説明

交換レンズ

【課題】変倍レンズの駆動中であってもフォーカスレンズを正しく駆動することが可能な交換レンズを提供する。
【解決手段】バリフォーカル光学系と、変倍レンズの複数位置の各々について複数の撮影距離にそれぞれ対応するフォーカスレンズの位置に関する位置情報を記憶する記憶手段と、所定の絶対位置までフォーカスレンズを駆動する指令をカメラボディから受信する受信手段と、所定の絶対位置に対応するフォーカスレンズの駆動目標位置を演算する第1演算手段と、駆動目標位置までフォーカスレンズを駆動する駆動手段と、受信手段により指令が受信されたとき変倍レンズが駆動中か否かを判定する判定手段と、変倍レンズが駆動中の場合、変倍レンズの駆動による駆動目標位置の変化を予測した予測目標位置を演算する第2演算手段とを備え、駆動手段は、変倍レンズが駆動中の場合、予測目標位置までフォーカスレンズを駆動する交換レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
焦点距離を調節するための変倍レンズと、撮影距離(ピント位置)を調節するためのフォーカスレンズとを含んだ結像光学系が知られている。このような結像光学系において、変倍レンズを移動させると、撮影距離とフォーカスレンズの位置との関係が変化する、すなわち、変倍レンズを移動させると撮影距離(換言すれば焦点位置)が変化する、いわゆるバリフォーカル光学系が存在する。例えば特許文献1には、焦点距離が等しくても、撮像面に合焦するためのフォーカスレンズの位置が被写体距離によって異なるレンズ制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−96908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のレンズ制御装置には、変倍レンズの駆動中にフォーカスレンズの絶対位置への駆動指令を受けとった場合、フォーカスレンズを正しく駆動できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、それぞれが光軸方向に駆動可能な同一光軸上に配置された変倍レンズおよびフォーカスレンズを含み、撮影距離とフォーカスレンズの位置との関係が変倍レンズの位置に応じて変化するバリフォーカル光学系と、変倍レンズの複数の位置の各々について、複数の撮影距離にそれぞれ対応するフォーカスレンズの位置に関する位置情報を記憶する記憶手段と、カメラボディが着脱可能に取り付けられるマウント手段と、所定の撮影距離に対応する位置を基準として表された所定の絶対位置までフォーカスレンズを駆動する指令をカメラボディから受信する受信手段と、変倍レンズの現在位置と位置情報とを用いて、所定の絶対位置に対応するフォーカスレンズの駆動目標位置を演算する第1演算手段と、第1演算手段により演算された駆動目標位置までフォーカスレンズを駆動する駆動手段と、受信手段により指令が受信されたとき、変倍レンズが駆動中か否かを判定する判定手段と、判定手段により変倍レンズが駆動中であると判定された場合、変倍レンズの駆動による駆動目標位置の変化を予測した予測目標位置を演算する第2演算手段と、を備え、駆動手段は、判定手段により変倍レンズが駆動中であると判定された場合、予測目標位置までフォーカスレンズを駆動することを特徴とする交換レンズである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、変倍レンズの駆動中であってもフォーカスレンズを正しく駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した斜視図である。
【図2】本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した断面図である。
【図3】保持部102,202の詳細を示す模式図である。
【図4】コマンドデータ通信の例を示すタイミングチャートである。
【図5】ホットライン通信の例を示すタイミングチャートである。
【図6】変倍レンズ210bとフォーカスレンズ210cの位置関係を示す図である。
【図7】図6の一部を拡大した図である。
【図8】変倍レンズ210bの駆動中における絶対位置駆動コマンド受信時の処理のフローチャートである。
【図9】図6の一部を拡大した図である。
【図10】絶対位置駆動コマンドを受信後、所定時間Tsが経過した時点での駆動目標位置Pcを示す図である。
【図11】絶対位置駆動コマンドを受信後、所定時間Tsが経過した時点での駆動目標位置Pcを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1(a)は、本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した斜視図である。なお、図1(a)では本発明に係わる機器および装置のみを示し、それ以外の機器および装置については図示と説明を省略する。カメラシステム1は、カメラボディ100と、カメラボディ100に着脱可能な交換レンズ200とから構成される。
【0009】
カメラボディ100には交換レンズ200が着脱可能に取り付けられるボディ側マウント部101が設けられている。ボディ側マウント部101の近傍(ボディ側マウント部101の内周側)の位置には、ボディ側マウント部101の内周側に部分的に突出する状態で、接点を保持する保持部(電気的な接続部)102が設けられている。この保持部102には複数の接点が設けられている。
【0010】
また交換レンズ200には、ボディ側マウント部101に対応する、カメラボディ100が着脱可能に取り付けられるレンズ側マウント部201が設けられている。レンズ側マウント部201の近傍(レンズ側マウント部201の内周側)の位置には、レンズ側マウント部201の内周側に部分的に突出する状態で、接点を保持する保持部(電気的な接続部)202が設けられている。この保持部202には複数の接点が設けられている。
【0011】
カメラボディ100に交換レンズ200が装着されると、複数の接点が設けられたカメラボディ100側の保持部102が、複数の接点が設けられた交換レンズ200側の保持部202に電気的に且つ物理的に接続される。両保持部102,202は、カメラボディ100から交換レンズ200への電力供給、および、カメラボディ100と交換レンズ200との信号の送受信に利用される。
【0012】
カメラボディ100内のボディ側マウント部101後方には、例えばCMOSやCCDなどの撮像素子104が設けられる。カメラボディ100の上方には、入力装置たるボタン105が設けられている。ユーザはボタン105等の入力装置を用いてカメラボディ100に撮影指示や撮影条件の設定指示等を行う。交換レンズ200の側面(マウント面とは異なる面)には、交換レンズ200内に設けられた変倍レンズ(後述)を駆動させるためのズーム操作部材であるスライドスイッチ219が設けられている。
【0013】
図1(b)は、スライドスイッチ219の正面図である。スライドスイッチ219は可動域220、221を移動可能に構成されている。図1(b)の上方に位置する可動域220は望遠方向に、図1(b)の下方に位置する可動域221は広角方向に、それぞれ対応している。スライドスイッチ219は不図示のバネ等により、外部から力が加えられていない場合には両可動域220、221の中央に位置するように構成されている。撮影者がスライドスイッチ219を可動域220の方向に押し上げると、後述する変倍レンズがスライドスイッチ219の移動量に応じた速度で駆動され、交換レンズ200の焦点距離が望遠側に変化する。同様に、可動域221の方向にスライドスイッチ219を動かすと、交換レンズの焦点距離が広角側に変化する。
【0014】
図2は、本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した断面図である。交換レンズ200は、被写体像を結像させる結像光学系210を備える。結像光学系210は同一の光軸O上に配置された複数のレンズ210a〜210dおよび絞り211により構成されている。これら複数のレンズ210a〜210dには、結像光学系210の焦点距離を変化させる変倍レンズ210bおよび被写体像のピント位置を調節するためのフォーカスレンズ210cが含まれている。
【0015】
結像光学系210は、いわゆるバリフォーカル光学系である。すなわち、変倍レンズ210bを駆動し結像光学系210の焦点距離が変化すると、撮影距離とフォーカスレンズ210cの光軸上の位置との関係が変化する。例えば、結像光学系210の焦点距離が20mmとなる位置に変倍レンズ210bがあり、撮影距離が3m(撮像素子104の撮像面から3m先の被写体にピントが合う状態)となる位置にフォーカスレンズ210cがあるとき、変倍レンズ210bが駆動され焦点距離が40mmになると、フォーカスレンズ210cの撮影距離は3mではない距離(例えば4mや6m)となる。変倍レンズ210bとフォーカスレンズ210cとの関係については後に詳述する。
【0016】
交換レンズ200内部には、交換レンズ200の各部の制御を司るレンズ制御部203が設けられている。レンズ制御部203は不図示のマイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ制御部203には、レンズ側第1通信部217、レンズ側第2通信部218、ズーム駆動部212、絞り駆動部213、フォーカス駆動部214、ROM215、およびRAM216が接続されている。
【0017】
レンズ側第1通信部217およびレンズ側第2通信部218は、保持部102、202の各通信接点を介してカメラボディ100との信号の送受信を行う。このレンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218はそれぞれ、交換レンズ200側の通信インターフェースである。レンズ制御部203はこれら通信インターフェースを使って、カメラボディ100(後述するボディ制御部103)との間で後述する各通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)を行う。
【0018】
ズーム駆動部212は駆動力を発生させるモータ(例えばステッピングモータ等のアクチュエータ)と、当該駆動力を変倍レンズ210bに伝達する伝達系(例えば複数のギア等を組み合わせたもの)を有している。ズーム駆動部212はレンズ制御部203により制御され、変倍レンズ210bを、レンズ制御部203が指定した駆動速度で光軸O方向に駆動する。つまり、交換レンズ200は、いわゆるパワーズーム機能を有するズームレンズである。
【0019】
フォーカス駆動部214は、駆動対象がフォーカスレンズ210cであることを除き、ズーム駆動部212と同様の構成を有する。絞り駆動部213もこれらの各駆動部と同様に、絞り211を所定のモータにより駆動して絞り211の開口径を変化させる。
【0020】
レンズ制御部203は、変倍レンズ210bおよびフォーカスレンズ210cの、光軸O上の位置を取得可能に構成されている。例えば不図示のエンコーダを設けることにより変倍レンズ210bやフォーカスレンズ210cの位置を検出するようにしてもよいし、変倍レンズ210bやフォーカスレンズ210cを駆動するアクチュエータ(ステッピングモータ等)への入力信号を監視することにより位置を検出するようにしてもよい。
【0021】
ROM215は不揮発性の記憶媒体であり、レンズ制御部203が実行する所定の制御プログラムや、後述する絞り211の最大駆動速度等が予め記憶される。RAM216は揮発性の記憶媒体であり、レンズ制御部203により各種データの一時記憶領域として利用される。
【0022】
撮像素子104の前面には、撮像素子104の露光状態を制御するためのシャッター115と、光学的ローパスフィルターや赤外線カットフィルターを組み合わせた光学フィルター116とが設けられている。結像光学系210を透過した被写体光は、シャッター115およびフィルター116を介して撮像素子104に入射する。
【0023】
カメラボディ100内部には、カメラボディ100の各部の制御を司るボディ制御部103が設けられている。ボディ制御部103は不図示のマイクロコンピュータ、RAMおよびその周辺回路等から構成される。
【0024】
ボディ制御部103には、ボディ側第1通信部117およびボディ側第2通信部118が接続されている。ボディ側第1通信部117は保持部102に接続されており、保持部102に設けられた複数の接点を介して、レンズ側第1通信部217と信号の送受信を行うことができる。同様に、ボディ側第2通信部118はレンズ側第2通信部218と信号の送受信を行うことができる。換言すれば、ボディ側第1通信部117とボディ側第2通信部118はそれぞれ、ボディ側の通信インターフェースである。ボディ制御部103はこれら通信インターフェースを使って、交換レンズ200(レンズ制御部203)との間で、後述する各通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)を行う。
【0025】
カメラボディ100の背面には、LCDパネル等により構成される表示装置111が配置される。ボディ制御部103はこの表示装置111に対し、撮像素子104の出力に基づく被写体の画像(いわゆるスルー画)や、撮影条件等を設定するための各種のメニュー画面を表示する。
【0026】
(保持部102,202の説明)
図3は保持部102,202の詳細を示す模式図である。なお図3において保持部102がボディ側マウント部101の右側に配置されているのは、実際のマウント構造に倣ったものである。すなわち、本実施形態の保持部102は、ボディ側マウント部101のマウント面よりも奥まった場所(図3においてボディ側マウント部101よりも右側の場所)に配置されている。同様に、保持部202がレンズ側マウント部201の右側に配置されているのは、本実施形態の保持部202がレンズ側マウント部201のマウント面よりも突出した場所に配置されていることを表している。保持部102と保持部202がこのように配置されているので、ボディ側マウント部101のマウント面とレンズ側マウント部201のマウント面とを接触させて、カメラボディ100と交換レンズ200とをマウント結合させると、保持部102と保持部202とが接続され、両保持部に設けられている電気接点同士も接続することになる。このようなマウント構造については周知であるのでこれ以上の説明、図示を省略する。
【0027】
図3に示すように、保持部102にはBP1〜BP12の12個の接点が存在する。また保持部202には、上記の12個の接点にそれぞれ対応する、LP1〜LP12の12個の接点が存在する。
【0028】
接点BP1および接点BP2は、カメラボディ100内の第1電源回路130に接続されている。第1電源回路130は、接点BP1に、アクチュエータ等の駆動系を有し消費電力が比較的大きい回路(ズーム駆動部212、絞り駆動部213、フォーカス駆動部214など)を除く交換レンズ200内の各部の動作電圧を供給する。すなわち、接点BP1および接点LP1からは、上記の各駆動部を除く交換レンズ200内の各部の動作電圧が供給される。この接点BP1に供給可能な電圧値は、最小電圧値〜最大電圧値の範囲(例えば3V台での電圧幅)をもつが、標準的に供給される電圧値はその最大電圧値と最小電圧値の中間値近傍の電圧値である。そしてこれにより、カメラボディ100側から交換レンズ200側に供給される電流値は、電源ON状態において、約数10mA〜数100mAの範囲内の電流値である。
【0029】
接点BP2は、接点BP1に与えられる上記動作電圧に対応する接地端子である。すなわち、接点BP2および接点LP2は、上記の動作電圧に対応する接地端子電圧である。
【0030】
以下の説明では、接点BP1および接点LP1により構成される信号線を、信号線V33と呼ぶ。また、接点BP2および接点LP2により構成される信号線を、信号線GNDと呼ぶ。これらの接点LP1,LP2、BP1,BP2は、カメラボディ100側から交換レンズ200側へ電源供給するための、電源系接点を構成する。
【0031】
接点BP3,BP4,BP5,およびBP6は、ボディ側第1通信部117に接続されている。これらの接点に対応する交換レンズ200側の接点LP3,LP4,LP5,およびLP6は、レンズ側第1通信部217に接続されている。ボディ側第1通信部117とレンズ側第1通信部217は、これらの接点(通信系接点)を用いて、互いに信号の送受信を行う。ボディ側第1通信部117とレンズ側第1通信部217が行う通信の内容については、後に詳述する。
【0032】
なお以下の説明では、接点BP3および接点LP3により構成される信号線を、信号線CLKと呼ぶ。同様に、接点BP4および接点LP4により構成される信号線を信号線BDATと、接点BP5および接点LP5により構成される信号線を信号線LDATと、接点BP6および接点LP6により構成される信号線を信号線RDYと呼ぶ。
【0033】
接点BP7,BP8,BP9,およびBP10は、ボディ側第2通信部118に接続されている。これらの接点に対応する交換レンズ200側の接点LP7,LP8,LP9,およびLP10は、レンズ側第2通信部218に接続されている。レンズ側第2通信部218は、これらの接点(通信系接点)を用いて、ボディ側第2通信部118に信号の送信を行う。ボディ側第2通信部118とレンズ側第2通信部218が行う通信の内容については、後に詳述する。
【0034】
なお以下の説明では、接点BP7および接点LP7により構成される信号線を、信号線HREQと呼ぶ。同様に、接点BP8および接点LP8により構成される信号線を信号線HANSと、接点BP9および接点LP9により構成される信号線を信号線HCLKと、接点BP10および接点LP10により構成される信号線を信号線HDATと呼ぶ。
【0035】
接点BP11および接点BP12は、カメラボディ100内の第2電源回路131に接続されている。第2電源回路131は、接点BP12に、アクチュエータ等の駆動系を有し消費電力が比較的大きい回路(ズーム駆動部212、絞り駆動部213、フォーカス駆動部214など)の駆動電圧を供給する。すなわち、接点BP12および接点LP12からは、ズーム駆動部212、絞り駆動部213、およびフォーカス駆動部214の駆動電圧が供給される。この接点BP12に供給可能な電圧値は、最小電圧値〜最大電圧値の範囲をもつが、その範囲はいずれも、前述した接点BP1に供給可能な電圧値範囲よりも大きい電圧値である(例えば、接点BP12に供給可能な最大電圧値は、接点BP1に供給可能な最大電圧値の数倍程度)。即ち接点BP12に供給される電圧値は、上述の接点BP1に供給される電圧値とは、その大きさが異なる電圧値である。なお接点BP12に標準的に供給される電圧値は、接点BP12に供給可能な最大電圧値と最小電圧値の中間値近傍の電圧値である。そしてこれにより、カメラボディ100側から交換レンズ200側に供給される電流は、電源ON状態において、約10mA〜数Aの電流値となる。
【0036】
接点BP11は、接点BP12に与えられる上記駆動電圧に対応する接地端子である。すなわち、接点BP11および接点LP11は、上記駆動電圧に対応する接地端子である。
【0037】
以下の説明では、接点BP11および接点LP11により構成される信号線を、信号線PGNDと呼ぶ。また、接点BP12および接点LP12により構成される信号線を、信号線BATと呼ぶ。これらの接点LP11,LP12、BP11,BP12は、カメラボディ100側から交換レンズ200側へ電源供給するための、電源系接点を構成する。
【0038】
なお、上述の接点BP12、接点LP12に供給される電圧値(電流値)と、接点BP1,LP1に供給される電圧値(電流値)との大小関係から明らかなように、それら各接点に供給される電圧にそれぞれに対する接地端子となる接点BP11および接点LP11を流れる電流の最大値と最小値との差は、接点BP2および接点LP2を流れる電流の最大値と最小値との差よりも大きくなっている。これは、アクチュエータ等の駆動系を有する各駆動部が消費する電力が、交換レンズ200内のレンズ制御部203等の電子回路に比べて大きいこと、ならびに、それら各駆動部により駆動される被駆動部材を駆動する必要がない場合には各駆動部が電力を消費しないことに拠る。
【0039】
(コマンドデータ通信の説明)
レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217を制御して、接点LP3〜LP6、すなわち信号線CLK,BDAT,LDAT,およびRDYを介して、ボディ側第1通信部117からの制御データの受信と、ボディ側第1通信部117への応答データの送信とを並行して、第1の所定周期(本実施形態では例えば16ミリ秒)で行う。以下、レンズ側第1通信部217とボディ側第1通信部117との間で行われる通信の詳細を説明する。
【0040】
なお、本実施形態において、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217と、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117との間で行われる通信を「コマンドデータ通信」と称する。また、コマンドデータ通信に利用される4つの信号線(信号線CLK,BDAT,LDAT,およびRDY)から成る伝送路を第1伝送路と称する。
【0041】
図4は、コマンドデータ通信の例を示すタイミングチャートである。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は、コマンドデータ通信の開始時(T1)、まず信号線RDYの信号レベルを確認する。信号線RDYの信号レベルはレンズ側第1通信部217の通信可否を表している。レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、通信できない状態である場合には、接点LP6からH(High)レベルの信号を出力する。すなわち、信号線RDYの信号レベルをHレベルにする。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は、信号線RDYがHレベルである場合、これがLレベルになるまで通信開始しない。また通信中の次の処理を実行しない。
【0042】
信号線RDYがL(Low)レベルであれば、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は接点BP3からクロック信号401を出力する。すなわち、信号線CLKを介してレンズ側第1通信部217にクロック信号401を伝送する。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこのクロック信号401に同期して、接点BP4から制御データの前半部分であるボディ側コマンドパケット信号402を出力する。すなわち、信号線BDATを介してレンズ側第1通信部217にボディ側コマンドパケット信号402を伝送する。
【0043】
また、信号線CLKにクロック信号401が出力されると、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、クロック信号401に同期して接点LP5から応答データの前半部分であるレンズ側コマンドパケット信号403を出力する。すなわち、信号線LDATを介してボディ側第1通信部117にレンズ側コマンドパケット信号403を伝送する。
【0044】
レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、レンズ側コマンドパケット信号403の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルをHレベルにする(T2)。レンズ制御部203は、受信したボディ側コマンドパケット信号402の内容に応じた処理
である第1制御処理404(後述)を開始する。
【0045】
レンズ制御部203は第1制御処理404が完了すると、レンズ側第1通信部217に第1制御処理404の完了を通知する。レンズ側第1通信部217はこの通知に応じて、接点LP6からLレベルの信号を出力する。すなわち、信号線RDYの信号レベルをLレベルにする(T3)。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこの信号レベルの変化に応じて、接点BP3からクロック信号405を出力する。すなわち、信号線CLKを介してレンズ側第1通信部217にクロック信号405を伝送する。
【0046】
ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこのクロック信号405に同期して、接点BP4から制御データの後半部分であるボディ側データパケット信号406を出力する。すなわち、信号線BDATを介してレンズ側第1通信部217にボディ側データパケット信号406を伝送する。
【0047】
また、信号線CLKにクロック信号405が出力されると、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217はクロック信号405に同期して接点LP5から応答データの後半部分であるレンズがデータパケット信号407を出力する。すなわち、信号線LDATを介してボディ側第1通信部117にレンズ側データパケット信号407を伝送する。
【0048】
レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、レンズ側データパケット信号407の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルを再びHレベルにする(T4)。レンズ制御部203は、受信したボディ側データパケット信号406の内容に応じた処理である第2制御処理408(後述)を開始する。
【0049】
ここで、レンズ制御部203が行う第1制御処理404、および第2制御処理408について述べる。
【0050】
例えば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、交換レンズ側の特定のデータを要求する内容であった場合について述べる。レンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析処理すると共に、当該要求されている特定データを生成する処理を実行する。更にレンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、コマンドパケット信号402の通信にエラーがないか否かをデータバイト数から簡易的にチェックする通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された特定データの信号は、レンズ側データパケット信号407としてボディ側に出力される。なお、この場合においてコマンドパケット信号402の後でボディ側から出力されるボディ側データパケット信号406は、レンズ側にとっては特に意味をなさないダミーデータ信号(チェックサムデータは含む)となっている。この場合にはレンズ制御部203は、第2制御処理408として、ボディ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた、上述の如き通信エラーチェック処理を実行する。
【0051】
また例えば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、レンズ側の被駆動部材を駆動する指示であった場合について述べる。例えば、コマンドパケット信号402がフォーカスレンズ210cの駆動指示であり、受信したボディ側データパケット信号406がフォーカスレンズ210cの駆動量であった場合について述べる。レンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析処理すると共に、その内容を理解したことを表す了解信号を生成する。更にレンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、上述の如き通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された了解信号は、レンズ側データパケット信号407としてボディ側に出力される。またレンズ制御部203は、第2制御処理408として、ボディ側データパケット信号406の内容の解析処理を実行すると共に、ボディ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた上述の如き通信エラーチェック処理を実行する。
【0052】
レンズ制御部203は第2制御処理408が完了すると、レンズ側第1通信部217に第2制御処理408の完了を通知する。これによってレンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217に、接点LP6からLレベルの信号を出力させる。すなわち、信号線RDYの信号レベルをLレベルにする(T5)。
【0053】
なお受信したボディ側コマンドパケット信号402が、上述のようなレンズ側の被駆動部材(たとえばフォーカスレンズ210c)を駆動する指示であった場合、レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217に信号線RDYの信号レベルをLレベルにさせつつ、フォーカス駆動部214に対して、フォーカスレンズ210cを当該駆動量だけ駆動する処理を実行させる。
【0054】
上述した時刻T1〜時刻T5に行われた通信が、1回のコマンドデータ通信である。上述のように、1回のコマンドデータ通信では、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117により、ボディ側コマンドパケット信号402およびボディ側データパケット信号406がそれぞれ1つずつ送信される。すなわち、処理の都合上2つに分割されて送信されるものの、ボディ側コマンドパケット信号402およびボディ側データパケット信号406は2つ合わせて1つの制御データを構成する。
【0055】
同様に、1回のコマンドデータ通信では、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217によりレンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407がそれぞれ1つずつ送信される。すなわち、レンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407は2つ合わせて1つの応答データを構成する。
【0056】
以上のように、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、ボディ側第1通信部117からの制御データの受信と、ボディ側第1通信部117への応答データの送信とを並行して行う。コマンドデータ通信に利用される接点LP6および接点BP6は、他のクロック信号に同期しない非同期信号(信号線RDYの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点である。
【0057】
(ホットライン通信の説明)
レンズ制御部203は、レンズ側第2通信部218を制御して、接点LP7〜LP10、すなわち信号線HREQ,HANS,HCLK,およびHDATを介して、ボディ側第2通信部118へレンズ位置データを送信する。以下、レンズ側第2通信部218とボディ側第2通信部118との間で行われる通信の詳細を説明する。
【0058】
なお、本実施形態において、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218と、ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118との間で行われる通信を「ホットライン通信」と称する。また、ホットライン通信に利用される4つの信号線(信号線HREQ,HANS,HCLK,およびHDAT)から成る伝送路を第2伝送路と称する。
【0059】
図5は、ホットライン通信の例を示すタイミングチャートである。本実施形態のボディ制御部103は、ホットライン通信を第2の所定周期(本実施形態では例えば1ミリ秒)毎に開始するように構成されている。この周期は、コマンドデータ通信を行う周期よりも短い。図5(a)は、ホットライン通信が所定周期Tn毎に繰り返し実行されている様子を示す図である。繰り返し実行されるホットライン通信のうち、ある1回の通信の期間T
xを拡大した様子が図5(b)に示されている。以下、図5(b)のタイミングチャートに基づいて、ホットライン通信の手順を説明する。
【0060】
ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118は、ホットライン通信の開始時(T6)、まず接点BP7からLレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HREQの信号レベルをLレベルにする。レンズ側第2通信部218は、この信号が接点LP7に入力されたことをレンズ制御部203に通知する。レンズ制御部203はこの通知に応じて、レンズ位置データを生成する生成処理501の実行を開始する。生成処理501とは、レンズ制御部203が不図示のフォーカシングレンズ位置検出部にフォーカスレンズ210cの位置を検出させ、検出結果を表すレンズ位置データを生成する処理である。
【0061】
レンズ制御部203が生成処理501を実行完了すると、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は接点LP8からLレベルの信号を出力する(T7)。すなわち、信号線HANSの信号レベルをLレベルにする。ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118は、この信号が接点BP8に入力されたことに応じて、接点BP9からクロック信号502を出力する。すなわち、信号線HCLKを介してレンズ側第2通信部218にクロック信号を伝送する。
【0062】
レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は、このクロック信号502に同期して、接点LP10からレンズ位置データを表すレンズ位置データ信号503を出力する。すなわち、信号線HDATを介してボディ側第2通信部118にレンズ位置データ信号503を伝送する。
【0063】
レンズ位置データ信号503の送信が完了すると、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は接点LP8からHレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HANSの信号レベルをHレベルにする(T8)。ボディ側第2通信部118は、この信号が接点BP8に入力されたことに応じて、接点LP7からHレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HREQの信号レベルをHレベルにする(T9)。
【0064】
上述した時刻T6〜時刻T9に行われた通信が、1回のホットライン通信である。上述のように、1回のホットライン通信では、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218により、レンズ位置データ信号503が1つ送信される。ホットライン通信に利用される接点LP7、LP8、BP7、およびBP8は、他のクロック信号に同期しない非同期信号が伝送される接点である。つまり接点LP7およびBP7は、非同期信号(信号線HREQの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点であり、接点LP8およびBP8は、非同期信号(信号線HANSの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点である。
【0065】
なお、コマンドデータ通信とホットライン通信は、同時にも或いは一部並行的にも実行することが可能である。すなわち、レンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218との一方は、その他方がカメラボディ100と通信を行っている場合であってもカメラボディ100と通信を行うことが可能である。
【0066】
(ズーム制御の説明)
ボディ制御部103は、コマンドデータ通信により、レンズ制御部203にズーム駆動コマンドを送信可能に構成されている。ズーム駆動コマンドは、焦点距離を少なくとも含むコマンドである。交換レンズ200内のROM215には、変倍レンズ210bの光軸O上の位置と所定の焦点距離との対応を表すテーブルが記憶されている。レンズ制御部203はこのズーム駆動コマンドを受信すると、上記のテーブルを参照し、ズーム駆動コマンドにより指定された焦点距離と対応する変倍レンズ210bの位置を取得する。そして、変倍レンズ210bが取得した位置に駆動されるようにズーム駆動部212を制御する。その結果、結像光学系210の焦点距離はズーム駆動コマンドにより指定された焦点距離になる。
【0067】
撮影者により交換レンズ200のズーム操作部材(スライドスイッチ219)が操作されると、レンズ制御部203は、そのズーム操作部材(スライドスイッチ219)への操作に応じたスライドスイッチ219の位置情報(換言すれば、ズームレンズのズーミング方向やズーミング速度を指定するための情報)をコマンドデータ通信系を介してカメラボディ側のボディ制御部103に送信する。ボディ制御部103では、交換レンズ200から受信したこのスライドスイッチ219の位置情報に基づいて、交換レンズ200に対するズーミング指示を示すズーム用コマンドデータ(ズーム駆動コマンド)を生成する。具体的には、カメラボディ100は、ズーム操作部材(スライドスイッチ219)の位置情報に応じたテーブル情報を予め備えている。このテーブル情報は、スライドスイッチ219の操作位置と、変倍レンズ210bに対する指令内容(テレ方向、ワイド方向などのズーミング方向と、高速、中速、低速などのズーミング速度)とを関係付けるものである。そしてボディ制御部103は、交換レンズ200に送信すべきズーム駆動コマンドを準備すると、それをコマンドデータ通信系を用いてレンズ制御部203に送信する。
【0068】
図6は、変倍レンズ210bとフォーカスレンズ210cの位置関係を示す図である。図6に示した曲線L0〜L4は、それぞれ特定の撮影距離に対応するズーム位置およびフォーカスレンズ210cの光軸上の位置(それぞれの撮影距離に対して合焦する合焦レンズ位置)を表す曲線である。横軸がズーム位置を、縦軸がフォーカスレンズ210cの光軸O上の位置(合焦レンズ位置)にそれぞれ対応している。なおズーム位置とは、交換レンズ200において予め設定された、ボディ制御部103が変倍レンズ210bを移動させる対象とする離散的な位置である。レンズ制御部203は図6に示すズーム位置より細かく変倍レンズ210bの位置を取得可能である。
【0069】
図6に0〜5という整数で示した各ズーム位置にはそれぞれ所定の焦点距離が対応している。ボディ制御部103がズーム駆動コマンドを送信すると、変倍レンズ210bは図6に0〜5という数値で示した各ズーム位置から、ズーム駆動コマンドにより指定された焦点距離に対応するズーム位置を選択する。そして、そのズーム位置に対応する光軸O上の位置に変倍レンズ210bを駆動させる。
【0070】
本実施形態の結像光学系210はいわゆるバリフォーカル光学系であるので、図6に示すように、変倍レンズ210bを駆動する際に撮影距離を一定に保つためには、変倍レンズ210bの駆動に応じてフォーカスレンズ210cを駆動させる必要がある。例えば図6では、曲線L0が無限遠の撮影距離に対応するフォーカスレンズ210cの位置を表している。同様に曲線L1、L2、L3、L4は、無限遠側から順に、それぞれ特定の撮影距離(例えば6m、3m、1m、50cm等)に対応するフォーカスレンズ210cの位置を表している。
【0071】
ズーム位置が1のとき、フォーカスレンズ210cが図6にP(0,1)で表す位置にあれば、結像光学系210の撮影距離は無限遠である。すなわち、結像光学系210は、無限遠に位置する被写体にピントが合った状態である。なお図6では、m番目の撮影距離とk番目のズーム位置に対応する点を、P(m,k)の形で表している。以下の説明でも同様に、撮影距離mとズーム位置kに対応する点をP(m,k)として表す。
【0072】
ここでズーム位置が1より大きくなるように変倍レンズ210bが駆動されると、撮影距離を無限遠に保つためには、フォーカスレンズ210cを曲線L0に沿って駆動させなければならない。例えばズーム位置が2になったとき、フォーカスレンズ210cがP(0,2)の位置に来るように、ズーム位置が3になったとき、フォーカスレンズ210cがP(0,3)の位置に来るように、それぞれフォーカスレンズ210cを駆動させなければならない。
【0073】
交換レンズ200内のROM215には、図6に示した曲線L0〜L4上の点が離散的に記憶されている。具体的には、曲線L0〜L4と0〜5の各ズーム位置に対応する点(図6にP(m,k)の形で示した点)の座標が、当該曲線の撮影距離と共に記憶されている。すなわちROM215には、複数の変倍レンズ210bの位置の各々について、複数の撮影距離にそれぞれ対応するフォーカスレンズ210cの位置(合焦レンズ位置)が記憶されている。以下の説明では、ROM215に記憶されているこれらのフォーカスレンズ210cの位置を、フォーカスレンズ210cの位置情報(あるいは、単に位置情報)と呼ぶ。
【0074】
なお、図6では5つの撮影距離にそれぞれ対応する曲線L0〜L4と、6つのズーム位置0〜5を示しているが、これはROM215に記憶されている位置情報の一部を説明のために示したに過ぎず、実際には更に多数の撮影距離およびズーム位置に対応する位置情報が記憶されている。
【0075】
以下、レンズ制御部203による変倍レンズ210bの駆動制御について説明する。レンズ制御部203は、変倍レンズ210bを駆動させる際、撮影距離が維持されるようにフォーカスレンズ210cを並行して駆動させる、いわゆるズームトラッキングを行う。
【0076】
図7は、図6の一部を拡大した図である。この図7を用いてズームトラッキングを説明する。なお図7では、各ズーム位置k、k+1、k+2にそれぞれ対応する変倍レンズ210bの位置をQk、Qk+1、Qk+2で表している。
【0077】
図7において、レンズ側第1通信部217によりズーム駆動コマンドが受信されたとき、ズーム位置はk、フォーカスレンズ210cの位置はPxであったと仮定する。レンズ制御部203はズームトラッキング制御において、まず次のズーム位置k+1における同一撮影距離に対応するフォーカスレンズ210cの位置Px+1を、次式(1)により演算する。
【0078】
【数1】

【0079】
上式(1)は、図7におけるR3とR4との比がR1とR2との比と等しくなるように位置Px+1を決定する2点補間式である。
【0080】
このようにして、次のズーム位置k+1においてフォーカスレンズ210cを移動させるべき目標位置Px+1が求まる。次にレンズ制御部203は、変倍レンズ210bの駆動速度Vzと、ズーム位置kからk+1までの変倍レンズ210bの駆動量(Qk+1)−Qkと、同区間におけるフォーカスレンズ210cの駆動量(Pk+1)−Pkから、フォーカスレンズ210cの駆動速度Vfを次式(2)により算出する。
【0081】
【数2】

【0082】
レンズ制御部203は、ズーム位置k〜k+1までの間、変倍レンズ210bを駆動速度Vzで、フォーカスレンズ210cを上式(2)により算出された駆動速度Vfで、それぞれ並列に駆動させることにより、撮影距離を一定に保ったまま結像光学系210の焦点距離を変化させる。そして、次のズーム位置k+1に到達すると、レンズ制御部203はその次のズーム位置k+2について、再度同様の演算を行い、変倍レンズ210bおよびフォーカスレンズ210cを同様に駆動させる。つまり、レンズ制御部203は、図7に示した軌跡Lpに沿って変倍レンズ210bおよびフォーカスレンズ210cを駆動させる。
【0083】
(フォーカス制御の説明)
本実施形態のボディ制御部103はレンズ制御部203に対して、コマンドデータ通信により、フォーカスレンズ210cの絶対位置駆動コマンド(以下、単に絶対位置駆動コマンドと呼ぶ)を送信する。絶対位置駆動コマンドとは、無限遠に対応するフォーカスレンズ210cの位置を基準として表された絶対位置までフォーカスレンズ210cを駆動するよう指示するコマンドである。
【0084】
フォーカスレンズ210cの現在位置からの駆動量を指定してフォーカスレンズ210cを相対的に駆動させるのではなく、フォーカスレンズ210cの現在位置に関係なく決定された基準位置(無限遠に対応する位置)からの距離(絶対位置)によりフォーカスレンズ210cの駆動先を指示するコマンドであるため、絶対位置駆動コマンドと呼ぶ。例えば、絶対位置として「100」という数値を指定した絶対位置駆動コマンドが、レンズ制御部203によって受信された場合、レンズ制御部203はフォーカスレンズ210cを現在位置から100だけ離れた位置に駆動するのではなく、無限遠に対応する位置から100だけ離れた位置にフォーカスレンズ210cを駆動させる。
【0085】
ボディ制御部103は、例えば撮影者の操作により自動焦点調節を行う際や、マニュアルフォーカスモードにおいて撮影者が不図示のフォーカス操作部材を操作した場合等に、上記の絶対位置駆動コマンドをレンズ制御部203に送信し、フォーカスレンズ210cを駆動させる(ピント位置を変更させる)。
【0086】
レンズ制御部203は、絶対位置駆動コマンドがレンズ側第1通信部217により受信されると、まず現在のズーム位置に対応する無限遠位置(無限遠に対応するフォーカスレンズ210cの位置)を、ROM215から取得する。図6で説明すると、曲線L0上に存在する各点(P(0,0)、P(0,1)、…)から、現在のズーム位置に対応する点の座標(フォーカスレンズ210cの位置)を取得する。そして、その位置に対して絶対位置駆動コマンドにより指定された絶対位置を加算することにより、当該絶対位置に対応するフォーカスレンズ210cの駆動目標位置を演算する。レンズ制御部203は、このようにして演算された駆動目標位置にフォーカスレンズ210cを駆動するようフォーカス駆動部214を制御する。
【0087】
ところで、変倍レンズ210bの駆動中にボディ制御部103から絶対位置駆動コマンドが送信された場合、以上で説明した制御は、次に説明する理由により行うことができない。まず、変倍レンズ210bの駆動中は、変倍レンズ210bが所定のズーム位置(図6に0〜5の整数で示した位置)に存在するとは限らない。そのような、どのズーム位置でもない位置に変倍レンズ210bがあった場合、ROM215から、当該位置に対応する無限遠位置を取得することができない。次に、変倍レンズ210bの駆動中ということはすなわち、変倍レンズ210bの位置が時々刻々と変化するということであるので、無限遠に対応するフォーカスレンズ210cの位置も時間経過により変化してしまう。従って、絶対位置駆動コマンドを受信したときに演算した駆動目標位置にフォーカスレンズ210cを駆動させても、その駆動目標位置にフォーカスレンズ210cが到達したときには、その駆動目標位置は絶対位置駆動コマンドにより指定された絶対位置とは異なる位置となってしまう。
【0088】
そこで、本実施形態のレンズ制御部203は、絶対位置駆動コマンドが受信されたとき、まず変倍レンズ210bの駆動中か否かを判定する。そして、変倍レンズ210bの駆動中であると判定した場合、変倍レンズ210bの駆動による駆動目標位置の変化を補正した補正位置までフォーカスレンズ210cを駆動する。
【0089】
以下、変倍レンズ210bの駆動中に絶対位置駆動コマンドを受信した場合のレンズ制御部203の処理について、図8のフローチャートに沿って説明する。
【0090】
図8は、変倍レンズ210bの駆動中における絶対位置駆動コマンド受信時の処理のフローチャートである。まずステップS100ではレンズ制御部203が、カメラボディ100から送信された絶対位置駆動コマンドがレンズ側第1通信部217により受信されたか否かを判定する。絶対位置駆動コマンドが受信されるとステップS110に進む。
【0091】
ステップS110では、レンズ制御部203が、変倍レンズ210bの現在位置に対応する無限遠位置(無限遠に対応するフォーカスレンズ210cの位置)を演算する。この演算について、図6の一部を拡大した図9で説明する。図9において、ズーム駆動部212が変倍レンズ210bをズーム位置kからk+1の方向に駆動しているとき、レンズ側第1通信部217により絶対位置駆動コマンドが受信されたと仮定して以下の説明を行う。つまり、レンズ制御部203は軌跡Lpに沿ってズームトラッキングを行っている。また、絶対位置駆動コマンドの受信時における変倍レンズ210bの位置をQq、フォーカスレンズ210cの位置をPaで表す。レンズ制御部203は、現時点での変倍レンズ210bの位置Qqに対応する無限遠位置P(0,q)を次式(3)により演算する。
【0092】
【数3】

【0093】
ステップS120ではレンズ制御部203が、絶対位置駆動コマンドにより指定された絶対位置R7を、演算された無限遠位置P(0,q)に加算することにより、フォーカスレンズ210cの駆動目標位置Pbを演算する。すなわち、Pb=P(0,q)+R7である。ステップS130ではレンズ制御部203が、ステップS120で演算された駆動目標位置Pbと同一の撮影距離となるフォーカスレンズ210cの駆動軌跡を演算する。
【0094】
図10は、図6の一部を拡大した図である。ステップS120においてレンズ制御部203はまず、ROM215に記憶されている位置情報から、駆動目標位置Pbを囲む4点(図10における点P(n,k)、P(n+1,k)、P(n+1,k+1)、およびP(n,k+1))を取得する。そして、これら4点と、変倍レンズ210bの現在位置Qqとから、駆動目標位置Pbの前後の曲線Ln、Ln+1上における位置Qqに対応する2点P(n,q)、P(n+1,q)を、次式(4)、(5)により演算する。
【0095】
【数4】

【0096】
レンズ制御部203はその後、P(n,q)からP(n+1,q)までの区間におけるPbの相対位置に基づいて、位置QkからQk+1までの区間におけるレンズ軌跡Lsを演算する。このレンズ軌跡Lsは、例えばP(n,k)からP(n+1,k)までの区間においてPbに相当する位置Py、P(n,k+1)からP(n+1,k+1)までの区間においてPbに相当する位置Py+1をそれぞれ次式(6)、(7)より算出し、PyとPy+1とを結ぶ直線を演算することにより求めることが可能である。
【0097】
【数5】

【0098】
レンズ制御部203はその後、曲線LnとLn+1との間を、フォーカスレンズ210cの位置がPb−P(n,q)とP(n+1,q)−Pbとの比と等しい位置、すなわち図9に示す軌跡Ls上となるように、フォーカスレンズ210cを駆動させる。
【0099】
ステップS140ではレンズ制御部203が、現在の変倍レンズ位置におけるフォーカスレンズ駆動目標位置Ptgtを演算する。ここでは、現在の変倍レンズの位置をQrとした場合について説明する。レンズ制御部203はまず、式(4)、式(5)を用いて現在の変倍レンズの位置をQrに対応する曲線Ln、Ln+1上の点P(n,r)とP(n+1,r)を求める。次に、現在の変倍レンズの位置Qrに対応したフォーカスレンズ駆動目標位置Ptgt、すなわち、P(n+1,q)−PbとPb−P(n,q)との比がP(n+1,r)−PcとPc−P(n,r)との比と等しくなる位置を次式(8)により演算する。
【0100】
【数6】

【0101】
ステップS150ではレンズ制御部203が、所定時間Ts(例えば25ミリ秒)が経過した後の予測目標位置Pnextを予測する。
【0102】
図11は、現在のフォーカスレンズ駆動位置から所定時間Tsが経過した時点での駆動目標位置Pnextを示す図であり、絶対位置駆動コマンドを受信した位置Paから所定時間Tsが経過した時点での駆動目標位置をPcとして示している。図11では図10等と異なり、横軸を時間、縦軸をフォーカスレンズ210cの位置としている。
【0103】
レンズ制御部203はまず、ステップS130で演算されたレンズ軌跡Lsの傾きを用いて、図11における合焦位置の移動速度Vaを次式(9)より求める。
【0104】
【数7】

【0105】
上式で求めたVaに所定時間Tsを乗じると(Vf×Ts)、所定時間Ts後における駆動目標位置の変化量を求めることができる。これにより、レンズ制御部203は所定時間Tsが経過した時点での駆動目標位置Pnextを、次式(10)より演算する。
Pnext=Ptgt+Va×Ts …(10)
【0106】
ステップS160ではレンズ制御部203が、Ts時間経過後にフォーカスレンズ210cを現在位置Pcurから予測目標位置Pnextに到達させるための駆動速度Vfを演算する。駆動速度Vfは、次式(11)により演算することができる。
Vf=(Pnext−Pcur)/Ts …(11)
【0107】
ステップS170では、レンズ制御部203が、所定のタイマーをリセットし、タイマーによる計時を開始させる。レンズ制御部203は、このタイマーが上述のTs時間よりも短い所定時間Tcに達する度に、フォーカスレンズ210cの駆動速度を更新する(詳細は後述する)。ステップS180ではレンズ制御部203が、ステップS160で演算された駆動速度Vfによるフォーカスレンズ210cの駆動を、フォーカス駆動部214に開始させる。
【0108】
ステップS190では、レンズ制御部203がレンズ側第1通信部217により、再度絶対位置駆動コマンドを受信したか否かを判定する。絶対位置駆動コマンドを受信していた場合は、レンズ制御部203はステップS110に戻りフォーカスレンズ210cの駆動軌跡を再度演算する。絶対位置駆動コマンドを受信していない場合にはステップS200に進む。
【0109】
ステップS200ではレンズ制御部203が、変倍レンズ210bが次のズーム位置に到達したか否かを判定する。例えば図10において、ズーム位置k+1に到達した(変倍レンズ210bが位置Qk+1に到達した)のであれば、レンズ制御部203は変倍レンズ210bが次のズーム位置に到達した(ズーム位置が変化した)と判定する。ズーム位置が変化していた場合には、レンズ軌跡Lsを再度演算する必要があるため、レンズ制御部203はステップS130からの処理を再度実行する。ズーム位置が変化していなかった場合にはステップS210に進む。
【0110】
ステップS210ではレンズ制御部203が、変倍レンズ210bの駆動速度が変化したか否かを判定する。例えば、撮影者がスライドスイッチ219の操作量を変化させると、ボディ制御部103は新たなズーミング速度(高速、中速、低速など)に対応するズーム駆動コマンドがレンズ制御部203に対して送信され、その結果、変倍レンズ210bの駆動速度が変化する。変倍レンズ210bの駆動速度が変化すると、図11に示したレンズ軌跡Lsの傾きが変化するので、レンズ軌跡Lsを再度演算する必要がある。そこでレンズ制御部203は、変倍レンズ210bの駆動速度が変化すると、ステップS130からの処理を再度実行する。変倍レンズ210bの駆動速度が変化していなかった場合にはステップS220に進む。
【0111】
ステップS220ではレンズ制御部203が、ズーム駆動が完了したか否かを判定する。すなわち、変倍レンズ210bとフォーカスレンズの両レンズが最終となる目標位置に到達したか否かを判定する。ズーム駆動が継続している場合にはステップS230に進む。他方、ズーム動作が完了した場合には、図8の処理を終了する。
【0112】
ステップS230ではレンズ制御部203が、最後にステップS170を実行してから所定時間Tcが経過したか否か、すなわちタイマーが所定時間Tcに到達しているか否かを判定する。この所定時間Tcは、上述した所定時間Tsよりもやや短い時間(例えば5ミリ秒だけ短い時間)である。ステップS170から所定時間Tcが経過していた場合、ステップS140に戻り、レンズ制御部203は再度所定時間Ts後の合焦位置を演算する。そして、その合焦位置へ到達するために必要なフォーカスレンズ210cの駆動速度を演算し、フォーカスレンズ210cをその駆動速度で駆動させる。他方、ステップS230において所定時間Tcが経過していない場合には、ステップS190からの処理を再実行する。このように、本実施形態のレンズ制御部203は、所定時間Tcが経過する度にステップS130〜S180の処理を実行し、フォーカスレンズ210cの駆動速度を更新する。これにより、フォーカスレンズ210cは目的とするレンズ軌跡Lsに漸次近づいていくことになる。
【0113】
このように、所定時間Tsよりも短い所定時間Tc毎にフォーカスレンズ210cの駆動速度を更新するのは、フォーカスレンズ210cが駆動目標位置に到達後、駆動速度を急激に変更することにより発生するオーバーシュートを抑制するためである。以下、図11を用いて、この点について説明する。上述した駆動速度Vaでフォーカスレンズ210cを駆動すれば、理論上、フォーカスレンズ210cは位置Paから予測目標位置Pcに移動する。予測目標位置Pcに到達後、フォーカスレンズ210cはレンズ軌跡Lsに沿って駆動される必要がある。しかしながら、図11から明らかな通り、このようなレンズ駆動を行うためには予測目標位置Pcにおいてフォーカスレンズ210cの駆動速度を急激に変化させる必要がある。通常、フォーカス駆動部214のアクチュエータとしてボイスコイルモータ等のリニアモータを採用した場合、このような急激な速度変化が可能になるように構成することは困難である。
【0114】
そこで本実施形態では、所定時間Tsより短い時間Tc毎にフォーカスレンズ210cの駆動速度を更新し、目標となるレンズ軌跡Lsにフォーカスレンズ210cが徐々に近づいていくようにした。この様子を図11に示す。レンズ位置Paから予測目標位置Pcに向かって駆動されたフォーカスレンズ210cは、時間Tc経過時点で位置Pdに到達する。ここから、更に所定時間Tsが経過した時点での予測目標位置Peに向かって駆動されるようにその駆動速度が変更される。なお、位置Pdでも駆動速度を急激に変更することはできないので、実際には位置Pdを多少通り過ぎてから新たな予測目標位置Peに向かうことになる。
【0115】
上述した第1の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)結像光学系210は、それぞれが光軸Oの方向に駆動可能な、同一光軸O上に配置された変倍レンズ210bおよびフォーカスレンズ210cを含み、撮影距離とフォーカスレンズ210cの位置との関係が変倍レンズ210bの位置に応じて変化するバリフォーカル光学系である。ROM215には、変倍レンズ210bの複数の位置の各々について、複数の撮影距離にそれぞれ対応するフォーカスレンズ210cの位置に関する位置情報が記憶されている。レンズ側第1通信部217は、無限遠位置を基準として表された所定の絶対位置までフォーカスレンズ210cを駆動する絶対位置駆動コマンドをカメラボディ100から受信する。レンズ制御部203は、変倍レンズ210bの現在位置とROM215の位置情報とを用いて、所定の絶対位置に対応するフォーカスレンズ210cの駆動目標位置を演算し、フォーカス駆動部214に駆動目標位置までフォーカスレンズ210cを駆動させる。ただし、絶対位置駆動コマンドが受信されたとき、変倍レンズ210bが駆動中であると判定した場合には、変倍レンズ210bの駆動による駆動目標位置の変化を予測した予測目標位置を演算し、この予測目標位置までフォーカスレンズ210cを駆動させる。このようにしたので、変倍レンズ210bの駆動中であってもフォーカスレンズ210cを正しく駆動することができる。
【0116】
(2)レンズ制御部203は、絶対位置駆動コマンドが基準とする無限遠位置と変倍レンズ210bの現在位置とに対応するフォーカスレンズ210cの位置がROM215の位置情報に含まれない場合には、変倍レンズ210bの現在位置と位置情報とを用いた補間演算により駆動目標位置を演算する。このようにしたので、変倍レンズ210bが所定のズーム位置の間にある場合であっても、フォーカスレンズ210cの駆動目標位置を正しく演算することができる。
【0117】
(3)レンズ制御部203は、所定時間Tsが経過した後の変倍レンズ210bの位置に対応するフォーカスレンズ210cの駆動目標位置を予測目標位置として演算し、当該予測目標位置にフォーカスレンズ210cが駆動されるようフォーカス駆動部214を制御する。このようにしたので、焦点距離(変倍レンズ210bの位置)の時間変化を考慮した位置にフォーカスレンズ210cを正しく駆動することができる。
【0118】
(4)レンズ制御部203は、所定時間Tsより短い所定時間Tcが経過するか、変倍レンズ210bが次のズーム位置に到達するか、変倍レンズ210bの駆動速度が変化する度に、予測目標位置を演算して当該予測目標位置にフォーカスレンズ210cが駆動されるようフォーカス駆動部214を制御する。このようにしたので、フォーカスレンズ210cを正しいレンズ軌跡へ的確に導くことが可能となる。
【0119】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0120】
(変形例1)
本発明は、図1に示したものとは異なるカメラシステムに適用することもできる。例えば、クイックリターンミラーを備えた、いわゆる一眼レフレックス方式のカメラシステムにも本発明を適用することが可能である。
【0121】
(変形例2)
ズームトラッキングや駆動目標位置の演算、補正演算等の際にレンズ制御部203が行う演算は、上述した実施形態において説明したものとは異なっていてもよい。例えば、2点補間以外の方式により各位置を演算するようにしてもよい。
【0122】
(変形例3)
絶対位置駆動コマンドの基準となる位置は、無限遠に対応する無限位置以外の位置であってもよい。例えば至近端に対応するフォーカスレンズ210cの位置を基準としてもよいし、それ以外の位置であってもよい。
【0123】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1…カメラシステム、100…カメラボディ、101…ボディ側マウント部、102、202…保持部、103…ボディ制御部、117…ボディ側第1通信部、118…ボディ側第2通信部、200…交換レンズ、201…レンズ側マウント部、203…レンズ制御部、210…結像光学系、210b…変倍レンズ、210c…フォーカスレンズ、211…絞り、212…ズーム駆動部、213…絞り駆動部、214…フォーカス駆動部、215…ROM、217…レンズ側第1通信部、218…レンズ側第2通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが光軸方向に駆動可能な同一光軸上に配置された変倍レンズおよびフォーカスレンズを含み、撮影距離と前記フォーカスレンズの位置との関係が前記変倍レンズの位置に応じて変化するバリフォーカル光学系と、
前記変倍レンズの複数の位置の各々について、複数の撮影距離にそれぞれ対応する前記フォーカスレンズの位置に関する位置情報を記憶する記憶手段と、
カメラボディが着脱可能に取り付けられるマウント手段と、
所定の撮影距離に対応する位置を基準として表された所定の絶対位置まで前記フォーカスレンズを駆動する指令を前記カメラボディから受信する受信手段と、
前記変倍レンズの現在位置と前記位置情報とを用いて、前記所定の絶対位置に対応する前記フォーカスレンズの駆動目標位置を演算する第1演算手段と、
前記第1演算手段により演算された前記駆動目標位置まで前記フォーカスレンズを駆動する駆動手段と、
前記受信手段により前記指令が受信されたとき、前記変倍レンズが駆動中か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記変倍レンズが駆動中であると判定された場合、前記変倍レンズの駆動による前記駆動目標位置の変化を予測した予測目標位置を演算する第2演算手段と、を備え、
前記駆動手段は、前記判定手段により前記変倍レンズが駆動中であると判定された場合、前記予測目標位置まで前記フォーカスレンズを駆動することを特徴とする交換レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載の交換レンズにおいて、
前記第1演算手段は、前記指令が基準とする所定の撮影距離と前記変倍レンズの現在位置とに対応する前記フォーカスレンズの位置が前記位置情報に含まれない場合には、前記変倍レンズの現在位置と前記位置情報とを用いた補間演算により前記駆動目標位置を演算することを特徴とする交換レンズ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の交換レンズにおいて、
前記第2演算手段は、第1所定時間が経過した後の前記変倍レンズの位置に対応する前記フォーカスレンズの駆動目標位置を前記予測目標位置として演算することを特徴とする交換レンズ。
【請求項4】
請求項3に記載の交換レンズにおいて、
前記第2演算手段は、前記第1所定時間より短い第2所定時間が経過する度に、前記第1所定時間が経過した後の前記予測目標位置を演算することを特徴とする交換レンズ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の交換レンズにおいて、
前記第2演算手段は、前記変倍レンズが所定の位置に到達する度に、前記第1所定時間が経過した後の前記予測目標位置を演算することを特徴とする交換レンズ。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の交換レンズにおいて、
前記第2演算手段は、前記変倍レンズの駆動速度が変化する度に、前記第1所定時間が経過した後の前記予測目標位置を演算することを特徴とする交換レンズ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の交換レンズにおいて、
前記指令が基準とする所定の撮影距離は、無限遠であることを特徴とする交換レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−57867(P2013−57867A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197108(P2011−197108)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】