説明

井戸用カメラ装置

【課題】 本発明は、井戸内部に設置した井管について全方位撮影を可能にするカメラ装置に関するものである。
【解決手段】 本発明は、最下端部に直視カメラ6を設けたカメラ設置部材2の周側面部の縦方向の四方向箇所に魚眼レンズ付き側視カメラ5・・・を設置し、前記各側視カメラと直視カメラの周囲にLED照明部を設け、このように成るカメラ設置部材に連設するカメラハウジング3部において、前記直視カメラ及び側視カメラに連通する四分割ユニット及びカメラコントローラを設置し、前記カメラハウジングに連設するコネクタ4からカメラケーブルを介して地上のTVモニターに連通して成る装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、井戸内部に設置した井管についての全方位撮影を可能にする井戸用カメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
300〜500mに及ぶ井戸に井管を設置し、井管内部の状況を監視撮影する手段としては、従来次のような公知技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−311401号公報
【特許文献2】特開2002−64729号公報
【特許文献3】特開2004−357111号公報
【特許文献4】特許第2724833号公報
【特許文献5】特許第3447282号公報
【特許文献6】特開2003−244511号公報
【特許文献7】特許第2697102号公報
【0004】
このうち1,2,3において見られる技術はいずれも、井管内の全周囲を撮影する方法としてミラー反射を利用する手段を採るものである。
【0005】
4に見られる技術は、井管内の全周囲を撮影する手段として、回転体鏡とその上部のTVカメラとの組み合せから成るものである。
【0006】
5に見られる技術は、鏡部が回転することによって、カメラ部が井管内の全周囲を撮影するものである。
【0007】
6,7に見られる技術は、全方位に及ぶ撮影カメラではあるが、地上において設置して利用するものである。
【0008】
しかしながら、これらの従来のカメラ技術による欠点をまとめると、次のようになる。
【0009】
第1に、井管の内壁状況を観察することを目的とする側視レンズが1個であることから、レンズ部分を回転しなければならない。
【0010】
第2に、井管内という特殊環境における観察撮影であるため、回転させながら井管内を降下又は上昇させながら側視観察をしなければならず、その観察視界は縦方向への螺旋状になり、死角が生じていた。
【0011】
第3に、死角が生じないように観察するためには、降下や上昇をさせず1回転させ、次の視界まで降下又は上昇させて再度回転させることを繰返す必要があるから、時間的制約の中ではきわめて非現実的な作業となった。
【0012】
第4に、前記のような死角が生ずると、井管自体の破損状況を見逃すおそれがあった。
【0013】
そこで、以上のような欠点を解消する手段として、本発明は次の点に留意することにしたのである。
【0014】
第1に、360°の全方位にわたり井管内壁を観察できるようにする。
【0015】
第2に、視界110°の魚眼レンズを縦方向に4個配置し、4個のレンズの視界が20°ずつ重なるようにして、死角を解消するようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、あくまでも井戸に施工した井管内に設置し、井管の全周面状態を360°全面に監視点検し、井管の付着物や破損などの状態を見落とすことなく、全方位にわたって確実に撮影記録することができる全方向にわたる視界監視カメラ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、最下端部に直視カメラを設けたカメラ設置部材の周側面部の縦方向の四方向箇所に魚眼レンズ付き側視カメラを設置し、前記各側視カメラと直視カメラの周囲にLED照明部を設け、このように成るカメラ設置部材に連設するカメラハウジング部において、前記直視カメラ及び側視カメラに連通する四分割ユニット及びカメラコントローラを設置し、前記カメラハウジングに連設するコネクタからカメラケーブルを介して地上のTVモニターに連通して成る装置である。
【発明の効果】
【0018】
運転中の井戸に異常を知らせる,水が濁る,砂が出る,水位が低下又は上昇するという状況が発生する原因は、井管のスクリーンの目詰まりや破損などによることが多いことから、井戸の維持管理は不可欠であることに鑑み、本発明に係る装置によって、人は地上において井管の状態をTVモニターを監視することにより迅速かつ確実に察知し異常を発見することができるようになり、きわめて実用性の高い装置となっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】装置全体の説明図
【図2】水中カメラ設置部の正面図
【図3】図2要部の正面図
【図4】図3A−A線より見た要部の底面図
【図5】水中カメラ設置内部の回路説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明にあっては、カメラ設置部材において、水中TVカメラは110°広角の魚眼レンズを四側方向に設置し、各レンズは隣接レンズとの間に20°のオーバーラップ部分を有することにより、井管内部を360°の全周囲を撮影することができ、その状態は地上において四分割された画像に映し出されることから、監視者は地上においてリアルタイムに井管状態を把握することができるようになる。
【0021】
また、カメラ周囲の照明にはLEDライトを採用することにより、より鮮明な撮影が可能となる。
【0022】
さらに、撮影記録は動画保存することが可能となるのみならず、専用ソフトによる処理によって、井管の全内周面の展開画像を検視することができる。
【0023】
また、地上のモニターに映された画像から異常箇所を発見したときは、画像の切り換えによって詳細な確認を確実に行うことができる。
【0024】
同様に、TVカメラの直視と側視の切り換えを地上において簡単に行うことができる。
【0025】
なお、視界110°の魚眼レンズを縦方向に四方に配置して全周視界にしたときに起こる配置差44mmのずれは、別に発明した画像解析ソフトによって補正し、当該周面を同一深度画像として映し出している。
【実施例】
【0026】
1は本発明の円筒形状に成る水中TVカメラ部を示し、これを略称MVP(Multi View Point)カメラと呼ぶ。
【0027】
前記MVPカメラは360°回転可能なカメラ設置部材2とその上方部に摺動自在に被嵌するカメラハウジング3とコネクタ4とから成る。
【0028】
5・・・は前記カメラ設置部材2の周側面部上の四方向箇所に等間隔をおいて縦方向に設置した魚眼レンズ付の側視カメラで、この各側視カメラのレンズは110°の広角に成るから、20°ずつ重なるようになり、井管の360°の全周面部の撮影に死角が生じないようになる。
【0029】
6は前記カメラ設置部材2の最下端部に設けた直視カメラで、降下するMVPカメラ部において井管内部の状態を上方から確認するために使用する。
【0030】
7・・・・は前記各側視カメラ5・・・と直視カメラ6の周囲に設けるLED照明部である。
【0031】
8は前記カメラ設置部材2の内部に設けるカメラコントローラで、これは前記直視カメラ6に連絡する。
【0032】
9は前記各側視カメラ5・・・に連絡する四分割ユニットで、これは後記カメラコントローラ10に通ずる。
【0033】
10は前記直視カメラ6に連絡するカメラコントローラで、これは多重ユニット11に通ずる。
【0034】
12は前記LED照明部7・・に連絡するDC−DCコンバータで、これは前記多重ユニット11に通ずる。
【0035】
13は前記カメラコントローラ10に連絡するパンモータである。
【0036】
14は前記多重ユニット11に連絡するスリップリングで、これは前記コネクタ4に連絡する。
【0037】
15は前記コネクタ4の基端部材16と前記カメラハウジング3の一部との間に架設したセンターライザーで、この外側面部は井管aの内壁面に接触しながら上下に摺動し、カメラハウジング3はコネクタ4上を上下作動するようになる。
【0038】
17は前記コネクタの基端部材16から前記コネクタ4の内部、カメラハウジング3の内部から各カメラ部5,6に連通するカメラケーブルで、これは地上において上部シーブ18および中間シーブ19を介して電動ウィンチ20に連設し、ここからカメラケーブル21およびカメラコントローラ22を介してTVモニター23に連通する。
【0039】
24は前記カメラコントローラ22と上部シーブ18との間に連結するケーブルカウンタセンサーケーブルである。
【0040】
25は前記電動ウィンチ20用のリモコンで、電動ウィンチにはさらに電源ケーブル26が接続する。
【0041】
27は前記カメラコントローラ22への電源ケーブルである。
【符号の説明】
【0042】
1 水中TVカメラ部
2 カメラ設置部材
3 カメラハウジング
4 コネクタ
5・・・ 側視カメラ
6 直視カメラ
7・・・・ LED照明部
8 カメラコントローラ
9 四分割ユニット
10 カメラコントローラ
11 多重ユニット
12 DC−DCコンバータ
13 パンモータ
14 スリップリング
15 センターライザー
16 基端部材
17 カメラケーブル
18 シーブ
19 中間シーブ
20 電動ウィンチ
21 カメラケーブル
22 カメラコントローラ
23 TVモニター
24 ケーブルカウンタセンサーケーブル
25 ウィンチリモコン
26 電源ケーブル
27 電源ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最下端部に直視カメラを設けたカメラ設置部材の周側面部の縦方向の四方向箇所に魚眼レンズ付き側視カメラを設置し、前記各側視カメラと直視カメラの周囲にLED照明部を設け、このように成るカメラ設置部材に連設するカメラハウジング部において、前記直視カメラ及び側視カメラに連通する四分割ユニット及びカメラコントローラを設置し、前記カメラハウジングに連設するコネクタからカメラケーブルを介して地上のTVモニターに連通して成ることを特徴とする井戸用カメラ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−119986(P2011−119986A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275453(P2009−275453)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000152321)株式会社日さく (3)
【Fターム(参考)】