説明

井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法

【課題】
工期の短縮を図れ、工費の低減が可能な井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法の提供。
【解決手段】
井筒10下端部内の土砂を掘削排除しつつ井筒10を地中に沈降させ、井筒10の上端が水面より高い位置にある時に、井筒10の上端に頂版11を形成するとともに頂版11上に上下に貫通開口させた作業機出入穴42を有する橋脚躯体構成部材12を立設し、橋脚躯体構成部材12の上端を水面上に位置させた状態で作業機出入穴41,42を通して掘削機及び土砂搬出機による井筒下端部内の土砂の掘削及び土砂搬出作業を行って所定の深さまで井筒10を沈降させ、然る後、橋脚躯体構成部材12を一部又は全部とした所望の橋脚躯体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設させた井筒を基礎とする橋脚を構築する方法として、オープンケーソン工法が知られている。
【0003】
この工法は、一般に図6に示す手順で施工される。
【0004】
まず、図6(イ)に示すように、上下が開口した井筒1を設置箇所に設置し、井筒下端部内の土砂をグラブバケット2等により掘削排除しつつ、井筒1の上端部が水面又は地表面付近に到達する位置まで沈降させる。
【0005】
次に、図6(ロ)に示すように、井筒1の上端に鋼板矢板等からなる仮壁3を設置し、更に井筒下端部内の土砂を掘削排除しつつ井筒1を所定の位置まで沈降させる。
【0006】
所定の深さまで沈降させた後、図6(ハ)に示すように、井筒1の下端開口部に場所打ちコンクリートにより底版4を形成して井筒1の下端開口部を閉鎖し、更に井筒1内に土砂5を埋め戻して井筒基礎を構築する。
【0007】
次に、仮壁3内の水を汲み上げ、仮壁の内側にドライ空間を形成し、仮壁3内のドライ空間において、井筒1の上端部に場所打ちコンクリートによる頂版6を形成し、それにより井筒上端部を閉鎖する。
【0008】
更に、仮壁3内のドライ空間において橋脚躯体7を構築するための鉄筋や型枠を設置し、現場打ちコンクリートにより頂板6上に橋脚躯体7を構築する。
【0009】
そして、橋脚躯体7の構築が完了した後、図6(ニ)に示すように、仮壁3を撤去し、その部分に土砂を埋め戻し施工が終了する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述の如き従来の技術では、橋脚躯体を構築するためのドライ空間を得るために仮壁を設け、さらに橋脚躯体構築後はそれを撤去しなければならないので、その分工程が多くなり工期が長期化し、工費が嵩むという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、上述の従来技術の問題を鑑み、工期を短縮し、工費の低減が可能な井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、上下が開放された筒状のコンクリート製井筒を橋脚躯体構築位置に設置し、前記井筒下端部内の土砂を掘削排除しつつ該井筒を地中に沈降させ、所定の深さまで沈降させた後、該井筒の下端開口部を場所打ちコンクリートによる底版にて閉鎖することによって井筒基礎を構築し、該井筒基礎の上端を場所打ちコンクリートによる頂版により閉鎖し、該頂版上に該頂版と一体に橋脚躯体を構築する井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法において、前記井筒の上端が、橋脚躯体構築位置が陸上の場合は地表面より、又は該橋脚躯体設置位置が水底である場合には水面よりそれぞれ高い位置にある時に、前記井筒の上端に頂版を形成するとともに該頂版上に上下に貫通開口させた作業機出入穴を有する橋脚躯体構成部材を立設し、該橋脚躯体構成部材の上端を前記地表面又は水面より上に位置させた状態で前記作業機出入穴を通して掘削機及び土砂搬出機による井筒下端部内の土砂の掘削及び土砂搬出作業を行って所定の深さまで井筒を沈降させ、然る後、前記橋脚躯体構成部材を一部又は全部とした所望の橋脚躯体を形成する井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法であることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、前記掘削機及び土砂搬出機として、中空のガイド筒と、該ガイド筒とともに旋回して土砂を中心部分に掻き寄せる土砂掘削掻き寄せ手段と、該ガイド筒を旋回及び昇降させるガイド筒駆動手段と、前記ガイド筒内をクレーンによって上下に移動して該ガイド筒下の土砂を掘削し搬出するハンマーグラブとを有し、前記土砂掻き寄せ手段には、半径方向に拡縮自在な掻き寄せ部材が備えられた構造の装置を使用し、前記ガイド筒とともに土砂掻き寄せ手段を旋回させて土砂をガイド筒下に掻き寄せ、その掻き寄せられた土砂を前記ハンマーグラブにより搬出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、上下が開放された筒状のコンクリート製井筒を橋脚躯体構築位置に設置し、前記井筒下端部内の土砂を掘削排除しつつ該井筒を地中に沈降させ、所定の深さまで沈降させた後、該井筒の下端開口部を場所打ちコンクリートによる底版にて閉鎖することによって井筒基礎を構築し、該井筒基礎の上端を場所打ちコンクリートによる頂版により閉鎖し、該頂版上に該頂版と一体に橋脚躯体を構築する井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法において、前記井筒の上端が、橋脚躯体構築位置が陸上の場合は地表面より、又は該橋脚躯体設置位置が水底である場合には水面よりそれぞれ高い位置にある時に、前記井筒の上端に頂版を形成するとともに該頂版上に上下に貫通開口させた作業機出入穴を有する橋脚躯体構成部材を立設し、該橋脚躯体構成部材の上端を前記地表面又は水面より上に位置させた状態で前記作業機出入穴を通して掘削機及び土砂搬出機による井筒下端部内の土砂の掘削及び土砂搬出作業を行って所定の深さまで井筒を沈降させ、然る後、前記橋脚躯体構成部材を一部又は全部とした所望の橋脚躯体を形成することにより、ドライ空間を設けるための仮壁を設置する必要がなく、その分の工程を削減でき、それにより工期の短縮及び工費の低減を図ることができる。
【0015】
また、前記掘削機及び土砂搬出機として、中空のガイド筒と、該ガイド筒とともに旋回して土砂を中心部分に掻き寄せる土砂掘削掻き寄せ手段と、該ガイド筒を旋回及び昇降させるガイド筒駆動手段と、前記ガイド筒内をクレーンによって上下に移動して該ガイド筒下の土砂を掘削し搬出するハンマーグラブとを有し、前記土砂掻き寄せ手段には、半径方向に拡縮自在な掻き寄せ部材が備えられた構造の装置を使用し、前記ガイド筒とともに土砂掻き寄せ手段を旋回させて土砂をガイド筒下に掻き寄せ、その掻き寄せられた土砂を前記ハンマーグラブにより搬出させることにより、作業機出入穴径より広い範囲の地盤を掘削し、その掘削土砂を排出することができ、井筒の沈降作業を好適に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施の形態を図面に示した実施例に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明方法に使用する装置の概略を示し、図中符号10は井筒、符号11は頂版、符号12は橋脚躯体構成部材、符号13はクレーン、符号14は井筒圧入手段である。
【0018】
この装置は、掘削・土砂搬出機により井筒10下端部内を掘削排土しつつ、井筒圧入手段14により井筒10を地盤15に圧入することにより井筒10を地盤15内に沈降させるようになっている。
【0019】
井筒圧入手段14は、地盤15上に立設された複数の支柱16,16…と、支柱16,16…に支持された反力受け台17と、反力受け台17の上方に配置された加圧作業台18とを備え、加圧作業台18上に設置されたジャッキ19,19により反力受け台17に反力をとって加圧作業台18を下方に押し下げ、加圧作業台18の下面で井筒10又は橋脚躯体構成部材12の頂部を押圧し、井筒10を地盤15に圧入させるようになっている。
【0020】
掘削機及び土砂搬出機には、例えば、井筒10の上端が水面付近に至るまでは、クレーン13に吊り下げ支持された土砂排出バケット20を使用し、それ以降、即ち井筒10上に橋脚躯体構成部材12を構築した後は、中空のガイド筒21と、該ガイド筒21とともに旋回する土砂掘削掻き寄せ手段22と、ガイド筒21を旋回及び昇降させるガイド筒駆動手段23と、ハンマーグラブ24とを有する装置を使用する。尚、地盤の状況によっては、最初から上述のガイド筒21を使用した装置により掘削をおこなってもよい。
【0021】
ガイド筒21は、鋼管をもって構成され、支柱16,16…に支持された支持枠体25の上に設置されたガイド筒駆動手段23に旋回可能且つ上下動可能に支持され、このガイド筒駆動手段23により旋回されるようになっている。
【0022】
また、ガイド筒21の下端には、土砂掘削掻き寄せ手段22が着脱可能に固定され、この土砂掘削掻き寄せ手段22がガイド筒21とともに旋回するようになっている。
【0023】
土砂掘削掻き寄せ手段22には、図2、図3に示すように、ガイド筒21の下端に取り付けられる筒部26と、該筒部26の外周部に固定された掻き寄せ部材27〜29とを備えた装置を使用する。
【0024】
筒部26は、上下が開口した円筒の上端にガイド筒21の下端に挿入されるオスカラー30を備え、該オスカラー30をガイド筒21の下端に挿入することにより、ガイド筒21の下端に固定されるようになっている。
【0025】
また、筒部26の下端には、掘削刃31が取り付けられている。
【0026】
更に、筒部26の外周には、導入孔32が形成され、掻き寄せ部材27〜29により掻き寄せられた土砂がこの導入孔32より筒部26内に導かれるようになっている。
【0027】
掻き寄せ部材27〜29は、掘削径に合わせて3種類使用され、各掻き寄せ部材27〜29は、それぞれ120度間隔に3ヶ所設置されている。このように3種類の掻き寄せ部材を用意したことにより、ガイド筒21に近い箇所からガイド筒21より遠い箇所まで土砂を広い範囲に渡ってガイド筒21下に掻き寄せることができるようになっている。
【0028】
掻き寄せ部材27,28は、筒部26の外周に周方向に間隔をおいて固定されたブラケット33,33…に縦向きに回動可能に軸支されたアーム34と、アーム34の先端部に軸支された可動掘削部35とを備え、掘削径を半径方向に拡縮できるようになっている。
【0029】
この掘削径の拡縮は、図4に示すように、ブラッケット33上部に一端が軸支され、他端が支持軸36よりもアーム34の上端側に軸支されたシリンダー37によりなされ、シリンダー37を伸長させることによりアーム34の上端部が支持軸36に対して相対的に下向きに移動され、それによりアーム34が持ち上がり拡径し、逆にシリンダー37を収縮させることによりアーム34の上端部が支持軸36に対して相対的に上向きに移動し、アーム34を降ろさせ縮径するようになっている。
【0030】
尚、アーム34の長さは、掻き寄せ部材27と掻き寄せ部材28とで異なり、それにより掘削可能範囲が異なる。
【0031】
また、可動掘削部35は、掘削ビット38,38…を所定の角度で支持し、リンク39を介してブラケット33に支持され、アーム34の拡縮に対応してその掘削角度を変えるようになっている。
【0032】
即ち、アーム34が拡径方向に広がると可動掘削部35の掘削ビット側面が下を向き、好適な掘削勾配を形成するようになっている。
【0033】
一方、掻き寄せ部材29は、所定の掘削勾配に掘削ビット38,38…を支持した状態に筒部26の外周に固定されている。
【0034】
ハンマーグラブ24は、クレーン13に吊り下げ支持され、ガイド筒21内に挿入されてガイド筒21下の土砂を掘削排土するようになっている。
【0035】
次に、上述の装置を使用した本発明方法の実施例について説明する。
【0036】
図5は本発明方法により水底に橋脚躯体を構築する場合における各工程の概略を示している。
【0037】
まず、井筒10を設置箇所に据え、図5(イ)に示すように、井筒10の上端が水面より高い所定の位置まで沈降させる。
【0038】
この井筒10の構築・沈降作業は、円形、楕円形又は四角形等のリング状の短筒体40を設置箇所の水底地盤15上に設置し、その上方に短筒体40,40…を順次接合させ、短筒体40,40…を1又は複数段組立てる毎にその下端部内の土砂を土砂排出バケット20により掘削排土するとともに、井筒圧入手段14により短筒体40を順次下方に押圧し地盤15内に圧入することにより、井筒10を構築しつつ沈降させる。
【0039】
また、この井筒10の肉厚部には、上下方向に図示しない複数のPC緊張材が周方向に間隔をおいて挿通させ、このPC緊張材により上下方向にプレストレスを付加する。
【0040】
尚、短筒体40は、短筒体40を複数に分割した形状に形成したプレキャストブロックを設置箇所においてリング状に組立てるようにしてもよく、設置箇所において、現場打ちコンクリートにより成形してもよい。
【0041】
次に、井筒10の上端が水面より高い所にある位置において、井筒10の上端部に現場打ちコンクリートにより中央部分に作業機出入穴41を有する頂版11を成形する。
【0042】
更に、頂版11上に橋脚躯体構成部材12成形用の型枠を設置し、その型枠内に必要な鉄筋等を配置し、型枠内にコンクリートを打設し、中央部に頂版11の作業機出入穴41と連続する作業機出入穴42を有する橋脚躯体構成部材12を成形する。
【0043】
この橋脚躯体構成部材12は、その高さを、井筒10を予定沈降位置まで沈降させた際に構成部材の上端が水面より上に位置する長さに形成される。
【0044】
そして、橋脚躯体構成部材12を充分に養生させて固化させた後、図5(ロ)に示すように、下端に刃口43を取り付けたガイド筒21を作業機出入穴41,42より挿入し、ガイド筒駆動手段によりガイド筒21を旋回させて井筒10下端部内の地盤15を掘削するとともに、ガイド筒21内にクレーン13により吊り下げ支持させたハンマーグラブ24によりガイド筒21内の掘削土砂を排土し、所定深さの中心孔44を形成する。
【0045】
次に、ガイド筒21を引き上げ、ガイド筒21の下端に土砂掘削掻き寄せ手段22を取り付けた後、作業機出入穴41,42よりガイド筒21を挿入する。
【0046】
そして、土砂掘削掻き寄せ手段22が作業機出入穴41を通過した後、図5(ハ)に示すように、アーム34を広げて掻き寄せ部材27,28の掘削径を広げ、所定位置に到達したらガイド筒21を旋回させて掻き寄せ手段22も旋回させる。
【0047】
それにより、各掻き寄せ部材27〜29の先端に取り付けられた掘削ビット38,38…が井筒10下端部内の地盤15表面をすり鉢状に掘削するとともに、中心に向けて掘削土砂を掻き寄せる。
【0048】
その掻き寄せられた掘削土砂は、導入孔32を通して中心孔44に落ち込み、それをハンマーグラブ24により排土する。
【0049】
このようにすることにより、井筒10下の地盤15が掘削され、それに合わせて井筒圧入手段14により、橋脚躯体構成部材12の上端を下向きに押圧し、橋脚躯体構成部材12及び頂版11を介して井筒10を水底地盤15内に圧入させ、所定の設置位置まで沈降させる。
【0050】
そして、井筒10を所定の位置まで沈降させた後、ガイド筒駆動手段23を撤去するとともに、各掻き寄せ部材27〜29を畳み、掘削径を縮径した後、作業機出入穴41,42を通してガイド筒21を引抜いて撤去する。
【0051】
次に、作業機出入穴41,42を通して井筒10内にトレミー管等のコンクリート打設装置を投入し、井筒10の下端部に現場打ちコンクリートにより底版45を成形し、井筒10の下端を閉鎖する。
【0052】
その後、井筒10内に土砂46を埋め戻し、井筒基礎が構築される。
【0053】
次に、作業機出入穴41,42内に必要な鉄筋等を配置し、現場打ちコンクリート47により穴内を充填し、頂版11及び橋脚躯体構成部材12の空隙部を埋める。
【0054】
最後に、橋脚躯体構成部材12の上部に、橋脚躯体の未完成部分48を構築し、井筒基礎を基礎とする橋脚が構築される。
【0055】
尚、上述の実施例では、橋脚躯体を水底に構築する場合について説明したが、橋脚躯体構築位置が陸上の場合には地表面より上の位置で頂版11及び橋脚躯体構成部材12の構築を行う。
【0056】
また、上述の実施例では、井筒10の地盤15への圧入に際し、井筒圧入手段14を使用した例について説明したが、井筒圧入手段14を用いずに、井筒10下端内の土砂を掘削排土するとともに、井筒10(及び橋脚躯体構成部材12)の自重を利用して沈降させるようにしてもよい。
【0057】
更に、橋脚躯体構成部材12の形状は、特に限定されず、その横断面が円形、楕円形、長方形又は多角形等のどのような形状であってもよい。
【0058】
また、上述の実施例では、橋脚躯体構成部材12の高さを、井筒10を頂版11成形位置より更に沈降させる前に、井筒10を予定沈降位置まで沈降させた際に構成部材の上端が水面より上に位置する長さに予め形成しておく場合について説明したが、橋脚躯体構成部材12は、井筒10の沈降に合わせて順次上方に延長させてもよい。
【0059】
尚、上述の実施例では、橋脚躯体構成部材12を場所打ちコンクリートによる一体成形とした物について説明したが、橋脚躯体構成部材12を輪切り状にした形状の複数のリング状部材をプレキャストコンクリートにより予め形成しておき、それを上方に順次接合させることにより構築してもよい。
【0060】
また、上述の実施例では、作業機出入穴を中心部分に1つ形成した例について説明したが、橋脚の大きさと掻き寄せ手段の大きさ等に応じ、位置をずらせて複数箇所に設けてもよく、更には井筒の形状に応じて井筒10内周に沿って多数設けてもよい。
【0061】
尚、上述の実施例では、井筒10を設置箇所に据え、図5(イ)に示すように、井筒10の上端が水面より高い所定の位置まで沈降させた後、井筒10上に頂版11及び橋脚躯体構成部材12を構築する例について説明したが、予め井筒10、頂版11及び橋脚躯体構成部材12を構築した後、ガイド筒21を使用した装置により井筒10下端部内の土砂を掘削して井筒を沈設するようにしてもよい。即ち、図5(ロ)〜図5(ニ)の工程により橋脚を構築するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明方法に使用する装置の使用状態を示す断面図である。
【図2】図1中の土砂掘削掻き寄せ手段を示す正面図である。
【図3】同上の土砂掘削掻き寄せ手段を示す底面図である。
【図4】同上の掻き寄せ部材の拡縮動作機構を説明する為の図である。
【図5】本発明方法の各工程の状況を簡易的に示した断面図である。
【図6】従来の井筒基礎を使用した橋脚の構築方法における各工程の状態を簡易的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
10 井筒
11 頂版
12 橋脚躯体構成部材
13 クレーン
14 井筒圧入手段
15 地盤
16 支柱
17 反力受け台
18 加圧作業台
19 ジャッキ
20 土砂排出バケット
21 ガイド筒
22 土砂掘削掻き寄せ手段
23 ガイド筒駆動手段
24 ハンマーグラブ
25 支持枠体
26 筒部
27〜29 掻き寄せ部材
30 オスカラー
31 掘削刃
32 導入孔
33 ブラケット
34 アーム
35 可動掘削部
36 支持軸
37 シリンダー
38 掘削ビット
39 リンク
40 短筒体
41,42 作業機出入穴
43 刃口
44 中心孔
45 底版
46 土砂
47 現場打ちコンクリート
48 未完成部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下が開放された筒状のコンクリート製井筒を橋脚躯体構築位置に設置し、前記井筒下端部内の土砂を掘削排除しつつ該井筒を地中に沈降させ、所定の深さまで沈降させた後、該井筒の下端開口部を場所打ちコンクリートによる底版にて閉鎖することによって井筒基礎を構築し、該井筒基礎の上端を場所打ちコンクリートによる頂版により閉鎖し、該頂版上に該頂版と一体に橋脚躯体を構築する井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法において、
前記井筒の上端が、橋脚躯体構築位置が陸上の場合は地表面より、又は該橋脚躯体設置位置が水底である場合には水面よりそれぞれ高い位置にある時に、前記井筒の上端に頂版を形成するとともに該頂版上に上下に貫通開口させた作業機出入穴を有する橋脚躯体構成部材を立設し、該橋脚躯体構成部材の上端を前記地表面又は水面より上に位置させた状態で前記作業機出入穴を通して掘削機及び土砂搬出機による井筒下端部内の土砂の掘削及び土砂搬出作業を行って所定の深さまで井筒を沈降させ、然る後、前記橋脚躯体構成部材を一部又は全部とした所望の橋脚躯体を形成することを特徴としてなる井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法。
【請求項2】
前記掘削機及び土砂搬出機として、中空のガイド筒と、該ガイド筒とともに旋回して土砂を中心部分に掻き寄せる土砂掘削掻き寄せ手段と、該ガイド筒を旋回及び昇降させるガイド筒駆動手段と、前記ガイド筒内をクレーンによって上下に移動して該ガイド筒下の土砂を掘削し搬出するハンマーグラブとを有し、前記土砂掻き寄せ手段には、半径方向に拡縮自在な掻き寄せ部材が備えられた構造の装置を使用し、前記ガイド筒とともに土砂掻き寄せ手段を旋回させて土砂をガイド筒下に掻き寄せ、その掻き寄せられた土砂を前記ハンマーグラブにより搬出させる請求項1に記載の井筒基礎を使用した橋脚躯体の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−299558(P2006−299558A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119764(P2005−119764)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000112196)株式会社ピーエス三菱 (181)
【Fターム(参考)】