説明

二等分仕切付カートン

【課題】オートボトムの対向する底板から一体に仕切板を立設形成するカートンで、起函状態を維持して、カートン自体の移送を安定させ、内容物の充填を正常に行い、製函及び充填の自動化に際しても有効な係止構造を有する二等分仕切付カートンを提供する。
【解決手段】一枚のブランクから、四角形筒状の周壁を構成する前板、後板、両側板と、前板及び後板の下端延長上にそれぞれ底板、仕切板が連設され、両側板の下端延長上にそれぞれ重合底板及び貼着板が連設され、貼着板を隣り合う底板に糊着するとともに、それぞれの仕切板を起立重合して二等分するカートンで、それぞれの貼着板の右端には段差状に形成された第1係合部と第2係合部を有する係合突起が突設され、それぞれの底板と仕切板との間の折線上には係合突起が嵌入係合する位置に係合孔が穿設され、係合突起が隣り合う係合孔に二段階に係合されることを特徴とする二等分仕切付カートン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製カートンの底部から一体に立設された仕切を有する二等分仕切付カートンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般にオートボトムと呼ばれるカートン、すなわちカートン側板からそれぞれ延設される底板のうち、隣接する底板をそれぞれ糊着連結し折り畳み可能とし、起函時にはそれぞれ糊着連結された底板が対角から拡開されて底部を構成するカートンにおいて、主として底板のカートン厚さ方向略半分の位置から延長上に仕切板をそれぞれ延設し、起函時にそれぞれの仕切板が屈曲しつつ摺動し、重合してカートン内側に二等分の仕切を立設形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許庁公報56−35「周知・慣用技術集(続編・包装産業)」(第106頁、第1図)
【0003】
しかしながら、前述した周知・慣用技術による二等分仕切付カートンでは、例えば、単純なオートボトム式カートンにおいて、起函動作によってそれぞれ摺動接近する底板相互の中央部にそれぞれ設けられる係止突出部が係止し合うことにより、起函状態を維持するような係止構造を有しないため平板な折り畳み貼り合せ状態に戻り易く、内容物の充填に支障を来たすという欠点があった。又、特に起函動作の自動化では、折り畳まれた状態のカートンの外側縁に対向方向からそれぞれ押圧する機構で起函を行う際、一回の押圧動作では完全な起函状態を形成することが難しく、カートンに過重な圧力を加えて破損を招いて、却って起函状態が維持できず、起函状態での移送が安定して行えない及び内容物の充填が正常に行えないという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記問題を解決するためになしたものであって、オートボトム型カートンの対向する底板から一体に仕切板を立設形成するカートンにおいて、起函状態を維持することにより、カートン自体の移送が安定し、内容物の充填を正常に行うことが出来、且つ製函及び充填の自動化に際しても有効な係止構造を有する二等分仕切付カートンの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、一枚のブランクから構成され、折線を用いて四角形筒状の周壁を構成する前板、後板、両側板と、前記前板及び後板の下端延長上にそれぞれ折線を介して底板、仕切板が連設され、前記両側板の下端延長上にそれぞれ折線及び斜め折線を介して重合底板、貼着板が連設され、該貼着板を隣り合う前記底板に糊着するとともに、前記それぞれの仕切板を起立重合して、前記前板と後板との間を二等分するカートンにおいて、前記それぞれの貼着板の右端には段差状に形成された第1係合部と第2係合部を有する係合突起が突設され、前記それぞれの底板と仕切板との間の折線上には前記係合突起が嵌入係合する位置に係合孔が穿設され、前記係合突起が隣り合う係合孔に二段階に係合されることを特徴とする二等分仕切付カートンである。
【0006】
請求項2の発明は、前記係合突起が、段差状に形成された第1係合部と第2係合部を有することを特徴とする請求項1記載の二等分仕切付カートンである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の二等分仕切付カートンは、それぞれの貼着板の右端には係合突起が突設され、それぞれの底板と仕切板との間の折線上には前記係合突起が嵌入係合する位置に係合孔が穿設され、前記係合突起が隣り合う係合孔に係合されるようにしたので、カートン起函時に起函状態を維持することができ、平板な折り畳み貼り合せ状態に戻ることがないので、内容物の充填に支障を来たすという従来技術の欠点を解消することが出来る。
【0008】
しかも、前記係合突起を段差状に形成された第1係合部と第2係合部を有するものとして、前記係合孔に二段階で係合されるようにしたので、カートンの起函を二段階に分けて行うことが出来、先に述べたように、カートン起函時に過重な圧力を加えて破損を招くということも発生せず、起函状態が維持でき、起函状態での移送も安定して行えるので、内容物の充填を正常に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記本発明につき、図面等を用いて以下に詳述する。図1は本発明に係る実施例の展開平面図。図2は同じく実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す平面図。図3は同じく実施例の起函途中の状態を示す説明用部分斜視図。図4は図3の状態における仕切部分の動作を示す説明用部分断面図。図5(A)は実施例の第1係合段階を示す説明用部分斜視図。図5(B)は同じく実施例の第2係合段階を示す説明用部分斜視図である。
【0010】
図1は本発明に係る実施例の展開平面図で、板紙等を打抜き加工して、四角形筒状の周壁を構成するそれぞれ矩形状の側板4、前板3、側板2、後板1及び貼着片5がそれぞれ折線L4、L3、L2、L1を介して順設され、前記後板1の上端延長上に折線L5、L6を介して天板6、左右両側上端にそれぞれ破断線L22、23で画設された貼着部18、19と中央上端に折線L21を介した差込20を有する重合前板7が連設され、前記側板2及び4の上端にそれぞれ折線L7、L8を介して耳片8及び9が延設され、一方、前記後板1及び前板3の下端延長上にそれぞれ折線L9、L13及びL11、L14を介して底板10、仕切板14及び底板11、仕切板15が連設され、前記側板2及び4の下端延長上にそれぞれ折線L10、斜め折線L19及び折線L12、斜め折線L20を介して重合底板12、貼着板16及び重合底板13、貼着板17が連設されて二等分仕切付カートンのブランク板101が構成され、前記折線L13及びL14には、それぞれ左端近傍に底板側に膨出する湾曲折線L15及びL17と仕切板側に膨出する湾曲折線L16及びL18で形成される分岐した折線部分と、該分岐した折線部分に近接してカートン幅方向中央寄りに、それぞれ左端縁が垂直で右端縁が右傾斜した台形の右肩部からカートン幅中央向きに突出した溝部を有する形状の係合孔24及び25とがそれぞれ設けられ、前記貼着板16及び17の下端右側にはそれぞれ係合突起22及び23が突設されている。尚、係合突起22及び23はそれぞれ段差状に形成される第1係合部22b、第2係合部22a及び第1係合部23b、第2係合部23aを上端に有している。又、前記前板3の下端寄り中央部には差込孔21が穿設されている。
【0011】
図2は同じく実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す平面図で、ブランク板101からの製函にあたっては、折線L9及びL11を用いてそれぞれ底板10、仕切板14及び底板11、仕切板15を折り畳み、折線L10及びL12を用いてそれぞれ重合底板12及び13を折り畳みつつ斜め折線L19及びL20を用いて貼着板16及び17を折り返し、次いで折線L2、L4を用いて折り畳み、側板4と貼着片5を貼着するとともに、前記貼着板16及び17をそれぞれ隣り合う前記底板10及び11の端部に貼着して折り畳み貼り合せを完了する。
【0012】
次に、実施例の組み立てにあたっては、前項記載の貼り合せ状態から、折線L1、L2、L3、L4を用いて四角形筒状に周壁を形成するよう立ち起こすと、貼着された底部構成部分すなわち底板10、貼着板16、重合底板12及び底板11、貼着板17、重合底板13がそれぞれ起動して底部を形成するとともに、前記底板10及び11から延設されている仕切板14及び15がそれぞれ折り立てられつつ、前板3と後板1との間を二等分した位置で重合し、図3に示すように二等分仕切を形成する。同時に、本実施例においては、折線L13及びL14にそれぞれ穿設された係合孔24及び25に、貼着板17及び16からそれぞれ突設された係合突起23及び22が嵌入係合して底部形成を安定的に維持する。この後、実施例では所定の内容物を仕切板14及び15で仕切られた領域にそれぞれ収納し、耳片8及び9をそれぞれ折り込み、天板6を冠した後、重合前板7を前記前板3に重合するとともに、貼着部18及び19を糊着して組み立てを完了する。尚、実施例のカートンの使用にあたっては、重合前板7の中央部に設けられた差込20を起点として、破断線L22、L23を切断開封して、内容物を取り出すことが出来る。
【0013】
図4は図3の状態における仕切部分の動作を示す説明用部分断面図で、実際の断面図とは異なるが、本発明の組み立て時において、折線L13及びL14のそれぞれ左端近傍に設けられた分岐した折線部分の働きを示すものである。実施例では、底板側に膨出する湾曲折線L15及びL17と仕切板側に膨出する湾曲折線L16及びL18で形成されるそれぞれ紡錘形状をなす部分で、対向する底板10及び11による底部形成とともに、対向する仕切板14及び15は、後板1と前板3との中間すなわち二等分した位置で重合するとともに、前記分岐した折線部分の働きにより、相互に押し合うような状態となる。これはそれぞれの分岐した折線部分すなわち湾曲折線L15とL16及び湾曲折線L17とL18で形成される紡錘形状部分が、それぞれ折線L13及びL14の折り曲げを制御することによりそれぞれの仕切板14及び15が相互に押し合いながら倒れることなく自立するもので、従来技術のように直線状の折線では得られなかった状態である。尚、実施例では分岐した折線部分を相互に湾曲折線を用いた紡錘形状としているが、これに限定するものではなく、分岐して対向する折線が平行な直線である算盤の珠形状や、菱形形状としても良い。又、分岐した折線部分は、底板及び仕切板、並びにカートン全体の形状変化に合わせた設計が可能であるが、極端に大なる形状や寸法では全体形状に歪みを生じたりする不都合があり、極端に小なる形状や寸法では前述の効果が得られない場合がある。
【0014】
図5(A)は実施例の第1係合段階を示す説明用部分斜視図で、起函及び係合の途中の状態を底板部方向から見た図であって、図3における係合突起22が係合孔25に嵌入する(一方、図には表れないが同時に係合突起23が係合孔24に嵌入する)状態に連続して、前記係合突起22の先端側の第1係合部22bが係合孔25の一方の端縁に係止するとともに、同時に前記係合突起23の先端側の第1係合部23bが係合孔24の一方の端縁に係止し、カートン全体として略起函した状態を示している。背景技術並びに発明の効果の項で述べたように、この種の仕切を一体に設けたカートンの起函特に自動製函における起函では、折り畳まれた状態のカートンの外側縁に対向方向からそれぞれ押圧する機構で起函を行う際、一回の押圧動作では完全な起函状態を形成することが難しく、カートンに過重な圧力を加えて破損を招いて、却って起函状態が維持できなかったが、上記のように完全な起函の前状態に起函する段階を設定することにより、カートンへの過重な圧力を必要とせず、且つスムーズな起函動作を可能とし、カートンの破損等も発生しない。
【0015】
次に図5(B)は実施例の第2係合段階を示す説明用部分斜視図で、すなわち起函及び底部係合の完了状態を底板部方向から見た図であって、係合突起22及び23のそれぞれ係合孔25及び24への嵌入が進み、前記係合突起22の末端側の第2係合部22aが係合孔25の一方の端縁に係止するとともに、同時に前記係合突起23の末端側の第2係合部23aが係合孔24の一方の端縁に係止し、カートン全体として起函を完了した状態を示している。尚、図1、図5(A)及び(B)に示すように、前記係合突起23の末端側の第2係合部23aは切欠の開始点をカートン奥行き寸法の半分の位置より深くしているが、これは前記係合突起23の可動性をコントロールして前記係合孔24への嵌入をよりスムーズに行う為で、同様の加工を前記係合突起22に施すことも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る実施例の展開平面図。
【図2】同じく実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す平面図。
【図3】同じく実施例の起函途中の状態を示す説明用部分斜視図。
【図4】図3の状態における仕切部分の動作を示す説明用部分断面図。
【図5】(A) 同じく実施例の第1係合段階を示す説明用部分斜視図。 (B) 同じく実施例の第2係合段階を示す説明用部分斜視図。
【符号の説明】
【0017】
1 後板
2 側板
3 前板
4 側板
5 貼着片
6 天板
7 重合前板
8、9 耳片
10、11 底板
12、13 重合底板
14、15 仕切板
16、17 貼着板
18、19 貼着部
20 差込
21 差込孔
22、23 係合突起
22a、23a 第2係合部
22b、23b 第1係合部
24、25 係合孔
101 ブランク板
L1〜L14、L21 折線
L15〜L18 湾曲折線
L19、L20 斜め折線
L22、L23 破断線
W1 カートン胴部奥行き寸法
W2 底板の折線間寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のブランクから構成され、折線を用いて四角形筒状の周壁を構成する前板、後板、両側板と、前記前板及び後板の下端延長上にそれぞれ折線を介して底板、仕切板が連設され、前記両側板の下端延長上にそれぞれ折線及び斜め折線を介して重合底板、貼着板が連設され、該貼着板を隣り合う前記底板に糊着するとともに、前記それぞれの仕切板を起立重合して、前記前板と後板との間を二等分するカートンにおいて、前記それぞれの貼着板には係合突起が突設され、前記それぞれの底板と仕切板との間の折線上には前記係合突起が嵌入係合する位置に係合孔が穿設されたことを特徴とする二等分仕切付カートン。
【請求項2】
前記係合突起が、段差状に形成された第1係合部と第2係合部を有することを特徴とする請求項1記載の二等分仕切付カートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−45450(P2007−45450A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231069(P2005−231069)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】