説明

二相流励振力評価方法及び二相流励振力評価装置

【課題】簡易な構成で、容易かつ正確に二相流から管体に作用する励振力を評価することが可能な二相流励振力評価方法及び二相流励振力評価装置を提供する。
【解決手段】本発明の二相流励振力評価方法は、複数の管体3の一つを、少なくとも表面の一部を導通可能な材質で形成して、起振手段4によって振動させた状態で、該管体3の変位または応力を測定するとともに、該管体3の表面の所定位置における電位と基準電位との電位差に基づいて管体3近傍に流れる二相流Fのボイド率を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二相流の流れに交差するように複数配設された管体に作用する励振力を評価する二相流励振力評価方法及び二相流励振力評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、加圧水型軽水炉や一体型モジュラー軽水炉では、一次冷却水を加圧した状態で炉心と蒸気発生器との間で循環させて、一次冷却水の熱を蒸気発生器で二次冷却水に伝達させて蒸気を生成する。ここで、蒸気発生器内では、炉心との間で循環する一次冷却水が流通する複数の管路がU字状に折り曲げられて配設される。そして、これら管路の周囲に二次冷却水が満たされていることで、該管路を介して一次冷却水から二次冷却水に熱が伝達され、該二次冷却水が蒸発して蒸気が生成されることとなる。この際、蒸気発生器内に配設されたU字状の管路は、内部を流通する一次冷却水によって振動が与えられるとともに、沸騰し二相流として流動する二次冷却水からも励振力を受けて振動する。
【0003】
このため、上記のような蒸気発生器においては、試験的に管路の周囲に二相流を流動させて、該二相流のボイド率を測定するとともに、起振された管路の振動特性を測定し、流動する二相流から管路に作用する励振力をボイド率と関係付けて評価し、該評価結果から管路及び該管路を固定する部材の設計を行っていた。ここで、二相流のボイド率は、二相流が流れる流路の内面と、中心部分のそれぞれに電極を配設して、これら電極間に発生する電圧を測定することにより求めることができる(例えば、特許文献1参照)。また、管路の振動特性としては、変位センサによって管路の振動にともなって生じる変位を測定し、あるいは、応力センサによって管路の振動に伴って生じる応力を測定することによって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−272494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような二相流の励振力評価においては、二相流の流れる流通路に、二相流のボイド率を計測する設備と、管路を振動させるとともに、その振動を測定する設備とを、異なる位置でそれぞれ独立して設ける必要があった。このため、流通路も含めた装置全体が大型化してしまうとともに、設置に手間が掛かってしまう問題があった。また、異なる位置で設ける必要があることから、測定した二相流のボイド率の測定結果と、対応する管路の振動の測定結果とを同期させる必要があり、正確な計測が困難で時間がかかってしまう問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、容易かつ正確に二相流から管体に作用する励振力を評価することが可能な二相流励振力評価方法及び二相流励振力評価装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明は、流通部に流れる二相流から、該二相流の流れに交差するように複数配設された管体に作用する励振力を評価する二相流励振力評価方法であって、複数の前記管体の一つを、少なくとも表面の一部を導通可能な材質で形成して、起振手段によって振動させた状態で、該管体の変位または応力を測定するとともに、該管体の表面の所定位置における電位と基準電位との電位差に基づいて前記管体近傍に流れる前記二相流のボイド率を測定することを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、流通部に流れる二相流から、該二相流の流れに交差するように複数配設された管体に作用する励振力を評価する二相流励振力評価装置であって、複数の前記管体の一つとして構成され、少なくとも表面の一部が導通可能な材質で形成された振動管と、該振動管を振動させる起振手段と、前記振動管の変位または応力を測定する励振力評価手段と、該振動管の表面の所定位置における電位と基準電位との電位差に基づいて前記振動管近傍に流れる前記二相流のボイド率を測定するボイド率測定手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
これら方法及び構成によれば、二相流の流れに交差するように配設された管体の内の一つである振動管は、起振手段により振動し、該振動の反力として二相流から作用する励振力によって励振される。そして、振動管に励振力を作用させる近傍に流れる二相流のボイド率は、少なくとも表面の一部で導通可能な材質である振動管の表面の所定位置における電位と基準電位との電位差に基づいて測定される。また、振動管に作用する励振力は、励振される振動管の変位または応力を測定することで評価される。ここで、二相流のボイド率も、管体に作用する励振力も、表面の少なくとも一部が導通可能な材質で形成された振動管を利用して測定することで、互いに独立した設備で測定されることなく、一体的に測定することができる。このため、装置全体が大型化してしまうことなく、部材数を最小限として簡易な構成で容易に設置可能であるとともに、両者を対応づけて正確に測定することができる。
【0010】
また、上記の二相流励振力評価方法において、前記二相流の速度をさらに測定し、測定された前記二相流のボイド率及び速度と前記管体の変位または応力とに基づいて、ボイド率毎の限界流速を求めることが好ましい。
【0011】
また、上記の二相流励振力評価装置において、前記二相流の速度を測定する二相流速度測定手段を備えることが好ましい。
さらに、上記の二相流励振力評価装置において、前記二相流速度測定手段で測定された前記二相流の速度、前記ボイド率測定手段で測定された前記二相流のボイド率、及び、前記励振力評価手段で測定された前記振動管の変位または応力に基づいて、ボイド率毎の限界流速を求める限界速度解析部を備えることが好ましい。
【0012】
これら方法及び構成によれば、二相流の速度がさらに測定される。このため、測定された二相流の速度及びボイド率、並びに、振動管の変位または応力に基づいてボイド率毎の限界流速を求めることができる。
【0013】
また、上記の二相流励振力評価方法において、前記二相流のボイド率は、前記管体の表面における二点間の電位差を測定することによって求めることが好ましい。
【0014】
また、上記の二相流励振力評価装置において、前記ボイド率測定手段は、前記振動管の表面に互いに間隔を有して設けられた一対の第一電極と、前記一対の第一電極間の電位差を検出する第一電圧計測部と、該第一電圧計測部で検出された電位差に基づいてボイド率を演算するボイド率解析部とを有することが好ましい。
【0015】
これら方法及び構成によれば、振動管の表面に互いに間隔を有する二点間の電位差は、その近傍を流れる二相流のボイド率によって変化することとなるので、一方を基準とした電位差を測定することによりボイド率を求めることができる。
【0016】
さらに、上記の二相流励振力評価方法において、前記管体の表面で、前記二相流の流れ方向に異なる位置の他の二点間の電位差をさらに測定し、両二点間のそれぞれで測定される電位差の波形の位相差によって前記管体近傍を流れる前記二相流の局所速度を求めることが好ましい。
【0017】
さらに、上記の二相流励振力評価装置において、前記振動管の表面には、前記一対の第一電極と前記二相流の流れ方向に異なる位置で互いに間隔を有して一対の第二電極が設けられ、前記一対の第一電極と、前記第一電圧計測部と、前記一対の第二電極と、前記一対の第二電極間の電位差を検出する第二電圧計測部と、前記第一電圧計測部で検出された電位差の波形と前記第二電圧計測部で検出された電位差の波形との位相差によって前記振動管近傍を流れる前記二相流の局所速度を求める局所速度解析部とで構成される局所速度測定手段を備えることが好ましい。
【0018】
これら方法及び構成によれば、二点間同士それぞれにおいて、電位差を測定することでボイド率の変化を電位差の波形として測定することができる。ここで、それぞれ電位差を測定する組同士は、二相流の流れる方向に異なる位置で設けられていることから、電位差の波形は、二相流の流れる方向に位置ずれした分だけ位相がずれて検出されることとなる。このため、電位差の波形の位相差を測定することで、振動管近傍を流れる二相流の局所速度を求めることができる。
【0019】
また、上記の二相流励振力評価方法において、前記二相流のボイド率は、前記管体の表面と前記流通部の内面との間の電位差を測定することによって求めるものとしても良い。
【0020】
また、上記の二相流励振力評価装置において、前記ボイド率測定手段は、前記流通部の内面に前記振動管の表面と対向して設けられた電極と、前記振動管と前記電極との電位差を検出する電圧計測部と、該電圧計測部で検出された電位差に基づいてボイド率を演算するボイド率解析部とを有するものとしても良い。
【0021】
これら方法及び構成によれば、振動管の表面と流通部の内面との間の電位差は、その間を流れる二相流のボイド率によって変化することとなるので、該電位差を測定することによりボイド率を求めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の二相流励振力評価方法によれば、振動させる管体の一つを利用して、二相流のボイド率を測定するとともに管体の変位または応力を測定することで、簡易な構成で、容易かつ正確に二相流から管体に作用する励振力を評価することができる。
また、本発明の二相流励振力評価装置によれば、振動させる管体の一つである振動管を利用して、二相流のボイド率を測定するとともに管体の変位または応力を測定することで、簡易な構成で、容易かつ正確に二相流から管体に作用する励振力を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態の二相流励振力評価装置の概要図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の二相流励振力評価装置において、振動管の詳細を示す詳細図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の二相流励振力評価装置において、第一電圧計測部及び第二電圧計測部で計測された電位差を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態の二相流励振力評価装置において、限界速度解析部で解析された振動管の変位と二相流の速度との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態の二相流励振力評価装置の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の二相流励振力評価装置1は、モデルとなる二相流Fを流通させる流通部2と、該流通部2内に二相流Fの流れ方向Xに直交するように配設された複数の管体3と、管体3を振動させる起振手段4と、振動する管体3の変位を測定する励振力評価手段5と、二相流Fのボイド率を測定するボイド率測定手段6と、二相流Fの速度Vを測定する二相流速度測定手段7とを備える。
【0025】
二相流Fは、例えば、蒸発器中の沸騰した二次冷却水をモデル化したものであり、アルコールと、六フッ化硫黄ガスとからなる。なお、図1及び図2においては省略されているが、流れ方向X上流側には、二相流Fを構成する液体及び気体が供給される供給部が設けられている。また、図1及び図2に示すように、管体3の内の一つは、起振手段4によって振動される振動管3Aとして構成されている。また、管体3の他のものについては、中実のものとしても良い。そして、振動管3Aは、電気を導通可能に金属材料で形成されている。起振手段4としては、例えばソレノイドなどからなり、振動管3Aを、内部を流通する流体によって受ける振動を模擬する所望の振幅、周波数で振動させることが可能である。また、励振力評価手段5は、振動管3Aの延設方向と直交する方向の変位を測定する変位センサ5aからなる。振動管3Aは、二相流Fからの励振力の大きさに応じた振幅で振動する。従って変位センサ5aによって振動管3Aの振動振幅を測定することによって励振力を正確に評価することが可能である。
【0026】
また、ボイド率測定手段6は、振動管3Aの表面に流れ方向Xに沿って間隔を有する二点に設けられた一対の第一電極10、11と、第一電極10、11間で一方を基準として電位差を測定する第一電圧計測部12と、第一電圧計測部12で検出された電位差に基づいてボイド率を演算するボイド率解析部13とを有する。さらに、ボイド率測定手段6は、振動管3Aの表面に延設方向に沿って一対の第一電極10、11を挟むようにして設けられた一対の端子13、14と、一対の端子13、14間に所定の電流を流す定電流部15とを有する。このため、第一電極10、11間には、一対の端子13、14間に流れる電流により電位差が生じ、第一電圧計測部12で計測される第一電極10、11間の電位差は、近傍を流れる二相流Fのボイド率によって異なるため、ボイド率解析部13では当該電位差に基づいて近傍を流れる二相流Fのボイド率を求めることができる。
【0027】
また、振動管3Aの表面において、一対の第一電極10、11と二相流Fの流れ方向Xに沿って下流側の異なる位置には、流れ方向Xに沿って間隔を有する二点に一対の第二電極16、17が設けられており、第二電圧計測部18によって第二電極16、17間の電位差を測定することが可能となっている。このため、第二電圧計測部18において、近傍を流れる二相流Fのボイド率に応じた電位差が検出されることとなる。図3には、(a)として、第一電圧計測部12で計測される電位差を、(b)として、第二電圧計測部18で計測される電位差を示している。そして、局所速度解析部19では、第一電圧計測部12で検出された電位差の波形と、第二電圧計測部18で検出された電位差の波形との位相差となる時間差ΔTを抽出している。
【0028】
ここで、一対の第一電極10、11と一対の第二電極16、17とは、二相流Fの流れ方向Xに位置を異なるものとしており、上流側の一対の第一電極10、11で検出された二相流Fは、その速度Vと対応した時間差ΔTをもって下流側の一対の第二電極16、17で検出されることとなる。このため、局所速度解析部19で、第一電圧計測部12で検出された電位差の波形と、第二電圧計測部18で検出された電位差の波形との位相差を抽出し、一対の第一電極10、11と一対の第二電極16、17との離間距離とから近傍を流れる二相流Fの速度Vを求めることが可能であり、局所速度解析部19と、一対の第一電極10、11と、第一電圧計測部12と、一対の第二電極16、17と、第二電圧計測部18と、一対の端子13、14と、定電流部15とによって、振動管3A近傍を流れる二相流Fの局所速度V1を求める局所速度測定手段20が構成されている。
【0029】
また、二相流速度測定手段7は、本実施形態では管体3の群の上流側に設けられており、流れ方向Xに位置の異なる2箇所のそれぞれに設けられた一対の第三電極21、22及び一対の第四電極23、24と、一対の第三電極21、22間で二相流F内に生じる電位差を測定する第三電圧計測部25と、一対の第四電極23、24間で二相流F内に生じる電位差を測定する第四電圧計測部26と、第三電圧計測部25と第四電圧計測部26とのそれぞれの計測結果から二相流Fの速度Vを演算する速度演算部27とを有する。ここで、一対の第三電極21、22と一対の第四電極23、24とは、二相流Fの流れ方向Xに位置を異なるものとしており、上流側の一対の第三電極21、22で検出された二相流Fは、その速度Vと対応した時間差をもって下流側の一対の第四電極23、24で検出されることとなる。このため、速度演算部27で、第三電圧計測部25で検出された電位差の波形と、第四電圧計測部26で検出された電位差の波形との位相差を抽出し、一対の第三電極21、22と一対の第四電極23、24との離間距離とから流通部2を流れる二相流Fの平均的な速度Vを求めることが可能である。
【0030】
また、二相流速度測定手段7で得られた二相流Fの速度Vと、励振力評価手段5で測定された振動管3Aの変位と、ボイド率測定手段6で得られた二相流Fのボイド率とは、限界速度解析部28に入力されている。限界速度解析部28は、互いに対応する振動管3Aの変位と、二相流Fの速度Vとの関係をプロットし、両者の相関関係から限界速度Vcを求める。ここで、図4に示すように、限界速度解析部28は、入力される二相流Fのボイド率の区分毎に、振動管3Aの変位と二相流Fの速度Vとの関係をプロットすることにより、ボイド率の区分毎の限界流速Vcを求めることが可能となっている。なお、本実施形態では、ボイド率測定手段6におけるボイド率解析部13、局所速度測定手段20における局所速度解析部19、二相流速度測定手段7における速度演算部27、及び、限界速度解析部28は、解析装置30として一体的に構成されている。
【0031】
次に、この実施形態における二相流励振力評価方法について説明する。
まず、図1及び図2に示すように、流通部2に、モデルとなる二相流Fを流通させるとともに、二相流Fの流れに交差するように配設された管体3の内の一つである振動管3Aを起振手段4により振動させる。そして、振動管3Aは、周囲を流れる二相流Fから作用する励振力によって励振されることとなる。そして、この振動管3Aの振動に伴う変位が励振力評価手段5によって測定されるとともに、その際に近傍を流れる二相流Fのボイド率がボイド率測定手段6によって、また、局所速度V1が局所速度測定手段20によってそれぞれ測定されている。また、流通部2に供給される二相流Fの速度Vは、二相流F測定手段によって測定されている。そして、図4に示すように、限界速度解析部28によって、ボイド率区分毎の限界流速Vcが求められる。
【0032】
ここで、二相流Fのボイド率も、管体3に作用する励振力も、導通可能な金属材料で形成された振動管3Aを利用して測定することで、互いに独立した設備で測定されることなく、一体的に測定することができる。このため、装置全体が大型化してしまうことなく、部材数を最小限として簡易な構成で容易に設置可能であるとともに、両者を対応づけて正確に測定することができる。このため、簡易な構成として、容易かつ正確に二相流Fから管体3に作用する励振力を評価することができる。また、本実施形態では、局所速度測定手段20により振動管3A近傍に流れる二相流Fの局所速度V1も対応して求められていることにより、局所速度V1と、励振力との関係も評価することが可能となる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態を示したものである。なお、この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、本実施形態の二相流励振力評価装置40において、ボイド率測定手段41は、振動管3Aと対向する流通部2の内面に設けられた第一電極42と、第一電極42と振動管3Aの表面との間の電位差を測定する第一電圧計測部43と、第一電圧計測部43で検出された電位差に基づいてボイド率を演算するボイド率解析部13とを有する。
【0035】
このような二相流励振力評価装置40においても、第一電極42と振動管3Aとの間を流れる二相流Fのボイド率により、第一電極42と振動管3Aとの間の電位差が変化することから、ボイド率解析部13では、第一電圧計測部43によって測定された電位差に基づいてボイド率を演算して求めることができる。このため、本実施形態においても、導通可能な金属材料で形成された振動管3Aを利用して、当該ボイド率に基づいて二相流によって振動管3Aに作用する励振力を、簡易な構成で容易かつ正確に評価することができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0037】
なお、上記各実施形態では、励振力評価手段5では、変位センサ5aによって振動管3Aの変位を測定して、該変位によって励振力を評価するものとしたが、これ限るものではなく、振動管3Aに応力センサを設け、該応力センサで検出された応力によって励振力を評価するものとしても良い。励振力によって振動し変位する振動管3Aは、変位に応じて応力も変化することから、応力波形の振幅を抽出することによっても励振力を評価することができる。また、上記各実施形態では、振動管3Aは、導通可能な金属材料で形成されているものとしたが、電極として機能するために、表面の少なくとも一部が電気的に導通可能な材料で形成されていれば良い。
【0038】
また、上記実施形態では、二相流の励振力の評価には、二相流励振力評価装置1、40が利用されるものとして説明したが、これに限るものではなく、少なくとも複数の管体3の一つを起振手段4で振動させて、振動する該管体に作用する励振力と対応する管体の変位または応力を測定するとともに、当該管体3の表面の所定位置における電位と基準電位との電位差を測定可能な構成を備えていれば良い。
【符号の説明】
【0039】
1、40 二相流励振力評価装置
2 流通部
3 管体
3A 振動管
4 起振手段
5 励振力評価手段
6、41 ボイド率測定手段
7 二相流速度測定手段
10、11、42 第一電極
12、43 第一電圧計測部
13 ボイド率解析部
16、17 第二電極
18 第二電圧計測部
19 局所速度解析部
20 局所速度測定手段
28 限界速度解析部
F 二相流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流通部に流れる二相流から、該二相流の流れに交差するように複数配設された管体に作用する励振力を評価する二相流励振力評価方法であって、
複数の前記管体の一つを、少なくとも表面の一部を導通可能な材質で形成して、起振手段によって振動させた状態で、該管体の変位または応力を測定するとともに、
該管体の表面の所定位置における電位と基準電位との電位差に基づいて前記管体近傍に流れる前記二相流のボイド率を測定することを特徴とする二相流励振力評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載の二相流励振力評価方法において、
前記二相流の速度をさらに測定し、
測定された前記二相流のボイド率及び速度と前記管体の変位または応力とに基づいて、ボイド率毎の限界流速を求めることを特徴とする二相流励振力評価方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二相流励振力評価方法において、
前記二相流のボイド率は、前記管体の表面における二点間の電位差を測定することによって求めることを特徴とする二相流励振力評価方法。
【請求項4】
請求項3に記載の二相流励振力評価方法において、
前記管体の表面で、前記二相流の流れ方向に異なる位置の他の二点間の電位差をさらに測定し、両二点間のそれぞれで測定される電位差の波形の位相差によって前記管体近傍を流れる前記二相流の局所速度を求めることを特徴とする二相流励振力評価方法。
【請求項5】
請求項1に記載の二相流励振力評価方法において、
前記二相流のボイド率は、前記管体の表面と前記流通部の内面との間の電位差を測定することによって求めることを特徴とする二相流励振力評価方法。
【請求項6】
流通部に流れる二相流から、該二相流の流れに交差するように複数配設された管体に作用する励振力を評価する二相流励振力評価装置であって、
複数の前記管体の一つとして構成され、少なくとも表面の一部が導通可能な材質で形成された振動管と、
該振動管を振動させる起振手段と、
前記振動管の変位または応力を測定する励振力評価手段と、
該振動管の表面の所定位置における電位と基準電位との電位差に基づいて前記振動管近傍に流れる前記二相流のボイド率を測定するボイド率測定手段とを備えることを特徴とする二相流励振力評価装置。
【請求項7】
請求項6に記載の二相流励振力評価装置において、
前記二相流の速度を測定する二相流速度測定手段を備えることを特徴とする二相流励振力評価装置。
【請求項8】
請求項7に記載の二相流励振力評価装置において、
前記二相流速度測定手段で測定された前記二相流の速度、前記ボイド率測定手段で測定された前記二相流のボイド率、及び、前記励振力評価手段で測定された前記振動管の変位または応力に基づいて、ボイド率毎の限界流速を求める限界速度解析部を備えることを特徴とする二相流励振力評価装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の二相流励振力評価装置において、
前記ボイド率測定手段は、前記振動管の表面に互いに間隔を有して設けられた一対の第一電極と、
前記一対の第一電極間の電位差を検出する第一電圧計測部と、
該第一電圧計測部で検出された電位差に基づいてボイド率を演算するボイド率解析部とを有することを特徴とする二相流励振力評価装置。
【請求項10】
請求項9に記載の二相流励振力評価装置において、
前記振動管の表面には、前記一対の第一電極と前記二相流の流れ方向に異なる位置で互いに間隔を有して一対の第二電極が設けられ、
前記一対の第一電極と、
前記第一電圧計測部と、
前記一対の第二電極と、
前記一対の第二電極間の電位差を検出する第二電圧計測部と、
前記第一電圧計測部で検出された電位差の波形と前記第二電圧計測部で検出された電位差の波形との位相差によって前記振動管近傍を流れる前記二相流の局所速度を求める局所速度解析部とで構成される局所速度測定手段を備えることを特徴とする二相流励振力評価装置。
【請求項11】
請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の二相流励振力評価装置において、
前記ボイド率測定手段は、前記流通部の内面に前記振動管の表面と対向して設けられた電極と、
前記振動管と前記電極との電位差を検出する電圧計測部と、
該電圧計測部で検出された電位差に基づいてボイド率を演算するボイド率解析部とを有することを特徴とする二相流励振力評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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