説明

二酸化炭素分離装置および二酸化炭素分離方法

【課題】二酸化炭素分離性に優れた二酸化炭素分離装置を提供する。
【解決手段】ゲル膜、水および二酸化炭素キャリアを有し、100℃以上の原料ガスFGが供給面側に供給され、供給面側に供給される原料ガスFGに含まれる二酸化炭素を選択的に透過面側へ透過させる二酸化炭素促進輸送膜12と、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の水分を維持する水分維持手段としての背圧調整弁40および加湿器30と、を備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素分離装置および二酸化炭素分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、混合ガス中の二酸化炭素を選択的に分離する技術の開発が進んでいる。例えば、地球温暖化対策として排ガス中の二酸化炭素を回収して濃縮する技術や、水蒸気改質により炭化水素を水素と一酸化炭素(CO)に改質し、さらに一酸化炭素と水蒸気を反応させて二酸化炭素と水素を生成させ、二酸化炭素を選択的に透過する膜によって二酸化炭素を分離することで水素を主成分とする燃料電池用等のガスを得る技術が開発されている。
【0003】
二酸化炭素の分離法として膜分離法が知られている。膜分離法は、分離膜で区画された2つの領域の二酸化炭素の分圧差により分離を行うものでエネルギー消費が少なく、かつ設置面積がコンパクトな点で優れている。また、システムの能力の拡縮もフィルターユニットの増減で対応可能であり、システムの拡縮性の点でも優れている。
【0004】
膜分離法に関して、下記の特許文献1においては、未架橋のビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体水溶液を、二酸化炭素透過性支持体上へ膜状に塗布した後、加熱し、架橋させて水不溶化し、この水不溶化物に二酸化炭素キャリア(二酸化炭素と親和性を有する物質)を含む水溶液を吸収させてゲル化することにより二酸化炭素分離ゲル膜を製造することが開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献2においては、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体ゲル膜に炭酸セシウム若しくは重炭酸セシウム若しくは水酸化セシウムからなる添加剤を添加したゲル層を親水性の多孔膜に担持させてCO促進輸送膜を形成し、所定の主成分ガスに少なくとも二酸化炭素と水蒸気が含まれる原料ガスをCO促進輸送膜の供給側面に100℃以上の供給温度で供給して、CO促進輸送膜を透過した二酸化炭素を透過側面から取り出すようにした二酸化炭素分離装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−102310号公報
【特許文献2】特開2009−195900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これら公知技術よりも二酸化炭素分離性に優れた二酸化炭素分離装置および二酸化炭素分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の二酸化炭素分離装置は、ゲル膜、水および二酸化炭素キャリアを有し、100℃以上の原料ガスが供給面側に供給され、前記供給面側に供給される原料ガスに含まれる二酸化炭素を選択的に透過面側へ透過させる透過膜と、前記透過膜の透過面側の水分を維持する水分維持手段と、を備えることを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項1に記載の二酸化炭素分離装置において、前記水分維持手段は、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制する蒸発抑制手段を有することで、前記透過膜の透過面側の水分を維持することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項2に記載の二酸化炭素分離装置において、前記蒸発抑制手段は、前記透過膜の透過面側が飽和水蒸気圧以上で加圧されるように背圧を調整することで、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0011】
本発明の請求項4に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項1に記載の二酸化炭素分離装置において、前記水分維持手段は、前記透過膜の透過面側に水分を供給する水分供給手段を有することで、前記透過膜の透過面側の水分を維持することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0012】
本発明の請求項5に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項4に記載の二酸化炭素分離装置において、前記水分供給手段は、前記透過膜の透過面側に加湿されたスイープガスを供給することで、前記透過膜の透過面側に水分を供給することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0013】
本発明の請求項6に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項2または請求項3に記載の二酸化炭素分離装置において、前記供給面側に供給される原料ガスの温度が130℃〜180℃である場合、前記蒸発抑制手段は、前記透過膜の透過面側が150kPa〜1500kPaで加圧されるように背圧を調整することで、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0014】
本発明の請求項7に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項4または請求項5に記載の二酸化炭素分離装置において、前記水分供給手段は、前記透過膜の透過面側に20%RH〜90%RHに加湿されたスイープガスを供給することで、前記透過膜の透過面側に水分を供給することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0015】
本発明の請求項8に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離装置において、前記透過膜の厚さは、50μm〜190μmであることを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0016】
本発明の請求項9に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離装置において、前記透過膜は、前記二酸化炭素キャリアとして、アルカリ金属炭酸塩あるいはアルカリ金属重炭酸塩あるいはアルカリ金属水酸化物を有することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0017】
本発明の請求項10に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離装置において、前記透過膜は、さらに添加剤として、窒素含有化合物あるいは硫黄含有化合物を有することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0018】
本発明の請求項11に記載の二酸化炭素分離装置は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離装置において、前記原料ガスには、水蒸気が含まれていることを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0019】
本発明の請求項12に記載の二酸化炭素分離方法は、ゲル膜、水および二酸化炭素キャリアを有し、100℃以上の原料ガスが供給面側に供給され、前記供給面側に供給される原料ガスに含まれる二酸化炭素を選択的に透過面側へ透過させる透過膜を用いて、前記透過膜の透過面側の水分を維持しつつ二酸化炭素を分離することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0020】
本発明の請求項13に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項12に記載の二酸化炭素分離方法において、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制することで、前記透過膜の透過面側の水分を維持することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0021】
本発明の請求項14に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項13に記載の二酸化炭素分離方法において、前記透過膜の透過面側が飽和水蒸気圧以上で加圧されるように背圧を調整することで、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0022】
本発明の請求項15に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項12に記載の二酸化炭素分離方法において、前記透過膜の透過面側に水分を供給することで、前記透過膜の透過面側の水分を維持することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0023】
本発明の請求項16に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項15に記載の二酸化炭素分離方法において、前記透過膜の透過面側に加湿されたスイープガスを供給することで、前記透過膜の透過面側に水分を供給することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0024】
本発明の請求項17に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項13または請求項14に記載の二酸化炭素分離方法において、前記供給面側に供給される原料ガスの温度が130℃〜180℃である場合、前記透過膜の透過面側が150kPa〜1500kPaで加圧されるように背圧を調整することで、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0025】
本発明の請求項18に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項15または請求項16に記載の二酸化炭素分離方法において、前記透過膜の透過面側に20%RH〜90%RHに加湿されたスイープガスを供給することで、前記透過膜の透過面側に水分を供給することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0026】
本発明の請求項19に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項12〜18のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離方法において、前記透過膜の厚さは、50μm〜190μmであることを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0027】
本発明の請求項20に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項12〜19のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離方法において、前記透過膜は、前記二酸化炭素キャリアとして、アルカリ金属炭酸塩あるいはアルカリ金属重炭酸塩あるいはアルカリ金属水酸化物を有することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0028】
本発明の請求項21に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項12〜20のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離方法において、前記透過膜は、さらに添加剤として、窒素含有化合物あるいは硫黄含有化合物を有することを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【0029】
本発明の請求項22に記載の二酸化炭素分離方法は、請求項12〜21のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離方法において、前記原料ガスには、水蒸気が含まれていることを特徴とする。これにより、二酸化炭素分離性を向上させられる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、二酸化炭素分離性に優れた二酸化炭素分離装置および二酸化炭素分離方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る二酸化炭素分離装置の構成を示す図である。
【図2】図1の二酸化炭素促進輸送膜の付近の構成を拡大して示す図である。
【図3】本発明に係る二酸化炭素分離装置に対する比較例としての二酸化炭素分離装置の構成を示す図である。
【図4】二酸化炭素分離性についての実験結果を表として示す図である。
【図5】二酸化炭素分離性についての実験結果を表として示す図である。
【図6】二酸化炭素分離性についての実験結果を表として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る二酸化炭素分離装置および二酸化炭素分離方法の実施形態について、添付の図面に沿って説明する。
【0033】
(二酸化炭素分離装置)
図1は、本発明に係る二酸化炭素分離装置の構成を示している。本発明に係る二酸化炭素分離装置10は、水素を主成分とする原料ガスFGに含まれる二酸化炭素を選択的に透過させる透過膜を用い、原料ガスFG中の二酸化炭素を分離する装置であり、例えば二酸化炭素メンブレンリアクターにおいて水素を主成分とする改質ガス(原料ガスFG)に含まれる二酸化炭素を分離する。
【0034】
二酸化炭素分離装置10は、透過膜の一例としての二酸化炭素促進輸送膜12を有している。図2は、二酸化炭素促進輸送膜12の付近の構成を拡大して示している。
【0035】
図1および図2に示すように、二酸化炭素促進輸送膜12の供給面側としての一面側には供給室14が、透過面側としての他面側には透過室16が設けられている。供給室14の一方側には供給管18が接続されており、供給管18からは原料ガスFGが供給されるようになっている。原料ガスFGは、水蒸気改質器(図示省略)を通じて供給されるものであり、水蒸気、主成分ガスである水素および分離対象である二酸化炭素を含んでおり、その供給温度は100℃以上とされる。
【0036】
供給室14に供給された原料ガスFGは、透過室16との二酸化炭素の分圧差によって二酸化炭素が分離処理され、処理ガスFG’として供給室14の他方側に接続される排出管20を通じて供給室14から排出される。
【0037】
処理ガスFG’の流れ方向において排出管20の下流側には、冷却器22と背圧調整弁(図中に「BPR」と示す)24とが設けられている。冷却器22は、処理ガスFG’を冷却し処理ガスFG’中の水分を除去する機能を有している。背圧調整弁24は、供給室14の圧力、即ち二酸化炭素促進輸送膜12の供給面側の背圧を調整する機能を有している。
【0038】
透過室16の一方側には供給管26が接続されており、供給管26から例えばアルゴンガスなどのスイープガスSGが透過室16に供給されるようになっている。図2に示すように、スイープガスSGは二酸化炭素促進輸送膜12を透過してきた二酸化炭素を含む透過ガスPGを外部に掃き出し、透過室16における透過ガスPGの分圧を低減させ、二酸化炭素促進輸送膜12を透過する透過ガスPGの透過力を維持するためのものである。スイープガスSGは、空気やヘリウムであってもよい。
【0039】
図1に示すように、スイープガスSGの流れ方向において供給管26の上流側には、スイープガスSGが圧縮充填されているスイープガスボンベ28と加湿器30が設けられている。スイープガスSGは、開閉弁32および流量制御器(図中で「MFC」と示す)34を通って加湿器30に送られ、加湿器30で所定の湿度%RHに加湿制御された上で供給管26を通じて透過室16に供給される。
【0040】
透過室16に供給されたスイープガスSGは、二酸化炭素促進輸送膜12を透過してきた透過ガスPGを引き連れ透過室16の他方側に接続される排出管36を通じて透過室16から排出される。スイープガスSGの流れ方向において排出管36の下流側には、冷却器38と背圧調整弁(図中に「BPR」と示す)40とが設けられている。冷却器38は、スイープガスSGおよび透過ガスPGを冷却しそれらガス中の水分を除去する機能を有している。背圧調整弁40は、透過室16の圧力、即ち二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の背圧を調整する機能を有している。なお、背圧調整弁40は、排出管36と冷却器38との間に設けるようにしてもよい。
【0041】
二酸化炭素促進輸送膜12は、ゲル膜、水および二酸化炭素キャリアを含んで構成されている。具体的には、二酸化炭素促進輸送膜12は、支持体(図示省略)上に形成されたゲル膜に水および二酸化炭素キャリアが含有されて構成されている。なお、ゲル膜には、水および二酸化炭素キャリアの他に適宜な添加剤が含有されている。二酸化炭素促進輸送膜12を形成する組成物についての具体的な説明は後述する。
【0042】
二酸化炭素促進輸送膜12は、二酸化炭素キャリアの存在により高い二酸化炭素透過度(ガス選択性)を有している。
【0043】
二酸化炭素促進輸送膜12においては、二酸化炭素分子は二酸化炭素キャリアと反応し専ら促進輸送機構によって膜中を透過するため、膜厚を厚くしても二酸化炭素の透過性はあまり変化しない。一方、膜中で二酸化炭素キャリアと反応しない水素分子は、溶解拡散機構によって膜中を透過するため、その透過性は膜厚の厚さに反比例する。従って、一般的には二酸化炭素促進輸送膜12の膜厚を厚くすることで二酸化炭素の分離性を高めることができる。
【0044】
しかし、発明者達は、100℃以上の原料ガスFGを二酸化炭素促進輸送膜12の供給面側に供給し二酸化炭素促進輸送膜12を100℃以上の環境下で使用する場合には、膜厚を厚くすると二酸化炭素分離性が急激に低下することを知見した。また、この厚膜化による二酸化炭素分離性の低下は、厚膜において透過面側で水が蒸発し水分が維持されないことに起因することを知見した。
【0045】
そこで、本発明に係る二酸化炭素分離装置10にあっては、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の水分を維持する水分維持手段として前述の背圧調整弁40および加湿器30を備えている。即ち、背圧調整弁40により、透過室16の圧力、即ち二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の背圧を飽和水蒸気圧以上に加圧調整することで、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側での水の蒸発を抑制し、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の水分を維持するようにした。また、加湿器30により、スイープガスSGを加湿した上で透過室16に供給することで、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の水分を維持するようにした。
【0046】
なお、二酸化炭素促進輸送膜12の供給面側には水蒸気を含む原料ガスFGが供給されているため、供給面側の水分は元来的に維持される状態となっている。別言すると、原料ガスFGが100℃以上であっても水蒸気を含めることで、二酸化炭素促進輸送膜12の供給面側の水分を維持することができ、二酸化炭素分離性を維持することができる。
【0047】
図3は、本発明に係る二酸化炭素分離装置10に対する比較例としての二酸化炭素分離装置100を示している。比較例としての二酸化炭素分離装置100にあっては、透過室16の圧力、即ち二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の背圧を調整するための背圧調整弁40が備えられておらず、透過室16は大気圧と同程度の背圧とされている。また、スイープガスSGを加湿制御するための加湿器30が備えられておらず、スイープガスSGは加湿されずに透過室16に供給されている。
【0048】
本発明に係る二酸化炭素分離装置10は、比較例としての二酸化炭素分離装置100に対して、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の水分を維持する水分維持手段として背圧調整弁40および加湿器30を備えているので、二酸化炭素促進輸送膜12を厚膜化した場合であっても透過面側の水分を維持することができ、二酸化炭素分離性を向上させることができる。なお、背圧調整弁40は水分維持手段のうち蒸発維持手段として捉えることができ、加湿器30は水分維持手段のうち水分供給手段として捉えることができる。
【0049】
(二酸化炭素促進輸送膜の組成物)
以下、二酸化炭素促進輸送膜12を形成する組成物について具体的に説明する。
【0050】
−ゲル膜−
ゲル膜は、二酸化炭素キャリア、水を内包した膜を形成できる架橋可能基を有する親水性ポリマー(以下、適宜、官能性ポリマーと称する)により形成される。二酸化炭素キャリアは水溶性であるため、ゲル膜の形成には、水と親和性の高いポリマーを用いることが好ましい。架橋可能基とは、架橋可能軌道氏が直接、或いは、架橋剤を介して結合して架橋構造を形成しうる官能基を指す。ゲル膜を構成する親水性ポリマーは架橋剤により形成された架橋構造を有していてもよい。
【0051】
ゲル膜形成用の官能性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーを適宜選択して使用することができる。
【0052】
官能性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、アラビアガム、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、グアガム(Squalon製Supercolなど)、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(National Starch & Chemical Co.製Purity-21など)、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical Co.製National 78-1898など)など、微生物系多糖類としては、キサンタンガム(Kelco製Keltrol Tなど)、デキストリン(National Starch & Chemical Co.製Nadex360など)など、動物系天然高分子としては、ゼラチン(Croda製Crodyne B419など)、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム(Croda製Cromoist CSなど)などが挙げられる。セルロース系としては、エチルセルロース(I.C.I.製Cellofas WLDなど)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル製CMCなど)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル製HECなど)、ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon製Klucelなど)、メチルセルロース(Henkel製Viscontranなど)、ニトロセルロース(Hercules製Isopropyl Wetなど)、カチオン化セルロース(Croda製Crodacel QMなど)などが挙げられる。デンプン系としては、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical製National 78-1898など)、アルギン酸系としては、アルギン酸ナトリウム(Kelco製Keltoneなど)、アルギン酸プロピレングリコールなど、その他の分類として、カチオン化グアガム(Alcolac製Hi-care1000など)、ヒアルロン酸ナトリウム(Lifecare Biomedial製Hyalureなど)が挙げられる。上記官能性ポリマーはいずれも、市販品を使用することができ、例えば、それぞれの化合物名に添えて( )内に記載されるメーカーより提供される商品を使用することができる。
【0053】
官能性ポリマーのうち、合成高分子について詳しく説明する。アクリル系としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩またはその共重合体など、ビニル系としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコールなど、その他としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ナフィオン、ポリスチレンスルホン酸又はその共重合体、ナフタレンスルホン酸縮合物塩、ポリビニルスルホン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、アクリル酸又はその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸又はその共重合体、など)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドまたはその共重合体、ポリアミジンまたはその共重合体、ポリイミダゾリン、ジシアンシアミド系縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン縮合物、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、水溶性ポリエステルなどが使用できる。また、市販品を使用してもよく、例えば、水溶性ポリエステル(互応化学(株)製プラスコートZ-221、Z-446、Z-561、Z-450、Z-565、Z-850、Z-3308、RZ-105、RZ-570、Z-730、RZ-142:いずれも商品名)などが挙げられる。
【0054】
ゲル膜を形成する官能性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール類であることが好ましく、特に、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体が最も好ましい。
【0055】
前記官能性ポリマーの含有量は、当該ゲル膜全体の5〜80質量%であることが好ましく、7.5〜75質量%であることがより好ましく、10〜70質量%であることがさらに好ましい。また、ゲル膜を形成する官能性ポリマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
−架橋剤−
前記官能性ポリマーは、架橋剤を用いて形成された架橋構造を有していてもよい。このような架橋構造を有することにより、前記ゲル膜の膜強度・耐久性が向上する。
【0057】
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アルデヒド化合物、紫外線架橋型化合物、脱離基含有化合物、カルボン酸化合物、ウレア化合物、有機金属化合物などが挙げられる。
【0058】
−二酸化炭素キャリア−
二酸化炭素キャリアは、二酸化炭素と親和性を有し、かつ、塩基性を示す各種の水溶性の無機物質であり、具体的には、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物である。これらの物質を二酸化炭素キャリアとして選択することで、二酸化炭素分離性を向上させることができる。
【0059】
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムなどが挙げられる。
【0060】
アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどが挙げられる。
【0061】
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。
【0062】
これらの中でも、二酸化炭素との親和性がよいという観点から、アルカリ金属としてカリウム、ルビジウム、及びセシウムから選ばれたアルカリ金属元素を含む化合物が好ましい。さらに好ましくはカリウム、又はセシウムを含む化合物である。
【0063】
二酸化炭素キャリアの前記ゲル膜における含有量は、当該膜全体の5〜95質量%であることが好ましく、7.5〜92.5質量%であることがより好ましく、10〜90質量%であることがさらに好ましい。含有量が前記範囲であることで、十分な二酸化炭素キャリア能が得られ、且つ、ゲル膜中において、キャリアが過剰に含まれる際に懸念される二酸化炭素キャリアが著しく局在し、性能が不安定になる現象が抑制される。
【0064】
−添加剤−
ゲル膜の形成に使用される組成物には、前記官能性ポリマー、二酸化炭素キャリア及び溶媒としての水に加え、架橋剤や種々の添加剤を併用してもよい。
(反応促進添加剤)
添加剤は、二酸化炭素と二酸化炭素キャリアとの反応を促進する化合物であり、窒素含有化合物あるいは硫黄含有化合物である。これらの物質を添加剤として加えることで、二酸化炭素分離性を向上させることができる。
【0065】
窒素含有化合物としては、例えば、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、タウリン、ジアミノプロピオン酸などのアミノ酸類、ピリジン、ヒスチジン、ピペラジン、イミダゾール、トリアジンなどのヘテロ化合物類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類や、クリプタンド〔2.1〕、クリプタンド〔2.2〕などの環状ポリエーテルアミン類、クリプタンド〔2.2.1〕、クリプタンド〔2.2.2〕などの双環式ポリエーテルアミン類やポルフィリン、フタロシアニン、エチレンジアミン四酢酸などを用いることができる。
【0066】
硫黄含有化合物としては、例えば、シスチン、システインなどのアミノ酸類、ポリチオフェン、ドデシルチオールなどを用いることができる。
【0067】
−支持体−
支持体は、二酸化炭素促進輸送膜12を支持するものであり、二酸化炭素透過性を有し、組成物を塗布して二酸化炭素促進輸送膜12を形成することができ、さらにこの膜を支持することができるものであれば特に限定されない。
【0068】
支持体の材質としては、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙、さらに、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォンアラミド、ポリカーボネート、金属、ガラス、セラミックスなどが好適に使用できる。より具体的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどの樹脂材料が好適に使用できる。これら中でもポリオレフィンおよびそのフッ化物が、経時安定性の観点から特に好ましく使用できる。
【0069】
支持体の形態としては織布、不織布、多孔質膜等を採用することができる。一般的には自己支持性が高く、空隙率が高い支持体が好適に使用できる。
【0070】
ポリフェニルサルファイド、ポリスルフォン、セルロースのメンブレンフィルター膜、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜などは空隙率が高く、二酸化炭素の拡散阻害が小さく、強度、製造適性などの観点から好ましい。この中でも特にポリテトラフルオロエチレンの延伸膜が好ましい。
【0071】
これらの支持体を単独に用いることもできるが、補強用の支持体と一体化した複合膜も好適に使用できる。
【0072】
支持体は厚すぎるとガス透過性が低下し、薄すぎると強度に難がある。そこで支持体の厚さは30〜500μmが好ましく、さらには50〜300μmがより好ましく、さらには50〜200μmが特に好ましい。
【0073】
(二酸化炭素分離性の実験結果)
二酸化炭素分離性についての実験は、以下のように行った。
【0074】
二酸化炭素促進輸送膜12を支持体ごと直径47mmに切り取り、PTFEメンブレンフィルター(孔径0.10μm、ADVANTEC社製)で挟んで分離性試験用のサンプル透過膜(有効面積2.40cm)を作製した。このサンプル透過膜の供給面側には原料ガスFGとしてCO/H:10/90(容積比)のテストガスを流量100ml/分で供給し、透過面側にはスイープガスSGとしてアルゴンガスを流量100ml/分で供給した。そして、サンプル透過膜を透過してきた透過ガスをガスクロマトグラフで分析し、二酸化炭素透過度および水素透過度を得た。二酸化炭素分離性は、二酸化炭素透過度およびガス選択性で評価した。なお、ガス選択性は次式により算出した。
【0075】
ガス選択性 = 二酸化炭素透過度 / 水素透過度
【0076】
二酸化炭素分離性についての実験に用いる二酸化炭素促進輸送膜12は、以下のように製膜した。
【0077】
伊那寒天UP−37(伊那寒天社製)0.5質量%、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(ナトリウム塩、クラレ社製、商品名:クラストマーAP20)2.5質量%、炭酸カリウム1.3質量%、グリシン1.2質量%の熱水溶液(温度:85℃以上)を調製した。その熱水溶液を、PETフィルム(東レ社製T60、100μm厚)にRtoR方式で塗布し、冷却、乾燥して製膜した。冷却温度を8℃に設定した冷却部でゲル膜とした後、乾燥後、巻き取った後、乾燥膜上にもう二度塗布・乾燥工程を行った。そして、120℃で熱架橋を施し均一な膜厚の二酸化炭素促進輸送膜12を得た。なお、二酸化炭素促進輸送膜12の膜厚は、塗布・乾燥工程を行う回数を増減したり、PETフィルムから剥離したものを重ねたりすることで調整した。
【0078】
図4〜図6に二酸化炭素分離性についての実験結果を表として示す。表中の「温度」は、サンプル透過膜に供給されるテストガスの温度を示す。「供給側全圧」は、サンプル透過膜の供給面側に供給されるテストガスの圧力を示す。「供給側加湿」は、サンプル透過膜の供給面側に供給されるテストガスの相対湿度を示す。「透過側全圧」は、サンプル透過膜の透過面側に供給されるアルゴンガスの圧力を示す。「透過側加湿」は、サンプル透過膜の透過面側に供給されるアルゴンガスの相対湿度を示す。「乾燥厚み」は、二酸化炭素促進輸送膜の乾燥時の厚みを示し、サンプル透過膜の厚みから支持体の厚みを差し引いた厚さである。「二酸化炭素透過度」および「ガス選択性」は、その数値が高いほど二酸化炭素分離性が良好であることを示す。「結果評価」は、二酸化炭素透過度およびガス選択性の両者の総合で決められ、◎は優、○は良、△は可、×は不良であることを示す。なお、◎、○、△、×の結果評価は、表ごとにおいて相対的に決定したものである。
【0079】
図4の表に示す実験結果は、透過側全圧を変化させた場合のものを示している。なお、サンプル透過膜に供給されるテストガスの温度(および供給側全圧)も種々変化させている。図示の如く、テストガスの温度が130℃〜180℃である場合(および供給側全圧が300kPa〜2000kPaである場合)、透過側全圧は150kPa〜1500kPaが好ましく、300kPa〜1000kPaがより好ましい。
【0080】
従って、図1に示す二酸化炭素分離装置10において、原料ガスFGの温度が130℃〜180℃ある場合(および供給側全圧が300kPa〜2000kPaである場合)、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側が150kPa〜1500kPaで加圧されるように背圧を調整することで、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の水分が維持され、二酸化炭素分離性が良好となる。
【0081】
図5の表に示す実験結果は、透過側加湿を変化させた場合のものを示している。図示の如く、透過側加湿は20%RH〜90%RHが好ましく、20%RH〜60%RHがより好ましい。
【0082】
従って、図1に示す二酸化炭素分離装置10において、透過面側に20%RH〜90%RHに加湿されたスイープガスSGを供給することで、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の水分が維持され、二酸化炭素分離性が良好となる。
【0083】
図6の表に示す実験結果は、乾燥厚みを変化させた場合のものを示している。図示の如く、乾燥厚みは50μm〜190μmが好ましく、50μm〜125μmがより好ましい。
【0084】
従って、図1に示す二酸化炭素分離装置10において、二酸化炭素促進輸送膜12の厚さを50μm〜190μmに設定することで、二酸化炭素分離性が良好となる。これは、二酸化炭素促進輸送膜12の膜圧をある程度厚くすることで、溶解拡散機構によって膜中を透過する水素分子の透過性が低下するためである。
【0085】
なお、上記の二酸化炭素分離装置10においては、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側での水の蒸発を抑制する蒸発抑制手段として、背圧調整弁40を採用し、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の背圧を加圧調整することで二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側での水の蒸発を抑制するように構成したが、それ以外にも、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側の温度を低下させることで二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側での水の蒸発を抑制するようにしてもよい。
【0086】
また、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側に水分を供給する水分供給手段として、加湿器30を採用し、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側に供給されるスイープガスSGを加湿することで二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側に水分を供給するように構成したが、それ以外にも、二酸化炭素促進輸送膜12の透過面側に直接的に水蒸気あるいは水滴を供給するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 二酸化炭素分離装置
12 二酸化炭素促進輸送膜
14 供給室
16 透過室
30 加湿器(水分維持手段の一例、水分供給手段の一例)
40 背圧調整弁(水分維持手段の一例、蒸発抑制手段の一例)
FG 原料ガス
FG' 処理ガス
PG 透過ガス
SG スイープガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル膜、水および二酸化炭素キャリアを有し、100℃以上の原料ガスが供給面側に供給され、前記供給面側に供給される原料ガスに含まれる二酸化炭素を選択的に透過面側へ透過させる透過膜と、
前記透過膜の透過面側の水分を維持する水分維持手段と、
を備える二酸化炭素分離装置。
【請求項2】
前記水分維持手段は、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制する蒸発抑制手段を有することで、前記透過膜の透過面側の水分を維持する請求項1に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項3】
前記蒸発抑制手段は、前記透過膜の透過面側が飽和水蒸気圧以上で加圧されるように背圧を調整することで、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制する請求項2に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項4】
前記水分維持手段は、前記透過膜の透過面側に水分を供給する水分供給手段を有することで、前記透過膜の透過面側の水分を維持する請求項1に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項5】
前記水分供給手段は、前記透過膜の透過面側に加湿されたスイープガスを供給することで、前記透過膜の透過面側に水分を供給する請求項4に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項6】
前記供給面側に供給される原料ガスの温度が130℃〜180℃である場合、前記蒸発抑制手段は、前記透過膜の透過面側が150kPa〜1500kPaで加圧されるように背圧を調整することで、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制する請求項2または請求項3に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項7】
前記水分供給手段は、前記透過膜の透過面側に20%RH〜90%RHに加湿されたスイープガスを供給することで、前記透過膜の透過面側に水分を供給する請求項4または請求項5に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項8】
前記透過膜の厚さは、50μm〜190μmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項9】
前記透過膜は、前記二酸化炭素キャリアとして、アルカリ金属炭酸塩あるいはアルカリ金属重炭酸塩あるいはアルカリ金属水酸化物を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項10】
前記透過膜は、さらに添加剤として、窒素含有化合物あるいは硫黄含有化合物を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項11】
前記原料ガスには、水蒸気が含まれている請求項1〜10のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項12】
ゲル膜、水および二酸化炭素キャリアを有し、100℃以上の原料ガスが供給面側に供給され、前記供給面側に供給される原料ガスに含まれる二酸化炭素を選択的に透過面側へ透過させる透過膜を用いて、前記透過膜の透過面側の水分を維持しつつ二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離方法。
【請求項13】
前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制することで、前記透過膜の透過面側の水分を維持する請求項12に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項14】
前記透過膜の透過面側が飽和水蒸気圧以上で加圧されるように背圧を調整することで、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制する請求項13に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項15】
前記透過膜の透過面側に水分を供給することで、前記透過膜の透過面側の水分を維持する請求項12に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項16】
前記透過膜の透過面側に加湿されたスイープガスを供給することで、前記透過膜の透過面側に水分を供給する請求項15に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項17】
前記供給面側に供給される原料ガスの温度が130℃〜180℃である場合、前記透過膜の透過面側が150kPa〜1500kPaで加圧されるように背圧を調整することで、前記透過膜の透過面側の水の蒸発を抑制する請求項13または請求項14に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項18】
前記透過膜の透過面側に20%RH〜90%RHに加湿されたスイープガスを供給することで、前記透過膜の透過面側に水分を供給する請求項15または請求項16に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項19】
前記透過膜の厚さは、50μm〜190μmである請求項12〜18のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項20】
前記透過膜は、前記二酸化炭素キャリアとして、アルカリ金属炭酸塩あるいはアルカリ金属重炭酸塩あるいはアルカリ金属水酸化物を有する請求項12〜19のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項21】
前記透過膜は、さらに添加剤として、窒素含有化合物あるいは硫黄含有化合物を有する請求項12〜20のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離方法。
【請求項22】
前記原料ガスには、水蒸気が含まれている請求項12〜21のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−22581(P2013−22581A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163383(P2011−163383)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】