説明

二重用途NMRプローブ

RF共鳴器48を備えているNMRプローブは、十分な量の試料に対して周波数ωで最適化された感度を得る通常の実験のための第1のモードに用いられる共に、RF共鳴器48内に微量試料を密接に包囲するように取出し可能に挿入することができる自己共振マイクロコイル50を用いることによって、微量の試料に対して周波数ωで最適化された独自の感度を得る実験のための第2のモードにも用いられるようになっている。微量試料は、好ましくは、独立して、マイクロコイル内に取出し可能に挿入することができるようになっている。このNMRプローブは、その第1のモード、および自己共振マイクロコイル50に誘導結合し、ωでのマイクロコイル50の自己共振を生じさせる第2のモードにおいて共鳴するために、拡張された同調範囲を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2009年7月31日に出願された米国特許出願第12/534,060号の利得を主張するものである。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、核磁気共鳴(NMR)測定に属し、特に、NMRプローブの設計および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
高分解能NMR実験は、極めて均質な分極場の軸方向におけるNMRプローブのRFコイルの軸上に試料を該RFコイルによって囲まれるように配置することによって、特徴付けられている。この装置の極めて重要な点は、その感度である。該感度は、RFコイルの特性、温度、およびコイルの内部空間に対する試料の幾何学的な関係(充填率)の関数である。定量的な高信号振幅を得るには、対応する多量の試料が必要である。従って、試料をRFコイルに対して注意深く幾何学的に整合させることによって、高充填率をもたらすことが望ましい。充填率は、RFコイルの有効な内部横断寸法によって制限される。コイルの開口(RF窓)は、試料容積の有効な軸方向寸法を決定するが、試料の物理的な容積は、標準的な実施方法によれば、慣習的にコイル開口を超えることになる。横断寸法の一部は、試料容器の肉厚および試料容器とRFコイルとの間の隙間によって必然的に費やされ、その結果、実験に供される試料の容積は、常に、RFコイルの(有効)内部容積よりも小さい。感度に影響を及ぼす他の因子が最適化されているなら、最大感度は、充填率が最大になっているときに達せられることになる。最大充填率は、実用的制約によって制限されているので、NMR実験の最適な条件は、このような実用的に生じ得る制限を含んでいると理解されたい。
【0004】
最新のNMRプローブは、複数の同軸RFコイルを収容することができるようになっている。これらのRFコイルの各々は、ある範囲の周波数にわたって同調可能であると共に対応するRF源/シンクにインピーダンス整合するように調整可能である共鳴回路の1つの構成要素である。プローブは、受信信号を調整する1つまたは複数の前置増幅モジュールをさらに含んでいることもある。試料の大気温度制御装置および温度監視部品は、典型的な特徴的要素である。試料容器の高速回転を制御するには、試料側タービンを空気軸受上に浮上させるための加圧ガス制御装置と共に、該タービンを回転させるための別の加圧ガス制御装置および回転速度検出器が必要である。(超伝導導体または標準的導体のいずれかからなる)RFコイルは、温度制御を行うことがある。これらの結果として、NMRプローブは、高価でかつ複雑な器具である。
【0005】
高品質のNMRデータを得るには、試料の量が「十分」であることが望ましいが、このような試料の量の充足性は、プローブ設計の幾何学的なパラメータである。NMRのオペレータは、典型的な条件に適合するいくつかの標準的な寸法の試料容器から適切なものを選択的に用いている。例えば、NMR実験に5mm直径の試料管を用いるのが、現在では一般的である。本発明の全体を通して、「マクロモード」という用語は、5mm試料管(またはその等価物)に適する容積の試料をこの試料に対して最適充填率を示すRF共鳴器と組み合わせて操作し、該試料からデータを取得することを意味している。実験によっては、ある種の試料の入手可能性がまれに制限される場合がある。このような場合、これらの実験に「マイクロコイル」を利用することが知られている。試料の入手可能性とは別に、マイクロコイルにぴったりと適合して配置された微量試料によって、高感度を得ることも可能である。「マイクロコイル」という用語は、標準的な試料を収容する寸法よりも著しく小さい寸法尺度の大きさを有していることを意味している。現状の標準的分析試料は、5mm径のパイレックス(登録商標)管または石英管に入れられて、プローブに供されている。マイクロコイルは、殆どの場合、専用プローブの1つの構成要素である。「マイクロモード」実験用の試料は、3mm径の試料管に入れられるのが慣習的であるが、この場合、マイクロコイルは、このような試料に対して高充填率を呈することになる。本発明の目的から「マイクロモード」操作は、マクロ実験に関連して特徴付けられるとよい。多量の試料および微量の試料の両方に対して同様のNMR実験を行うために高価なプローブ装置を過剰に備えることは、無駄な出費であり、本発明は、この無駄な出費を改善することを意図するものである。
【0006】
適切な規模のNMRプローブにおける少容積試料の使用は、非特許文献1において報告されており、3mmNMR実験において感度が向上したことが確認されている。
【0007】
先行技術において、マイクロコイルの使用は、よく知られており、特許文献1,2において概説されている。また、試料管に支持されたマイクロコイルを、NMRプローブの固定RFコイルに誘導結合された自己共振回路として、用いることも知られている。特許文献3を参照されたい。実験に使用できる量が種々異なるそれぞれの試料に対する同一プローブの二重用途およびこの利得を得るための該プローブの要件は、この文献には開示されていない。
【0008】
プローブ構造における誘導結合は、よく知られている。この技術の典型例として、非特許文献2,3、および非特許文献4、特に、その第3章による総説が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,654,636号明細書
【特許文献2】米国特許第6,097,188号明細書
【特許文献3】国際特許出願公開第2007/020537号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】volume 56, Annual Reports on NMR Spectroscopy, pp. 2-88 (Academic Press, 2005)
【非特許文献2】Kuhns, et al, J. Mag. Res., vol. 78, pp. 69-76 (1988)
【非特許文献3】Schnall, et al, J. Mag. Res. Vol. 68, 161-167 (1986)
【非特許文献4】Mispelter, et al., NMR Probeheads for Biophysical and Biomedical Experiments (Imperial College Press: London, 2006)
【発明の概要】
【0011】
(少なくとも1つのRF共鳴器を備えている)本NMRプローブは、その標準モード、例えば、(多量試料、例えば、容積に制限のない試料に対する)従来の操作モードでは、通常の共鳴周波数ωでの実験に対応するようになっているとよい。しかし、(実質的に容積が制限されている試料または感度を高めたい試料に対して)同一の共鳴周波数ωでのNMR実験を行うには、マイクロコイルへの誘導結合を行うために、このような回路は、NMRプローブの典型的な同調範囲よりも広い同調範囲を有していなければならない。すなわち、RFコイルを含むRF共鳴回路の同調範囲は、周波数ω>ωを含むように拡張されることになる。周波数ωは、微量試料を含んでいるマイクロコイルに誘導結合するための独立した操作条件によって決められるものである。(前記RF共鳴器に対して最大充填率が得られるように寸法決めされた試料容器に入れられた多量の試料に対する)マクロモードの操作では、通常の方法によって、プローブをωに同調および整合させるようになっている。同一プローブ、すなわち、同一のRF共鳴器を変更することなく含んでいるプローブは、同軸に挿入されるマイクロコイル(極めて少量の試料/試料容器を囲んでいる極めて小径のコイル)を単に追加するだけで、微量試料の実験に利用可能である。この目的のために、マイクロコイルは、RF共鳴器内に取外し可能/挿入可能になっている自己共振回路を備えている。プローブアセンブリの従来の共鳴器(典型的には、プローブの標準RFコイル)は、標準プローブ回路の同調周波数を周波数ωに増大させ、マイクロコイルに誘導結合され、これによって、自己共振マイクロコイル回路がωで共鳴することになる。ここで、多量の試料と微量の試料との間にはどのような関係も必要ではないことを強調することが重要である。また、分極場(例えば、プロトン共鳴の場合のωまたはC13共鳴の場合のω/4)を生成するのに同じ磁石を用いること、およびωでの実験においてどのような種類の試料に対しても最適の感度をもたらすのに同一のプローブ装置(同一のRF共鳴器)を用いること以外、これらの試料に対する実験の種類間にどのような関係も存在していない。このように、(安価なマイクロコイル付属品を含む)同一のNMRプローブは、種々の実験要件に対して共通の基盤としての役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】マイクロコイルを備える本発明の代表的なプローブ回路を示す図である。
【図2a】「5mm」RFコイル内の従来の5mm試料管におけるスペクトルである。
【図2b】「5mm」RFコイル内に支持された3mm試料管内の図2aの試料と同じ試料のスペクトルである。
【図2c】「5mm」コイルに誘導結合されたマイクロコイルによって得られた3mm試料のスペクトルである。
【図3a】マイクロコイル対応試料ホルダーを示す図である。
【図3b】挿入可能な微量試料管を示す図である。
【図3c】図3aの機械的構造の詳細を示す図である。
【図3d】面に拡げられたマイクロコイルおよびRFシールドを示す図である。
【図4a】他の実施形態のための試料ホルダー本体を示す図である。
【図4b】図4aの実施形態における試料管を示す図である。
【図5a.5b.5c】マイクロ共鳴回路を組み入れている他の試料ホルダーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの実施形態の以下の考察において、同等の構成要素には、同一の識別符号が付されている。本発明では、「コイル」という呼称および「共鳴器」という呼称は、便宜上、互いに取り換えても同じ意味を有するように用いられていることがしばしばある。
【0014】
この考察の主眼点は、実験に使用できる容積が幅広く異なっているそれぞれの試料をそれらの試料容積とは無関係に最適の感度で実験するために、実質的に同一のNMR装置を用いることにある。本発明の目的のために、いくつかのプローブパラメータ、例えば、充填率、Q値、温度制御、などの大きさが特定のプローブの実用限界にほぼ達したとき、最適な感度が、そのプローブ性能に対して得られることになる。図1のプローブ回路は、本発明のこのような回路の単なる例示にすぎない。第1のRFポート42は、高周波(通常、プロトン)チャネルに連通しており、伝送ライン整合トランス44またはその等価物を介して、該高周波チャネルにインピーダンス整合されている。インダクタンス46が、図示されていないRF源/シンクを共鳴L−C回路48−49に誘導結合している。代替的に、RF源/シンクへの容量結合であってもよい。結合ループ46は、RF源/シンクへの結合の単なる一例にすぎない(代替例として、容量結合が用いられてもよい)。従来操作では、共鳴回路48−49は、ωで共鳴するように設計されている。低周波(ここでは、重水素)ロック信号が、第2のRFポート32を介して導かれるようになっており、コンデンサ34,36を介して、通常の同調および整合が行われるようになっている。符号が付されていないインダクタンスは、回路導線を表している。試料容積が厳密に制限されていないマクロモード操作では、試料管60が用いられるようになっている。試料管60は、共鳴コイル48によって画定されている内部空間内に装填されることになる。試料物質は、最大充填率をもたらすように、試料容器を満たしている。本発明の目的のために、この従来操作は、図1において「A」によって概略的に示されており、「マクロモード」操作と呼ばれている。しかし、この従来操作は、プローブの従来の用途を単に表しているにすぎない。
【0015】
自己共振回路50’は、図1において「B」によって概略的に示されている「マイクロモード」操作において、微量試料と共に用いるために、RF共鳴器48内に挿入可能および該RF共鳴器48から取出し可能になっている。支持回路および他のプローブ器具類と共に、共鳴器48は、プローブハウジング(図示せず)内に配置されている。共鳴器48は、殆どの場合、螺旋コイルまたはサドルコイル、ヘルムホルツ型またはアルダーマン−グラント型、または共鳴空洞として具体化されているRFコイルである。自己共鳴回路50’は、マイクロ試料管88を包囲している値Lmのマイクロコイル50の形態にあるインダクタンスから構成されており、コンデンサCmは、マイクロコイル50とRFシールド98(図3a)からなる構造の分布容量によって大部分がもたらされている。マイクロコイル50は、コイルフォーマ(coil former、図示せず)52の片面(内面または外面)に支持されている。コイルフォーマ52は、好ましくは、薄い石英スリップガラスから構成されている。電気的に浮遊しているRFシールド98は、典型的には、コイルフォーマ52の反対の面上に配置されており、マイクロコイル50の端末に容量をもたらし、これによって、自己共振回路50’を形成している。(説明のために、マイクロコイル50は、コイルの軸寸法を横切るRF磁場Bβをもたらすように便宜的に示され、かつ説明されている)。回路50’は、ωで自己共振するように設計されている。必要に応じて、追加的な容量が、集中成分として設けられていてもよい。標準的なプローブ回路40に誘導結合されたとき、マイクロコイル50をωで共鳴させるために、図1の(代表的な)標準的プローブ回路40の同調範囲は、マイクロコイル50が挿入されたとき、周波数ω>ωを含むように十分な幅を有していなければならない。同調範囲のこの拡張は、コイル48,50の相互インダクタンスおよび同調コンデンサ46のダイナミックレンジに依存している。(同一の共鳴器48に対して)十分な同調幅を有するNMRプローブは、本発明の必要な文脈を除けば、本発明の対象外である。
【0016】
z軸は、共鳴器48の単純な幾何学的軸を意味する以外に解釈されるべきではない。共鳴器48のRF磁場方向は、共鳴器48がソレノイドからなる実施形態の場合、z軸に沿っているとよく、サドルコイル/アルデルマン−グラント型の場合、z軸に直交しているとよい。外部分極磁場に対する方位は、図1には示されていない。
【0017】
50ΩでのRF源/シンクへの共鳴回路48−49の結合は、従来通りに達成されるようになっている。マクロモードでは、マイクロコイル50は、存在しておらず、プローブ回路48−49は、効率的にωで同調かつ整合されることになる。マイクロモードでは、自己共振マイクロコイル回路50’は、共鳴器48に誘導結合され、回路48−49は、ωで微量試料の実験を行うために、ωに再同調・整合されるようになっている。
【0018】
パラメータ(ω−ω)/ωは、通常、典型的なNMRプローブにおけるものよりも大きい。Hおよび13Cの両方の分析に適応するNMRプローブは、例えば、それぞれの目的のために、それぞれ別の対応するRFコイルを用いている。50Ωの許容できる整合によって(ωで共鳴するマイクロコイル50に結合させるために)、回路48−49およびその支持要素を本発明に必要な範囲にわたって同調させるように設計することは、最先端技術を超えたものではない。ただ、この設計が本発明の内容に触れていることのみに注目されたい。共鳴回路48−49の広範な範囲にわたる同調能力は、本発明の譲渡人に譲渡された国際特許出願公開第2005/103749A1号パンフレットに記載されているように、選択的に切り替え可能なリアクタンス列を用いる複数の周波数間隔共鳴に適合する他の適切な構成によって、実現することができる。本発明の他の実施形態は、複数の切り替え可能な共鳴周波数の少なくとも1つがマクロモード共鳴に対応するマイクロモード周波数を含んでいるような構成を含んでいる。
【0019】
本発明の機能的意義が、図2a,2b,2cに示されているプロトンスペクトルに例示されている。この比較のために、同一量の同一試料を用いて、500MHzにおける3つのスペクトルが取得されている。これら3つのスペクトルは、直接的に比較するために、同一の縦軸目盛で示されている。図2a(マクロモード)では、スペクトルを取得するために、標準容積の試料管を最適な充填率で収容するアルデルマン−グラント型共鳴器48によって包囲された標準5mm径試料管内に、(DMSO−d6に溶解した6アミノプロトンを含む)アデノシンの試料が入れられている。共鳴器48のRF開口は、20mmであり、標準5mm試料管は、55mmの軸方向長さまで充填されている。この試料は、(軸方向において)約138μL/cm を占めている。図2bでは、マクロモード実験は、同一試料によって繰り返されている。ここでは、同一量の試料を含む3mm径試料管を用いて、スペクトル取得が行われている。3mm試料管は、図2aの試料と同一の(軸方向)レベルまで充填されている。同一の均一RFB磁場内に配置された同一量の試料に対して、予期されていたように、ほぼ同じスペクトル応答が得られている。
【0020】
高感度を達成するために、オペレータは、少容積試料および対応するマイクロコイルを用いることを望むことがある。図2bは、このような少容積試料が、マイクロコイルを用いることによって感度を高める利得を利用することなく、実験された例を示している。場合によっては、溶媒が特定の分析を損なう不純物を含んでいることがあることに留意されたい。試料を少容積に濃縮することによって、これらの不純物が特定の分析に対する障害を低減させることができる。本発明では、図2bは、比較することのみを目的として提示されている。
【0021】
本発明は、小容積モードにおいて自己共振マイクロコイル50を利用することによって増強された単一NMRプローブによって多種多様な実験を果たすものである。図2c(マイクロ試料モード)では、自己共振マイクロコイル50は、図2bに用いられたのと同じ3mm試料管に結合するために、共鳴器48内に同軸に挿入されることになる。マイクロコイル50は、12mmのRF窓長さを有するサドル型であり、共鳴器48のRF開口に位置合せされている。ωで自己回路50’に結合するために、標準プローブ回路をω>ωの値に同調した後、同じ実験が繰り返される。図2cの誘導結合されたマイクロコイルを用いた実験は、(RF開口が小さいにも関わらず)、同一量の試料に対して、図2a,2bに見られたよりも著しく大きい信号を生じていることが明らかである。これらの結果によって、マクロモードおよびマイクロモードの両方において、同一プローブを用いることによって、同一共鳴周波数における最適のスペクトルデータを取得することができることが確認されたことになる。
【0022】
種々の試料容積に対する一組の測定値(図2a,2c)は、種々の試料容積のためまたは最適な条件下で高感度を得るために同一の核共鳴周波数で行われる同一のNMRプローブの二重用途を代表している。本発明の典型的な利得は、同一のプローブ装置によって種々の量の試料をNMR分析することが可能である点にあり、これによって、種々の試料容積を考慮することのみから必要とされている過剰なNMRプローブ装置を回避することができることが強調されるべきである。
【0023】
マイクロモード実験において、LC対48−49の共鳴条件は、自己共振回路50’を500MHzで駆動させるために、ω=625MHzであることが見出されている。回路の標準的な同調仕様は、ωよりも約30MHz低い値を含む範囲(フッ素共鳴を含む範囲)とされている。従って、図1の回路は、少なくともω/(ω−ω)=500/150のダイナミック同調範囲を示していることになる。高分解能NMR用の市販のプローブ設計は、2つの主要検討事項、すなわち、実際の磁石磁場および励起/検出されるそれぞれの核に基づいてなされていることに留意されたい。最新の超伝導磁石の場合、公称設計値/見積値を中心とする磁場強さの範囲は、極めて小さい。例えば、公称500MHz磁石は、(プロトン共鳴周波数を基準として測定された)495MHzから505MHzの範囲内の磁場を示すように規定されている。その結果、公称500MHz磁石を用いるプロトン実験用に設計されたプローブは、この許容差に対応するために、少なくとも約20MHzの同調範囲を有している。他の主要検討事項は、殆どの場合、プローブ操作の対象となる2つの核の周波数間隔である。これは、典型的には、(制限されるものではないが)、500MHzにおけるHと19Fとの間の間隔、すなわち、約30MHzの間隔である。
【0024】
従って、プローブ設計者は、公称500MHz分光計の場合、H/19Fプローブに対して、約50MHzの同調範囲を(インピーダンス整合条件を維持しながら)組み入れていることになる。広域同調範囲は、先例がないわけではなくが、企業の経済性の側面から稀にしか行われていない。このような稀にしか行われていない広域同調機能は、図1の回路の分析から分かるような本発明の二重用途の利得を得るための必要な条件である。誘導結合による共鳴同調のための周波数範囲の拡張は、先に引用されているKuhnsらによって検討されている。
【0025】
必要な同調範囲は、連続的に拡がっている範囲と考える必要がない。個別の共鳴周波数を中心とする所望のそれぞれの同調範囲を得るために切替可能なリアクタンスを有する多重核機能を備えることが知られている。一例として、カリフォルニア州パロアルトのVarian社から市販されている「Auto-X series」NMRプローブが挙げられる。このような先行技術の有用性は、これらの個別の静電容量を選択されたそれぞれの核の核磁気回転比に対応させることによって、得られている。本発明の方法は、それぞれのマイクロモード操作に対して個別の中心周波数での共鳴を達成させるための切換可能な静電容量をもたらすことによって、実施可能である。
【0026】
従来のNMRプローブは、多くの場合、共鳴器48によって代表されるような複数のRF共鳴器を備えていることに注目されたい。すなわち、第1のRF共鳴器48は、デカップリング操作などに従来から利用されている他のRF共鳴器48’(図示せず)内に同軸に配置されていてもよい。これらの従来のRF共鳴器48,48’は、通常、それぞれのRF磁場が直交するように配置されている。このようなプローブの場合、マイクロコイル50の挿入は、「マクロ」共鳴器/コイル48または48’の1つに対して最大の誘導結合が得られると共に、他のコイル48’または48に対して最小の誘導結合が得られるように、相対的に配向されているとよい。このような構成は、できる限り広範囲にわたって測定値が得られるように実験、例えば、間接検出を可能とするので、有利である。従来のプローブが単一共鳴器を備えているかまたは複数の共鳴器を備えているかに関わらず、マイクロコイル50が、1つのRF共鳴器48(または、複数の共鳴器の他方)に対してそのRF磁場の所望の方位角方向を取ることが、重要な必要条件である。
【0027】
マイクロコイル50の機械的な支持は、好ましくは、マイクロ試料容器の支持とは、無関係である。例示的な実施形態が、図3a,3b,3c,3dに示されている。マイクロコイル軸は、コイル48の軸と同軸である。共鳴器48,48’は、NMRプローブハウジングに関して固定されており、従来通りの構造を呈していることを理解されたい。マイクロコイルは、フォーマ94の外面上に直接支持されており、該フォーマ94は、ブッシング96から懸垂されている。外管95’は、典型的には温度調整用の加熱ガスが試料領域を軸方向に通過する閉込区域をもたらすために用いられるものとして示されている。
【0028】
プローブブッシング96は、当業者によって、従来通りの試料回転および/またはプローブコイルの軸上への試料容器の単純な固定および位置合せのために、スピナ本体またはタービンの機械的な等価物として、認知されている。プローブブッシング96は、より一般的には、(好ましい実施形態において)マイクロコイル50を支持し、マイクロコイル50および試料容器88をプローブハウジングに対して確実に同軸配列させる位置決めブッシングである。プローブブッシング96は、プローブの従来の利用(マクロモード操作)との切換えを容易にするために、プローブハウジングに容易に挿入可能になっていると共に該プローブハウジングから容易に取外し可能になっている。好ましい実施形態では、同様に、試料容器は、プローブブッシング96に容易に挿入可能になっていると共にプローブブッシング96から容易に取外し可能になっている。プローブハウジング内に挿入されると、プローブブッシング96は、固定された共鳴器48−48’に対する同軸配列を確実なものとするために、プローブハウジングのこのような従来の配置構造の(従来から設けられている)カップ状空気軸受基部またはその等価物によって、好都合に支持されることになる。プローブハウジングに対する同軸配列を確実にするための他の便利な配置構造も、当業者には明らかであろう。マイクロコイル操作では、マイクロコイル50は、該マイクロコイルの磁場B方向を所望の方位角方向に配向させるように、配置されることを理解されたい。特定の実験(例えば、間接検出)では、2つの共鳴器48,48’が利用され、1つの共鳴器、例えば、48’の(RF)磁場Bをマイクロコイル50の磁場と直交させる必要がある。一方、マイクロコイル50の自己共振をもたらすためのマイクロコイル50の励起は、共鳴器48の結合強さに依存している。この誘導(励起)結合がマイクロコイル50の方位角方向からの変位によって低下すると、整合したインピーダンス条件が維持されている条件下において、得られる信号強度の減衰をもたらすことなく、RF共鳴器の必要な周波数範囲が低下することになる。実際には、必要とされる周波数範囲のこのような低下は、それほど大きくはなく、マイクロコイル50のこのよう角変位は、他の共鳴器48’からの所望の分離を低下させることになる。典型的なプローブは、通常、共鳴器のRF磁場が直交するように、これらの共鳴器を配向させている。固定された共鳴器48,48’に対するマイクロコイルの所望の配向は、指示部92によって、固定されている。指示部92は、例えば、プローブハウジングに対して任意の便利な方法によって係合させるためにプローブハウジング96から半径方向に突出しているピンである。
【0029】
図3bは、マイクロコイル50とは無関係に、マイクロ試料容器88を挿入/取外しするための試料挿入アセンブリを示している。試料ブッシング80は、共鳴器48に対する試料容器の適切な軸方向配列を得るために、プローブブッシング96の上面の共形空洞内に受け入れられるようになっている。図3bに示されているように、試料容器は、円筒管であり、このような円筒断面試料容器に対して特定の方位角方向は不要である。試料容器は、米国特許第6,917,201号明細書および第7,557,578号明細書に開示されているような他の断面形状を有していてもよい。このような場合、試料挿入アセンブリは、共鳴器48およびマイクロコイル50のそれぞれのRF磁場方向に対して所望の方位角方向配向を得るために、図4bに示されているものと類似の構造を有することになる。
【0030】
浮遊RFシールド98が、(一例として)フォーマ94の内面上に支持され、マイクロコイル50に対してRF(B)開口、すなわち、窓を画定する目的と共に、自己共振マイクロコイル回路の静電容量をもたらす目的を果たすようになっている。この目的で配置されている浮遊シールドは、よく知られている。本発明の譲渡人に譲渡された米国特許第6,008,650号明細書を参照されたい。図3Dでは、マイクロコイル50は、RFシールド98と共に平面に拡げて示されている(後者のRFシールド98は、コイルフォーマ94の厚みだけコイルから離れている)。
【0031】
図3bに示されているように、マイクロコイル50が独立して支持されていることによって、プローブ本体およびその付随する信号/電力ケーブル、(マクロモードにおける回転または熱調整のための)ガス接続部、などを阻害することなく、マクロモード操作とマイクロモード操作との間の使い勝手のよい切換えが可能になる。最新の分析用NMR装置では、NMR磁石の孔内に、NMRプローブを垂直対称軸に沿ってほぼ自在に設置することが可能になっている。前述の構成によって、マイクロコイル50をプローブ本体の上方から挿入および取出しすることができると共に、マイクロコイルとは無関係に、試料容器を挿入および取出しすることができる。さらに、この試料容器の挿入/取出し操作は、磁石孔の上方から便利に行われるようになっている。この構成によって、必要に応じて、操作モード間の迅速な切換えおよび多数の試料間の切換えを容易に行うことができる。特に、この構成によれば、待機している一連の試料をロボットアーム装置の操作によって種々の実験に供する従来の自動化と同じように、操作を自動化することができる。このような自動化ロボットアーム装置は、当技術分野において、例えば、カリフォルニア州のVarian社から市販されている「Sample Management System (SMS) 」またはその等価物として知られている。
【0032】
図4a,4bに示されている他の実施形態では、マイクロコイル50は、マイクロ試料容器88の外面に支持されている別のフォーマ86上に支持されている。空間の磁気的均一性を維持するために必要な材料を磁場環境に対してこのような材料の磁気感受性を整合させることによって得ることがよく知られている。この実施形態では、マイクロコイル50は、好ましくは、溶融石英などの薄肉スリーブ86上に支持されており、該スリーブ86は、マイクロ試料容器88上に直接支持されている。融解石英スリーブ86の内面は、(図3cにおいて98で示されている)浮遊RFシールドを支持している。この浮遊RFシールドは、試料の照射用のRF開口を画定すると共に、マイクロコイル自己共振回路50’に静電容量をもたらすようになっている。マイクロコイル50およびシールド87は、一般的な蒸着技術を用いて、スリーブ86と一体化されているとよい。スリーブは、NMR器具の感受性領域を十分に超えて(共鳴器48,48’およびマイクロコイル50のRF開口を十分に超えて)延在する十分な長さを有しており、適切な接着剤またはその等価物によって、マイクロコイル50の軸方向位置が固定されているとよい。方位角方向を示す指示部を固定するために、微量試料管配向ハウジング80は、プローブブッシング96’の上面の長孔82’内に受け入れられる半径方向配向ピン82を介して、所望の配向を確保するようになっているとよい。この実施形態では、自己共振回路50’は、マイクロ試料容器88共に、1つのユニットとして挿入/取外しされることになる。
【0033】
図4a,4bの実施形態の変形形態として、図5a,5b,5cは、(マイクロ)試料容器88と一体化されたマイクロコイル50を特徴的に示している。マイクロコイル50は、好ましくは、マイクロ試料容器88の外面上に直接蒸着されているので、別のコイルフォーマの必要性が排除されることになる。自己共振回路50’を完全なものとするのに必要な静電容量53は、マイクロコイル50の感受性領域から離れて設けられている。これは、図5bに概略的に示されている。ここでは、静電容量は、チップコンデンサまたは特別に構成された分布容量からもたらされている。図示されているように、前述の実施形態の浮遊RFシールドは、ここでは省略されている。しかし、(図3cの実施形態に示されているような)機能的浮遊RFシールドを蒸着誘電層によって被覆された蒸着導電層上に設け、マイクロコイルを該誘電層上に蒸着させることも可能である。この実施形態のマイクロ試料アセンブリの組立では、マイクロコイル50に対して半径方向配向ピン82を相対的に配向させることに注意を払わねばならない。
【0034】
本発明では、共鳴器48またはマイクロコイル50の形態にはどのような制限も設けられていないことに注目されたい。それぞれのコイル(48,50)のRF磁場方向は、(第2のプローブコイル48’が励起に利用可能になっている間接検出および同様の実験に望まれているように)互いに直交しているとよい。RF共鳴器は、非ソレノイドコイル(48,48’,50)間の最大結合をもたらすために同軸であるべきである。同軸コイル(48,48’,50)は、サドルコイル、バードケージコイル、などの形態を取ることができ、この場合、RF磁場は、NMR器具の分極場の孔と殆どの場合一致しているコイルの幾何学的軸と直交している。RF磁場方向が幾何学的軸と一致しているソレノイドコイルは、一般的ではないが、本発明に用いられるコイルのいくつかに用いられてもよい。RF共鳴器48は、共鳴空洞の形態を取っていてもよい。同軸特性によって、マイクロコイル50の挿入および取外しが容易になる。外部分極場の相対的な方位、共鳴器(48,48’)のそれぞれのRF磁場方向B,B’、およびマイクロコイル50のRF磁場Bβは、実際のNMR実験にとって重要である。
【0035】
本発明の種々の細部は、本発明の範囲から逸脱することなく、変更されてもよいことを理解されたい。さらに、前述の説明は、単なる例示にすぎず、制限することを目的とするものではない。すなわち、本発明は、特許請求の範囲によって定義されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NMRプローブの使用方法であって、第1の試料量に対して共鳴周波数ωで最適の感度を達成する第1の操作モードと、次いで、第2の試料量に対して同一の共鳴周波数ωで最適の感度を達成する第2の操作モードでの操作を含み、前記第2の試料量が前記第1の試料量よりも著しく少ないような方法において、
前記第1の試料量の実験に対して最適化されたRF共鳴器48を有するNMRプローブを用意するステップであって、前記RF共鳴器48は、RF磁場を第1の方向に沿ってもたらすようになっている、ステップと、
前記第1の試料量の第1の試料を前記プローブ内に挿入するステップと、
周波数ωのRFエネルギーを供給するステップと、
前記NMRプローブをωに同調させ、第1の所望のデータを取得し、これによって、前記第1の操作モードの操作を終了させるステップと、
前記第1の試料を前記プローブから取り出すステップと、
自己共振コイル50を前記RF共鳴器48内に挿入するステップと、
微量試料を前記自己共振マイクロコイル50の軸に沿って挿入するステップであって、前記マイクロコイル50は、前記微量試料を包囲しており、前記マイクロコイル50は、前記RF共鳴器48に誘導結合されるようになっている、ステップと、
前記RF共鳴器をω>ωの周波数で再同調するステップであって、前記周波数ωは、ωでの前記マイクロコイル50の自己共振を励起するのに十分である、ステップと、
前記第2の試料量を前記NMRプローブの前記RF共鳴器48内に挿入するステップと、
前記微量試料から第2の所望のデータを取得し、これによって、前記第2の操作モードを終了させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記挿入ステップは、前記マイクロコイル50をマイクロ試料容器88に支持させることを含み、かつ、前記マイクロ試料容器88は、前記第2の試料を収容している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロコイル50を前記RF共鳴器から取り出し、前記RF共鳴器をωに再同調し、これによって、前記第1の操作モードを復元させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロコイル50のRF磁場を前記RF共鳴器48の前記RF磁場と一致させるように位置合せするステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記共鳴器は、RFコイル48に接続されたリアクタンスを備える回路を備えており、前記RFコイル48は、前記マイクロコイル50を同軸に包囲しており、前記再同調ステップは、前記共鳴周波数をωを含む周波数の範囲からωを含む周波数の範囲に変更するために、代替リアクタンスを前記共鳴器48の前記回路に切換接続することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記挿入ステップは、マイクロ試料容器88を前記マイクロコイル50と無関係に支持することを含み、前記マイクロ試料容器60は、前記第2の試料を収容している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記挿入ステップは、前記マイクロコイル50を、前記RF共鳴器48の前記RF磁場に関して所望の方向に沿ったRF磁場を示すように配向させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記挿入ステップおよび前記取出しステップは、ロボットアームによって行われるようになっている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
互いに異なる断面寸法の試料容器内の互いに異なる選択された試料容積の選択された試料を最適な条件下で交互に実験するためのNMRプローブにおいて、
少なくとも1つのRF共鳴器48を支持するプローブハウジングであって、前記RF共鳴器48は、周波数ωでの共鳴操作を可能とし、前記RF共鳴器48は、主RF磁場方向Bを有しており、前記RF共鳴器48は、軸zを中心とする略円筒対称性を有するようなプローブハウジングと、
取外し可能なマイクロコイル支持アセンブリであって、前記プローブハウジングによって容易に受け入れられ、かつ前記プローブハウジングから容易に取り外し可能であるように寸法決めされたプローブブッシング96と、マイクロコイル50を備えた自己共振回路50’であって、前記自己共振回路50’は、周波数ωで共振するようになっており、前記マイクロコイル50は、主RF磁場方向Bβを有しており、前記マイクロコイル50は、前記プローブハウジング内に受け入れられたときに前記RF共鳴器48と同軸に配置されるようになっている自己共振回路50’と、を備え、前記プローブブッシング96は、前記方向Bに関連する第1の方位角指示部92を備えており、これによって、前記方向Bに対する前記方向Bβの所望の相対的方位をもたらすようになっているマイクロコイル支持アセンブリと、
試料ブッシング80および対称軸を有する細長の試料容器88を備えた試料アセンブリであって、前記試料ブッシング80は、前記試料容器88を受け入れるように構成された開口を有し、前記試料アセンブリおよび前記マイクロコイル50のそれぞれの前記対称軸を互いに位置合せさせるようになっている試料アセンブリと、
を備え、前記プローブブッシング96は、前記試料ブッシング80を容易に受け入れるように構成されていることを特徴とするNMRプローブ。
【請求項10】
前記試料アセンブリは、前記プローブブッシング96と一体になっていることを特徴とする請求項9に記載のNMRプローブ。
【請求項11】
前記マイクロコイル50は、前記試料容器88によって支持されていることを特徴とする請求項10に記載のNMRプローブ。
【請求項12】
前記試料アセンブリは、試料ブッシング96によって容易に受け入れられ、かつ該試料ブッシング96から取り外し可能になっており、前記マイクロコイル50は、前記試料容器88によって支持され、試料ブッシング80は、前記方向Bに対する前記方向Bβの所望の相対的配向を確保するために、長孔82’およびピン82から構成されている第2の方位角方向指示部を備えていることを特徴とする請求項9に記載のNMRプローブ。
【請求項13】
試料容器88は、非円形断面を有しており、前記試料ブッシング96は、前記非円形断面を前記方向Bβに対して所望の関係になるように位置合せする試料アセンブリ方位角指示部を備えていることを特徴とする請求項9に記載のNMRプローブ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a−3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a−4b】
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【図5a−5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2013−501222(P2013−501222A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523054(P2012−523054)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/043775
【国際公開番号】WO2011/014696
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.