクションキー
20、30 ベース
21、31 キー
22、32 薄膜スイッチ回路
33 制御ユニット
34 提示モジュール
211、311 キーキャップ
212、312 弾性部材
313 接続部材
221、321 第一層薄膜回路基板
222、323 第二層薄膜回路基板
223、322、324 隔離層
325 第三層薄膜回路基板
341 発光ダイオード
342 導光板
2211、3211 第一接続点
2221、3231A 第二接続点
2231 貫通孔
3221 第一貫通孔
3231 第一面
3232 第二面
3241 第二貫通孔
3251 第四接続点
2221A 第二左金属接続点
2221B 第二右金属接続点
2221C 第二黒鉛接続点
3232A 第三接続点
M1、M2 キーボードスキャンマトリックス
T1、T2 厚さ
Col.1〜Col.18 スキャン入力線
Row1〜Row8 スキャン出力線
Sen.1〜Sen.18 検知線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
第一圧力か、第二圧力によって押される少なくとも一つのキーと、
前記ベース上、かつ、前記キーの下方に位置づけられ、前記キーによって当接されることにより、弱い力覚信号か、強い力覚信号かを発生させる薄膜スイッチ回路とを含む二段式の力覚センサーキーボードであって、
前記薄膜スイッチ回路はさらに、
前記キーの第一接続点に対応する第一層薄膜回路基板と、
前記第一層薄膜回路の下方に設けられ、第一貫通孔と第一厚さを有する第一隔離層と、
前記第一隔離層の下方に設けられ、第二接続点と第三接続点を有し、前記第二接続点はその基板の第一面上に設けられ、前記第二接続点は前記キーが第一圧力によって押される時に前記第一貫通孔へと入り込み、前記第一接続点と接触することによって、前記弱い力覚信号を発生させ、前記第三接続点は前記第二層薄膜回路基板の第二面上に設けられ、前記第二接続点と電気的に接続される第二層薄膜回路基板と、
前記第二層薄膜回路基板の下方に設けられ、かつ、第二貫通孔と第二厚さを有する第二隔離層と、
前記第二隔離層の下方に設けられ、第四接続点を有し、前記第四接続点は前記キーが前記第二圧力によって押される時に前記第二貫通孔へと入り込み、前記第三接続点と接触することによって、前記強い力覚信号を発生させる第三層薄膜回路基板とを含み、
ここでは前記第一厚さと前記第二厚さは異なり、
前記第一層薄膜回路基板は複数のスキャン入力線を含み、前記第一接続点は前記複数のスキャン入力線の第一スキャン入力線と接続され、前記第二層薄膜回路基板は複数の出力線を含み、前記第二接続点と前記第三接続点は前記複数のスキャン出力線の第一スキャン出力線に接続され、前記複数のスキャン出力線は前記複数のスキャン入力線と前記複数のキーに対応する第一層キーボードスキャンマトリックスを形成させることを特徴とする、二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項2】
前記第一厚さは前記第二厚さより薄く、かつ、前記第二厚さと前記第一厚さの比例値は1.1から2の間であることを特徴とする、請求項1に記載の二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項3】
前記第一貫通孔の直径と前記第二貫通孔の直径は同じであることを特徴とする、請求項1に記載の二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項4】
前記第一接続点と、前記第二接続点と、前記第三接続点と、前記第四接続点は低インピーダンス材料によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項5】
前記キーは、
押されることにより、前記ベースに対して上下移動をさせるためのキーキャップと、
前記キーキャップと接続され、前記キーキャップを前記ベースに対して上下移動させるための接続部材と、
前記キーキャップの下方に設けられ、前記キーキャップが押され、前記ベースに対して下向きに移動する時、押し縮められ、弾性を形成し、前記キーキャップがリリースされる時、前記弾性を前記キーキャップに加え、前記キーキャップを前記ベースに対して上向きに移動させるための弾性部材と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項6】
前記薄膜スイッチ回路に接続される制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは前記複数のスキャン入力線と前記複数のスキャン出力線に基づき、どのキーが押されたかを判断する、或いは、前記第三接続点と前記第四接続点が伝導されたかどうかを判断するために用いられ、ここでは、前記キーが押され、前記第一接続点と前記第二接続点が接触し、伝導される時、前記制御ユニットは接続されている前記第一接続点の前記第一スキャン入力線と、接続されている前記第二接続点の前記第一スキャン出力線に基づき、前記キーに対応するキーコードを出力させることを特徴とする、請求項1に記載の二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項7】
前記キーと前記ベースの間に設けられる提示モジュールをさらに含み、前記提示モジュールは前記制御ユニットに接続され、前記提示モジュールは前記制御ユニットが前記第三接続点と前記第四接続点が伝導したと判断されたときに提示メッセージを発生されるために用いられることを特徴とする、請求項6に記載の二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項8】
前記提示モジュールは発光モジュールであり、前記提示メッセージは前記発光モジュールによって発生されるビームであることを特徴とする、請求項7に記載の二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項9】
前記提示モジュールはブザーであり、かつ、前記提示メッセージは前記ブザーによって発生される警告音であることを特徴とする、請求項7に記載の二段式の力覚センサーキーボード。
【請求項10】
前記第一隔離層と前記第二隔離層はそれぞれ前記第一層薄膜回路基板と前記第二層薄膜基板回路上にプリントされ、形成されることを特徴とする、請求項1に記載の二段式の力覚センサーキーボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−256614(P2012−256614A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202143(P2012−202143)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2010−203935(P2010−203935)の分割
【原出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(501280046)致伸科技股▲ふん▼有限公司 (104)
【Fターム(参考)】