説明

二重容器

【課題】 紙製筒状体の易剥離領域の剥離開始部を容易に摘んで剥離することができると共に応募券、抽選番号等の秘匿情報を易剥離領域の外側から視認できない部分に設けられた二重容器を提供することである。
【解決手段】 少なくとも内面に熱可塑性樹脂層が積層されると共に開口部の周縁に外巻開口縁部を備えた有底状の紙製容器本体と、内巻開口縁部を有する紙製筒状体を紙製容器本体の胴部外側に貼着した二重容器であって、紙製筒状体には切目線で区画された易剥離領域が形成され、切目線上に設けられた剥離開始部から切目線に沿って剥離した易剥離領域の裏面に秘匿情報が設けられていると共に、剥離開始部は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成され、該円弧状切目線は剥離開始端部側に位置する刃止めと刃止めに連なる切線から形成され、易剥離領域側には押罫線が形成されていることを特徴とする二重容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱湯を注いで調理するインスタント食品、電子レンジ加熱調理食品等の断熱容器として用いられる紙製容器本体とその胴部外側に貼着される紙製筒状体から構成される二重容器に関し、さらに詳しくは、紙製筒状体を容易に剥離することができると共に応募券、抽選番号、点数、籤等の販売促進に用いることができる秘匿情報が表れるようにした二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品等の内容物の販売促進を目的に、食品等の内容物を包装する包装体などに懸賞機能を付与する手段が用いられている。この手段の一つとしては、たとえば、隠蔽性を有する包装体内、たとえば、カップ状容器内に当たり券等を収納し、カップ状容器を開封して、秘匿情報としての「当たり外れ」等の情報が確認できるようになっている。この場合、当たり券は別途準備する必要があると共にこれをカップ状容器内に入れる作業が必要となるなど、工程が煩雑になり、手間隙がかかるという問題があった。
【0003】
上記問題を解決するために、二重容器の筒状体に切れ目線で区画された切り取り片が形成され、この切り取り片を切れ目線に沿って切り取ることにより、この切り取り片の形成された筒状体の裏面ないし容器本体の筒状体側の面に付与された「当たり外れ」等の情報を確認できるようにしたり、あるいは切り取り片の一周縁部に切り欠きを形成して切り取り片を切り取るための取っ掛かりとする二重容器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、前者の二重容器の筒状体に形成された切り取り片は、切り取り開始端を手指で摘みにくいという問題がある。また、後者の場合は、切り取り片の一周縁部に形成された切り欠きが取っ掛かりとなり、切り取りし易くなっている。しかしながら、筒状体に形成された切り欠きが窓となって、該窓より容器本体の外面の一部が見えるために、筒状体に施すデザインを違和感のないものにする必要があり、デザインの自由度が狭くなったり、該窓に異物が付着し易くなり、外観上、衛生上、不都合が生じる場合があるという問題がある。
【0005】
また、二重容器の筒状体に剥離開始手段から変形切目線に沿って剥離可能な剥離領域が形成され、剥離開始手段が紙製筒状体の接合部の外側端縁に摘み部と、該摘み部の両端から変形切目線が周方向に延びるようにした二重容器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示された技術により、摘み部を容易に摘むことができ、切り取り易くなるとともに、筒状体に施すデザインの自由度が広くなったが、反面、摘み部が端部にあるために二重容器の製造工程時あるいは、輸送時のハンドリングにおいて、摘み部を引っ掛けて、剥離領域が一部剥離しかけるという不良品がときどき発生するという問題がある。
【特許文献1】特開2003−276738号公報
【特許文献2】特開2006−298391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記したような諸問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、紙製筒状体の易剥離領域の剥離開始部を容易に摘んで剥離することができ、二重容器の製造工程時あるいは、輸送時のハンドリングにおいて、易剥離領域が剥離することがなく、応募券、抽選番号等の秘匿情報を易剥離領域の外側から視認できない部分に設けられた二重容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明は、少なくとも内面に熱可塑性樹脂層が積層されると共に開口部の周縁が外側にカールした外巻開口縁部からなる胴部を有する有底状の紙製容器本体と、一方の開口部の周縁が内側にカールした内巻開口縁部を有する紙製筒状体を前記内巻開口縁部が前記紙製容器本体の底部側に位置するように前記紙製容器本体の胴部外側に貼着した二重容器であって、前記紙製筒状体には切目線で区画された剥離可能な易剥離領域が形成され、前記切目線上に設けられた剥離開始部から前記切目線に沿って剥離した前記易剥離領域の前記紙製筒状体の裏面に秘匿情報が設けられていると共に、前記剥離開始部は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成され、該円弧状切目線は前記外巻開口縁部側且つ前記剥離開始端部側に位置する刃止めと刃止めに連なる切線から形成されており、前記剥離開始部近傍の前記易剥離領域側には外面から内面に凹む押罫線が形成されていることを特徴とする二重容器である。
【0008】
また、請求項2記載の本発明は、少なくとも内面に熱可塑性樹脂層が積層されると共に開口部の周縁が外側にカールした外巻開口縁部からなる胴部を有する有底状の紙製容器本体と、一方の開口部の周縁が内側にカールした内巻開口縁部を有する紙製筒状体を前記内巻開口縁部が前記紙製容器本体の底部側に位置するように前記紙製容器本体の胴部外側に貼着した二重容器であって、前記紙製筒状体には切目線で区画された剥離可能な易剥離領域が形成され、該易剥離領域に設けられた剥離開始部から前記切目線に沿って剥離した前記易剥離領域の前記紙製筒状体の裏面に秘匿情報が設けられていると共に、前記剥離開始部は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成され、該円弧状切目線は前記外巻開口縁部側且つ前記剥離開始端部側に位置する刃止めと刃止めに連なる切線から形成されており、前記剥離開始部の前記切線に隣接する非易剥離領域に前記切線に近接して切込が設けられていることを特徴とする二重容器である。
【0009】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の二重容器において、前記剥離開始部の切線に隣接する非易剥離領域に前記切線に近接して切込が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二重容器は、紙製筒状体には切目線で区画された剥離可能な易剥離領域が形成され、切目線上に設けられた剥離開始部から切目線に沿って剥離した易剥離領域の紙製筒状体の裏面に秘匿情報が設けられていると共に、剥離開始部は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成された構成としたので、(1)当たり券等を別途準備する必要もなく、容器内に入れるという作業もなく、工程が簡略化できるという効果を奏し、(2)易剥離領域を剥離するまでは秘匿情報が人目に触れることなく隠蔽できるという効果を奏し、(3)易剥離領域の剥離開始部を摘み切目線に沿って容易に剥離することができ応募券、抽選番号等の秘匿情報を容易に確認することができるという効果を奏するものである
【0011】
さらに、請求項1記載の本発明は、円弧状切目線は外巻開口縁部側且つ剥離開始端部側に位置する刃止めと刃止めに連なる切線から形成されており、剥離開始部近傍の易剥離領域側には外面から内面に凹む押罫線が形成されていることにより、剥離開始部の剥離開始端部側が外側に隆起しているために切線が取っ掛かりとなって、手指もしくは爪を入れ込み押罫線で外側に折り曲げて容易に剥離開始部を摘むことができ、簡単に易剥離領域を剥離できるという効果を奏するものである。
【0012】
また、請求項2記載の本発明は、円弧状切目線は外巻開口縁部側且つ剥離開始端部側に位置する刃止めと刃止めに連なる切線から形成されており、剥離開始部の切線に隣接する非易剥離領域に切線に近接して切込が設けられていることにより、切込を手指で内側に押し込むと剥離開始部の剥離開始端部側に段差が生じ、切線を取っ掛かりとして手指もしくは爪を入れ込み剥離開始部を容易に摘めるので簡単に易剥離領域を剥離できるという効果を奏するものである。
【0013】
また、請求項3記載の本発明は、円弧状切目線は外巻開口縁部側且つ剥離開始端部側に位置する刃止めと刃止めに連なる切線から形成されており、剥離開始部近傍の易剥離領域側には外面から内面に凹む押罫線が形成されるとともに、剥離開始部の切線に隣接する非易剥離領域に切線に近接して切込が設けられている構成とすることにより、より容易に剥離開始部を摘むことができ、簡単に易剥離領域を剥離できるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる二重容器の構造を図解的に示す断面図、図2は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第1実施形態を示すブランクの概略展開図、図3は図2の剥離開始部を説明する要部拡大図、図4は図2の裏面を示す図、図5は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第2実施形態を示すブランクの剥離開始部を説明する要部拡大図、図6は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第3実施形態を示すブランクの剥離開始部を説明する要部拡大図であり、図中の1は二重容器、2は紙製容器本体、3は紙製筒状体、3aはブランク、4は易剥離領域、5は非易剥離領域、6は切込、20は胴材、21は外巻開口縁部、22は底材、23は糸じり部、30は貼着部、31は内巻開口縁部、32は胴貼り部、33はカール成形予定部、34は他方の開口縁、34’他方の上端縁、35はカール成形予定部の他方の上端縁側の端部、40は切目線、41、41’、41’’は剥離開始部、401、402は刃止め、410は切線、411は押罫線、Cは中間線、Sは中間線から他方の上端縁までの範囲、lは高さ方向の長さ、rは周方向の長さをそれぞれ示す。
【0015】
図1は本発明にかかる二重容器の構造を図解的に示す断面図であって、二重容器1は一方の面に熱可塑性樹脂層としてポリエチレン樹脂層が積層された略扇形状のポリエチレンラミネート紙をポリエチレン樹脂層面が内側となるように端縁を重ね合わせて接合して断面が台形状の筒状となした胴材20の大きい方の開口部を上側にして該開口部の周縁を外側にカールさせて外巻開口縁部21を形成すると共に下側の小さい方の開口部の下端部を内側に屈曲し形成した折り返し部に、一方の面に熱可塑性樹脂層としてポリエチレン樹脂層を形成した円形状のポリエチレンラミネート紙の外周縁部を下方へ屈曲してポリエチレン樹脂層が凸側の面となるように成形した底屈曲部を備えた断面がコの字形状の底材22を挿入し、該底屈曲部を胴材20の下端部と折り返し部とで挟んで加熱圧着して接合した糸じり部23が形成された有底状の紙製容器本体2と、厚紙を打抜いた略扇形状のブランクの両端縁を重ね合わせて接合して断面が台形状の筒状になすと共に大きいほうの開口部の端部に貼着部30を備え、小さい方の開口部の周縁を内側にカールさせて内巻開口縁部31を形成した紙製筒状体3とからなり、紙製容器本体2の底材22側から紙製筒状体3を紙製容器本体2に挿入して紙製容器本体2の外巻開口縁部21側と貼着部30で貼着したものである。
【0016】
図2は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第1実施形態を示すブランクの概略展開図である。紙製筒状体3のブランク3aは、図2に示すように厚紙を略扇形状打ち抜いたものであって、その左右両端部(図2の上下)は胴貼り部32、紙製筒状体3の高さ方向となる一方の下端縁(図2の右)は内側にカールさせて成形し内巻開口縁部31となるカール成形予定部33となっている。カール成形予定部33と対向する他方の上端縁34’(筒状となった紙製筒状体3の他方の開口縁34に相当)には紙製容器本体2の外巻開口縁部21側と貼着される貼着部30を備えている。さらに、ブランク3aには、紙製筒状体3において、高さ方向の内巻開口縁部31から該内巻開口縁部31と対向する他方の開口縁34までの長さの中位点を通る中間線Cから他方の上端縁34’までの範囲S(網点で示した部分)内にミシン目の切目線40で区画された剥離可能な易剥離領域4が形成されている。易剥離領域4は、カール成形予定部33から他方の上端縁34’に向かう高さ方向の長さlより周方向の長さrが長くなるように横長に形成され、胴貼り部32に近い方に剥離開始部41が設けられている。なお、図1における中間線Cの位置は、図2において、カール成形予定部33の他方の上端縁34’側の端部35から他方の上端縁34’の中位点を通るものである。易剥離領域4は、縦長にすることもできるが、横長に設ける方が、紙製筒状体3に座屈が生じることを危惧することなく、内巻開口縁部31を安心して形成することができるので好ましい。また、易剥離領域4が形成される位置は、中間線Cから他方の上端縁34’までの範囲S以外に設けることもできるが、該範囲Sに設けた方が、紙製筒状体3の内巻開口縁部31の形成時に易剥離領域4の近傍の座屈発生が防止でき外観のよい紙製筒状体3が得られるので好ましい。また、易剥離領域4は、胴貼り部32及び貼着部30に重なると剥離性が悪くなるので重ならないように形成するのが好ましい。また、易剥離領域4の形状は、特に限定されるものではなく、円形、楕円形、矩形等とすることができ、特に限定されるものではない。また、切目線40は、ミシン目を例示したが、間欠した切目であれば、形状は特に限定されるものではなく、直線や曲線、あるいはそれらの組合せで構成することができる。
【0017】
図3は、図2の剥離開始部41を説明する要部拡大図であって、図2の円内に示される部分に相当する。剥離可能な易剥離領域4を区画する切目線40の線上に設けられた剥離開始部41は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成され、該円弧状切目線は他方の上端縁34’側(二重容器1の外巻開口縁部21側)且つ剥離開始端部側に位置する刃止め401とカール成形予定部33側且つ剥離開始端部側に位置する次の刃止め402に連なる切線410から形成されており、剥離開始部41近傍の易剥離領域4側には外面から内面に凹む押罫線411が形成されている。なお、剥離開始部41は切線410と押罫線411と刃止め401、402で囲まれる部分を指し、剥離開始時の摘み部となるものである。また、押罫線411は、切線410と対向する位置で刃止め401の近傍から刃止め402近傍に伸びるように設ける方が剥離開始部41の剥離開始端部となる切線410側が外側に隆起し、剥離開始時の取っ掛かりとなるため好ましい。また、剥離開始部41の大きさは少なくとも指で摘める程度の大きさを最小限にすればよい。
【0018】
このように構成されたブランク3aは両端部の胴貼り部32を一方の胴貼り部32が外側端縁となるように、他方の胴貼り部32に重ね合わせて接着剤で封筒貼りして断面が台形状の筒状となすと共に小さい方の開口部の周縁に設けられたカール成形予定部33を内側にカールさせて内巻開口縁部31を形成することにより紙製筒状体3とすることができる。図4に示すように、切目線40で区画された剥離可能な易剥離領域4の裏面には秘匿情報が設けられている。秘匿情報としては、懸賞への応募のキーとなる応募券番号、抽選番号、籤、たとえば、識別文字列、あるいは、当たり外れの情報、あるいは、抽選の対象となる情報やポイント点数等々などである。本例では、当たり外れの情報として、たとえば、当たりが印字されている。
【0019】
上記のように構成されたブランク3aからなる紙製筒状体3を紙製容器本体2に挿着した二重容器1は、紙製筒状体3の易剥離領域4に設けられた剥離開始部41の切線410を取っ掛かりとして手指もしくは爪を入れ込み押罫線411で剥離開始部41を外側に折り曲げて、これを摘み部として摘み、切目線40に沿って易剥離領域4を剥離することができ、易剥離領域4の紙製筒状体3の裏面に設けられた秘匿情報を確認することができる。
【0020】
図5は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第2実施形態を示すブランクの剥離開始部を説明する要部拡大図であって、図2の円内に示される部分に相当するものである。図5に示すように、剥離開始部41’は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成され、該円弧状切目線は他方の上端縁34’側(二重容器1の外巻開口縁部21側)且つ剥離開始端部側に位置する刃止め401とカール成形予定部33側且つ剥離開始端部側に位置する次の刃止め402に連なる切線410から形成されており、剥離開始部41’の切線410に隣接する非易剥離領域5に切線410に近接して切込6が設けられている。その他は、第1実施形態と同じである。非易剥離領域5に設けられた切込6は、切線410の中位点に近接して、交差する方向に設けられている。切込6は切線410から0.5〜1.0mmの位置に近接させて設けるのがよい。0.5mm未満では紙製筒状体の成形時、切込6と切線410が連結する恐れがあり、連結すると刃止め機能が損なわれ、剥離開始部41’が成形後、浮いてしまう傾向がある。1.0mmを超えると切込6付近を手指で押しても刃止めが外れにくくなり切込6と切線410が連結することがないために刃止め機能が損なわれ、剥離開始部41’を摘んで剥離しにくい傾向がある。また、切込6の長さは3mm〜15mm程度でよい。
【0021】
上記の構成にすることにより、ブランクから作製した紙製筒状体3を紙製容器本体2に挿着した二重容器1は、紙製筒状体3の非易剥離領域5に設けられた切込6に手指を当接させ紙製容器本体2側に押し込むことにより易剥離領域4に設けられた剥離開始部41’とに段差ができ、切線410より手指もしくは爪が入れ込み易くなり、剥離開始部41’を摘み、切目線40に沿って易剥離領域4を剥離することができ、易剥離領域4の紙製筒状体3の裏面に設けられた秘匿情報を確認することができる。
【0022】
図6は本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第3実施形態を示すブランクの剥離開始部を説明する要部拡大図であって、図2の円内に示される部分に相当するものである。第3実施形態は、第1実施形態の易剥離領域と第2実施形態の切線とを複合した形態である。図6に示すように、剥離開始部41’’は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成され、該円弧状切目線は他方の上端縁34’側(二重容器1の外巻開口縁部21側)且つ剥離開始端部側に位置する刃止め401とカール成形予定部33側且つ剥離開始端部側に位置する次の刃止め402に連なる切線410から形成されており、剥離開始部41’’近傍の易剥離領域4側には外面から内面に凹む押罫線411が形成されている。さらに、剥離開始部41’’の切線410に隣接する非易剥離領域5に切線410に近接して切込6が設けられている。切込6は第2実施形態と同じであり、その他は、第1実施形態と同じであり、説明を省略する。
【0023】
上記の構成にすることにより、ブランクから作製した紙製筒状体3を紙製容器本体2に挿着した二重容器1は、紙製筒状体3の非易剥離領域5に設けられた切込6に手指を当接させ紙製容器本体2側に押し込むことにより易剥離領域4に設けられた剥離開始部41’’とに隙間ができ、切線410より手指もしくは爪を入れ込み押罫線411で剥離開始部41’’を外側に折り曲げて、これを摘み部として摘み、切目線40に沿って易剥離領域4を剥離することができ、易剥離領域4の紙製筒状体3の裏面に設けられた秘匿情報を確認することができる。このように、剥離開始端部側に円弧状の切線を形成し、剥離開始部近傍の易剥離領域側に押罫線を形成するとともに、剥離開始部の切線に隣接する非易剥離領域に切線に近接して切込を設けた構成とすることにより、より容易に剥離開始部を摘むことができ、簡単に易剥離領域を剥離できる。
【0024】
次に、本発明にかかる二重容器を構成する材料について説明する。紙製容器本体2の材料としては、紙を基材層として少なくとも内面に熱可塑性樹脂層を積層した積層体を使用している。紙としては主にカップ原紙を使用し、その坪量は、150〜450g/m2 程度である。そのカップ原紙の内面には、15〜80μmの範囲で低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂層やポリエステル樹脂層が押出しコートされて形成される。このポリオレフィン系樹脂層やポリエステル樹脂は、内容物の板紙への浸透防止、内容物保護適性の向上の他に、底部、カール部、胴貼り部におけるカップ成形性をよくし、蓋材(図示せず)の外巻開口縁部21におけるヒートシールによる封緘性をも良好にする効果をもたらしている。この紙製容器本体2は、プラスチックを主材料とするプラスチックカップとすることもできる。
【0025】
一方、紙製筒状体3の材料としては、坪量200〜450g/m2 のカード紙、コートボール紙等の板紙を使用することができる。坪量が、200g/m2未満であると紙製筒状体3の剛性が低くなりすぎて、特に高熱時に撓みが大きくなりすぎて充分な断熱効果が得られなくなり、また450g/m2 を超えると、剛性は高くなるが、内巻開口縁部31の加工性が低下し、材料コストも高くなるので好ましくない。
【0026】
次に、本発明の二重容器について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0027】
外面側からカップ原紙250g/m2 /低密度ポリエチレン樹脂25μmの積層体を使用して、開口部内径が130.0mmφ、底外径が100.0mmφ、高さが105.0mmの形状で、内容量が700.0cc(満注時)の紙製容器本体2を作製した。
【0028】
つぎに、コートボール270g/m2を使用して、胴貼り部32の周方向の長さを10mmとして上端部内径が132.0mmφの形状の断面台形状の筒状にし、下端部のカール成形予定部33を内側にカールさせて内巻開口縁部31を有する紙製筒状体3を作製し、紙製容器本体2に紙製筒状体3を嵌合して貼着部30を接着剤で貼着して二重容器1を作製した。なお、紙製筒状体3には、胴貼り部32の端縁から20mm、他方の開口縁34から20mm離れた位置から外寸法がl=15mm、r=60mmで且つ高さ方向の長さlの辺に剥離開始端部側が凸の円弧状とした矩形状の易剥離領域4を形成し、切目線40は切目3mm、刃止め0.8mmのミシン目とし、切線410、押罫線411を形成して図2のブランクを作製して用いた。なお、貼着部30の高さ方向の長さを15mmとし、中間線Cが他方の開口縁34から50mmの位置になるようにした。また、易剥離領域4の裏面には、あらかじめ、くじの「当たり」「外れ」の印刷を行った。
【実施例2】
【0029】
実施例2は実施例1の易剥離領域4に押罫線411を形成せずに、図5に示すように切線410に近接して切込6を設けた構成とした以外は実施例1と同じブランクを用いて実施例1と同じ二重容器を作製した。なお、切込6は切線410から0.8mm離れた位置から切線410に直交する角度で5mm長さとした。
【実施例3】
【0030】
実施例3は実施例1に用いた紙製筒状体3に用いるブランクにおいて、図6に示すように切線410に近接して切込6を設けた構成とした以外は実施例1と同じ二重容器を作製した。なお、切込6は切線410から0.8mm離れた位置から切線410に直交する角度で5mm長さとした。
【0031】
実施例1〜3の二重容器は、いずれも、剥離開始部を簡単に摘むことができ、易剥離領域を切目線に沿って容易に剥離することができ、籤の「当たり」「外れ」を視認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にかかる二重容器の構造を図解的に示す断面図である。
【図2】本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第1実施形態を示すブランクの概略展開図である。
【図3】図2の剥離開始部を説明する要部拡大図である。
【図4】図2の裏面を示す図である。
【図5】本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第2実施形態を示すブランクの剥離開始部を説明する要部拡大図である。
【図6】本発明にかかる二重容器に用いる紙製筒状体の第3実施形態を示すブランクの剥離開始部を説明する要部拡大図である。
【符号の説明】
【0033】
1 二重容器
2 紙製容器本体
3 紙製筒状体
3a ブランク
4 易剥離領域
5 非易剥離領域
6 切込
20 胴材
21 外巻開口縁部
22 底材
23 糸じり部
30 貼着部
31 内巻開口縁部
32 胴貼り部
33 カール成形予定部
34 他方の開口縁
34’ 他方の上端縁
35 カール成形予定部の他方の上端縁側の端部
40 切目線
41、41’、41’’ 剥離開始部
401、402 刃止め
410 切線
411 押罫線
C 中間線
S 中間線から他方の上端縁までの範囲
l 高さ方向の長さ
r 周方向の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも内面に熱可塑性樹脂層が積層されると共に開口部の周縁が外側にカールした外巻開口縁部からなる胴部を有する有底状の紙製容器本体と、一方の開口部の周縁が内側にカールした内巻開口縁部を有する紙製筒状体を前記内巻開口縁部が前記紙製容器本体の底部側に位置するように前記紙製容器本体の胴部外側に貼着した二重容器であって、前記紙製筒状体には切目線で区画された剥離可能な易剥離領域が形成され、前記切目線上に設けられた剥離開始部から前記切目線に沿って剥離した前記易剥離領域の前記紙製筒状体の裏面に秘匿情報が設けられていると共に、前記剥離開始部は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成され、該円弧状切目線は前記外巻開口縁部側且つ前記剥離開始端部側に位置する刃止めと刃止めに連なる切線から形成されており、前記剥離開始部近傍の前記易剥離領域側には外面から内面に凹む押罫線が形成されていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
少なくとも内面に熱可塑性樹脂層が積層されると共に開口部の周縁が外側にカールした外巻開口縁部からなる胴部を有する有底状の紙製容器本体と、一方の開口部の周縁が内側にカールした内巻開口縁部を有する紙製筒状体を前記内巻開口縁部が前記紙製容器本体の底部側に位置するように前記紙製容器本体の胴部外側に貼着した二重容器であって、前記紙製筒状体には切目線で区画された剥離可能な易剥離領域が形成され、該易剥離領域に設けられた剥離開始部から前記切目線に沿って剥離した前記易剥離領域の前記紙製筒状体の裏面に秘匿情報が設けられていると共に、前記剥離開始部は、剥離開始端部側が凸の円弧状切目線で形成され、該円弧状切目線は前記外巻開口縁部側且つ前記剥離開始端部側に位置する刃止めと刃止めに連なる切線から形成されており、前記剥離開始部の前記切線に隣接する非易剥離領域に前記切線に近接して切込が設けられていることを特徴とする二重容器。
【請求項3】
前記剥離開始部の前記切線に隣接する非易剥離領域に前記切線に近接して切込が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二重容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−202892(P2009−202892A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45374(P2008−45374)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】