説明

二重容器

【課題】 美麗な内巻開口縁部を安定して形成することができると共に懸賞機能としての隠蔽情報が設けられた二重容器を提供することである。
【解決手段】 少なくとも内面に熱可塑性樹脂層を有すると共に開口部の周縁が外側にカールした外巻開口縁部からなる胴部を有する有底状の紙製容器本体と、一方の開口部の周縁が内側にカールした内巻開口縁部を有する紙製筒状体を前記内巻開口縁部が前記容器本体の底部側に位置するように前記容器本体の胴部外側に貼着した二重容器であって、前記紙製筒状体には剥離することができる剥離領域が形成され、剥離開始手段から変形切目線に沿って剥離した前記剥離領域の前記紙製筒状体の裏面に隠蔽情報が設けられていることを特徴とする二重容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱湯を注いで調理するインスタント食品等の容器として用いられる断熱容器に関し、さらに詳しくは、紙製容器本体とその胴部外側に貼着される筒状体から構成される二重容器であって、抽選番号などとして景品提供を行うことで販売促進に用いることができる隠蔽情報を備えた二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品等の内容物の販売促進を目的に、食品等の内容物を包装する包装体などに懸賞機能を付与する手段が用いられている。この手段の一つとしては、たとえば、隠蔽性を有する包装体内に、たとえば、カップ状容器内に当たり券等を収納し、カップ状容器を開封して、隠蔽情報としての「当たり外れ」等の情報を確認できるようになっている。この場合、当たり券は別途用意する必要があると共にこれをカップ状容器内に入れる作業が必要となるなど、結構手間隙がかかるという問題がある。
【0003】
上記問題を解決するための色々な提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術は、二重容器の筒状体に切れ目線で区画された領域を設け、この領域を切れ目線に沿って切り取ることにより、この領域の筒状体の裏面ないし容器本体の前記筒状体側の面に付与された「当たり外れ」等の情報を確認できるようにしたものであり、上記したカップ状容器の販売促進のための懸賞機能を付与する手段の問題点を解決するものであり、価値あるものである。
【0004】
しかしながら、上記した二重容器には、次のような問題がある。すなわち、隠蔽情報が少なく、筒状体に形成される切れ目線により区画される領域が前記筒状体の全面積に対して小さい円形、具体的には直径3cm以下、好ましくは2cm以下の場合にはそれほど問題にはならないが、隠蔽情報が多く、筒状体に形成される切れ目線により区画される領域が大きい円形、具体的には直径3cm超の場合や、前記筒状体の周方向に平行な切れ目線が設けられる場合、たとえば、切れ目線により区画される領域が矩形状の場合、前記筒状体の一方の開口部の周縁に内側にカールした内巻開口縁部を形成する際に、前記筒状体の周方向に平行な切れ目線で前記筒状体が座屈して、美麗な内巻開口縁部を形成することができないという問題がある。
【特許文献1】特開2003−276738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記したような諸問題を解決するためになされたものであって、美麗な内巻開口縁部を安定して形成することができると共に懸賞機能としての隠蔽情報が設けられた二重容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、少なくとも内面に熱可塑性樹脂層を有すると共に開口部の周縁が外側にカールした外巻開口縁部からなる胴部を有する有底状の紙製容器本体と、一方の開口部の周縁が内側にカールした内巻開口縁部を有する紙製筒状体を前記内巻開口縁部が前記容器本体の底部側に位置するように前記容器本体の胴部外側に貼着した二重容器であって、前記紙製筒状体には剥離することができる剥離領域が形成され、剥離開始手段から変形切目線に沿って剥離した前記剥離領域の前記紙製筒状体の裏面に隠蔽情報が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の二重容器において、前記剥離開始手段が前記紙製筒状体の接合部の外側端縁に形成した摘み部と、該摘み部の両端から周方向に延びる変形切目線とからなることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1記載の二重容器において、前記剥離開始手段が前記紙製筒状体に形成した前記紙製筒状体の接合部の外側端縁側に凸状となる凸状切目線と、該凸状切目線の両端から前記凸状切目線に対して乖離するように周方向に延びる変形切目線とからなることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4記載の本発明は、請求項3記載の二重容器において、前記凸状切目線の凸状側が切抜き部であることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の二重容器において、前記変形切目線が前記紙製筒状体の周方向に直交する方向の直線部と該直線部の両端から前記直線部に対して鋭角に突出する突出線部とからなる略Z字状切目線が周方向に一定間隔で形成されたものであることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項6記載の本発明は、請求項1記載の二重容器において、前記隠蔽情報がインクジェットプリンターで印字されてなることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項7記載の本発明は、請求項6記載の二重容器において、前記隠蔽情報が識別文字列であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の二重容器は、変形切目線で剥離領域を形成したので、紙製筒状体の内巻開口縁部を安定して形成することができるという効果を奏し、また、紙製筒状体の裏面に隠蔽情報を設けるので、(1)当たり券を別途用意する必要もなく、容器内に入れるという作業も排除できるという効果を奏し、(2)剥離領域を剥離開始手段から変形切目線に沿って容易に剥離することができて隠蔽情報を容易に確認することができるという効果を奏し、(3)隠蔽情報をインクジェットプリンターで設ける場合、隠蔽情報の形成が極めて容易であると共に情報量を多くすることができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる二重容器の構造を図解的に示す図、図2は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第1実施形態を示す展開図、図3は図2の裏面を示す図、図4は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第2実施形態を概略的に示すブランク板、図5は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第3実施形態を概略的に示すブランク板、図6は本発明の二重容器の紙製筒状体に形成する変形切目線を説明する要部拡大図であり、図中の1は二重容器、2は紙製容器本体、3は紙製筒状体、3a,3b,3cはブランク板、20は胴材、21は外巻開口縁部、22は底材、30は内巻開口縁部、31はV字状切欠、32は摘み部、33は一条の切目線、34は変形切目線、35はハーフカット線、36は略半円形凸状切目線、36’は切抜き部、340は略Z字状切目線、341は直線部、342は突出線部、Aは剥離領域をそれぞれ示す。
【0015】
図1は本発明にかかる二重容器の構造を図解的に示す図であって、二重容器1は一方の面にポリエチレン樹脂層を形成した略扇形状のポリエチレン塗工紙を前記ポリエチレン樹脂層面が内側となるように端縁を重ね合わせて接合して断面が台形状の筒状となした胴材20の大きい方の開口部の周縁を外側にカールさせて外巻開口縁部21を形成すると共に小さい方の開口部に一方の面にポリエチレン樹脂層を形成した円形状のポリエチレン塗工紙を前記ポリエチレン樹脂層が凸側の面となるように成形した周壁を備えた断面がコの字形状の底材22を挿入し、胴材20の小さい方の開口部の端縁を前記底材22の前記周壁を被覆して熱接着した有底状の紙製容器本体2と、略扇形状の厚紙の両端縁を重ね合わせて接合して断面が台形状の筒状になすと共に小さい方の開口部の周縁を内側にカールさせて内巻開口縁部30を形成した紙製筒状体3とからなり、前記紙製容器本体2の底材22側から前記紙製筒状体3を前記紙製容器本体2に挿入して前記紙製容器本体2の前記外巻開口縁部21側の貼着部(図示せず)で貼着したものである。
【0016】
図2は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第1実施形態を概略的に示すブランク板であって、ブランク板3aは略扇形状の厚紙からなり、前記ブランク板3aの一方の側端縁(図2上、左の側端縁)に形成された2つのV字状切欠31により剥離開始手段としての摘み部32が区画形成され、前記V字状切欠31の先端方向に一条の切目線33がそれぞれ形成されると共に前記一条の切目線33の先端方向に、後述する変形切目線34が形成され、さらに前記ブランク板3aの他方の側端縁(図2上、右の側端縁)の近傍に前記他方の側端縁に略平行なハーフカット線35(図2上、略コの字を連ねた形状の3条のハーフカット線が形成されているが、1条であっても3条以外の複数条であってもよい)が形成されているものである。このように構成された前記ブランク板3aは前記一方の側端縁が外側端縁となるように、前記他方の側端縁に重ね合わせて前記ハーフカット線35上に位置するように塗布形成された接着剤で接合して断面が台形状の筒状となすと共に小さい方の開口部の周縁を内側にカールさせて内巻開口縁部30を形成することにより紙製筒状体3とすることができる。なお、前記ブランク板3aの前記変形切目線34で区画される剥離領域Aの裏面に図3に示すように隠蔽情報が設けられている。隠蔽情報としては、懸賞への応募のキーとなる応募番号、たとえば、識別文字列、あるいは、当たり外れの情報、あるいは、抽選の対象となる情報や御神籤等々などであるが、図3においては。識別文字列として、たとえば、12桁の乱数が印字されている。
【0017】
上記のように構成された前記ブランク板3aからなる前記紙製筒状体3を前記紙製容器本体2に挿着した二重容器1は、前記紙製筒状体3の外側端縁に形成された前記摘み部32を手指で摘んで剥離することにより前記一条の切目線32から前記変形切目線33に沿って剥離領域Aを剥離することができ、剥離領域Aの前記紙製筒状体3の裏面に設けられた隠蔽情報を確認することができる。なお、前記V字状切欠31と前記変形切目線34との間に設ける前記一条の切目線33は剥離の容易さ(小さな力で剥離できること)を考慮して設けたものであり、剥離抵抗を考慮しないのであれば、別段設けなくてもよいものである。また、前記ハーフカット線35は前記摘み部32を手指で摘んで剥離する際に、紙層間の剥離を容易にして小さい力で剥離することができるように設けられているものであり、前記摘み部32に対応する前記ハーフカット線35部分に接着剤を設けない場合には、前記ハーフカット線35は設けなくてもよいものである。
【0018】
図4は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第2実施形態を概略的に示すブランク板であって、ブランク板3bは略扇形状の厚紙からなり、前記ブランク板3bの略中央部に前記ブランク板3bの一方の側端縁(図4上、左の側端縁)側に凸状となる剥離開始手段としての繋ぎ部を有する略半円形凸状切目線36と、該半円形凸状切目線36の両端から前記ブランク板3bの他方の側端縁(図4上、右の側端縁)側に延びる変形切目線34が形成されているものである。このように構成された前記ブランク板3bは前記一方の側端縁が外側端縁となるように、前記他方の側端縁に重ね合わせて接着剤で接合して断面が台形状の筒状となすと共に小さい方の開口部の周縁を内側にカールさせて内巻開口縁部30を形成することにより紙製筒状体3とすることができる。
【0019】
上記のように構成された前記ブランク板3bからなる前記紙製筒状体3を前記紙製容器本体2に挿着した二重容器1は、前記略半円形凸状切目線36の部分を起こし、これを摘み部として手指で摘んで剥離することにより前記変形切目線34に沿って剥離領域Aを剥離することができ、剥離領域Aの前記紙製筒状体3の裏面に設けられた隠蔽情報を確認することができる。
【0020】
図5は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第3実施形態を概略的に示すブランク板であって、ブランク板3cは図4に示した第2実施形態のブランク板3bにおいて、前記略半円形凸状切目線36の凸状側が切抜き部36’となっている以外は同じである。このように構成された前記ブランク板3cからなる前記紙製筒状体3を前記紙製容器本体2に挿着した二重容器1は、前記切抜き部36’の部分から手指を入れるなどして剥離領域Aを前記変形切目線34に沿って容易に剥離して、剥離領域Aの前記紙製筒状体3の裏面に設けられた隠蔽情報を確認することができる。
【0021】
なお、図4に示した第2実施形態の前記略半円形凸状切目線36は、略半円形に限るものではなく、三角形、四角形などの多角形等であってもよく、要するに本発明の趣旨を逸脱しない範疇のものはすべて含まれるものである。
【0022】
図6は本発明の二重容器の紙製筒状体に形成する変形切目線を説明する要部拡大図であって、変形切目線34は、たとえば、前記ブランク板3aを紙製筒状体3とした際の周方向に直交する方向の直線部341と該直線部の両端から前記直線部341に対して鋭角に突出する突出線部342とからなる略Z字状切目線340が周方向に一定間隔で形成されたものである。前記直線部341の長さとしては3〜6mm、前記直線部341同士の間隔としては3〜6mm、前記突出線部342の長さとしては1〜3mm、前記直線部341に対する前記突出線部342の角度としてはそれぞれの先端を延長した仮想線を想定した際に、前記仮想線がそれぞれ隣り合う前記直線部341と交わるように、さらに好ましくはそれぞれ隣り合う前記直線部341を3等分した際の真中に位置する部分と交わるように設けることが肝要である。このように構成することにより、剥離した際に変形切目線34から外れることなく必ず略Z字状切目線340を順に経由して剥離され、確実に設計通りの剥離領域Aを確保することができる。なお、前記一条の切目線33の長さとしては2〜5mmが適当であり、また、前記一条の切目線33とこれに隣り合う前記略Z字状切目線340との間隔としては2〜5mmが適当である。また、前記一条の切目線33と前記V字状切欠31(図示せず)の先端との間隔についても2〜5mmが適当である。また、図4に示した前記略半円形凸状切目線36の両端とこれに隣り合う前記略Z字状切目線340との間隔についても2〜5mmが適当である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる二重容器の構造を図解的に示す図である。
【図2】本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第1実施形態を示す展開図である。
【図3】図2の裏面を示す図である。
【図4】本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第2実施形態を概略的に示すブランク板である。
【図5】本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第3実施形態を概略的に示すブランク板である。
【図6】本発明の二重容器の紙製筒状体に形成する変形切目線を説明する要部拡大図である。
【符号の説明】
【0024】
1 二重容器
2 紙製容器本体
3 紙製筒状体
3a,3b,3c ブランク板
20 胴材
21 外巻開口縁部
22 底材
30 内巻開口縁部
31 V字状切欠
32 摘み部
33 一条の切目線
34 変形切目線
35 ハーフカット線
36 略半円形凸状切目線
36’ 切抜き部
340 略Z字状切目線
341 直線部
342 突出線部
A 剥離領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも内面に熱可塑性樹脂層を有すると共に開口部の周縁が外側にカールした外巻開口縁部からなる胴部を有する有底状の紙製容器本体と、一方の開口部の周縁が内側にカールした内巻開口縁部を有する紙製筒状体を前記内巻開口縁部が前記容器本体の底部側に位置するように前記容器本体の胴部外側に貼着した二重容器であって、前記紙製筒状体には剥離することができる剥離領域が形成され、剥離開始手段から変形切目線に沿って剥離した前記剥離領域の前記紙製筒状体の裏面に隠蔽情報が設けられていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
前記剥離開始手段が前記紙製筒状体の接合部の外側端縁に形成した摘み部と、該摘み部の両端から周方向に延びる変形切目線とからなることを特徴とする請求項1記載の二重容器。
【請求項3】
前記剥離開始手段が前記紙製筒状体に形成した前記紙製筒状体の接合部の外側端縁側に凸状となる凸状切目線と、該凸状切目線の両端から前記凸状切目線に対して乖離するように周方向に延びる変形切目線とからなることを特徴とする請求項1記載の二重容器。
【請求項4】
前記凸状切目線の凸状側が切抜き部であることを特徴とする請求項3記載の二重容器。
【請求項5】
前記変形切目線が前記紙製筒状体の周方向に直交する方向の直線部と該直線部の両端から前記直線部に対して鋭角に突出する突出線部とからなる略Z字状切目線が周方向に一定間隔で形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二重容器。
【請求項6】
前記隠蔽情報がインクジェットプリンターで印字されてなることを特徴とする請求項1記載の二重容器。
【請求項7】
前記隠蔽情報が識別文字列であることを特徴とする請求項6記載の二重容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−298391(P2006−298391A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118566(P2005−118566)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】