説明

交通シミュレーションプログラム、交通シミュレーション装置及び交通シミュレーション方法

【課題】電気自動車に関する有用なシミュレーションを行なうことを課題とする。
【解決手段】交通シミュレーション装置は、道路網に関する地図データのモデルである道路網モデルを生成し、該道路網モデルを走行する電気自動車の充電状況が所定値以下になった場合に、充電インフラである充電ステーションで該電気自動車の充電を行なうアルゴリズムを実行し、実行されたアルゴリズムに基づいて、電気自動車の充電状況や充電ステーションの稼動状況等についての解析を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通シミュレーションプログラム、交通シミュレーション装置及び交通シミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の交通シミュレータは、一つの様態として、既存の交通インフラの有効利用や、新規の交通インフラの整備計画に伴う道路環境の予測等の都市計画で利用される。かかる交通シミュレータでは、多くの情報をモデル化してシミュレーションを行なうことで、より高精度なシミュレーション結果を得ることができる。
【0003】
例えば、モデル化する情報としては、車両1台毎の速度・加速度、車間距離、道路の幅員・車線数、信号機の切り替え及び線路の踏み切り等が挙げられる。そして、最近では、上記のような詳細な情報を利用してシミュレーションを行なう様々な交通シミュレータの技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−258889号公報
【特許文献2】特開2005−292945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、石油に対する依存度の低減やCOの排出量の削減を目指した動きが国際的に活発になっている。これに伴い、運輸の部門では、ハイブリッド自動車、電気自動車及び燃料電池自動車等の次世代自動車の開発が進められている。ところが、従来技術では、詳細で且つ複数の情報をモデル化してシミュレーションを行なっているものの、電気自動車に有用な情報を利用していないため、電気自動車に関するシミュレーションには適さないという課題がある。
【0006】
そこで、本願に開示する技術は、上記に鑑みてなされたものであって、電気自動車に関する有用なシミュレーションを行なうことが可能である交通シミュレーションプログラム、交通シミュレーション装置及び交通シミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する交通シミュレーション装置は、道路網に関する地図データのモデルである道路網モデルを生成する生成手段と、生成手段によって生成された道路網モデルを走行する電気自動車の充電状況が所定値以下になった場合に、充電ステーションで該電気自動車の充電を行なうアルゴリズムを実行する実行手段と、実行手段によって実行されたアルゴリズムに基づいて、電気自動車の挙動及び/又は充電ステーションの稼動についての解析を行なう解析手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本願に開示する交通シミュレーションプログラム、交通シミュレーション装置及び交通シミュレーション方法の一つの様態は、電気自動車に関する有用なシミュレーションを行なうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施例に係る交通シミュレーション装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、主要道路が抽出された道路網モデルの例を示す図である。
【図3A】図3Aは、実行部によって設定される起点・終点に係るゾーンによる分割の例を示す図である。
【図3B】図3Bは、実行部によって設定される目的地選択の例を示す図である。
【図4】図4は、実行部によって実行されるEVのトリップ回数の発生割合の例を示す図である。
【図5A】図5Aは、実行部によって実行されるダイクストラ法を用いた最短経路の探索ステップの例を示す図である。
【図5B】図5Bは、実行部によって実行されるダイクストラ法を用いた最短経路の探索ステップの例を示す図である。
【図5C】図5Cは、実行部によって実行されるダイクストラ法を用いた最短経路の探索ステップの例を示す図である。
【図5D】図5Dは、実行部によって実行されるダイクストラ法を用いた最短経路の探索ステップの例を示す図である。
【図5E】図5Eは、実行部によって実行されるダイクストラ法を用いた最短経路の探索ステップの例を示す図である。
【図6】図6は、交通シミュレーション装置によって利用される道路網モデルの地区の例を示す図である。
【図7】図7は、出力部によって出力されるシミュレーション結果の表示内容の例を示す図である。
【図8】図8は、本実施例に係る交通シミュレーション処理の例を示すフローチャートである。
【図9A】図9Aは、内々交通におけるシミュレーション結果の例を示す図である。
【図9B】図9Bは、都市間交通におけるシミュレーション結果の例を示す図である。
【図10】図10は、1トリップあたりの走行距離に関するシミュレーション結果の例を示す図である。
【図11】図11は、充電ステーションの有無に関するEVの走行距離のシミュレーション結果の例を示す図である。
【図12】図12は、搭載電池容量が14kWhである場合のEVの走行距離を示す図である。
【図13】図13は、EV充電台数の時系列データと搭載電池容量との関係を示す図である。
【図14】図14は、全ての道路情報を含む道路網モデルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本願に開示する交通シミュレーションプログラム、交通シミュレーション装置及び交通シミュレーション方法の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
[交通シミュレーション装置の構成]
まず、図1を用いて、本実施例に係る交通シミュレーション装置の構成を説明する。図1は、本実施例に係る交通シミュレーション装置の構成例を示す図である。
【0012】
例えば、図1に示すように、交通シミュレーション装置100は、入力部101と、出力部102と、記憶部110と、制御部120とを有する。この交通シミュレーション装置100は、例えば、電気自動車(EV:Electric Vehicle)に関する交通シミュレーションを実行する。
【0013】
入力部101は、キーボードやマウス等を有し、交通シミュレーション装置100における各種情報の入力を受け付ける。例えば、入力部101は、交通シミュレーション装置100を利用するユーザによる入力にしたがって、シミュレーションの開始を受け付けて、後述する生成部121に出力する。また、例えば、入力部101は、交通シミュレーション装置100を利用するユーザによって入力された各種情報を受け付けて、記憶部110に格納する。
【0014】
以下に、入力部101を利用して入力される主要なパラメタを挙げる。
実行制御パラメタ
・1ステップあたりの時間間隔(秒)
・使用ノード率(0.0〜1.0)(EVの出発地・目的地の選択に利用されるノード数の割合)
EV入力パラメタ
・EV発生台数(台)
・搭載電池容量(kWh)
・走行燃費(km/kWh)
・アクセサリ機器消費電力(kW)
・充電警告灯点灯閾値(kWh)
・標準走行速度(km/h)
・領域速度の設定オプション(渋滞効果)(on,off)
・高速道路の利用オプション(on,off)
・EVが走行開始時に満充電である確率(0.0〜1.0)
・EVが走行開始時に満充電でない場合における充電率(0.0〜1.0)
充電入力パラメタ
・充電ステーション充電出力(kW)
・充電ステーション最大充電可能台数(台)
【0015】
出力部102は、表示装置としてのモニタ(若しくはディスプレイ、タッチパネル等)やスピーカを有し、交通シミュレーション装置100における各種情報を出力する。例えば、出力部102は、後述する解析部123からシミュレーションの解析結果を受け付けて出力する。
【0016】
以下に、出力部102によって出力される解析結果の主要なパラメタを挙げる。
各EVに関する出力
・航続距離(km)
・走行時間(秒)
・燃料警告点灯時間累積値(秒)
・充電回数(回)
・電池切れの有無(有,無)
・トリップ回数
各充電ステーションに関する出力
・累積利用回数(回)
・供給電力量(kWh)
・充電待ち時間累積値(秒)
・最大待ち時間(秒)
・最大充電待ちEV台数(台)
・充電ステーション上での電池切れEV台数(台)
・EV利用台数時系列データ(台,時刻(h))
【0017】
記憶部110は、例えば、制御部120による各種処理に要するデータや、制御部120による各種処理結果を記憶する。また、記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
【0018】
制御部120は、制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有するとともに、生成部121と、実行部122と、解析部123とを有する。また、制御部120は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、又は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0019】
生成部121は、例えば、入力部101からシミュレーションの開始通知を受け付けた場合に、道路網に関する地図データのモデルである道路網モデルを生成する。このとき、生成部121は、入力部101から入力された若しくは記憶部110に記憶された「渋滞情報」、「世帯数」、「就業者数」及び「事業所数」等の各種情報も読み込む。
【0020】
生成部121によって生成される道路網モデルは、例えば、主要道路のみが抽出されたものが利用される。加えて、生成部121によって生成される道路網モデルは、例えば、存在する道路が高速道路であるか普通道路であるかの情報をさらに有するものであっても良い。すなわち、高速道路と普通道路とでは、EVの走行速度が異なる。
【0021】
また、生成部121によって生成される道路網モデルは、例えば、各道路の渋滞時における走行速度の情報が付加されたものであっても良い。走行速度の情報が付加される場合には、シミュレーション実行の際にEVが走行する走行条件として読み込まれ、該EVの走行時間が延長される。
【0022】
ここで、図2を用いて、利用される道路網モデルについて説明する。図2は、主要道路が抽出された道路網モデルの例を示す図である。
【0023】
例えば、図2に示すように、道路網モデルは、高速道路、国道及び県道等の主要な道路のみが抽出されている。また、図2では、交差点を黒い円で示す。そして、生成部121は、「渋滞情報」、「世帯数」、「就業者数」及び「事業所数」等の各種情報を図2に示す道路網モデルに埋め込む。なお、図2に示す道路網モデルは、記憶部110や交通シミュレーション装置100に接続されるサーバ装置等に予め記憶されており、シミュレーションが開始される場合に、ユーザによる入力部101の操作で利用する道路網モデルや該道路網モデルの範囲等が選択されることになる。
【0024】
図1の説明に戻り、実行部122は、生成部121によって生成された道路網モデルを利用してシミュレーションを実行する。例えば、実行部122は、生成部121によって生成された道路網モデルを走行するEVの充電状況が所定値以下になった場合に、充電ステーションで該EVの充電を行なうアルゴリズムを実行する。
【0025】
かかるEVの充電状況の所定値は、例えば、「3kWh」とする。そして、実行部122は、EVの走行中に充電状況が「3kWh」以下になった場合に、最寄りの充電ステーションと当初の目的地とでどちらか近いかを判定し、より近い方を目的地として設定するアルゴリズムを実行する。なお、実行部122は、目的地或いは充電ステーションまでの経路について、最短時間で走行できるルートを選択する。さらに、充電ステーション到着時に、充電装置が他のEVによって利用されている最中である場合には、このときの充電待ち時間も解析される。また、全てのEVにおける出発時の充電状態(SOC:State Of Charge)は、入力部101からの入力データである「EVが走行開始時に満充電である確率(0.0〜1.0)」や、「EVが走行開始時に満充電でない場合における充電率(0.0〜1.0)」等によって定められる。
【0026】
また、EVによる充電について、実行部122は、規則的に走行するEVと任意に走行する電気自動車とを含んだアルゴリズムを実行する。例えば、規則的に走行するEVは、1日のうち8時〜9時までの出勤時間帯で通勤トリップを行なうとともに、16時〜18時までの帰宅時間帯で帰宅トリップを行なうEVを指す。また、例えば、任意に走行するEVは、全ての時間帯において任意のトリップを行なうEVを指す。なお、例えば、通勤トリップや帰宅トリップは、休日では発生せず、休日については、11時〜17時までのトリップ数が最も多くなる。
【0027】
ここで、図3A、図3B及び図4を用いて、実行部122によって実行される起点・終点の設定内容について説明する。図3Aは、実行部122によって設定される起点・終点に係るゾーンによる分割の例を示す図である。図3Bは、実行部122によって設定される目的地選択の例を示す図である。図4は、実行部122によって実行されるEVのトリップ回数の発生割合の例を示す図である。
【0028】
例えば、実行部122は、図3Aに示すように、生成部121によって生成された道路網モデルを任意の数のゾーンに分割し、該ゾーン毎におけるEVの発生指数を算出する。かかるEVの発生指数「IEV」は、例えば、ゾーン「i」における世帯数「H」と就業者数「P」とを用いて、数式(1)のように定義する。また、例えば、EVの発生指数「IEV」を用いて、ゾーン「i」におけるEVの発生指数「NEV」を仮想空間内に走行させる全てのEV数「NallEV(=ΣEV)」は、数式(2)により設定する。
【0029】
EV=H×P ・・・(1)
EV=(IEV÷ΣEV)×NallEV ・・・(2)
【0030】
そして、実行部122は、1トリップ(走行)の距離別度数分布を確率分布として、乱数を発生させてEVの目的地(終点)までの走行距離「L」kmを設定する(1トリップの距離別度数分布は、「国土交通省 平成11年度道路交通センサスOD調査」を参照)。
【0031】
続いて、実行部122は、出発点(起点)から「L」kmの距離に存在するノードを選択する。すなわち、実行部122は、図3Bに示すように、出発点を「ノードA」として、該出発点から2km(図3Bの点線で示す円の範囲)以内に存在する「ノードA」、「ノードB」及び「ノードB」を選択する。その後、実行部122は、選択された目的地の候補となるノードの事業所数の割合から乱数を発生させ、目的地(終点)となるノードを選択する。すなわち、実行部122は、図3Bに示すように、目的地となる「ノードA」、「ノードB10」及び「ノードB21」等を選択する。
【0032】
そして、実行部122は、図4に示すEVのトリップ回数の確率分布に基づき、乱数を発生させてシミュレーションで任意に走行するEVのトリップ回数を設定する。図4では、縦軸はトリップ回数の割合を示し、横軸は1日のトリップ回数を示している。なお、図4に示すトリップ回数の確率分布では、シミュレーションにおいて発生するEVが元の出発地まで戻ることで2回以上のトリップが発生することとして仮定している。
【0033】
このとき、実行部122は、3回以上のトリップが発生する場合に、上記の目的地の選択処理を繰り返し実行することで目的地を決定する。また、図4において、トリップ回数が2回である割合が6割程になっている理由は、例えば、自宅等から目的地に出発して帰宅するという単純に往復を行なう場合が多いからである。
【0034】
自動車の1日のトリップ回数の度数分布については、以下に示す地方自治体による解析結果等を参照。
「小松能美都市圏総合都市交通計画、http://www.city.komatsu.lg.jp/toshikeikaku/koutsuu/koutuu_mas1.html、検索日:2010年4月15日」
「第3回今治市総合都市交通体系調査検討委員会、資料1:第3回今治市総合都市交通体系調査検討委員会資料、議案第3号、http://www.city.imabari.ehime.jp/tosisei/sougou/k4/090220_0103.pdf、検索日:2010年4月15日」
【0035】
また、実行部122は、道路網モデルを走行するEVの起点から終点までの経路の設定において、該道路網モデルにおける所定地点を経由させ、各地点間を直線で繋いだ場合の最短距離又は最短時間で該EVを走行させるシミュレーションを実行する。道路網モデルにおける最短距離又は最短時間でEVを走行させるために、実行部122は、例えば、ダイクストラ法を利用する。かかるダイクストラ法は、例えば、地点Pから地点Qまでの最短経路上に地点Rがある場合に、地点Pから地点Rまでの最短経路が地点Pから地点Qまでの最短経路上に存在することを利用するものである。
【0036】
ここで、図5A〜図5Eを用いて、実行部122によって実行されるダイクストラ法を用いた最短経路の探索ステップを説明する。図5A〜図5Eは、実行部122によって実行されるダイクストラ法を用いた最短経路の探索ステップの例を示す図である。なお、以下では、図5A〜図5Eに示す地点H〜地点Nのうち出発地(起点)を「地点H」、目的地(終点)を「地点N」とする場合を説明する。すなわち、地点I〜地点Mは、上記の所定地点に該当する。また、図5A〜図5Eに示す数値は、各地点間の距離を示す情報である。
【0037】
例えば、実行部122は、図5Aに示す地点H〜地点Nについて3つのグループに分ける。かかる3つのグループは、例えば、地点Hからの最短距離が確定した地点の集合(以下、「グループ1」と言う)と、グループ1の地点に隣接する地点の集合(以下、「グループ2」と言う)と、グループ1及びグループ2以外の地点の集合(以下、「グループ3」と言う)とである。すなわち、実行部122は、図5Aにおいて、「グループ1:地点H」、「グループ2:地点I、地点J、地点K」、「グループ3:地点L、地点M、地点N」とする。
【0038】
そして、実行部122は、図5Bに示すように、「グループ2:地点I、地点J、地点K」に含まれる各地点に対する最短経路を決定する。すなわち、実行部122は、図5Bにおいて、「グループ1:地点H、地点I、地点J、地点K」、「グループ2:地点L、地点M」、「グループ3:地点N」とする。
【0039】
続いて、実行部122は、図5Cに示すように、地点Mについて地点K及び地点Jからの経路を比較し、距離「8」となる地点Kからの経路を最短経路に決定する。すなわち、実行部122は、図5Cにおいて、「グループ1:地点H、地点I、地点J、地点K、地点M」、「グループ2:地点L、地点N」、「グループ3:該当なし」とする。
【0040】
その後、実行部122は、図5Dに示すように、地点Lについて地点I及び地点Kからの経路を比較し、距離「9」となる地点Iからの経路を最短経路に決定する。すなわち、実行部122は、図5Dにおいて、「グループ1:地点H、地点I、地点J、地点K、地点L、地点M」、「グループ2:地点N」、「グループ3:該当なし」とする。
【0041】
そして、実行部122は、図5Eに示すように、地点Nについて地点L及び地点Mからの経路を比較し、距離「11」となる地点Mからの経路を最短経路に決定する。すなわち、実行部122は、図5Eにおいて、全ての地点が「グループ1」に該当することで、地点Hから地点Nまでの最短経路を決定する。なお、図5A〜図5Eの例では、距離を評価関数とする場合を説明したが、該評価関数は経路間の到達時刻等であっても良い。
【0042】
また、実行部122は、生成部121によって走行速度を付加した道路網モデルが生成された場合に、該走行速度に基づいてEVを走行させるシミュレーションを実行する。すなわち、走行速度に基づいてEVを走行させるシミュレーションでは、走行時間が変動することで、EVのエネルギー消費が異なる。なお、EVのエネルギー消費は、走行距離が変動することでも異なることは明らかなことである。
【0043】
これらのことから、実行部122は、EVのエネルギー消費について走行距離に比例する消費エネルギーと、走行時間に比例する消費エネルギーとの2種類に分けて設定する。かかる走行時間に比例する消費エネルギーは、例えば、渋滞等による走行時間の延長に起因して発生するEVにおける空調等のアクセサリ機器での消費エネルギーを指す。
【0044】
例えば、EVにおける全エネルギー消費量「Eall」(kWh)は、走行距離「L」(km)、走行燃費「ηdrive」(km/kWh)、アクセサリ機器消費電力「Pac」(kW)及び走行時間「Tdrive」(h)を用いて数式(3)で定義される。但し、EVのモータによる電動走行の燃費は、ガソリン車と比較して速度に対する依存度が小さいため、走行燃費「ηdrive」を速度と関係なく一定値(例えば、「7.5km/kWh」等)にしても良い。
【0045】
all=(L÷ηdrive)+Pac×Tdrive ・・・(3)
【0046】
ここで、実行部122によってゾーンの決定や経路の設定等が行なわれた後に、シミュレーションが実行される道路網モデルを図6に示す。図6は、交通シミュレーション装置100によって利用される道路網モデルの地区の例を示す図である。図6では、A〜Jまでの市区町村が網掛けで分けられており、充電ステーションを黒い円で示す。
【0047】
解析部123は、実行部122によって実行されたアルゴリズムに基づいて、EVの挙動及び/又は充電ステーションの稼動についての解析を行ない、解析結果を出力部102に出力する。かかるEVの挙動について、解析部123は、例えば図6に示す道路網モデルでの出発地と目的地とが同一市町村内の交通となる内々交通量と、出発地と目的地とが異なる市町村の交通となる都市間交通量とを算出する。
【0048】
また、解析部123は、例えば、EVによるエネルギー消費量すなわちEVの充電状況の解析として、実行部122によって道路網モデルを走行させたEVの走行時間を用いて、該EVにおけるエネルギー消費量を解析する。なお、走行時間は、各道路の渋滞時におけるものや、充電ステーションの充電待ち時間におけるもの等が利用される。
【0049】
ここで、図7を用いて、出力部102によって出力されるシミュレーション結果の表示内容を説明する。図7は、出力部102によって出力されるシミュレーション結果の表示内容の例を示す図である。なお、図7は、モデル地図で示しているが、航空写真による地図等の各種地図データを利用しても良い。
【0050】
例えば、図7では、停止中のEV(白抜きの三角)と、帰宅トリップ中のEV(白抜きの丸)と、通勤トリップ中のEV(白抜きの四角)と、非通勤トリップ中のEV(黒い三角)と、充電警告灯点灯中のEV(黒い丸)とにEVを分けて示している。また、充電ステーションの設置位置は、図7中において黒い四角で示されている。なお、充電警告灯点灯中のEVとは、例えば、充電状況が所定値以下となったEVを指す。
【0051】
[交通シミュレーション処理]
次に、図8を用いて、本実施例に係る交通シミュレーション処理を説明する。図8は、本実施例に係る交通シミュレーション処理の例を示すフローチャートである。
【0052】
例えば、図8に示すように、交通シミュレーション装置100は、シミュレーションが開始される場合に(ステップS101肯定)、シミュレーションで利用する道路網モデルを生成する(ステップS102)。なお、交通シミュレーション装置100は、シミュレーション開始の通知を受け付けていない場合に(ステップS101否定)、該シミュレーション開始の通知待ちの状態となる。
【0053】
そして、交通シミュレーション装置100は、EVにおけるエネルギー消費のモデルを設定する(ステップS103)。かかるエネルギー消費モデルの設定では、例えば、走行距離や走行時間等から求められるEVにおける全エネルギー消費量等が利用される。続いて、交通シミュレーション装置100は、道路網モデルにおける起点及び終点を設定する(ステップS104)。かかる起点及び終点の設定では、例えば、ゾーンに区分けされた道路網モデルにおける該ゾーン毎のEV発生指数等を利用しつつ、EVのトリップ回数及び該トリップ回数に基づいたEVの目的地までの走行距離を決めることで設定される。
【0054】
その後、交通シミュレーション装置100は、ダイクストラ法等を利用した経路の設定を行なう(ステップS105)。そして、交通シミュレーション装置100は、EVの走行及び充電状況についてのアルゴリズムを実行する(ステップS106)。かかるEVの走行及び充電状況についてのアルゴリズムは、例えば、出発時に充電状態を「0.0〜1.0」に設定することや、充電状況が所定値以下になった場合に最寄りの充電ステーションを目的地とすること等を実行する。また、EVの走行及び充電状況についてのアルゴリズムは、例えば、1秒単位等のリアルタイムで実行される。
【0055】
続いて、交通シミュレーション装置100は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS107)。このとき、交通シミュレーション装置100は、所定時間が経過したと判定された場合に(ステップS107肯定)、ステップS103の処理を実行する。すなわち、交通シミュレーション装置100は、所定時間ごとに各種設定を変更しつつシミュレーションを実行することになる。なお、所定時間は、例えば1時間等である。
【0056】
一方、交通シミュレーション装置100は、所定時間が経過していないと判定された場合に(ステップS107否定)、シミュレーションを終了するか否かを判定する(ステップS108)。なお、シミュレーションの実行時間は、シミュレーション開始時に入力される等して決定される。このとき、交通シミュレーション装置100は、シミュレーションを終了しないと判定された場合に(ステップS108否定)、ステップS106の処理を実行する。一方、交通シミュレーション装置100は、シミュレーションを終了すると判定された場合に(ステップS108肯定)、実行されたシミュレーションに基づいて種々の解析を実行する(ステップS109)。なお、交通シミュレーション装置100によってシミュレーション解析された解析結果は、所定の表示部に表示出力されたり、他の情報処理装置等に通知されたりする。
【0057】
[交通区間に関するシミュレーション結果]
次に、図9A及び図9Bを用いて、交通区間に関するシミュレーション結果を説明する。図9Aは、内々交通におけるシミュレーション結果の例を示す図であり、図9Bは、都市間交通におけるシミュレーション結果の例を示す図である。なお、図9Aでは、縦軸は内々交通量の発生割合を示し、横軸は市区町村を示している。同様に、図9Bでは、縦軸は、都市間交通量の発生割合を示し、横軸は市区町村間を示している。
【0058】
例えば、図9Aに示すように、内々交通における解析結果は、交通量の調査結果をほぼ再現している。同様に、図9Bに示すように、都市間交通における解析結果は、交通量の調査結果をほぼ再現している。なお、図9A及び図9Bのような交通量の調査結果の例は、「京阪神都市圏パーソントリップ調査(第4回 大阪市) 資料−8 http://www.city.osaka.lg.jp/keikakuchosei/cmsfiles/contents/0000022/22792/H12PT-37.38.pdf、検索日:2010年5月9日」を参照。
【0059】
[走行距離に関するシミュレーション結果]
次に、図10を用いて、走行距離に関するシミュレーション結果を説明する。図10は、1トリップあたりの走行距離に関するシミュレーション結果の例を示す図である。なお、図10では、縦軸はトリップ数発生割合を示し、横軸は1トリップ当たりの走行距離を示している。
【0060】
例えば、図10に示すように、1トリップあたりの走行距離に関する解析結果は、1トリップの走行距離の調査結果をほぼ再現している。なお、図10における1トリップの走行距離の調査結果は、「国土交通省 平成11年度道路交通センサスOD調査」を参照。
【0061】
[充電ステーションの有無に関するEVの走行距離]
次に、図11を用いて、充電ステーションの有無に関するEVの走行距離を説明する。図11は、充電ステーションの有無に関するEVの走行距離のシミュレーション結果の例を示す図である。なお、図11では、縦軸は平均走行距離を示し、横軸は搭載電池容量を示している。
【0062】
また、ここでは、充電ステーションの設置によるユーザの利便性向上の効果の解析例として、図6に示した位置に充電ステーションを設置した場合のEVの走行距離の延長効果を解析する。以下に、解析に用いたパラメタの例を挙げる。
・EV発生台数:3000(台)
・搭載電池容量:8,14,20(kWh)
・走行燃費:7.5(km/kWh)
・アクセサリ機器消費電力:3.0(kW)
・標準走行速度:45(km/h)
・領域速度の設定オプション(渋滞効果):on
・高速道路の利用オプション:on
・EVが走行開始時に満充電である確率:1.0
【0063】
また、EVの充電は、充電ステーションのみで実施することとする。そして、図6のモデル地区に対するEVのシミュレーションを実行し、EVの平均走行距離に関して充電ステーションが設置されていない場合と17箇所に設置されている場合とについて比較する。
【0064】
このようにして解析を行なった結果、図11に示すように、全ての搭載電池容量において、充電ステーションを設置した場合の方が、1日の平均走行距離が長くなる。つまり、充電ステーションの設置は、EVの遠方への走行が可能になることから、充電ステーションが設置されない場合よりもユーザの利便性が向上している解析結果を得られることになる。
【0065】
また、図11に示すように、充電ステーションを設置した場合における平均走行距離は、全ての搭載電池容量においてほぼ「37km」となる。つまり、充電ステーションを17箇所設置する場合には、自家用乗用車の実動1日の平均走行距離である「35km」の走行が可能となる解析結果を得られることになる。かかる解析結果は、EVを利用する場合であっても、ガソリン車等と比較してユーザの利便性を損なうことがないことを示している。なお、自家用乗用車の実動1日の平均走行距離については、「国土交通省 自動車輸送統計調査年報平成17年度分」を参照。
【0066】
[搭載電池容量毎の走行距離]
次に、図12を用いて、搭載電池容量が14kWhである場合のEVの走行距離を説明する。図12は、搭載電池容量が14kWhである場合のEVの走行距離を示す図である。なお、図12では、縦軸は走行距離を示し、横軸は台数を示している。また、図12では、充電ステーションを0箇所から図6に示した17箇所設置した場合を説明する。
【0067】
例えば、図12に示すように、搭載電池容量が「14kWh」である場合のEVの走行距離の台数分布では、充電ステーションを設置したことによって、特に60km以上の走行台数が増えるという解析結果を得られる。つまり、充電ステーションの設置は、長距離走行するEVの台数が増加するため、これに伴い、EVの走行距離も増加することを示している。
【0068】
[EV充電台数の時系列データと搭載電池容量との関係]
次に、図13を用いて、EV充電台数の時系列データと搭載電池容量との関係を説明する。図13は、EV充電台数の時系列データと搭載電池容量との関係を示す図である。なお、図13では、縦軸は充電ステーションの利用台数を示し、横軸は時間を示している。また、図13では、図6に示した充電ステーションにおけるEVの充電台数の時系列データと、「8kWh」、「14kWh」及び「20kWh」である搭載電池容量との関係を示す。
【0069】
例えば、図13に示すように、EVの出発時は、充電率が100%であるため、午前中における充電ステーションの利用台数は少なく、午後になると該利用台数が増加する解析結果が得られる。また、図13では、EVの搭載電池容量が8kWhから20kWhへ増えるにつれて、充電ステーションの利用台数が少なくなる解析結果が得られる。
【0070】
また、搭載電池容量が「8kWh」である場合には、充電ステーションの利用台数が1時間に最大30台あることから、1台の充電に10分を要すると仮定しても5台の充電装置を設置することが好ましい解析結果が得られる。つまり、充電ステーションにおいては、普及するEVにおける搭載電池容量がどの程度になるかによって、充電ステーションの利用台数や設置すべき台数等が大きく変化することになる。
【0071】
[実施例による効果]
上述したように、交通シミュレーション装置100は、生成した道路網モデル上を走行するEVの充電状況が所定値以下になった場合に充電を行なうアルゴリズムを実行し、解析を行なうので、EVに関する有用なシミュレーションを行なうことができる。換言すると、交通シミュレーション装置100は、EVの導入で要するEVの充電状況と、充電ステーションの稼動状況とを評価するので、EVに関する有用なシミュレーションを行なうことができる。
【0072】
また、交通シミュレーション装置100は、渋滞時の走行速度情報が付加された道路網モデルを利用してEVのシミュレーションを実行するので、EVの空調機器等のアクセサリがEVの走行以外に消費するエネルギーの増大に係る評価に有用である。
【0073】
また、交通シミュレーション装置100は、EVの経路選択でダイクストラ法を利用した直線距離を走行させるシミュレーションを実行するので、道路網モデルの道路数や車線数等のデータを簡略化し、シミュレーションにおける計算量を削減することができる。
【0074】
なお、本実施例では、交通シミュレーション装置について説明したが、交通シミュレーション装置が有する構成をソフトウェアによって実現することで、同様の機能を有する交通シミュレーションプログラムを得ることができる。
【0075】
また、上記文書中や図面中等で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメタ等を含む情報(例えば、「シミュレーションで実行される各種パラメタの値」等)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、シミュレーションの実行で利用される道路網モデルについては、図2に示したものに限られるものではなく、図14に示すように、道路が存在するか否かの情報を有するものであれば良い。なお、図14は、全ての道路情報を含む道路網モデルの例を示す図である。
【0076】
また、図示した交通シミュレーション装置100の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合することができる。例えば、実行部122は、起点・終点を設定する処理部と、経路を選択する処理部と、エネルギー消費のモデルを設定する処理部と、EVの走行及び充電に係るアルゴリズムを実行する処理部とに分散しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
上述したように、本願に開示する交通シミュレーションプログラム、交通シミュレーション装置及び交通シミュレーション方法は、EVの交通シミュレーションに有用であり、特にEVの充電状況及び充電ステーションの稼動状況を解析することに適する。
【符号の説明】
【0078】
100 交通シミュレーション装置
101 入力部
102 出力部
110 記憶部
120 制御部
121 生成部
122 実行部
123 解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路網に関する地図データのモデルである道路網モデルを生成する生成手順と、
前記生成手順によって生成された道路網モデルを走行する電気自動車の充電状況が所定値以下になった場合に、充電ステーションで該電気自動車の充電を行なうアルゴリズムを実行する実行手順と、
前記実行手順によって実行されたアルゴリズムに基づいて、電気自動車の挙動及び/又は充電ステーションの稼動についての解析を行なう解析手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする交通シミュレーションプログラム。
【請求項2】
前記解析手順は、前記実行手順によって走行させた電気自動車の走行時間を用いて、該電気自動車による電気消費量を解析することを特徴とする請求項1に記載の交通シミュレーションプログラム。
【請求項3】
前記生成手順は、各道路の渋滞時における走行速度の情報を付加した道路網モデルを生成し、
前記実行手順は、前記生成手順によって付加された走行速度に基づいて前記電気自動車を走行させ、
前記解析手順は、前記実行手順によって走行させた電気自動車の走行時間を用いて、該電気自動車による電気消費量を解析することを特徴とする請求項1に記載の交通シミュレーションプログラム。
【請求項4】
前記生成手順は、走行速度の情報を付加した道路網モデルを生成し、
前記実行手順は、前記生成手順によって付加された走行速度に基づいて前記電気自動車を走行させ、さらに各充電ステーションでの充電待ち時間を含んだ充電を行なうアルゴリズムを実行し、
前記解析手順は、前記実行手順によって走行させた電気自動車の走行時間と、前記各充電ステーションにおける充電待ち時間とを用いて、該電気自動車による電気消費量を解析することを特徴とする請求項1に記載の交通シミュレーションプログラム。
【請求項5】
前記生成手順は、道路が存在するか否かの情報を有する道路網モデルを生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の交通シミュレーションプログラム。
【請求項6】
前記生成手順は、道路が高速道路か普通道路かの情報を有する道路網モデルを生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の交通シミュレーションプログラム。
【請求項7】
前記実行手順は、前記生成手順によって生成された道路網モデルを走行する電気自動車の起点から終点までの経路の設定において、該道路網モデルにおける所定地点を経由させ、各地点間を直線で繋いだ場合の最短距離又は最短時間で該電気自動車を走行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の交通シミュレーションプログラム。
【請求項8】
前記実行手順は、規則的に走行する電気自動車と任意に走行する電気自動車とを含んだアルゴリズムを実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の交通シミュレーションプログラム。
【請求項9】
前記実行手順は、前記充電状況が所定値以下になった場合に、最寄りの充電ステーションと予め設定された終点とでどちらが近いかを判定し、より近い方を目的地として設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の交通シミュレーションプログラム。
【請求項10】
道路網に関する地図データのモデルである道路網モデルを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された道路網モデルを走行する電気自動車の充電状況が所定値以下になった場合に、充電ステーションで該電気自動車の充電を行なうアルゴリズムを実行する実行手段と、
前記実行手段によって実行されたアルゴリズムに基づいて、電気自動車の挙動及び/又は充電ステーションの稼動についての解析を行なう解析手段と
を有することを特徴とする交通シミュレーション装置。
【請求項11】
道路網に関する地図データのモデルである道路網モデルを生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された道路網モデルを走行する電気自動車の充電状況が所定値以下になった場合に、充電ステーションで該電気自動車の充電を行なうアルゴリズムを実行する実行工程と、
前記実行工程によって実行されたアルゴリズムに基づいて、電気自動車の挙動及び/又は充電ステーションの稼動についての解析を行なう解析工程と
を含んだことを特徴とする交通シミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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