説明

交換レンズ、および交換レンズを装着可能なカメラボディ

【課題】駆動部に起因する騒音の収音を低減できる交換レンズと、交換レンズを装着可能なカメラボディとを提供する。
【解決手段】交換レンズ(101)と、交換レンズを装着可能なカメラボディ(102)が提供される。交換レンズ(101)は、被写体像の画角を変更可能なズームレンズ(112)と、カメラボディ(102)の収音特性を示す情報である収音特性情報をカメラボディ(102)から受信し、ズームレンズ(112)の駆動を制御するレンズ制御部(120)と、を備える。レンズ制御部(120)は、収音特性情報に基づいて、ズームレンズ(112)の設定可能な駆動速度である駆動可能速度を決定する。カメラボディ(102)は、周囲の音声を収音する収音部(180)と、収音部(180)の収音特性を示す情報である収音特性情報を記憶する記憶部(156)と、収音特性情報を交換レンズ(101)に送信する送信部(153)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交換レンズ内の駆動対象を制御する交換レンズおよびカメラボディに関する。
【背景技術】
【0002】
収音用のマイクロホンを備えることにより音声データを記録可能なデジタルカメラが知られている。このようなデジタルカメラにおいて、マイクロホンが外界の音を収音可能である一方で、マイクロホンが、デジタルカメラ内の駆動部(例えば、レンズの駆動部)で発生し筺体等で伝達された振動を騒音として収音してしまうという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するための技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたデジタルカメラでは、マイクロホンがこのような騒音を収音しないように、弾性部材等がマイクロホンを覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−352342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、駆動部に起因する騒音の収音を低減できる交換レンズと、交換レンズを装着可能なカメラボディとを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示において、カメラボディに装着可能な交換レンズが提供される。交換レンズは、被写体像の画角を変更可能なズームレンズと、カメラボディの収音特性を示す情報である収音特性情報をカメラボディから受信する受信部と、ズームレンズの駆動を制御するレンズ制御部と、を備える。レンズ制御部は、収音特性情報に基づいて、ズームレンズの設定可能な駆動速度である駆動可能速度を決定する。
【0007】
また、本開示において、交換レンズを装着可能なカメラボディが提供される。カメラボディは、周囲の音声を収音する収音部と、収音部の収音特性を示す情報である収音特性情報を記憶する記憶部と、収音特性情報を交換レンズに送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示における交換レンズおよびカメラボディによれば、交換レンズは、カメラボディから送信された収音特性情報に基づいて、ズームレンズの駆動可能速度を決定する。これにより、カメラボディの収音部によって収音されるズームレンズの駆動に起因する騒音を従来より低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本実施形態のデジタルカメラの斜視図である。
【図2】図2は本実施形態のデジタルカメラの背面図である。
【図3】図3は本実施形態のデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本実施形態のデジタルカメラの初期動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図5A】図5Aは、本実施形態の交換レンズの騒音情報の一例を示す表である。
【図5B】図5Bは、本実施形態の交換レンズの騒音の大きさおよびカメラボディの収音特性と、ズームレンズの設定可能な駆動速度との対応を説明するための表である。
【図6】図6は、本実施形態のデジタルカメラのズーム動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下、実施形態としてデジタルカメラを一例として挙げる。
【0011】
ただし、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細な説明および実質的に同一の構成に対する重複した説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避けることで、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を充分に理解できるよう以下の説明および添付の図面を開示するのであって、以下の説明および添付の図面によって特許請求の範囲の主題を限定することを意図しない。
【0013】
<1.デジタルカメラの構成>
<1−1.デジタルカメラの構成の概要>
図1を参照して本実施形態のデジタルカメラの構成の概要について説明する。デジタルカメラ100は、交換レンズ101と、交換レンズ101を装着可能なカメラボディ102とで構成される。交換レンズ101は、使用者の操作に基づいてズームレンズ駆動部(アクチュエータ等)が制御されることにより、ズーム倍率を変更できる。
【0014】
交換レンズ101は、ズームリング115とズームレバー118等とを備える。ズームリング115および/またはズームレバー118は、使用者の操作を受け付けると、使用者の操作に基づいて、交換レンズ101のズームレンズを制御する。
【0015】
カメラボディ102は、レリーズ釦160とマイクロホン180等とを備える。カメラボディ102は、レリーズ釦160が使用者の操作を受け付けると、装着した交換レンズ101に対して、オートフォーカス動作の制御信号を送信したり、交換レンズ101を介して形成される被写体像の撮影動作を実行したりすることが可能である。
【0016】
マイクロホン180はカメラボディ102の上面に設置される。マイクロホン180は、動画撮影時の録音のために使用される。
【0017】
図2を参照してカメラボディ102の背面部に備えられた構成要素について説明する。カメラボディ102は、その背面部に液晶モニタ163と、タッチパネル162と、中央釦204および十字釦205を含むカメラ側操作部170等とを備える。タッチパネル162および/またはカメラ側操作部170が使用者の操作を受け付けると、カメラボディ102は、操作内容に基づいて、各種動作を実行する。
【0018】
図3を参照してデジタルカメラ100の構成について説明する。交換レンズ101は、レンズコントローラ120と、レンズマウント130と、フォーカスレンズ110およびズームレンズ112を含む光学系と、フォーカスレンズ駆動部111と、ズームレンズ駆動部113と、絞り116と、絞り駆動部117と、ズームリング115と、ズームレバー118と、DRAM121と、フラッシュメモリ122等とを備える。また、カメラボディ102は、カメラコントローラ153と、ボディマウント140と、CMOSイメージセンサ150と、タイミングジェネレータ(TG)151と、アナログ・フロント・エンド(AFE)152と、液晶モニタ163と、タッチパネル162と、レリーズ釦160と、カメラ側操作部170と、マイクロホン180と、電源154と、DRAM155と、フラッシュメモリ156と、カードスロット165と、メモリカード164等とを備える。また、点線LAは光軸を示す。
【0019】
<1−2.交換レンズの構成>
交換レンズ101の構成について説明する。
レンズコントローラ120は、交換レンズ101の各部を制御する。レンズコントローラ120は、ズームリング115および/またはズームレバー118が使用者の操作を受け付けると、受け付けられた操作に基づいて、ズームレンズ駆動部113にズームレンズ112を駆動するよう命令する。またレンズコントローラ120は、DRAM121とフラッシュメモリ122とに接続されているので、必要に応じて情報をDRAM121および/またはフラッシュメモリ122に書き込んだり、DRAM121および/またはフラッシュメモリ122から読み出したりすることが可能である。また、レンズコントローラ120は、レンズマウント130を介して、カメラコントローラ153と通信する。なお、レンズコントローラ120は、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータ等で構成されてもよい。
【0020】
レンズマウント130は、カメラボディ102のボディマウント140と連携して、交換レンズ101をカメラボディ102と機械的および電気的に接続するための接続部材である。交換レンズ101がカメラボディ102と機械的および電気的に接続されることで、レンズコントローラ120はカメラコントローラ153と通信可能となる。
【0021】
DRAM121は、レンズコントローラ120が各種制御を実行するとき、ワークメモリとして使用される。また、フラッシュメモリ122は、レンズコントローラ120が各種制御を実行するときに使用するプログラム、パラメータおよび/またはレンズデータ等を格納している。
【0022】
フォーカスレンズ110は、交換レンズ101の光学系に入射されCMOSイメージセンサ150上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ110は、単数のレンズで構成されても、複数のレンズで構成されてもよい。またフォーカスレンズ110は、単数の群で構成されても、複数の群で構成されてもよい。フォーカスレンズ駆動部111は、レンズコントローラ120から送信される制御信号に基づいて、フォーカスレンズ110が光学系の光軸LAに沿って進退するようフォーカスレンズ110を駆動する。なお、フォーカスレンズ駆動部111は、例えば、ステッピングモータ、DCモータまたは超音波モータ等により実現される。
【0023】
ズームレンズ112は、交換レンズ101の光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。ズームレンズ112は、単数のレンズで構成されても、複数のレンズで構成されてもよい。またズームレンズ112は、単数の群で構成されても、複数の群で構成されてもよい。ズームレンズ駆動部113は、レンズコントローラ120から送信される制御信号に基づいて、ズームレンズ112が光学系の光軸LAに沿って進退するようズームレンズ112を駆動する。なお、ズームレンズ駆動部113は、例えば、ステッピングモータ、DCモータまたは超音波モータ等により実現される。
【0024】
また、ズームレンズ112は2つの駆動速度の内のいずれかで駆動される。以下、2つの駆動速度の内、駆動速度が大きい方を「高速」、駆動速度が小さいほうを「低速」という。
【0025】
絞り116は、交換レンズ101の光学系に入射する光量を調節するための調節部材である。絞り116は、開閉可能な複数の機械羽根で構成される。絞り駆動部117は、レンズコントローラ120から送信される制御信号に基づいて、絞り116を構成する機械羽根の開閉の度合いを変化させる。なお、絞り駆動部117は、例えば、ステッピングモータ、DCモータまたは超音波モータ等により実現される。
【0026】
ズームリング115は、交換レンズ101の外面に設置された操作部材である。ズームリング115は、交換レンズ101に対して回転可能に設置される。不図示の検出部は、ズームリング115の回転位置および回転速度を検出し、レンズコントローラ120に通知する。レンズコントローラ120は、通知されたズームリング115の回転位置および/または回転速度に基づいて、ズームレンズ駆動部113に対して駆動制御信号を供給する。レンズコントローラ120は、ズームリング115によって受け付けられた操作に基づいて、ズームレンズ駆動部113がズームレンズ112を駆動するよう、ズームレンズ駆動部113に駆動制御信号を供給する。ただし、このときのズームレンズ112の駆動速度は、ズームレンズ駆動部113がズームレンズ112を駆動可能な速度の範囲内で、交換レンズ101とカメラボディ102との組み合わせにより決まる駆動速度以下になるように、決定される。ズームレンズ112の駆動速度の決定方法については後述する。
【0027】
ズームレバー118は、交換レンズ101の外面に設置された操作部材である。ズームレバー118は3点トグルスイッチで構成される。レンズコントローラ120は、ズームレバー118が倒されたことを検出すると、ズームレバー118が倒された方向に基づいて、ズームレンズ駆動部113に対して駆動制御信号を供給する。ズームレバー118によってズーム操作が受け付けられた場合、ズームレンズ112の駆動速度は、ズームレンズ駆動部113がズームレンズ112を駆動可能な速度の範囲内で、交換レンズ101とカメラボディ102との組み合わせにより決まる駆動速度に決定される。よって、ズームレバー118によってズーム操作が受け付けられた場合、ズームリング115によってズーム操作が受け付けられた場合と異なり、ズームレンズ112は一定速度で駆動される。
【0028】
なお、レンズコントローラ120は、ズームレバー118の倒された方向および角度を検出して、検出した方向と角度に基づいて、ズームレンズ112の駆動速度を決定してもよい。この場合、ズーム倍率は、ズームレバー118が倒された方向と角度で決まる一定速度で変化する。
【0029】
フラッシュメモリ122は交換レンズ101の騒音情報(図5A参照)を記憶している。「騒音情報」とは、交換レンズ101がズーム動作を実行するときに発する騒音とズーム速度との関係を示す情報である。すなわち、騒音情報は、ズームレンズ112をどのくらいの速度で動かすとどのくらいの騒音を発生するかを示す情報である。したがって、騒音情報は、交換レンズの機種毎に固有の情報である。なお、ズームレンズ112の駆動速度が大きくなると、ズームレンズ112の駆動に起因する騒音は大きくなる。また、フラッシュメモリ122は、ズームレンズ112の最大駆動速度の決定のためのテーブル(図5B参照)を記憶している。このテーブルの詳細については後述する。
【0030】
騒音情報において、ズームレンズ112が駆動されたときに発生する騒音の大きさは「小」、「中」または「大」の3段階で示される。本実施形態の騒音情報は、低速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさと、高速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさとを示す。すなわち、低速および高速の各々に対して「小」、「中」および「大」のいずれかが示される。ここで、本実施形態の騒音情報において、低速駆動時の騒音の大きさは高速駆動時の騒音の大きさよりも小さい値が設定される。例えば、高速駆動時の騒音の大きさが「中」である場合、低速駆動時の騒音の大きさは「小」に設定される。
【0031】
<1−3.カメラボディの構成>
カメラボディ102の構成について説明する。
カメラコントローラ153は、レリーズ釦160、タッチパネル162および/またはカメラ側操作部170によって受け付けられた操作に基づいて、デジタルカメラ100の各部(CMOSイメージセンサ150等)を制御する。また、カメラコントローラ153は、垂直同期信号をTG151に送信する。これと並行して、カメラコントローラ153は、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。カメラコントローラ153は、生成した露光同期信号を、ボディマウント140およびレンズマウント130を通じて、レンズコントローラ120に定期的に送信する。また、カメラコントローラ153は、DRAM155およびフラッシュメモリ156に接続されているので、必要に応じて情報をDRAM155および/またはフラッシュメモリ156に書き込んだり、DRAM155および/またはフラッシュメモリ156から読み出したりすることが可能である。また、カメラコントローラ153は、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータ等で構成されてもよい。
【0032】
DRAM155は、カメラコントローラ153が各種制御を実行するときに、ワークメモリとして使用される。また、フラッシュメモリ156は、カメラコントローラ153が各種制御を実行するときに使用するプログラムおよびパラメータ等を格納している。
【0033】
CMOSイメージセンサ150は、交換レンズ101を通じて入射された被写体像を撮像して画像データを生成する。生成された画像データは、AFE152によってアナログ形式からデジタル形式に変換される。AFE152によってデジタル化された画像データは、カメラコントローラ153によって各種の画像処理が施される。カメラコントローラ153での画像処理は、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理および/またはJPEG圧縮処理等を含む。なお、これら以外の画像処理が画像データに施されてもよい。また本実施形態において、CMOSイメージセンサ150に代えて、例えばnMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等、他の撮像素子が用いられてもよい。
【0034】
CMOSイメージセンサ150は、TG151で制御されるタイミングで動作する。TG151で制御されるCMOSイメージセンサ150の動作は、静止画像の撮像動作、スルー画像の撮像動作、データ転送動作および/または電子シャッタ動作等を含む。スルー画像は主に動画像である。液晶モニタ163は、静止画像の撮像のための構図を使用者に決めさせるために、スルー画像を表示する。
【0035】
液晶モニタ163は、カメラボディ102の背面部に設置される。液晶モニタ163はカメラコントローラ153で処理された表示用の画像データに基づく画像を表示する。液晶モニタ163は、動画像および静止画を選択的に表示する。また、液晶モニタ163は、画像の他に、デジタルカメラ100の各種設定および条件等を表示する。なお、本実施形態では、表示手段の一例として液晶モニタ163が用いられるが、液晶モニタ163の代わりに例えば有機ELディスプレイ等の表示手段が用いられてもよい。
【0036】
タッチパネル162は、液晶モニタ163の表面に設けられており、使用者によってタッチされたタッチパネル162上の電極の位置に関する情報を生成する。タッチパネル162は、電極位置に関する情報に基づいて、使用者によってタッチされたタッチパネル162上の位置を算出してカメラコントローラ153に通知する。
【0037】
ボディマウント140は、交換レンズ101のレンズマウント130と連携して、交換レンズ101をカメラボディ102と機械的および電気的に接続するための接続部材である。交換レンズ101がカメラボディ102と機械的および電気的に接続されることで、レンズコントローラ120はカメラコントローラ153と通信可能となる。ボディマウント140は、カメラコントローラ153から受信した露光同期信号およびその他制御信号を、レンズマウント130を介してレンズコントローラ120に送信する。また、ボディマウント140は、レンズマウント130を介してレンズコントローラ120から受信した各種信号を、カメラコントローラ153に送信する。
【0038】
電源154は、電力をデジタルカメラ100の各部に供給する。電源154は、例えば乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。また電源154は、電源コードで外部から供給される電力をデジタルカメラ100の各部に供給してもよい。カメラボディ102の電源スイッチ(図示せず)がオンに切り替えられると、カメラコントローラ153は電源154に、電力をデジタルカメラ100の各部に供給するよう命令する。電源154は、電力供給の命令を受信すると、電力をカメラボディ102の各部に供給する。また電源154は電力を、ボディマウント140およびレンズマウント130を通じて交換レンズ101に供給する。すると、レンズコントローラ120は電力を交換レンズ101の各部に供給する。
【0039】
カードスロット165は、メモリカード164を着脱可能な接続手段である。カードスロット165は、メモリカード164をデジタルカメラ100と電気的および機械的に接続可能である。なお、カードスロット165は、メモリカード164を制御する機能を備えてもよい。
【0040】
メモリカード164は、内部にフラッシュメモリ等の記憶手段を備えた外部メモリである。メモリカード164は、カメラコントローラ153で処理された画像データ等のデータを記憶可能である。また、メモリカード164は、記憶した画像データ等のデータをカメラコントローラ153に出力できる。メモリカード164から出力された画像データはカメラコントローラ153で処理される。処理された画像データに基づく画像は例えば液晶モニタ163に再生表示される。
【0041】
レリーズ釦160は、使用者の操作を受け付ける。レリーズ釦160は、半押し状態と全押し状態の2つの状態を取りうる押下式釦である。レリーズ釦160が半押し状態にされると、カメラコントローラ153はオートフォーカス動作を実行する。また、レリーズ釦160が全押し状態にされると、カメラコントローラ153は全押し操作のタイミングに生成された画像データをメモリカード164に記憶させる。
【0042】
カメラ側操作部170は、中央釦204および十字釦205を含む操作部材の総称である。カメラ側操作部170が使用者の操作を受け付けると、カメラコントローラ153は、受け付けられた操作の内容に基づいて、各種制御を実行する。
【0043】
マイクロホン180は、動画撮影時にデジタルカメラ100の周囲の音声を取り込み、カメラコントローラ153に音声に基づくアナログ形式の信号を送信する。カメラコントローラ153は、受信した信号をデジタル形式に変換して、メモリカード164に記憶させる。
【0044】
フラッシュメモリ156は、カメラボディ102の収音特性を示す情報である収音特性情報(図5Bの左部参照)を記憶している。収音特性情報は、マイクロホン180単体の収音特性を示すのではなく、マイクロホン180の収音特性、カメラボディ102の形状、カメラボディ102におけるマイクロホン180の位置および/またはカメラボディ102に装着された交換レンズ101とマイクロホン180との距離等が考慮された収音特性を示す。つまり、収音特性情報は、マイクロホン180による収音において交換レンズ101からの騒音の取り込みやすさを示す情報である。収音特性情報は、カメラボディ102の機種毎に固有の情報である。
【0045】
収音特性情報は、交換レンズ101からの騒音の取り込みやすさ(収音特性)を「弱」、「中」または「強」の3段階で示す。収音特性が「弱」であるカメラボディ102は、収音時に交換レンズ101からの騒音を、収音特性が「強」であるカメラボディ102より取り込みにくい。一方、収音特性が「強」であるカメラボディ102は、収音時に交換レンズ101からの騒音を、収音特性が「弱」であるカメラボディ102より取り込みやすい。また、収音特性が「中」であるカメラボディ102の騒音の取り込みやすさは、収音特性が「弱」であるカメラボディ102の騒音の取り込みやすさと収音特性が「強」であるカメラボディ102の騒音の取り込みやすさとの中間である。
【0046】
<2.デジタルカメラの動作>
<2−1.デジタルカメラの動作の概要>
デジタルカメラ100の動作の概要について説明する。
カメラボディ102が交換レンズ101を装着した状態でカメラボディ102の電源スイッチがオンに切り替えられると、電力がカメラボディ102の電源154からデジタルカメラ100の各部へ供給された後、各種初期設定が実行される。
【0047】
次にレンズコントローラ120は、カメラコントローラ153に対して収音特性情報を要求する。カメラコントローラ153は、フラッシュメモリ156に記憶された収音特性情報をレンズコントローラ120に送信する。レンズコントローラ120は、収音特性情報と、交換レンズ101のフラッシュメモリ122に記憶された騒音情報とに基づいて、ズームレンズ112の駆動速度の最大値(最大駆動速度)を決定する。
【0048】
そしてレンズコントローラ120は、ズームリング115等がズーム操作を受け付けたとき、最大駆動速度でズームレンズ112を駆動する。
【0049】
<2−2.初期動作>
図4を参照して、カメラボディ102に交換レンズ101が装着された状態で、電源スイッチがオンに切り替えられたときに実行される初期動作について説明する。
【0050】
カメラボディ102に交換レンズ101が装着された状態で、カメラボディ102の電源スイッチがオンに切り替えられると(S300)、電源154は電力をボディマウント140およびレンズマウント130を通じて交換レンズ101に供給する(S301)。これにより電力が交換レンズ101の各部に供給される(S302)。
【0051】
次に、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120に対して、交換レンズ101のレンズ認証情報を要求する(S303)。ここで、「レンズ認証情報」は、カメラコントローラ153がカメラボディ102に装着された交換レンズ101の特徴を把握するために参照する情報である。レンズ認証情報は、カメラボディ102に装着された交換レンズ101に関する情報と、交換レンズ101がカメラボディ102に装着されているか否かを示す情報とを含む。レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153からのレンズ認証情報の要求に対して、レンズ認証情報をカメラボディ102へ送信することによって応答する(S304)。この応答により、カメラコントローラ153は、交換レンズ112の認証を完了し、カメラボディ102に交換レンズ101が装着されているか否か等を把握する(S305)。
【0052】
次に、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120に対して、交換レンズ101の初期化動作を実行するよう要求する(S306)。レンズコントローラ120は、初期化動作の要求を受信すると、フォーカスレンズ110のリセット、ズームレンズ112のリセットおよび絞り116のリセット等の初期化動作を行う(S307)。ここで、レンズの初期化とは、例えば、ズームレンズ112を所定の位置へ駆動することである。そして、レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153に対して、交換レンズ101の初期化動作が完了したことを通知する(S308)。これにより、カメラコントローラ153は、レンズが初期化されたことを把握する(S309)。
【0053】
次に、カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120に対して、交換レンズ101に関するデータであるレンズデータを要求する(S310)。レンズデータは、交換レンズ101のフラッシュメモリ122に記憶されている。
【0054】
レンズコントローラ120は、レンズデータの要求をカメラコントローラ153から受信すると、フラッシュメモリ122からレンズデータを読み出す(S311)。そして、レンズコントローラ120は、読み出したレンズデータを、カメラコントローラ153に送信する。このとき、レンズコントローラ120が収音特性情報に基づいてズームレンズ112の最大駆動速度を決定する機能を有する場合、レンズコントローラ120はカメラコントローラ153に対して収音特性情報を要求する(S312)。ここで、レンズデータは、レンズの名称、Fナンバー、ズーム制御可能範囲や、フォーカス制御可能範囲、操作部材に関する情報等、交換レンズ101固有の特性値を含む。また、レンズデータは、電動ズーム機能の有無(交換レンズ101において、ズームレンズ112が使用者の操作に基づいて機械的に駆動されるのではなく、ズームレンズ駆動部113によって駆動されるのか否か)を示す情報を含む。カメラコントローラ153は、レンズコントローラ120から、電動ズーム機能の有無を示す情報および操作部材に関する情報を取得することにより、装着された交換レンズ101の電動ズーム機能の有無および交換レンズ101で利用できる操作部材を把握する。
【0055】
本実施形態の交換レンズ101は、電動ズーム機能に関する操作部材としてズームリング115およびズームレバー118を備える。したがって、レンズデータは、交換レンズ101がズームリング115およびズームレバー118という2つの操作部材を備えることを示す情報を含む。カメラコントローラ153は、カメラボディ102が交換レンズ101の電動ズーム機能および操作部材(ズームリング115およびズームレバー118)に対応している場合、交換レンズ101に対する電動ズームに関する各種制御を実行できる。また、カメラボディ102が電動ズームに対応している場合、カメラコントローラ153は収音特性情報を交換レンズ101に送信できる。以上の動作により、カメラコントローラ153は、装着された交換レンズ101のレンズデータの取得を完了する(S313)。
【0056】
カメラコントローラ153は、レンズデータの受信時に、収音特性情報の送信の要求を受信した場合、収音特性情報をフラッシュメモリ156から読み出す(S314)。そしてカメラコントローラ153は収音特性情報をレンズコントローラ120に送信する(S315)。
【0057】
レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153から収音特性情報を受信すると、受信した収音特性情報と、フラッシュメモリ122に記憶された騒音情報とに基づいて、ズームレンズ112の最大駆動速度(最大ズーム速度)を決定する(S316)。最大駆動速度の決定方法の詳細は後述する。
【0058】
カメラボディ102は、カメラボディ102に装着された交換レンズ101のレンズデータを取得すると、撮像可能になる。カメラコントローラ153は、撮像可能であるとき、レンズコントローラ120に対して、交換レンズ101の状態を示すレンズ状態データを定期的に要求する(S317)。レンズ状態データは、例えば、ズームレンズ112によるズーム焦点距離情報、フォーカスレンズ110の位置情報、絞り116の絞り値情報、および、ズームレバー118が操作されたことを示すズームレバー操作情報等を含む。レンズ状態データの要求に対して、レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153に対して、レンズ状態データを送信することにより応答する(S318)。
【0059】
以上のように、カメラボディ102と交換レンズ101とは、カメラボディ102と交換レンズ101との間で必要なデータの要求および送信することにより、初期動作を完了する。
【0060】
ここで、ズームレンズ112の最大駆動速度の決定方法(S316)の詳細について説明する。レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153から収音特性情報を受信すると、受信した収音特性情報と、交換レンズ101のフラッシュメモリ122に記憶された騒音情報と、ズームレンズ112の最大駆動速度の決定のためのテーブルとを参照する。
【0061】
例えば、騒音情報が図5Aで示される情報を含む場合、騒音情報301は、低速駆動時のズームレンズ112から発生する騒音の大きさが「小」であることと、高速駆動時のズームレンズ112から発生する騒音の大きさが「中」であることとを示す。なお、騒音情報301は、交換レンズ101の種類に従って変更される。
【0062】
また、例えば、テーブルが図5Bに示される情報を含む場合、テーブル302は、収音特性情報によって示されるカメラボディ102の収音特性と騒音情報によって示される交換レンズ101の騒音の大きさとの組み合わせが指し示す欄に記号「○」が存在する場合、その騒音の大きさに対応する駆動速度でのズームレンズ112の駆動は設定可能であることを示す。これは、テーブル302において記号「○」である騒音の大きさに対応する駆動速度でズームレンズ112が駆動されるとき、マイクロホン180がズームレンズ112の駆動音を騒音として収音する可能性は低いからである。
【0063】
また、テーブル302は、収音特性情報によって示されるカメラボディ102の収音特性と騒音情報によって示される交換レンズ101の騒音の大きさとの組み合わせが指し示す欄に記号「×」が存在する場合、その騒音の大きさに対応する駆動速度でのズームレンズ112の駆動は設定不可であることを示す。これは、テーブル302において記号「×」である騒音の大きさに対応する駆動速度でズームレンズ112が駆動されるとき、マイクロホン180がズームレンズ112の駆動音を騒音として収音する可能性が高いからである。
【0064】
レンズコントローラ120は、以上のような情報を含むテーブル302を参照し、ズームレンズ112の設定可能な駆動速度のうち最大の駆動速度をズームレンズ112の最大駆動速度に決定する。
【0065】
テーブル302は、例えば、カメラボディ102の収音特性が「弱」の場合、ズームレンズ112の騒音の大きさが「小」、「中」および「大」のいずれであっても、記号「○」を示す。したがって、低速駆動時および高速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「小」、「中」および「大」のいずれであっても、ズームレンズ112の最大駆動速度は高速に決定される。
【0066】
例えば、低速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「中」であり、高速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「大」である場合、ズームレンズ112の駆動速度が高速および低速のいずれであっても、テーブル302が記号「○」を示す。よって、本例では、ズームレンズ112の最大駆動速度は高速に決定される。
【0067】
また、カメラボディ102の収音特性が「中」の場合、テーブル302は、ズームレンズ112の騒音の大きさが「小」または「中」であれば「○」を示し、ズームレンズ112の騒音の大きさが「大」であれば「×」を示す。したがって、例えば、高速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「中」であるとき、カメラボディ102の収音特性が「中」であればこの騒音は収音される可能性が低いので、ズームレンズ112の駆動速度は高速に設定可能である。すなわち、本例では、ズームレンズ112の最大駆動速度は高速に決定される。
【0068】
また、高速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「大」であり、低速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「中」である場合を考える。この場合、カメラボディ102の収音特性が「中」であるので、高速駆動時のズームレンズ112の騒音(「大」)は、収音される可能性が高い。よって、ズームレンズ112の駆動速度を高速に設定することはできない。一方、低速駆動時のズームレンズ112の騒音(「小」)は、カメラボディ102の収音特性が「中」であるので、収音される可能性が低い。よって、ズームレンズ112の駆動速度を低速に設定することは可能である。したがって、本例では、ズームレンズ112の最大駆動速度は低速に決定される。
【0069】
また、カメラボディ102の収音特性が「強」の場合、テーブル302は、ズームレンズ112の騒音の大きさが「小」であるとき記号「○」を、ズームレンズ112の騒音の大きさが「中」または「大」であるとき記号「×」を示す。よって、例えば、高速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「中」または「大」であり、低速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「小」であるとき、ズームレンズ112の駆動速度は高速に設定できないが、低速には設定できる。したがって、本例では、ズームレンズ112の最大駆動速度は低速に決定される。
【0070】
また、高速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「大」であり、低速駆動時のズームレンズ112の騒音の大きさが「中」であるとき場合、テーブル302によれば、ズームレンズ112の駆動速度は、高速および低速のいずれにも設定できない。この場合、例外的に、ズームレンズ112の最大駆動速度は低速に設定される。なお、この場合、液晶モニタ163は、ズームレンズ112の駆動に起因する騒音が収音される恐れがあることを示す情報を表示してもよい。
【0071】
<2−3.ズーム動作>
図6を参照して、本実施形態におけるズーム動作について説明する。
【0072】
交換レンズ101のズームレバー118が使用者の操作を受け付けると、レンズコントローラ120はズームレバー118の操作を検出する(S411)。レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153から定期的に送信されるレンズ状態データの要求(S412)を受信すると、ズームレバー118が操作されたことを示すズームレバー操作情報を含んだレンズ状態データを返信する(S413)。
【0073】
カメラコントローラ153は、受信したズームレバー操作情報に基づいてズームレバー118が操作されたことを把握すると、液晶モニタ163にレンズ状態データに含まれるズーム焦点距離情報を表示する(S414)。ズーム焦点距離情報は、ズームレンズ112の位置によって決まる焦点距離を使用者に提示するために、表示される。液晶モニタ163は、ズーム焦点距離情報を表示する代わりに、ズームレンズ112の位置のみを表示してもよいし、焦点距離から算出されるズーム倍率を表示してもよい。
【0074】
一方、レンズコントローラ120はズームレバー118が操作されると、初期動作において決定された最大駆動速度でのズームレンズ112の駆動を開始する(S415)。カメラコントローラ153は、ズームレバー118が操作を受け付けている間にも、定期的にレンズ状態データを要求する(S416)。レンズコントローラ120は、レンズ状態データの要求を受信すると、レンズ状態データをカメラコントローラ153へ送信する(S417)。このとき、ズームレンズ112が駆動されているので、カメラコントローラ153へ送信されるレンズ状態データに含まれるズーム焦点距離情報は逐次更新される。カメラコントローラ153は、受信したレンズ状態データに含まれるズーム焦点距離情報に基づいて、液晶モニタ163に表示されたズーム焦点距離情報の表示を更新する(S418)。このように、カメラコントローラ153は、ズームレンズ112の駆動中にも、レンズ状態データを交換レンズ101から取得することにより、液晶モニタ163に表示されるズーム焦点距離情報を更新する。これにより、デジタルカメラ100は、ズームレンズ112の駆動状態および/または焦点距離を使用者に提示できる。
【0075】
デジタルカメラ100の使用者は、交換レンズ101のズーム倍率が所望の倍率に達すると、ズームレバー118の操作をやめる。このときレンズコントローラ120は、ズームレバー118の操作が終了したことを検出する(S421)。レンズコントローラ120は、ズームレバー118の操作の終了を検出すると、ズームレンズ駆動部113に停止命令を発してズームレンズ112の駆動を終了する(S422)。
【0076】
ズームレンズ112の駆動の終了後、レンズコントローラ120は、カメラコントローラ153によって定期的に送信されるレンズ状態データの要求(S423)を受信すると、最終的にズームレンズ112が止まった位置に対応するズーム焦点距離情報およびズームレバー118の操作が終了されたことを示すズームレバー操作情報を含むレンズ状態データを、送信する(S424)。
【0077】
なお、本例では、ズームレバー118が操作されたとき、ズームレンズ112が最大駆動速度で駆動された。しかし、レンズコントローラ120が、ズームレバー118が倒された角度に基づいてズームレンズ112の駆動速度を決定してもよい。ただしその場合、ズームレバー118の角度に基づく駆動速度が最大駆動速度以上のときは、ズームレンズ112は最大駆動速度で駆動される。そしてズームレバー118の角度に基づく駆動速度が最大駆動速度未満のときは、ズームレンズ112はズームレバー118の角度に基づく駆動速度で駆動される。
【0078】
また、ズームリング115が操作されたとき、レンズコントローラ120は、ズームレンズ115の回転位置および/または回転速度に基づいてズームレンズ112の駆動速度を決定する。この場合、ズームレバー118が操作された場合と同様に、ズームリング115の操作内容に基づく駆動速度が最大駆動速度以上のときは、ズームレンズ112は最大駆動速度で駆動される。そしてズームリング115の操作内容に基づく駆動速度が最大駆動速度未満のときは、ズームレンズ112はズームリング115の操作内容に基づく駆動速度で駆動される。
【0079】
<3.本実施形態のまとめ>
以上の通り、本実施形態の交換レンズ101は、カメラボディ102に装着可能である。交換レンズ101は、被写体像の画角を変更可能なズームレンズ112と、カメラボディ102の収音特性を示す情報である収音特性情報をカメラボディ102から受信し、ズームレンズ112の駆動を制御するレンズコントローラ120と、を備える。レンズコントローラ120は、収音特性情報に基づいて、ズームレンズ112の設定可能な駆動速度を決定する。
【0080】
また、本実施形態のカメラボディ102は、交換レンズ101を装着可能である。カメラボディ102は、周囲の音声を収音するマイクロホン180と、マイクロホン180の収音特性を示す情報である収音特性情報を記憶するフラッシュメモリ156と、収音特性情報を交換レンズ101に送信するカメラコントローラ153と、を備える。
【0081】
このような交換レンズ101およびカメラボディ102によれば、交換レンズ101は、カメラボディ102から送信された収音特性情報に基づいて、ズームレンズ112の設定可能な駆動速度を決定する。これにより、カメラボディ102のマイクロホン180によって収音されるズームレンズ112の駆動に起因する騒音を従来より低減することが可能となる。
【0082】
また、交換レンズ101およびカメラボディ102によれば、交換レンズ101は、収音特性情報に基づいて決定されたズームレンズ112の駆動速度がとりうる値の中で最大の値を最大駆動速度に決定する。そして交換レンズ101は、ズームレンズ112を最大駆動速度で駆動する。これにより、交換レンズ101は、ズームレンズ112を、ズームレンズ112の駆動に起因する騒音の収音を従来より抑制しつつ、可能な限り速く駆動できる。
【0083】
また、交換レンズ101およびカメラボディ102によれば、交換レンズ101は、ズームレバー118および/またはズームリング115によって受け付けられた操作内容に基づいてズームレンズ112の駆動速度を決定する。そして交換レンズ101は、決定された駆動速度が最大駆動速度以上である場合、ズームレンズ112を最大駆動速度で駆動し、決定された駆動速度が最大駆動速度未満である場合は、ズームレンズ112を決定された駆動速度で駆動する。これにより、交換レンズ101は、ズームレンズ112の駆動に起因する騒音の収音を従来より抑制しつつ、使用者のズーム操作に可能な限り対応した駆動速度でズームレンズ112を駆動できる。
【0084】
また、交換レンズ101およびカメラボディ102は、騒音収音の低減のための防音構成を別途必要としないことにより、防音構成を別途必要とする交換レンズおよびカメラボディに比べて、装置の大型化を抑制することが可能である。
【0085】
<4.他の実施形態>
上記実施形態の思想は、以上で説明された実施形態に限定されない。種々の実施形態が考えられてもよい。以下、上記実施形態の思想を適用できる他の実施形態について説明する。
【0086】
(1)上記実施形態では、ズームレンズ112の駆動速度は「高速」および「低速」のいずれかが設定された。そして騒音情報は、ズームレンズ112の駆動速度が「高速」および「低速」の場合のそれぞれについて騒音の大きさを示した。しかし、次のようにしてもよい。ズームレンズ112の駆動速度は、「高速」および「低速」の2段階でなく、3段階以上の駆動速度の中のいずれかの駆動速度に設定されてもよい。また、ズームレンズ112の駆動速度は、無段階の駆動速度で設定されてもよい。ただし、ズームレンズ112の駆動速度が3段階以上の駆動速度の中のいずれかに設定される場合、またはズームレンズ112の駆動速度が無段階の駆動速度で設定される場合、騒音情報は、ズームレンズ112が設定されうる駆動速度に対応するズームレンズ112の騒音の大きさを含む。騒音情報が無段階の駆動速度に関する騒音の大きさを含む場合、騒音情報は、騒音の大きさを算出するための計算式および/またはアルゴリズム等を含んでもよい。
【0087】
(2)上記実施形態では、カメラボディ102の電源投入時の初期動作において、交換レンズ101とカメラボディ102との間の通信は、基本的にカメラボディ102の要求に対して交換レンズ101が応答するものであった。しかし、上記実施形態の思想はこれに限定されない。交換レンズ101が収音特性情報をカメラボディ102に対して要求して、カメラボディ102がこの要求に応答して収音特性情報を交換レンズ101に送信してもよい。
【0088】
(3)上記実施形態では、交換レンズ101がズーム操作のためのズームレバー118を備えた。しかしデジタルカメラ100が次のような構成であってもよい。カメラボディ102がズーム操作のための操作部材を備えてもよい。すなわち、カメラ側操作部170が、ズーム操作用の部材を含んでもよい。この場合、カメラボディ102はカメラ側操作部170によって受け付けられたズーム操作を示す情報を交換レンズ101に通知し、交換レンズ101は通知された情報に基づいてズームレンズ駆動部113を駆動する。
【0089】
(4)上記実施形態では、ズームレンズ112の駆動に起因する騒音を低減するためにズームレンズ112の駆動速度が調節された。しかし、他の部材の駆動に起因する騒音を低減するためにその部材の駆動速度が調節されてもよい。例えば、フォーカスレンズ110および/または絞り116の駆動に起因する騒音を低減するために、フォーカスレンズ110および/または絞り116の駆動速度が調節されてもよい。
【0090】
(5)上記実施形態では、ズームレンズ112の最大駆動速度を決定するために参照されるテーブル302は、交換レンズ101のフラッシュメモリ122に記憶された。しかし、テーブル302がフラッシュメモリ122以外の記憶手段に記憶されてもよい。例えば、カメラボディ102のフラッシュメモリ156がテーブル302を記憶してもよい。この場合、レンズコントローラ120はテーブル302をカメラボディ102側からレンズマウント130およびボディマウント140を通じて取得する。
【0091】
(6)上記実施形態では、ズームレンズ112の設定可能な駆動速度は、テーブル302を参照することで決定された。しかしそれ以外の方法で、設定可能な駆動速度が決定されてもよい。例えば、所定の数式またはアルゴリズムを用いて、収音特性から、設定可能な駆動速度が決定されてもよい。
【0092】
以上、本開示における技術の例示として、実施形態を説明した。そのために、詳細な説明および添付の図面を開示した。よって、詳細な説明および添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が、詳細な説明および添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0093】
また、上記実施形態は、本開示における技術を例示するためのものである。よって、上記実施形態は、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置換、付加および/または省略等を行なわれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本開示は、交換レンズ式のデジタルカメラ、交換レンズ式のカメラ付き携帯電話などの、交換レンズおよび撮像装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
100:デジタルカメラ
101:交換レンズ
102:カメラボディ
110:フォーカスレンズ
111:フォーカスレンズ駆動部
112:ズームレンズ
113:ズームレンズ駆動部
115:ズームリング
116:絞り
117:絞り駆動部
118:ズームレバー
120:レンズコントローラ
121:DRAM(レンズ側)
122:フラッシュメモリ(レンズ側)
130:レンズマウント
140:ボディマウント
150:CMOSイメージセンサ
151:タイミングジェネレータ(TG)
152:アナログ・フロント・エンド(AFE)
153:カメラコントローラ
154:電源
155:DRAM(ボディ側)
156:フラッシュメモリ(ボディ側)
160:レリーズ釦
162:タッチパネル
163:液晶モニタ
164:メモリカード
165:カードスロット
170:カメラ側操作部
180:マイクロホン
204:中央釦
205:十字釦
301:騒音情報
302:テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラボディに装着可能な交換レンズであって、
被写体像の画角を変更可能なズームレンズと、
前記カメラボディの収音特性を示す情報である収音特性情報を前記カメラボディから受信する受信部と、
前記ズームレンズの駆動を制御するレンズ制御部と、
を備え、
前記レンズ制御部は、前記収音特性情報に基づいて、前記ズームレンズの設定可能な駆動速度である駆動可能速度を決定する、
交換レンズ。
【請求項2】
前記ズームレンズの駆動速度と、前記ズームレンズが前記駆動速度で駆動された場合に発生する騒音の大きさとを関連付ける情報である騒音情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記レンズ制御部は、前記収音特性情報と、前記記憶部に記憶された前記騒音情報とに基づいて、前記駆動可能速度を決定する、
請求項1記載の交換レンズ。
【請求項3】
前記収音特性情報は、前記ズームレンズにおいて発生する騒音の前記カメラボディによる取り込み易さを示す情報である、
請求項1記載の交換レンズ。
【請求項4】
前記交換レンズおよび/または前記カメラボディは前記ズームレンズに関する操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記レンズ制御部は、前記駆動可能速度がとりうる値の中で最大の値を最大駆動速度に決定し、
前記レンズ制御部は、前記操作部が操作を受け付けたとき、前記ズームレンズの駆動速度を前記最大駆動速度に設定する、
請求項1記載の交換レンズ。
【請求項5】
前記交換レンズおよび/または前記カメラボディは前記ズームレンズに関する操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記レンズ制御部は、前記駆動可能速度がとりうる値の中で最大の値を最大駆動速度に決定し、
前記レンズ制御部は、前記操作部によって受け付けられた操作に基づいて前記ズームレンズの駆動速度である実効駆動速度を決定し、
前記レンズ制御部は、
前記実効駆動速度が前記最大駆動速度以上の場合、前記ズームレンズの駆動速度を前記最大駆動速度に設定し、
前記実効駆動速度が前記最大駆動速度未満の場合、前記ズームレンズの駆動速度を前記実効駆動速度に設定する、
請求項1記載の交換レンズ。
【請求項6】
交換レンズを装着可能なカメラボディであって、
周囲の音声を収音する収音部と、
前記収音部の収音特性を示す情報である収音特性情報を記憶する記憶部と、
前記収音特性情報を前記交換レンズに送信する送信部と、
を備えるカメラボディ。
【請求項7】
前記収音特性情報は、前記交換レンズにおいて発生する騒音の前記カメラボディによる取り込み易さを示す情報である、
請求項6記載のカメラボディ。
【請求項8】
カメラボディと前記カメラボディに装着可能な交換レンズとを含むカメラシステムであって、
前記カメラボディは、
周囲の音声を収音する収音部と、
前記収音部の収音特性を示す情報である収音特性情報を記憶する記憶部と、
前記収音特性情報を前記交換レンズに送信する送信部と、
を有し、
前記交換レンズは、
被写体像の画角を変更可能なズームレンズと、
前記収音特性情報を前記カメラボディから受信する受信部と、
前記ズームレンズの駆動を制御するレンズ制御部と、
を有し、
前記レンズ制御部は、前記収音特性情報に基づいて、前記ズームレンズの設定可能な駆動速度である駆動可能速度を決定する、
カメラシステム。
【請求項9】
前記交換レンズは、
前記ズームレンズの駆動速度と、前記ズームレンズが前記駆動速度で駆動された場合に発生する騒音の大きさとを関連付ける情報である騒音情報を記憶するレンズ記憶部をさらに有し、
前記レンズ制御部は、前記収音特性情報と、前記レンズ記憶部に記憶された前記騒音情報とに基づいて、前記駆動可能速度を決定する、
請求項8記載のカメラシステム。
【請求項10】
前記収音特性情報は、前記ズームレンズにおいて発生する騒音の前記カメラボディによる取り込み易さを示す情報である、
請求項8記載のカメラシステム。
【請求項11】
前記交換レンズおよび/または前記カメラボディは前記ズームレンズに関する操作を受け付ける操作部をさらに有し、
前記レンズ制御部は、前記駆動可能速度がとりうる値の中で最大の値を最大駆動速度に決定し、
前記レンズ制御部は、前記操作部が操作を受け付けたとき、前記ズームレンズの駆動速度を前記最大駆動速度に設定する、
請求項8記載のカメラシステム。
【請求項12】
前記交換レンズおよび/または前記カメラボディは前記ズームレンズに関する操作を受け付ける操作部をさらに有し、
前記レンズ制御部は、前記駆動可能速度がとりうる値の中で最大の値を最大駆動速度に決定し、
前記レンズ制御部は、前記操作部によって受け付けられた操作に基づいて前記ズームレンズの駆動速度である実効駆動速度を決定し、
前記レンズ制御部は、
前記実効駆動速度が前記最大駆動速度以上の場合、前記ズームレンズの駆動速度を前記最大駆動速度に設定し、
前記実効駆動速度が前記最大駆動速度未満の場合、前記ズームレンズの駆動速度を前記実効駆動速度に設定する、
請求項8記載のカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−92769(P2013−92769A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222308(P2012−222308)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】