説明

二重特異的単鎖Fv抗体分子およびその使用方法

EGFRタンパク質ファミリーのメンバーの過剰発現が関係している様々な形態のガンを処置するために有利に使用することができる、二重特異的単鎖抗体分子が開示される。本発明は、上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーのタンパク質を過剰発現する様々なガンの検出および/または処置において有利に使用することができる、二重特異的(または多特異的)抗体分子(例えば、bs scFv)の同定に関する。したがって、1つの実施形態においては、本発明により、互いに(直接またはリンカーを介して)結合させられた第1の抗体と第2の抗体が含まれている二重特異的抗体が提供される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合させられた第1の抗体と第2の抗体が含まれている二重特異的抗体であって、ここで、該第1の抗体と該第2の抗体とは異なるエピトープに対して特異的に結合し、該第1の抗体は、EGFR、HER2/neu、HER3、およびHER4からなる群より選択される上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つのメンバーの上にある少なくとも1つのエピトープに対する結合特異性を有しており、そして該第2の抗体は、該第1のエピトープとは異なる、EGFR、HER2/neu、HER3、およびHER4からなる群より選択されるタンパク質の上にあるエピトープである、上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つのメンバーの上にある第2のエピトープに対する結合特異性を有しており、該抗体は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、および配列番号37からなる群より選択される核酸配列を含むベクターによってコードされる、二重特異的抗体。
【請求項2】
前記抗体が、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、および配列番号37からなる群より別々に選択される2つの核酸配列を含むベクターによってコードされる、請求項1に記載の二重特異的抗体。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、および配列番号57からなる群より選択されるポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターによってコードされる、請求項1に記載の二重特異的抗体。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、および配列番号57からなる群より選択されるポリペプチドをコードする核酸配列からなる群より別々に選択される2つの核酸配列を含むベクターによってコードされる、請求項1に記載の二重特異的抗体。
【請求項5】
前記ベクターはさらに、配列番号37のポリペプチドをコードする核酸を含む、請求項2に記載の二重特異的抗体。
【請求項6】
請求項1に記載の二重特異的抗体と薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項7】
ガンを処置するための方法であって、治療有効量の請求項6に記載の組成物をそれが必要な患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項8】
前記ガンが、乳ガン、結腸ガン、卵巣ガン、子宮内膜ガン、胃ガン、膵臓ガン、前立腺ガン、および唾液腺ガンからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ガンを処置するための方法であって、治療有効量の請求項6に記載の組成物を、化学療法薬、外部線照射、標的化させられた放射性同位元素、およびシグナル伝達阻害因子からなる群より選択される他の細胞毒性薬と組み合わせて、それが必要な患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項10】
エフェクターに結合させられた請求項1に記載の二重特異的抗体を含む、キメラ部分。
【請求項11】
前記エフェクターが、細胞毒素、標識、放射性核種、薬物、リポソーム、リガンド、および抗体からなる群より選択される、請求項10に記載のキメラ部分。
【請求項12】
前記キメラ部分が融合タンパク質である、請求項10に記載のキメラ部分。
【請求項13】
EGFR、HER2/neu、HER3、およびHER4からなる群より選択される上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーに由来する受容体を保有している細胞に対してエフェクター分子を特異的に送達する方法であって:
請求項1に記載の抗体に結合させられた該エフェクター分子を含むキメラ部分を提供する工程;ならびに、
該細胞を該キメラ部分と接触させて、それによって該キメラ部分を該細胞に対して特異的に結合させる工程
を含む、方法。
【請求項14】
前記エフェクター分子が、細胞毒素、標識、放射性核種、薬物、リポソーム、リガンド、および抗体からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記キメラ部分が融合タンパク質である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞がガン細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞が、乳ガン、結腸ガン、卵巣ガン、子宮内膜ガン、胃ガン、膵臓ガン、前立腺ガン、および唾液腺ガンからなる群より選択されるガン細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
EGFR、HER2/neu、HER3、およびHER4からなる群より選択される上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーに由来する受容体を保有している細胞を特異的に死滅させる方法であって:
細胞毒素、放射性部分、および細胞毒素もしくは細胞増殖抑制因子を含むリポソームからなる群より選択されるエフェクターに結合させられた、請求項1に記載の抗体を含むキメラ部分を提供する工程;ならびに、
該細胞を該キメラ部分と接触させて、それによって該キメラ部分を該細胞に対して特異的に結合させて、該細胞の死滅を生じさせる工程
を含む、方法。
【請求項19】
前記キメラ部分が融合タンパク質である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞がガン細胞である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞が、乳ガン、結腸ガン、卵巣ガン、子宮内膜ガン、胃ガン、膵臓ガン、前立腺ガン、および唾液腺ガンからなる群より選択されるガン細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つ以上のメンバーを発現している細胞または組織を検出する方法であって:
細胞または組織を、検出可能な標識に結合させられた請求項1に記載の二重特異的抗体を含むキメラ部分と接触させる工程;ならびに、
該標識を検出する工程であって、ここで、該細胞または組織と会合した該標識の検出が、上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つ以上のメンバーを発現している細胞または組織の存在を示す、工程
が含まれる、方法。
【請求項23】
前記検出可能な標識が、γ放射体、陽電子放射体、MRI標識、および蛍光標識からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記検出可能な標識がγ放射体であり、該検出はγ線カメラでの画像化を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記検出可能な標識が陽電子放射体であり、該検出は、陽電子放出型断層撮影法(PET)による画像化を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記検出可能な標識がMRI標識であり、該検出は核磁気共鳴撮影法による検出を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つ以上のメンバーを発現している細胞または組織が、EGFR、HER2/neu、HER3、およびHER4からなる群より選択されるタンパク質を過剰発現する細胞または組織である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つ以上のメンバーを発現している細胞または組織が、ガン細胞または組織である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つ以上のメンバーを発現している細胞または組織が、乳ガン、結腸ガン、卵巣ガン、子宮内膜ガン、胃ガン、膵臓ガン、前立腺ガン、または唾液腺ガンからなる群より選択されるガン細胞あるいは組織である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記検出は非侵襲的画像化技術を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記検出は免疫組織化学を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記検出は、組織試料または生検における検出を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記検出は、組織切片の中での検出を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記検出は、ヒトの中での前記細胞または組織の検出を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記検出は、ヒトから採取された生物学的試料中の前記細胞または組織の検出を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
2つの異なるエピトープに対して特異的に結合し、タンパク質切断部位が含まれていないリンカー分子を介して作動可能に連結させられた第1のアームと第2のアームとを有している二重特異的単鎖Fv抗体であって、該アームの一方は、EGFR、HER2/neu、HER3、およびHER4からなる群より選択される上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つのメンバーの上にある少なくとも1つのエピトープに対する結合特異性を有しており、そして他方のアームは、第1のエピトープとは異なる、EGFR、HER2/neu、HER3、およびHER4からなる群より選択される上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つのメンバーの上にある第2のエピトープに対する結合特異性を有している、二重特異的単鎖Fv抗体。
【請求項37】
前記第1のアームと前記第2のアームとが、C6.5、C6ML3−9、C6MH3−B1、C6−B1D2、F5、HER3.A5、HER3.F4、HER3.H1、HER3.H3、HER3.E12、HER3.B12、EGFR.E12、EGFR.C10、EGFR.B11、EGFR.E8、HER4.B4、HER4.G4、HER4.F4、HER4.A8、HER4.B6、HER4.D4、HER4.D7、HER4.D11、HER4.D12、HER4.E3、HER4.E7、HER4.F8、およびHER4.C7からなる群より選択される、請求項36に記載の二重特異的単鎖Fv抗体
【請求項38】
組み換えによって生産された、請求項36に記載の二重特異的単鎖Fv抗体。
【請求項39】
二重特異的単鎖Fv抗体の第1のアームと第2のアームとを作動可能に連結させるために適しているリンカー分子であって、該リンカーは、約3個から約30個のアミノ酸の長さの範囲のアミノ酸配列から構成されており、タンパク質切断部位を含まない、リンカー分子。
【請求項40】
二重特異的単鎖Fv抗体の第1のアームと第2のアームとを作動可能に連結させるために適しているリンカー分子であって、配列番号11のアミノ酸配列を有している、リンカー分子。
【請求項41】
2つの異なるエピトープに対して特異的に結合し、そして請求項40または41のいずれか1項に記載のリンカー分子によって作動可能に連結させられた第1のアームと第2のアームとを有している二重特異的単鎖Fv抗体であって、該第1のアームと該第2のアームとは、EGFR、HER2/neu、HER3、およびHER4からなる群より選択される上皮成長因子受容体タンパク質ファミリーの1つのメンバーの上にある2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有している、二重特異的単鎖Fv抗体。
【請求項42】
前記第1のアームと前記第2のアームとが、C6.5、C6ML3−9、C6MH3−B1、C6−B1D2、F5、HER3.A5、HER3.F4、HER3.H1、HER3.H3、HER3.E12、HER3.B12、EGFR.E12、EGFR.C10、EGFR.B11、EGFR.E8、HER4.B4、HER4.G4、HER4.F4、HER4.A8、HER4.B6、HER4.D4、HER4.D7、HER4.D11、HER4.D12、HER4.E3、HER4.E7、HER4.F8、およびHER4.C7からなる群より選択される、請求項41に記載の二重特異的単鎖Fv抗体。
【請求項43】
組み換えによって生産された、請求項41に記載の二重特異的単鎖Fv抗体。
【請求項44】
前記第1のアームと前記第2のアームとが腫瘍細胞の上に発現させられた異なるエピトープに対して特異的に結合し、そして該二重特異的単鎖Fv抗体の該エピトープに対する結合によって、該腫瘍細胞の生存の減少が生じる、請求項41に記載の二重特異的単鎖Fv抗体。
【請求項45】
前記第1のアームと前記第2のアームが、C6.5、C6ML3−9、C6MH3−B1、C6−B1D2、F5、HER3.A5、HER3.F4、HER3.H1、HER3.H3、HER3.E12、HER3.B12、EGFR.E12、EGFR.C10、EGFR.B11、EGFR.E8、HER4.B4、HER4.G4、HER4.F4、HER4.A8、HER4.B6、HER4.D4、HER4.D7、HER4.D11、HER4.D12、HER4.E3、HER4.E7、HER4.F8、およびHER4.C7からなる群より選択される、請求項44に記載の二重特異的単鎖Fv抗体。
【請求項46】
請求項8に記載の二重特異的単鎖Fv抗体と薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項47】
ガンを処置するための方法であって、治療有効量の請求項46に記載の組成物をそれが必要な被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項48】
前記ガンが、乳ガン、結腸ガン、卵巣ガン、子宮内膜ガン、胃ガン、膵臓ガン、前立腺ガン、および唾液腺ガンからなる群より選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ガンを処置するための方法であって、治療有効量の請求項10に記載の組成物を、化学療法薬、外部線照射、標的化させられた放射性同位元素、およびシグナル伝達阻害因子からなる群より選択される他の細胞毒性薬と組み合わせて、それが必要な患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項50】
請求項36に記載の二重特異的単鎖Fv抗体をコードする核酸配列を含む、ベクター。
【請求項51】
プラスミド、コスミド、ファージ、およびウイルスからなる群より選択される、請求項50に記載のベクター。
【請求項52】
前記ベクターが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、および配列番号14からなる群より選択される核酸配列を含む、請求項50に記載のベクター。
【請求項53】
前記ベクターが、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、および配列番号37からなる群より選択されるポリペプチドをコードする核酸配列を含む、請求項50に記載のベクター。
【請求項54】
請求項50に記載のベクターで形質転換された、宿主細胞。
【請求項55】
腫瘍細胞である、請求項52に記載の宿主細胞。
【請求項56】
HER3に対する結合特異性を有している第1のアームと、HER2/neuに対する結合特異性を有している第2のアームを含む、二重特異的単鎖Fv抗体ALM。
【請求項57】
HER3の上にある2つの異なるエピトープに対する結合親和性を有している第1のアームと第2のアームとを含む、二重特異的単鎖Fv抗体ALF。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−500005(P2009−500005A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517139(P2008−517139)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/023479
【国際公開番号】WO2007/084181
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(500025503)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (26)
【出願人】(507410010)
【Fターム(参考)】