説明

二重トリミングシャー

位置不動の下部カッタと昇降可能に駆動される上部カッタとを有し、上部カッタが、キャリッジガイド(10)によってガイドされた上部カッタキャリッジ(12)に配設されており、キャリッジガイド(10)をガイドするために、第1の偏心軸(14)と第2の偏心軸(16)がキャリッジガイド(10)に設けられている、二重トリミングシャーにおいて、第1の偏心軸(14)と第2の偏心軸(16)を、シンクロ手段(18)を介して互いに結合することによって、上部カッタキャリッジの傾斜状態を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置不動の下部カッタと昇降可能に駆動される上部カッタとを有し、上部カッタが、キャリッジガイドによってガイドされた上部カッタキャリッジに配設されており、キャリッジガイドをガイドするために、第1の偏心軸と第2の偏心軸がキャリッジガイドに設けられている、二重トリミングシャーに関する。
【背景技術】
【0002】
二重トリミングシャーは、通常、金属板をその最終幅にトリミングするために使用される。二重トリミングシャーは、大抵、クランクシャフトを介して駆動されるが、このクランクシャフトは、切断運動に関して可変に調整可能ではない。上部カッタキャリッジのキャリッジガイドは、上部領域及び下部領域で、それぞれ偏心軸に固定されている。下部領域では、偏心軸は、通常、連接棒によって支承されている。上部領域に設けられた偏心軸により、上部カッタキャリッジのガイドは、高さを調整することができる。連接棒による下部領域での偏心軸の連結は、キャリッジガイドの水平方向の調整を生じさせる。上部カッタキャリッジのキャリッジガイドが、下部領域で、上部領域から分離されて連接棒を介して調整されると、これは、上部カッタキャリッジの不所望の傾斜状態を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の根底にある課題は、上部カッタキャリッジの傾斜状態を回避することができる二重トリミングシャーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題の解決は、本発明によれば、請求項1の特徴によって行なわれる。発明の有利な形成は、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明による二重トリミングシャーは、位置不動の下部カッタと昇降可能に駆動される上部カッタとを備え、上部カッタは、キャリッジガイドによってガイドされた上部カッタキャリッジに配設されており、キャリッジガイドをガイドするために、第1の偏心軸と第2の偏心軸がキャリッジガイドに設けられている。本発明は、第1の偏心軸と第2の偏心軸が、シンクロ手段を介して互いに結合されていることによって際立っている。
【0006】
本発明により、連接棒が偏心軸の一方に設けられているのではなく、偏心軸がシンクロ手段を介して互いに結合されており、これにより、偏心軸が、互いにシンクロされた運動を実施する(できる)ことにより、板材のトリミングをするために適したカッタ隙間の調整を可能にする、横方向又は水平方向の上部カッタキャリッジもしくは上部カッタキャリッジのキャリッジガイドの平行な調整が保証されている。上部カッタキャリッジもしくはキャリッジガイドの傾斜状態は、これにより防止される。
【0007】
本発明の有利な形成によれば、シンクロ手段が、高剛性のロッドとして形成されている。シンクロ手段が、曲げ可能でない高剛性のロッドとして形成されていることにより、第1及び第2の偏心軸の互いの正確な平行ガイドもしくは調整運動が可能であり、同時に、高剛性のシンクロ手段を介して、両偏心軸に加えられる圧力が、均等に両偏心軸に分配される。
【0008】
更に、好ましいことに、シンクロ手段が、回転可能に第1の偏心軸に支承され、回転可能に第2の偏心軸に支承されている。両偏心軸にシンクロ手段を回転可能に支承することにより、シンクロ手段は、偏心軸の運動に追従し、これら運動を、互いに適切に同調し、一方の偏心軸の運動を、それぞれ他方の偏心軸に伝達することができる。
【0009】
第1の偏心軸は、好ましいことに、キャリッジガイドの第1の端部に配設され、第2の偏心軸は、好ましいことに、第1の端部と向かい合う、キャリッジガイドの第2の端部に配設されている。この場合、第1の偏心軸と第2の偏心軸は、特に、上部カッタの切断方向に第1の端部と第2の端部に配設されている。それぞれ1つの端部に1つの偏心軸が設けられていることにより、切断方向に沿ったキャリッジガイドもしくは上部カッタの均等なガイドと運動が可能であり、これにより、横方向又は水平方向のキャリッジガイドの特に最適化された平行な調整が、切断方向に沿って達成可能である。これにより、上部カッタキャリッジの垂直なガイド及び配置による改善された切断品質が、カッタ隙間調整の全領域で達成可能である。
【0010】
更に、第1の偏心軸と第2の偏心軸は、有利なことに、上部カッタの切断方向にキャリッジガイドに沿って相前後して互いに位置ズレしているように配設されている。第1の偏心軸と第2の偏心軸が、上部カッタの切断方向にキャリッジガイドに沿って相前後して互いに位置ズレしているように配設されていることにより、キャリッジガイドの最適な調整が得られる。これにより、可能な傾斜状態は、良好に補正することができる。この場合、互いに位置ずれしてとのことは、第1の偏心軸が、特に、上部カッタキャリッジに対する第2の偏心軸よりも小さい間隔を、上部カッタキャリッジに対して備えるように、第1の偏心軸と第2の偏心軸がキャリッジガイドに配設されていることを意味する。
【0011】
更に、本発明は、前記のように形成及び発展させた二重トリミングシャーを有するシャーラインに関する。
【0012】
以下で、好ましい実施形による添付図に関係させて、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の位置にある本発明による二重トリミングシャーの概略断面図
【図2】第2の位置にある本発明による二重トリミングシャーの概略断面図
【図3】第3の位置にある本発明による二重トリミングシャーの概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜3に、本発明による二重トリミングシャーが、異なった位置で示されている。二重トリミングシャーは、位置不動の下部カッタと昇降可能に駆動される上部カッタとを備えるが、ここには示されておらず、上部カッタは、キャリッジガイド10によってガイドされた上部カッタキャリッジ12に配設されている。キャリッジガイド10をガイドするため、キャリッジガイド10に、第1の偏心軸14と第2の偏心軸16が設けられており、第1の偏心軸14と第2の偏心軸16は、シンクロ手段18を介して互いに結合されている。これにより、第1の偏心軸14と第2の偏心軸16は、互いにシンクロされた運動を行ない、これにより、カッタ隙間、特に上部カッタのカッタ隙間を調整するための水平方向又は横方向の上部カッタキャリッジ12の平行な調整を行なうことができる。
【0015】
シンクロ手段18は、高剛性のロッドの形態で形成されており、このロッドが、回転可能に第1の偏心軸14と第2の偏心軸16に支承されており、これは、ここには示してない、偏心軸14,16もしくはシンクロ手段18の異なった回転位置に基づいた図1〜3によって識別可能である。
【0016】
第1の偏心軸14は、キャリッジガイド10の第1の端部20に配設され、第2の偏心軸16は、第1の端部20と向かい合う、キャリッジガイド10の第2の端部22に配設されている。この場合、第1の偏心軸14と第2の偏心軸16は、上部カッタの切断方向24にキャリッジガイド10に沿って相前後して互いに位置ズレしているように配設されており、横方向又は水平方向の上部カッタキャリッジ12に対する第1の偏心軸14の間隔は、横方向又は水平方向の上部カッタキャリッジ12に対する第2の偏心軸16の間隔よりも小さい。
【符号の説明】
【0017】
10 キャリッジガイド
12 上部カッタキャリッジ
14 第1の偏心軸
16 第2の偏心軸
18 シンクロ手段
20 キャリッジガイドの第1の端部
22 キャリッジガイドの第2の端部
24 切断方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置不動の下部カッタと昇降可能に駆動される上部カッタとを有し、上部カッタが、キャリッジガイド(10)によってガイドされた上部カッタキャリッジ(12)に配設されており、キャリッジガイド(10)をガイドするために、第1の偏心軸(14)と第2の偏心軸(16)がキャリッジガイド(10)に設けられている、二重トリミングシャーにおいて、
第1の偏心軸(14)と第2の偏心軸(16)が、シンクロ手段(18)を介して互いに結合されていることを特徴とする二重トリミングシャー。
【請求項2】
シンクロ手段(18)が、高剛性のロッドとして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の二重トリミングシャー。
【請求項3】
シンクロ手段(18)が、回転可能に第1の偏心軸(14)に支承され、回転可能に第2の偏心軸(16)に支承されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二重トリミングシャー。
【請求項4】
第1の偏心軸(14)が、キャリッジガイド(10)の第1の端部(20)に配設され、第2の偏心軸(16)が、第1の端部(20)と向かい合う、キャリッジガイド(10)の第2の端部(22)に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の二重トリミングシャー。
【請求項5】
第1の偏心軸(14)と第2の偏心軸(16)が、上部カッタの切断方向(24)にキャリッジガイド(10)に沿って相前後して互いに位置ズレしているように配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の二重トリミングシャー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の二重トリミングシャーを有するシャーライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−514896(P2013−514896A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545202(P2012−545202)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068935
【国際公開番号】WO2011/076548
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】