説明

交換式レンズ鏡筒及びレンズ鏡筒交換式カメラシステム

【課題】パッキン対応カメラボディとパッキン非対応カメラボディのいずれに接続した場合においても、カメラボディに対する光軸方向の位置関係が適正な状態になる交換式レンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】第1マウント環を備えるパッキン対応カメラボディと、内径は第1マウント環と同じで外径は小さい第2マウント環30を備えるパッキン非対応カメラボディ20Bとに着脱可能で、パッキン非対応カメラボディに装着したときは環状パッキンの後端部内周面が第2マウント環の径方向外側に位置し、パッキン対応カメラボディに装着したときは環状パッキンの後端部内周面が第1マウント環の外周面より径方向内側に位置する交換式レンズ鏡筒10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッキン対応カメラボディとパッキン非対応カメラボディの双方に着脱可能な交換式レンズ鏡筒及び、これらパッキン対応カメラボディ、パッキン非対応カメラボディ及び交換式レンズ鏡筒を備えるレンズ鏡筒交換式カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から交換式レンズ鏡筒とカメラボディからなるカメラを防水対応とする場合、交換式レンズ鏡筒をカメラボディに装着した際に、カメラボディのボディ側マウントに弾性接触する環状パッキンを交換式レンズ鏡筒の後端部に設けている。
カメラメーカーは自社の総ての交換式レンズ鏡筒を自社の総てのカメラボディに装着可能とするために、自社の総てのカメラボディに同一形状のボディ側マウントを設けている(ボディ側マウントの形状はカメラメーカー毎に異なる)。
しかし、このようにカメラメーカーが総ての自社カメラボディのボディ側マウントの形状を統一しているので、パッキン付交換式レンズ鏡筒を購入したユーザには以下の不都合が生じていた。
【0003】
図8及び図9は、弾性材料からなるパッキン015を備える交換式レンズ鏡筒010を、交換式レンズ鏡筒010と同じカメラメーカーの2種類のカメラボディ020A、020Bに装着した状態を示している。
図8及び図9の交換式レンズ鏡筒010は同一のものであり、レンズ側マウント環012と、このレンズ側マウント環012の外周面に固着された環状のパッキン015を備えている。パッキン015の後端部は自由状態においてレンズ側マウント環012の後方に突出している。
【0004】
図8のカメラボディはこの交換式レンズ鏡筒010に適合するように設計されたパッキン対応カメラボディ020Aである。このパッキン対応カメラボディ020Aのボディ側マウント環022にレンズ側マウント環012を結合すると、ボディ側マウント環022の前端部に形成した外方フランジ部024の前面(パッキン当接面)にパッキン015の後端部が弾性変形しながら接触する。従って図8では、交換式レンズ鏡筒010とパッキン対応カメラボディ020Aの結合部がパッキン015によって防水される。
【0005】
図9のカメラボディはパッキン非対応カメラボディ020Bである。このパッキン非対応カメラボディ020Bは、交換式レンズ鏡筒010との接続を考慮せずに設計されたものであるが、そのマウント環022の形状はパッキン対応カメラボディ020Aのボディ側マウント環022と同一なので、図9に示すようにボディ側マウント環022には交換式レンズ鏡筒010のレンズ側マウント環012を着脱可能である。交換式レンズ鏡筒010をパッキン非対応カメラボディ020Bに装着すると、ボディ側マウント環022の外方フランジ部024の前面(パッキン当接面)にパッキン015の後端部が弾性変形しながら接触する。
【0006】
【特許文献1】特開平11−174562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パッキン対応カメラボディ020Aのボディ側マウント環022の後端面には弾性突片R1a’を具備する環状付勢部材R1’が固着してある。一方、パッキン非対応カメラボディ020Bのボディ側マウント環022の後端面には環状付勢部材R1’と同形状の環状付勢部材R2’(弾性突片R2a’を具備する)が固着してある。そして、交換式レンズ鏡筒010がボディ側マウント環022に結合したときにこれら弾性突片R1a’と弾性突片R2a’がレンズ側マウント環012を後方に押圧することにより、レンズ側マウント環012とボディ側マウント環022の光軸方向のガタを除去する。
パッキン対応カメラボディ020Aの環状付勢部材R1’の弾性突片R1a’の付勢力は、パッキン015がボディ側マウント環022に及ぼす弾性力(パッキン付交換式レンズ鏡筒010をボディ側マウント環022に対して前方に付勢する付勢力)を考慮した上で設計してある。従って、交換式レンズ鏡筒010をパッキン対応カメラボディ020Aに装着すると、パッキン015による前向きの付勢力と弾性突片R1a’による後向きの付勢力の合力によって交換式レンズ鏡筒010のパッキン対応カメラボディ020Aに対する光軸方向位置が微調整され、交換式レンズ鏡筒010はパッキン対応カメラボディ020Aに対して適切な光軸方向位置に保持される。
【0008】
一方、パッキン非対応カメラボディ020Bはパッキン015がボディ側マウント環022の外方フランジ部024の前面に弾性接触することを考慮せずに設計されているので、その環状付勢部材R2’の弾性突片R2a’の付勢力もパッキン015がボディ側マウント環022に及ぼす弾性力(パッキン付交換式レンズ鏡筒010をボディ側マウント環022に対して前方に付勢する付勢力)を考慮せずに設計されている。
【0009】
そのため、図9のように交換式レンズ鏡筒010をパッキン非対応カメラボディ020Bに装着した際にパッキン015がボディ側マウント環022に弾性接触すると、弾性突片R2a’の付勢力のみならずパッキン015の付勢力がボディ側マウント環022及びレンズ側マウント環012に及んでしまうので、交換式レンズ鏡筒010のパッキン非対応カメラボディ020Bに対する光軸方向位置が本来の適正な位置からずれてしまい、その結果、交換式レンズ鏡筒010のレンズ性能に影響が出てしまう。
そのため、パッキン15を有する交換式レンズ鏡筒010を新たに購入したユーザは、せっかく購入したのにもかかわらず、この交換式レンズ鏡筒010をパッキン対応カメラボディ020Aにしか装着できず、もとから所有しているパッキン非対応カメラボディ020Bに装着できなかった。
【0010】
本発明の目的は、パッキン対応カメラボディとパッキン非対応カメラボディのいずれに接続した場合においても、カメラボディに対する光軸方向の位置関係が適正な状態になる交換式レンズ鏡筒及びにレンズ鏡筒交換式カメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のレンズ鏡筒は、第1の態様によると、第1マウント環を備えるパッキン対応カメラボディと、内径は上記第1マウント環と同じで外径は該第1マウント環より小さい第2マウント環を備えるパッキン非対応カメラボディとに選択的に着脱可能でかつ弾性材料からなる環状パッキンを備える交換式レンズ鏡筒において、上記パッキン非対応カメラボディに装着したときは、上記環状パッキンの後端部内周面が上記第2マウント環の径方向外側に位置し、上記パッキン対応カメラボディに装着したときは、上記環状パッキンの後端部内周面が上記第1マウント環の外周面より径方向内側に位置し、該環状パッキンの後端部が該第1マウント環の前端面に弾性接触することを特徴としている。
【0012】
本発明のレンズ鏡筒は、第2の態様によると、第1マウント環を備えるパッキン対応カメラボディと、第2マウント環を備えるパッキン非対応カメラボディとに選択的に着脱可能でかつ弾性部材からなる環状パッキンを備える交換式レンズ鏡筒において、第1マウント環は、第2マウント環と同一形状の部分と、この部分の外周縁に設けられた環状接触部とからなり、上記パッキン非対応カメラボディに装着したときは、上記環状パッキンの後端部内周面が上記第2マウント環の径方向外側に位置し、上記パッキン対応カメラボディに装着したときは、上記環状パッキンの後端部内周面が上記環状接触部の外周面より径方向内側に位置することを特徴としている。
【0013】
本発明のレンズ鏡筒交換式カメラシステムは、第1の態様によると、レンズ側マウント環及び弾性材料からなる環状パッキンを具備する交換式レンズ鏡筒と、前端部の外径が自由状態にある上記環状パッキンの後端部内径より大きい第1マウント環を備えるパッキン対応カメラボディと、前端部の外径が上記第1マウント環の外径及び自由状態にある上記環状パッキンの後端部内径より小さく、かつその内径が上記第1マウント環と同一の第2マウント環を備え、上記レンズ側マウント環を該第2マウント環に結合したときに上記環状パッキンの後端部内周面が上記第2マウント環の径方向外側に位置するパッキン非対応カメラボディと、を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明のレンズ鏡筒交換式カメラシステムは、第2の態様によると、レンズ側マウント環及び弾性材料からなる環状パッキンを具備する交換式レンズ鏡筒と、上記レンズ側マウント環が結合可能な第2マウント環を備え、上記レンズ側マウント環を該第2マウント環に結合したときに上記環状パッキンの後端部内周面が上記第2マウント環の径方向外側に位置するパッキン非対応カメラボディと、上記第2マウント環と同一形状の部分と、この部分の外周縁に設けられた環状接触部とからなり、その外径が自由状態にある上記環状パッキンの後端部内径より大きい第1マウント環を具備するパッキン対応カメラボディと、を備えることを特徴としている。
【0015】
レンズ鏡筒とレンズ鏡筒交換式カメラシステムのいずれの態様においても、上記第1マウント環の前端面の外周縁部に環状テーパ面が形成してあり、上記環状パッキンが該環状テーパ面に、該環状テーパ面の外周側から弾性接触するのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、交換式レンズ鏡筒をパッキン対応カメラボディとパッキン非対応カメラボディのいずれに接続した場合においても、交換式レンズ鏡筒のカメラボディに対する光軸方向の位置関係が適正な状態になる。従って、パッキンを有する交換レンズ鏡筒を購入したユーザは、この交換式レンズ鏡筒をもとから所有しているパッキン非対応カメラボディに装着することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図6を参照しながら説明する。
まずパッキン付交換式レンズ鏡筒10の全体構造について説明する。
光軸Oを中心とする筒状部材である固定環11の後端面には、固定環11と同心をなし後方に向かうにつれて3段階に縮径する金属製のレンズ側マウント環12が固着してある。図示するようにレンズ側マウント環12の最も前方に位置する部分である環状フランジ部13の外径は固定環11の外径と同一である。レンズ側マウント環12の後端部外周面には、周方向に120°間隔で3つの外方フランジ部14が突設してある。固定環11及び環状フランジ部13の外周面にはゴム等の弾性材料からなる筒状の環状パッキン15の内周面が固着してあり、環状パッキン15の後端部は自由状態にあっては環状フランジ部13より後方に突出している(図6参照)。
【0018】
図1〜図4に示すパッキン対応カメラボディ20Aは、パッキン付交換式レンズ鏡筒10と結合したときに環状パッキン15によって両者の接合部がパッキンされるように設計されたカメラボディである。
パッキン対応カメラボディ20Aの前面の中央孔21には金属製のボディ側マウント環(第1マウント環)22が嵌合固定されている。ボディ側マウント環22は中央孔21に嵌る筒状部23(内径はL2)と、筒状部23の前端部から径方向外側に延出する環状フランジ部(ボディ側マウント環22の前端部)24とを有している。図示するように環状フランジ部24の外径は自由状態にある環状パッキン15の内径より大きいL1である(後述する環状フランジ部31の外径位置に相当する図2の仮想線A位置より外周側の部分が環状接触部32であり、ボディ側マウント環22の仮想線Aより内周側部分の形状はボディ側マウント環30と同一である)。環状フランジ部24の前面は光軸Oに対して直交しており、環状接触部32の前面はパッキン当接面25となっている。ボディ側マウント環22の内周面の後端部には、周方向に120°間隔で3つの内方フランジ部26が突設してあり、隣り合う内方フランジ部26の間に正面視円弧状の円弧状切欠27が3つ存在する。
【0019】
ボディ側マウント環22の後端面にはパッキン付交換式レンズ鏡筒10のレンズ側マウント環12がボディ側マウント環22に結合したときに、レンズ側マウント環12をボディ側マウント環22に対して後方に付勢する(押圧する)環状付勢部材R1が固着してある。環状付勢部材R1(及び環状付勢部材R2)は例えば金属により成形可能であり、図3及び図4に示すように周方向に180°間隔で一対の弾性突片R1aを具備している。この弾性突片R1aは環状付勢部材R1の本体部から後方に突出するものであり弾性変形可能である。
【0020】
図5及び図6に示すパッキン非対応カメラボディ20Bは、パッキン付交換式レンズ鏡筒10と結合したときに環状パッキン15によって両者の接合部がパッキンされないように設計されたカメラボディである。
パッキン非対応カメラボディ20Bの基本構造はパッキン対応カメラボディ20Aと同じであるが、ボディ側マウント環22に相当するボディ側マウント環30と、このボディ側マウント環30の後端面に固定された環状付勢部材R2の構造がパッキン対応カメラボディ20Aとは異なる。
即ち、パッキン非対応カメラボディ20Bのボディ側マウント環(第2マウント環)30はボディ側マウント環22と同一形状(寸法)の筒状部23、内方フランジ部26及び円弧状切欠27を具備しており、筒状部23の内径はパッキン対応カメラボディ20Aと同じくL2である。しかし、環状フランジ部24に相当する環状フランジ部(ボディ側マウント環30の前端部)31の外径L3は環状フランジ部24(外径L1)より短く、自由状態にある環状パッキン15の後端部の内径よりも短い。環状フランジ部31の前面も光軸Oに対して直交する平面である。
さらに環状付勢部材R2の形状(寸法)は環状付勢部材R1と同じであるが、弾性突片R2aの付勢力は弾性突片R1aの付勢力より小さく設計してある。
以上説明したパッキン付交換式レンズ鏡筒10、パッキン対応カメラボディ20A及びパッキン非対応カメラボディ20Bは本実施形態のレンズ鏡筒交換式カメラシステムの構成要素である。
【0021】
次にパッキン付交換式レンズ鏡筒10のパッキン対応カメラボディ20A及びパッキン非対応カメラボディ20Bへの取付要領、並びに本実施形態のカメラシステムの作用効果について説明する。
最初にパッキン付交換式レンズ鏡筒10のパッキン対応カメラボディ20Aへの取付要領について説明する。
先ずパッキン対応カメラボディ20Aから分離しているパッキン付交換式レンズ鏡筒10を前方からボディ側マウント環22に近づけて、レンズ側マウント環12をボディ側マウント環22の内部に挿入する。このとき、レンズ側マウント環12の3つの外方フランジ部14の周方向位置をボディ側マウント環22の3つの円弧状切欠27と一致させ、各外方フランジ部14を各円弧状切欠27を通して内方フランジ部26の後方まで移動させる。この後にパッキン付交換式レンズ鏡筒10全体を周方向に回転させて、各外方フランジ部14を対応する内方フランジ部26の直後まで回転移動させれば、パッキン付交換式レンズ鏡筒10(レンズ側マウント環12)のパッキン対応カメラボディ20A(ボディ側マウント環22)への結合が完了する。
【0022】
図2に示すように、パッキン付交換式レンズ鏡筒10をパッキン対応カメラボディ20Aに結合するとボディ側マウント環22の各内方フランジ部26とレンズ側マウント環12の外方フランジ部14及びボディ側マウント環22の環状段部28との間には光軸O方向のクリアランスが生じる。さらに、パッキン付交換式レンズ鏡筒10をパッキン対応カメラボディ20Aに結合すると図2に示すように環状パッキン15の後端部がボディ側マウント環22のパッキン当接面25に変形(つぶれる)しながら弾性接触するので(環状パッキン15が圧縮しながらボディ側マウント環22との間をパッキン(防水)する)、環状パッキン15の後端部の弾性力によってパッキン付交換式レンズ鏡筒10がパッキン対応カメラボディ20Aに対して前方に移動付勢される。一方、環状付勢部材R1の弾性突片R1aがパッキン付交換式レンズ鏡筒10の外方フランジ部14の前面をパッキン対応カメラボディ20Aに対して後方に移動付勢する。弾性突片R1aの付勢力は環状パッキン15の付勢力より大きいので、弾性突片R1aの付勢力の一部によって環状パッキン15の付勢力は打ち消され、弾性突片R1aの付勢力の残部によって、パッキン付交換式レンズ鏡筒10がパッキン対応カメラボディ20Aに対して上記クリアランスの範囲内で僅かに後方に移動し、パッキン付交換式レンズ鏡筒10のパッキン対応カメラボディ20Aに対する光軸O方向位置が適正な位置に保持される。従って、パッキン付交換式レンズ鏡筒10をパッキン対応カメラボディ20Aに接続するとパッキン付交換式レンズ鏡筒10は設計値通りのレンズ性能を発揮できる。
【0023】
一方、パッキン付交換式レンズ鏡筒10はパッキン非対応カメラボディ20Bに対してもパッキン対応カメラボディ20Aの場合と同様の要領により結合可能である。
そして、図6に示すようにパッキン付交換式レンズ鏡筒10をパッキン非対応カメラボディ20Bに結合すると、ボディ側マウント環22の各内方フランジ部26とレンズ側マウント環12の外方フランジ部14及び環状段部28の間に光軸O方向のクリアランスができる。このとき、図6に示すように環状パッキン15の後端部は環状フランジ部31に当接しないので(圧縮しないので)、環状パッキン15から環状フランジ部31(ボディ側マウント環30)には付勢力は及ばない。一方、上述の環状付勢部材R2の弾性突片R2aがパッキン付交換式レンズ鏡筒10の外方フランジ部14の前面をパッキン非対応カメラボディ20Bに対して後方に付勢するので、弾性突片R2aの付勢力のみによってパッキン付交換式レンズ鏡筒10がパッキン非対応カメラボディ20Bに対して上記クリアランスの範囲内で僅かに後方に移動し、パッキン付交換式レンズ鏡筒10のパッキン非対応カメラボディ20Bに対する光軸O方向位置が適正な位置に保持される。
従って、パッキン付交換式レンズ鏡筒10をパッキン非対応カメラボディ20Bに接続した場合もパッキン付交換式レンズ鏡筒10は設計値通りのレンズ性能を発揮できる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態のパッキン付交換式レンズ鏡筒10はパッキン対応カメラボディ20Aに結合して使用する場合もパッキン非対応カメラボディ20Bに結合して使用する場合も設計値通りのレンズ性能を発揮できるので、パッキン付交換式レンズ鏡筒10とパッキン対応カメラボディ20Aのみを所有しているユーザがパッキン非対応カメラボディ20Bを新たに購入した場合、このユーザはパッキン非対応カメラボディ20B専用の新たな交換式レンズ鏡筒(パッキンなし)を購入する必要がない。
【0025】
以上、本発明を上記実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更を施して実施可能である。
例えば、図7に示すようにパッキン対応カメラボディ20Aの環状フランジ部24の環状接触部32の前面外周縁部に環状テーパ面24aを形成し、パッキン付交換式レンズ鏡筒10をパッキン対応カメラボディ20Aに結合したときに、環状パッキン15の後端部が環状テーパ面24aに変形(つぶれる)しながら弾性接触するようにしてもよい。このような構成にすると、環状パッキン15の後端部が環状テーパ面24aの外周側から環状テーパ面24aに弾性接触するので、ボディ側マウント環22との間をより効果的にパッキン(防水)することが可能になる。
さらに、本実施形態(図7の変形例を含む)では環状フランジ部31の外径L3を環状パッキン15の後端部の内径より小さくしたが、環状フランジ部31の外径L3を環状パッキン15の後端部の内径と同じにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態のパッキン付交換式レンズ鏡筒をパッキン対応カメラボディに装着した様子を示す正面図である。
【図2】図1のII−II矢線に沿うカメラの拡大縦断側面図である。
【図3】環状付勢部材の正面図である。
【図4】環状付勢部材の側面図である。
【図5】パッキン付交換式レンズ鏡筒をパッキン非対応カメラボディに装着した様子を示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI矢線に沿うカメラの拡大縦断側面図である。
【図7】ボディ側マウント環の変形例を具備するカメラの図2と同様の拡大縦断側面図である。
【図8】従来のパッキン付交換式レンズ鏡筒をパッキン対応カメラボディに装着したときの図2と同様の拡大縦断側面図である。
【図9】従来のパッキン付交換式レンズ鏡筒をパッキン非対応カメラボディに装着したときの図2と同様の拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 パッキン付交換式レンズ鏡筒
11 固定環
12 レンズ側マウント環
13 環状フランジ部
14 外方フランジ部
15 環状パッキン
20A パッキン対応カメラボディ
20B パッキン非対応カメラボディ
21 中央孔
22 ボディ側マウント環(第1マウント環)
23 筒状部
24 環状フランジ部(第1環状当接部)
24a 環状テーパ面
25 パッキン当接面
26 内方フランジ部
27 円弧状切欠
28 環状段部
30 ボディ側マウント環(第2マウント環)
31 環状フランジ部(第2環状当接部)
32 環状接触部
L1 L3 環状フランジ部の外径
L2 ボディ側マウント環の内径
O 光軸
R1 R2 環状付勢部材
R1a R2a 弾性突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1マウント環を備えるパッキン対応カメラボディと、内径は上記第1マウント環と同じで外径は該第1マウント環より小さい第2マウント環を備えるパッキン非対応カメラボディとに選択的に着脱可能でかつ弾性材料からなる環状パッキンを備える交換式レンズ鏡筒において、
上記パッキン非対応カメラボディに装着したときは、上記環状パッキンの後端部内周面が上記第2マウント環の径方向外側に位置し、
上記パッキン対応カメラボディに装着したときは、上記環状パッキンの後端部内周面が上記第1マウント環の外周面より径方向内側に位置することを特徴とする交換式レンズ鏡筒。
【請求項2】
第1マウント環を備えるパッキン対応カメラボディと、第2マウント環を備えるパッキン非対応カメラボディとに選択的に着脱可能でかつ弾性部材からなる環状パッキンを備える交換式レンズ鏡筒において、
第1マウント環は、第2マウント環と同一形状の部分と、この部分の外周縁に設けられた環状接触部とからなり、
上記パッキン非対応カメラボディに装着したときは、上記環状パッキンの後端部内周面が上記第2マウント環の径方向外側に位置し、
上記パッキン対応カメラボディに装着したときは、上記環状パッキンの後端部内周面が上記環状接触部の外周面より径方向内側に位置することを特徴とする交換式レンズ鏡筒。
【請求項3】
請求項1または2記載の交換式レンズ鏡筒において、
上記第1マウント環の前端面の外周縁部に環状テーパ面が形成してあり、
上記環状パッキンが該環状テーパ面に、該環状テーパ面の外周側から弾性接触する交換式レンズ鏡筒。
【請求項4】
レンズ側マウント環及び弾性材料からなる環状パッキンを具備する交換式レンズ鏡筒と、
前端部の外径が自由状態にある上記環状パッキンの後端部内径より大きい第1マウント環を備える、パッキン対応カメラボディと、
前端部の外径が上記第1マウント環の外径及び自由状態にある上記環状パッキンの後端部内径より小さく、かつその内径が上記第1マウント環と同一の第2マウント環を備え、上記レンズ側マウント環を該第2マウント環に結合したときに上記環状パッキンの後端部内周面が上記第2マウント環の径方向外側に位置するパッキン非対応カメラボディと、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒交換式カメラシステム。
【請求項5】
レンズ側マウント環及び弾性材料からなる環状パッキンを具備する交換式レンズ鏡筒と、
上記レンズ側マウント環が結合可能な第2マウント環を備え、上記レンズ側マウント環を該第2マウント環に結合したときに上記環状パッキンの後端部内周面が上記第2マウント環の径方向外側に位置するパッキン非対応カメラボディと、
上記第2マウント環と同一形状の部分と、この部分の外周縁に設けられた環状接触部とからなり、その外径が自由状態にある上記環状パッキンの後端部内径より大きい第1マウント環を具備するパッキン対応カメラボディと、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒交換式カメラシステム。
【請求項6】
請求項4または5記載のレンズ鏡筒交換式カメラシステムにおいて、
上記第1マウント環の前端面の外周縁部に環状テーパ面が形成してあり、
上記環状パッキンが該環状テーパ面に、該環状テーパ面の外周側から弾性接触するレンズ鏡筒交換式カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−77001(P2008−77001A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259410(P2006−259410)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】