説明

亜硫酸を用いたイオン交換樹脂の再生方法

熱安定塩を含有するジアミン吸収剤を、カチオン交換樹脂が亜硫酸還流を用いて再生される、イオン交換プロセスを使って再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一側面において、本開示は、イオン交換樹脂の再生方法に関する。他の側面において、本開示は、酸性カチオン交換樹脂の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水性アミン溶媒への吸収による、排ガス流、例えば煙道ガス、または炭化水素含有流などのガス流からの二酸化硫黄(SO)または二酸化炭素(CO)などの酸性ガスの分離は、周知である。アミントリーター(treater)プロセスと称されるこれらのプロセスの多くは、“Gas Purification”, 5th Edition, Ed. Arthur L. Kohl and Richard B. Nielsen, Gulf Publishing Company, Houston, TXに記載されている。
【0003】
アミントリータープロセスは、再生可能なアミン溶媒を使用し、それにより、酸性ガスが、ある温度で溶媒中に捕獲され、酸性ガスが一般により高温で溶媒から脱離またはストリッピングされる。
【0004】
供給流から所定の酸性ガス成分を除去するためのアミン溶媒を、酸性ガスを蒸気ストリッピングにより溶媒から除去することができるよう選択してもよい。蒸気ストリッピングを利用する場合、酸性ガスを溶媒から分離するために、酸性ガスは溶液中では揮発性でなければならない。好ましくは、アミンの共役酸の酸イオン化定数(pK)は、酸性ガスのpKよりわずか約3または4単位高い数値である。pKにおけるこの差異が、約3または4単位より大きい場合、アミンおよび酸の間で形成された塩は、安定過ぎるため、事実上蒸気ストリッピングにより解離できない。
【0005】
商業運転において、酸性ガス捕獲プロセスは、除去プロセスの設計対象である酸類よりも強い酸類の侵入および/またはプロセス内発生を経験する。これらのより強い酸類は、アミン溶媒と塩を形成し、それらは蒸気により再生可能ではなく、したがって熱安定アミン塩(HSAS)、または単に熱安定塩(HSS)と称する。
【0006】
熱安定塩が蓄積可能である場合、溶媒のアミンすべてを最終的には中性化し、意図したとおりに酸性ガス成分との反応および除去を不可能にする。したがって、熱安定塩除去のための準備は、強酸がアミン溶媒内で蓄積するシステムにとって必要である。
【0007】
アミンガス処理溶液からの熱安定塩のさまざまな除去手段が知られている。これらは、大気圧または大気圧より低い圧力での塩からの遊離アミンの留去(例えば“Gas Purification”、255頁以下参照)、電気透析(例えば米国特許第5,292,407号参照)およびイオン交換(例えば米国特許第4,122,149号、米国特許第4,113,849号、米国特許第4,970,344号、米国特許第5,045,291号、米国特許第5,292,407号、米国特許第5,368,818号、米国特許第5,788,864号および米国特許第6,245,128号参照)を含む。
【0008】
イオン交換プロセスに関する1つの問題は、イオン交換媒体または樹脂が時々再生されなければならないことである。イオン交換プロセスの通液段階中、アニオン除去能力は、熱安定塩がアミン溶媒から除去されるにしたがって使い果たされる。特定の量によるイオン交換樹脂のアニオン除去能力の消耗または低減の際、イオン交換樹脂を再生することができるよう、熱安定塩リッチ(rich)アミン溶媒のイオン交換樹脂への供給を停止する。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一側面に従い、少なくとも1種のアルカリ金属塩を含む酸性ガス吸収剤流を処理するために用いられる、酸性カチオン交換樹脂の再生方法を開示する。酸性ガス吸収剤は、好ましくは酸性ガス回収ユニットから得られる。他の側面において、本開示は、亜硫酸を用いた酸性カチオン交換樹脂の再生方法に関する。この方法に従い、酸性カチオン交換樹脂を、酸性ガス吸収剤の損失を低減させる、および/または再生プロセス中に回収されて酸性ガス回収ユニットに戻される酸性ガス吸収剤の希釈を低減させる亜硫酸還流を用いて、再生してもよい。とくに、酸性ガス回収ユニットから得た亜硫酸還流を用いた酸性カチオン交換樹脂の再生は、より低い酸性ガス吸収剤の損失をもたらすことが究明された。硫酸溶液とは対照的に、亜硫酸還流の使用によって、熱安定塩を形成する硫酸塩イオンが、ジアミン吸収剤に添加されない。
【0010】
操作において、酸性ガス吸収剤流は、酸性ガス回収ユニットから得てもよい。酸性ガス回収ユニットは、好ましくは吸収ユニットおよび再生ユニットを含み、好ましくは循環的に操作される。よって、吸収剤は、吸収ユニット内に酸性ガスと共に通液され、少なくとも酸性ガスのいくらかは、再生ユニット内の吸収剤から除去される。よって、吸収剤は、プロセスを通じて連続的に循環される。時々、新しい吸収剤を、プロセスの操作中に失われる吸収剤と置き換えるために添加してもよい。
【0011】
吸収ユニットにおいて、二酸化硫黄(SO)および任意に1種または2種以上の二酸化炭素(CO)、亜酸化窒素類(NO)ならびにこれらのガスの1種または2種以上の組合せを含有する供給ガス(例えば、排ガス)を、例えば、供給ガスが吸収カラムを通過することによって吸収剤と接触させる。供給ガスがカラムを通過するにつれ、二酸化硫黄および任意に二酸化炭素および/または亜酸化窒素類などの他の酸性ガスの少なくともいくらかは、利用済吸収剤流とも称され得る、ジアミン吸収剤流を生成するジアミン吸収剤によって吸収される。
【0012】
再生ユニットにおいて、利用済吸収剤流は、吸収剤によって吸収された少なくともいくらかの二酸化硫黄および任意に二酸化炭素および/または亜酸化窒素類など他の酸性ガスを除去するために処理される。吸収剤は、好ましくは、例えば利用済吸収剤流が蒸気ストリッピング装置を通過することにより、蒸気を使って再生され、ここで、蒸気の使用を通じて、酸性ガスがアミン溶媒から解離する。
【0013】
必然的に、熱を使って吸収剤から解離することのできるものより強い酸類は、酸性ガス回収ユニットに入る。かかる酸類は、熱安定アミン塩の形で吸収剤内に残る。
【0014】
少なくとも1種の熱安定塩を含む少なくともいくらかのジアミン吸収剤流、例えば流出流は、好ましくは吸収ステップにおいて吸収剤の再生の次ではあるが吸収剤の再利用の前に、酸性ガス回収ユニットから抜き出され、そしてイオン交換ユニットに向かう。イオン交換ユニットは、好ましくはアニオン交換ユニット(好ましくは1種または2種以上のアニオン交換ベッドを含む)を含み、ここで、1種または2種以上の、例えば、硫酸塩類、チオ硫酸塩類、亜硫酸塩類、塩化物類、硝酸塩類および有機酸類などの熱安定塩のアニオンが除去され、カチオン交換ユニット(好ましくは1種または2種以上のカチオン交換ベッドを含む)が続き、ここで、1種または2種以上のナトリウム、カリウムおよびリチウムなどの熱安定塩からのカチオンが除去される。アニオンおよびカチオン交換ユニットはそれぞれ、好ましくは以下の順番で操作される。
1.吸収剤をイオン交換媒体と接触させ、熱安定塩のアニオンまたはカチオンを吸収剤から除去する。
2.清潔な洗浄水をイオン交換媒体に提供し、吸収剤を媒体から除去し、任意に少なくとも一部の使用済洗浄水を酸性ガス回収ユニットに再循環させる(樹脂再生前の洗浄ステップ)。
3.イオン交換媒体を再生剤と接触させ、イオン交換媒体を再生する。
4.洗浄水をイオン交換媒体に提供し、再生剤を媒体から除去する。
【0015】
樹脂再生前の洗浄ステップ中、アミン吸収剤を樹脂ベッドから洗い流す。アミンの濃度が十分高い場合(例えば、500ppmまたはそれ以上)、洗浄水を、酸性ガス捕獲ユニットに再循環させ、吸収剤の損失を防止してもよい。アミンの濃度がより低い場合、酸性ガス捕獲ユニットにおいて循環している吸収剤への洗浄水の添加は、吸収剤を過度に希釈し得る。よって、樹脂再生前の洗浄ステップ中に樹脂ベッドから洗い流されるアミン吸収剤の少なくとも一部が、失われるだろう。
【0016】
驚くべきことに、酸性カチオン交換樹脂のための再生剤が亜硫酸であるとき、亜硫酸は、ジアミン吸収剤を、交換樹脂からのアルカリ金属カチオン上で選択的に移動させ、ジアミン吸収剤リッチな、酸性ガス回収ユニットに再循環されてもよい利用済再生流(例えば、利用済再生流の第一の部分)をもたらすことが究明された。
【0017】
よって、本開示は、少なくとも1種のアルカリ金属塩を含む酸性ガス吸収剤流を処理するために用いられる、酸性カチオン交換樹脂の再生方法を含み、該方法は、
(a)酸性ガス回収ユニットから酸性ガス吸収剤流を得ること;
(b)酸性ガス吸収剤流を、酸性カチオン交換樹脂と接触させ、カチオン低減酸性ガス吸収剤流を発生させること;および、
(c)酸性ガス回収ユニットから得た亜硫酸還流を用いて、酸性カチオン交換樹脂を再生すること、および、利用済再生流を生成すること、
を含む。
【0018】
本開示の任意の態様において、酸性ガス回収ユニットの蒸気ストリッピングユニットから、亜硫酸還流が得られる。
【0019】
任意の態様において、酸性ガス回収ユニットへの供給ガスはSOを含み、酸性ガス回収ユニット中の供給ガスからの酸性ガス吸収剤流によって捕獲されたSOによって、亜硫酸が発生する。任意の態様において、亜硫酸還流は、約1〜約5重量%の、および好ましくは約3%の濃度の硫酸を有してもよい。
【0020】
任意の態様において、アルカリ金属塩は、少なくとも1種の強酸のアルカリ金属塩であってもよい。強酸は、水溶液においてほぼ完全にイオン化する酸である。好ましくは、強酸は、硫酸、硝酸または塩酸の少なくとも1種を含む。任意の態様において、アルカリ金属は、ナトリウムおよび/またはカリウムを含んでもよい。
【0021】
任意の態様において、酸性カチオン交換樹脂は、強酸性樹脂であってもよい。
【0022】
任意の態様において、本方法は、カチオン低減酸性ガス吸収剤流を、酸性ガス回収ユニットに再循環することをさらに含んでもよい。
【0023】
本開示の任意の態様において、酸性ガス回収ユニットは、吸収器、および蒸気ストリッピングカラムを含む吸収剤再生ユニットを含む吸収ユニットを含んでもよく、本方法は、蒸気ストリップングカラムの下流および吸収剤の上流から、酸性ガス吸収剤流を得ることをさらに含んでもよい。
【0024】
任意の態様において、利用済再生流は、第一の部分および第二の部分を含んでもよく、本方法は、利用済再生流の第一の部分のみを、酸性ガス吸収流の一部として使用するために、酸性ガス回収ユニットに再循環することをさらに含んでもよい。
【0025】
任意の態様において、酸性ガス吸収流は、ジアミン吸収剤を含んでもよく、利用済再生流の第一の部分は、1000ppm〜30,000ppmの濃度のジアミンを含む。
【0026】
任意の態様において、利用済再生流の第二の部分は、250ppm〜7000ppmの濃度を有するアルカリ金属塩類を含んでもよく、第二の部分は廃棄処理に向かう。
【0027】
任意の態様において、本方法は、酸性カチオン交換樹脂を水でリンスすること、および酸性カチオン交換樹脂を酸性ガス吸収剤流と接触させる前に、吸収剤がリッチなリンス流を発生させることをさらに含んでもよい。好ましくは、吸収剤がリッチなリンス流は、酸性ガス吸収剤流の一部として使用するために、酸性ガス再生ユニットに再循環される。
【0028】
本開示の任意の態様において、本方法は、酸性カチオン交換樹脂が、最後の水リンスが非存在のときにも、酸性ガス吸収剤流の追加量を処理するために使用することができるのに十分な量の、酸性カチオン交換樹脂を再生するための亜硫酸還流を利用することをさらに含んでもよい。
【0029】
任意の態様において、本方法は、本方法のステップ(c)の後の次の方法ステップとして、酸性カチオン交換樹脂を利用して、酸性ガス吸収剤流の追加量を処理することをさらに含んでもよい。
【0030】
任意の態様において、酸性ガス吸収剤流は、1当量未満/モルのジアミン、好ましくは0.7当量未満/モルのジアミンである熱安定塩の濃度を有するジアミン吸収剤を含んでもよい。
【0031】
任意の態様において、本方法は、本方法のステップ(b)において、酸性ガス吸収剤流を水酸化物型の塩基性アニオン交換樹脂と接触させ、およびアニオンリーン酸性ガス吸収剤流を発生させ、およびアニオンリーン酸性ガス吸収剤流の少なくとも一部を使用することをさらに含んでもよい。好ましくは、請求項1のステップ(b)で用いられるアニオンリーン酸性ガス吸収剤流の一部が、1当量未満/モルのジアミンである熱安定塩の濃度を有する。
【0032】
本発明のこれらのおよび他の利点が、本発明の好ましい態様の以下の説明に従い、より十分におよび完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、酸回収ユニットの簡易化したプロセスフロー設計図であり、本開示の態様による流れが酸性カチオン交換プロセスに接続するところを示す。
【0034】
【図2】図2は、酸回収ユニットのフロー図を示し、本開示の態様による蒸気ストリッピングプロセスを含む。
【0035】
【図3】図3は、本開示の態様による酸性カチオン交換プロセスのフロー図である。
【0036】
【図4】図4は、塩基性アニオン交換プロセスのフロー図であり、流れが酸性カチオン交換プロセスに接続するところを示す。
【0037】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアルカリ金属を含む酸性ガス吸収剤流を処理するために用いられる酸性カチオン交換樹脂の再生方法であって、
(a)酸性ガス回収ユニットから酸性ガス吸収剤流を得ること;
(b)酸性ガス吸収剤流を、酸性カチオン交換樹脂と接触させ、カチオン低減酸性ガス吸収剤流を発生させること;および、
(c)酸性ガス回収ユニットから得た亜硫酸還流を用いて、酸性カチオン交換樹脂を再生すること、および、利用済再生流を生成すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
酸性ガス回収ユニットの蒸気ストリッピングユニットから、亜硫酸還流が得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸性ガス回収ユニットへの供給ガスはSOを含み、酸性ガス回収ユニット中の供給ガスからの酸性ガス吸収剤流によって捕獲されたSOによって、亜硫酸が発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
亜硫酸還流が、約1〜約5重量%の濃度の亜硫酸を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アルカリ金属塩が、少なくとも1種の強酸のアルカリ金属塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
強酸が、硫酸、硝酸または塩酸のうちの少なくとも1種を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アルカリ金属が、ナトリウムまたはカリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸性カチオン交換樹脂が、強酸性樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
カチオン低減酸性ガス吸収剤流を、酸性ガス回収ユニットに再循環することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酸性ガス回収ユニットが、吸収器および、蒸気ストリッピングカラムを含む吸収剤再生ユニットを含む吸収剤ユニットを含み、および当該方法が、蒸気ストリップングカラムの下流および吸収剤の上流から、酸性ガス吸収剤流を得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
利用済再生流が、第一の部分および第二の部分を含み、および当該方法が、利用済再生流の第一の部分のみを、酸性ガス吸収溶液の一部として使用するために、酸性ガス回収ユニットに再循環することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
酸性ガス吸収剤流が、ジアミン吸収剤を含み、利用済再生流の第一の部分が、約1000ppm〜約30000ppmの濃度のジアミンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
利用済再生流の第二の部分が、約250ppm〜約7000ppmの濃度を有するアルカリ金属塩類を含み、第二の部分が廃棄処理に向かう、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
酸性カチオン交換樹脂を水でリンスすること、および酸性カチオン交換樹脂を酸性ガス吸収剤流と接触させる前に、吸収剤がリッチなリンス流を発生させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
吸収剤がリッチなリンス流が、酸性ガス吸収流の一部として使用するために、酸性ガス吸収ユニットに再循環される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
酸性カチオン交換樹脂が、最後の水リンスが非存在のときにも、酸性ガス吸収剤流の追加量を処理するために使用することができるのに十分な量の、酸性カチオン交換樹脂を再生するための亜硫酸還流を利用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
請求項1のステップ(c)の後の次の方法ステップとして、酸性カチオン交換樹脂を利用して、酸性ガス吸収剤流の追加量を処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
酸性ガス吸収剤流が、1当量未満/モルのジアミンである熱安定塩の濃度を有するジアミン吸収剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
酸性ガス吸収剤流が、約0.7当量未満/モルのジアミンである熱安定塩の濃度を有するジアミン吸収剤を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1のステップ(b)において、酸性ガス吸収剤流を水酸化物型の塩基性アニオン交換樹脂と接触させ、およびアニオンリーン酸性ガス吸収剤流を発生させ、およびアニオンリーン酸性ガス吸収剤流の少なくとも一部を使用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1のステップ(b)で用いられるアニオンリーン酸性ガス吸収剤流の一部が、1当量未満/モルのジアミンである熱安定塩の濃度を有する、請求項20に記載の方法。

【図5】図5は、本開示の態様によるHSOを用いた酸性カチオン交換樹脂の再生中に溶出するナトリウムおよびアミンの量を示すグラフである。
【0038】
【図6】図6は、本開示の態様による亜硫酸を用いた酸性カチオン交換樹脂の再生中に溶出するナトリウムおよびアミンの量を示すグラフである。
【0039】
【図7】図7は、本開示の態様による、3.1%亜硫酸還流を用いたときと1%HSO溶液を用いたときの、酸性カチオン交換樹脂から溶出したアミンおよびナトリウムの量の比較を示すグラフである。
【0040】
発明の詳細な説明
一側面において本開示が、酸性カチオン交換樹脂の再生方法を対象にする一方、本開示は、供給ガスから酸性ガスを回収するのに使用される酸性ガス回収ユニットと組み合わせて例示される。
【0041】
図1の簡易化したフロー図において例示したように、酸性ガス回収ユニット14は、酸性ガス吸収剤から熱安定塩を除去するために、酸性カチオン交換樹脂18と一体化される。カチオン交換樹脂は、ジアミン吸収剤から熱安定塩のカチオンを除去する。熱安定塩を含む酸性ガス吸収剤流16を、酸性ガス回収ユニット14から酸性カチオン交換樹脂18に移す。酸性ガス吸収剤流16を、酸性カチオン交換樹脂18と接触させ、酸性ガス用吸収剤として再度使用するために酸性ガス回収ユニット14に再循環されるカチオン低減酸性ガス吸収剤流20を生成する。当業者は、酸性カチオン交換樹脂は、十分に飽和することができ、樹脂の再生を必要とする使用済または利用済酸性カチオン交換樹脂をもたらすことを理解するであろう。
【0042】
当該技術分野において既知の任意の特定の設計を、酸回収ユニット用に使用してもよく、図1および2に示す態様が例となるものであると理解されるであろう。例えば、供給ガスは、1種の標的ガス(例えば二酸化硫黄)のみまたは複数の標的ガス(例えば二酸化硫黄および二酸化炭素)を含有してもよい。複数のガスが、供給ガスからの除去の標的である場合、酸回収ユニットは、複数の吸収帯を有してもよく、これらの各々は、異なる溶媒流を利用し、これにより、個々に再生され得る複数の溶媒流を生成する。例えば、第一の溶媒のループを、第一の溶媒を使って酸性ガスから二酸化硫黄を除去するために、および第一の溶媒を再生するために、提供してもよい。第二の溶媒のループを、二酸化硫黄の除去に続いて、第二の溶媒を使って酸性ガスから二酸化炭素を除去するために、および第二の溶媒を再生するために、提供してもよい。第一の酸性カチオン交換樹脂ユニットを、第一のアミン吸収剤から熱安定塩を除去するために利用してもよく、第二の酸性カチオン交換樹脂ユニットを、第二のアミン吸収剤から熱安定塩を除去するために利用してもよい。各酸性カチオン交換ユニットは、1種または複数種の酸性カチオン交換反応器またはカラムを含んでもよく、例えば酸性カチオン交換カラムへの連続供給を確保するために使用するためにおよびプロセスを通じて急上昇を低減するために、当該技術分野において既知の供給タンクおよび貯留タンクを利用してもよい。
【0043】
供給ガス流は、1種のみまたは複数の酸性ガス、例えば、SOおよび任意に1種または2種以上のHS、COおよびNOを含有してもよく、供給ガス流を、各酸性ガスの濃度を既定のレベル未満に低減させるために、異なる段階において連続して処理してもよいと理解されるであろう。よって、供給ガス流を、第一の酸性ガス、例えば、SO、の濃度を既定のレベル未満に低減させるために、第一のアミン溶媒と接触させてもよい。そして、供給ガス流を、第二の酸性ガス、例えば、COを供給ガス流から選択的に捕獲するために、第二のアミン溶媒と接触させてもよい。代わりに、2種または3種以上のガスを、1処理段階で除去してもよい。よって、1種の溶媒を、2種または3種以上のガスを供給ガス流から捕獲するために使用してもよい。
【0044】
熱安定塩を、各溶媒において増大させてもよい。したがって、各溶媒の少なくとも一部を、溶媒から熱安定塩を除去するために酸性カチオン交換ユニットに別々に供給してもよい。したがって、第一の溶媒を、第一の酸性カチオン交換カラムに供給してもよく、第二の溶媒を第二の酸性カチオン交換カラムに供給してもよい。このようにして、各溶媒を、異なる溶媒流の混合を防止するために、分離したループにおいて循環してもよい。代わりに、各溶媒を、単一の酸性カチオン交換ユニットにおいて別々に処理してもよい。
【0045】
酸性ガス回収ユニットに提供される供給ガスは、二酸化硫黄、および任意に少なくとももう1種の酸性ガスを含有する任意のガス流であってもよい。好ましくは、供給ガス流は、少なくとも二酸化硫黄、および任意に少なくともCOおよびHSの少なくとも1種を含有し、より好ましくは、少なくともSO
および任意にCOを含有する。供給ガスは、さまざまな源から得られたプロセスガス流または排ガス流であってもよい。例えば、供給ガス流は、
(a)通常100barまでの高圧でのおよび周囲に近い中程度の温度でのメタン、他の炭化水素、硫化水素、二酸化炭素および水を含む酸性の天然ガス
(b)実質的に大気圧でのおよび200℃までまたはそれよりも高い高温での窒素、酸素、二酸化炭素、二酸化硫黄、三酸化硫黄および水を含む硫黄含有化石燃料の燃焼からの煙道ガス
(c)大気圧近くでのおよび200℃未満の中高温での窒素、酸素、二酸化硫黄および三酸化硫黄を含む硫酸プラントの排ガス
であってもよい。
【0046】
二酸化硫黄が、水に溶解し、水と反応するとき、二酸化炭素または硫化水素(pKa1=7.0)の水和により生成される炭酸、HCO(pKa1=6.4)より実質的に強酸(pKa1=1.8)である亜硫酸、HSOを生成する。再生可能な酸性ガス回収プロセスを使って供給ガスから二酸化硫黄を捕獲するのが望ましい場合、適当な弱アミン、好ましくは6未満のpKを有するものを、好ましくは使用する。弱アミンは、有意量のCOを捕獲することはできず、それは、処理ガス中に留まる。よって、かかる弱アミンを、SOおよびCO含有供給ガスからSOを選択的に捕獲するのに使用してもよい。硫酸ミスト(pKa2=−3)は、非常に強いため、再生可能なSOアミン吸収剤と共に熱安定塩を形成する。
【0047】
SOを選択的に捕獲するために使用されるアルカノールアミン溶媒は、開示が本願明細書中に参考として組み込まれる米国特許第5,019,361号に開示されたもののいずれでもよい。とくに、溶媒は、構造式:
【化1】
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【0048】
式中、Rは、2個または3個の炭素原子のアルキレンであり、R、R、RおよびRは、同じまたは異なってもよく、水素、アルキル(例えば、シクロアルキルを含む1個〜約8個の炭素原子の低級アルキル)、ヒドロキシアルキル(例えば、2個〜約8個の炭素原子の低級ヒドロキシアルキル)、アラルキル(例えば、7個〜約20個の炭素原子)、アリール(好ましくは単環式または二環式)、アルカリル(例えば、7個〜約20個の炭素原子)であることができ、R、R、RおよびRのいずれかは、環構造を形成してもよい、
で表されてもよい。ジアミンは、2個の窒素原子を含有する有機化合物であり、それらは市販されており、また一般的により低粘度であることから、しばしば好ましい。アミン類、例えばジアミン類の態様において、安定性の観点から第三級ジアミンである。しかしながら、溶媒の化学反応を最小限に抑えるための穏やかな酸化または熱的条件があれば、他を用いてもよい。しばしば、好ましいアミン塩吸収剤は、アミン基に置換基としてヒドロキシアルキル基を有する。いくつかの場合、ヒドロキシ置換基は、亜硫酸塩または重亜硫酸塩の硫酸塩への酸化を遅延させると考えられる。
【0049】
大気圧条件下で吸収媒体内に吸収される回収可能な二酸化硫黄の高い負荷(loading)を可能にするために、アミン吸収剤の遊離アミン形態が、約300未満、好ましくは約250未満の分子量を有するのが好ましい。しばしば、第三級ジアミンは、式:
【化2】
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【0050】
式中、Rは、2個〜3個の炭素原子を直鎖または分枝鎖として含有するアルキレン基であり、各Rは、同じまたは異なり、メチルまたはエチルなどのアルキル基、または2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシ−アルキル基である、
のものである。一態様において、アミンは、N,N’N’−(トリメチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン(pK=5.7)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(pK=6.1)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(pK=4.9)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(pK=6.8)、N,N’−ジメチルピペラジン(pK=4.8)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパンおよびN’,N’−ジメチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンである。また、有用なジアミンに含まれるのは、ピペラジン(pK=5.8)などの複素環式化合物である。pK値は、吸着性(sorbing)窒素に関するものである。
【0051】
Sおよび/またはCOなどの弱酸性ガスを捕獲するのが望ましい場合、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはメチルジエタノールアミンなどのpK>7.5のより強いアミンが使用される。HSまたは炭酸よりも実質的に強い酸類は、熱安定塩を形成する。例は、SO、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸およびチオシアン酸である。
【0052】
二酸化炭素溶媒アミンは、pKが6.0〜10、6.5〜10または6.5〜9.5の範囲の第一級、第二級または第三級であってもよい。処理されたガスによるアミンの損失を防止するために、アミンは、好ましくは溶媒について50℃で1mmHg未満の蒸気圧を有する。アミンは、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(pK=7.5)、モルホリノエタンスルホン酸(pK=6.1)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(pK1=9.5、pK2=6.5)、ピペラジン(pK1=9.8、pK2=5.6)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(pK1=9.0、pK2=4.5)、ベンズイミダゾール(pK5.5)およびN,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(pK1=7.8、pK2=3.9)ならびにそれらの混合物を含む。
【0053】
SOおよびCOを両方捕獲するのが望ましい場合、CO捕獲プロセスにおいてすべてのSOが熱安定塩を形成するのを回避するために、SOは、好ましくは適当な溶媒により最初に捕獲される。そして、COは、第二のステップにおいて除去される。硫化水素は、SOまたは酸素の存在下では熱力学的に安定ではないことから、SOまたはO含有流において微小な濃度のみが一般的にみられる。
【0054】
図2に示すとおり、本開示を、単一の吸収カラムを有する吸収ユニットおよび単一の蒸気ストリッピングカラムを有する再生ユニットを含む酸性ガス回収ユニットを組み合わせて例示する。当業者は、酸性ガス回収ユニット14の操作を理解するが、酸性ガス回収ユニット14の操作を説明する。
【0055】
図2に例示するとおり、供給ガス流12を、供給ガスを吸収カラムなどの吸収剤と接触させる装置を含み、任意のプレスクラバー(prescrubber)22を含むすべての関連する配管およびサポートユニットを含むと考えられ得る吸収ユニットに導入する。このように、SOを含有する供給ガス流12は、好ましくは予めスクラブして、供給ガス流12から粒子状物質を除去し、少なくともその断熱飽和温度に急冷する。いくつかの場合、循環水を冷やすために、供給ガス温度を、熱交換器を提供することにより、さらにより低く低減させてもよい。このスクラビングステップはまた、供給ガスから他の汚染物質、例えば塩酸および硫酸を除去し得る。当該技術分野において既知の任意のプレスクラバーシステムを、使用してもよい。図2に示すとおり、供給ガス流12を、好適なノズル26を通じてプレスクラバー22内にスプレーされてもよい水などの予めスクラブする流体流24と逆流して接触されるプレスクラバー22に供給してもよい。任意の態様において、予めスクラブする流体流24を、再循環してもよい。よって、再循環流28を、返流32をプレスクラバー22に戻すポンプ30に供給してもよい。排除される排出流34を、再循環水において溶解および懸濁した固体のレベルを制御するために使用してもよく、補給水流36を、供給ガス中に蒸発および排出されて失われた水と置き換えるために使用してもよい。
【0056】
任意のプレスクラバー22を通過した後、前処理した供給ガス流が、次いで、二酸化硫黄吸収帯であってもよいカラム40内の吸収帯38を通過してもよい。予めスクラブしたガス42は、プレスクラバー22から吸収カラム40内に、例えば、ガスの移動を可能にするが、プレスクラバー22内に液体が流れるのを防止するチムニートレー(chimney tray)44を通じて、流れてもよい。
【0057】
例示するとおり、好ましくは再生された吸収剤である酸性ガスリーン吸収剤(すなわち、酸性ガス不純物がリーンである)を、好ましくは前処理した供給ガス42流に逆流し、酸性ガスリッチ吸収剤流48および処理済または酸性ガスリーン供給ガス流50を生成するよう、吸収カラム40内に流れ46を介して導入してもよい。リーン酸性ガス吸収剤流46は、例えば、上に流れるガスとの良好なガス−液体接触を促進する吸収帯38のパッキングを通じて下に流れることから、酸性ガスリーン吸収剤流は、酸性ガス不純物を選択的に捕獲し、吸収カラムを酸性ガスリッチ吸収剤流48として残す。
【0058】
そして、酸性ガスリーン供給ガス流50を、1種または2種以上の追加の吸収帯(図示せず)に導入し、大気に放出し、追加の機器にさらなる処理のために輸送し、またはプロセス内で再循環させてもよい。例えば、第二の吸収帯を、供給ガス流から二酸化炭素を除去するために設計してもよい。第三の吸収帯を、供給ガス流からNOおよび任意にいくらかの水銀を除去するために設計してもよい。酸性ガスを、任意の所望の順番で供給ガスから選択的に除去してもよいと理解されるであろう。例えば、二酸化炭素吸収帯は、二酸化硫黄およびNO吸収帯から上流または下流であってもよい。しかしながら、SOは、より弱い酸性ガスについて溶媒中で熱安定塩を形成する傾向があることから、他の不純物ガスより前にSOを捕獲することが好ましい。
【0059】
捕獲した汚染物を、酸性ガスリッチ吸収剤流48から該流を熱することにより除去し、捕獲した汚染物を遊離させる。これは、再生ユニット内で行われる。再生ユニットは、蒸気ストリッピングカラム58などの熱再生装置およびすべての関連する配管およびサポート機器を含む。任意の態様において、蒸気ストリッピングカラム8を利用し、蒸気が、吸収剤から捕獲した汚染物を遊離させるのに必要な熱の少なくともいくらかおよび好ましくはすべてを提供する。図2に示すとおり、酸性ガスリッチ吸収剤流48および高温酸性ガスリーン吸収剤溶媒流54が、間接熱交換器52を通過し、蒸気ストリッピングカラム58内に導入される高温酸性ガスリッチ吸収剤流56を生成してもよい。
【0060】
吸収カラム40と同様に、蒸気ストリッピングカラム58は、当該技術分野において既知の任意の設計であってよく、パックされたまたはトレーの設計のいずれかであってもよい。任意の態様において、高温酸性ガスリッチ吸収剤流56は、例えば、パッキング60を通じて、蒸気ストリッピングカラム58内で、下に流れる。高温酸性ガスリッチ吸収剤流56が、蒸気ストリッピングカラム58の上部に導入され、カラム58を通じて下に流れる。所望の場合、ポンプ72は、流れ74を蒸気ストリッピングカラム58の底からリボイラー62に循環させるのに使用される。リボイラー62は、強制循環リボイラー、ケトルリボイラーまたは熱サイフォンリボイラーであってもよいと理解されるであろう。高温酸性ガスリーン吸収剤ポンプは、好ましくは溶媒をリーン−リッチ交換器を通じてリーンアミンサージタンク(図示せず)に押し入れるために提供される。吸収剤のリボイラー62中での沸騰により発生した蒸気は、流れ68として蒸気ストリッピングカラム58に入り、酸性ガス吸収剤から酸性ガスをストリッピングさせるためにエネルギーおよび物質輸送推進を提供する。
【0061】
リボイラーは、当該技術分野において既知の任意の方法により熱せられる。任意の態様において、リボイラー62は、例えば、伝熱管束を通じて流れ64(蒸気であってもよく、任意の源から得られてもよい)により間接的に熱せられてもよく、追加の蒸気を生成するために再循環されても、またはプラントの他の場所で使用されてもよい復水流66を生成する。リボイラー62における吸収剤の沸騰により、蒸気および脱離した酸性ガス68のカラム58内への流れが生じる。蒸気および脱離した酸性ガスは、カラム58の脱離帯(パッキング60)を通じて上に行き、高温酸性ガスリッチ吸収剤流56の下へのフローを熱し、溶媒から放出される気体汚染物を上へと運ぶ。蒸気および汚染物(この場合、二酸化硫黄)は、蒸気ストリッピングカラム58から流れ70として出る。任意の態様において、蒸気および脱離した酸性ガスは、蒸気ストリッピングユニット58を流れ70として出る前に蒸気ストリッピングカラム58の還流精留セクション76を通じて上に移動する。
【0062】
流れ70は、蒸気のほとんどを凝縮する頭上のコンデンサ78において冷却され、還流貯蔵器82内で頭上の液体還流流84および酸性ガス流86に分離してもよい二相流80を作り出す。酸性ガス流86は、廃棄またはさらなるプロセスへと流れてもよい。酸性ガスが二酸化硫黄を含むと、液体還流流84は亜硫酸流となる。液体還流流84の少なくとも一部、および好ましくは一部のみは、酸性カチオン交換樹脂102に向かい、樹脂を再生する。よって、頭上の還流流84は、イオン交換プロセスにおいて用いられる流れ88および酸性ガス吸収剤に戻るよう蒸気ストリッピングカラム58に戻される流れ90に分裂してもよい。
【0063】
再生した吸収剤を、蒸気ストリッピングカラム58の底に集め、流れ74として蒸気ストリッピングカラム58から除去し、その一部が、再生した高温酸性ガスリーン吸収剤流54として再循環される。高温酸性ガスリーン吸収剤流54は、熱交換器52を通じて流れ、冷却された酸性ガスリーンジアミン吸収剤流92を形成する。
【0064】
熱安定塩は、酸性ガス吸収剤において増大する傾向がある。よって、酸性ガス吸収剤は、少なくとも酸性カチオン交換プロセスを含むイオン交換プロセスの対象であり、熱安定塩を除去する。例えば、酸性ガス吸収剤の少なくとも一部は、酸性カチオン交換の対象であり、そこから熱安定塩を、一態様において、その一部(例えば流出流)のみ、除去する。
【0065】
好ましくは、熱安定塩を除去するために処理される吸収剤は、処理され、そこから揮発性酸性ガスを除去する。したがって、例えば、蒸気ストリッピングユニットにおいて処理されたが、吸収ユニットに再循環されていない吸収剤は、処理され、熱安定塩を除去する。好ましくは、例示したとおり、流出流94を、冷却された酸性ガスリーン吸収剤流92から引き出す。かかる態様によると、図3に説明するとおり、流94は、熱安定塩がリッチな酸性ガス吸収剤流を酸性カチオン交換樹脂ユニット98に提供する。酸性カチオン交換樹脂ユニット98は、低い熱安定塩含有量を有するカチオン低減酸性ガス吸収剤流96を戻す。流れ46は一巡し、酸性ガススクラビングのために、酸性ガス吸収剤流を吸収カラム40に送る。
【0066】
当該技術分野に精通している者に既知のとおり、酸性ガス回収ユニットプロセスの詳細は、一般原則または本発明に関連するそれらのものを変更せずに、変更または追加してもよい。例えば、吸収器および再生器におけるガス−液体接触をもたらすための異なる種類の機器を、同じ吸収およびストリッピング効果を達成するために、使用してもよい。他のフローシート、例えばリーンおよびセミリーンアミン流を有するものなどもまた、本発明の利用において使用してもよい。酸性ガスリッチ吸収剤を酸性ガスリーンに変換する熱を使用する他の方法を、使用してもよい。
【0067】
酸性カチオン交換樹脂ユニット98の一態様を、図3に例示する。そこに示すとおり、酸性カチオン交換樹脂ユニット98は、任意のサージタンク100および酸性カチオン交換樹脂18を含有する単一の酸性カチオン交換カラム102を含む。酸性カチオン交換カラム102中の酸性カチオン交換樹脂は、時折再生する必要があるので、定期的に(すなわち、必要に応じて時々)、酸性カチオン交換カラム102を通じた熱安定塩リッチ吸収剤流104のフローを、酸性カチオン交換樹脂を再生するために停止するだろうと理解されるであろう。代わりの態様において、複数の酸性カチオン交換カラム102を提供してもよいと理解されるであろう。よって、熱安定塩リッチ酸性ガス吸収剤流104を、少なくとも1種の酸性カチオン交換カラム102を通じて連続的に供給し、そこから熱安定塩を除去してもよく、その一方で1種または2種以上の代わりのカラム102における酸性カチオン交換樹脂を再生する。
【0068】
当該技術分野において既知の酸性カチオン交換反応器のための任意の構造物を利用してもよい。典型的に、酸性カチオン交換媒体は、ビーズとして形成された樹脂である。よって、酸性カチオン交換カラムは典型的に、イオン交換樹脂ビーズを受けるための支持体(support)を有する。したがって、酸性カチオン交換媒体は、高分子に官能基を有する高分子のビーズであってもよい。カチオン交換樹脂は一般的に、交換部位として酸性官能基を有する。強酸性カチオン交換樹脂は典型的に、スルホン酸などの強酸官能性により特徴付けられる。強酸官能性により、処理される流れに含有されたカチオンについて、それらのプロトンHを交換する。
【0069】
前述の樹脂は、単に有用な酸性カチオン交換樹脂を説明するのみであり、本開示のプロセスを行うのに使用してもよい樹脂を限定することを意図していない。本開示の目的のために、酸性ガス吸収剤からのカチオンの除去のために使用する任意の酸性カチオン交換樹脂を、使用してもよいことを意図する。これらの樹脂は、当業者であれば直ちに特定することができる。
【0070】
サージタンク100から得てもよい(または、サージタンク100が用意されていない場合は単に流出流94の延長であってもよい)熱安定塩リッチ吸収剤流104は、酸性カチオン交換カラム102を通じて流れるのを可能にし、カチオン低減酸性ガス吸収剤流96を生成する。これは、樹脂通液ステップまたは樹脂の消耗ステップである。このステップ中、カラム102内の樹脂が、酸性ガス吸収剤と相互作用し、ジアミン吸収剤からカチオンを除去する。酸性カチオン交換樹脂が酸性ガス吸収剤からカチオンを除去する能力が所望のレベルに達するとき、または既定の時間の後、カラム102を通じた酸性ガス吸収剤のフローを停止する。カチオン低減酸性ガス吸収剤流96は、酸性ガス回収ユニット14における任意の所望の位置に戻されてもよく、一態様において、図2に示すとおり、熱交換器52から下流におよびカラム40から上流に導入される。
【0071】
樹脂の消耗ステップに続き、再生ステップを始める前に、酸性カチオン交換樹脂を、好ましくは処理し、そこから残留ジアミン吸収剤を除去する。したがって、本発明に従い、酸性カチオン交換樹脂を洗浄水流106と接触させてもよく、カラム102からジアミン吸収剤を除去する。洗浄水流106により樹脂から洗浄された洗浄水流108のすべてまたはその一部は、好ましくは熱交換器52から下流のおよびカラム40から上流の酸性ガス回収ユニット14に、酸性ガスを吸収するのに用いる吸収剤の一部として、再循環される(該流96と同様に)。
【0072】
該流104における熱安定塩を、約1未満、好ましくは約0.7未満、より好ましくは約0.5未満、最も好ましくは、約0.2当量未満/モルのジアミン単位の濃度に維持してもよい。ここで、用語「当量/モルのジアミン単位」は、アニオン(例えば硫酸塩、SO2−)の濃度(mol・L−1)にそれらのそれぞれの電荷(SO2−の場合、電荷は−2である)を乗じ、ジアミンの濃度(mol・L−1)で割ったものであると定義される。
【0073】
該流104における熱安定塩の濃度を約1当量未満/モルのジアミン単位に維持することにより、該流104からのより高い割合のカチオン除去が可能となり、その一方でカチオン交換樹脂の再生中の吸収剤の損失を低減させる。酸性カチオン交換プロセス中、正電荷のアミン分子、とくに二価に荷電したアミン分子もまた、吸収剤中に溶解した熱安定塩からのカチオン(例えば、ナトリウムおよび/またはカリウム)と競合して樹脂により吸収されるであろう。ジアミン吸収剤流中の熱安定塩の濃度が、約1当量未満/モルのジアミン単位である場合、ジアミン分子は、より少ない正電荷を有する。熱安定塩は、アニオン(例えば、硫酸塩、SO2−)およびアミン(RR’NH)の対を含む。アニオン含有量を低減するに従い、アミンのプロトン化レベルが低下する。その結果、カチオン交換樹脂は、熱安定塩からより多くのカチオンが、およびより少ない吸収剤分子が負荷される傾向となるであろう。よって、カチオン交換樹脂により保持される熱安定塩カチオン対吸収剤分子の比率は、増進する。
【0074】
樹脂の消耗ステップに続き、酸性カチオン交換樹脂18を、酸性ガス回収ユニット14から得られる亜硫酸還流、特には、蒸気ストリッピングカラム58からの酸性ガス還流流88、とともに再生する。任意の態様において、亜硫酸還流は、約1重量%〜約5重量%、好ましくは約3重量%の濃度の亜硫酸を有してもよい。カラム102において、熱安定塩リッチ酸性ガス吸収剤流104を酸性カチオン交換樹脂と接触させるとき、樹脂は正電荷分子を吸収するので、ジアミン吸収剤分子と、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属カチオンとの両方を吸収するだろう。よって、亜硫酸は、酸性カチオン交換樹脂をその酸性形態に変換して戻す。
【0075】
亜硫酸還流が樹脂18を再生するのに用いられるとき、亜硫酸は、樹脂18からのジアミン吸収剤を優先的に溶出し、第一の部分110および第二の部分112を有する利用済再生流を生成することが究明された。第一の部分110は、比較的に酸性ガス吸収剤リッチとなり、酸性ガス回収ユニット14に、酸性ガス吸収剤流の部分に使用するために、そこで用いられる吸収剤を過度に希釈することなく、再循環してもよい。これは、酸性ガス回収ユニットにおいて再循環される吸収剤を過度に希釈することなくいくらかの吸収剤の損失を防止する。好ましくは、第一の部分は約1,000より高い、より好ましくは約5,000より高い、および最も好ましくは15,000ppmより高い濃度のアミンを有する。一態様において、好ましくは約3〜約5、およびより好ましくは約2〜約4ベッドボリューム(BV)の再生剤が使用され、好ましくは、酸性ガス捕獲ユニットに再循環される利用済再生剤流の第一の部分は、好ましくは最初のベッドボリューム(BV)まで、およびより好ましくは最初の0.5ベッドボリューム(BV)までの利用済再生剤を含む。
【0076】
例えば、利用済再生流の第一の部分110は、1000ppm〜30000ppmの濃度のジアミンを有してもよく、利用済再生流の第二の部分112は、250ppm〜7000ppmの濃度のアルカリ金属塩を有してもよく、第二の部分は、廃棄処理に向かってもよい。第二の部分112を、任意にプレスクラバー22に供給する。他の態様において、酸性カチオン交換樹脂を、任意に、樹脂をリンスするために、亜硫酸還流とともに再び処理する。
【0077】
図6に例示するように、酸性カチオン交換樹脂を再生するための、亜硫酸還流の使用は、硫酸が再生剤として用いられる場合より高いジアミン濃度、およびより低いアルカリ金属濃度を有する流出物流(利用済再生流)の第一の部分をもたらす。硫酸より弱い鉱酸である亜硫酸は、交換樹脂からジアミンを溶出するのにより選択的であり、これはより高いジアミンの濃度をもたらす。理論によって拘束されることなく、亜硫酸より強酸である硫酸は、樹脂からアミンおよびナトリウムを同等に移動させる。弱酸である亜硫酸は、第一ステップとして、より弱いカチオン(例えば、アミン)を移動させるが、より強いカチオン(ナトリウム)を移動させない。さらには、硫酸を再生剤として用いるとき、硫酸塩(SO2−)イオンが、アルカリ金属とともに熱安定塩を形成することができ、これは次いで、硫酸塩イオンを含有しない還流からの亜硫酸とは対照的に、酸性ガス吸収剤から除去されなければならない。
【0078】
一態様において、流出流94が、酸性カチオン交換樹脂ユニット98に向かう前に、該流94は、塩基性アニオン交換樹脂ユニット114に向かい、硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、塩化物、硝酸塩および有機酸などのアニオンを除去する。これらのアニオンは、好ましくは除去され、アミンのプロトン化を防止し、次いで、カチオン除去ステップ中のアミン損失となる。
【0079】
図4に例示するとおり、塩基性アニオン交換ユニット114は、任意のサージタンク116および塩基性アニオン交換樹脂を含有する単一の塩基性アニオン交換カラム118を含む。塩基性アニオン交換カラム118中の塩基性アニオン交換樹脂は、時折再生する必要があるので、定期的に(すなわち、必要に応じて時々)、塩基性アニオン交換カラム118を通じた熱安定塩リッチジアミン吸収剤流120のフローを、塩基性アニオン交換樹脂を再生するために停止するだろうと理解されるであろう。代わりの態様において、複数の塩基性アニオン交換カラム118を提供してもよいと理解されるであろう。よって、熱安定塩リッチジアミン吸収剤流120を、少なくとも1種の塩基性アニオン交換カラム118を通じて連続的に供給し、そこからアニオンを除去してもよく、その一方で1種または2種以上の代わりのカラム118における塩基性アニオン交換樹脂を再生する。
【0080】
該流120を、塩基性アニオン交換カラム118を通じて供給し、アニオンリーンジアミン吸収剤流122を生成し、少なくとも一部の、および好ましくは一部のみの該流122は、カチオンの除去のために酸性カチオン交換樹脂ユニット98に向かう。好ましい態様において、アニオンリーンジアミン吸収剤流122は、第一の部分124および第二の部分126を含み、ここで、第一の部分124は、酸性カチオン交換樹脂ユニット98の方に向かい、その一方で第二の部分126は、追加の酸性ガスを再生的に吸収するのに用いられるために、酸性ガスユニット14に向かう。一態様において、第一の部分124は、好ましくは約10%〜約50%、好ましくは約20%〜約30%のアニオンリーンジアミン吸収剤流122を含む、熱安定塩の濃度を含む。第一の部分を、熱安定塩の所望の濃度を有するように選択してもよい。
【0081】
酸性カチオン交換樹脂と同様に、アニオン塩基性交換樹脂もまた、樹脂の消耗のため、再生する必要があるだろう。樹脂の消耗ステップに続き、再生ステップを始める前に、アニオン塩基性交換樹脂を、好ましくは処理し、そこから残留ジアミン吸収剤を除去する。したがって、本開示に従い、アニオン塩基交換樹脂を洗浄水流128と接触させてもよく、カラム118からジアミン吸収剤を除去する。水流128により樹脂から洗浄された残留ジアミンリッチ吸収剤流130のすべてまたはその一部は、酸性ガス回収ユニット14、好ましくは吸収カラム40に再循環してもよい。該流130は、熱交換器52から下流のおよびカラム40から上流の酸性ガス回収ユニット14における連続アミンのループに戻されてもよい(流れ96と同様に)。
【0082】
続いて、アニオン塩基性交換樹脂を、再生剤を使用して再生する。例えば、再生剤は、流れ132を介して供給される塩基性溶液であってもよい。再生剤は、流れ132を介して供給されてもよい。再生剤は、希釈した腐食剤であってもよい。再生剤は、アニオン塩基性交換樹脂をその最初の形態に変換して戻す。よって、塩基は、アニオン塩基性交換樹脂をその塩基性形態に変換して戻す。
【0083】
当該技術分野において既知の塩基性アニオン交換反応器のための任意の構造物を利用してもよい。典型的に、塩基性アニオン交換媒体は、ビーズとして形成された樹脂である。よって、塩基性アニオン交換カラムは典型的に、イオン交換樹脂ビーズを受けるための支持体を有する。したがって、塩基性アニオン交換媒体は、高分子に官能基を有する高分子のビーズであってもよい。塩基性アニオン交換樹脂は一般的に、第四級アンモニウム塩など、交換部位として塩基性官能基を有する。弱塩基性アニオン交換樹脂は典型的に、第三級アミンなどのより低いpKを有する官能性により特徴付けられる。樹脂の塩基性官能性により、処理される流れに含有されたアニオンについて、それらのアニオンを交換する。
【0084】
強アミン溶媒および弱アミン溶媒両方からの熱安定塩の除去は、各特定アミン溶媒のおよび熱安定塩の種類について最適化するのに必要な樹脂の種類および再生剤の種類および量およびリンス液の容量の任意の調整のみを伴い、本質的に同じプロセスにより行うことができる。
【0085】
さまざまな変更および変化形を作ってもよく、これらの変更および変化形のすべては、以下の特許請求の範囲内であると理解されるであろう。例えば、当該技術分野において既知の任意のSO、COおよびHS吸収剤を、使用してもよい。吸収剤は、再生および再循環してもよく、その場合には、当該技術分野において既知の任意の手段によって再生および再循環してもよい。イオン交換ユニットは、サージタンクおよび貯蔵タンクを使用して、イオン交換ユニットにおいて使用されるまたはイオン交換ユニットによって生成されるさまざまな流れを蓄積してもよい。当該技術分野において既知の任意のイオン交換樹脂または一連の樹脂を、使用してもよい。ステップを、さまざまな組合せおよび下位の組合せにおいて組み合わせてもよいこともまた、理解されるであろう。
【0086】

本発明の操作を、以下の代表的な例により説明する。当業者であれば、例の詳細の多くは変更しても本明細書に記載された開示を実施し得ることは明らかである。
例1−ジアミン再生可能なSO吸収剤からの硫酸を用いたナトリウム除去の比較例
【0087】
この例は、硫酸を用いたカチオン交換樹脂の再生を例示する。テストベッドに用意された吸収剤は、ナトリウムで汚染されたジアミン吸収剤であった。組成を、表1に示す。
【表1】
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【0088】
試験を、直径3cmの断熱カラムにおいてLewatitt K-2629強酸性イオン交換樹脂を用いて行った。樹脂ベッドは、高さ35cmおよびベッドボリューム(BV)200mlを有した。カラムに導入されたすべての流体は、50℃であった。樹脂を、実験を行う前に、数サイクルの通液および再生により調整した。
【0089】
ナトリウム除去実験を、以下の手順を用いて行った。
1.アミンおよびナトリウムを、1.5BVの汚染されたジアミン吸収剤をカラムに通過させることにより、樹脂に担持させた。Naイオンおよびアミンを、樹脂に担持させ、Hイオンを、カラムから出るアミン溶液へ移動させた。
2.樹脂を、1.5BVの水で洗浄し、樹脂を再生する前に樹脂からアミン溶媒を移動させた。
3.樹脂を、2.5BVの4重量%硫酸を、カラムに通過させることにより、塩基の形態に再生して戻した。このステップ中、Hイオンを、樹脂に担持させ、Naイオンおよび残りのアミンを、再生相内へ移動させる。
4.そして、樹脂ベッドに、1.5BVの水を用いて最後の洗浄を行い、樹脂ベッドから残りの再生剤をリンスした。
5.次の通液ステップを行った。
【0090】
再生局面では、カラム流出物のサンプルを、0.25BV毎に採取し、ナトリウムおよびアミン含有量について分析した。結果を、図5に示す。図5にみられるように、0.75BVの再生剤が樹脂ベッド中に供給される頃までに、利用済再生剤におけるナトリウムの濃度は、アミン吸収剤の濃度と同じである。
【0091】
この例において、利用済再生剤の第一の部分(最初の0.5BV)は、ナトリウムに対し、比較的高濃度のアミンを有する。よって、洗浄水の第一の部分は、酸性ガス回収ユニットにおいて使用されるアミン吸収剤に多量のナトリウムが戻ることなく、酸性ガス回収ユニットに戻り得る。
【0092】
表2は、スクラビングプロセスに送り返された利用済再生剤の容量を関数としたアミン損失およびナトリウム除去を示す。最適なのは、0.25BVを酸性ガス回収ユニットに戻すことであり、除去されたナトリウム1グラムあたり1.13gのアミン損失の比率を示す。しかしながら、最初の0.5BVを酸性ガス回収ユニットに戻すことによっても、許容し得る結果が得られる。
【表2】
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【0093】
例2−亜硫酸還流を用いた酸性カチオン交換樹脂の再生
この例は、硫酸の代わりに亜硫酸を用いた、酸性カチオン交換樹脂の再生を例示する。亜硫酸を、再生可能なSOスクラビングプロセスにおいて、ストリッパー頭上還流として生成する。還流におけるSOの濃度は3.1重量%である。用いられた樹脂および他のテスト条件は、例1と同じである。テストのためのフローの順番およびベッドボリュームを、表3に示す。
【表3】
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【0094】
利用済再生をナトリウムおよびアミンについて再度分析し、結果を図6に示す。図6にみられるように、アミンの相当量が、最初の0.5BVで溶出し、ナトリウムの濃度に比べて極めて高濃度のアミン(約19,000ppm)を有する。この例において、少なくとも最初の0.5BVおよび任意に最初の1BVを、酸性ガス回収ユニットに再び向けることができる。
【0095】
表4は、酸性カチオン交換樹脂のための、3.1%(重量)亜硫酸溶液対4重量%硫酸溶液の比較を示す:
【表4】
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【0096】
表4でみられるように、亜硫酸還流は、除去されたナトリウムの重量毎に失われたアミンに関し、硫酸よりも効果的である。さらに、再生剤が、過剰なナトリウムを酸性ガス吸収ユニットへ戻すことを伴う亜硫酸還流であるときに、1BVを酸性ガス回収ユニットへ向けても良い。
【0097】
例3−亜硫酸還流を用いた酸性カチオン交換樹脂の再生
この例は、3.1重量%亜硫酸還流を用いた酸性カチオン交換樹脂の再生を例示し、これを1重量%硫酸溶液を用いた樹脂の再生と比較する。
【0098】
下記の図7におけるグラフによって示すとおり、亜硫酸再生剤は、カラムからアミンを、ナトリウムより優先的に溶出し、硫酸再生に比べて、より低度にナトリウムによって汚染された、増大したまたは同等のアミン回収を提供する。図7のグラフからみられるように、亜硫酸還流のための最初の0.5BVにおけるアミン濃度は、硫酸溶液のためのそれより実質的に高い(22,305ppm対16,439ppm)。さらには、硫酸還流を用いたときの1BVでの回収されたアミンの量は、硫酸を用いたときの1.5BVでの回収されたアミンの量とほぼ同じである。これは、還流がより高い初期選択性を有し、これによって、アミンの流出のより鋭いピークを形成し、これによってジアミン吸収剤のより低度の希釈をもたらすことを示す。
【0099】
熱安定アミン塩を形成するサルフェート(SO2−)を含有する硫酸に起因して、再生剤が硫酸であるとき、ジアミン吸収剤を酸性ガス回収ユニットに再循環することは、回収ユニットへのHSSの追加をもたらす。表5に詳しく示すように、ナトリウム除去およびアミン損失/除去されたナトリウムが、亜硫酸還流および硫酸について(それぞれ、1BVおよび1.5BVである)ほぼ同等である一方で、還流再生は、酸性ガス回収ユニットに戻ったアミン中に熱安定アミン塩を含有しないことを主な利点として有する。
【表5】
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【0100】
表5でみられるように、硫酸が大量の硫酸塩の添加をもたらす一方で、亜硫酸還流の使用は、利用済再生剤への硫酸塩の添加をもたらさない。よって、硫酸を再生剤として用いるときには、熱安定塩の添加は、酸性ガス吸収剤を、より頻繁に、酸性カチオン交換樹脂に供しなくてはならず、これはジアミン吸収剤の損失を増大させる。
【0101】
表6には、硫酸の使用と比較して、還流を用いたナトリウム除去のための好ましい条件を記載する。
【表6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−510887(P2012−510887A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538812(P2011−538812)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001791
【国際公開番号】WO2010/066040
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511111057)キャンソルヴ テクノロジーズ インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】