説明

交換機、通信制御システム、及び、通信制御方法

【課題】在圏の交換機が利用できない場合でも通信を継続することが可能な交換機、通信制御システム、及び通信制御方法を提供すること。
【解決手段】MS9の在圏の交換機31は、交換機31以外の他の一の交換機32を特定するための特定情報を含んでおり交換機31を識別するための識別情報を作成する識別情報作成部311と、識別情報作成部311によって作成された識別情報を、RNC7を介してMS9に通知すると共に、この識別情報のものと同一の特定情報を交換機選択装置5に通知する情報通知部312と、を備える。情報通知部312によって作成される特定情報は、RNC7及び交換機選択装置5によって交換機32が一意に特定される情報となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換機、通信制御システム、及び、通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、RNC(Radio Network Controller)を複数のCNノード(Core Network Node)に接続するIu−Flexについて記載されている。複数のCNノードはRNCに対しメッシュ状に接続されており、通信網側における負荷分散が可能となる。ここで、CNノードの例としては、パケット通信網で用いられるSGSN(Serving GPRS Support Node)や、電話回線網で用いられるMSC/VLR(Mobile Switching Center/Visitor Location Register)がある。上記のIu−Flexにおいては、SGSN及びMSC/VLRをそれぞれ独立して利用する場合や、SGSN及びMSC/VLRを連携して利用する場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS 23.236 V8.0.0(2008−12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、在圏のCNノードが故障する等して利用できなくなると、MSはパケット通信や電話通信が継続できなくなるおそれがあり、故障等して利用できなくなった在圏のCNノードに替えて、他の利用可能なCNノードを利用するための技術が望まれている。これまでの技術で、該当MSからの位置登録や発信を契機に無線ネットワークが他の利用可能な交換機を選択し、最終的に通信可能状態に遷移することは可能であるが、該当MSへ着信しようとする呼を契機に通信可能状態に遷移する考慮はなく、通信不可能な状態が長時間化する恐れがある。そこで、本発明は、在圏の交換機が利用できない場合でも通信を継続することが可能な交換機、通信制御システム、及び、通信制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の交換機は、交換機選択装置に接続された交換機群に含まれており、無線ネットワーク制御装置を介して通信端末を通信網に接続する交換機であって、当該交換機以外の上記交換機群に含まれる他の一の交換機を特定するための特定情報を有しており当該交換機を識別する識別情報を作成する識別情報作成手段と、上記無線ネットワーク制御装置を介して上記通信端末に上記識別情報作成手段によって作成された識別情報を通知すると共に、上記通信端末に通知する識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を上記交換機選択装置に通知する情報通知手段と、を備え、上記情報通知手段によって上記通信端末及び上記交換機選択装置に通知される特定情報は、上記交換機選択装置と、当該特定情報を含む識別情報を上記通信端末から受信した無線ネットワーク制御装置とが、上記他の一の交換機を一意に特定できる情報である、ことを特徴とする。従って、無線ネットワーク制御装置と交換機選択装置とは、当該交換機以外の他の一の交換機を特定するための特定情報を用いることができるので、交換機を利用できなくなった場合でも、特定情報を用いれば、無線ネットワーク制御装置と交換機選択装置とが当該他の一の交換機を一意に特定できる。従って、通信端末の通信の継続が可能となる。
【0006】
また、本発明の通信制御システムは、通信端末を通信網に接続する通信制御システムであって、上記通信端末に接続される無線ネットワーク制御装置と、上記通信端末を上記無線ネットワークを介して上記通信網に接続する交換機と、上記交換機を含む交換機群に接続された交換機選択装置と、を備え、上記交換機は、当該交換機以外の上記交換機群に含まれる他の一の交換機を特定するための特定情報を有しており当該交換機を識別する識別情報を作成する識別情報作成手段と、上記無線ネットワーク制御装置を介して上記通信端末に上記識別情報作成手段によって作成された識別情報を通知すると共に、上記通信端末に通知する識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を上記交換機選択装置に通知する情報通知手段と、を有し、特定情報を含む識別情報を上記通信端末から受信した上記無線ネットワーク制御装置と、この特定情報を上記情報通知手段によって通知された上記交換機選択装置とは、この特定情報から上記他の一の交換機を一意に特定する、ことを特徴とする。従って、無線ネットワーク制御装置と交換機選択装置とは、当該交換機以外の他の一の交換機を特定するための特定情報を用いることができるので、交換機を利用できなくなった場合でも、特定情報を用いれば、無線ネットワーク制御装置と交換機選択装置とが当該他の一の交換機を一意に特定できる。従って、通信端末の通信の継続が可能となる。
【0007】
また、本発明の通信制御システムにおいて、上記交換機選択装置は、上記交換機の利用が不可であることを検知した後に上記通信端末に対する着信要求を受けた場合、上記情報通知手段によって通知される特定情報に基づいて上記他の一の交換機を特定し、この特定した交換機に対して上記通信端末に対する着信要求に応じた着信指示を送信し、上記無線ネットワーク制御装置は、上記交換機の利用が不可であることを検知した後に上記通信端末から通信要求を受けた場合、上記情報通知手段によって上記通信端末に通知された後に上記通信端末から受信する識別情報に含まれている特定情報に基づいて上記他の一の交換機を特定し、この特定した交換機に対して上記通信端末の通信要求に応じた通信指示を送信する。従って、無線ネットワーク制御装置と交換機選択装置とは、交換機を利用できなくなった場合でも、共有する特定情報に基づいて、当該交換機以外の他の一の交換機を利用することがきるので、通信端末の通信が継続される。
【0008】
また、本発明の通信制御方法は、交換機選択装置に接続された交換機群に含まれており無線ネットワーク制御装置を介して通信端末を通信網に接続する交換機が行う通信制御方法であって、上記交換機以外の上記交換機群に含まれる他の一の交換機を特定するための特定情報を有しており上記交換機を識別する識別情報を上記交換機が作成する識別情報作成ステップと、上記識別情報作成ステップにおいて作成された識別情報を上記無線ネットワーク制御装置を介して上記通信端末に上記交換機が通知すると共に、上記通信端末に通知する識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を上記交換機選択装置に上記交換機が通知する情報通知ステップと、を含み、上記情報通知ステップにおいて上記通信端末及び上記交換機選択装置に通知される特定情報は、上記交換機選択装置と、当該特定情報を含む識別情報を上記通信端末から受信した無線ネットワーク制御装置とが、上記他の一の交換機を一意に特定できる情報である、ことを特徴とする。従って、無線ネットワーク制御装置と交換機選択装置とは、当該交換機以外の他の一の交換機を特定するための特定情報を用いることができるので、交換機を利用できなくなった場合でも、特定情報を用いれば、無線ネットワーク制御装置と交換機選択装置とが当該他の一の交換機を一意に特定できる。従って、通信端末の通信の継続が可能となる。
【0009】
また、本発明の通信制御方法において、上記交換機選択装置は、上記交換機の利用が不可であることを検知した後に上記通信端末に対する着信要求を受けた場合、上記情報通知ステップにおいて通知された特定情報に基づいて上記他の一の交換機を特定し、この特定した交換機に対して上記通信端末に対する着信要求に応じた着信指示を送信する着信指示ステップと、上記無線ネットワーク制御装置は、上記交換機の利用が不可であることを検知した後に上記通信端末から通信要求を受けた場合、上記交換機が情報通知ステップにおいて上記通信端末に通知した後に上記通信端末から受信する識別情報に含まれている特定情報に基づいて上記他の一の交換機を特定し、この特定した交換機に対して上記通信端末の通信要求に応じた通信指示を送信する通信指示ステップと、を更に含むことができる。従って、無線ネットワーク制御装置と交換機選択装置とは、交換機を利用できなくなった場合でも、共有する特定情報に基づいて、当該交換機以外の他の一の交換機を利用することがきるので、通信端末の通信が継続される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、在圏の交換機が故障等で利用できない場合でも通信を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る通信制御システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る具体的な通信制御システムの構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る交換機のハードウェア構成図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る交換機の機能ブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る通信制御システムにおいて、交換機が識別情報を払い出す動作を説明するためのシーケンスである。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る通信制御システムの動作において、在圏の交換機の代替交換機を特定する動作を説明するための他のシーケンスである。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る通信制御システムにおいて、在圏の交換機の代替交換機を特定する他の動作を説明するための他のシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。まず、図1〜図4を用いて、実施形態に係る通信制御システム1について説明する。図1は、本実施形態の通信制御システムの構成を示す図である。通信制御システム1は、MS9、RNC7、交換機31〜交換機33、及び、交換機選択装置5を備える。RNC7は交換機31〜交換機33のそれぞれに接続される。交換機31〜交換機33は、一の交換機群を構成し、交換機選択装置5及びRNC7のそれぞれに対して並列に接続される。なお、図1に示す交換機群は三つの交換機31〜交換機33から成るものとしているが、これに限らず、交換機群は複数の交換機から成るものであればよい。
【0013】
通信制御システム1は、MS9を、例えば電話回線網やパケット通信網等の通信網11に接続する。MS9は、例えば携帯電話等の通信端末であり、通信網11に接続されている他の携帯電話やサーバコンピュータ等と通信を行う。
【0014】
交換機31は、MS9が行う通信をRNC7を介して通信網11に接続する。交換機31は、パケット交換機(以下、SGSNという)、または、回線交換機(“Mobile Switching Center”と“Visitor Location Register”の機能を有する機器であり、以下、MSC/VLRという)である。交換機32及び交換機33も交換機31と同一の構成を有している。
【0015】
交換機選択装置5は、MS9に対する着信要求に応じて、RNC7に接続された交換機群(交換機31〜交換機33)から一の交換機を選択する。交換機選択装置5は、特に、MS9の在圏の交換機(以下、交換機31をMS9の在圏の交換機とする)をこの交換機群から選択する。また、交換機選択装置5は、例えば、定期的に交換機31〜交換機33と通信を行い、何れかの交換機の利用が不可になった場合、この旨を検知する構成を有することができる。また、交換機選択装置5は、MS9の在圏の交換機を特定する情報を保持する(又は、他のノードから取得した後に一時的に保持する)、或いは、交換機選択装置5は、MS9に関する加入者プロファイル(MS9の在圏の交換機を特定する情報を含む)を保持する(又は、他のノードから取得した後に一時的に保持する)。
【0016】
RNC7は、MS9を通信網11に接続するための無線ネットワーク制御装置である。RNC7は、例えば、定期的に交換機31〜交換機33と通信を行い、何れかの交換機の利用が不可になった場合、この旨を検知する構成を有することもできる。RNC7は、MS9からの通信を受け付ける際、通信端末を識別するための識別情報を含む“RRC−Connection Request”を受ける。RNC7は、識別情報をRNC7のメモリに保持する。なお、非特許文献1においては、本識別情報はMS9の在圏の交換機を識別するためには利用しないが、情報要素としてMS9の在圏の交換機を識別する情報も含まれているため、本実施形態において、交換機を識別するための情報としても利用する。
【0017】
MS9がRNC7に送信する識別情報は、“TMSI”(Temporary Mobile Station Identity)、“P−TMSI”(Packet Temporary Mobile Subscriber Identity)、“IMSI”(International Mobile Subscriber Identity)、“IMEI”(International Mobile Equipment Identity)の何れかである。MS9は、“TMSI”、“P−TMSI”、“IMSI”、“IMEI”の優先順位でRNC7に送信する識別情報を決定する。例えば、MS9が“TMSI”を保持していれば、識別情報として“TMSI”をRNC7に送信する。また、SGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成の通信制御システム1の場合、MS9は、“TMSI”を識別情報としてRNC7に送信する。SGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成ではなくSGSNを単独で利用する構成の通信制御システム1の場合、MS9は“P−TMSI”を識別情報としてRNC7に送信し、また、SGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成ではなくMSC/VLRを単独で利用する構成の通信制御システム1の場合、MS9は“TMSI”を識別情報としてRNC7に送信する。
【0018】
ここで、通信制御システム1の具体例を示す。例えば、SGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成ではなくSGSNを単独で利用する構成の通信制御システム1の場合、図1に示す交換機31〜交換機33は、何れもSGSNであり、図1に示す交換機選択装置5はSGSN選択装置であり、図1に示す通信網11はパケット通信網である。また、SGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成ではなくMSC/VLRを単独で利用する構成の通信制御システム1の場合、図1に示す交換機31〜交換機33は、何れもMSC/VLRであり、図1に示す交換機選択装置5はMSC/VLR選択装置であり、図1に示す通信網11は電話回線網である。また、SGSN及びMSC/VLRを連携して利用する場合の通信制御システム1の構成を図2に示す。このような通信制御システム1の構成としては、図1に示す交換機31〜交換機33が、それぞれ、図2に示すSGSN#1〜SGSN#3であり、図1に示す交換機選択装置5が図2に示すSGSN選択装置であり、図1に示す通信網11が図2に示すパケット通信網である場合と、図1に示す交換機31〜交換機33が、それぞれ、図2に示すMSC/VLR#1〜MSC/VLR#3であり、図1に示す交換機選択装置5が図2に示すMSC/VLR選択装置であり、図1に示す通信網11が図2に示す電話回線網である場合と、が考えられる。なお、図2において、RNC7は、SGSN#1〜SGSN#3のそれぞれに接続され、SGSN#1は、MSC/VLR#1〜MSC/VLR#3のそれぞれに接続され、SGSN#2は、MSC/VLR#1〜MSC/VLR#3のそれぞれに接続され、SGSN#3は、MSC/VLR#1〜MSC/VLR#3のそれぞれに接続される。SGSN選択装置は、SGSN#1〜SGSN#3のそれぞれに接続され、MSC/VLR選択装置は、MSC/VLR#1〜MSC/VLR#3のそれぞれに接続される。RNC7は、MSC/VLR#1〜MSC/VLR#3のそれぞれにも接続されている。SGSN#1〜SGSN#3は一の交換機群を構成し、MSC/VLR#1〜MSC/VLR#3は一の交換機群を構成する。
【0019】
次に、図3及び図4を参照して、交換機31〜交換機33の構成を説明する。なお、交換機31〜交換機33は同一の構成を有しているので、交換機31の構成のみを説明し、交換機32及び交換機33の構成の説明を省略する。
【0020】
図3は、交換機31の物理的な構成を示す図である。交換機31は、物理的には、CPU31a、主記憶装置であるROM31b及びRAM31cと、交換機選択装置5及びRNC7や他の交換機と通信可能なインターフェースを有する通信装置31dと、ハードディスク等の記憶装置31eとを含むコンピュータシステムとして構成されている。そして、CPU31a、ROM31b、RAM31c、通信装置31d、及び、記憶装置31eは、バス31fを介して相互に接続されている。
【0021】
図4は、交換機31の機能的な構成を示す図である。交換機31は、識別情報作成部311、情報通知部312、及び、プロファイル取得部313を含む。識別情報作成部311〜プロファイル取得部313は、図3に示すCPU31a及びRAM31c等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU31aの制御のもとで通信装置31d等を動作させると共に、RAM31c及び記憶装置31eにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0022】
識別情報作成部311は、MS9の在圏する交換機31を識別するための識別情報を作成する。識別情報は、交換機31を特定できる情報、すなわち、交換機31の“NRI”(Network Resource Identifier)を含む“TMSI”または“P−TMSI”である。特に、識別情報作成部311は、交換機選択装置5及びRNC7に対し並列に接続されている交換機群(交換機31〜交換機33)から交換機31以外の他の一の交換機を特定するための特定情報を含む識別情報を作成する。特定情報によって特定される他の一の交換機とは、交換機31が故障等して利用できなくなった場合に、代替として利用される交換機である(本実施形態においては、このように代替して利用される交換機を交換機32として説明する)。特定情報は、RNC7及び交換機選択装置5のいずれによっても、交換機32が一意に特定される情報である。特定情報の具体例としては、交換機32の“NRI”を導出可能なNRI導出要素値がある(NRI導出要素値を用いた“NRI”の導出方法については後述する)。交換機選択装置5とRNC7は、何れも、特定情報から交換機32(交換機32の“NRI”)を特定できる構成を有する。
【0023】
ここで、識別情報(“TMSI”又は“P_TMSI”)は、予め規定されている領域と、予め規定されていない領域とを含む。予め規定されている領域は、在圏の交換機の“NRI”が記録されているNRI格納領域等を有する。予め規定されていない領域は、加入者識別子払い出し領域等を有する。例えば、識別情報のNRI格納領域には、交換機31の“NRI”が含まれることができ、予め規定されていない領域には、NRI導出要素値が特定情報として含まれることができる。NRI導出要素値としては、予め規定されていない領域に含まれる空き領域に設定しても良いし、例えば加入者識別子等のすでに別の理由で規定されている領域の一部(この領域の一部に設定されているデータ)を特定情報と兼用させることも可能である。
【0024】
なお、識別情報作成部311は、識別情報における予め規定されていない領域に、交換機31を代替する交換機32の“NRI”を導出可能なNRI導出要素値を含めるとしたが、これに限らず、交換機31を代替する交換機32の“NRI”自体を特定情報としてこの予め規定されていない領域に含めることもできる。
【0025】
ここで、交換機選択装置5及びRNC7が、交換機31を代替する交換機32の“NRI”をNRI導出要素値から導出する導出方法の一例を説明する。交換機選択装置5及びRNC7に接続されている交換機群は、三つの交換機、すなわち、交換機31〜交換機33、を有しており、交換機31〜交換機33のそれぞれの“NRI”が“1”、“2”、3”であるとする。また、“NRI”が“1”の交換機31が故障しているとし、NRI導出要素値が“10”であるとする。まず、NRI導出要素値“10”を、故障していない正常な交換機の数“2”で割った余りを計算する。この場合、“10”を“2”で割り、余りは“0”(余りが無いことを意味しており、以下、“0”も余りであるとして説明する)となる。なお、NRI導出要素値を正常な交換機の数で割った余りは、正常な交換機の“NRI”に、小さい順にマッピングされる。具体的には、最も小さな余り“0”は、正常な交換機の“NRI”の最も小さい“2”にマッピングされ、“0”の次に小さな余り“1”は、“2”の次に大きい正常な交換機の“NRI”である“3”にマッピングされる。本計算において余りは“0”となるので、NRI導出要素値から導かれる“NRI”は“2”となる。
【0026】
情報通知部312は、識別情報作成部311によって作成された識別情報を、RNC7を介してMS9に通知すると共に、MS9に通知するこの識別情報に含まれる特定情報と同一の特定情報を交換機選択装置5に通知する。情報通知部312によってMS9及び交換機選択装置5に通知される特定情報は、交換機選択装置5と、この特定情報を含む識別情報をMS9から受信したRNC7とが、交換機31の代替の交換機32を一意に特定できる情報である。この場合、RNC7は、情報通知部312から送信された識別情報をMS9に渡すが、この識別情報をRNC7のメモリに格納しない。また、情報通知部312は、特定情報を、識別情報に含ませずに単独で、交換機選択装置5に通知してもよいし、特定情報を、識別情報に含ませて通知してもよい。
【0027】
なお、交換機選択装置5は、例えば、交換機31の利用が不可であることを検知した後にMS9に対する着信要求を受けた場合、情報通知部312によって通知された特定情報に基づいて、交換機31の代替の交換機32を特定し、この特定した交換機32に対してMS9に対する着信要求に応じた着信指示を送信する。この場合、RNC7は、情報通知部312によってMS9に通知された後にMS9から受信する識別情報に含まれている特定情報(交換機選択装置5と共有する特定情報)に基づいて、交換機選択装置5が特定した交換機32を特定し、この特定した交換機32に対してMS9の通信要求に応じた通信指示を送信する。このようにして、特定情報を含む識別情報をMS9から受信したRNC7と、この特定情報を情報通知部312によって通知された交換機選択装置5とは、この特定情報から、交換機31の代替の交換機32を一意に特定する。
【0028】
プロファイル取得部313は、HLR(Home Location Register)等の加入者情報データベースから加入者プロファイルの取得及び再取得(リストア)を行う。加入者プロファイルは、例えば、交換機31に在圏しているMS9に関する登録情報等である。
【0029】
次に、図5〜図7を参照して、上記構成の通信制御システム1の動作を説明する。図5は、交換機31の識別情報作成部311が、特定情報を含む識別情報を作成し、情報通知部312が、識別情報作成部311によって作成された識別情報をRNC7を介してMS9に通知すると共に、この識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を交換機選択装置5に通知する処理を示すシーケンスである。
【0030】
まず、識別情報作成部311が、交換機31の代替の交換機32を特定するための特定情報を含む識別情報(この識別情報は、交換機31を識別するための“NRI”を含む)を作成する(ステップS1、識別情報作成ステップ)。次に、情報通知部312は、ステップS1において作成された識別情報に含まれている特定情報(又は、この特定情報を含む識別情報)を交換機選択装置5に通知する(ステップS2、情報通知ステップ)。ステップS1及びステップS2の処理が行われるタイミングは様々であり、一例として、MS9の位置登録時である。次に、交換機選択装置5は、ステップS2において通知された特定情報を交換機選択装置5のメモリ等に保持する(ステップS3)。交換機選択装置5は、ステップS3において交換機選択装置5のメモリ等に保持した特定情報に基づいて、MS9の在圏の交換機31が利用不可となった場合に利用する代替の交換機32を特定することができる。
【0031】
また、情報通知部312は、ステップS1において作成された識別情報を、RNC7を介して(ステップS4、情報通知ステップ)、MS9に通知する(ステップS5、情報通知ステップ)。ステップS4において、RNC7は、情報通知部312から送信された識別情報をMS9に渡す処理を行うが、この識別情報をRNC7のメモリに格納する処理を行わない。次に、MS9は、ステップS5において通知された識別情報を、MS9のメモリ等に保持する(ステップS6)。RNC7は、MS9が通信開始時にRNC7に送信する識別情報とこの識別情報に含まれる特定情報とに基づいて、MS9の在圏交換機31と、この交換機31が利用不可となった場合に利用する交換機32(交換機選択装置5によって特定される交換機)と、を特定することができる。交換機選択装置5とMS9とは、MS9についての同一の特定情報を保持する。MS9が保持する特定情報は、MS9の上記メモリ等に保持される識別情報に含まれる。ステップS2及びステップS5においてMS9及び交換機選択装置5に通知される特定情報は、交換機選択装置5と、この特定情報を含む識別情報をMS9から受信したRNC7とが、交換機31の代替の交換機32を一意に特定できる情報である。なお、上記説明において、ステップS2及びステップS3の後にステップS4〜ステップS6が続くと説明したが、ステップS1の後にステップS4〜ステップS6が続き、その後にステップS2及びステップS3が実行されてもよい。
【0032】
図5のシーケンスに示す通信制御システム1の動作によれば、MS9の在圏の交換機31は、交換機31が故障等して利用不可となった場合の代替の交換機32を特定するための特定情報を含む識別情報をMS9に送信し、この特定情報と同一の特定情報(又は、MS9に送信した識別情報と同一の識別情報)を交換機選択装置5に送信する。MS9に送信された識別情報は、MS9からRNC7に送信される。従って、例えば、MS9の在圏の交換機31が利用できない場合であっても、交換機選択装置5及びMS9は、共有する特定情報に基づいて、交換機31の代替の交換機32を利用することができるので、MS9の通信が継続される。
【0033】
図6は、図5のシーケンスに示す処理の後、交換機31が故障した場合に、交換機選択装置5が通信網11からMS9に対する着信要求を受けた際に行われる処理を示すシーケンスである。なお、図6のシーケンスに示す処理は、図5のシーケンスが行われた後に行われる。すなわち、MS9と交換機選択装置5とが、交換機31の代替の交換機32を特定するための特定情報を保持していることが前提となる。
【0034】
まず、交換機選択装置5は、例えば、定期的に交換機31〜交換機33と通信を行い(ステップS7)、定期的に通信を行う中で交換機選択装置5が交換機31の利用が不可になったことを検知する(ステップS8)。なお、ステップS7及びステップS8の処理に替えて、通信制御システム1が交換機の状態を監視する監視用装置を有し、この監視用装置が交換機31の利用が不可になったことを検知し、この監視用装置がこの検知結果を交換機選択装置5に通知することができる。
【0035】
ステップS8の後、RNC7は、例えば、定期的に交換機31〜交換機33と通信を行い(ステップS9)、定期的に通信を行う中でRNC7が交換機31の利用が不可になったことを検知する(ステップS10)。なお、ステップS9及びステップS10の処理に替えて、上記監視用装置が、交換機31の利用が不可になった旨をRNC7に通知することができる。なお、上記説明において、ステップS7及びステップS8の後にステップS9及びステップS10が続くと説明したが、まずステップS9及びステップS10が実行され、その後にステップS7及びステップS8が実行されてもよい。
【0036】
次に、交換機選択装置5は、通信網11側からMS9に対する着信要求を受ける(ステップS11)。次に、交換機選択装置5は、交換機31の利用が不可であることをステップS8において検知しているので、ステップS2において交換機31から通知された特定情報に基づいて交換機31の代替の交換機32を特定する(ステップS12)。次に、交換機選択装置5は、ステップS11で受けた着信要求に応じた着信指示を、ステップS12において特定した交換機32に送信する(ステップS13、着信指示ステップ)。
【0037】
次に、交換機32のプロファイル取得部(交換機31のプロファイル取得部313に対応)は、交換機32の加入者プロファイルにMS9の情報が無いことを検知する。そして、交換機32のプロファイル取得部は、MS9の加入者プロファイルのリストアを開始する(ステップS14)。次に、交換機32は、RNC7に対して、“IMSI_Paging”を送信する(ステップS15)。次に、RNC7は、MS9に対して、“IMSI_Paging”を送信する(ステップS16)。次に、MS9は、RNC7に対して、ステップS4及びステップS5で交換機31からRNC7を介して通知された識別情報を含む“RRC−Connection Request”を送信する(ステップS17)。次に、MS9は、RNC7に対して、“IDNNS”を含む“RRC−Initial_DT”を送信する(ステップS18)。“IDNNS”は、“Response to IMSI Paging”や、“IMSI Attach”等の応答情報を含む。
【0038】
次に、RNC7は、ステップS18においてMS9から受信した“IDNNS”の応答情報からではMS9の在圏の交換機が特定できないと判断すると、ステップS17においてMS9から受信した識別情報に基づいて交換機31を特定するが、ステップS10において交換機31の利用が不可であることを検知しているので、この識別情報に含まれる特定情報(交換機選択装置5と共有する特定情報)に基づき、交換機選択装置5がステップS12において特定したものと同一の交換装置、すなわち交換機32を特定する(ステップS19)。ステップS19の後、RNC7は、ステップS19において特定した交換機32に通信指示を送信する(ステップS20、通信指示ステップ)。
【0039】
図6のシーケンスに示す通信制御システム1の動作によれば、MS9の在圏の交換機31が利用できない場合であっても、交換機選択装置5及びRNC7は、共有する特定情報に基づき、MS9の代替の交換機32を利用することができるので、MS9の通信が継続される。
【0040】
以下、交換機31〜交換機33からなる交換機群を、SGSNからなる交換機群又はMSC/VLRからなる交換機群として、図5及び図6に示す本実施形態の具体例を説明する。
【0041】
本実施形態は、まず、交換機31〜交換機33がMSC/VLRからなる交換機群であり、通信制御システム1がSGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成を有しており、交換機31が故障した場合、及び、交換機31〜交換機33がMSC/VLRからなる交換機群であり、通信制御システム1がSGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成ではなくMSC/VLRを単独で利用する構成を有しており、交換機31が故障した場合、に適用できる。この場合、図6のシーケンスのステップS17においてMS9からRNC7に送信される“RRC−Connection Request”に含まれる識別情報は、“TMSI”である。また、図5のシーケンスにおいて、交換機31が、特定情報を識別情報に含ませて、この識別情報を交換機選択装置5に送信する場合には、この識別情報も“TMSI”である。なお、この場合、“TMSI”には交換機31の“NRI”と、特定情報として交換機32の“NRI”を導出可能なNRI導出要素値とが含まれている。また、図6のステップS18においてMS9からRNC7に送信される“RRC−Initial_DT”の“IDNNS”に含まれる応答情報は、“Response to IMSI Paging”である。
【0042】
また、本実施形態は、交換機31〜交換機33がSGSNからなる交換機群であり、通信制御システム1がSGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成を有しており、交換機31が故障した場合、に適用できる。この場合、交換機選択装置5は、SGSN選択装置であり、図5のシーケンスの処理に替えて、MS9の在圏のMSC/VLRが、代替として用いる交換機32の“NRI”を導出するための特定情報であるNRI導出要素値を交換機選択装置5、MS9及びMSC/VLR選択装置に送信する処理を行い(MS9には、交換機32の“NRI”を導出するためのNRI導出要素値を含む識別情報“TMSI”がMS9の在圏のMSC/VLRから送信されるが、交換機選択装置5及びMSC/VLR選択装置にも、交換機32の“NRI”を導出するためのNRI導出要素値を含む識別情報“TMSI”がMS9の在圏のMSC/VLRから送信されてもよい)、図6のシーケンスのステップS17においてMS9からRNC7に送信される“RRC−Connection Request”に含まれる識別情報はMS9の在圏のMSC/VLRから送信された“TMSI”であり、図6のシーケンスのステップS18においてMS9からRNC7に送信される“RRC−Initial_DT”の“IDNNS”に含まれる応答情報は“IMSI Attach”である。交換機選択装置5は、MS9の在圏のMSC/VLRから送信される特定情報に基づいて、交換機32を特定し、RNC7は、MS9から送信される“RRC−Connection Request”の識別情報に含まれている特定情報(交換機選択装置5の特定情報と同一の特定情報)に基づいて、交換機32を特定する。なお、図6のシーケンスのステップS12の処理に換えて交換機選択装置5がランダムに(又は、任意に)SGSNを選択する処理を行い、また、ステップS19の処理に換えてRNC7がランダムにSGSNを選択する処理を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態は、交換機31〜交換機33がSGSNからなる交換機群であり、通信制御システム1がSGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成ではなくSGSNを単独で利用する構成を有しており、交換機31が故障した場合に適用可能である。この場合、交換機選択装置5はSGSN選択装置であり、図6のシーケンスのステップS17においてMS9からRNC7に送信される“RRC−Connection Request”に含まれる識別情報は、“P−TMSI”であり(図5のシーケンスにおいて交換機31から特定情報を含む識別情報がMS9に送信される場合には、この識別情報も“P−TMSI”である)、ステップS18においてMS9からRNC7に送信される“RRC−Initial_DT”の“IDNNS”に含まれる応答情報は“IMSI Attachである。交換機選択装置5は、交換機31から送信される特定情報に基づいて、交換機32を特定し、RNC7は、MS9から送信される“RRC−Connection Request”の識別情報“P_TMSI”に含まれている特定情報に基づいて、交換機32を特定する。
【0044】
本実施形態は、次に、交換機31〜交換機33がSGSNからなる交換機群であり、通信制御システム1がSGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成を有しており、交換機31がMS9の加入者プロファイルを消失した場合に適用可能である。この場合、交換機選択装置5はSGSN選択装置であり、図5のシーケンスの処理に替えて、MS9の在圏のMSC/VLRが、MS9の在圏の交換機31の“NRI”を導出するための特定情報であるNRI導出要素値を交換機選択装置5、MS9及びMSC/VLR選択装置に送信する処理を行い(MS9には、交換機31の“NRI”を導出するためのNRI導出要素値を含む識別情報“TMSI”がMS9の在圏のMSC/VLRから送信されるが、交換機選択装置5及びMSC/VLR選択装置にも、交換機31の“NRI”を導出するためのNRI導出要素値を含む識別情報“TMSI”がMS9の在圏のMSC/VLRから送信されてもよい)、図6のシーケンスのステップS7〜ステップS10は実行されない。そして、ステップS11の後には、交換機選択装置5は、ステップS12を行わず、ステップS13に対応するタイミングにおいて、交換機31に着信指示を送信する。なお、ステップS12に対応するタイミングにおいて、交換機選択装置5は、MS9の在圏のMSC/VLRから受信する特定情報を用いて、交換機31を特定し、ステップS13に対応するタイミングにおいて、交換機31に着信指示を送信することもできる。次に、ステップS14に対応するタイミングで、交換機31は、MS9の加入者プロファイルのリストアを開始する。次に、交換機31は、ステップS15に対応するタイミングで、RNC7に対し、“IMSI_Paging”を送信する。次に、ステップS16〜ステップS18の処理が行われる。なお、ステップS17において、MS9からRNC7に送信される識別情報は“TMSI”であり、この“TMSI”には、交換機31の“NRI”を導出するためのNRI導出要素値が特定情報として含まれている。次に、RNC7は、ステップS19に対応するタイミングで、ステップS17においてMS9から受信する識別情報の特定情報に基づいて交換機31を特定する。次に、RNC7は、ステップS19に対応するタイミングで特定した交換機31に通信指示を送信する。
【0045】
なお、交換機31〜交換機33がSGSNからなる交換機群であり、通信制御システム1がSGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成ではなくSGSNを単独で利用する構成を有しており、交換機31がMS9の加入者プロファイルを消失した場合(この場合、ステップS17においてMS9からRNC7に通知される識別情報は“P−TMSI”)、交換機31〜交換機33がMSC/VLRからなる交換機群であり、通信制御システム1がSGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成を有しており、交換機31がMS9の加入者プロファイルを消失した場合(この場合、ステップS17においてMS9からRNC7に通知される識別情報は“TMSI”)、及び、交換機31〜交換機33がMSC/VLRからなる交換機群であり、通信制御システム1がSGSN及びMSC/VLRを連携して利用する構成ではなくMSC/VLRを単独で利用する構成を有しており、交換機31がMS9の加入者プロファイルを消失した場合(この場合、ステップS17においてMS9からRNC7に通知される識別情報は“TMSI”)、の何れの場合においても、RNC7は、ステップS18においてMS9から受信した“IDNNS”の応答情報からではMS9の在圏の交換機が特定できないと判断するが、ステップS17においてMS9から通知される識別情報に含まれている“NRI”を用いればMS9の在圏の交換機が特定できるので、本実施形態に係る特定情報によらずに、MS9の通信の継続が可能となる。
【0046】
なお、図5及び図6のシーケンスに替えて、図7のシーケンスに示す処理が利用できる。図7は、交換機31が故障した場合に、交換機選択装置5が通信網11からMS9に対する着信要求を受け、交換機31以外の他の交換機がMS9に位置登録を促す処理を示すシーケンスである。
【0047】
まず、図6のシーケンスと同様にステップS7〜ステップS11の処理が実行される。次に、交換機選択装置5は、ステップS8において交換機31が利用不可であることを検知すると、交換機31以外の適当な交換機(例えば交換機32)に対して、ステップS11で受信した着信要求に応じた着信指示を送信する(ステップS13)。次に、図6のシーケンスと同様のステップS14〜ステップS18が実行される。次に、ステップS21において、RNC7は、ステップS18で受信したIDNNSから、通信すべき交換機が導出できないため、適当な交換機を選択する(ステップS21)。ここでは交換機33が選択されたとする。次に、RNC7は、ステップS21において選択した交換機33に対して通信を行う(ステップS22)。次に、交換機33は、MS9の加入者プロファイルがないことを検知する(ステップS23)。次に、交換機33は、RNC7に対して、位置登録を促す“Reject Cause”を送信し(ステップS24)、RNC7はMS9に対して、位置登録を促すこの“Reject Cause”を送信する(ステップS25)。次に、MS9は、RNC7に対して、“RRC−Connection Request”を送信する(ステップS26)。次に、MS9は、RNC7に対して、“RRC−Initial_DT”を送信する(ステップS27)。次に、RNC7は、MS9の位置登録を行う(ステップS28)。なお、ステップS26〜ステップS28の処理は、通常の位置登録処理に対応している。このように、図7のシーケンスを実行すれば、最終的に、改めて位置登録が実行されるので、MS9の通信が再開可能となる。
【0048】
次に、通信制御システム1の作用効果について説明する。交換機31は、MS9の在圏の交換機であり、RNC7を介してMS9を通信網11に接続する。交換機31は、識別情報作成部311と情報通知部312とを備える。識別情報作成部311は、交換機31を含む交換機群(交換機31〜交換機33を含む)から交換機31以外の他の一の交換機(交換機32)を代替として特定するための特定情報を含んでおり交換機31を識別する識別情報を作成する。情報通知部312は、識別情報作成部311によって作成された識別情報を、RNC7を介してMS9に通知すると共に、MS9に通知する識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を交換機選択装置5に通知する。また、情報通知部312によってMS9及び交換機選択装置5に通知される特定情報は、交換機選択装置5と、当該特定情報を含む識別情報をMS9から受信したRNC7とが、交換機31の代替として用いる交換機32を一意に特定できる情報である。従って、交換機選択装置5とRNC7とは、交換機31から、交換機31以外の他の一の交換機である交換機32を交換機31の代替として特定するための特定情報を用いることができるので、交換機31を利用できなくなった場合でも、この特定情報を用いれば、代替の交換機32を一意に特定できる。従って、MS9の通信の継続が可能となる。
【0049】
通信制御システム1は、MS9を通信網11に接続する。通信制御システム1は、RNC7とMS9の在圏の交換機31と交換機選択装置5とを備える。RNC7は、MS9が行う通信を送受信する。RNC7及び交換機選択ノード5には交換機31〜交換機33が並列に接続されている。交換機31〜交換機33は交換機群を成す。交換機31は、MS9が行う通信をRNC7を介して通信網11に接続する。交換機31は、識別情報作成部311と情報通知部312とを備える。識別情報作成部311は、交換機群から交換機31以外の他の一の交換機(交換機32)を代替として特定するための特定情報を含んでおり交換機31を識別する識別情報を作成する。情報通知部312は、識別情報作成部311によって作成された識別情報を、RNC7を介してMS9に通知すると共に、MS9に通知する識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を交換機選択装置5に通知する。特定情報を含む識別情報をMS9から受信したRNC7と、この特定情報を情報通知部312によって通知された交換機選択装置5とは、この特定情報から、交換機31の代替として用いる交換機32を一意に特定する。従って、交換機選択装置5は、交換機31が利用できない場合、交換機31から通知される特定情報に基づいて交換機32を特定し、交換機32と通信を行うことができる。一方、RNC7は、交換機31が利用できない場合、交換機選択装置5が特定した交換機32を、情報通知部312によってMS9に通知された後にRNC7がMS9から受信した識別情報に含まれる特定情報(交換機選択装置5と共有する特定情報)に基づいて特定し、交換機32と通信を行うことができる。このように、RNC7と交換機選択装置5とは、交換機31を利用できなくなった場合でも、交換機31に替えて交換機32を用いることができるので、MS9の通信が継続される。
【0050】
交換機選択装置5は、交換機31の利用が不可であることを検知した後にMS9に対する着信要求を受けた場合、情報通知部312によって通知された特定情報に基づいて交換機32を特定し、この特定した交換機32に対してMS9に対する着信要求に応じた着信指示を送信する。RNC7は、交換機31の利用が不可であることを検知した後にMS9から通信要求を受けた場合、情報通知部312によってMS9に通知された後にMS9から受信する識別情報に含まれている特定情報に基づいて交換機選択装置5が特定した交換機32を特定し、この特定した交換機32に対してMS9の通信要求に応じた通信指示を送信する。従って、RNC7と交換機選択装置5とが交換機31を利用できなくなった場合でも、通信制御システム1に対しMS9に対する着信があった後に、RNC7と交換機選択装置5とは、交換機31に替えて交換機32を用いることができるので、MS9の通信が継続される。
【符号の説明】
【0051】
1…通信制御システム、5…交換機選択装置5、7…RNC、9…MS、11…通信網、31…交換機、32…交換機、33…交換機、311…識別情報作成部、312…情報通知部、313…プロファイル取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換機選択装置に接続された交換機群に含まれており、無線ネットワーク制御装置を介して通信端末を通信網に接続する交換機であって、
当該交換機以外の前記交換機群に含まれる他の一の交換機を特定するための特定情報を有しており当該交換機を識別する識別情報を作成する識別情報作成手段と、
前記無線ネットワーク制御装置を介して前記通信端末に前記識別情報作成手段によって作成された識別情報を通知すると共に、前記通信端末に通知する識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を前記交換機選択装置に通知する情報通知手段と、
を備え、
前記情報通知手段によって前記通信端末及び前記交換機選択装置に通知される特定情報は、前記交換機選択装置と、当該特定情報を含む識別情報を前記通信端末から受信した無線ネットワーク制御装置とが、前記他の一の交換機を一意に特定できる情報である、ことを特徴とする交換機。
【請求項2】
通信端末を通信網に接続する通信制御システムであって、
前記通信端末に接続される無線ネットワーク制御装置と、
前記通信端末を前記無線ネットワークを介して前記通信網に接続する交換機と、
前記交換機を含む交換機群に接続された交換機選択装置と、
を備え、
前記交換機は、
当該交換機以外の前記交換機群に含まれる他の一の交換機を特定するための特定情報を有しており当該交換機を識別する識別情報を作成する識別情報作成手段と、
前記無線ネットワーク制御装置を介して前記通信端末に前記識別情報作成手段によって作成された識別情報を通知すると共に、前記通信端末に通知する識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を前記交換機選択装置に通知する情報通知手段と、
を有し、
特定情報を含む識別情報を前記通信端末から受信した前記無線ネットワーク制御装置と、この特定情報を前記情報通知手段によって通知された前記交換機選択装置とは、この特定情報から前記他の一の交換機を一意に特定する、
ことを特徴とする通信制御システム。
【請求項3】
前記交換機選択装置は、前記交換機の利用が不可であることを検知した後に前記通信端末に対する着信要求を受けた場合、前記情報通知手段によって通知される特定情報に基づいて前記他の一の交換機を特定し、この特定した交換機に対して前記通信端末に対する着信要求に応じた着信指示を送信し、
前記無線ネットワーク制御装置は、前記交換機の利用が不可であることを検知した後に前記通信端末から通信要求を受けた場合、前記情報通知手段によって前記通信端末に通知された後に前記通信端末から受信する識別情報に含まれている特定情報に基づいて前記他の一の交換機を特定し、この特定した交換機に対して前記通信端末の通信要求に応じた通信指示を送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信制御システム。
【請求項4】
交換機選択装置に接続された交換機群に含まれており無線ネットワーク制御装置を介して通信端末を通信網に接続する交換機が行う通信制御方法であって、
前記交換機以外の前記交換機群に含まれる他の一の交換機を特定するための特定情報を有しており前記交換機を識別する識別情報を前記交換機が作成する識別情報作成ステップと、
前記識別情報作成ステップにおいて作成された識別情報を前記無線ネットワーク制御装置を介して前記通信端末に前記交換機が通知すると共に、前記通信端末に通知する識別情報に含まれている特定情報と同一の特定情報を前記交換機選択装置に前記交換機が通知する情報通知ステップと、
を含み、
前記情報通知ステップにおいて前記通信端末及び前記交換機選択装置に通知される特定情報は、前記交換機選択装置と、当該特定情報を含む識別情報を前記通信端末から受信した無線ネットワーク制御装置とが、前記他の一の交換機を一意に特定できる情報である、ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項5】
前記交換機選択装置は、前記交換機の利用が不可であることを検知した後に前記通信端末に対する着信要求を受けた場合、前記情報通知ステップにおいて通知された特定情報に基づいて前記他の一の交換機を特定し、この特定した交換機に対して前記通信端末に対する着信要求に応じた着信指示を送信する着信指示ステップと、
前記無線ネットワーク制御装置は、前記交換機の利用が不可であることを検知した後に前記通信端末から通信要求を受けた場合、前記交換機が情報通知ステップにおいて前記通信端末に通知した後に前記通信端末から受信する識別情報に含まれている特定情報に基づいて前記他の一の交換機を特定し、この特定した交換機に対して前記通信端末の通信要求に応じた通信指示を送信する通信指示ステップと、
を更に含む、ことを特徴とする請求項4に記載の通信制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−70086(P2012−70086A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211260(P2010−211260)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】