説明

二重容器の締め付け方法およびそれに用いる装置

【課題】人手により内外両容器を締め付ける場合にも、ら着された内外両容器を作業者がそれぞれ同じ締め付け角度で締め付けることのできる二重容器の締め付け方法およびそれに用いる装置を提供する。
【解決手段】有底筒状の内側容器31に有底筒状の外側容器32をかぶせ双方に設けられたら合用部を合わせて仮締め的にら合させ、このら合体を逆向にし、支受台1にかぶせて内側容器31を周方向に回り止めし、その状態で、昇降自在に設けられた回動部17を下降させて外側容器32に当接させ、その当接状態で、回動部17を回動させ外側容器32を周方向に所定の角度回動させて本締め付けを行い外側容器32と内側容器31を一体化させ、回動部17の周方向への所定角度の回動をリミットスイッチ15で検出させ、その検出により回動部17を上昇させ元の位置に戻すようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイカップ等として用いられる二重容器の組み立ての際に行われる二重容器の締め付け方法およびそれに用いる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の飲料や食品等を販売する売店等では、飲料等を入れるための紙コップ等を用意しておき、販売時に店員が紙コップ等に飲料等を入れて顧客に渡したり、顧客自らが紙コップ等に飲料等を入れたりしているが、これら紙コップ等は使用後に使い捨てられるため、多量のごみが発生する。そこで、売店等の近辺にリサイクルボックスを置き、このリサイクルボックスに紙コップ等を捨てることで、紙コップ等を回収して再利用することも行われているが、最近では、紙コップ等のごみの減量効果をさらに図るため、顧客が自分専用のカップ(マイカップ)を用意し、このマイカップを売店等に持参してこれに飲料等を入れることも行われている。
【0003】
このようなマイカップとして、図8および図9に示すような蓋付きのカップが提案されている。このカップは、断熱効果に優れた二重容器からなり、内容物(図示せず)を収容する内側容器31と、内側容器31に重ねられ、両容器31,32の底部に設けられたねじ等のら合により内側容器31と一体化する外側容器32と、これら両容器31,32からなる二重容器の上面開口を蓋する蓋体33とで構成されている。そして、上記両容器31,32間に形成される断熱空間34には、筒状に折り曲げた印刷ラベル35が収容されている。また、上記断熱空間34に、内側容器31から流出した内容物が流入するのを防ぐため、上記両容器31,32の周側壁31a,32aの上端部間をOリング36で液密状にシールしている。図9において、37は内側容器31の周側壁31aの上端部から突設された鍔部で、この鍔部37の下面に形成された環状凹溝37aにOリング36が嵌着されている。また、38aは、内側容器31の底壁31bの下面から下向きに突設された円環状突条38の外周面に形成されたねじ部で、このねじ部38aが、外側容器32の底壁32bの上面から上向きに突設された円環状突条39の内周面に形成されたねじ部39aにら合している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記両容器31,32の組み立て作業は、機械化が難しく、人手により行われているため、内側容器31の鍔部37の環状溝37aにOリング36を嵌着した状態で、外側容器32を重ね、その状態で外側容器32を周方向に回して内側容器31に外側容器32を締め付け,固定する際に、作業者によって外側容器32の締め付け具合に差が生じやすい。すなわち、各作業者がそれぞれ同じ締め付け角度(外側容器32の内側容器31に対する周方向への回動角度)で適切に締め付け,固定することが難しい。特に、外側容器32の周側壁32aの上端部がOリング36に軽く当たってからの、外側容器32の締め付け角度が小さいと、環状凹溝37a,外側容器32の周側壁32aの上端部とOリング36との密着性が悪くてシール性に劣り、逆に締め付け角度が大きいと、Oリング36が周側壁32aの上端部で強く押されて破損等するため、この場合にもシール性に劣る。また、Oリング36を用いていない二重容器の場合にも、ら着した両容器31,32同士を締め付け,固定する際に、作業者によって締め付け具合に差が生じやすく、作業者がそれぞれ同じ締め付け角度で適切に締め付け,固定することが難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、人手により内外両容器を締め付ける場合にも、ら着された内外両容器を作業者がそれぞれ同じ締め付け角度で締め付けることのできる二重容器の締め付け方法およびそれに用いる装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、有底筒状の内側容器に有底筒状の外側容器をかぶせ双方に設けられたら合用部を合わせて仮締め的にら合させ、このら合体を逆向にして、上記内側容器の有底筒状に対応する形状の支受部にかぶせて内側容器を周方向に回り止めし、その状態で、昇降自在に設けられた回動手段を下降させて外側容器に当接させ、その当接状態で、回動手段を回動させ外側容器を周方向に所定の角度回動させて本締め付けを行い外側容器と内側容器を一体化させ、上記回動手段の周方向への所定角度の回動を検出手段により検出させ、その検出により上記回動手段を上昇させ元の位置に戻すようにした二重容器の締め付け方法を第1の要旨とし、有底筒状の内側容器に有底筒状の外側容器をかぶせ双方に設けられたら合用部を合わせて仮締め的にら合させてなるら合体を逆向にしてかぶせるための支受部と、上記支受部にかぶせられたら合体を回り止めする回り止め手段と、上記支受部の上方に昇降自在に設けられた回動手段と、上記回動手段を下降させて外側容器に当接させることと上記回動手段を上昇させて外側容器から離間させ元の位置に戻すこととを制御する回動手段の昇降制御手段と、上記回動手段の下降時において外側容器を周方向へ回動する回動駆動手段と、この回動駆動手段による外側容器の周方向への回動が所定の角度になったときにそれを検出し回動手段を上昇させ元の位置に戻す検出手段とを備えている二重容器の締め付け装置を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
すなわち、本発明の二重容器の締め付け方法では、有底筒状の内側容器に有底筒状の外側容器を仮締め的にら合させてなるら合体を逆向にして支受部にかぶせ、この仮締め状態のら合体の外側容器に、上記支受部の上方に設けた回動手段を下降させて当接させ、その当接状態で回動手段を回動させ外側容器を周方向に所定の角度回動させて本締め付けを行うようにしている。そして、この本締め付けの際に、上記回動手段を上記所定角度だけ回動させると、これを検出手段により検出して上記回動手段を上昇させ元の位置に戻し次回の作動に備えるようにしている。したがって、本締め付けの際に、上記回動手段および外側容器を常に上記所定角度だけ回動させることができ、上記当接状態で回動手段を回動させ外側容器を周方向に回動させる作業を人手により行っても、その回動角度が常に一定になり、容易に同じ締め付け角度で適切に締め付け,固定することが繰り返しできるようになる。また、本発明の二重容器の締め付け装置によれば、上記優れた効果を奏する締め付け方法を容易に行うことができる。
【0008】
また、本発明の二重容器の締め付け方法において、上記回動手段の回動角度が可変である場合には、組み立てる二重容器の種類に応じて、上記回動手段の回動角度を適宜変更することができる。また、内外両容器の周側壁の上端部間をOリングで液密状にシールする二重容器では、Oリングのサイズ,線径が変化してOリングの締め付け力を適宜変更する必要がある場合にも、その変更に応じて、上記回動手段の回動角度を適宜変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0010】
図1は本発明の二重容器の締め付け装置の一実施の形態を示している。この実施の形態では、本発明の二重容器の締め付け装置により、図8および図9に示す二重容器が本締め付けされる。図1において、1は円錐台形状の支受台(支受部)であり、内側容器31に外側容器32が重ねられ、両容器31,32の底部のねじ部38a,39aの、仮締め的なら合により両容器31,32が一体化されたら合体(図8および図9参照。蓋体33は外されている)を口部を下にした状態で支受する。この支受台1は、ベルトコンベア2等で搬送されて所定の位置(後述するエアシリンダ3の真下位置)に位置決めされる。図1において、1aは内側容器31の回り止めをするゴム製等の表面層(回り止め手段)で、2aはベルトコンベア2等の支受板であり、ベルトコンベア2等の枠材(図示せず)に固定されている。
【0011】
より詳しく述べると、上記支受台1は、その外周側面の形状が、上記内側容器31の周側壁31aの内周面の形状を上下逆さにした形状と略同じに形成されており、これにより、上記支受台1に、上下逆さにした内側容器31を支受させると、支受台1の外周側面に内側容器31の周側壁31aの内周面が密着する。また、上記支受台1には、その外周側面へのポリ塩化ビニル(PVC)製もしくはニトリルゴム(NBR)製シートの貼着により、表面層1aが形成されており、これにより、上記支受台1に、上下逆さにした内側容器31をかぶせて支受させると、内側容器31の周側壁31aと支受台1の表面層1aとの間に生じる摩擦抵抗により、内側容器31の周方向の回動が生じなくなる。
【0012】
したがって、上記支受台1に、外側容器32がら着された内側容器31(ら合体)を、口部を下にしてかぶせた状態で(図4参照)、作業員(回動駆動手段)が、外側容器32をその周側壁32aの周方向に沿って時計回り方向に回動させると、外側容器32は内側容器31に対して回動し、その結果、両容器31,32の底部のねじ部38a,39aが強固にら合し本締め付けがなされる。
【0013】
図1において、3はエアシリンダ(昇降手段)で、上記締め付け装置に設置されたシリンダ支持枠4に下向きに固定されている。このエアシリンダ3には、その(上下方向に伸縮する)シリンダロッド3aの下端部に保持部5が形成されている。この保持部5は、シリンダロッド3aの下端部に形成された円盤状の上側大径部11と、この上側大径部11の下面から突設される円盤状の下側小径部12とからなっており、上側大径部11の上面には、図2に示すように、固定棒13とスイッチ取付棒14とが所定の角度を保った状態でボルト13a,14aにより固定されている。
【0014】
また、上記下側小径部12には、図3に示すように、その下部に外嵌固定されたベアリング16を介して回動部(回動手段)17が水平回転自在に固定されている。この回動部17は、上面に平面視円形の凹部18aが形成されこの凹部18aに上記ベアリング16が内嵌固定された円盤状の本体部18と、この本体部18の外周部にボルト19b(図3では、図示せず)に固定された可動棒19とからなっており、この可動棒19の上端部が上側大径部11の上面から上方に突出し、この突出している部分が上記固定棒13の先端部に当接状に受け止められている。
【0015】
この下側小径部12には、その上部に設けた突部12aに、引っ張りコイルスプリング等のばね材20の一端が固定されており、このばね材20の他端が、上記可動棒19に設けた突部19aに固定されている。そして、このばね材20のばね力で、可動棒19を反時計回り方向に引っ張って固定棒13に当接させている。そして、作業員がばね材20のばね力に抗して可動棒19を時計回り方向に押すことにより、可動棒19が図2の状態から図6の状態まで回動し、スイッチ取付棒14に当接するようになる。
【0016】
上記スイッチ取付棒14には、可動ばね15aと固定接点15bとを備えたリミットスイッチ(検出手段)15が固定されている。このリミットスイッチ15は、可動棒19の当接により可動ばね15aが押されて固定接点15bに接触し、この接触により信号を出力し、エアシリンダ3を上昇させて元の位置に戻す作用をする。このスイッチ取付棒14はボルト14aで固定されているため、ボルト14aを緩めてその取り付け角度を適宜変更し固定することができ、これにより、固定棒13とスイッチ取付棒14とのなす角度を適宜変更し、可動棒19の回動角度(回動運動の量)を適宜変更することができる。
【0017】
また、上記回動部17の本体部18には、その底面にPVC製もしくはNBR製シートを貼着することにより、底面層18bが形成されており、これにより、上記回動部17を外側容器32の底壁32bに当接させた状態で、可動棒19の回動により回動させると、外側容器32の底壁32bと底面層18bとの間に生じる摩擦抵抗により、外側容器32を回動させるようになっている。このとき、内側容器31は支受台1に固定された状態になっているため、外側容器32のねじ部39aと内側容器31のねじ部 38aの仮締め的ら合が、より強固なら合となり本締め状態となる。
【0018】
ここで、上記二重容器を詳しく説明すると、図8および図9に示すように、プラスチック〔例えばPP(ポリプロピレン)〕製の内側容器31と、透明プラスチック〔例えばAS(アクリロニトリル/スチレン樹脂)〕製の外側容器32と、プラスチック製の蓋体33と、上記両容器31,32間の断熱空間34に収容される紙製の印刷ラベル35と、上記両容器31,32の上端部間に配設されるシリコーンゴム製のOリング36とを備えており、このOリング36で断熱空間34がシールされている。
【0019】
上記内側容器31は、下方に向かって縮径する有底台筒状に形成されており、その上端開口部(すなわち、内側容器31の周側壁31aの上端部)から外向きに突設された鍔部37の下面に、Oリング36を嵌着する凹溝37aが、上記上端開口部の周方向に沿って円環状に形成されている。また、上記内側容器31の底壁31bから、外周面にねじ部(ら合用部)38aが形成された円環状突条38が下向きに突設されている。
【0020】
上記外側容器32も同様に有底台筒状に形成されており、その上端開口部の上面(すなわち、外側容器32の周側壁32aの上端面)から、上記両容器31,32を取り付けた状態で上記凹溝37aに挿入される円環状の挿入用突条40が立設されている。また、上記外側容器32の周側壁32aは、内側容器31の周側壁31aよりやや大径に形成されており、これにより、上記両容器31,32を取り付けた状態で両周側壁31a,32a間に環状の断熱空間34が形成されている。また、上記外側容器32の底壁32bから円環状突条39が上向きに突設されており、その内周面に、上記内側容器31のねじ部38aにら合するねじ部(ら合用部)39aが形成されている。
【0021】
上記蓋体33は、略円盤状に形成されており、その下面から、内側容器3の上端開口部に液密状にかつ着脱自在に内嵌する円環状の係合突条33aが突設されている。また、上記蓋体33の外周面の一部から把持部33bが突設されている。
【0022】
上記の構成において、例えば、つぎのようにして、作業員の手作業により、内側容器31に仮締め的にら合された外側容器32を、上記締め付け装置にかけて、さらに所定の角度だけ回動させ強固にら合させて本締め付けをし、上記両容器31,32を強く固定することができる。すなわち、まず、上記両容器31,32の底部のねじ部38a,39aを少しら合させて外側容器32の周側壁32aの上端部がOリング36に当接する程度に仮締めする。ついで、上記仮締めしたら合体を上下逆さにした状態で支受台1にかぶせ、この状態で支受台1をベルトコンベア2等で所定の位置(エアシリンダ3の真下)に搬送する(図4参照。図4では、印刷ラベル35は図示せず)。つぎに、エアシリンダ3の作動スイッチ(図示せず)を押してシリンダロッド3aを下降させる。なお、このシリンダロッド3aの下降は、支受台1をベルトコンベア2等で所定位置に一定時間ごとに搬送する場合には、これに合わせて一定時間ごとに行うようにしてもよい。
【0023】
つぎに、この下降により外側容器32の底壁32bに回動部17の底面層18bを当接させた(図5参照。図5では、印刷ラベル35は図示せず)のち、さらに少しシリンダロッド3aを下降させてベルトコンベア2等を支受板2aに当接させ、この当接を接触センサー等の検出手段(図示せず)で検出し、シリンダロッド3aの下降を停止させる。
【0024】
つぎに、この当接状態(外側容器32の底壁32bに回動部17の底面層18bを当接させた当接状態)で、作業員が回動部17を時計回り方向に回転させると、この回転に外側容器32が連れ回りして時計回り方向に所定角度回転し(すなわち、作業員が回動部17を介して間接に外側容器32を時計回り方向に所定角度回転させ)、本締め付けが行われるとともに、回動部17の可動棒19がリミットスイッチ15の可動ばね15aに当接して(図6参照)、この可動ばね15aが固定接点15bに接触し、この接触によりシリンダロッド3aが上昇し元の位置に戻る。また、この上昇により、回動部17の底面層18bが外側容器32の底壁32bから離間するため、作業員が回動部17を手放すと、ばね材20のばね力により回動部17が固定棒13側に回動して固定棒13に当接し、次回の作動に備える(図4参照)。そののち、本締め付けした両容器31,32を支受台1から取り外し、蓋体33を取り付けることを行う。
【0025】
なお、この実施の形態において、上記当接状態で作業員が直接に外側容器32を時計回り方向に回転させることもできる。この場合には、外側容器32の所定角度の回転により、本締め付けが行われるとともに、この回転に回動部17が連れ回りしてリミットスイッチ15の可動ばね15aに当接し(図6参照)、この可動ばね15aが固定接点15bに接触してシリンダロッド3aが上昇し元の位置に戻る。また、この上昇により、回動部17が外側容器32の底壁32bから離間すると、ばね材20のばね力により回動部17が固定棒13側に回動して固定棒13に当接し、次回の作動に備える(図4参照)。そののち、本締め付けした両容器31,32を支受台1から取り外し、蓋体33を取り付けることを行う。
【0026】
このように、上記実施の形態では、内側容器31に外側容器32を仮締め的にら合してなるら合体を逆向にして支受部1にかぶせ、この仮締め状態のら合体の外側容器32に回動部17を下降させて当接させ、その当接状態で回動部17もしくは外側容器32を回動させることにより、この回動に連れ回りさせるようにして外側容器32もしくは回動部17を所定角度(この実施の形態では、90°程度)回動させ、本締め付けを行うようにしている。そして、上記回動部17が上記所定角度だけ回動すると、これをリミットスイッチ15により検出して回動部17を上昇させ、ばね材20のばね力により元の位置に戻しているため、上記回動部17および外側容器32を常に上記所定角度だけ回動させることができる。このため、本締め付けの作業の際に、人手により上記回動部17もしくは外側容器32を回動させても、その回動角度が常に一定になり、作業員がそれぞれ容易に同じ締め付け角度で適切に締め付け,固定することができる。したがって、二重容器の内外両容器31,32を締め付け,固定する際に、外側容器32の周側壁32aの上端部がOリング36に軽く当たってからの本締め付け作業において、作業員によって外側容器32の締め付け角度が小さかったり、大きかったりしてシール性が低下するということがなくなる。しかも、上記回動部17の回動角度が可変であるため、組み立てる二重容器の種類に応じて、上記回動部17の回動角度を適宜変更することができるうえ、使用するOリング36のサイズ,線径が変化してOリング36の締め付け力を適宜変更する必要がある場合にも、その変化に応じて、上記回動部17の回動角度を適宜変更することができる。
【0027】
図7は本発明の二重容器の締め付け装置の他の実施の形態を示している。この実施の形態では、上記回動部17には、その外周側面(上端部の除いた部分)にPVC製もしくはNBR製シートを貼着することにより、側面層18cが形成されている。また、上記二重容器を構成する内外両容器31,32は、有底円筒形状に形成されている。そして、本締め付けの際には、上記回動部17の側面層18cを外側容器32の周側壁32aの上部外周面に当接させ、その状態で、回動部17を反時計回り方向に回転させることにより、外側容器32の周側壁32aと回動部17の側面層18cとの間に生じる摩擦抵抗により、外側容器32を時計回り方向に回転させるようにしている。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、上記実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0028】
上記両実施の形態の締め付け装置により本締め付けがなされた二重容器を50個用意し、それぞれを上下逆さにした状態で水中に10分程度浸漬したのち水中から取り出し、断熱空間34内に水が流入したかどうかを目視で確認したが、全ての二重容器の断熱空間34内に水は全く流入していなかった。
【0029】
なお、上記実施の形態では、上記内外両容器31,32間をOリング36でシールしているが、これに限定するものではなく、Oリング36を用いていなくてもよい。また、上記保持部5は、エアシリンダ3の下端部に着脱自在に固定されていてもよい。
【0030】
また、上記実施の形態では、本発明の二重容器の締め付け装置を二重容器の組み立てラインの一部として用いているが、上記組み立てラインとは別に設け、二重容器を1個ずつ本締め付けするようにしてもよい。
【0031】
また、上記実施の形態では、回り止め手段として、PVC製もしくはNBR製シートを用いているが、両面テープ等を用いてもよい。また、昇降手段として、エアシリンダ3を用いているが、各種のシリンダ等を用いることができる。また、検出手段として、リミットスイッチ15を用いているが、各種センサー等、可動棒19が所定角度だけ回転したことを検出しうるものであれば、どのような検出手段を用いてもよい。また、回動駆動手段は、作業員等の人間であってもよいし、上記回動部17もしくは外側容器32をその周方向へ回動させることができる装置,手段であってもよい。また、ばね材20として、各種のばね材等を用いることができる。
【0032】
また、上記二重容器を利用して各種の液体等を飲むだけでなく、各種の食品(例えば、詰め替え用の即席麺に湯等をかけて食べれるようにしたもの)等を食べるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の二重容器の締め付け装置の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】保持部の平面図である。
【図3】上記保持部および回動部の断面図である。
【図4】上記締め付け装置の作用を示す説明図である。
【図5】上記締め付け装置の作用を示す説明図である。
【図6】上記締め付け装置の作用を示す説明図である。
【図7】本発明の二重容器の締め付け装置の他の実施の形態を示す説明図である。
【図8】二重容器の斜視図である。
【図9】上記二重容器の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 支受台
15 リミットスイッチ
17 回動部
31 内側容器
32 外側容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の内側容器に有底筒状の外側容器をかぶせ双方に設けられたら合用部を合わせて仮締め的にら合させ、このら合体を逆向にして、上記内側容器の有底筒状に対応する形状の支受部にかぶせて内側容器を周方向に回り止めし、その状態で、昇降自在に設けられた回動手段を下降させて外側容器に当接させ、その当接状態で、回動手段を回動させ外側容器を周方向に所定の角度回動させて本締め付けを行い外側容器と内側容器を一体化させ、上記回動手段の周方向への所定角度の回動を検出手段により検出させ、その検出により上記回動手段を上昇させ元の位置に戻すようにしたことを特徴とする二重容器の締め付け方法。
【請求項2】
上記回動手段の回動角度が可変である請求項1記載の二重容器の締め付け方法。
【請求項3】
有底筒状の内側容器に有底筒状の外側容器をかぶせ双方に設けられたら合用部を合わせて仮締め的にら合させてなるら合体を逆向にしてかぶせるための支受部と、上記支受部にかぶせられたら合体を回り止めする回り止め手段と、上記支受部の上方に昇降自在に設けられた回動手段と、上記回動手段を下降させて外側容器に当接させることと上記回動手段を上昇させて外側容器から離間させ元の位置に戻すこととを制御する回動手段の昇降制御手段と、上記回動手段の下降時において外側容器を周方向へ回動する回動駆動手段と、この回動駆動手段による外側容器の周方向への回動が所定の角度になったときにそれを検出し回動手段を上昇させ元の位置に戻す検出手段とを備えていることを特徴とする二重容器の締め付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−290733(P2008−290733A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135934(P2007−135934)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】