説明

二酸化炭素の吸着装置と吸着用具およびその製造方法

二酸化炭素吸着用具は、大量の二酸化炭素を迅速に吸着し、且つ、高温空気により二酸化炭素吸着用アミン基を均一かつ迅速に再生処理する。空気中の二酸化炭素を吸着するための二酸化炭素吸着用具110は、フォイル状または板状の担持部材111と、担持部材111を被覆する多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112と、皮膜112の各孔112aの内面に付着された二酸化炭素吸着用アミン基113を備える。皮膜112はアルミニウムまたはアルミニウム合金を酸化することで形成される。皮膜112の各孔112aの深さ方向は担持部材111の厚さ方向である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機などのキャビンにおける空気中の二酸化炭素を吸着するために用いられる二酸化炭素の吸着装置と吸着用具およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素吸着用具としては、多孔質の樹脂製微小粒体や二酸化ケイ素、アルミナなどのセラミック製格子状構造体に、二酸化炭素吸着特性に優れたアミン基を付着したものが知られている。すなわち、アミン基が付着した微小粒体を充填した空気流路を構成し、あるいは、アミン基が付着した格子状構造体により構成される空気流路にアミン基を付着した微小粒体を充填し、その空気流路を流れる空気中の二酸化炭素を吸着することが提案されている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特公平3−7412号公報
【特許文献2】特公平3−39729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のようにアミン基が付着した微小粒体を空気流路に充填した場合、空気の流動に対する抵抗が大きくなるため、容積の大きな空間における空気中二酸化炭素を吸着させるには大きな体積流量を通過させる必要があるため、迅速な吸着は困難であった。また、アミン基を高温空気により加熱することで吸着した二酸化炭素を放出させる再生処理を行う場合、その高温空気の流動に対する抵抗も大きくなるため迅速な再生処理が妨げられる。さらに、従来の二酸化炭素吸着用具では再生用高温空気の熱をアミン基まで均一かつ迅速に伝達するのが困難で、迅速な再生処理が困難であった。そのため、従来の二酸化炭素吸着用具は、多数の人間を収容した密閉空間における空気中の二酸化炭素を吸着するのには適さなかった。
【0004】
例えば大型航空機の場合、キャビン用エンジン抽気量をエンジン性能確保のために減少させるとキャビン内の新鮮空気の割合が低下する。しかし、機外からの新鮮空気の割合を低下させると二酸化炭素の濃度はFAA(米連邦航空局)などが推奨する規定である5000ppm(0.5%)以下の要求を満たすことができなくなる。人体肺胞の中の二酸化炭素濃度は約3%であるので、5000ppmで直ちに危険な状態になる可能性はないものの、これを超えた濃度になると人によっては思考力が低下するなどの影響が生じる場合がある。そのため、二酸化炭素を迅速に吸着し、且つ、吸着した二酸化炭素を迅速に放出させてアミン基を再生することが望まれる。さらに、大型航空機は機内容積が大きい一方で二酸化炭素濃度は0.5%未満と薄いため、機内空気から二酸化炭素を除去するには二酸化炭素吸着部位を通過させる空気流量を多くする必要がある。しかし、二酸化炭素吸着部位における圧力損失を補うため空気圧縮に要する電気エネルギが必要となり、結果として発電機を具備するエンジンの負荷となることから、その圧力損失を低くすることが望まれる。また、二酸化炭素の吸着を効率良く行うことが望まれるが、航空機内ではエネルギ使用が制限されるため、循環空気の高圧処理のようなエネルギを消費が大きくなる手法は制限され、また、高圧を扱うことのできる耐圧構造は重量が増すため軽量化を求められる航空機になじまない。さらに、航空機に適用される場合は揺れ、振動、加速度が作用する環境下でも正常に機能し、且つ、小型軽量であることが要求される。このような課題を本発明は解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
空気中の二酸化炭素を吸着するための本発明の二酸化炭素吸着用具の一つの特徴は、フォイル状または板状の担持部材と、前記担持部材を被覆する多孔質の酸化アルミニウム製皮膜と、前記皮膜の各孔の内面に付着された二酸化炭素吸着用アミン基とを備え、前記皮膜は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を酸化することで形成され、前記皮膜の各孔の深さ方向は前記担持部材の厚さ方向である点にある。これにより、担持部材とその表面に形成された多孔質の皮膜とによりアミン基の担持体が構成されることになる。
本発明の二酸化炭素吸着用具の製造方法は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のフォイル状担持部材を成形する工程と、前記担持部材の表層に陽極酸化処理を施すことで多孔質の皮膜を形成する工程と、前記皮膜の各孔の内面に二酸化炭素吸着用アミン基を付着させる工程とを備える。あるいは、少なくとも表層がアルミニウム製またはアルミニウム合金製の板状の担持部材を成形する工程と、前記担持部材の表層に陽極酸化処理を施すことで多孔質の皮膜を形成する工程と、前記皮膜の各孔の内面に二酸化炭素吸着用アミン基を付着させる工程とを備える。
本発明によれば、担持部材がフォイル状または板状で薄いことにより、本発明の二酸化炭素吸着用具により構成される空気流路において担持部材の表面に沿って空気を流すことで、その空気の流動に対する抵抗を小さくでき、空気流路における圧力損失を大きくすることなく空気中における二酸化炭素の吸着を迅速に行うことができる。また、担持部材は薄く軽量であるため二酸化炭素吸着用具は小型軽量なものとなり、構造はシンプルなものとなり揺れ、振動、加速度が作用する環境下でも正常に機能し、さらに、二酸化炭素吸着用具をロール状に巻いたり、曲げたり、複数の二酸化炭素吸着用具を積み重ねることで、二酸化炭素吸着用具の担持部材の表面に沿う流路を容易に構成できる。板状の二酸化炭素吸着用具を積み重ねる場合、二酸化炭素吸着用具の表面から突出する多数の凸部を形成したり、スペーサを介在させることで、積み重ねられた二酸化炭素吸着用具の表面の間に空気流路を構成する隙間を確保できる。二酸化炭素吸着用具の表面から突出する多数の凸部は、皮膜を形成する前に担持部材にプレス等で凹凸を設けることで形成できる。
【0006】
前記担持部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製とされ、前記皮膜は、前記担持部材の表層を酸化することで形成されるのが好ましい。アミン基は空気に含まれる二酸化炭素を吸着し、吸着時よりも温度が上昇することで吸着した二酸化炭素を放出できるので、その空気流路に高温空気を流すことでアミン基を再生できる。この際、担持部材は熱伝導性に優れたアルミニウム製またはアルミニウム合金製であるので、たとえ局所的に加熱されても熱が拡散され均一化することでアミン基が変成し劣化を生じるような温度上昇は生じない。よって、二酸化炭素吸着用具は均一な温度分布となるように加熱され、高温空気の熱によりアミン基を再生に適した温度に均一かつ迅速に加熱できる。
【0007】
本発明の二酸化炭素吸着用具の別の特徴は、担持部材と、前記担持部材を被覆する多孔質の皮膜と、前記皮膜の各孔の内面に付着された二酸化炭素吸着用アミン基とを備え、前記担持部材は電気エネルギーによって加熱されるエレメントを含み、前記エレメントの加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出される点にある。
これにより、エレメントの温度は電気エネルギーによって短時間でアミン基の再生に適した温度まで立ち上がることから、アミン基の再生を迅速に行うことができる。よって、二酸化炭素の吸着と再生のサイクルを短縮できるので、大量の二酸化炭素を処理する場合でも二酸化炭素吸着装置を小型軽量化でき、航空機に搭載するのに適したものとなる。この場合、担持部材はフォイル状または板状であり、皮膜の各孔の深さ方向は前記担持部材の厚さ方向であるのが好ましい。被膜は多孔質材であればよいが、アルミニウムまたはアルミニウム合金を酸化することで形成され多孔質の酸化アルミニウムであるのが好ましい。
さらに、前記エレメントは、導電性を有すると共に抵抗加熱用電力供給部に接続される電気抵抗エレメントとされ、前記電気抵抗エレメントの抵抗加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出されるのが好ましい。これにより、電気抵抗エレメントの温度は抵抗加熱により短時間でアミン基の再生に適した温度まで立ち上がることから、アミン基の再生を迅速に行うことができる。よって、二酸化炭素の吸着と再生のサイクルを短縮できるので、大量の二酸化炭素を処理する場合でも二酸化炭素吸着装置を小型軽量化でき、航空機に搭載するのに適したものとなる。また、二酸化炭素吸着用具は電気抵抗エレメントにより強度が向上されるので、取り扱いが容易になり、振動などによる劣化を防止できる。電気抵抗エレメントをアルミニウム製またはアルミニウム合金製の挟み込み部により挟み込む場合、アルミニウムやアルミニウム合金は熱伝導に優れることから、アミン基を均一に加熱することができ、アミン基の過度の加熱による劣化や加熱不足による不十分な再生を防止できる。
【0008】
本発明の二酸化炭素吸着装置は、空気中の二酸化炭素を吸着するための二酸化炭素吸着用具と、交番磁束発生用コイルとを備え、前記二酸化炭素吸着用具は、担持部材と、前記担持部材を被覆する多孔質の皮膜と、前記皮膜の各孔の内面に付着された二酸化炭素吸着用アミン基とを有し、前記担持部材は電気エネルギーによって加熱されるエレメントを含み、前記エレメントの加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出される点にある。この場合、前記エレメントは、導電性を有すると共に前記コイルの発生磁束の通過位置に配置される導電性エレメントとされ、前記導電性エレメントの誘導加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出されるのが好ましい。
これにより、導電性エレメントの温度は誘導加熱により短時間でアミン基の再生に適した温度まで立ち上がることから、アミン基の再生を迅速に行うことができる。よって、二酸化炭素の吸着と再生のサイクルを短縮できるので、大量の二酸化炭素を処理する場合でも二酸化炭素吸着装置を小型軽量化でき、航空機に搭載するのに適したものとなる。また、二酸化炭素吸着用具は導電性エレメントにより強度が向上されるので、取り扱いが容易になり、振動などによる劣化を防止できる。導電性エレメントをアルミニウム製またはアルミニウム合金製とする場合、アルミニウムやアルミニウム合金は熱伝導に優れることから、アミン基を均一に加熱することができ、アミン基の過度の加熱による劣化や加熱不足による不十分な再生を防止できる。
【0009】
担持部材が電気抵抗エレメントまたは導電性エレメントを有する場合、二酸化炭素吸着用具の温度検出部と、検出温度に基づき電気抵抗エレメントまたは磁束発生用コイルへの供給電力を制御するコントローラを備えるのが好ましい。さらに、電気抵抗エレメントの抵抗加熱時または導電性エレメントの誘導加熱時に、二酸化炭素吸着用具により構成される空気流路において流動する再生用の空気の加熱部を備えるのが好ましい。これにより、再生過程において二酸化炭素吸着用具の温度変動が小さくなり、遂次再生が進行し、かつアミン基を劣化させない範囲に温度制御を行うことが容易にできる。
【0010】
前記皮膜に形成される各孔として、表面側の大径孔と、前記大径孔の底部において開口する複数の小径孔とを有するのが好ましい。その大径孔の存在により二酸化炭素吸着用具の表面に沿う空気の流れに変化を与え、アミン基により囲まれた孔への二酸化炭素分子の導入を促進できる。
前記皮膜の各孔の内面に付着された前記アミン基により囲まれた孔の内径は2nm〜100nmであるのが好ましい。そのアミン基により囲まれた孔の内径を2nm以上とすることで、これより1ケタ小さいレベルの気体分子がこのアミン基に囲まれた孔に容易に出入りできる構造となり、吸着時には気体分子がアミン基により囲まれた孔内に容易に入り込むことができ、その内径を100nm以下とすることで気体分子はアミン基を接触する機会に恵まれる上、アミン基の表面積を十分に確保でき、大きなエネルギを消費することなく効率良く二酸化炭素を吸着できる。
前記皮膜に形成される各孔として前記大径孔と前記小径孔とを有する場合、前記小径孔の内面に付着された前記アミン基により囲まれた孔は内径が2nm〜100nmとされ、前記大径孔の内面に付着された前記アミン基により囲まれた孔は内径が100nmを超えてもよい。その小径孔の内面に付着されたアミン基が二酸化炭素吸着用具の表面積の大部分を占めるため、小径孔の内面に付着されたアミン基により囲まれた孔の内径を吸着に適した値とすればよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の二酸化炭素吸着用具および二酸化炭素吸着装置によれば、大量の二酸化炭素を迅速に吸着し、且つ、高温空気により二酸化炭素吸着用アミン基を均一かつ迅速に再生処理でき、本発明方法によれば本発明の二酸化炭素吸着用具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における航空機用空気調和装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態における航空機用空気調和装置の水分吸着部の斜視図
【図3】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着装置の構成説明図
【図4】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着用具の側面図
【図5A】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着用具の部分拡大断面図
【図5B】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着用具のアミン基付着前の部分拡大断面図
【図5C】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着用具のアミン基付着前の部分拡大斜視図
【図6A】本発明の第1変形例に係る二酸化炭素吸着用具のアミン基付着前の部分拡大断面図
【図6B】本発明の第1変形例に係る二酸化炭素吸着用具の部分拡大断面図
【図7】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着用具の担持部材の成形方法を示す図
【図8】本発明の第2変形例に係る二酸化炭素吸着用具の担持部材の成形方法を示す図
【図9】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着用具の酸化アルミニウム製皮膜の成形方法を示す図
【図10】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着用具の皮膜が形成された担持部材をロール状に巻いた図
【図11】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着用具の皮膜にアミン基を付着させる方法の説明図
【図12】本発明の実施形態における二酸化炭素吸着装置の吸着器の構成説明図
【図13】本発明の第3変形例に係る二酸化炭素吸着用具の使用態様を示す正面図
【図14】本発明の第3変形例に係る二酸化炭素吸着用具の使用態様を示す部分拡大正面図
【図15】本発明の第4変形例に係る二酸化炭素吸着用具の形態を示す斜視図
【図16】本発明の第4変形例に係る二酸化炭素吸着用具の形態の部分拡大正面図
【図17】本発明の第5変形例に係る二酸化炭素吸着装置の斜視図
【図18】本発明の第6変形例に係る二酸化炭素吸着用具の部分拡大断面図
【図19】本発明の第6変形例に係る二酸化炭素吸着用具の成形方法を示す図
【図20】本発明の第6変形例に係る二酸化炭素吸着用具の構造説明用斜視図
【図21】本発明の第7変形例に係る二酸化炭素吸着装置の構成説明図
【図22】本発明の第8変形例に係る二酸化炭素吸着用具の部分拡大断面図
【図23】本発明の第8変形例に係る二酸化炭素吸着用具の成形方法を示す図
【図24】本発明の第9変形例に係る二酸化炭素吸着用具の斜視図
【図25】本発明の第9変形例に係る二酸化炭素吸着用具の部分拡大断面図
【図26】本発明の第9変形例に係る二酸化炭素吸着装置の構成説明図
【符号の説明】
【0013】
110 二酸化炭素吸着用具
111、211、311、411 担持部材
112 皮膜
112a 孔
113 アミン基
211a、311a 電気抵抗エレメント
313 電力供給部
411a 導電性エレメント
431 コイル
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明による二酸化炭素吸着用具を用いた二酸化炭素吸着装置100を航空機用空気調和装置1に適用した実施形態を示す。航空機用空気調和装置1は、エンジン1からの抽出空気を、プリクーラ2と呼ばれる熱交換器により冷却し、図外コントローラからの信号により開度を指示される流量制御バルブ39で流量制御する。流量制御バルブ39により流量制御されたエンジン抽出空気は、ラジアルコンプレッサ3でほぼ断熱的に圧縮される。ラジアルコンプレッサ3で圧縮されることで昇温された空気はメインクーラ4、再生熱交換器4aでラム空気路9を通る機外空気により冷却され、水分捕捉のためにウォータセパレータ7に導かれる。なお、航空機が地上にあってエンジン1が停止している時は、エンジン1からの抽出空気に代えて高圧空気供給ユニット1′により圧縮された空気が空調用に用いられる。
【0015】
ウォータセパレータ7で水分除去された空気は空気流路75に導かれる。空気流路75を流れる空気の一部は空気分離部16に導かれる。空気分離部16を構成する選択透過膜16aは、空気中の酸素の透過率が窒素の透過率よりも高くされている。なお、酸素の透過率が窒素の透過率よりも低い選択透過膜を用いてもよい。これにより、空気分離部16に導かれた空気は窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離される。窒素富化ガスは、第1コントロールバルブ41aを介して燃料周囲領域15に導入された後に、放出路を通って機外空間14に放出される。酸素濃縮空気は、第2コントロールバルブ41bを介して機外空間14に放出可能とされ、また、第3コントロールバルブ41cを介してキャビン8に導入可能とされている。各コントロールバルブ41a、41b、41cはコントローラからの信号により開度調整され、その開度調整により空気分離部16を通過する空気流量が調整可能とされている。
【0016】
空気流路75に導かれた空気の残部が膨張タービン5においてほぼ断熱的に膨張されることで冷気が生成される。これにより、コンプレッサ3と膨張タービン5とによりエアサイクル式冷却装置が構成される。エアサイクル式冷却装置より生成された冷気は、再生熱交換器4aからミキシングチャンバ13を介して航空機のコックピット空間を含むキャビン8に導入される。膨張タービン5の膨張仕事は、シャフト6を介してコンプレッサ3に伝えられることで圧縮動力として利用される。コンプレッサ3とタービン5を結ぶシャフト6に、コンプレッサ3の駆動に必要な動力を補助するためのモータ6aが取り付けられている。
【0017】
エンジン1からの抽出空気を上記エアサイクル式冷却装置を通ることなくキャビン8に導くためのバイパス空気流路11が設けられている。バイパス空気流路11はコントローラからの信号により開度調整可能なホットエアモジュレートバルブ12により開閉される。抽出空気の一部は、ホットエアモジュレートバルブ12を開くことで、コンプレッサ3と膨張タービン5とから構成されるエアサイクル式冷却装置で冷却されることなく、バイパス空気流路11からミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導かれる。
【0018】
キャビン8内の空気は、空気調和装置からの供給分から機体の漏れや機外への空気流路からの放出分を差し引いた分に相当する量だけ流出空気流路40に流出され、流出空気流路40においてフィルター42により埃や匂いが除去される。流出空気流路40に流出された空気の一部はファンF1を介してミキシングチャンバ13に導かれる。
【0019】
キャビン8から流出空気流路40を介して流出した空気の一部は、ファンF2により流出空気流路40から分岐する第1補助空気流路71に導かれた後に第2再生熱交換器72により加熱される。
【0020】
流出空気流路40と第1補助空気流路71とに水分吸着部83が空気流路切替機構50を介して接続される。すなわち図2に示すように、多数の水分吸着部83が回転ドラム80の内部にハニカム状に設けられ、その長手方向は回転軸方向に延びる。各水分吸着部83内に吸着剤が充填されている。各水分吸着部83を構成する吸着剤は、空気に含まれる水分を吸着し、また、吸着時よりも温度が上昇することで吸着した水分を放出するもので、例えばシリカゲルのような水分子吸着物質から構成できる。回転ドラム80の両端面にセパレータ81が相対回転可能にシール部材(図示省略)を介して接合されている。各セパレータ81は、外輪81aと内輪81bとを2本のアーム81cにより接続することで構成され、航空機の機体側に固定される。各セパレータ81の内輪81bにより、回転ドラム80の中心シャフト80aが軸受(図示省略)を介して回転可能に支持される。中心シャフト80aにモータ82が接続され、モータ82がコントローラ25からの信号により駆動されることで回転ドラム80は回転する。各セパレータ81における外輪81aと内輪81bとの間は、2本のアーム81cにより2つの領域81d、81eに区画されている。各セパレータ81における一方の領域81dは配管継手84を介して第1補助空気流路71に接続され、他方の領域81eは配管継手85を介して流出空気流路40に接続される。これにより、コントローラ25による空気流路切替機構50の制御により回転ドラム80が回転することで、各水分吸着部83それぞれは第1補助空気流路71に接続される状態と流出空気流路40に接続される状態とに切替えられる。
【0021】
第1補助空気流路71を流れる空気の温度は第2再生熱交換器72により加熱されることで例えば80℃〜120℃になり、キャビン8内の空気よりも高温になる。一方、キャビン8から流出空気流路40に導かれる空気の温度は例えば20℃〜30℃になる。これにより、水分吸着部83はキャビン8から流出空気流路40を介して導入される空気が流れる時は低温になるので、吸着剤はキャビン8から流出される空気に含まれる水分子を吸収する。一方、水分吸着部83は第1補助空気流路71を介して導入される空気が流れる時は高温になるので、吸着剤は第1補助空気流路71を介して導入される空気中に吸収した水分子を放出することで再生される。例えば、各吸着剤がシリカゲルである場合、20℃ではシリカゲル1.0kgに0.25kg以上の水分子を吸着できるが、100℃ではシリカゲル1.0kgに0.02kg以下の水分子しか吸着できない。これにより、キャビン8から流出される空気中の水分子を、吸着剤により吸着した後に第1補助空気流路71を流れる空気中に放出する。しかも、吸着剤は再度利用できるように再生される。
【0022】
第1補助空気流路71を流れる空気は、水分吸着部83を通過した後に第3切替えバルブ27に導かれる。第3切替えバルブ27は、そこに導かれた空気を機外空間14に放出する状態と、ミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導入する状態とにコントローラからの信号により空気流路を切替え可能である。これにより、第1補助空気流路71を流れる空気は水分吸着部83の通過後にキャビン8に導入可能とされ、水分吸着部83により吸着された水分をキャビン8に導入する手段が構成されている。
【0023】
流出空気流路40は、水分吸着部83の下流において、第2補助空気流路95と第3補助空気流路96とに分岐される。第2補助空気流路95は、空気圧縮手段として高周波モータ18で駆動されるコンプレッサ17に導かれ、水分吸着部83により水分吸着された空気の一部が略断熱的に圧縮される。コンプレッサ17により昇圧され、150℃〜200℃程度まで温度が上昇した空気は、第2再生熱交換器72において第1補助空気流路71を流れる空気と熱交換され、放熱器19においてラム空気路9を通る機外空気により冷却されることで、ほぼ常温近くまで冷却され、しかる後に二酸化炭素吸着装置100に導かれ、その中に含まれる二酸化炭素が吸着除去される。二酸化炭素が除去された空気は第4切替えバルブ36を介して、エンジン抽出空気と混合されラジアルコンプレッサ3に送られる。なお、二酸化炭素吸着装置では作動条件によって微量のアミン基を持つガスが空気に混合する場合があるため、第4切替えバルブ36に至る前に活性炭等による簡易吸着フィルタ103を装着するのが好ましい。一方、第1補助空気流路71を流れる空気の一部は、第2再生熱交換器72において昇温された後に、分岐路71aを介して二酸化炭素吸着装置100に導かれ、そこで再生用高温空気として使用される。第3補助空気流路96は切替えバルブ90aを介してアウトフローバルブ90bに接続される。切替えバルブ90aはアウトフローバルブ90bを第3補助空気流路96に接続する状態とキャビン8に接続する状態とに切り換える。図外センサによるキャビン8内の検出圧力と航空機の検出高度に基づき、アウトフローバルブ90bの開度がコントローラにより制御され、キャビン8内の圧力が適正に維持される。
【0024】
図3に示すように、二酸化炭素吸着装置100は複数の吸着器101を有する。各吸着器101の入口101aと出口101bは、それぞれ電磁切替弁102a、102bを介して第1補助空気流路71の分岐路71aと第2補助空気流路95とに選択的に接続される。これにより、コントローラ25による電磁切替弁102a、102bの制御により、各吸着器101は分岐路71aと第2補助空気流路95とに選択的に接続される。
【0025】
各吸着器101に二酸化炭素吸着用具110が収納されている。二酸化炭素吸着用具110は、図4に示すように本実施形態では放熱フィン状の形態を有し、図5Aに示すように、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のフォイル状担持部材111と、担持部材111の表層を酸化することで形成された多孔質の酸化アルミニウム(Al2 3 )製皮膜112と、皮膜112の各孔112aの内面に付着されたアミン基113とを備える。アミン基113は、空気に含まれる二酸化炭素分子を吸着し、吸着時よりも温度が上昇することで吸着した二酸化炭素分子を放出する。皮膜112の各孔112aの深さ方向は担持部材111の厚さ方向(図5Aの矢印A方向)とされている。皮膜112の各孔112aの内面に付着されたアミン基113により囲まれた孔の内径Dは2nm〜100nmとされる。酸化アルミニウム製皮膜112は、担持部材111を陽極として酸性処理液内で電流を流すことにより、図5Bのように担持部材111の表層に形成され、図中矢印で示す方向に成長する。つまり、皮膜112は担持部材111の厚さ方向に成長することから、皮膜112における各孔112aの深さ方向は担持部材111の厚さ方向になる。このような陽極酸化皮膜112の生成は公知の工程により行うことができる。電解液133の種類、濃度、温度、印加電流値などのパラメータを管理することで、アミン基113を付着させるのに適した孔112aを有する均一な品質の皮膜112を生成することができる。特に、皮膜112を形成する酸化層の厚さ(図中t)は、使用する処理液の種類と処理中に印加される電圧によって決まり、一般に電圧が小さいほど酸化層の厚さは薄くなる。その処理液としては、例えば希硫酸を主成分とする酸などが本発明に基づく上記内径Dの孔を形成する上で好ましい。皮膜112の成長が完了した後の表層の様子は、図5Cに示すように、相隣接する領域から成長した皮膜112同士が密に分布し、蜂の巣状の形態を呈する場合が多い。各孔112aの開口が閉鎖されないのは勿論のことである。
皮膜112の形成途中において処理電圧を下げることにより、図6A、図6Bの第1変形例に示すように、アルミニウムの酸化層すなわち皮膜112の厚さが変化する。これにより、皮膜112に形成される孔を、表面側の大径孔112bと、大径孔112bの底部において開口する複数の小径孔112aとして成長させることができる。この場合、小径孔112aの内面に付着されたアミン基113が二酸化炭素吸着用具110の表面積の大部分を占めるため、小径孔112aの内面に付着されたアミン基113により囲まれた孔の内径Dを吸着に適した2nm〜100nmとするのが好ましい。大径孔112bの内面に付着されたアミン基113により囲まれた孔の内径は100nmを超えてもよい。大径孔112bの存在により、二酸化炭素吸着用具110の表面に沿う空気の流れに変化を与え、アミン基113により囲まれた孔への二酸化炭素分子の導入を促進できる。
【0026】
本実施形態の担持部材111は、図7に示すように、ロールRから繰り出されるアルミフォイル111′を厚さ方向に交互に往復移動する一対の成型ダイス121によって、多数のフィン部111aが形成されるように折り曲げ成形されている。なお、成型ダイス121が図7において矢印で示すようにアルミフォイル111′の繰り出し方向にも往復移動することで、ロールRからアルミフォイル111′が繰り出される。これにより、形成される担持部材111の厚さは0.05mm〜0.1mm程度が好ましい。なお、図8の第2変形例に示すように、担持部材111よりも少し厚いアルミニウム製またはアルミニウム合金製の薄板状の補強材120を担持部材111に取り付けてもよい。補強材120はローラ124を介してロールR′から繰り出され、ノズル122により粉末ロー材123を吹き付けられた後に担持部材111との接着位置に位置され、加熱装置125によりロー材123を溶融させることで担持部材111に接着される。補強材120の厚さは例えば0.3mm程度とされる。ロー材123の溶融時に担持部材111を構成するアルミニウムまたはアルミニウム合金が酸化するのを防止するため、担持部材111における加熱装置125による加熱部位を囲むシール壁127を設け、そこにアルゴンガス等の不活性ガス126を供給して冷却ガス雰囲気により加熱部位を覆うのが好ましい。なお、担持部材111の形状は運用上に適するものであれば特に限定されない。
【0027】
本実施形態の酸化アルミニウム製皮膜112はフィン部111aの形成後に担持部材111に陽極酸化処理を施すことで形成される。その皮膜112の厚さは数μm〜数十μmとするのが好ましい。すなわち、図9に示すように、担持部材111は回転ローラ131によって容器132内の硫酸等の電解液133内に送り込まれ、担持部材111と容器132とに担持部材111を陽極として電源134が接続され、電源134からの給電により担持部材111の表層が酸化されて多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112が形成される。
なお、多数のフィン部形成工程と陽極酸化処理工程は、前記の順序に限定するものではなく、逆の工程となっても良い。
【0028】
表面に皮膜112が形成された担持部材111は、本実施形態では図10に示すようにロール状に巻かれた状態で、図11に示すように容器135に収納される。その容器135内に、アミン基113を多数持つ例えばポリエチレンイミンのような高分子剤を揮発性溶剤に溶かした状態で注入し、その溶剤中に皮膜112が形成された担持部材111を完全に浸漬させる。しかる後に容器135を密閉し、真空ポンプ等により容器135内の脱気を行う。これにより、皮膜112の各孔112a内に留まっていた空気が吸引され、さらに加圧等を行うことでその空気に代わって溶剤が各孔112aに入り込むので、その溶剤を乾燥させることでアミン基113が各孔112aの内面に付着される。これにより形成されたロール状の二酸化炭素吸着用具110が図12に示すように吸着器101に収納される。吸着器101は筒状とされて一端と他端とに空気の入口101aと出口101bが設けられ、吸着器101の軸方向が担持部材111の表面に平行とされることでは吸着器101の内部における空気の流れは担持部材111の表面に沿う。
【0029】
吸着器101の入口101aと出口101bが第2補助空気流路95に接続される状態においては、吸着器101内を流れる空気温度はその上流側で冷却される結果ほぼ常温になることから、その空気に含まれる二酸化炭素はアミン基113に吸着される。吸着器101の入口101aと出口101bが第1補助空気流路の分岐路71aに接続される状態においては、吸着器101内を流れる空気温度は上記のように80℃〜120℃程度に昇温されていることから、アミン基113に吸着された二酸化炭素は放出され、アミン基113は再度利用できるように再生される。
【0030】
第2補助空気流路95を通って吸着器101の出口101bから流出する空気は、第4切替えバルブ36に導かれる。第4切替えバルブ36は、コントローラからの信号により、導かれた空気をミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導く状態と、エアサイクル式冷却装置に導く状態とに空気流路を切替え可能である。これにより、キャビン8から流出する空気は、二酸化炭素が低減された後に第4切替えバルブ36を介して再びキャビン8に導かれる。
【0031】
第1補助空気流路の分岐路71aを通って吸着器101の出口101bから流出する二酸化炭素を多く含む空気は減圧弁91g′を介して機外空間14に排気される。この際、コントローラ25からの信号によって減圧弁91g′で排気量を制御することが可能とされている。
【0032】
上記実施形態によれば、キャビン8から流出する空気を再びキャビン8に導く場合に、その空気に含まれる二酸化炭素を二酸化炭素吸着用具110を介して航空機の機外に排出し、機内空気における二酸化炭素濃度を低減できる。その際、担持部材111がフォイル状で薄いことにより、二酸化炭素吸着用具110により構成される空気流路において担持部材111の表面に沿って空気を流すことで、その空気の流動に対する抵抗を小さくでき、空気流路における圧力損失を大きくすることなく空気中における二酸化炭素の吸着を迅速に行うことができる。また、アミン基113は空気に含まれる二酸化炭素を吸着し、吸着時よりも温度が上昇することで吸着した二酸化炭素を放出できるので、その空気流路に高温空気を流すことでアミン基113を再生できる。この際、担持部材111は熱伝導性に優れたアルミニウム製またはアルミニウム合金製であるので、たとえ局所的に加熱されても熱が拡散されることで劣化を生じるような温度上昇は生じず、均一な温度分布となるように加熱され、高温空気の熱によりアミン基113を再生に適した温度に均一かつ迅速に加熱できる。また、担持部材111は薄く軽量であるため二酸化炭素吸着用具110は小型軽量なものとなり、さらに構造はシンプルなものとなり揺れ、振動、加速度が作用する環境下でも正常に機能する。さらに、担持部材111の表面における酸化アルミニウム製皮膜112の孔112aの内面に付着されたアミン基113により囲まれた孔の内径を2nm以上とすることで、気体分子がその孔に容易に入り込むことができ、その内径を100nm以下とすることでアミン基113の表面積を十分に確保でき、大きなエネルギを消費することなく効率良く二酸化炭素を吸着できる。さらに、コンプレッサ17により圧縮された機内空気をアミン基113の再生用高温空気として有効利用することができる。よって、多数の乗客が搭乗する航空機のキャビン8内空気を改善する優れた二酸化炭素吸着装置100を実現できる。この結果、飛行中に機外からの新鮮空気を取込む量を減少させることができ、新鮮空気の圧縮に必要な消費エネルギを減少させることができる。
【0033】
二酸化炭素吸着用具110の使用形態はロール状に限定されない。例えば、図13、図14の第3変形例に示すように、多数のフィン部111aを有する複数の二酸化炭素吸着用具110を補強材120を介して積層した状態で吸着器101に収納してもよい。
【0034】
図15、図16の第4変形例に示すように、二酸化炭素吸着用具110における各フィン部111aに、空気の流動方向(図15において矢印F方向、図16において紙面直交F方向)に直交する方向にずれる部位111a′を空気の流動方向に沿って間隔をおいて形成し、空気とアミン基113との接触機会を増大させるようにしてもよい。
【0035】
二酸化炭素吸着装置100は、図3のように分割した容器の形態ではなく図2に示す水分吸着装置に準じる形態を採用してもよい。この場合、図17の第5変形例に示すように水分吸着部83に代えて上記実施形態と同様のロール状の二酸化炭素吸着用具110を用い、領域81dに第1補助空気流路71の分岐路71aから高温空気が導入され、領域81eにキャビン8からの流出空気が流出空気流路40を介して導入されるようにすればよい。
【0036】
図18は第6変形例の二酸化炭素吸着用具110を示す。本変形例の二酸化炭素吸着用具110は、上記実施形態のフォイル状担持部材111に代えて曲げ可能な板状の担持部材211を備える。担持部材211は上記実施形態と同様の多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112により被覆される。担持部材211は、電気エネルギーによって加熱されるエレメントとして導電性を有する金属製メッシュからなる電気抵抗エレメント211aと、電気抵抗エレメント211aを覆う絶縁材211bと、絶縁材211bを介して電気抵抗エレメント211aを挟み込む挟み込み部211cとを有する。本変形例の挟み込み部211cはアルミニウム製またはアルミニウム合金製の箔により構成される。電気抵抗エレメント211aの材質としては、比較的電気抵抗値の高い金属材料が好ましく、例えばNiとCrを多く含むステンレス鋼を用いることができる。絶縁材211bの材質は、例えば二酸化ケイ素や炭化ケイ素のようなセラミックとされる。挟み込み部211cは接着剤211dを介して絶縁材211bに一体化される。挟み込み部211cの表層のアルミニウムまたはアルミニウム合金を陽極酸化することで上記実施形態と同様の多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112が形成される。皮膜112の各孔112aの内面にアミン基113が付着される。各孔112aの寸法は上記実施形態と同様とすればよい。また、第1変形例と同様に大径孔112bと小径孔112aを設けてもよい。
【0037】
図19は第6変形例の二酸化炭素吸着用具110の成形工程を示す。ロールから繰り出される電気抵抗エレメント211aは真空容器221に導入され、真空容器221内で電気抵抗エレメント211aへの絶縁材211bの蒸着が行われ、次に絶縁材211bに噴霧器222から接着剤211dが噴霧され、ロールから繰り出される挟み込み部211cが接着剤211dを介して絶縁材211bの両面に接着され、接着剤211dが加熱ローラ223により加熱されることで硬化され、これにより板状の担持部材211が成形される。次に、担持部材211はガイドローラを介して上記実施形態と同様に容器132内の硫酸等の電解液133に導入され、担持部材211の表層に陽極酸化処理が施され、担持部材211を被覆する多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112が形成される。次に、皮膜112に被覆された担持部材211は、ガイドローラを介して容器226内のアミン基を含む溶液227内に導入され、皮膜112の各孔112aの内面にアミン基113が付着され、これにより製造された帯板状の二酸化炭素吸着用具110はヒーター228により乾燥させられる。なお、二酸化炭素吸着用具110の一端と他端においては、後述のように電極231、232との接続のため、電気抵抗エレメント211aの端部が露出される。
【0038】
図20は第6変形例の二酸化炭素吸着用具110を用いた二酸化炭素吸着装置100を示す。吸着装置100は、二酸化炭素吸着用具110を収納する筒状の吸着器101を備える。吸着器101の一端の入口101aと他端の出口101bは、上記実施形態と同様に、それぞれ電磁切替弁102a、102bを介して第1補助空気流路71の分岐路71aと第2補助空気流路95とに選択的に接続される。吸着器101内で、二酸化炭素吸着用具110は複数の部位で吸着器101の軸方向に沿って折り曲げられ、吸着器101の内部における空気の流れは担持部材211の表面に沿うものとされている。吸着器101に、電気抵抗エレメント211aの一端に接続される電極231と他端に接続される電極232が取り付けられる。両電極231、232を介して電気抵抗エレメント211aは抵抗加熱用電力供給部233に接続される。また、吸着器101に二酸化炭素吸着用具110の表面温度を検出する温度検出部234が取り付けられ、温度検出部234による温度測定信号は演算回路235によりデジタル信号に変換されてコントローラ25に伝送され、コントローラ25に電力供給部233が接続される。温度検出部234としては、例えば赤外線光量を測定する非接触式センサや接触式の測温抵抗体を用いることができる。コントローラ25は測定温度に基づき例えばオン・オフ制御や電流量制御により電力供給部233を制御し、これにより電気抵抗エレメント211aへの供給電力が制御される。他は上記実施形態と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0039】
吸着器101の入口101aと出口101bが第2補助空気流路95に接続される状態においては、上記実施形態と同様に、吸着器101内を流れる空気温度はほぼ常温となっていることから、その空気に含まれる二酸化炭素はアミン基113に吸着される。吸着器101の入口101aと出口101bが第1補助空気流路の分岐路71aに接続される状態においては、電力供給部233からの電力供給による電気抵抗エレメント211aの抵抗加熱により、アミン基113に吸着された二酸化炭素が放出される。放出された二酸化炭素を含む空気は減圧弁91g′を介して機外空間14に排気される。
【0040】
なお、図21の第7変形例に示すように、電気抵抗エレメント211aの表面に溶射等により絶縁材211bを予め付着させておき、これにより予め一体化された電気抵抗エレメント211aと絶縁材211bを挟み込むように、挟み込み部211cを接着剤211dに代えてロー付け等の他の手段によりに一体化してもよい。
【0041】
図22は第8変形例の二酸化炭素吸着用具110を示す。本変形例の二酸化炭素吸着用具110は、上記実施形態のフォイル状担持部材111に代えて曲げ可能な薄板状担持部材311を備える。担持部材311は上記実施形態と同様の多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112により被覆される。担持部材311は、導電性を有する薄板からなる電気抵抗エレメント311aと、電気抵抗エレメント311aを挟み込むアルミニウム製またはアルミニウム合金製の挟み込み部311bとを有する。電気抵抗エレメント311aの材質は第6変形例の電気抵抗エレメント211aと同様とされる。挟み込み部311bは電気抵抗エレメント311aの表面に蒸着あるいは溶融めっき法などにより一体化される。挟み込み部311bのアルミニウムまたはアルミニウム合金のほぼ全体を陽極酸化することで上記実施形態と同様の多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112が形成される。皮膜112の各孔112aの内面にアミン基113が付着される。各孔112aの寸法は上記実施形態と同様とすればよい。また、第1変形例と同様に大径孔112bと小径孔112aを設けてもよい。
【0042】
図23は第8変形例の二酸化炭素吸着用具110の成形工程を示す。ロールから繰り出される電気抵抗エレメント311aは真空容器321に導入され、真空容器321内で電気抵抗エレメント311aへのアルミニウムまたはアルミニウム合金の蒸着が行われることで挟み込み部311bが形成され、これにより板状の担持部材311が成形される。次に、担持部材311はガイドローラを介して上記実施形態と同様に容器132内の硫酸等の電解液133に導入され、担持部材311の表層に陽極酸化処理が施され、担持部材311を被覆する多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112が形成される。本変形例では酸化アルミニウム皮膜112が絶縁材として機能する。次に、皮膜112に被覆された担持部材211は、ガイドローラを介して第6変形例と同様の容器226内のアミン基を含む溶液227内に導入され、皮膜112の各孔112aの内面にアミン基113が付着され、これにより製造された帯板状の二酸化炭素吸着用具110はヒーター228により乾燥させられる。なお、二酸化炭素吸着用具110の一端と他端において、第6変形例と同様に電極231、232との接続のために電気抵抗エレメント311aの端部が露出される。第8変形例の二酸化炭素吸着用具110は、第6変形例の二酸化炭素吸着用具110と同様の二酸化炭素吸着装置100において同様に用いられる。他は上記実施形態と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0043】
図24に示す第9変形例の板状の二酸化炭素吸着用具110は円環形状を有する。図25に示すように、本変形例の二酸化炭素吸着用具110は、上記実施形態のフォイル状担持部材111に代えて曲げ可能な薄板状担持部材411を備える。担持部材411は上記実施形態と同様の多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112により被覆される。担持部材411は、電気エネルギーによって加熱されるエレメントとして導電性を有する薄板からなる導電性エレメント411aと、導電性エレメント411aを挟み込むアルミニウム製またはアルミニウム合金製の挟み込み部411bとを有する。導電性エレメント411aの材質は、誘導加熱により発熱するものであれば特に限定されず、本変形例ではステンレス鋼とされる。挟み込み部411bは、本変形例では導電性エレメント411aの表面に蒸着により一体化される。挟み込み部411bのアルミニウムまたはアルミニウム合金のほぼ全体を陽極酸化することで上記実施形態と同様の多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112が形成される。皮膜112の各孔112aの内面にアミン基113が付着される。各孔112aの寸法は上記実施形態と同様とすればよい。また、第1変形例と同様に大径孔112bと小径孔112aを設けてもよい。本変形例の二酸化炭素吸着用具110は、第8変形例と同様に帯板状に成形した後にプレスにより円環形状に打ち抜くことで製造できる。なお、導電性エレメント411aは、誘導加熱により発熱するものであればよいので、誘導磁場の周波数を高く設定すればアルミニウム製またはアルミニウム合金製とすることができる。この場合、導電性エレメント411aの表層を陽極酸化することで上記実施形態と同様の多孔質の酸化アルミニウム製皮膜112できるので、挟み込み部411bは不要になる。
【0044】
図26は第9変形例の二酸化炭素吸着用具110を用いた二酸化炭素吸着装置100を示す。吸着装置100は、二酸化炭素吸着用具110を収納する筒状の吸着器101を備え、吸着器101の一端の入口101aと他端の出口101bは、それぞれ電磁切替弁102a、102bを介して第1補助空気流路71の分岐路71aと第2補助空気流路95とに選択的に接続される。
吸着器101内で、複数の二酸化炭素吸着用具110が互いに隙間を介して積み重ねられている。二酸化炭素吸着用具110を積み重ねる場合、二酸化炭素吸着用具110の表面から突出する多数の凸部を形成したり、立体的なメッシュのようなスペーサを介在させることで、積み重ねられた二酸化炭素吸着用具110の表面の間に空気流路を構成する隙間を確保できる。二酸化炭素吸着用具110の表面から突出する多数の凸部は、皮膜112を形成する前に担持部材411にプレス等で凹凸を設けることで形成できる。入口101aに通じる空気導入管101cと出口101bに通じる空気排出管101dが、吸着器101に固定される。空気導入管101cの外周に設けられたフランジ101c′と空気排出管101dの外周に設けられたフランジ101d′により、積み重ねられた二酸化炭素吸着用具110が挟み込まれる。また、積み重ねられた二酸化炭素吸着用具110は、仕切りプレート101eにより空気導入側と空気排出側とに2分される。仕切りプレート101eは、磁束の通過を許容し、二酸化炭素吸着用具110の中心孔を介する空気の流れを規制する。空気導入管101cは空気導入側の各二酸化炭素吸着用具110の中心孔に挿入され、空気導入管101cの中心孔への挿入部分は多孔質とされている。空気排出管101dは空気排出側の各二酸化炭素吸着用具110の中心孔に挿入され、空気排出管101dの中心孔への挿入部分は多孔質とされている。
入口101aから空気導入管101cを介して吸着器101に導入された空気は、空気導入側の各二酸化炭素吸着用具110の中心孔から、空気導入管101cの多孔を介して各二酸化炭素吸着用具110相互間の隙間に流入し、担持部材411の表面に沿って吸着器101の周壁に向かい流れ、次に、吸着器101の周壁に沿って流れることで空気排出側の各二酸化炭素吸着用具110の外周に至り、空気排出側の各二酸化炭素吸着用具110の外周から各二酸化炭素吸着用具110相互間の隙間に流入し、担持部材411の表面に沿って二酸化炭素吸着用具110の中心孔に向かい流れ、次に、空気排出管101dの多孔を介して二酸化炭素吸着用具110の中心孔に至り、しかる後に空気排出管101dを介して出口101bから排出される。
吸着器101の周壁に交番磁束発生用コイル431が埋設されている。コイル431は高周波電源432に接続され、高周波の交流電流が印加されることで一点鎖線m1で示すように高周波の交番磁束を発生する。高周波電源432の発生する交流電流の周波数は数十kHzとされる。コイル431を構成する導線は、高周波交流がそれぞれの表面を流れる多数の細線により構成するのが好ましい。吸着器101の周壁の外側に、二酸化炭素吸着用具110を通過した磁束を誘導する磁性材を配置するのが好ましい。磁性材としては渦電流の発生の少ないフェライトが好ましい。各担持部材411の導電性エレメント411aはコイル431の発生磁束の通過位置に配置され、導電性エレメント411aの厚さ方向に沿って磁束は通過するものとされる。
吸着器101に、二酸化炭素吸着用具110の表面温度を検出する第6変形例と同様の温度検出部234が取り付けられる。温度検出部234による温度測定信号は演算回路235によりデジタル信号に変換されてコントローラ25に伝送され、コントローラ25に交流電源432が接続される。コントローラ25は測定温度に基づき例えばオン・オフ制御や電流量制御により交流電源432を制御し、これによりコイル431への供給電力が制御される。他は上記実施形態と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0045】
吸着器101の入口101aと出口101bが第2補助空気流路95に接続される状態においては、上記実施形態と同様に、吸着器101内を流れる空気温度はほぼ常温となっていることから、その空気に含まれる二酸化炭素はアミン基113に吸着される。吸着器101の入口101aと出口101bが第1補助空気流路の分岐路71aに接続される状態においては、コイル431が高周波の交番磁束を発生することで導電性エレメント411aが渦電流により誘導加熱される。導電性エレメント411aの誘導加熱により、アミン基113に吸着された二酸化炭素が放出される。放出された二酸化炭素を含む空気は減圧弁91g′を介して機外空間14に排気される。なお、本変形例においては、二酸化炭素吸着用具110の吸着面積は中心孔近傍で小さく、外周近傍で大きい。よって、吸着飽和部位が空気の流れの上流側から下流に向かって次第に増加する時、すなわち吸着飽和が進行する時、その進行は終盤で加速される。また、二酸化炭素吸着用具110から二酸化炭素を放出する場合も、放出の進行は終盤で加速される。よって、二酸化炭素の吸着と放出の進行管理が容易になる。
【0046】
第6〜第9変形例の二酸化炭素吸着用具110によれば、電気抵抗エレメント211a、311aの温度は抵抗加熱により、導電性エレメント411aの温度は誘導加熱により、短時間でアミン基113の再生に適した温度まで立ち上がる。これにより、アミン基113の再生を迅速に行うことができるので、二酸化炭素の吸着と再生のサイクルを短縮でき、単位時間あたりの吸着と再生のサイクル数を増加させることができる。よって、大量の二酸化炭素を処理する場合においても、二酸化炭素吸着装置100を小型軽量化し、航空機に搭載するのに適したものにできる。なお、電気抵抗エレメント211a、311aと導電性エレメント411aの発生熱量はコントローラ25により制御されるので、二酸化炭素吸着用具110の表面温度はアミン基113の再生に適した温度に維持される。この際、吸着器101内を流れる空気温度は、上記実施形態で示したように80℃〜120℃程度のアミン基113の再生に適した温度に昇温されているので、二酸化炭素吸着用具110の温度変動が小さくなる。これにより、二酸化炭素吸着用具110の劣化を防止しつつ十分な再生を行うための温度制御を容易に行うことができる。また、二酸化炭素吸着用具110は電気抵抗エレメント211a、311aまたは導電性エレメント411aにより強度が向上されるので、取り扱いが容易になり、振動などによる劣化を防止できる。電気抵抗エレメント211a、311aまたは導電性エレメント411aを、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の挟み込み部211c、311bにより挟み込む場合、アルミニウムやアルミニウム合金は熱伝導に優れることから、アミン基113を均一に加熱することができる。よって、アミン基113の過度の加熱による劣化や加熱不足による不十分な再生を防止できる。なお、電気抵抗エレメント211a、311aまたは導電性エレメント411a自体をアルミニウム製またはアルミニウム合金製としてもよく、この場合、電気抵抗エレメント211a、311aまたは導電性エレメント411aは、電気抵抗値を高くするために薄くするのが好ましい。
【0047】
第6〜第9変形例の二酸化炭素吸着用具110を用いた二酸化炭素吸着装置100において、吸着器101の数を複数とすることができる。この場合、一部の吸着器101における二酸化炭素吸着用具110により二酸化炭素を吸着し、残りの吸着器101における二酸化炭素吸着用具110の再生を行うことができる。また、除去すべき二酸化炭素量が少ない場合、一部の吸着器101における二酸化炭素吸着用具110を休止状態としてもよい。さらに、吸着器101に導入する空気圧力を、アミン基113を再生する時は二酸化炭素を吸着する時よりも低くし、機外圧力に近くするのが好ましい。これにより、アミン基113からの二酸化炭素の放出を促進できる。
【0048】
本発明は上記実施形態や変形例に限定されない。例えば、二酸化炭素吸着用具を円錐状、半球状、カッブ状に成形し、隙間を介して積み重ねてもよい。また、航空機用空気調和装置は、エンジンからの抽出空気に代えて電動モータにより圧縮される機外空気を空調用に用いるものであってもよい。さらに、本発明による二酸化炭素吸着用具を航空機以外の空間における空気中の二酸化炭素を吸着するために用いてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の二酸化炭素を吸着するための二酸化炭素吸着用具であって、
フォイル状または板状の担持部材と、
前記担持部材を被覆する多孔質の酸化アルミニウム製皮膜と、
前記皮膜の各孔の内面に付着された二酸化炭素吸着用アミン基とを備え、
前記皮膜は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を酸化することで形成され、
前記皮膜の各孔の深さ方向は前記担持部材の厚さ方向である二酸化炭素吸着用具。
【請求項2】
前記皮膜に形成される各孔として、表面側の大径孔と、前記大径孔の底部において開口する複数の小径孔とを有する請求項1に記載の二酸化炭素吸着用具。
【請求項3】
前記皮膜の各孔の内面に付着された前記アミン基により囲まれた孔の内径が2nm〜100nmである請求項1または2に記載の二酸化炭素吸着用具。
【請求項4】
前記小径孔の内面に付着された前記アミン基により囲まれた孔の内径が2nm〜100nmであり、前記大径孔の内面に付着された前記アミン基により囲まれた孔の内径が100nmを超える請求項2に記載の二酸化炭素吸着用具。
【請求項5】
前記担持部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製とされ、
前記皮膜は、前記担持部材の表層を酸化することで形成される請求項1に記載の二酸化炭素吸着用具。
【請求項6】
前記担持部材は、導電性を有すると共に抵抗加熱用電力供給部に接続される電気抵抗エレメントを含み、
前記電気抵抗エレメントの抵抗加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出される請求項1に記載の二酸化炭素吸着用具。
【請求項7】
請求項1に記載の二酸化炭素吸着用具と、
交番磁束発生用コイルとを備え、
前記担持部材は、導電性を有すると共に前記コイルの発生磁束の通過位置に配置される導電性エレメントを含み、
前記導電性エレメントの誘導加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出される二酸化炭素吸着装置。
【請求項8】
アルミニウム製またはアルミニウム合金製のフォイル状担持部材を成形する工程と、
前記担持部材の表層に陽極酸化処理を施すことで多孔質の皮膜を形成する工程と、
前記皮膜の各孔の内面に二酸化炭素吸着用アミン基を付着させる工程とを備える二酸化炭素吸着用具の製造方法。
【請求項9】
少なくとも表層がアルミニウム製またはアルミニウム合金製の板状の担持部材を成形する工程と、
前記担持部材の表層に陽極酸化処理を施すことで多孔質の皮膜を形成する工程と、
前記皮膜の各孔の内面に二酸化炭素吸着用アミン基を付着させる工程とを備える二酸化炭素吸着用具の製造方法。
【請求項10】
空気中の二酸化炭素を吸着するための二酸化炭素吸着用具であって、
担持部材と、
前記担持部材を被覆する多孔質の皮膜と、
前記皮膜の各孔の内面に付着された二酸化炭素吸着用アミン基とを備え、
前記担持部材は電気エネルギーによって加熱されるエレメントを含み、
前記エレメントの加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出される二酸化炭素吸着用具。
【請求項11】
前記担持部材はフォイル状または板状であり、前記皮膜の各孔の深さ方向は前記担持部材の厚さ方向である請求項10に記載の二酸化炭素吸着用具。
【請求項12】
前記エレメントは、導電性を有すると共に抵抗加熱用電力供給部に接続される電気抵抗エレメントとされ、
前記電気抵抗エレメントの抵抗加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出される請求項10に記載の二酸化炭素吸着用具。
【請求項13】
請求項10に記載の二酸化炭素吸着用具と、
交番磁束発生用コイルとを備え、
前記エレメントは、導電性を有すると共に前記コイルの発生磁束の通過位置に配置される導電性エレメントとされ、
前記導電性エレメントの誘導加熱により前記アミン基に吸着された二酸化炭素が放出される二酸化炭素吸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【国際公開番号】WO2005/082489
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510478(P2006−510478)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003176
【国際出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】