二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物

【課題】組成物のレベリング性を向上させると共に、第2液中のバルーンの耐浮遊性を向上させ、作業性を向上させた二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物を提供する。
【解決手段】ウレタンプレポリマーを含有する第1液と、ポリオール化合物とポリアミンと充填剤と平均粒子径が20μm以上100μm以下であり且つ比重が0.05より大きく0.35未満の中空体と1分子中に3以上の親水性基を有する湿潤分散剤とを含有する第2液と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、建築、自動車など多方面において種々の用途に広く使用されており、例えば、防水材用組成物として建築物の外壁用の塗膜防水材等に用いられている。ウレタン系塗膜防水材は、建築物の外壁(例えば、屋上の床面、屋外の壁面、ベランダ)の面全体にウレタン系の組成物(ウレタン塗膜防水材組成物)を塗装し硬化させ塗膜とすることによって、建築物への水の浸入、浸透を防ぐ防水材である。
【0003】
従来、防水材用組成物として、ウレタンプレポリマーを含有する第1液に、ポリオールと補強剤とバルーンとを含有する第2液を混合したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、ウレタンプレポリマーを含有する第1液と、ポリオールと芳香族ポリアミンと補強剤とバルーンとを含む第2液とを有する二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物が記載されている。この二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物は、耐発泡性、第2液中での補強剤の耐沈降性及び第2液中でのバルーンの耐浮上性に優れるウレタン塗膜防水材組成物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−246691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ウレタン塗膜防水材組成物として、低比重のバルーンが第2液中において浮上しないようにするためには粘度を上げる必要があるが、粘度を上げるとレベリング性が悪化する。一方、レベリング性を高くするため、粘度を低下させて流動性を向上させるとバルーンの耐浮遊性が低下すると共に、レベリング性が高すぎて防水層の膜厚が確保できなくなる。
【0006】
特許文献1に記載されているウレタン塗膜防水材組成物は、輸送中の振動などで第2液中のバルーンが浮上してしまう。バルーンが浮上した第2液を用いたウレタン塗膜防水材組成物は作業性が悪化する。
【0007】
そのため、ウレタン塗膜防水材組成物としてはレベリング性を向上させ、第2液としてはバルーン(以下、中空体ともいう)の耐浮遊性を向上させ、作業性を向上させた二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物の出現が切望されている。
【0008】
そこで、本発明は、組成物のレベリング性を向上させると共に、第2液中のバルーンの耐浮遊性を向上させ、作業性を向上させた二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記事情を解決すべく鋭意研究した結果、ウレタンプレポリマーを含有する第1液と、ポリオール化合物とポリアミンと充填剤と平均粒子径が20μm以上100μm以下であり且つ比重が0.05より大きく0.35未満の中空体と1分子中に3以上の親水性基を有する湿潤分散剤とを含有する第2液と、を含む組成物は、レベリング性が向上し、第2液中の中空体の耐浮遊性が向上し、作業性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(3)を提供する。
(1) ウレタンプレポリマーを含有する第1液と、
ポリオール化合物とポリアミンと充填剤と平均粒子径が20μm以上100μm以下であり且つ比重が0.05より大きく0.35未満の中空体と1分子中に3以上の親水性基を有する湿潤分散剤とを含有する第2液と、
を含むことを特徴とする二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物。
(2) 前記中空体の含有量が、前記第2液合計量中に1.0質量%以上10質量%以下である上記(1)に記載の二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物。
(3) 前記湿潤分散剤の含有量が、前記第2液合計量中に0.1質量%以上1.0質量%以下である上記(1)又は(2)に記載の二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、組成物のレベリング性を向上させると共に、第2液中の中空体の耐浮遊性を向上させ、作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明について詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0013】
本実施形態に係る二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物(以下、「本実施形態の組成物」という。)は、ウレタンプレポリマーを含有する第1液と、ポリオール化合物とポリアミンと充填剤と平均粒子径が20μm以上100μm以下であり且つ比重が0.05より大きく0.35未満の中空体と1分子中に3以上の親水性基を有する湿潤分散剤とを含有する第2液と、を含むことを特徴とする組成物である。
【0014】
<第1液>
本実施形態の組成物に用いられる第1液(主剤)は、ウレタンプレポリマーを含む。第1液に含有されるウレタンプレポリマーは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的には、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、ヒドロキシ基に対してイソシアネート基(NCO基)が過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、0.5質量%以上5質量%以下のNCO基を分子末端に含有することができる。
【0015】
(ポリオール化合物)
ポリオール化合物は、炭化水素が有する複数個の水素を、水酸基で置換した構造を持ったポリヒドロキシル化合物の総称である。ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるポリオール化合物は、ヒドロキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されない。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、これらの混合ポリオールが挙げられる。
【0016】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール及びペンタエリスリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びポリオキシテトラメチレンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオールが挙げられる。
【0017】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン及びその他の低分子ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、その他の脂肪族カルボン酸及びオリゴマー酸からなる群から選ばれる少なくとも1種との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトンの開環重合体が挙げられる。
【0018】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールのような低分子量のポリオールが挙げられる。
【0019】
ポリオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
(ポリイソシアネート化合物)
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート等のような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートのような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが挙げられる。
【0021】
ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との組み合わせとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)およびジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、ポリプロピレンエーテルジオール及び/又はポリプロピレンエーテルトリオールとの組み合わせが挙げられる。
【0023】
ウレタンプレポリマーを製造する際のポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との量は、イソシアネート基/水酸基(NCO基/OH基(当量比))が、1.2以上2.5以下となるのが好ましく、1.5以上2.2以下となるのがより好ましく、1.5以上1.8以下となるのがさらに好ましい。当量比とは、ポリオール化合物中の水酸基1個あたりのポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基の比をいう。当量比がこのような範囲である場合、得られるウレタンプレポリマーの粘度が適当となり、組成物がより発泡しにくくなる。
【0024】
また、ウレタンプレポリマーの数平均分子量は2000以上であり、2000以上15000以下であることが好ましく、2000以上10000以下であることがより好ましい。
【0025】
ウレタンプレポリマーの製造方法は、特に限定されるものではない。ウレタンプレポリマーは、上述の当量比のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを50℃〜130℃で加熱攪拌して反応させることによって製造することができる。また、必要に応じて、例えば、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることができる。
【0026】
ウレタンプレポリマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
<第2液>
本実施形態の組成物に用いられる第2液(硬化剤)は、ポリオール化合物とポリアミンと充填剤と平均粒子径が20μm以上100μm以下であり且つ比重が0.05より大きく0.35未満の中空体と1分子中に3以上の親水性基を有する湿潤分散剤とを含む。
【0028】
(ポリオール化合物)
第2液に用いられるポリオール化合物は、上述のように、ヒドロキシ基を2個以上有するものであり、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、これらの混合ポリオールが挙げられる。本実施形態の組成物の第2液に含有されるポリオール化合物は、ポリプロピレンエーテルポリオール、プロピレングリコールの1種又は2種以上が用いられる。
【0029】
ポリプロピレンエーテルポリオールは、ヒドロキシ基を2個以上有し、主鎖としてポリプロピレンエーテルの骨格を有するものであれば特に制限されない。ポリプロピレンエーテルポリオールの分子量は、反応性、物性の観点から、150以上13,000以下であるのが好ましく、300以上10,000以下であるのがより好ましい。
【0030】
ポリプロピレンエーテルポリオールとしては、例えば、プロピレンジオール、ジプロピレンジオール、プロピレントリオール及びプロピレンテトラオールからなる群から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びポリオキシテトラメチレンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られうるポリオールが挙げられる。
【0031】
ポリプロピレンエーテルポリオールは、その製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0032】
また、ポリプロピレンエーテルポリオールとして、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールを使用するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0033】
エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールについて以下に説明する。エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールは、ポリプロピレンエーテルポリオールにエチレンオキシドを付加させることにより得られる化合物であれば特に制限されない。
【0034】
エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールの製造の際に使用されるポリプロピレンエーテルポリオールは特に制限されない。上記のポリプロピレンエーテルポリオールと同様のものが挙げられる。
【0035】
エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールの製造の際に使用されるエチレンオキシドは特に制限されない。
【0036】
エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0037】
エチレンオキシドは、原料のポリプロピレンエーテルポリオールの末端及び/又は主鎖に付加することができる。
【0038】
エチレンオキシドが原料のポリプロピレンエーテルポリオールの少なくとも1つの末端に付加した場合、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールは、少なくとも1つの末端にヒドロキシエチル基を含有する。
【0039】
エチレンオキシドが付加されたポリプロピレンエーテルポリオールの末端のヒドロキシエチル基を含む部分は、例えば、下記式(1)のように表される。
【0040】
【化1】

【0041】
式(1)において、−CH−CH(CH)−O−は、原料のポリプロピレンエーテルポリオールの末端であった部分を示す。m、nはそれぞれ独立に1以上の整数である。
【0042】
末端にエチレンオキシドが付加されたポリプロピレンエーテルポリオールとしては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0043】
【化2】

【0044】
式(2)中、l、m、nはそれぞれ独立に2以上の整数であり、x、y、zはそれぞれ独立に0または1以上の整数であり、x=y=z=0である場合を除く。
【0045】
エチレンオキシドを原料のポリプロピレンエーテルポリオールの分子内部にブロック状に分割して付加させたり、ランダムに混合付加させ、主鎖中に−CHCHO−を有するポリプロピレンエーテルポリオールとすることができる。
【0046】
エチレンオキシドの付加率は、特に制限されない。−CHCHO−の含有量が、質量換算でエチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールの3%以上であるのが好ましい態様として挙げられる。
【0047】
エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルジオール、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルトリオール、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルテトラオールが挙げられる。
【0048】
エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールの数平均分子量は、反応性、物性の観点から、500〜8000であることが好ましい。
【0049】
ポリプロピレンエーテルポリオールは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。組成物のレベリング性(塗膜表面の平滑性)、作業性に優れるという観点から、ポリプロピレンエーテルポリオールの少なくとも一部が、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールであるのが好ましい。
【0050】
ポリプロピレンエーテルポリオールと、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールとの組合せは、レベリング性の観点から、ポリプロピレンエーテルジオールおよびポリプロピレンエーテルトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種と、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルジオールおよびエチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルトリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせであるのが好ましい。
【0051】
エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールは、その原料であるポリプロピレンエーテルポリオールとの混合物として使用することができる。
【0052】
エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールと、その原料であるポリプロピレンエーテルポリオールとの混合物は、例えば、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールとポリプロピレンエーテルポリオールとを混合することにより得ることができる。また、原料ポリプロピレンエーテルポリオールとエチレンオキシドとの付加反応によって得られる、エチレンオキシドが付加されているポリプロピレンエーテルポリオールと未反応の原料ポリプロピレンエーテルポリオールとの混合物として得ることもできる。
【0053】
エチレンオキシドが付加されたポリプロピレンエーテルポリオールの量は、ウレタン塗膜防水材のレベリング性に優れるという観点から、ポリプロピレンエーテルポリオール全量中の10質量%以上であるのが好ましく、20質量%以上であるのがより好ましい。
【0054】
本実施形態の組成物において、第2液は、さらに、ポリプロピレンエーテルポリオール、プロピレングリコール以外のポリオールを含むことができる。ポリプロピレンエーテルポリオール、プロピレングリコール以外のポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール;ポリマーポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールのような低分子量のポリオール等が挙げられる。
【0055】
なかでも、反応性、物性の観点から、ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオールが好ましい。ポリプロピレンエーテルポリオール、プロピレングリコール以外のポリオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
ポリプロピレンエーテルポリオール、プロピレングリコール以外のポリオールの使用量は、ポリプロピレンエーテルポリオールとの相溶性の観点から、ポリプロピレンエーテルポリオール100質量部に対して、0.5質量部以上15質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上10質量部以下であるのがより好ましい。
【0057】
(ポリアミン)
第2液に含有されるポリアミンは、ウレタンプレポリマーと反応可能な活性水素を有する活性水素基を備える化合物である。ポリアミンとしては、例えば脂肪族ポリアミン(脂環式ポリアミンを含む)、芳香族ポリアミンが挙げられる。
【0058】
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ヘキサメチレンジアミンカルバメートのような脂肪族ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンのような3官能以上の脂肪族アミン等が挙げられる。
【0059】
脂肪族ポリアミンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
芳香族ポリアミンは、芳香環に2個以上のアミノ基及び/又はイミノ基が結合しているものであれば特に制限されない。
【0061】
例えば、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン、メチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、得られる硬化物の防水性、物性に優れるという観点から、MOCA、メチルチオトルエンジアミンが好ましい。
【0062】
芳香族ポリアミンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0063】
脂肪族ポリアミン及び芳香族ポリアミンの含有量は、反応性、物性の観点から、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と、ポリプロピレンエーテルポリオール、および脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミンが有する活性水素基の合計とのイソシアネート基と活性水素基とのイソシアネート基/活性水素基(当量比)が、0.1以上1.5以下となるようにするのが好ましく、0.1以上1.4以下であるのがより好ましい。
【0064】
本実施形態においては、防水材としての作業性、硬化物物性に優れるという観点から、芳香族ポリアミンが好ましい。
【0065】
(充填剤)
第2液に含有される充填剤(補強剤)は、得られる硬化物の物性を補強しうるものであれば特に限定されない。例えば、従来より公知のものを用いることができる。具体的には、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、タルク、クレー、生石灰、カオリン、ゼオライト、けいそう土、微粉末シリカ、疎水性シリカ、カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、ポリプロピレンエーテルポリオール、エチレンオキシドが付加されたポリプロピレンエーテルポリオール及び可塑剤との濡れ性の観点から、炭酸カルシウム、酸化チタン、疎水性シリカ、カーボンブラックが好ましい。炭酸カルシウムは、特に制限されず、例えば、重質炭酸カルシウムが挙げられる。充填剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。
【0066】
充填剤の含有量は、硬化剤(第2液)の全量中、40質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
【0067】
なお、本実施形態においては、充填剤は第2液に含んでいるが、充填剤は第1液に含むようにしてもよいし、第1液と第2液との両方に含むようにしてもよい。
【0068】
(中空体)
第2液に含有される中空体(バルーン)は、平均粒子径が20μm以上100μm以下であり且つ比重が0.05より大きく0.35未満のものであれば特に限定されない。
【0069】
中空体はその平均粒子径が20μm以上100μm以下である。中空体の平均粒子径が上記範囲内の場合、耐発泡性に優れる二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物となる。
【0070】
中空体の最大粒子径は、汎用的に使用される中空体が有する範囲であれば特に制限されず、600μm以下であるのが好ましく、500μm以下であるのがより好ましい。
【0071】
なお、本実施形態において、中空体の粒子径は、レーザー回折式に基づき、測定装置としてマイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製)を使用して測定される。
【0072】
中空体は、その比重が0.05より大きく0.35未満である。中空体の比重が0.05より大きい場合、第2液の表層に中空体が浮上することがなく中空体は第2液中に均一に分散し、第2液中での中空体の耐浮遊性に優れ、第1液と第2液との混合性に優れる。また、中空体の比重が0.35未満の場合、中空体が第2液中の充填剤の沈降を抑制し、第2液中の充填剤の耐沈降性に優れる。また、第2液中での中空体の耐浮遊性、第2液中の充填剤の耐沈降性により優れるという観点から、中空体の比重は、0.06以上0.34以下であるのが好ましく、0.08以上0.3以下であるのがより好ましい。
【0073】
中空体は、中空体の外殻が無機系材料又は樹脂によって構成されているものである。中空体の外殻を構成する材料としては、例えば、ガラス、シリカ、シラス、カーボン、アルミナ、ジルコニアのような無機系材料;フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン系樹脂、サラン、ポリ塩化ビニリデン、熱可塑性樹脂等のような樹脂材料が挙げられる。中空体の外殻を構成する材料は、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデンおよび熱可塑性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。特に、外殻が熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂系中空体が好ましい。
【0074】
中空体が樹脂系中空体の場合、例えば、樹脂系中空体の内部に液体を内包させてこれを加熱し、外殻となる樹脂液中空体を膨張させ、かつ、内部の液体を気化させて得られる熱膨張性の樹脂系中空体が挙げられる。
【0075】
熱可塑性樹脂系中空体の外殻を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル;ベンジルアクリレート、ノルボルナンアクリレートのようなアクリレート化合物;メチルメタクリレート、ノルボルナンメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなメタクリレート化合物;スチレン系モノマー;酢酸ビニル;ブタジエン;ビニルピリジン;クロロプレンのホモポリマー、これらのコポリマーが挙げられる。なかでも、耐候性、耐熱性の観点から、アクリロニトリル共重合体(例えば、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの共重合体、アクリロニトリルとアクリロニトリルと共重合可能なブタジエン、スチレンのようなビニル系モノマーとの共重合体)、塩化ビニリデン重合体が好ましい。
【0076】
樹脂系中空体に内包される液体としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルのような炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンのような塩素化炭化水素が挙げられる。
【0077】
樹脂系中空体の製造方法は特に制限されるものでなく、例えば、従来より公知のものが挙げられる。
【0078】
中空体の含有量は、第2液中の1.0質量%以上10質量%以下である。中空体の含有量が1.0質量%以上の場合、組成物の耐発泡性、第2液中の充填剤の耐沈降性に優れる。また、中空体の含有量が10質量%以下の場合、組成物から得られる硬化物の破断伸びに優れる。また、組成物の耐発泡性、第2液中の充填剤の耐沈降性により優れ、組成物から得られる硬化物の破断伸びにより優れるという観点から、中空体の含有量は、第2液中の2.0質量%以上9.0質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以上6.0質量%以下であるのがより好ましい。
【0079】
中空体の含有量は、組成物の耐発泡性、第2液中の充填剤の耐沈降性により優れ、二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物から得られる硬化物の破断伸びにより優れるという観点から、第1液及び第2液の合計量中の0.5質量%以上5質量%以下であるのが好ましい。
【0080】
なお、本実施形態においては、得られる硬化物の引裂強度により優れるという観点から、中空体は第2液に含んでいるが、中空体は第1液および第2液のうちの少なくとも一方または両方に含むようにしてもよい。
【0081】
(湿潤分散剤)
第2液に含有される湿潤分散剤は、固体を液体中に均一に分散させることができるものである。本実施形態においては、第2液は、1分子中に3以上の親水性基を有する湿潤分散剤を含む。
【0082】
湿潤分散剤としては、カルボキシル基、水酸基、酸エステルなどの極性基を有する化合物や高分子化合物、例えば、リン酸エステル類などの酸含有化合物や、酸基を含む共重合物、水酸基含有ポリカルボン酸エステル、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドと酸エステルの塩などを挙げることができる。
【0083】
本実施形態の湿潤分散剤は、1つの分子内に親水性基および疎水性基を併せ持つ構造を有する有機化合物である。湿潤分散剤は、1分子中に3つの親水性基を有し、疎水性基が分子内の中心側に位置し、親水性基が分子内の末端(外側)に位置し、且つ親水性基同士はそれぞれが最も離れた位置に配置していることが好ましい。
【0084】
疎水性基としては、例えば、鎖状炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基のような脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、スチリル基、ナフチル基のような芳香族炭化水素基;クロロメチル基、クロロエチル基、ブロモメチル基のようなハロゲン化アルキル基、オルガノシリコン基:−SiR(Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基)が挙げられる。
【0085】
鎖状炭化水素基としては、例えば、炭素数5以上15以下の鎖状飽和炭化水素基が挙げられる。具体的には、例えば、−C2n+1(n=10〜13)が挙げられる。なお、鎖状炭化水素基は分岐していてもよい。疎水性基は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0086】
湿潤分散剤は、1分子内に疎水性基を少なくとも1個有するものであればよい。疎水性基の数は、有機化合物1分子中、1個以上3個以下であるのが好ましく、1個以上2個以下であるのがより好ましい。
【0087】
親水性基としては、例えば、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、−C(=O)O−、−NHCONH、−(OCHCH−、−SOH、−SOM、−OSOH、−OSOM、−COOM、−NRXが挙げられる。なお、Mとしては、例えば、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、−NHが挙げられる。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基のようなアルキル基が挙げられる。Xとしては、例えば、塩素原子、臭素原子のようなハロゲンが挙げられる。
【0088】
中でも、カルボキシ基、カルボニル基、−C(=O)O−、ヒドロキシ基、−(OCHCH−(n=3〜20)、−C(=O)O−(OCHCH−CH(n=5〜15)が好ましい。親水性基は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0089】
湿潤分散剤は、1分子中に親水性基を3以上有するものであればよい。1分子中の親水性基の数は好ましくは3以上、さらに好ましくは3である。
【0090】
湿潤分散剤は、その骨格について、特に制限されない。親水性基および疎水性基を有する有機化合物の骨格としては、例えば、炭素原子を有するものが挙げられる。親水性基および疎水性基を有する有機化合物がオリゴマーまたはポリマーである場合、その骨格(主鎖)としては、例えば、炭化水素が挙げられる。また、親水性基および疎水性基を有する有機化合物の骨格は、二重結合を含有することができる。
【0091】
湿潤分散剤は、有機化合物の骨格(オリゴマーまたはポリマーの場合は主鎖)に、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子を含有することができる。
【0092】
市販されている湿潤分散剤としては、具体的には、例えば、BYK−W961、BYK−W935(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、ポリフローNo.77(共栄社化学株式会社製)が挙げられる。
【0093】
湿潤分散剤の含有量は、好ましくは第2液合計量中に0.1質量%以上1.0質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以上0.4質量%以下である。
【0094】
湿潤分散剤の含有量が上記の範囲内である場合、本実施形態の組成物は、レベリング性により優れ、第2液中のバルーンの耐浮遊性が向上し、作業性を向上させることができる。
【0095】
本実施形態の組成物は、ウレタンプレポリマー、ポリオール化合物、ポリアミン、充填剤、中空体、湿潤分散剤以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、硬化触媒、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、顔料が挙げられる。添加剤は、第1液及び/又は第2液に添加することができる。
【0096】
硬化触媒としては、例えば、有機金属系触媒が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、オクテン酸鉛、オクチル酸鉛のような鉛系触媒;ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズラウレート、オクチル酸亜鉛、有機ビスマス化合物が挙げられる。硬化触媒は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0097】
硬化触媒の使用量は、第2液中の0.3質量%以上3質量%以下であることが好ましい。なお、硬化触媒は、ポリプロピレンエーテルポリオールと共に第2液中に配合してもよいし、第1液と第2液の混合時に添加してもよい。
【0098】
可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ジブチルベンジルフタレート(BBP)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、トリオクチルフォスフェート(TOP)、トリス(クロロエチル)フォスフェート(TCEP)、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート(TDCPP)、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステルが挙げられる。可塑剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。可塑剤の使用量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して20質量部以下であるのが好ましい。
【0099】
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシトルエンアニソール(BHA)、ジフェニルアミン、フェニレンジアミン、亜リン酸トリフェニルを挙げることができる。
【0100】
顔料は、無機顔料と有機顔料とに大別される。無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、群青、ベンガラのような金属酸化物;リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウムの硫化物、これらの塩酸塩またはこれらの硫酸塩が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0101】
本実施形態の組成物の製造方法については特に限定されるものではない。例えば、ウレタンプレポリマーを含有する第1液と、ポリオール化合物、ポリアミン、充填剤、中空体、湿潤分散剤を含む第2液とを別々に窒素ガス雰囲気下で十分に混合し調製することができる。調製された第1液及び第2液を窒素ガス等で置換された容器にそれぞれ充填し保存することができる。
【0102】
本実施形態の組成物は、第1液と第2液とを十分に混合して使用することができる。また、本実施形態の組成物を施工する前に、塗布面と本実施形態の組成物を硬化して得られる硬化物との接着性を向上させるため、プライマーを使用してもよい。
【0103】
このように、本実施形態の組成物は、ウレタンプレポリマーを含有する第1液と、ポリオール化合物とポリアミンと充填剤と平均粒子径が20μm以上100μm以下であり且つ比重が0.05より大きく0.35未満の中空体と1分子中に3以上の親水性基を有する湿潤分散剤とを含有する第2液とを含むものである。本実施形態の組成物を用いれば、組成物のレベリング性を向上させると共に、第2液中の中空体の耐浮遊性を向上させ、作業性を向上させることができる。
【0104】
ウレタン塗膜防水材組成物として、低比重のバルーンが第2液中において浮上しないようにするためには粘度を上げる必要があるが、粘度を上げるとレベリング性が悪化する。一方、レベリング性を高くするため、粘度を低下させて流動性を向上させるとバルーンの耐浮遊性が低下すると共に、レベリング性が高すぎて防水層の膜厚が確保できなくなる。本実施形態の組成物は、第2液が、湿潤分散剤と平均粒子径および比重が特定の範囲内の中空体とを第2液中に所定量含むようにすることにより、組成物のレベリング性を向上させると共に、第2液中の中空体の耐浮遊性を向上させ、作業性を向上させることができる。
【0105】
本実施形態の組成物は、その用途、適用条件等は特に限定されるものではないが、上述のように優れた特性を有することから、例えば、コンクリート、モルタル、金属屋根、トップコートが塗布されたウレタン塗膜上等、建築物の新築、改修用途として好適に用いることができる。
【実施例】
【0106】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0107】
<ウレタンプレポリマーの調製>
数平均分子量4000のポリプロピレンエーテルトリオール100g(T4000、旭硝子社製)と、数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール150g(D2000、旭硝子社製)とを反応容器に入れて、粘度調節のために可塑剤としてフタル酸ジイソノニル15g(DINP、ジェイ・プラス社製)を加え、110℃に加熱し、6時間脱水処理した。次いで、ここにトリレンジイソシアネート(コスモネートT80、三井武田ケミカル社製)をNCO基/OH基の当量比が1.98となるように加え、これを80℃に加熱し、窒素雰囲気下で12時間混合、かくはんし、ウレタンプレポリマーを調製した。得られたウレタンプレポリマーのNCO基の含有量は、ウレタンプレポリマー全量中、3.0質量%であった。
【0108】
<二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物の調製>
下記表1、2に示す第2液(硬化剤)として用いる各成分を表1、2に示す質量比(質量部)で使用し、これらを電動かくはん機等を用いて十分に混合して硬化剤を調製した。上記のウレタンプレポリマーを第1液(主剤)として100質量部と、表1、2の硬化剤の100質量部とを電動かくはん機等を用いて十分に混合することにより二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物を得た。
【0109】
<評価>
[レベリング性の評価]
得られた二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物を用いて、レベリング性を以下のとおり評価した。結果を表1、2に示す。
【0110】
(レベリング性)
上記で得られた二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物を離型紙の上に5g垂らし、20℃、55%RHの条件下で硬化させた。硬化後、膜圧を測定し、レベリング性を下記評価基準に基づいて評価した。
(レベリング性)
○:ウレタン塗膜の膜厚が、1.5mm以上2.0mm以下の範囲内
×:ウレタン塗膜の膜厚が、1.5mmを下回った、又は2.0mmを越えた
【0111】
[バルーンの耐浮遊性の評価]
また、得られた二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物を用いて、バルーンの耐浮遊性を以下のとおり評価した。結果を表1、2に示す。
【0112】
(バルーンの耐浮遊性)
第2液を十分に混合した後容器に入れ、容器を静置し、静置から50℃で7日間後の第2液の状態を目視で確認した。
(バルーンの耐浮遊性)
○:バルーン層が生じていても金属へら等で容易に混合できる
×:バルーン層が固く金属へら等で容易に混合できない
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
表1、2に示されている各成分は、以下のとおりである。
・ポリプロピレンエーテルポリオール1:数平均分子量が約5000のポリオキシプロピレントリオール、商品名「EXCENOL 5030」、旭硝子社製
・ポリプロピレンエーテルポリオール2:エチレンオキシドが質量換算で13〜14%付加された、数平均分子量が約5000のポリプロピレンエーテルポリオール、商品名「サンニックスFA703」、三洋化成工業社製
・芳香族ポリアミン:3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルアミン、商品名「ビスアミンA」、和歌山精化社製
・炭酸カルシウム:重質炭酸カルシウム、商品名「スーパーSS」、丸尾カルシウム社製
・酸化チタン:石原産業社製
・カーボンブラック:三菱カーボンブラックMA220、三菱化学社製
・可塑剤:フタル酸ジイソノニル(DINP)、ジェイ・プラス社製
・硬化触媒:鉛触媒、商品名「ミニコP−30」、活材ケミカル社製
・樹脂中空体1:平均粒子径40μm、比重0.15、アクリロニトリル共重合体をシェルとするバルーン、商品名「MFL−60CAS」、松本油脂社製
・樹脂中空体2:平均粒子径20μm、比重0.15、アクリロニトリル共重合体をシェルとするバルーン、商品名「MFL−80GCA」、松本油脂社製
・湿潤分散剤1:商品名「BYK−W961」、ビックケミー・ジャパン株式会社製
・湿潤分散剤2:商品名「BYK−W935」、ビックケミー・ジャパン株式会社製
・湿潤分散剤3:商品名「ポリフローNo.77」、共栄社化学株式会社製
・湿潤分散剤4:商品名「BYK−W969」、ビックケミー・ジャパン株式会社製
・湿潤分散剤5:商品名「BYK−W985」、ビックケミー・ジャパン株式会社製
【0116】
表1、2に示す結果から明らかなように、比較例1〜5の組成物のウレタン塗膜防水材は、レベリング性が不十分であった。これに対し、実施例1〜15の組成物のウレタン塗膜防水材では、レベリング性は何れも良好であった。よって、湿潤分散剤を特定量含むウレタン塗膜防水材組成物は、レベリング性に優れることが判明した。よって、特定の中空体を含み、湿潤分散剤を特定量含むウレタン塗膜防水材組成物は、レベリング性に優れ、施工性が良いと共に防水機能を確保するための膜厚が得られるウレタン防水材として好適に用いることができるといえる。
【0117】
また、表1、2に示す結果から明らかなように、比較例1〜5の組成物のウレタン塗膜防水材は、バルーンの耐浮遊性が不十分であった。これに対し、実施例1〜15の組成物のウレタン塗膜防水材は、バルーンの耐浮遊性は何れも良好であった。よって、湿潤分散剤を特定量含むウレタン塗膜防水材組成物は、バルーンの耐浮遊性に優れることから、第2液中のバルーンの耐浮遊性を向上させ、作業性を向上させることができるためウレタン防水材として好適に用いることができるといえる。
【0118】
このように、特定の中空体を含み、湿潤分散剤を特定量含むウレタン塗膜防水材組成物は、組成物のレベリング性を向上させると共に、第2液中の中空体の耐浮遊性を向上させ、作業性を向上させることができるウレタン防水材用として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンプレポリマーを含有する第1液と、
ポリオール化合物とポリアミンと充填剤と平均粒子径が20μm以上100μm以下であり且つ比重が0.05より大きく0.35未満の中空体と1分子中に3以上の親水性基を有する湿潤分散剤とを含有する第2液と、
を含むことを特徴とする二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物。
【請求項2】
前記中空体の含有量が、前記第2液合計量中に1.0質量%以上10質量%以下である請求項1に記載の二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物。
【請求項3】
前記湿潤分散剤の含有量が、前記第2液合計量中に0.1質量%以上1.0質量%以下である請求項1又は2に記載の二液常温硬化型ウレタン塗膜防水材組成物。

【公開番号】特開2013−107941(P2013−107941A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251982(P2011−251982)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】