説明

交流電力調整装置

【課題】ゼロクロススイッチを用いた交流電力調整装置において、遅れ時間をあまり長くせずに消費電流の直流成分を抑制しながら高い電力調整精度を実現する。
【解決手段】ゼロクロススイッチングに対して予め決められた長さのオンオフパターンをいくつか用意しておき、ノイズシェーピングフィルタを用いて最も適切なオンオフパターンを選択するとともに電力調整誤差の低周波成分を抑制するようにフィードバック制御を掛ける。また、用意するオンオフパターンに制約を課すことにより消費電流の直流成分を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定した比率で負荷に電力を供給するように交流電圧の半サイクル毎にオン/オフを行う交流電力調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商用電力を電源として電気ヒータに電力を供給し温度の調整を行う場合、消費電流に含まれる高調波成分を抑制するためにゼロクロススイッチを用いて電気ヒータへの電力供給のスイッチングを行うことが多い。交流電圧の1周期もしくは半周期ごとにスイッチングを行うゼロクロススイッチは、抵抗負荷の場合スイッチのオン時における電流やスイッチのオフ時の電流がゼロとなるため、消費電流に含まれる高調波電流を抑制できるという利点を持つ反面、電力制御の分解能が低くなるとか、制御周期が長くなって遅れ時間が発生してしまうといった問題を持っていた。たとえば、交流の1周期ごとにオン/オフを行い、10周期中のオンとする周期数によって制御を行おうとすると、電力制御における分解能は1/10と低い上に制御周期は交流の10周期分と長くなってしまう。分解能を上げようとすると制御周期は長くなってしまうし、制御周期を短くしようとすると分解能は低くなってしまう。(特許文献1)
この問題に対して、電力制御指令値と実際のゼロクロススイッチへのスイッチ信号との誤差を積分して、その誤差を積分した信号をスイッチ信号に反映させる手法が用いられることがある。この技術は、ΔΣ変調によるパルス密度変調の応用と考えることができる。すなわち、連続値もしくは高分解能の信号を2値のオン/オフパルスに変換する手法であり、スーパーオーディオCDへの音声信号記録などにも用いられている技術である。誤差を積分した信号を用いる場合、ΔΣ変調におけるノイズシェーピングフィルタは1次の積分要素であると解釈される。このノイズシェーピングフィルタの次数を上げることにより、目標値信号と出力の2値信号の誤差のパワースペクトルの低周波成分をよく抑制できることが一般に知られているが、3次以上のノイズシェーピングフィルタを用いた場合、最大変調率が限られてしまうことが知られている。すなわち、電力制御の場合、電力指令値が0に近い状態や最大値に近い状態では、ノイズシェーピングフィルタが正常に動作しないといった問題を持っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】

【特許文献1】特開2003−274639号公報
【特許文献2】特開2002−325428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

解決しようとする課題は、ゼロクロススイッチによる電力制御において、制御周期をあまり長くすることなく、高い制御分解能を実現し、高い最大変調率を確保する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、制御周期を電源の交流電圧の半周期の整数倍に設定し、予め出力可能なゼロクロススイッチのオン/オフのパターンを用意しておき、電力指令信号とノイズシェーピングフィルタの出力信号の和に応じて予め用意されたパターンの中から適切なオン/オフのパターンを選択し、選択されたオン/オフのパターンにしたがってゼロクロススイッチを操作し、電力指令信号と選択されたオン/オフのパターンをノイズシェーピングフィルタに入力することによって制御誤差信号に対するフィルタ処理をノイズシェーピングフィルタにおいて実施する。
【0006】
以下、課題を解決するための手段について具体例にしたがって説明するが、それはあくまで例示であって、それによって本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
図1に交流電力調整装置の構成を示す。交流電源2の電圧のポジティブゼロクロス(電圧が負の値から正の値に変化する事象)およびネガティブゼロクロス(電圧が正の値から負の値に変化する事象)のタイミングはゼロクロス検出器5により検出され、スイッチング信号生成器1の動作タイミングの元となる。オンオフパターンテーブル11の出力信号であるオンオフ信号s[j]は、交流電源2の電圧のポジティブゼロクロスまたはポジティブゼロクロスおよびネガティブゼロクロスに同期して出力される。オンオフパターンテーブル11の入力信号であるパターン番号信号p[k]、およびスイッチング信号生成器1を構成するオンオフパターンテーブル11以外の構成要素は交流電源2の電圧の周期の整数倍または周期の半分の整数倍のサンプリング周期Tcで動作する。指令値信号u[k]は、この交流電力調整装置において負荷3に供給する電圧のrms値の目標値を指定する信号であり、スイッチ素子4が常にオンとなっている状態において負荷3に掛かる電圧のrms値に対する相対値として指定するものである。指令値信号u[k]はサンプリング周期Tcごとに与えられるものである。
【0008】
この交流電力調整装置の動作の概略は次のとおりである。オンオフパターンテーブル11には、予め選択されたオンオフ信号s[j]のサンプリング周期Tcに渡るパターンが格納されており、各パターンにはパターン番号が付されている。パターン選択器12は指令値信号u[k]と状態変数ベクトルx[k]によって算出される値に対応したパターン番号p[k]を算出する。オンオフパターンテーブル11はパターン番号p[k]を入力し、スイッチ素子4に対するオンオフ信号s[j]を出力する。オンオフ信号s[j]はオンオフ信号s[j]に従い、交流電源2の電圧の半周期ごとにオンまたはオフとなり、負荷3への供給電力を調節する。
【0009】
一方、フィードバックテーブル13、入力ベクトル14、遅延要素15、システム行列16およびパターン選択器12によって構成されるノイズシェーピングフィルタにより、指令値信号u[k]と実際に出力されるオンオフ信号s[j]の値の差(出力誤差)を検出し、その出力誤差の信号に対して周波数重みを掛けた信号が小さくなるオンオフパターンを選択する。出力誤差の信号に周波数重みを掛ける理由は、スイッチ素子4におけるゼロクロススイッチングに起因する電力調整誤差のスペクトルを形成し、低周波数領域における電力調整誤差を抑制するとともに、なるべく高い周波数まで電力調整誤差を低く抑えることによって電力調整の時間遅れを小さく抑えることである。
【0010】
使用するオンオフ信号s[j]のパターンの選択およびノイズシェーピングフィルタの設計は以下のように行う。
【0011】
まず、第1の手段として、スイッチ素子4のオンオフは交流電源2の電圧の1周期ごとに行う場合について説明する。ここでは、図4に示すようにサンプリング周期Tcは交流電源2の電圧の4周期である場合を考える。ここでは便宜上、オンオフ信号s[j]は交流電源2の電圧の半周期ごと出力されるものとする。したがって、オンオフパターンは8サンプルの信号となる。また、2サンプル同じ値が出力される。
【0012】
ノイズシェーピングフィルタにおけるノイズシェーピング特性の目標の例として、ハイパスフィルタの特性を持つ次の伝達関数を設定する。
【0013】
【数1】

【0014】
ただし、サンプリング周期はTcである。次に、ゼロ次ホールドを用いて離散時間化すると
【0015】
【数2】

【0016】
となる連続時間系の伝達関数を計算し、これを数3のように状態変数表現により実現する。
【0017】
【数3】

【0018】
そして、図2に示すように連続時間系のノイズシェーピングフィルタとサンプラ18を用いて交流電力調整装置を構成することを想定する。ただし、ゼロ次ホールド191は交流電源2の電圧の半周期をサンプリング周期としたゼロ次ホールド要素である。図2に示す交流電力調整装置はフィードバックテーブル13などの算出を説明するためのものであり、実際に装置を構成するものではない。
【0019】
ここで、図2に示した交流電力調整装置における連続時間系のノイズシェーピングフィルタを離散時間化して図1に示すような形態で実現することを考える。そのために、まず数3に示す連続時間系のフィルタを交流電源2の電圧の半周期をサンプリング周期として次のように離散時間化する。
【0020】
【数4】

【0021】
【数5】

【0022】
ただし、Tpは交流電源2の電圧の半周期の時間である。すると、図1におけるノイズシェーピングフィルタは次のように計算できる。
【0023】
【数6】

【0024】
【数7】

【0025】
【数8】

【0026】
ただし、s[i]はp[k]により選択されたオンオフパターンに対応する{0,1}の系列である。オンオフパターンテーブル11には後述する方法により選択されたオンオフパターンが記憶されており、その中から適切なオンオフパターンを決めるわけであるが、それはサンプリング周期Tc後における信号であるv[k+1]の絶対値がなるべく小さくなるように決定する。v[k+1]の値は次のように評価できる。
【0027】
【数9】

【0028】
【数10】

【0029】
数9において、各pの値に対するq(p)の値は予め数8および数10により計算しておくことができ、図1におけるパターン選択器12は信号u[k]およびx[k]に対してv[k+1]の大きさを小さくするp[k]の値を選択するものである。なお、信号v[k]はノイズシェーピングフィルタ等の設計に用いる信号であり、実際にはこの信号が交流電力調整装置の実装において必ずしも必要なものではない。
【0030】
図3にパターン選択器12の構成例を示す。パターン選択器12はu[k]およびx[k]を入力する。そして
【0031】
【数11】

【0032】
の値を算出し、その値を量子化器121により量子化する。ルックアップテーブル122は、量子化器121が出力する各値に対して、数9により計算されるv[k+1]の絶対値が最も小さくなるオンオフパターンが予め計算され格納されており、適切なオンオフパターンの番号pが出力される。
【0033】
また、各pの値に対するe(p)の値も数8により予め計算しておくことができるので、その値はテーブルとしてフィードバックテーブル13に格納されている。そして選択されたパターン番号p[k]のオンオフパターンに対するe(p[k])の値が出力される。
【0034】
選択可能なオンオフパターンの選択について述べる。この場合、交流電源2の電圧の4周期に対して1周期ごとにオンオフを決定するので、可能なオンオフの組み合わせは16通りとなるが、すべての可能なパターンを採用すると交流電力調整装置の性能をかえって悪化させてしまうことがある。パターンの周期内でオンオフの分布があまりにも偏っていると、そのことが悪影響を及ぼしてしまうからである。そこで、各オンオフパターンに対するq(p)の値が昇順になるようにオンオフパターンを並べた際に、オンの数が昇順となるように適当にオンオフパターンを選択する。この例では、オンオフパターンの数は12とした。オンオフパターンの例を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
表1において、パターンの0はオフを意味し、1は交流電源2の電圧の正の半サイクルの間がオン、−1は負の半サイクルがオンであることを意味する。したがって、オンオフ信号s[j]はこの表の値に対して絶対値をとったものである。
【0037】
第2の手段として、スイッチ素子4のオンオフは交流電源2の電圧の半周期ごとに行い、選択されうるすべてのオンオフパターン内で交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数が等しく、オンの数が0でないときは一つのオンオフパターン内で最初にオンとなるのは交流電源2の電圧の正の半周期であり、オンとなるのは正の半周期と負の半周期が交互となっている場合について説明する。このようなオンのタイミングに制約を設けることにより、交流電源2から流れる電流の低周波成分を軽減することができる。ここでは、図5に示すようにサンプリング周期Tcは交流電源2の電圧の4周期である場合を考える。すなわち、オンオフパターンは8サンプルからなることになる。
【0038】
選択されるオンオフパターンを除いては、動作原理および設計手法は第1の手段と同様である。可能なオンオフパターンの数は34であるが、第1の手段と同様の手法によりオンオフパターンを選択する。オンオフパターン選択の例を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
第3の手段として、スイッチ素子4のオンオフは交流電源2の電圧の半周期ごとに行い、選択されうるすべてのオンオフパターン内で交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数が必ずしも等しくなく、オンとなるのは正の半周期と負の半周期が交互となっている場合について説明する。このようなオンのタイミングに制約を設けることにより、交流電源2から流れる電流の低周波成分を軽減することができる。ここでは、図6に示すようにサンプリング周期Tcは交流電源2の電圧の4周期である場合を考える。すなわち、オンオフパターンは8サンプルからなることになる。
【0041】
選択されるオンオフパターンを除いては、動作原理および設計手法は第1の手段と同様であるが、選択されるオンオフパターンの制約条件のため直前に選択されたオンオフパターンにおいて最後にオンとなったのが電圧の正の半周期であるか負の半周期であるかによって、次に選択可能なオンオフパターンが異なってくる。直前に選択されたオンオフパターンにおける最後のオンとなったのが電圧の正のサイクルである場合は、続くオンオフパターンは最初にオンとなるのが電圧の負のサイクルであるものの中から選択され、直前に選択されたオンオフパターンにおける最後のオンとなったのが電圧の負のサイクルである場合は、続くオンオフパターンは最初にオンとなるのが電圧の正のサイクルであるものの中から選択される必要がある。最初にオンとなるのが電圧の正のサイクルであるオンオフパターンについて、可能な数は55であるが、第1の手段と同様の手法によりオンオフパターンを選択する。最初にオンとなるのが電圧の正のサイクルであるオンオフパターン選択の例を表3に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
また、最初にオンとなるのが電圧の負のサイクルであるオンオフパターンについて、可能な数は34であるが、第1の手段と同様の手法によりオンオフパターンを選択する。最初にオンとなるのが電圧の負のサイクルであるオンオフパターン選択の例を表4に示す。
【0044】
【表4】

【0045】
第4の手段として、スイッチ素子4のオンオフは交流電源2の電圧の半周期ごとに行い、選択されうるすべてのオンオフパターン内で交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数が等しく、各オンオフパターン内で任意の位置においてそのオンオフパターンの最初から数えて交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数の差の絶対値が1未満となる場合について説明する。このようなオンオフパターンに対する制約は本発明第2の手段において用いた制約よりも緩やかになっており、交流電源2から流れる電流の低周波成分を制限しながらも、選択可能なオンオフパターンの数を多く取ることを可能にしている。ここでは、図7に示すようにサンプリング周期Tcは交流電源2の電圧の4周期である場合を考える。すなわち、オンオフパターンは8サンプルからなることになる。各オンオフパターンのオンの数は偶数であり、交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数の差であるサイクル差は各オンオフパターンの終了時には0となっている。
【0046】
選択されるオンオフパターンを除いては、動作原理および設計手法は第1の手段と同様である。可能なオンオフパターンの数は61であるが、第1の手段と同様の手法によりオンオフパターンを選択する。オンオフパターン選択の例を表5に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
第5の手段として、スイッチ素子4のオンオフは交流電源2の電圧の半周期ごとに行い、選択されうるすべてのオンオフパターン内で交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数が必ずしも等しくなく、動作開始から数えて交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数の差の絶対値が1未満である場合について説明する。このようなオンのタイミングに制約を設けることにより、交流電源2から流れる電流の低周波成分を軽減することができる。このオンのタイミングに制約は本発明の第3の手段よりもさらに緩いので、選択可能なオンオフパターンの数を増やすことができ、交流電力調整装置の性能向上の可能性を与えることができる。ここでは、図8に示すようにサンプリング周期Tcは交流電源2の電圧の4周期である場合を考える。すなわち、オンオフパターンは8サンプルからなることになる。
【0049】
選択されるオンオフパターンを除いては、動作原理および設計手法は第1の手段と同様であるが、選択されるオンオフパターンの制約条件のため直前に選択されたオンオフパターンの終了時において、動作開始時からの交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数の差(以下、サイクル差と記す)の値によって、次に選択可能なオンオフパターンが異なってくる。オンオフパターン選択の制約より、起こりうるサイクル差の値は−1、0、1のどれかである。
【0050】
直前に選択されたオンオフパターンの終了時におけるサイクル差の値が1である場合に選択可能なパターンの数は61であるが、第1の手段と同様の手法によりオンオフパターンを選択する。直前に選択されたオンオフパターンの終了時におけるサイクル差の値が1である場合に選択可能なパターンの例を表6に示す。
【0051】
【表6】

【0052】
また、直前に選択されたオンオフパターンの終了時におけるサイクル差の値が−1である場合に選択可能なパターンの数は108であるが、第1の手段と同様の手法によりオンオフパターンを選択する。直前に選択されたオンオフパターンの終了時におけるサイクル差の値が−1である場合に選択可能なパターンの例を表7に示す。
【0053】
【表7】

【0054】
さらに直前に選択されたオンオフパターンの終了時におけるサイクル差の値が0である場合に選択可能なパターンの数は136であるが、第1の手段と同様の手法によりオンオフパターンを選択する。直前に選択されたオンオフパターンの終了時におけるサイクル差の値が0である場合に選択可能なパターンの例を表7に示す。
【0055】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0056】

【図1】本発明第1から第5の実施の形態における交流電力調整装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明におけるノイズシェーピングフィルタの設計手法の概念を示すための交流電力調整装置の構成を示すブロック図。
【図3】パターン選択器の構成を示すブロック図。
【図4】本発明第1の手段におけるオンオフのタイミングを説明する時間波形。
【図5】本発明第2の手段におけるオンオフパターンを説明する時間波形。
【図6】本発明第3の手段におけるオンオフパターンを説明する時間波形。
【図7】本発明第4の手段におけるオンオフパターンを説明する時間波形。
【図8】本発明第5の手段におけるオンオフパターンを説明する時間波形。
【図9】本発明第1の実施の形態における指令値信号u[k]とオンオフ信号s[j]の時間波形の例。
【図10】本発明第1の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例。
【図11】本発明第1の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例(拡大図)。
【図12】本発明第2の実施の形態における指令値信号u[k]とオンオフ信号s[j]の時間波形の例。
【図13】本発明第2の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例。
【図14】本発明第2の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例(拡大図)。
【図15】本発明第3の実施の形態における指令値信号u[k]とオンオフ信号s[j]の時間波形の例。
【図16】本発明第3の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例。
【図17】本発明第3の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例(拡大図)。
【図18】本発明第4の実施の形態における指令値信号u[k]とオンオフ信号s[j]の時間波形の例。
【図19】本発明第4の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例。
【図20】本発明第4の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例(拡大図)。
【図21】本発明第5の実施の形態における指令値信号u[k]とオンオフ信号s[j]の時間波形の例。
【図22】本発明第5の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例。
【図23】本発明第5の実施の形態におけるオンオフ信号s[j]のスペクトルの例(拡大図)。
【発明を実施するための形態】
【0057】

本発明第1の実施の形態における交流電力調整装置のブロック図は図1に示す通りである。指令値信号u[k]は、この交流電力調整装置において負荷3に供給する電圧のrms値の目標値を指定する信号であり、スイッチ素子4が常にオンとなっている状態において負荷3に掛かる電圧のrms値に対する相対値として指定するものである。したがって、指令値信号u[k]は0から1までの値をとることになる。また、指令値信号u[k]はサンプリング周期Tcごとに与えられるものである。交流電源2は商用電源であり、周波数60Hzで電圧の実効値が100Vの交流電圧源である。
【0058】
交流電源2の電圧のポジティブゼロクロス(電圧が負の値から正の値に変化する事象)およびネガティブゼロクロス(電圧が正の値から負の値に変化する事象)のタイミングはゼロクロス検出器5により検出され、スイッチング信号生成器1の動作タイミングの元となる。オンオフパターンテーブル11の出力信号であるオンオフ信号s[j]は、交流電源2の電圧のポジティブゼロクロスおよびネガティブゼロクロスに同期して出力される。オンオフパターンテーブル11の入力信号であるパターン番号信号p[k]、およびスイッチング信号生成器1を構成するオンオフパターンテーブル11以外の構成要素は交流電源2の電圧の周期の8倍のサンプリング周期で動作し、そのサンプリング周期をTcとする。(Tc=2/15[秒])なお、サンプリングの1周期は交流電源2の電圧のポジティブゼロクロスから開始される。
【0059】
この交流電力調整装置の動作の概略は次の通りである。オンオフパターンテーブル11には、予め選択されたオンオフ信号s[j]のサンプリング周期Tcに渡るパターン(16サンプル)が格納されており、各パターンにはパターン番号が付されている。パターン選択器12は数11に従って指令値信号u[k]と状態変数ベクトルx[k]から計算される値に対応したパターン番号p[k]を算出する。オンオフパターンテーブル11はパターン番号p[k]を入力し、スイッチ素子4に対するオンオフ信号s[j]を出力する。オンオフ信号s[j]はオンオフ信号s[j]に従い、交流電源2の電圧の半周期ごとにオンまたはオフとなり、負荷3への供給電力を調節する。
【0060】
一方、フィードバックテーブル13、入力ベクトル14、遅延要素15、システム行列16およびパターン選択器12によって構成されるノイズシェーピングフィルタにより、指令値信号u[k]と実際に出力されるオンオフ信号s[j]の値の差(出力誤差)を検出し、その出力誤差の信号に対して周波数重みを掛けた信号が小さくなるオンオフパターンを選択する。出力誤差の信号に周波数重みを掛ける理由は、スイッチ素子4におけるゼロクロススイッチングに起因する電力調整誤差のスペクトルを形成し、低周波数領域における電力調整誤差を抑制するとともに、なるべく高い周波数まで電力調整誤差を低く抑えることによって電力調整の時間遅れを小さく抑えることである。
【0061】
ノイズシェーピングフィルタにおけるノイズシェーピング特性の目標として、ハイパスフィルタの特性を持つ数1に示す伝達関数を設定する。ただし、サンプリング周期はTcである。すると、数6におけるA、b、cの値として次のものを用いることができる。
【0062】
【数12】

【0063】
本発明の第1の実施の形態では、スイッチ素子4は交流電源2の電圧の1周期を単位としてオンまたはオフとする。したがって、オンオフパターンテーブル11に格納されているオンオフパターンは、オン信号およびオフ信号が必ず二つずつ連続したものとなっている。スイッチ素子4が交流電源2の電圧の1周期を単位としてオンまたはオフとすることにより、交流電源2から供給される電流の低周波成分を確実に少なくすることができる。
【0064】
可能なオンオフパターンの数は256であるが、本発明第1の手段に従いオンオフパターンを選択し、182個のオンオフパターンを用いた。量子化器121の出力レベル数およびルックアップテーブル122のエントリー数は1820とした。
【0065】
指令値信号u[k]として
【0066】
【数13】

【0067】
(f=0.3715[Hz])に対してサンプリング周期Tcでサンプルしたものを用いた場合のオンオフ信号s[j]の様子の例を図9に示す。また、このときのオンオフ信号s[j]のスペクトルを図10に示す。これはオンオフ信号s[j]のスペクトルではあるが、実質的に負荷3に供給される電力のスペクトルとなる。また、周波数が低い領域におけるスペクトルを図11に示す。周波数1.5[Hz]から下の周波数において、スペクトルが急速に落ち込んでおり、オンオフ信号s[j]の低周波成分が指令値信号u[k]に精度良く追従していることがわかる。
【0068】
本発明の第1の実施の形態においては、指令値信号u[k]が0.05よりも小さい値となる場合はノイズシェーピングフィルタの動作を停止し、スイッチ素子4を常にオフとする。また、指令値信号u[k]が0.95よりも大きい値となる場合はノイズシェーピングフィルタの動作を停止し、スイッチ素子4を常にオンとする。これは、指令値信号u[k]の値が0に近かったり1に近かったりすると、ノイズシェーピングフィルタが正常に動作できなくなるからである。この現象はノイズシェーピングフィルタの次数が3以上のときに現れる。ノイズシェーピングフィルタの次数を2以下にしても、このような問題を回避することもできるが、ノイズシェーピングの性能が落ちる上に、特に指令値信号u[k]の値が0に近かったり1に近かったりする場合に性能の悪化が顕著になるといった問題点を持っている。
【0069】
本発明の第1の実施の形態においては、ノイズシェーピングフィルタにおけるノイズシェーピング特性の目標として数1に示す伝達関数を設定したが、ノイズシェーピング特性の目標は数1に示す伝達関数である必要はなく、他の伝達関数を用いても良い。また、ノイズシェーピング特性の目標とする伝達関数は3次のものである必要はなく、2次の伝達関数または4次以上の次数の伝達関数を用いてもよい。
【0070】
本発明の第1の実施の形態においては、オンオフ信号s[j]は交流電源2の電圧の半周期ごとに出力していたが、本発明の第1の実施の形態においてはスイッチ素子4をオンまたはオフとするのは交流電源2の電圧の1周期ごとであるので、オンオフ信号s[j]を交流電源2の電圧の1周期ごとに出力するようにしてもよい。しかし、オンオフ信号s[j]を交流電源2の電圧の半周期ごとに出力するようにすることにより、後述する本発明の他の実施の形態と容易に切り替えることができるので、ユーザにより使用する本発明の実施の形態を切り替える場合には都合が良い。
【0071】
本発明第2の実施の形態は用いるオンオフパターンが異なることを除いては、本発明第1の実施の形態と同じである。したがって、本発明第2の実施の形態における交流電力調整装置のブロック図は図1に示す通りであり、図1において本発明第1の実施の形態とその内容が異なるブロックはオンオフパターンテーブル11、パターン選択器12、フィードバックテーブル13である。本発明第2の実施の形態では、本発明第2の手段を用い、すべてのオンオフパターン内で交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数が等しく、オンの数が0でないときは一つのオンオフパターン内で最初にオンとなるのは交流電源2の電圧の正の半周期であり、オンとなるのは正の半周期と負の半周期が交互となっている。このようなオンのタイミングに制約を設けることにより、本発明第1の実施の形態に対して選択可能なオンオフパターンの数が増え、交流電源2から流れる電流の低周波成分の軽減を図りながら、制御誤差の低周波成分を低減させ、より高精度な電力調整を可能にすることができる。
【0072】
オンオフパターンは16個のオンまたはオフの信号から成り立っており、上述の制約を満たすオンオフパターンの数は1597となる。そのうち、本発明第2の手段に従い1254個のオンオフパターンを選択して使用した。量子化器121の出力レベル数およびルックアップテーブル122のエントリー数は12540とした。
【0073】
指令値信号u[k]として数13(f=0.3715[Hz])に対してサンプリング周期Tcでサンプルしたものを用いた場合のオンオフ信号s[j]の様子の例を図12に示す。また、このときのオンオフ信号s[j]のスペクトルを図13に示す。これはオンオフ信号s[j]のスペクトルではあるが、実質的に負荷3に供給される電力のスペクトルとなる。また、周波数が低い領域におけるスペクトルを図14に示す。本発明第1の実施の形態に比べて低域におけるスペクトルが抑制されている。
【0074】
本発明第3の実施の形態は用いるオンオフパターンおよびその選択方法が異なることを除いては、本発明第1の実施の形態と同じである。したがって、本発明第3の実施の形態における交流電力調整装置のブロック図は図1に示す通りであり、図1において本発明第1の実施の形態とその内容が異なるブロックはオンオフパターンテーブル11、パターン選択器12、フィードバックテーブル13である。本発明第3の実施の形態では、本発明第3の手段を用い、スイッチ素子4は交流電源2の電圧の半周期ごとにオンまたはオフとなるが、オンとなる交流電源2の電圧の符号は必ず正負が交互となるようにする。したがって、直前までのオンオフパターンで最後にオンとなったのが交流電源2の電圧の正の半サイクルに対応している場合は最初のオンが正の半サイクルではないオンオフパターンの中から選択され、直前までのオンオフパターンで最後にオンとなったのが交流電源2の電圧の負の半サイクルに対応している場合は最初のオンが負の半サイクルではないオンオフパターンの中から選択される必要がある。すなわち、図3に示すパターン選択器におけるルックアップテーブル122は2種類用意され、最後にスイッチ素子4がオンとなったときの交流電源2の電圧の符号により切り替えられる。このような方法でオンのタイミングの制約を本発明第2の実施の形態に対して緩めることにより、交流電源2から流れる電流の低周波成分の軽減を図りながら制御誤差の低周波成分を低減させ、より高精度な電力調整を可能にすることが期待できる。
【0075】
オンオフパターンは16個のオンまたはオフの信号から成り立っており、上述の制約を満たすオンオフパターンの数は負のサイクルから始まらないものが2584、正のサイクルから始まらないものが1597となる。そのうち、本発明第3の手段に従いそれぞれ1177個および798個のオンオフパターンを選択して使用した。量子化器121の出力レベル数およびルックアップテーブル122のエントリー数は、負のサイクルから始まらないもの及び正のサイクルから始まらないもの共に11770とした。
【0076】
指令値信号u[k]として数13(f=0.3715[Hz])に対してサンプリング周期Tcでサンプルしたものを用いた場合のオンオフ信号s[j]の様子の例を図15に示す。また、このときのオンオフ信号s[j]のスペクトルを図16に示す。これはオンオフ信号s[j]のスペクトルではあるが、実質的に負荷3に供給される電力のスペクトルとなる。また、周波数が低い領域におけるスペクトルを図17に示す。本発明第2の実施の形態に比べて低域におけるスペクトルがさらに抑制されている。
【0077】
本発明第4の実施の形態は用いるオンオフパターンが異なることを除いては、本発明第1の実施の形態と同じである。したがって、本発明第4の実施の形態における交流電力調整装置のブロック図は図1に示す通りであり、図1において本発明第1の実施の形態とその内容が異なるブロックはオンオフパターンテーブル11、パターン選択器12、フィードバックテーブル13である。本発明第4の実施の形態では、本発明第4の手段を用い、すべてのオンオフパターン内で交流電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数が等しく、オンオフパターン内の任意の位置において、それまでの電源2の電圧の正の半周期におけるオンの数と負の半周期におけるオンの数の差の絶対値が1以下となるようにしている。このようなオンのタイミングに制約の緩和により、本発明第2の実施の形態に対して選択可能なオンオフパターンの数が増え、交流電源2から流れる電流の低周波成分の軽減を図りながら、制御誤差の低周波成分を低減させ、より高精度な電力調整を行う可能性を持っている。
【0078】
オンオフパターンは16個のオンまたはオフの信号から成り立っており、上述の制約を満たすオンオフパターンの数は6714となる。そのうち、本発明第4の手段に従い5593個のオンオフパターンを選択して使用した。量子化器121の出力レベル数およびルックアップテーブル122のエントリー数は55930とした。
【0079】
指令値信号u[k]として数13(f=0.3715[Hz])に対してサンプリング周期Tcでサンプルしたものを用いた場合のオンオフ信号s[j]の様子の例を図18に示す。また、このときのオンオフ信号s[j]のスペクトルを図19に示す。これはオンオフ信号s[j]のスペクトルではあるが、実質的に負荷3に供給される電力のスペクトルとなる。また、周波数が低い領域におけるスペクトルを図20に示す。
【0080】
本発明第5の実施の形態は用いるオンオフパターンおよびその選択方法が異なることを除いては、本発明第1の実施の形態と同じである。したがって、本発明第5の実施の形態における交流電力調整装置のブロック図は図1に示す通りであり、図1において本発明第1の実施の形態とその内容が異なるブロックはオンオフパターンテーブル11、パターン選択器12、フィードバックテーブル13である。本発明第5の実施の形態では、本発明第5の手段を用い、スイッチ素子4は交流電源2の電圧の半周期ごとにオンまたはオフとなるが、交流電力調整装置の動作開始時から数えた交流電源2の電圧の正の半周期と負の半周期におけるスイッチ素子4のオンの数の差(以下、サイクル差と記す)の絶対値が任意のタイミングで1以下となるようにオンオフパターンを選択する。したがって、オンオフパターン選択時において、サイクル差が−1のとき、0のとき、1のときで選択可能なオンオフパターンが異なってくる。すなわち、図3に示すパターン選択器におけるルックアップテーブル122は3種類用意され、前のオンオフパターン終了時におけるサイクル差の値により切り替えられる。このような方法でオンのタイミングの制約を本発明第4の実施の形態に対して緩めることにより、交流電源2から流れる電流の低周波成分の軽減を図りながら制御誤差の低周波成分を低減させ、より高精度な電力調整を可能にすることが期待される。
【0081】
オンオフパターンは16個のオンまたはオフの信号から成り立っており、上述の制約を満たすオンオフパターンの数は直前のサイクル差が1の場合が6714、−1の場合が12087、0の場合が15080である。そのうち、本発明第5の手段に従いそれぞれ3501個、5867個および7427個のオンオフパターンを選択して使用した。量子化器121の出力レベル数およびルックアップテーブル122のエントリー数は、直前のサイクル差のすべての値の場合に対して 74270とした。
【0082】
指令値信号u[k]として数13(f=0.3715[Hz])に対してサンプリング周期Tcでサンプルしたものを用いた場合のオンオフ信号s[j]の様子の例を図21に示す。また、このときのオンオフ信号s[j]のスペクトルを図22に示す。これはオンオフ信号s[j]のスペクトルではあるが、実質的に負荷3に供給される電力のスペクトルとなる。また、周波数が低い領域におけるスペクトルを図23に示す。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の交流電力調整装置を用いると、ゼロクロススイッチングを用いながらも抵抗性の負荷に対して精度の高い電力制御を実現することができる。
【符号の説明】
【0084】
1・・・スイッチング信号生成器
11・・・オンオフパターンテーブル
12・・・パターン選択器
121・・・量子化器
122・・・ルックアップテーブル
123・・・スカラーゲイン
124・・・ベクトルゲイン
13・・・フィードバックテーブル
14・・・入力ベクトル
15・・・遅延要素
16・・・システム行列
17・・・ゼロ次ホールド
18a,18b・・・サンプラ
19・・・積分要素
2・・・交流電源
3・・・負荷
4・・・スイッチ素子
5・・・ゼロクロス検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に対してスイッチ素子を介して負荷に電力を供給し、前記交流電源の電圧のゼロクロスを検出するゼロクロス検出手段を持ち、前記スイッチ素子は前記ゼロクロス検出手段の出力信号に従って前記交流電源の電圧の半周期ごとにオンまたはオフするものであり、前記スイッチ素子を前記交流電源の電圧の半周期の整数倍であるスイッチング周期ごとにオンまたはオフさせる制御装置を持ち、前記制御装置は2以上の整数であるnに対してスイッチング周期のn倍の制御周期を持ち、前記制御装置は制御周期の間にスイッチング周期ごとにスイッチ素子をオンにするかオフにするかを決定するm種類のオンオフパターンを記憶し、電力調整指令値を入力し、電力調整指令値と前記スイッチ素子へのオンまたはオフの指令信号を入力として前記オンオフパターンを選択するパターン選択演算装置を持ち、mの値がnの値よりも大きいことを特徴とする交流電力調整装置。
【請求項2】
前記スイッチング周期が前記交流電源の電圧の1周期に等しいことを特徴とする請求項1に記載の交流電力調整装置。
【請求項3】
前記スイッチング周期が前記交流電源の電圧の半周期に等しいことを特徴とする請求項1に記載の交流電力調整装置。
【請求項4】
nの値が偶数であり、前記オンオフパターンはすべて前記交流電源の電圧が正である半周期におけるオンの数と電圧が負である半周期におけるオンの数が等しく、前記交流電源の電圧が正である半周期におけるオンと電圧が負である半周期におけるオンが交互に現れるものであることを特徴とする請求項3に記載の交流電力調整装置。
【請求項5】
nの値が偶数であり、前記オンオフパターンはすべて前記交流電源の電圧が正である半周期におけるオンと電圧が負である半周期におけるオンが交互に現れるものであり、前記オンオフパターンは最初のオンが前記交流電源の電圧が正である半周期に該当する第1のパターン群と最初のオンが前記交流電源の電圧が負である半周期に該当する第2のパターン群に分けられ、直前の制御周期において選択されたオンオフパターンにおいて、前記交流電源の電圧が正である半周期に最後にオンとなった場合は当該制御周期においては第2のパターン群からオンオフパターンが選択され、前記交流電源の電圧が負である半周期に最後にオンとなった場合は当該制御周期においては第1のパターン群からオンオフパターンが選択されることを特徴とする請求項3に記載の交流電力調整装置。
【請求項6】
nの値が偶数であり、前記オンオフパターンはすべて前記交流電源の電圧が正である半周期におけるオンの数と電圧が負である半周期におけるオンの数が等しく、各オンオフパターンにおいて任意のスイッチング周期におけるそれ以前の前記交流電源の電圧が正である半周期におけるオンの数と電圧が負である半周期におけるオンの数の差の絶対値が1を超えないことを特徴とする請求項3に記載の交流電力調整装置。
【請求項7】
前記オンオフパターンはすべて任意のスイッチング周期におけるそれ以前の前記交流電源の電圧が正である半周期におけるオンの数と電圧が負である半周期におけるオンの数の差の絶対値が1を超えないものであり、前記オンオフパターンは任意のスイッチング周期におけるそれ以前の前記交流電源の電圧が正である半周期におけるオンの数と電圧が負である半周期におけるオンの数の差が負とならない第3のパターン群と、前記差が正とならない第4のパターン群と、第3のパターン群にも第4のパターン群のどちらにも属さない第5のパターン群に分けられ、前記スイッチ素子がそれまでにオンとした前記交流電源の電圧が正である半周期の数と前記交流電源の電圧が負である半周期の数の累積差を算出する手段を持ち、直前の制御周期の終了時における前記累積差が正である場合は第4のパターン群からオンオフパターンを選択し、負である場合は第3のパターン群からオンオフパターンを選択し、0である場合は第3または第4または第5のパターン群からオンオフパターンを選択することを特徴とする請求項3に記載の交流電力調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−164997(P2011−164997A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27995(P2010−27995)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】