説明

二重ヘテロ構造の発光領域を有するIII族窒化物発光デバイス

【課題】高電流密度において高効率を有するIII族窒化物半導体発光デバイスを開発する。
【解決手段】III族発光層は、n型領域とp型領域との間に配置される。発光層はドープされた厚い層である。幾つかの実施形態において、発光層は2つのドープされたスペーサ層の間に挟まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光デバイスの発光領域に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LEDs)、共振空洞型発光ダイオード(RCLEDs)、垂直空洞型レーザ・ダイオード(VCSELs)、及び、エッジ発光型レーザを含む半導体発光デバイスは、現在入手可能な最も効率の良い光源の部類に入る。可視スペクトルの全域で動作可能な高輝度発光デバイスを製造する上で、最近の興味ある材料系には、III−V族半導体、特に、III族窒化物材料とも呼ばれる、ガリウム、アルミニウム、インジウム、及び窒素の2成分、3成分、及び4成分合金がある。通常、III族窒化物発光デバイスは、有機金属化学気相堆積法(MOCVD)、分子線エピタキシ法(MBE)、又は他のエピタキシャル法を用いて、サファイア、シリコン・カーバイド、III族窒化物、又は他の適切な基板上に、種々の組成とドーパント濃度をもった多くの半導体層をエピタキシャルに成長させることによって製造される。その積層体は、基板上に形成され、例えばSiでドープされた1つ又はそれ以上のn型層と、そのn型層上に形成された発光又は活性領域と、活性領域上に形成され、例えばMgでドープされた1つ又はそれ以上のp型層とを含むことが多い。導電性基板上に形成されるIII族窒化物デバイスは、デバイスの両側に形成されたp及びnコンタクトを有することができる。III族窒化物デバイスは、サファイアなどの絶縁性基板上に、両方のコンタクトをデバイスの同じ側に有するように製造されることが多い。こうしたデバイスは、コンタクトを通して(エピタキシ・アップ型デバイスとして知られる)、又は該コンタクトとは反対側のデバイス表面を通して(フリップ・チップ型デバイスとして知られる)光を取り出すように実装される。
【0003】
米国特許第5,747,832号には、「発光窒化ガリウム・ベースの二重ヘテロ構造を有する化合物半導体デバイス」が教示されている。この二重ヘテロ構造体は、「p型及び/又はn型不純物でドープされた低抵抗率のInxGa1-xN(0<x<1)化合物半導体から形成された発光層」を含む。米国特許第5,747,832号の要約を参照されたい。特に、第5欄45〜50行には、「本発明においては、発光層18は、本発明の発光デバイスが90%又はそれ以上の実際の相対光強度を与えるような範囲内の厚さを有することが好ましい。より具体的には、発光層18は好ましくは10Åから0.5μmまでの、より好ましくは0.01から0.2μmまでの厚さを有する」ことが記載されている。第10欄44〜49行には、「第3の実施形態においては、発光層18のInxGa1-xNにドープされるn型不純物はシリコン(Si)であることが好ましい。n型不純物の濃度は、発光特性の観点から、好ましくは1×1017/cm3から1×1021/cm3まで、より好ましくは1×1018/cm3から1×1020/cm3までである」ことが教示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
InGaN発光層を有する市販のIII族窒化物デバイスは、50Åより薄く、典型的には約1×1018cm-3より少なくドープされている複数の量子井戸発光層を有することが多いが、その理由は、これらの量子井戸設計が、特に低駆動電流において、低品質エピタキシャル材料の性能を改善できるからである。照明のために望ましい高駆動電流においては、こうしたデバイスは、電流密度が増加するにつれて効率が低下してしまう。
当該技術分野において必要とされるのは、高電流密度において高効率を示すデバイスである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、III族窒化物発光層がn型領域とp型領域との間に配置される。この発光層は、6×1018cm-3と5×1019cm-3の間のドーパント濃度にドープされ、50Åと250Åの間の厚さを有する。幾つかの実施形態においては、発光層は2つのn型スペーサ層の間に挟まれ、それらに直接接触し、また、このスペーサ層の1つ又は両方は、6×1018cm-3と5×1019cm-3の間のドーパント濃度にドープされる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】III族窒化物発光デバイスを示す。
【図2】図1に示されるようなデバイス、及び本発明の実施形態によるデバイスに関する、電流密度の関数としての外部量子効率のプロットである。
【図3】本発明の実施形態によるIII族窒化物発光デバイスを示す。
【図4】幾つかのInGaN膜についての、シリコン・ドーピング・レベルの関数としての減衰時間のプロットである。
【図5】大型接合フリップ・チップ発光デバイスの平面図である。
【図6】大型接合フリップ・チップ発光デバイスの断面図である。
【図7】薄層発光デバイスを示す。
【図8】パッケージされた発光デバイスの分解図である。
【図9A】450nmにおいて光を放射する本発明の実施形態によるデバイスに関して、発光層、並びに、第1及び第2のスペーサ層中のシリコン・ドーピング・レベルの関数として相対内部量子効率を示す。
【図9B】400nmにおいて光を放射する本発明の実施形態によるデバイスに関して、発光層、並びに、第1及び第2のスペーサ層中のシリコン・ドーピング・レベルの関数として相対内部量子効率を示す。
【図10】幾つかのデバイスについて、発光層の厚さの関数として相対内部量子効率を示す。
【図11】幾つかの模擬デバイスについて、ブロッキング層の組成の関数として注入効率及び内部量子効率を示す。
【図12】実際のデバイスで測定された、ブロッキング層の組成の関数としての相対内部量子効率を示す。
【図13A】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13B】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13C】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13D】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13E】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13F】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13G】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13H】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13I】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13J】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【図13K】発光領域内に組成勾配をもつデバイスの伝導帯の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、一般的なIII族窒化物発光デバイスを示す。n型領域11はサファイア基板10の上に成長させる。障壁層によって隔てられた複数の薄い量子井戸層を含む活性領域12は、n型領域11の上に成長させ、続いてGaNスペーサ層13、p型AlGaN層14、及びp型コンタクト層15を成長させる。
【0008】
図2は、図1のようなデバイス(図2では三角)、及び本発明の実施形態によるデバイス(図2では円)の外部量子効率を示す。外部量子効率は、生成された光子のフラックスを供給されたキャリアのフラックスで割ったものとして定義される内部量子効率に、取り出し効率を掛けたものである。所定のランプ設計では、取り出し効率は一定であるので、取り出し効率は図2に示す両方のデバイスに対して同じである。図1のデバイスに加えられる電流密度が増加するにつれて、図2に示されるように、デバイスの外部量子効率は初め増加し、次いで減少する。電流密度がゼロを超えて増加すると、外部量子効率は増加し、約10A/cm2の電流密度においてピークに達する。10A/cm2を超えて電流密度が増加すると、外部量子効率は急速に低下し、次いで高電流密度では、例えば200A/cm2を超えると外部量子効率の減少が遅くなる。本発明の実施形態は、高電流密度における量子効率の低下を減らす又は逆向きにするように設計されている。
【0009】
本発明の実施形態によれば、III族窒化物発光デバイスは、高濃度にドープされた厚い二重ヘテロ構造の発光領域を有する。以下の実施形態においては、発光層がSiでドープされたn型であるデバイスを説明するが、他の実施形態において、p型ドーパント種を含む他のドーパント種が使用可能であることを理解されたい。厚い二重ヘテロ構造の発光領域は、電荷キャリア密度を減少させることができ、また、発光領域内及びその隣接位置へのドーピングは、発光領域の材質を改善できるので、それら両方が、非放射再結合によるキャリアの損失数を減少させることができる。本発明の実施形態は、図1のデバイスに関して図2に見られる高電流密度での量子効率の低下を減らす又は逆向きするように設計されている。
【0010】
図3は、本発明の実施形態による発光デバイスを示す。発光領域35は、n型領域31とp型領域39の間に挟まれている。発光領域35は、n型領域31及びp型領域39から、随意的な第1及び第2のスペーサ層33及び37によって隔てることができる。このデバイスは、n型領域31と第1のスペーサ層33との間に配置される随意的な準備層32、及び/又は、第2のスペーサ層37とp型領域39との間に配置される随意的なブロッキング層38を含むことができる。
【0011】
障壁層によって隔てられる薄い量子井戸層ではなく、発光領域35は、1つ又はそれ以上の厚い、例えば50オングストロームよりも厚い発光層を含むことができる。幾つかの実施形態においては、発光層領域35は、50と600オングストロームの間の、より好ましくは100と250オングストロームの間の厚さを有する単一の厚い発光層を含む。厚さの上限は現在の成長技術によるが、その成長技術は、発光層の厚さが600オングストロームを超えて増加すると、例えば1000オングストロームを超える厚さでは低材質をもたらしてしまう。低材質は、典型的には内部量子効率を低下させる。成長技術が改善されると、内部量子効率を減少させることなく、より厚い発光層をもつデバイスの成長が可能となるので、本発明の実施形態の範囲内となる。
【0012】
最適な厚さは発光層内の欠陥の数に依存する可能性がある。一般に欠陥の数が増大するにつれて、発光層の最適な厚さは減少する。さらに、欠陥は非放射再結合の中心になり得るので、欠陥の数はできる限り少なくすることが望ましい。今述べているIII族窒化物材料内の欠陥は、貫通転位である。貫通転位の濃度は単位面積あたりで測定される。発光領域中の貫通転位の濃度は、好ましくは109cm-2未満に制限され、より好ましくは108cm-2未満に制限され、より好ましくは107cm-2未満に制限され、より好ましくは106cm-2未満に制限される。上述の貫通転位濃度を達成するには、エピタキシャル横方向過成長法、水素化物気相エピタキシ法、及び独立Ga基板上の成長、などの成長技術を必要とすることがある。エピタキシャル横方向過成長法は、サファイアなどの普通の成長基板上に成長させたGaN層の上に形成されるマスク層の開口部上でのGaNの選択的成長を含む。選択的に成長させたGaNの融合が、成長基板全体を覆う平坦なGaN表面の成長を可能にすることができる。選択的に成長させたGaN層の後に成長させる層は低欠陥密度にすることができる。エピタキシャル横方向過成長は、Mukai他による「エピタキシャル横方向過成長のGaN基板上に成長させた紫外InGaN及びGaN単一量子井戸構造の発光ダイオード」(Jpn.J.Appl.Phys.第38巻(1999)、5735頁)により詳細に記載されており、この論文は引用によりここに組み入れられる。独立GaN基板の水素化物気相エピタキシャル成長法は、Motoki他による「出発基板としてGaAsを用いる水素化物気相エピタキシ成長による大型独立GaN基板の作成」(Jpn.J.Appl.Phys.第40巻(2001)、L140頁)により詳細に記載されており、この論文は引用によりここに組み入れられる。
【0013】
厚いことに加えて、発光領域35の発光層は、ドープされており、例えばSiでドープされたn型である。幾つかの実施形態においては、Siがドーパントとして使用されるが、その理由は、Siは、デバイスからの光取出しを改善し、又は発光層の歪を緩和することのできる粗表面など、他の改善を材料に与えることができるからである。図4は、幾つかのInGaN膜に関して、シリコン・ドーピング・レベルの関数として減衰時間をプロットしたものである。図4に示されるデータを収集するために、示されたレベルにドープされたInGaN膜を、レーザを用いて低い励起強度において調べた。キャリアの寿命、即ち、キャリアが欠陥によって消尽される迄の時間の長さを測定した。より長い寿命は、より良い膜材質を示し、より短い寿命はより悪い材質を示す。図4に示されるように、6×1018と2×1019cm-3の間にドープされたInGaN膜は、最長の寿命を有し、非放射再結合がこれらの膜中で最も遅いことを示す。図4は、非放射再結合の速度が、発光層中のSiドーピング・レベルによって影響され得ることを示す。
【0014】
図9Aは、約450nmのピーク波長において光を放射する厚さ96オングストロームのIn0.16Ga0.84N発光層を有するデバイスに関して、シリコン・ドーピング・レベルの関数として330A/cm2における内部量子効率を示す。図9Bは、約400nmのピーク波長において光を放射する厚さ96オングストロームのIn0.08Ga0.92N発光層を有するデバイスに関して、シリコン・ドーピング・レベルの関数として330A/cm2における内部量子効率を示す。図4におけると同様に、図9A及び図9Bは、約6×1018と3×1019cm-3の間のシリコン・ドーピング・レベルをもつInGaN発光層を備えたデバイスが、最高の内部量子効率を有することを示す。特に図9Aは、約450nmのピーク波長において光を放射するデバイスに関して、330A/cm2における内部量子効率のピークは約2×1019cm-3に在ることを示す。図9Bは、約400nmのピーク波長において光を放射するデバイスに関して、内部量子効率のピークは約8×1018cm-3に在ることを示す。発光層のドーピング・レベルが6×1018cm-3未満にまで低下するか、又は3×1019cm-3を超えて増加すると、内部量子効率は低下する。シリコン・ドーピング・レベルが3×1019cm-3を超えて増加すると、材質が劣化する。
【0015】
図2の円は、本発明の実施形態によるデバイスに関して、外部量子効率を電流密度の関数として示す。図2の円によって示されるデバイスにおいては、厚さ130オングストロームのIn0.12Ga0.88N発光層は、1019cm-3の濃度にSiでドープされている。このデバイスは約430nmにおいて光を放射する。図2において三角で示される図1のデバイスとは対照的に、本発明の実施形態によるデバイスでは、外部量子効率が電流密度の増加に伴って改善され、次いで約250A/cm2の電流密度において約26%の外部量子効率で一定となる。同じ電流密度では、図1のデバイスの外部量子効率は約18%にすぎず、電流密度が増加するにつれて低下する。
【0016】
幾つかの実施形態においては、デバイスの性能は、図10に示されるように、本発明の実施形態による最適な厚さ及び本発明の実施形態による最適なシリコン・ドーピング・レベルが共に実現される場合にのみ有意なほどに改善されるが、ここで図10は、幾つかのデバイスに関して、発光層の厚さの関数として330A/cm2における内部量子効率をプロットしたものである。図10のダイヤモンド形は、1.5×109cm-2の貫通転位密度を有し、上記の最適なシリコン・ドーピング範囲より低いドーピング・レベルである1018cm-3にまでドープされた発光層をもつデバイスを示す。図10の四角は、4×108cm-2の貫通転位密度を有し、上記の最適なシリコン・ドーピング範囲内のドーピング・レベルである1019cm-3までドープされた発光層をもつデバイスを示す。
【0017】
図10のダイヤモンド形によって示されるように、上記の最適なドーピング・レベルより低くドープされた発光層に関しては、内部量子効率は、発光層の厚さが上記の最適な厚さの範囲へと増加するにつれて低下する。例えば、1018cm-3にドープされた発光層を有するデバイスの内部量子効率は、50オングストローム未満の発光層の厚さでのピークから、約130Åの発光層の厚さでのゼロまで低下する。対照的に、図10中の四角で示されるように、上記の最適なドーピング・レベルでは、約80オングストロームと約230オングストロームの間の発光層の厚さにおいて、内部量子効率は、1018cm-3までしかドープされていない発光層に関して測定された内部量子効率のピークより高くなる。
【0018】
図10はまた、発光層が上記の最適なドーピング・レベルまでドープされていても、デバイスの内部量子効率は、発光層厚さが上記の最適な厚さの範囲外である場合には低下することを示している。例えば、図10中の四角は、図1に示されるようなデバイスの薄い量子井戸についての一般的な厚さであり、かつ、上記の最適な発光層の厚さより薄い30オングストロームにおいては、1019cm-3の最適なドーピング・レベルにドープされた発光層を有するデバイスであっても、なお非常に低い内部量子効率を示す。従って、幾つかの実施形態において、発光層の厚さと発光層のドーパント濃度との両方が、内部量子効率の改善を実現するためには、上記の最適な範囲内になければならない。
【0019】
幾つかの実施形態において、シリコン・ドープされた第1及び第2のスペーサ層33及び37は、最適な発光領域の厚さと上記のドーピング・レベルとによって組み合せられる。以下の表1に示されるように、最適にシリコン・ドープされた厚い発光層の内部量子効率は、発光層に直接隣接したスペーサ層を同じドーピング範囲にまでドープすることによってさらに高めることができる。スペーサ層は、例えば約20オングストロームと約1000オングストロームの間の厚さとすることができ、通常は約100オングストロームの厚さとする。
表1:64ÅのInGaN発光層に関する330A/cm2における相対的な内部量子効率

【0020】
図2、図4、及び図10、並びに、表1に示されるデータは、約430nmにおいて光を放射する、12%のInNを有するInGaN発光層をもったデバイスに関するものである。放射される光の波長を長くするには、発光層中のInNの量を増加させる必要がある。一般に層中のInNの量が増加するにつれて、層の材質が劣化する。従って、発光層中により多くのInNを有するデバイスは、図2、図9A、及び図10に示されるように、効率を改善するためには、発光層中のドーパント濃度をより高くする必要がある。例えば、約450nmにおいて光を放射する、16%のInNを有するInGaN発光層をもったデバイスにおいては、最適なシリコン・ドーピング・レベルは、400nmにおいて光を放射するデバイスに関して図9Bに示されるような6×1018cm-3から1019cm-3までではなく、例えば、図9Aに示されるように1×1019cm-3から5×1019cm-3までとすることができる。
【0021】
上記の例は、第1のスペーサ層33、発光領域35、及び第2のスペーサ層37のそれぞれについての最適な厚さ及びドーピング・レベルを説明している。種々の実施形態において、領域33、35、及び37の1つ又はそれ以上が、意図的にはドープされないか、又は上に与えられた最適なドーピング範囲より低いレベルにドープされてもよい。例えば、領域33、35、及び37の3つの全てが最適にドープされてもよく、或いは、スペーサ層33及び発光領域35が最適にドープされ、スペーサ層37は意図的にはドープされないか、若しくは最適範囲より低いレベルにドープされてもよく、或いは、スペーサ層37及び発光領域35が最適にドープされ、スペーサ層33は意図的にはドープされないか、若しくは最適範囲より低いレベルにドープされてもよく、或いは、両方のスペーサ層33及び37が最適にドープされ、発光領域35は意図的にはドープされないか、若しくは最適範囲より低いレベルにドープされてもよい。
【0022】
幾つかの実施形態においては、デバイスの内部量子効率は、図3に示されるように、随意的な電流ブロッキング層38を含めることによってさらに改善することができる。ブロッキング層38は、電流を発光層内に閉じ込め、幾つかの実施形態においては、それはアルミニウム含有p型層であり、多くの場合、p型AlGaN又はp型AlInGaNである。デバイスの内部量子効率は、電流注入効率と放射再結合効率との積の関数である。電流注入効率は、発光層中で再結合する電流量の、デバイスに供給される電流量に対する比である。放射再結合効率は、発光層中で再結合して光を放射する(例えば結晶欠陥中の発光層において再結合して光を放射しない電流とは対照的に)電流量の、発光層で再結合する電流の総量に対する比である。
【0023】
注入効率は、ブロッキング層38中のAlNの組成に敏感である。ブロッキング層38によって与えられる障壁の「高さ」は、ブロッキング層中のAlNの組成と、ブロッキング層38とスペーサ層37との間の界面におけるシート電荷の大きさと、ブロッキング層38及び周囲の層のドーピングと、によって決定される。図11は、本発明の実施形態によるIn0.12Ga0.88N発光層及びIn0.16Ga0.84N発光層を有するデバイスに関して、注入効率及び内部量子効率をブロッキング層38中のAlNの組成の関数として示す。図11のデータは、シミュレーションから得られたものである。図11中のダイヤモンド形及び四角は、In0.16Ga0.84N発光層を有するデバイスの注入効率及び内部量子効率を示し、図11中の三角及びx記号は、In0.12Ga0.88N発光層を有するデバイスの注入効率及び内部量子効率を示す。ブロッキング層38中の0%のAlNでは、注入効率及び内部量子効率は両方ともにほぼ0である。ブロッキング層中のAlNの組成が8%まで増加すると、注入効率は50%より上にまで急増する。AlNの組成が8%を超えて増加すると、注入効率は改善する。90%より大きい注入効率を得るには、AlNの組成は少なくとも15%とすればよい。
【0024】
図12は、430nmにおいて光を放射する実際のデバイスにおいて測定された、ブロッキング層38中のAlNの組成の関数としての内部量子効率を示す。図12に示されるように、ブロッキング層中のAlNの組成が0%より上で増加するにつれて、内部量子効率は、約20%のAlN組成における内部量子効率のピークにまで改善してゆく。従って、デバイスの幾つかの実施形態においては、AlGaNブロッキング層中のAlN組成は、8%より大きく30%よりは小さく、好ましくは15%より大きく25%よりは小さい。AlN組成が20%を超えて増加する際の内部量子効率の減少は、高いAlN組成の層の成長中に汚染物が混入することによる可能性がある。
【0025】
上記のAlN組成は、下の表2に示されるように、ブロッキング層38に関する望ましいバンド・ギャップに一般化して表すことができる。表2のデータは、式

によって計算され、ここでEg,GaNはGaNのバンド・ギャップ、3.4eVであり、Eg,AlNはAlNのバンド・ギャップ、6.2eVであり、bは室温における湾曲パラメータ、1eVである。
表2:AlxGa1-xNブロッキング層のバンド・ギャップ

【0026】
表2に示されるように、8%と25%の間のAlN組成は、3.55eVと3.89eVの間のバンド・ギャップに相当する。従って、本発明の実施形態においては、ブロッキング層は、3.5eVより大きなバンド・ギャップを有する任意の組成の層とすることができる。図12に示されるAlN組成に対する上限は、バンド・ギャップに依るのではなく、特にAlGaN層の現在の成長技術に関する材料の問題に依る可能性が高いので、これらの材料の問題が解決されるとすれば、AlGaNブロッキング層のバンド・ギャップの上限は、AlNブロッキング層の上限となる。
ブロッキング層38は、電荷キャリアがブロッキング層38を通過できないように十分厚く、一般には10Åの厚さより厚くなければならない。幾つかの実施形態においては、ブロッキング層38は、10Åと1000Åの間の厚さであり、より好ましくは100Åと500Åの間の厚さである。幾つかの実施形態においては、ブロッキング層38は、p型領域39の一部又は全体とすることができ、例えば、ブロッキング層38は、発光層のp型側面への電気的接触がその上に形成される層とすることができる。
【0027】
幾つかの実施形態においては、デバイスの内部量子効率は、図3に示されるように、随意的な準備層32を含めることによってさらに改善することができる。準備層32は、引用によりここに組み入れられる米国特許第6,635,904号「III族窒化物デバイスに関するインジウム・ガリウム窒化物の平滑構造」(2003年10月21日付与)に記載されている平滑構造とすることができる。準備層32は、n型領域31の上に形成される。該準備層は、発光層の下で発光層から5000オングストローム以内に位置するn型層とすることができる。該準備層は、約200オングストロームから数ミクロンまでの範囲の厚さを有することができる。準備層32は、発光領域35よりも低いインジウム組成を有し、例えば、準備層32は、2〜12%のInNを、より好ましくは2〜6%のInNを含有するInGaN層とすることができる。幾つかの実施形態においては、準備層32はn型領域31の一部とすることができ、例えば、準備層32は、発光層のn型側面への電気的接触がその上に形成される層とすることができる。
【0028】
高電流密度における効率の低下に加えて、図1のデバイスはまた、デバイスに供給される電流密度が増加するに連れてシフトするピーク波長を示す可能性がある。本発明の実施形態によるデバイス設計は、表3に示すように、電流密度の増加に伴うピーク波長のシフトを望ましく減少又は除去することができる。「図3のデバイス」と記される表3中のデバイスは、約430nmのピーク波長において光を放射する、1×1019cm-3の濃度にSiでドープされた厚さ130オングストロームの発光層と、1×1019cm-3の濃度にSiでドープされた厚さ200オングストロームのGaNの第1のスペーサ層と、1×1019cm-3の濃度にSiでドープされた厚さ100オングストロームのGaNの第2のスペーサ層と、厚さ210オングストロームのAl0.16Ga0.84Nブロッキング層を有する。
表3:本発明の実施形態によるデバイス及び図1によるデバイスのピーク波長シフト

【0029】
上記の実施例において、各々のデバイスはただ1つの発光層を有するが、本発明の幾つかの実施形態は、障壁によって隔てられた複数の発光層を有する。さらに、上記の実施例は、発光領域及び周囲の層のドーパントとしてシリコンを用いているが、幾つかの実施形態においては、他の適切なドーパントをシリコンに加えて、又はシリコンの代わりに使用してもよく、そのドーパントの例として、ゲルマニウム及びスズなどの他のIV族元素、酸素、セレン、テルル及び硫黄などのVI族元素、アルミニウム又はホウ素などのIII族元素、及び、マグネシウムなどのp型ドーパントが挙げられる。最後に、上記の例は、典型的には、近紫外から赤外に及ぶ領域において光を放射するInGaN発光層を有するデバイスを説明しているが、他の実施形態においては、発光層又はスペーサ層は、GaN、AlGaN、又はAlInGaNとすることができて、そのデバイスは紫外から赤外に及ぶ光を放射することができる。
【0030】
上記の実施例においては、ドープされた層又は領域(発光層又はスペーサ層など)の各々は均一にドープされるが、他の実施形態においては、1つ又はそれ以上のドープされた層又は領域は、部分的にドープされてもよく、又はドーピング濃度に勾配付けしてもよい。或いは又はさらに、上記の1つ又はそれ以上の層の組成に勾配付けしてもよい。ここで用いられるように、「勾配付けされる」という用語は、層又はデバイス中の層の中の組成又はドーパント濃度を記述する際には、組成及び/又はドーパント濃度における単一ステップ以外の任意の仕方で、組成及び/又はドーパント濃度における変化を達成する任意の構造体を包含することになる。1つの実施例においては、スペーサ層の1つ又は両方のドーピング濃度が勾配付けされる。別の実施例では、発光層のInN組成が勾配付けされる。各々の勾配付けされる層は、副層の積層体として、副層の各々が、隣接するどの副層とも異なるドーパント濃度又は組成をもつようにすることができる。副層が分割可能な厚さを有する場合には、勾配付けされる層は、段階的に勾配付けされる層である。個々の副層の厚さがゼロに近づく極限では、勾配付けされる層は、連続的に勾配付けされる領域である。各々の勾配付けされる層を構成する副層は、厚さに対する組成及び/又はドーパント濃度の関係において、種々のプロファイルを形成するように配置することができ、そのプロファイルは、直線的勾配、放物線的勾配、及びべき法則的勾配を含むが、これらに限定はされない。また勾配付けされる層は、単一の勾配プロファイルに限定されるのではなく、異なる勾配プロファイルを有する部分を含んでもよく、また、実質的に一定の組成及び/又はドーパント濃度領域を有する1つ又はそれ以上の部分を含んでもよい。
【0031】
図13A〜図13Kは、図3の発光領域35に関する幾つかの勾配のスキームを示す。図13A〜図13Kは、第1のスペーサ層33、発光領域35、及び第2のスペーサ層37を含むエネルギー帯ダイアグラムの伝導帯の一部を示す。InGaN発光領域35を有するデバイスにおいては、バンド・ギャップが大きいほど、即ち、各図に示されるエネルギー準位が高いほど、InNが少ないことを示す。従って、図13Aを例にとると、第1のスペーサ層33は、InNを含まないか、又は低組成のInNを有するGaN又はInGaNである。InN組成は、InGaN発光層35の第1の部分において増加して一定となり、次いでInN組成は第2のスペーサ層37との界面においてゼロ又は低組成となるように勾配付けされている。図13G〜図13Kにおいては、発光領域35内のバンド・ギャップに1つ又はそれ以上の局所的極大130が存在する。InGaN発光領域35において、バンド・ギャップにおけるこれらの局所的極大は、発光領域35の周囲の領域よりも低いInN組成を有する領域を表す。幾つかの実施形態においては、これらの局所的極大とそれらを囲む発光領域35の領域との間のバンド・ギャップの差は、その極大部が電子状態をもたないほど十分に小さいが、このことは、それらの間の領域には量子閉じ込めが存在しないことを意味し、従って、それらの間の領域は量子井戸ではないことを意味する。
【0032】
図3に示される半導体構造体は、発光デバイスの任意の構成に含めることができる。図5及び図6は、図3の構造体を組み込んだフリップ・チップ型デバイスを示す。図7は、図3の構造体を組み込んだ薄層デバイスを示す。
図5は、大型接合デバイス(即ち、1平方ミリメートルより大きいか又はそれに等しい面積)の平面図である。図6は、図5に示されるデバイスの、示された軸方向から見た断面図である。図5及び図6はまた、図3に示される半導体構造体と共に用いることのできるコンタクトの配置を示す。図5及び図6のデバイスは、引用によりここに組み入れられる米国特許第6,828,586号により詳細に説明されている。図3に示され、種々の実施例において上述された全体の半導体構造体が、完成デバイスの一部として残る成長基板10の上に成長させたエピタキシャル構造体110として図6に示される。複数のビアが、その内部でn型コンタクト114が図3のn型領域31に電気的に接触するように、形成される。P型コンタクト112は、図3のp型領域39の残りの部分に形成される。ビア内に形成される個々のn型コンタクト114は、導電領域118によって電気的に接続される。デバイスは、図5及び図6に示される配向に対して反転させ、光が基板10を通してデバイスから取り出されるようにコンタクト側面を下にしてマウント(図示せず)に取り付けてもよい。N型コンタクト114及び導電領域118は、n型接続領域124によってマウントに電気的に接触する。N型接続領域124の下で、p型コンタクト112は、誘電体116によってn型コンタクト114、導電領域118、及びn型接続領域124から絶縁される。P型コンタクト112は、p型接続領域122によってマウントに電気的に接触する。P型接続領域122の下で、n型コンタクト114及び導電領域118は、誘電体120によってp型接続領域122から絶縁される。
【0033】
図7は、成長基板が除去される薄層デバイスの断面図である。図7に示されるデバイスは、通常の成長基板58の上に図3の半導体構造体57を成長させ、デバイス層をホスト基板70に接合し、次いで成長基板58を除去することによって形成することができる。例えば、n型領域31は、基板58上に成長させる。N型領域31は、バッファ層又は核生成層などの随意的な準備層、及び成長基板の剥離、又は基板除去後のエピタキシャル層の薄層化を促進するための随意的な剥離層を含むことができる。発光領域35は、n型領域31の上に成長させ、続いてp型領域39を成長させる。発光領域35は随意的な第1及び第2のスペーサ層33及び37の間に挟むことができる。例えばオーム・コンタクト層、反射層、障壁層、及び接合層を含む1つ又はそれ以上の金属層72は、p型領域39の上に堆積される。
【0034】
次にデバイス層が、金属層72の露出表面を介してホスト基板70に接合される。典型的には金属である1つ又はそれ以上の接合層(図示せず)は、エピタキシャル構造体とホスト基板との間の熱圧着又は共融接合のための適合性材料として機能することができる。適切な接合層金属の例には、金及び銀が含まれる。ホスト基板70は、成長基板が除去された後のエピタキシャル層の機械的な支持物となり、かつ、p型領域39への電気的接触を与える。ホスト基板70は一般に、導電性(即ち、約0.1Ωcmより小さい)であるように、熱伝導性であるように、エピタキシャル層の熱膨張係数(CTE)と適合する熱膨張係数を有するように、そして強いウェハ接合を形成するのに十分に平坦(即ち、粗さの2乗平均平方根が約10nmより小さい)であるように、選択される。適切な材料には、例えば、Cu、Mo、Cu/Mo、及びCu/Wなどの金属と、例えば、Pd、Ge、Ti、Au、Ni、Agの1つ又はそれ以上を含むオーム・コンタクトを有するSi、及びオーム・コンタクトを有するGaAsのような、金属コンタクトを備えた半導体と、AlN、圧縮ダイヤモンド、又は化学気相堆積法によって成長させたダイヤモンド層などのセラミックスと、が含まれる。
【0035】
デバイス層は、デバイスのウェハ全体がホストのウェハに接合される形態でウェハのスケールでホスト基板70に接合し、次いで、接合後に個々のデバイスに切り分けるようにすることができる。その代わりに、デバイスのウェハは、引用によりここに組み入れられる米国特許出願整理番号10/977,294、「パッケージ統合型薄層LED」(2004年10月28日出願)により詳細に説明されているように、個々のデバイスに切り分け、次いで各々のデバイスをダイのスケールでホスト基板70に接合することもできる。
【0036】
ホスト基板70と金属層72の間の界面に、例えば金属接合層(図示せず)の間の界面に形成される耐久性金属接合のような耐久性接合を形成するために、ホスト基板70と半導体構造体57が高温高圧において互いに圧着される。接合のための温度及び圧力範囲は、その下限は生成される接合の強度によって制限され、上限はホスト基板構造、メタライゼーション、及びエピタキシャル構造の安定性によって制限される。例えば、高温及び/又は高圧は、エピタキシャル層の分解、金属コンタクトの層間剥離、拡散障壁の破壊、又はエピタキシャル層の成分材料のガス抜け、を起こす可能性がある。接合のための適切な温度範囲は、例えば、室温から約500℃までである。接合のための適切な圧力は、例えば、圧力無印加から約500psiまでである。次いで、成長基板58が除去される。
【0037】
サファイア成長基材を除去するために、基板58と半導体構造体57との間の界面の一部は、基板58を通して、高フルエンスのパルス紫外レーザにステップ・アンド・リピート・パターン法で露光される。露光される部分は、レーザ照射によって生じる衝撃波を遮断するために、デバイスの結晶層を通してエッチングされたトレンチによって隔離することができる。レーザの光子エネルギーは、サファイア(幾つかの実施形態ではGaN)に隣接する結晶層のバンド・ギャップより高く、従ってパルス・エネルギーはサファイアに隣接するエピタキシャル材料の初めの100nm以内で熱エネルギーに有効に変換される。十分に高いフルエンス(即ち、約500mJ/cm2より大きい)と、光子エネルギーがGaNのバンド・ギャップより高く、サファイアの吸収端より低い(即ち、約3.44eVと約6eVの間)条件において、初めの100nm以内の温度は、ナノ秒スケールで、GaNがガリウムと窒素ガスに分解して基板58からエピタキシャル層を放出するのに十分に高い1000℃より高温にまで上昇する。生じる構造体は、ホスト基板70に接合した半導体構造体57を有する。幾つかの実施形態においては、成長基板は、エッチング、ラッピング、又はそれらの組み合わせなどの他の方法よって除去できる。
【0038】
成長基材が除去された後、半導体構造体57は、例えば、基板58に最も近接したn型領域31及び低材質の部分を除去するために、薄くすることができる。エピタキシャル層は、例えば化学機械研磨法、通常のドライエッチング法、又は光電気化学エッチング法(PEC)によって薄くすることができる。エピタキシャル層の最上面は、取り出す光量を増加させるために、テクスチャ加工又は粗面化することができる。次に、コンタクト(図示せず)がn型領域31の露出面上に形成される。そのnコンタクトは、例えばグリッドとすることができる。Nコンタクトの真下にある層は、発光領域35のnコンタクトの真下の部分からの発光を防止するために、例えば、水素を注入することができる。輝度又は変換効率をさらに向上させるために、当技術分野において既知の二色性素子又は偏光素子などの補助光学素子を放射面に適用することができる。
【0039】
図8は、米国特許第6,274,924号中により詳細に記載されている、パッケージされた発光デバイスの分解図である。放熱スラグ100は、挿入成型されたリードフレーム中に配置される。挿入成型リードフレームは、例えば、電気的経路を与える金属フレーム106の周りに成型された充填プラスチック材料105である。スラグ100は、随意的な反射鏡カップ102を含むことができる。発光デバイス・ダイ104は、上記の実施形態中で説明されたどのデバイスであってもよいが、スラグ100に直接に、又は熱伝導性補助マウント103を介して間接的に取り付けられる。光学レンズであってもよいカバー108を加えることもできる。
【0040】
以上、本発明を詳細に説明したが、当業者は、本開示が与えられるならば、ここで説明された本発明の着想の精神から離れることなしに、本発明に変更を加えることができることを認識するであろう。従って、本発明の範囲が図示され説明された特定の実施形態に限定されることは、意図されない。
【符号の説明】
【0041】
10:基板
11:n型領域
12:活性領域
13:GaNスペーサ層
14:p型AlGaN層
15:p型コンタクト層
31:n型領域
32:準備層
33:第1のスペーサ層
35:発光領域
37:第2のスペーサ層
38:ブロッキング層
39:p型領域
57:半導体構造体
58:成長基板
70:ホスト基板
72:金属層
100:放熱スラグ
102:反射鏡カップ
103:熱伝導性サブマウント
104:発光デバイス・ダイ
105:プラスチック材料
106:金属フレーム
108:カバー
110:エピタキシャル構造体
112:p型コンタクト
114:n型コンタクト
116,120:誘電体
118:導電領域
122:p型接続領域
124:n型接続領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光デバイスであって、
1つのn型領域と、
1つのp型領域と、
前記n型領域と前記p型領域との間に配置されたIII族窒化物発光層と、
前記n型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置され、かつ、前記III族窒化物発光層と直接接触する第1のスペーサ層と、
前記p型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置され、かつ、前記III族窒化物発光層と直接接触する第2のスペーサ層と、
前記p型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置されたブロッキング層と、
を含み、
前記ブロッキング層は、3.5eVより大きなバンド・ギャップを有し、
前記III族窒化物発光層は、6×1018cm-3と5×1019cm-3の間のドーパント濃度にドープされ、
前記III族窒化物発光層は、50Åと250Åの間の厚さを有し、
前記III族窒化物発光層は、390nmより長いピーク波長を有する光を放射するように構成される、
ことを特徴とする半導体発光デバイス。
【請求項2】
前記発光層がInGaNであることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項3】
前記発光層中のInNの組成が勾配付けされていることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光デバイス。
【請求項4】
前記発光層がAlInGaNであることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項5】
前記発光層が109/cm2より小さい貫通転位濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項6】
前記発光層が108/cm2より小さい貫通転位濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項7】
前記発光層が107/cm2より小さい貫通転位濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項8】
前記発光層が106/cm2より小さい貫通転位濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項9】
前記発光層が、勾配付けされたドーパント濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項10】
前記発光層が、1×1019cm-3と5×1019cm-3の間のドーパント濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項11】
前記発光層が、440nmと460nmの間のピーク波長を有する光を放射するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の半導体発光デバイス。
【請求項12】
前記発光層が、6×1018cm-3と2×1019cm-3の間のドーパント濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項13】
前記発光層が、420nmと440nmの間のピーク波長を有する光を放射するように構成されることを特徴とする請求項12に記載の半導体発光デバイス。
【請求項14】
前記発光層が75Åと150Åの間の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも一つのスペーサ層は、
前記n型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置され、かつ、前記III族窒化物発光層と直接接触する、第1のスペーサ層と、
前記p型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置され、かつ、前記III族窒化物発光層と直接接触する、第2のスペーサ層と、
を含み、
前記第1及び第2スペーサ層の各々は、6×1018cm-3より低いドーパント濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項16】
前記III族窒化物発光層がSiでドープされたn型であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項17】
前記III族窒化物発光層が単一のドーパント種でドープされることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項18】
前記n型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置されたInGaN準備層をさらに含む請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項19】
前記第1及び第2のスペーサ層の1つは、6×1018cm-3と5×1019cm-3の間のドーパント濃度にドープされることを特徴とする請求項1記載の半導体発光デバイス。
【請求項20】
前記第2のスペーサ層は、6×1018cm-3より低いドーパント濃度を有することを特徴とする請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項21】
前記第1のスペーサ層は、6×1018cm-3より低いドーパント濃度を有することを特徴とする請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項22】
前記III族窒化物発光層がInGaNであることを特徴とする請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項23】
前記発光層中のInNの組成が勾配付けされていることを特徴とする請求項22に記載の半導体発光デバイス。
【請求項24】
前記第1及び第2のスペーサ層の各々が20Åと1000Åの間の厚さを有することを特徴とする請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項25】
前記第1及び第2のスペーサ層が両方ともにGaNであることを特徴とする請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項26】
前記発光層がAlInGaNであることを特徴とする請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項27】
前記n型領域及び前記p型領域に電気的に接続したコンタクトをさらに含む請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項28】
前記第1及び第2のスペーサ層のうちの1つが勾配付けされたドーパント濃度を有することを特徴とする請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項29】
前記n型領域の一部が、前記発光層中のドーパント濃度と実質的に同じドーパント濃度にドープされることを特徴とする請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項30】
前記n型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置されたInGaN準備層をさらに含む請求項19に記載の半導体発光デバイス。
【請求項31】
前記デバイスに200A/cm2が供給されるとき、前記デバイスから取り出される光子の、前記デバイスに供給される電流に対する比が、前記デバイスに20A/cm2が供給されるときに、前記デバイスから取り出される光子の前記デバイスに供給される電流に対する比より、大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項32】
前記発光層がInGaNであることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項33】
前記発光層中のInNの組成が勾配付けされていることを特徴とする請求項32に記載の半導体発光デバイス。
【請求項34】
前記ブロッキング層がAlGaNであることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項35】
前記ブロッキング層が、8%と30%の間のAlN組成を有することを特徴とする請求項34に記載の半導体発光デバイス。
【請求項36】
前記デバイスに930A/cm2が供給されるときに前記発光層によって放射される光のピーク波長と、前記デバイスに20A/cm2が供給されるときに前記発光層によって放射される光のピーク波長との差が5nmより小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項37】
前記デバイスに200A/cm2が供給されるときに前記発光層によって放射される光のピーク波長と、前記デバイスに20A/cm2が供給されるときに前記発光層によって放射される光のピーク波長との差が3nmより小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項38】
前記n型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置されたInGaN準備層をさらに含む請求項1に記載の半導体発光デバイス。
【請求項39】
前記n型領域と前記III族窒化物発光層との間に配置されたInGaN準備層を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体発光デバイス。
【請求項40】
前記III族窒化物発光層がInGaNであることを特徴とする請求項39に記載の半導体発光デバイス。
【請求項41】
前記発光層中のInNの組成が勾配付けされていることを特徴とする請求項40に記載の半導体発光デバイス。
【請求項42】
前記準備層が2%と12%の間のInN組成を有することを特徴とする請求項39に記載の半導体発光デバイス。
【請求項43】
前記準備層が2%と6%の間のInN組成を有することを特徴とする請求項39に記載の半導体発光デバイス。
【請求項44】
前記第1及び第2のスペーサ層は同じ導電率型のドーパントでドープされること、
を特徴とする請求項1記載の半導体発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図13I】
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【図13J】
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【図13K】
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【公開番号】特開2013−102240(P2013−102240A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−39423(P2013−39423)
【出願日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【分割の表示】特願2006−256463(P2006−256463)の分割
【原出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【Fターム(参考)】