説明

二酸化炭素回収システム

【課題】本発明の目的は、高濃度の二酸化炭素を得ることを可能とすることにある。
【解決手段】二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの実効二酸化炭素捕捉モル量をa[mol/L]、容器内二酸化炭素捕捉剤の充填率をf[%]、実効二酸化炭素捕捉モル量aを二酸化炭素以外の捕捉量で割った値である二酸化炭素捕捉選択比r[−]、二酸化炭素含有ガスの乾燥二酸化炭素濃度をC[%]、要求される回収二酸化炭素濃度をx[%]、二酸化炭素捕捉剤の温度をT[K]、二酸化炭素捕捉剤の全圧をp[Pa]、気体定数をR[Pa・L/(K・mol)]で表わすとして、利用する二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aに対して、前記の充填率fが正でかつ、100×(p/(RT))×(x−C)/(a×(100+x/r−100×x/(rC)−x)+(p/(RT))×(x−C))で得られる値以上とする二酸化炭素回収システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素捕捉剤を利用した二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化を抑制するために、温室効果ガスとして影響が大きい二酸化炭素(CO2)の排出量削減が求められている。二酸化炭素の排出抑制技術として、特開2001−205045号公報(特許文献1)がある。この公報には、「回収効率が高く、簡単で、省スペースな、排ガスからの連続二酸化炭素除去装置を提供する」と記載されている。しかし、装置内のドラムを回転し続ける必要があり、例えば火力発電所のように排ガス量が多くなると、装置のサイズも併せて非常に大きくなるため、回転ドラム式は不向きである。
【0003】
一方で、二酸化炭素捕捉剤を用いて二酸化炭素含有ガスから濃度90%以上の二酸化炭素を回収するためには、従来技術として、二酸化炭素捕を捕捉した二酸化炭素捕捉剤に高濃度の二酸化炭素を接触させて、二酸化炭素以外の不純物を除去する(二酸化炭素によるパージ)工程を組み込む方法や、捕捉した要求濃度を満たしていない二酸化炭素含有ガスを、再度、二酸化炭素捕捉剤を内包する容器に流通させる方法(特許文献2)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−205045号公報
【特許文献2】特開平08−131767号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「吸着技術ハンドブック」、株式会社NTS、1993年、P18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、二酸化炭素捕捉剤に捕捉した二酸化炭素を回収する際において、高濃度二酸化炭素によるパージ工程や、二酸化炭素捕捉剤を内包する容器に複数回流通させる方法を利用しなくても、濃度90%以上の二酸化炭素を得ることを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、二酸化炭素含有ガスから高濃度の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムであって、二酸化炭素捕捉剤、二酸化炭素捕捉剤を内包する容器、二酸化炭素含有ガスを前記容器に流通させる流路、前記容器に水蒸気を流通させるための流路、前記容器内で二酸化炭素を除去したガスを排出するための流路、前記容器で捕捉した二酸化炭素を排出するための流路、及び前記各流路に設ける遮断弁、及び容器内の複数点における温度測定手段を有し、運転条件下における二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの実効二酸化炭素捕捉モル量をa[mol/L]、前記容器内における二酸化炭素捕捉剤の充填率をf[%]、同じ温度及び分圧条件で測定した実効二酸化炭素捕捉モル量aを二酸化炭素以外の捕捉量で割った値である二酸化炭素捕捉選択比r[−]、二酸化炭素含有ガスの乾燥二酸化炭素濃度をC[%]、要求される回収二酸化炭素濃度をx[%]、二酸化炭素捕捉時における二酸化炭素捕捉剤の温度をT[K]、二酸化炭素捕捉時における二酸化炭素捕捉剤の全圧をp[Pa]、気体定数をR[Pa・L/(K・mol)]で表わすとして、利用する二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aに対して、前記の充填率fを100×(p/(RT))×(x−C)/(a×(100+x/r−100×x/(rC)−x)+(p/(RT))×(x−C))で得られる値以上とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二酸化炭素捕捉剤に捕捉した二酸化炭素を回収する際において、二酸化炭素によるパージ工程や二酸化炭素捕捉剤を内包する容器に複数回流通させる方法を利用しなくても、濃度90%以上の二酸化炭素を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】二酸化炭素回収システムの一部を表わす図である。
【図2】二酸化炭素含有ガスの濃度を50%、回収二酸化炭素濃度を90%としたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【図3】二酸化炭素含有ガスの濃度を10%、回収二酸化炭素濃度を90%としたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【図4】二酸化炭素含有ガスの濃度を50%、回収二酸化炭素濃度を95%としたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【図5】二酸化炭素含有ガスの濃度を10%、回収二酸化炭素濃度を95%としたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【図6】二酸化炭素含有ガスの濃度を50%、回収二酸化炭素濃度を99%としたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【図7】二酸化炭素含有ガスの濃度を10%、回収二酸化炭素濃度を99%としたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【図8】二酸化炭素含有ガスの濃度を10%、回収二酸化炭素濃度を95%、捕捉時の温度を50℃、圧力を101325Paとしたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【図9】二酸化炭素含有ガスの濃度を10%、回収二酸化炭素濃度を95%、捕捉時の温度を50℃、圧力を1013250Paとしたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【図10】二酸化炭素含有ガスの濃度を10%、回収二酸化炭素濃度を95%、捕捉時の温度を600℃、圧力を101325Paとしたときの、満足すべき二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量と充填率の相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明を実施するための形態として、二酸化炭素含有ガスから高濃度の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システム100の例を説明する。図1は二酸化炭素回収システムの構成図の例である。二酸化炭素捕捉剤102を内包する容器101(二酸化炭素捕捉剤を内包する容器)に対して、二酸化炭素含有ガスを流通させる流路103(二酸化炭素含有ガスが流通する流路)を通し、二酸化炭素捕捉剤と接触させることでガス中から二酸化炭素を除去し、流路104(二酸化炭素を除去したガスが流通する流路)を流通して二酸化炭素を除去したガスを大気中に放出する。所定時間が経過し、設定量の二酸化炭素を二酸化炭素捕捉剤に捕捉した後、二酸化炭素捕捉剤及び二酸化炭素捕捉剤を内包する容器内を加熱しながら流路106(キャリアガス流路)よりキャリアガスを流通させることで、二酸化炭素捕捉剤に捕捉された二酸化炭素を脱離させ、流路105(キャリアガスと二酸化炭素捕捉剤より脱離した二酸化炭素が流通する流路)へキャリアガスと二酸化炭素捕捉剤より脱離した二酸化炭素を流通させ、キャリアガスと二酸化炭素の分離手段108を用いることで、流路109(高濃度二酸化炭素を回収する流路)で高濃度の二酸化炭素を回収することができる。二酸化炭素捕捉時と二酸化炭素脱離時は、ガスを流通目的とする経路に流すため、ガスの遮断弁107を設けてガスの流通経路を制御する。前記キャリアガスは、例えば水蒸気、窒素、酸素、ヘリウム、メタノールやエタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類の蒸気等、何を用いてもよいが、二酸化炭素を二酸化炭素捕捉剤より回収した際に、冷却によって二酸化炭素と分離しやすいよう、1気圧において沸点が100±50℃程度のガスが望ましい。このガスとしては、水蒸気、メタノール、エタノール等のアルコール類、及びアセトン等のケトン類などがある。二酸化炭素捕捉剤の形状は、粒状、ハニカム状、板状、発泡金属状等、何を用いても良いが、粒状を用いると充填率を非常に高くすることができるのでより望ましい。また、捕捉した二酸化炭素を脱離させる手段としては、上昇温度を200℃以内で加熱するだけでなく、高濃度の二酸化炭素を回収する流路105に真空ポンプを設けて、容器101内を圧力差15気圧以内で減圧してもよい。例えばキャリアガスと二酸化炭素の分離手段108としては、キャリアガスの沸点以下になるよう冷却、圧縮、もしくはその両方をすることで、キャリアガスのみ液化させて、二酸化炭素と分離する方法などがある。
【0011】
回収する二酸化炭素の濃度は、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量、容器内の二酸化炭素捕捉剤の充填率、及び二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択率によって決定することが可能である。ここで、
運転条件下における二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの実効二酸化炭素捕捉モル量をa[mol/L]
容器内の二酸化炭素捕捉剤の充填率をf[%]
同じ温度及び分圧条件で測定した実効二酸化炭素捕捉モル量aを二酸化炭素以外の捕捉量で割った値である二酸化炭素捕捉選択比r[−]
二酸化炭素含有ガスの乾燥二酸化炭素濃度をC[%]
回収二酸化炭素濃度をx[%]
二酸化炭素捕捉時における二酸化炭素捕捉剤の温度をT[K]
二酸化炭素捕捉時における二酸化炭素捕捉剤の全圧をp[Pa]
気体定数をR[Pa・L/(K・mol)]
容器のサイズをL[L]
とする。ここで、実効二酸化炭素捕捉モル量は、二酸化炭素回収システムの運転時における、二酸化炭素捕捉時と二酸化炭素脱離時の二酸化炭素捕捉剤の捕捉モル量差を意味する。回収二酸化炭素濃度は、二酸化炭素の捕捉する工程が終了した時の容器内の存在するガスモル比によって決定できる。容器内の二酸化炭素モル量は、二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量a×L×(f/100)と、容器内の空隙に存在する気相二酸化炭素モル量(L×(100−f)/100)×C/100×(p/(RT))の和である。一方、容器内のガスモル総量は、前記容器内の二酸化炭素モル量に、二酸化炭素捕捉剤に捕捉されている二酸化炭素以外のガスモル量と、容器内の空隙に存在する気相中の二酸化炭素以外のガスモル量を加えたものである。二酸化炭素捕捉剤には、二酸化炭素以外のガスが、二酸化炭素の分圧の(100−C)/C倍、かつ選択比1/rで捕捉されているため、二酸化炭素以外のガスの捕捉モル量は(a×L×(f/100)×((100−C)/C)×(1/r))となる。また、容器内の空隙に存在する気相中の二酸化炭素以外のガスモル量は、(L×(100−f)/100)×((100−C)/100)×(p/(RT))である。従って、回収二酸化炭素濃度x[%]は以下の式1で定義される。
【0012】
x/100=((af/100)+(100−f/100)×(C/100)×p
/(RT))/(af/100×(rC+100−C)/rC+(100−f)
/100×p/RT) (式1)
回収二酸化炭素濃度を設定値x[%]以上にしたい場合は、以下の式2が条件となる。
【0013】
x/100≦((af/100)+(100−f/100)×(C/100)×p
/(RT))/(af/100×(rC+100−C)/rC+(100−f)
/100×p/(RT)) (式2)
変数であるCやp/RTは二酸化炭素回収システム、要求する回収二酸化炭素濃度x[%]は利用する条件によって変わる。従って、残りの変数である。
【0014】
運転条件下における二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの実効二酸化炭素捕捉モル量をa[mol/L]
容器内の二酸化炭素捕捉剤の充填率をf[%]
同じ温度及び分圧条件で測定した実効二酸化炭素捕捉モル量aを二酸化炭素以外の捕捉量で割った値である二酸化炭素捕捉選択比r[−]
の三つを設計変数とすることができる。
【0015】
この三つの変数のうち、実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤の充填率fに対して解くと、
f≧100×(p/(RT))×(x−C)/(a×(100+x/r−100
×x/(rC)−x)+(p/(RT))×(x−C)) (式3)
a≧(100−f)×(p/(RT))×(x−C)/(f×(100+x/r
−100×x/(rc)−x)) (式4)
を得る。つまり、二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉選択比rを決定すると、要求される回収二酸化炭素濃度xを満たすための充填率条件は式3で得られる。同様に充填率fと二酸化炭素捕捉選択比rを決定すると、要求される回収二酸化炭素濃度xを満たすための実効二酸化炭素捕捉モル量条件として式4が得られる。また、式3、式4ともに正の値が得られるようr、a、f、xを調整する必要があることは明らかである。
【0016】
回収した二酸化炭素は、冷却及び圧縮工程で二酸化炭素以外のガスと分離することが可能ではあるが、冷却及び圧縮工程にかかるコストを削減するために、少なくとも90%以上の高い濃度での回収が望まれている。そこで、要求される回収二酸化炭素濃度x=90%における式を求めると、それぞれ、
f≧100×(p/(RT))×(90−C)/(a×(10+90/r−9000 /(rC))+(p/(RT))×(90−C)) (式5)
a≧(100−f)×(p/(RT))×(90−C)/(f×(10+90/r
−9000/(rc))) (式6)
と表わされる。
【0017】
さらに、二酸化炭素捕捉時の温度を50℃、圧力を大気圧である101325Paとすると、
f≧3.77×(90−C)/(a×(10+90/r−9000/(rC))
+0.0377×(90−C)) (式7)
a≧(100−f)×0.0377×(90−C)/(f×(10+90/r
−9000/(rC))) (式8)
上の二式が得られる。さらに、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が10%以上50%以下の二酸化炭素回収システムを対象とするため、容易な条件である二酸化炭素濃度が50%の場合で考えても、少なくとも充填率fは、
f≧150.8/(a×(10−90/r)+1.508) (式9)
二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉モル量は、
a≧(100−f)×1.508/(f×(10−90/r)) (式10)
を満たす必要がある。なお同時に、式7の右辺が正であるために、rは10以上であることを満たす必要がある。つまり、この条件下では、二酸化炭素捕捉選択比が10以上の二酸化炭素捕捉剤しか利用できないことを示している。また、この要求される二酸化炭素捕捉剤の充填率が高い値となってしまった場合の充填方法としては、例えば球状の場合は一定の粒径の最密充填率は74%であるが、異なる粒径の球状の二酸化炭素捕捉剤を用いることで、74%以上の充填率まで高めることも可能である。
【0018】
二酸化炭素捕捉剤の具体的例として、二酸化炭素以外のガスとして窒素のみの場合、温度24℃、圧力50kPaにおいて、例えばモレキュラーシーブ4Aでは二酸化炭素捕捉選択比rは2.8、クリノプチロライトでは二酸化炭素捕捉選択比rは2.2、モルデナイトでは二酸化炭素捕捉選択比rは1.9である。また温度24度、圧力10kPaにおいては、モレキュラーシーブ4Aでは二酸化炭素捕捉選択比rは8.8、クリノプチロライトでは二酸化炭素捕捉選択比rは4.7、モルデナイトでは二酸化炭素捕捉選択比rは2.3である(非特許文献1)。上記の中では、圧力が10kPaにおけるモレキュラーシーブ4Aが最も二酸化炭素捕捉選択比rは大きいが、この値を用いても圧力が大気圧の101325Pa、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が10%、かつ温度が50℃の条件下では、回収二酸化炭素濃度は50%となり、高濃度に圧縮することはできていない。従って、高濃度の二酸化炭素を得るには、複数段階の二酸化炭素捕捉剤への流通を実施するか、高濃度の二酸化炭素ガスを二酸化炭素捕捉剤に接触させ、二酸化炭素以外のガスを追い出す工程が必要となる。二酸化炭素捕捉選択比rは圧力によって変わる。しかし、二酸化炭素捕捉選択比rは10以上を要求されている。例えばモレキュラーシーブ4Aやクリノプチロライトやモルデナイトのような選択性の低い二酸化炭素捕捉剤を用いた場合、10kPa以下の定圧下でしか二酸化炭素捕捉選択比が10以上の値を得られないものが多い。これらは一般に物理吸着を生じる二酸化炭素捕捉剤といわれている。一方、圧力が50kPa以下で二酸化炭素捕捉選択比が10を超えるものとして、二酸化炭素と化学反応により安定な捕捉状態を維持する化学吸着剤などがある。例としては、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Ti、Rb、Sr、Y、Zr、Cs、Ba、Fr、Ra、及びランタノイド元素を少なくとも一種類以上含む酸化物などがある。特に、Al、Ti、Zr、Ceを含む酸化物は、二酸化炭素との反応性も高く二酸化炭素捕捉選択比が100以上となること、及び重量当たりの面積も大きいことから、本発明の二酸化炭素回収システム向け二酸化炭素捕捉剤として有効である。
【0019】
以下、実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
二酸化炭素回収システムの運用例を説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が90%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで50%、二酸化炭素捕捉時の圧力が101325Pa、温度が50℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図2に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは50、15、及び10について式3及び式4を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが50の時は充填率が8.4%、rが15の時は充填率15.9%、rが10の時は充填率が43.0%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが50の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が0.18mol/L、rが15の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が0.37mol/L、rが10の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が1.5mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0021】
〔比較例1〕
比較例として、二酸化炭素捕捉選択比rが10、充填率が20%とした時、式4で指定した範囲外である、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lの二酸化炭素捕捉剤を使用したとすると、式2を用いて回収二酸化炭素濃度を計算すると88.2%となり、要求される回収二酸化炭素濃度である90%未満となった。従って、式4で指定した範囲外の実効二酸化炭素捕捉モル量の二酸化炭素捕捉剤を使用すると、要求される二酸化炭素濃度まで回収した二酸化炭素濃度を上げるために、二酸化炭素捕捉後に二酸化炭素ガスによって不純物ガスをパージする工程や、複数段階の二酸化炭素捕捉及び回収を繰り返す方法など、別の方法を加えなくてはならないため、運転コストと設備コストが余分に必要となり望ましくない。
【0022】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを9以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が90%を超えることはできなかった。
【0023】
この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が50%という高濃度な条件であっても、回収二酸化炭素濃度が90%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は10以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【実施例2】
【0024】
本実施例では、二酸化炭素濃度がドライベースで10%の場合について説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が90%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで10%、二酸化炭素捕捉時の圧力が101325Pa、温度が50℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図3に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは150、90、及び82について式3及び式4を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが150の時は充填率が24.7%、rが90の時は充填率60.1%、rが82の時は充填率が92.5%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが150の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が0.65mol/L、rが90の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が3.01mol/L、rが82の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が24.7mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0025】
〔比較例2〕
比較例として、二酸化炭素捕捉選択比rが90、充填率が40%とした時、式4で指定した範囲外である、実効二酸化炭素捕捉モル量が2.5mol/Lの二酸化炭素捕捉剤を使用したとすると、式2を用いて回収二酸化炭素濃度を計算すると52.1%となり、要求される回収二酸化炭素濃度である90%未満となった。従って、式4で指定した範囲外の実効二酸化炭素捕捉モル量の二酸化炭素捕捉剤を使用すると、要求される二酸化炭素濃度まで回収した二酸化炭素濃度を上げるために、二酸化炭素捕捉後に二酸化炭素ガスによって不純物ガスをパージする工程や、複数段階の二酸化炭素捕捉及び回収を繰り返す方法など、別の方法を加えなくてはならないため、運転コストと設備コストが余分に必要となり望ましくない。
【0026】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを81以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が90%を超えることはできなかった。この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が10%という低濃度な条件であれば、回収二酸化炭素濃度が90%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は82以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【実施例3】
【0027】
本実施例では、要求二酸化炭素濃度を95%、二酸化炭素濃度がドライベースで50%の場合について説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が95%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで50%、二酸化炭素捕捉時の圧力が101325Pa、温度が50℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図4に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは100、25、及び20について式5及び式6を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが100の時は充填率が17.3%、rが25の時は充填率41.4%、rが20の時は充填率が77.2%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが100の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が0.42mol/L、rが25の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が1.42mol/L、rが20の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が6.79mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0028】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを19以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が95%を超えることはできなかった。この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が50%という高濃度な条件であっても、回収二酸化炭素濃度が95%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は20以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【実施例4】
【0029】
本実施例では、要求二酸化炭素濃度を95%、二酸化炭素濃度がドライベースで10%の場合について説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が95%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで10%、二酸化炭素捕捉時の圧力が101325Pa、温度が50℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図5に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは500、200、及び172について式7及び式8を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが500の時は充填率が32.8%、rが200の時は充填率68.9%、rが172の時は充填率が98.2%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが500の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が0.98mol/L、rが200の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が4.43mol/L、rが172の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が111mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0030】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを171以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が95%を超えることはできなかった。この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が10%という低濃度な条件であれば、回収二酸化炭素濃度が95%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は172以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【実施例5】
【0031】
本実施例では、要求二酸化炭素濃度を99%、二酸化炭素濃度がドライベースで50%の場合について説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が99%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで50%、二酸化炭素捕捉時の圧力が101325Pa、温度が50℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図6に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは1009、150、及び100について式9及び式10を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが1000の時は充填率が50.6%、rが150の時は充填率73.1%、rが100の時は充填率が98.9%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが1000の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が2.06mol/L、rが150の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が5.44mol/L、rが100の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が185mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0032】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを99以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が99%を超えることはできなかった。この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が50%という高濃度な条件であっても、回収二酸化炭素濃度が99%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は100以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【実施例6】
【0033】
本実施例では、要求二酸化炭素濃度を99%、二酸化炭素濃度がドライベースで10%の場合について説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が99%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで10%、二酸化炭素捕捉時の圧力が101325Pa、温度が50℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図7に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは5000、1000、及び900について式3及び式4を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが5000の時は充填率が67.1%、rが1000の時は充填率93.9%、rが900の時は充填率が99.4%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが5000の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が4.09mol/L、rが1000の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が30.8mol/L、rが900の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が336mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0034】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを891以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が99%を超えることはできなかった。この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が10%という低濃度な条件であれば、回収二酸化炭素濃度が99%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は892以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【実施例7】
【0035】
本実施例では、要求二酸化炭素濃度を95%、二酸化炭素濃度がドライベースで10%の場合について説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が95%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで10%、二酸化炭素捕捉時の圧力が101325Pa、温度が50℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図8に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは500、200、及び180について式3及び式4を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが500の時は充填率が32.8%、rが200の時は充填率68.9%、rが180の時は充填率が86.5%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが500の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が0.98mol/L、rが200の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が4.43mol/L、rが180の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が12.8mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0036】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを171以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が95%を超えることはできなかった。この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が15%という条件であれば、回収二酸化炭素濃度が95%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は172以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【実施例8】
【0037】
本実施例では、二酸化炭素捕捉時の圧力が大気圧の10倍である1013250Pa、要求二酸化炭素濃度を95%、二酸化炭素濃度がドライベースで10%の場合について説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が95%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで10%、二酸化炭素捕捉時の圧力が1013250Pa、温度が50℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図9に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは500、200、及び180について式3及び式4を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが500の時は充填率が83.0%、rが200の時は充填率95.7%、rが180の時は充填率が98.5%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが500の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が9.74mol/L、rが200の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が44.2mol/L、rが180の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が128mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0038】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを171以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が95%を超えることはできなかった。この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が15%という条件であれば、回収二酸化炭素濃度が95%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は172以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【実施例9】
【0039】
本実施例では、二酸化炭素捕捉時の温度が600℃、圧力は大気圧の101325Pa、要求二酸化炭素濃度を95%、二酸化炭素濃度がドライベースで10%の場合について説明する。要求する回収二酸化炭素濃度が95%、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライベースで10%、二酸化炭素捕捉時の圧力が101325Pa、温度が600℃の条件で二酸化炭素回収システムを運用する場合における、要求される二酸化炭素捕捉剤の実効二酸化炭素捕捉モル量aと二酸化炭素捕捉剤充填率fの関係を式2から算出し図10に示す。二酸化炭素捕捉選択比rは500、200、及び180について式3及び式4を用いて計算した。例えば、実効二酸化炭素捕捉モル量が2mol/Lである二酸化炭素捕捉剤を利用する場合、二酸化炭素捕捉選択比rが500の時は充填率が15.3%、rが200の時は充填率45.0%、rが180の時は充填率が70.4%以上必要とすることがわかる。また、例えば充填率を50%と固定した場合、rが500の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が0.37mol/L、rが200の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が1.64mol/L、rが180の時は要求される実効二酸化炭素捕捉モル量が4.75mol/L以上となることがわかる。以上のように充填率及び実効二酸化炭素捕捉モル量を設定すれば、要求される回収二酸化炭素濃度を満たす二酸化炭素回収システムの設計が可能となる。
【0040】
なお、二酸化炭素捕捉選択比rを171以下とした場合は、充填率を99%としても回収二酸化炭素濃度が95%を超えることはできなかった。この結果から、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度が15%という条件であれば、回収二酸化炭素濃度が95%以上とするためには、二酸化炭素捕捉剤の二酸化炭素捕捉選択比は172以上であることが要求される。また、二酸化炭素捕捉選択比が高くなる程、実効二酸化炭素捕捉モル量と充填率は共に小さくすることが可能になることがわかる。
【0041】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成や条件を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成や条件の一部を他の実施例の構成や条件に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成や条件に他の実施例の構成や条件を加えることも可能である。また、各実施例の構成や条件の一部について、他の構成や条件の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
100 二酸化炭素回収システム
101 容器
102 二酸化炭素捕捉剤
103、104、105、106、109 流路
107 ガスの遮断弁
108 キャリアガスと二酸化炭素の分離手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素含有ガスから高濃度の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収システムであって、二酸化炭素捕捉剤、二酸化炭素捕捉剤を内包する容器、二酸化炭素含有ガスを前記容器に流通させる流路、前記容器に水蒸気を流通させるための流路、前記容器内で二酸化炭素を除去したガスを排出するための流路、前記容器で捕捉した二酸化炭素を排出するための流路、及び前記各流路に設ける遮断弁、及び容器内の複数点における温度測定手段を有し、運転条件下における二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの実効二酸化炭素捕捉モル量をa[mol/L]、前記容器内における二酸化炭素捕捉剤の充填率をf[%]、同じ温度及び分圧条件で測定した実効二酸化炭素捕捉モル量aを二酸化炭素以外の捕捉量で割った値である二酸化炭素捕捉選択比r[−]、二酸化炭素含有ガスの乾燥二酸化炭素濃度をC[%]、要求される回収二酸化炭素濃度をx[%]、二酸化炭素捕捉時における二酸化炭素捕捉剤の温度をT[K]、二酸化炭素捕捉時における二酸化炭素捕捉剤の全圧をp[Pa]、気体定数をR[Pa・L/(K・mol)]で表わすとして、採用する充填率をfに対して、前記の二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの実効二酸化炭素捕捉モル量aが正でかつ、(100−f)×(p/(RT))×(x−C)/(f×(100+x/r−100×x/(rc)−x))で得られる値以上の二酸化炭素捕捉剤を利用することを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
請求項1の二酸化炭素回収システムであって、要求される回収二酸化炭素濃度xを90%とし、採用する充填率をfに対して、二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの実効二酸化炭素捕捉モル量aが正でかつ、(100−f)×(p/(RT))×(x−C)/(f×(10+90/r−9000/(rC)))で得られる値以上の二酸化炭素捕捉剤を利用することを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
請求項2の二酸化炭素回収システムであって、採用する充填率をfに対して、二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの捕捉モル量aが正でかつ、(100−f)×0.0377×(90−C)/(f×(10+90/r−9000/(rC)))で得られる値以上の二酸化炭素捕捉剤を利用することを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
請求項3の二酸化炭素回収システムであって、二酸化炭素含有ガスの二酸化炭素濃度がドライガス換算で10〜50%の範囲にある二酸化炭素含有ガスを対象とした二酸化炭素回収システムにおいて、利用する二酸化炭素捕捉剤の捕捉選択比rが10以上でかつ、採用する充填率をfに対して、二酸化炭素捕捉剤1リットル当たりの捕捉モル量aが(100−f)×1.508/(f×(10−90/r))で得られる値以上の二酸化炭素捕捉剤を利用することを特徴とする二酸化炭素回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−59704(P2013−59704A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197836(P2011−197836)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】