説明

二重式フレキシブルコンテナの排出部構造

【課題】二重式フレキシブルコンテナの搬送時などに、内袋の内部に収容されている被収容物が、内袋の排出筒体内の排出口を通して不意に多量に排出されることを、より確実に防止する。
【解決手段】二重式フレキシブルコンテナの排出部構造は、外殻を構成するコンテナ本体4と、コンテナ本体4に内嵌される樹脂フィルム製の内袋5とを備える。コンテナ本体4は、内部を下方に連通させる下部外筒体12を有し、一方、内袋5は、下部外筒体12に内嵌され、内袋5の内部から下方に向かって被収容物2を排出可能にさせる排出筒体24を有する。下部外筒体12の軸心3上で、下部外筒体12と排出筒体24との間の隙間30に挿入される内筒体31が設けられる。隙間30を閉じるよう、内筒体31の軸方向の一端部31aが下部外筒体12に固着される一方、内筒体31の軸方向の他端部31bが排出筒体24に固着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外殻を構成するコンテナ本体と、このコンテナ本体に内嵌され、その内部に粉粒体などの被収容物を収容可能とする内袋とを備えた二重式フレキシブルコンテナの排出部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記二重式フレキシブルコンテナには、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、フレキシブルコンテナは、外殻を構成するコンテナ本体と、このコンテナ本体に内嵌され、その内部に被収容物を収容可能とする樹脂フィルム製の内袋とを備えている。また、上記コンテナ本体は、その内部を下方に連通させる下部外筒体を有し、一方、上記内袋は、上記下部外筒体に内嵌され、上記内袋の内部から下方に向かって被収容物を排出可能にさせる排出筒体を有している。また、この排出筒体の下端部は、上記下部外筒体の下端部を挟むよう折り返されて、互いに固着され、この固着により、上記下部外筒体と排出筒体との間の隙間が閉じられている。
【0003】
上記フレキシブルコンテナにおけるコンテナ本体は、上記内袋と、この内袋に収容された被収容物からの荷重とを強固に支持するための強度部材であって、一般に、基材として強度の大きい合成繊維と、この合成繊維の外面に施されるポリプロピレン(PP)などの熱可塑性の樹脂コーティング材とを備えている。
【0004】
一方、上記フレキシブルコンテナにおいて被収容物を収容する内袋は、上記コンテナ本体のほつれにより生じた繊維屑のような異物が上記フレキシブルコンテナに収容される被収容物に混入しないようにするための保護部材であって、一般に樹脂フィルム製とされ、その材質は、上記コンテナ本体のコーティング材と同様とされ、一般的にはポリエチレン(PE)が用いられることが多い。
【0005】
上記フレキシブルコンテナは、一般に、次のように使用される。
【0006】
即ち、まず、上記下部外筒体と排出筒体とを絞り具により一体的に絞って、上記排出筒体内の排出口を閉じると共に、上記フレキシブルコンテナを吊り下げ状態にする。次に、上記内袋が有する注入筒体内の注入口を通して上記内袋の内部に被収容物を注入して収容させた後、上記注入口を閉じれば、上記フレキシブルコンテナへの被収容物の収容が終わる。
【0007】
その後、上記フレキシブルコンテナの吊り下げ状態を解除し、車両などにより上記フレキシブルコンテナを被収容物と共に所望位置にまで輸送し、ここで、再び、上記フレキシブルコンテナを吊り下げ状態にする。次に、上記絞り具を緩めて、上記排出筒体内の排出口を開ければ、この排出口を通し、上記所望位置に対し上記内袋の内部から被収容物が排出される。
【0008】
ここで、上記コンテナ本体のほつれにより生じた繊維屑や、フレキシブルコンテナの外部から入り込んでくる塵埃などの異物が上記コンテナ本体と内袋との間の隙間に落下することがある。この場合、前記したように、排出筒体の下端部は、上記下部外筒体の下端部を挟むよう折り返されていて、互いに固着されることにより上記隙間が閉じられている。このため、この隙間を通し、上記異物がフレキシブルコンテナの下方に自由に落下することは防止される。つまり、上記内袋の内部から被収容物が排出されるとき、この被収容物に上記異物が混入するという不都合の発生は防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−22736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記従来のフレキシブルコンテナでは、排出筒体内の排出口を閉じる場合、コンテナ本体の下部外筒体と内袋の排出筒体との組み合わせ体を絞り具により絞るようにしている。
【0011】
このため、仮に、フレキシブルコンテナの搬送時などにおいて、上記絞り具が何らかの理由で緩み、上記排出口が開いたとすると、上記内袋の内部に収容されている被収容物は、上記排出口を通し多量に排出されてしまうおそれがあって、好ましくない。
【0012】
また、前記したように排出筒体の下端部は強度の大きい下部外筒体の下端部を挟むよう折り返されていて、互いに固着され、三枚重ねとされている。このため、上記組み合わせ体の可撓性は低下しがちとなる。よって、上記排出筒体内の排出口を密に閉じようとして、上記組み合わせ体を絞り具により絞る場合には、この絞りの作業のために大きい操作力が要求されるおそれがある。そして、この場合には、上記排出筒体内の排出口を閉じる作業が煩雑になるという不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、二重式フレキシブルコンテナを構成するコンテナ本体の下部外筒体と、上記コンテナ本体に内嵌される内袋の排出筒体との間の隙間を閉じた場合において、フレキシブルコンテナの搬送時などに、上記内袋の内部に収容されている被収容物が、この内袋の排出筒体内の排出口を通して不意に多量に排出されることを、より確実に防止し、かつ、上記排出口を密に閉じる作業が容易にできるようにすることである。
【0014】
請求項1の発明は、全図に例示するように、外殻を構成するコンテナ本体4と、このコンテナ本体4に内嵌され、その内部に被収容物2を収容可能とする樹脂フィルム製の内袋5とを備え、上記コンテナ本体4が、その内部を下方に連通させる下部外筒体12を有し、一方、上記内袋5が、上記下部外筒体12に内嵌され、上記内袋5の内部から下方に向かって被収容物2を排出可能にさせる排出筒体24を有した二重式フレキシブルコンテナにおいて、
上記下部外筒体12の軸心3上で、この下部外筒体12と上記排出筒体24との間の隙間30に挿入される内筒体31を設け、上記隙間30を閉じるよう、上記内筒体31の軸方向の一端部31aを上記下部外筒体12に固着する一方、上記内筒体31の軸方向の他端部31bを上記排出筒体24に固着したことを特徴とする二重式フレキシブルコンテナの排出部構造である。
【0015】
請求項2の発明は、図1〜3に例示するように、上記下部外筒体12が、その基部側を構成する外筒体本体16と、上端部がこの外筒体本体16に固着Aされる一方、下端部側が下方に向かって延出し、少なくとも表面が上記内筒体31と溶着可能な樹脂製の延長筒体17とを有し、上記内筒体31の一端部31aを上記延長筒体17に溶着Bする一方、上記内筒体12の他端部31bを上記排出筒体24に溶着Cしたことを特徴とする請求項1に記載の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造である。
【0016】
請求項3の発明は、図1〜3に例示するように、上記内筒体31の一端部31aを下端部として上記下部外筒体12に固着する一方、上記内筒体31の他端部31bを上端部として上記排出筒体24に固着したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造である。
【0017】
請求項4の発明は、図3に例示するように、上記内筒体31の一端部31aを上端部として上記下部外筒体12に固着する一方、上記内筒体31の他端部31bを下端部として上記排出筒体24に固着したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造である。
【0018】
請求項5の発明は、図4に例示するように、上記内筒体31の一端部31aと他端部31bとを、上記下部外筒体12と上記排出筒体24とに対し、上記軸心3方向でのほぼ同じ位置で固着したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造である。
【0019】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明による効果は、次の如くである。
【0021】
請求項1の発明は、外殻を構成するコンテナ本体と、このコンテナ本体に内嵌され、その内部に被収容物を収容可能とする樹脂フィルム製の内袋とを備え、上記コンテナ本体が、その内部を下方に連通させる下部外筒体を有し、一方、上記内袋が、上記下部外筒体に内嵌され、上記内袋の内部から下方に向かって被収容物を排出可能にさせる排出筒体を有した二重式フレキシブルコンテナにおいて、
上記下部外筒体の軸心上で、この下部外筒体と上記排出筒体との間の隙間に挿入される内筒体を設け、上記隙間を閉じるよう、上記内筒体の軸方向の一端部を上記下部外筒体に固着する一方、上記内筒体の軸方向の他端部を上記排出筒体に固着している。
【0022】
ここで、仮に、上記コンテナ本体のほつれにより生じた繊維屑や、フレキシブルコンテナの外部から入り込んでくる塵埃などの異物が上記コンテナ本体と内袋との間の隙間に落下したとしても、上記したように、コンテナ本体の下部外筒体と内袋の排出筒体との間の隙間は上記内筒体により閉じられている。このため、上記隙間を通し、上記異物がフレキシブルコンテナの下方に落下することは防止される。よって、上記内袋の内部から、その下方に被収容物が排出されるとき、この被収容物に上記異物が混入するという不都合の発生は防止される。
【0023】
一方、上記したように、内袋の内部に被収容物を収容する場合において、上記内袋の排出筒体内の排出口を閉じる作業をする場合には、まず、上記排出筒体内の排出口を閉じる。次に、上記コンテナ本体の下部外筒体の内部側に、上記排出筒体の排出口のうちの少なくとも閉じられた部分を収容した状態で、上記下部外筒体の内孔を閉じる。すると、上記排出筒体内の排出口が更に閉じられて、この排出口は二重に閉じられる。よって、上記内袋の内部に収容した被収容物が上記排出口を通して不意に多量に排出されることは、より確実に防止される。
【0024】
請求項2の発明は、上記下部外筒体が、その基部側を構成する外筒体本体と、上端部がこの外筒体本体に固着される一方、下端部側が下方に向かって延出し、少なくとも表面が上記内筒体と溶着可能な樹脂製の延長筒体とを有している。
【0025】
ここで、上記下部外筒体は外筒体本体と延長筒体との二部材で構成されるが、これらは、共に筒体であってこれら両筒体同士の固着は容易にでき、かつ、この固着によって互いに強固に結合可能である。
【0026】
そして、上記内筒体の一端部を上記延長筒体に溶着する一方、上記内筒体の他端部を上記排出筒体に溶着している。
【0027】
このため、上記外筒体本体と上記排出筒体とが、例えばポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)のように溶着しづらい材料同士であったとしても、上記内筒体および上記延長筒体を介することにより、上記外筒体本体と排出筒体とを溶着により互いに連結できる。そして、これら各溶着によれば、、上記コンテナ本体の下部外筒体と内袋の排出筒体との間の隙間は、より確実に閉じられる。よって、上記コンテナ本体から生じた異物が、上記隙間を通し、フレキシブルコンテナの下方に落下することは、より確実に防止される。
【0028】
請求項3の発明は、上記内筒体の一端部を下端部として上記下部外筒体に固着する一方、上記内筒体の他端部を上端部として上記排出筒体に固着している。
【0029】
ここで、上記内袋の排出筒体内の排出口を閉じる作業をする場合、従来では、収容された被収容物からの荷重を支持するための強度部材である上記コンテナ本体の下部外筒体と、内部に収容した被収容物のための保護部材であって樹脂製の内袋の排出筒体との組み合わせ体を一体的に絞る必要があり、この組み合わせ体は可撓性が低いことにより、上記排出口を閉じる作業が煩雑であった。しかし、これに比べ、上記発明によれば、上記排出口を閉じるとき、上記コンテナ本体の下部外筒体や内筒体に係ることなく、つまり、強度部材でなく可撓性の高い内袋の上記排出筒体を単独で取り扱うことにより、上記排出口を密に閉じることができる。よって、この排出口を閉じる作業は容易にでき、かつ、排出口の密閉性を高くすることが可能となる。
【0030】
請求項4の発明は、上記内筒体の一端部を上端部として上記下部外筒体に固着する一方、上記内筒体の他端部を下端部として上記排出筒体に固着している。
【0031】
ここで、上記内袋の排出筒体内の排出口を閉じる作業をする場合には、まず、上記内袋の排出筒体の排出口を閉じるが、この場合、上記内袋の排出筒体は保護部材であって上記コンテナ本体ほどには大きい強度は有していない。しかし、上記発明によれば、内袋の排出筒体は、上記内筒体との組み合わせ体として一体的に取り扱うことにより上記排出口を閉じることができるため、この排出口は強固に閉じることができる。そして、次に、上記コンテナ本体の下部外筒体の内部側に、上記排出筒体の排出口のうちの少なくとも閉じられた部分を収容した状態で、上記下部外筒体の内孔を閉じる。すると、上記排出筒体内の排出口が更に閉じられて、上記排出口は二重に閉じられる。
【0032】
よって、その後のフレキシブルコンテナの搬送中などにおいて、仮に、上記コンテナ本体の下部外筒体の内孔を閉じている何らかの手段に緩みが生じたとしても、この場合、上記したように、内袋の排出筒体と内筒体との組み合わせ体により上記排出口は、強固に閉じられていることから、上記内袋の内部に収容した被収容物が上記排出口を通して不意に多量に排出されることは、より確実に防止される。
【0033】
請求項5の発明は、上記内筒体の一端部と他端部とを、上記下部外筒体と上記排出筒体とに対し、上記軸心方向でのほぼ同じ位置で固着している。
【0034】
このため、上記内袋の排出筒体内の排出口を閉じる作業をする場合には、前記請求項4の効果として記載したものと同様に、上記内袋の排出筒体は、上記内筒体の他端部側との組み合わせ体として一体的に取り扱うことにより、上記排出口を閉じることができる。よって、この排出口は強固に閉じることができる。
【0035】
次に、上記コンテナ本体の下部外筒体の内部側に、上記排出筒体の排出口のうちの少なくとも閉じられた部分を収容した状態で、上記下部外筒体の内孔を閉じることにより、上記排出筒体内の排出口を二重に閉じる作業をする。この場合、上記コンテナ本体の下部外筒体は、上記内筒体の一端部側との組み合わせ体として一体的に取り扱うことにより、上記排出口を二重に閉じることができる。よって、この排出口は更に強固に閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1を示し、図2の部分拡大断面図である。
【図2】実施例1を示し、フレキシブルコンテナの全体側面部分断面図である。
【図3】実施例2を示し、図1に相当する図である。
【図4】実施例3を示し、図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造に関し、フレキシブルコンテナを構成するコンテナ本体の下部外筒体と、上記コンテナ本体に内嵌される内袋の排出筒体との間の隙間を閉じた場合において、フレキシブルコンテナの搬送時などに、上記内袋の内部に収容されている被収容物が、この内袋の排出筒体内の排出口を通して不意に多量に排出されることを、より確実に防止し、かつ、上記排出口を密に閉じる作業が容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0038】
即ち、二重式フレキシブルコンテナは、外殻を構成するコンテナ本体と、このコンテナ本体に内嵌され、その内部に被収容物を収容可能とする樹脂フィルム製の内袋とを備える。上記コンテナ本体は、その内部を下方に連通させる下部外筒体を有し、一方、上記内袋は、上記下部外筒体に内嵌され、上記内袋の内部から下方に向かって被収容物を排出可能にさせる排出筒体を有している。上記下部外筒体の軸心上で、この下部外筒体と上記排出筒体との間の隙間に挿入される内筒体が設けられる。上記隙間を閉じるよう、上記内筒体の軸方向の一端部が上記下部外筒体に固着される一方、上記内筒体の軸方向の他端部が上記排出筒体に固着されている。
【実施例1】
【0039】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例1を添付の図1,2に従って説明する。
【0040】
図1,2において、符号1は、フレキシブルコンテナであり、このフレキシブルコンテナ1は、食品、薬品、鉱物などの粉粒体など被収容物2を大量に収容して、その搬送や貯留を容易に可能にするものである。
【0041】
上記フレキシブルコンテナ1は、軸心3が鉛直方向に延び、全体として筒形状をなしてこのフレキシブルコンテナ1の外殻を構成するコンテナ本体4と、上記軸心3上で、このコンテナ本体4に内嵌され、全体として筒形状をなしてその内部に上記軸心3を収容可能とする内袋5とを備えている。上記コンテナ本体4と内袋5との間の隙間は小さくされ、これら4,5は適所において互いに連結されている。
【0042】
上記フレキシブルコンテナ1を構成する上記コンテナ本体4と内袋5とのそれぞれ軸方向の各部断面は円形であっても良く、矩形などの多角形であってもよい。
【0043】
上記フレキシブルコンテナ1におけるコンテナ本体4は、上記内袋5と、この内袋5に収容された被収容物2からの荷重とを強固に支持するための強度部材であって、一般に、基材として強度の大きい合成繊維と、この合成繊維の外面に施されるポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、などの合成樹脂や、クロロプレンゴム(CR)などの合成ゴムからなるコーティング材とを備えている。
【0044】
一方、上記フレキシブルコンテナ1において被収容物2を収容する内袋5は、上記コンテナ本体4のほつれにより生じた繊維屑や、フレキシブルコンテナ1の外部から上記コンテナ本体4と内袋5との間の隙間に入り込んだ塵埃などの異物が、上記フレキシブルコンテナ1に収容される被収容物2に混入しないようにするための保護部材であって、一般に樹脂フィルム製とされ、その材質は、上記コンテナ本体4のコーティング材と同様であって、ポリエチレン(PE)などとされる。
【0045】
上記コンテナ本体4は、その軸方向の中途部を構成して断面積が大きい胴部8と、この胴部8の上、下端開口を閉じる上、下面膜9,10と、上記上面膜9から上方に突出する断面積が小さい上部外筒体11と、上記下面膜10から下方に突出する断面積が小さい下部外筒体12と、上記胴部8の外側面に突設される吊り具13とを備えている。上記胴部8、上部外筒体11、および下部外筒体12は互いに一体的に形成され、これらの各内部同士と、フレキシブルコンテナ1の上、下方とは互いに連通している。
【0046】
また、上記下部外筒体12は、その基部側(上部側)を構成する外筒体本体16と、上端部がこの外筒体本体16の下端部に縫着により固着Aされ、下端部側が下方に向かって延出する延長筒体17とを有している。上記外筒体本体16は、前記したように、基材とコーティング材とを備えているが、上記延長筒体17は、その表面を形成するコーティング材が前記内袋5と溶着可能な樹脂製とされている。
【0047】
前記内袋5は、その軸方向の中途部を構成して断面積が大きい胴部20と、この胴部20の上、下端開口を閉じる上、下面膜21,22と、上記上面膜21から上方に突出する断面積が小さい注入筒体23と、上記下面膜22から下方に突出する断面積が小さい排出筒体24とを備えている。上記胴部20、注入筒体23、および排出筒体24は互いに一体的に形成され、これらの各内部同士と、フレキシブルコンテナ1の上、下方とは互いに連通している。
【0048】
上記内袋5の胴部20は、上記コンテナ本体4の胴部8に嵌入されて、その内部に被収容物2を収容可能とする。上記注入筒体23は、上記上部外筒体11に内嵌され、その内部が被収容物2の注入口26とされる。この注入口26を通しフレキシブルコンテナ1の上方の被収容物2が上記内袋5の胴部20内に注入可能とされる。上記排出筒体24は、上記下部外筒体12に内嵌され、その内部が被収容物2の排出口27とされる。この排出口27を通し上記胴部20内に収容された被収容物2がフレキシブルコンテナ1の下方に排出可能とされる。
【0049】
上記軸心3上で、上記下部外筒体12と上記排出筒体24との間の環状隙間30に内筒体31が挿入されている。この内筒体31は、前記内袋5と同様に樹脂フィルム製とされている。上記内筒体31の軸方向の一端部(下端部)31aは上記下部外筒体12の延長筒体17の下端部に溶着Bにより固着されている。また、上記内筒体31の軸方向の他端部(上端部)31bは上記排出筒体24の上端部側に溶着Cにより固着されている。そして、上記内筒体31により、上記隙間30が密に閉じられている。
【0050】
上記注入口26を閉じるよう上記上部外筒体11と注入筒体23とを一体的に絞る不図示の絞り具が設けられている。また、上記排出口27を閉じるよう上記排出筒体24を絞り可能とする内側絞り具33と、この内側絞り具33による上記排出筒体24の絞りとは別に、上記下部外筒体12と内筒体31とを一体的に絞り可能とする外側絞り具34とが設けられている。これら内、外側絞り具33,34は、いずれもロープを主体としているが、バンドや他の可撓性長尺体を適用してもよい。
【0051】
上記した固着の方法としては、縫着、溶着、接着剤による接着、両面テープ等による固着が可能となるが、上記下部外筒体12と上記内筒体31との固着、および/または、上記内袋5の排出筒体24と上記内筒体31との固着については、縫着以外の固着の方法を用いることが好ましい。縫着以外の固着方法を用いた場合は、縫着部分のほつれにより生じる可能性のある繊維屑の落下も防止することが可能となる。
【0052】
また、上記した溶着の方法としては、超音波溶着、振動溶着、誘導溶着、高周波溶着、熱板溶着、熱風溶着、インパルス溶着、コテ式溶着等が使用できる。
【0053】
上記フレキシブルコンテナ1は、例えば、次のように使用される。
【0054】
即ち、まず、図1中一点鎖線で示すように、上記内袋5の排出筒体24を上記内側絞り具33により絞って、上記排出筒体24内の排出口27を閉じる。次に、上記コンテナ本体4の下部外筒体12と内筒体31とを上記外側絞り具34により一体的に絞って上記排出筒体24内の排出口27を更に閉じ、つまり、二重に閉じる。一方、前記吊り具13を用いて不図示の吊り下げ装置に上記フレキシブルコンテナ1を吊り下げ状態にする。次に、上記内袋5の注入筒体23内の注入口26を通して上記内袋5の胴部20内に被収容物2を注入し収容させ、その後、上記上部外筒体11と注入筒体23とを絞り具により一体的に絞って上記注入口26を閉じれば、上記フレキシブルコンテナ1への被収容物2の収容が終了する。
【0055】
その後、上記フレキシブルコンテナ1の吊り下げ状態を解除し、車両などにより上記フレキシブルコンテナ1を被収容物2と共に所望位置にまで輸送し、ここで、再び、上記フレキシブルコンテナ1を吊り下げ状態にする。次に、上記外側絞り具34を緩めて、上記コンテナ本体4の下部外筒体12を、上記被収容物2の受け入れ用パイプ37に外嵌させる。次に、上記コンテナ本体4の下部外筒体12の下端部側を少し持ち上げて、上記内側絞り具33を緩め、上記内袋5の排出筒体24を上記受け入れ用パイプ37に内嵌させると共に上記排出口27を開く。すると、この排出口27を通し、上記内袋5の胴部20内から被収容物2が上記受け入れ用パイプ37内に排出される。なお、上記受け入れ用パイプ37はなくてもよい。
【0056】
また、上記内袋5の排出筒体24内の排出口27を閉じる他の方法として、次のものがある。即ち、まず、上記排出筒体24の下端部側を溶着して密封し、この排出筒体24内の排出口27を閉じ、次に、上記コンテナ本体4の下部外筒体12を絞って上記排出筒体24内の排出口27を更に閉じればよい。このようにすれば、上記排出口27が二重に閉じられるだけでなく、上記した不意の排出が更に確実に防止されると共に、被収容物2への湿気対策も実施可能となる。なお、被収容物2を排出する際は、上記密封部分をハサミやカッター等で開封してやれば良い。
【0057】
更に、上記内袋5の排出筒体24の下端部は、上記コンテナ本体4の下部外筒体12の下端部よりも下側に位置させることが好ましく、このようにすることによって、上記排出筒体24内の排出口27を閉じる際、上記下部外筒体12の内側で作業をする必要が無いため作業が容易になると共に、被収容物2を排出する際に被収容物が外にこぼれにくくすることが可能となる。なお、上記内袋5の排出筒体24の下端部を、上記コンテナ本体4の下部外筒体12の下端部よりも上側に位置させてもよい。
【0058】
ここで、仮に、上記コンテナ本体4のほつれにより生じた繊維屑や、フレキシブルコンテナ1の外部から入り込んでくる塵埃などの異物が上記コンテナ本体4と内袋5との間の隙間に落下したとしても、上記したように、コンテナ本体4の下部外筒体12と内袋5の排出筒体24との間の隙間30は上記内筒体31により閉じられている。このため、上記隙間30を通し、上記異物がフレキシブルコンテナ1の下方に自由に落下することは防止される。よって、上記内袋5の内部から、その下方に被収容物2が排出されるとき、この被収容物2に上記異物が混入するという不都合の発生は防止される。
【0059】
一方、上記したように、内袋5の内部に被収容物2を収容する場合において、上記内袋5の排出筒体24内の排出口27を閉じる作業をする場合には、まず、上記排出筒体24を絞ってこの排出筒体24内の排出口27を閉じ、次に、上記コンテナ本体4の下部外筒体12を絞ってこの下部外筒体12の内部側に、上記排出筒体24の排出口27のうちの少なくとも閉じられた部分を収容した状態で、上記下部外筒体12を絞ってその内孔を閉じる。すると、上記排出筒体24内の排出口27が更に閉じられて、この排出口27は二重に閉じられる。よって、上記内袋5の内部に収容した被収容物2が上記排出口27を通して不意に多量に排出されることは、より確実に防止される。
【0060】
また、前記したように、下部外筒体12が、その基部側を構成する外筒体本体16と、上端部がこの外筒体本体16に固着Aされる一方、下端部側が下方に向かって延出し、少なくとも表面が上記内筒体31と溶着可能な樹脂製の延長筒体17とを有している。
【0061】
ここで、上記下部外筒体12は外筒体本体16と延長筒体17との二部材で構成されるが、これら16,17は、共に筒体であってこれら両筒体同士の固着は容易にでき、かつ、この固着Aによって互いに強固に結合可能である。
【0062】
そして、上記内筒体31の一端部31aを上記延長筒体17に溶着Bする一方、上記内筒体12の他端部31bを上記排出筒体24に溶着Cしている。
【0063】
このため、上記外筒体本体と上記排出筒体とが、例えばポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)のように溶着しづらい材料同士であったとしても、上記内筒体31および上記延長筒体17を介することにより、上記外筒体本体16と排出筒体24とを溶着により互いに連結できる。そして、これら各溶着B,Cによれば、上記コンテナ本体4の下部外筒体12と内袋5の排出筒体24との間の隙間30は、確実に閉じられる。よって、上記コンテナ本体4から生じた異物が、上記隙間30を通し、フレキシブルコンテナ1の下方に落下することは、より確実に防止される。
【0064】
また、前記したように、内筒体31の一端部31aを下端部として下部外筒体12に固着する一方、上記内筒体31の他端部31bを上端部として排出筒体24に固着している。
【0065】
ここで、上記内袋5の排出筒体24内の排出口27を閉じる作業をする場合、従来では、収容された被収容物2からの荷重を支持するための強度部材である上記コンテナ本体4の下部外筒体12と、内部に収容した被収容物2のための保護部材であって樹脂製の内袋5の排出筒体24との組み合わせ体を一体的に絞る必要があり、この組み合わせ体は可撓性が低いことにより、上記排出口27を閉じる作業が煩雑であった。しかし、これに比べ、上記構成によれば、上記排出口27を閉じるとき、上記コンテナ本体4の下部外筒体12や内筒体31に係ることなく、つまり、強度部材でなく可撓性の高い内袋5の上記排出筒体24を絞るなどこの排出筒体24を単独で取り扱うことにより、上記排出口27を密に閉じることができる。よって、この排出口27を閉じる作業は容易にでき、かつ、排出口27の密閉性を、より高くすることが可能となる。
【0066】
しかも、上記コンテナ本体4は、上記内袋5と、この内袋5の内部に収容された被収容物2からの荷重とを支持するための強度部材である一方、上記内袋5はその内部に収容した被収容物2のための保護部材であって樹脂製である。このため、上記コンテナ本体4の下部外筒体12よりも内袋5の排出筒体24の方が、より可撓性が高い。
【0067】
よって、上記排出筒体24を絞ることにより排出口27を閉じるとき、この排出口27は、より密に閉じられると共に、このように排出口27を密に閉じる作業は、上記排出筒体24の可撓性が高い分、更に容易にできる。
【0068】
なお、上記下部外筒体12は、強度部材の材質により一体的に形成してもよい。また、上記固着Aは溶着であってもよく、上記各溶着B,Cは縫着であってもよい。
【0069】
以下の図3,4は、実施例2,3を示している。これら実施例2,3は、前記実施例1と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例2】
【0070】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例2を添付の図3に従って説明する。
【0071】
図3において、上記内筒体31の一端部31aである上端部が、上記下部外筒体12に固着される一方、上記内筒体31の他端部31bである下端部が、上記排出筒体24に固着されている。
【0072】
そして、前記したように、内袋5の排出筒体24内の排出口27を閉じる作業をする場合には、まず、上記内袋5の排出筒体24と内筒体31とを上記内側絞り具33により一体的に絞って、上記排出筒体24内の排出口27を閉じる。次に、上記コンテナ本体4の下部外筒体12を上記外側絞り具34により絞って上記排出筒体24内の排出口27を更に閉じれば、この排出口27を二重に閉じることができる。よって、上記内袋5の内部に収容した被収容物2が上記排出口27を通して不意に多量に排出されることは、より確実に防止される。
【0073】
ここで、上記内袋5の排出筒体24内の排出口27を閉じる作業をする場合には、まず、上記内袋5の排出筒体24を絞って上記排出筒体24内の排出口27を閉じるが、この場合、上記内袋5の排出筒体24は保護部材であって上記コンテナ本体4ほどには大きい強度は有していない。しかし、上記構成によれば、内袋5の排出筒体24は、上記内筒体31との組み合わせ体として一体的に絞るなど取り扱うことにより上記排出口27を閉じることができるため、この排出口27は強固に閉じることができる。そして、次に、上記コンテナ本体4の下部外筒体12の内部側に、上記排出筒体24の排出口27のうちの少なくとも閉じられた部分を収容した状態で、上記下部外筒体12を絞ってその内孔を閉じる。すると、上記排出筒体24内の排出口27が更に閉じられて、上記排出口27は二重に閉じられる。
【0074】
よって、その後のフレキシブルコンテナ1の搬送中などにおいて、仮に、上記コンテナ本体4の下部外筒体12の絞りという手段が緩んだとしても、この場合、上記したように、内袋5の排出筒体24と内筒体31との組み合わせ体により上記排出口27は強固に閉じられていることから、上記内袋5の内部に収容した被収容物2が上記排出口27を通して不意に多量に排出されることは、より確実に防止される。
【実施例3】
【0075】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例3を添付の図4に従って説明する。
【0076】
図4において、上記内筒体31はその軸方向の中途部が屈曲されて、二重筒形状とされている。そして、上記内筒体31の一端部31aと他端部31bとは、上記下部外筒体12と上記排出筒体24とに対し、上記軸心3方向でのほぼ同じ位置で固着されている。
【0077】
このため、上記内袋5の排出筒体24内の排出口27を閉じる作業をする場合には、前記請求項4の効果として記載したものと同様に、上記内袋5の排出筒体24は、上記内筒体31の他端部31b側との組み合わせ体として一体的に絞るなど取り扱うことにより、上記排出口27を閉じることができる。よって、この排出口27は強固に閉じることができる。
【0078】
次に、上記コンテナ本体4の下部外筒体12の内部側に、上記排出筒体24の排出口27のうちの少なくとも閉じられた部分を収容した状態で、上記下部外筒体12を絞ってその内孔を閉じることにより、上記排出筒体24内の排出口27を二重に閉じる作業をする。この場合、上記コンテナ本体4の下部外筒体12は、上記内筒体31の一端部31a側との組み合わせ体として一体的に取り扱うことにより、上記排出口27を二重に閉じることができる。よって、この排出口27は更に強固に閉じることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 フレキシブルコンテナ
2 被収容物
3 軸心
4 コンテナ本体
5 内袋
12 下部外筒体
16 外筒体本体
17 延長筒体
24 排出筒体
27 排出口
30 隙間
31 内筒体
31a 一端部
31b 他端部
33 内側絞り具
34 外側絞り具
A 固着
B 溶着
C 溶着

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻を構成するコンテナ本体と、このコンテナ本体に内嵌され、その内部に被収容物を収容可能とする樹脂フィルム製の内袋とを備え、上記コンテナ本体が、その内部を下方に連通させる下部外筒体を有し、一方、上記内袋が、上記下部外筒体に内嵌され、上記内袋の内部から下方に向かって被収容物を排出可能にさせる排出筒体を有した二重式フレキシブルコンテナにおいて、
上記下部外筒体の軸心上で、この下部外筒体と上記排出筒体との間の隙間に挿入される内筒体を設け、上記隙間を閉じるよう、上記内筒体の軸方向の一端部を上記下部外筒体に固着する一方、上記内筒体の軸方向の他端部を上記排出筒体に固着したことを特徴とする二重式フレキシブルコンテナの排出部構造。
【請求項2】
上記下部外筒体が、その基部側を構成する外筒体本体と、上端部がこの外筒体本体に固着される一方、下端部側が下方に向かって延出し、少なくとも表面が上記内筒体と溶着可能な樹脂製の延長筒体とを有し、上記内筒体の一端部を上記延長筒体に溶着する一方、上記内筒体の他端部を上記排出筒体に溶着したことを特徴とする請求項1に記載の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造。
【請求項3】
上記内筒体の一端部を下端部として上記下部外筒体に固着する一方、上記内筒体の他端部を上端部として上記排出筒体に固着したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造。
【請求項4】
上記内筒体の一端部を上端部として上記下部外筒体に固着する一方、上記内筒体の他端部を下端部として上記排出筒体に固着したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造。
【請求項5】
上記内筒体の一端部と他端部とを、上記下部外筒体と上記排出筒体とに対し、上記軸心方向でのほぼ同じ位置で固着したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の二重式フレキシブルコンテナの排出部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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