説明

交通信号制御システム、車載装置

【課題】 時差式信号機の設置交差点における交通安全や交通の円滑をより一層促進できる交通信号制御システムを提供する。
【解決手段】 交通信号制御機1は送信機4を備え、アンテナ5Aを通じて道路R1上を交差点Aに向かって進行する車両Cに対して信号情報を送信する。当該信号情報には、信号灯器2Aおよび2Bの現在の信号灯色やその継続時間、及び将来表示する予定の信号灯色やその継続時間等に関する情報が含まれる。道路R1を走行する車両Cの車載機6は、通信領域Qにおいて前記信号情報を受信した時点で、カーナビゲーション装置等のディスプレイ6Aにその情報を表示する。ドライバは当該ディスプレイ6Aによって交差点Aにおける信号表示の状態を正確に認識することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時差式信号機を有する交差点において、交通の安全性を向上する交通信号制御システムおよび車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
時差式信号機とは、交差点において対面する交通流の双方に対して青信号を表示している場合に、一方に対する赤信号の表示開始時点が、他方に対する赤信号の表示開始時点とは異なり、所定の時差を有する信号機を指す。
対面する交通流のうち一方の右折需要が大きい場合に、当該方向から流入する右折車両と進路が交差する対面側の交通流に通行権を与えないようにすることで、右折車両が滞りなく進行しうる時間帯を確保し、交差点における交通渋滞を解消することを目的として設置されることが多い(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−270097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時差式信号機が設置されている交差点の場合、通常は信号灯器の上方に時差式信号機である旨の表示板が併設されているので、ドライバは当該信号機が時差式であることを把握することはできるが、自身の進行方向とは逆方向の信号灯器の表示状態を確認できないため、ドライバがとまどうことがあった。
特に、時差式信号機設置交差点で右折しようとする車両の場合、自身に対する信号表示が青信号であっても、対面側が赤信号であるとの確信が持てないと、右折するのに躊躇することがあり、時差式信号機を設置して交通の安全性や円滑化を促進しようとする効果が半減してしまう、という問題点があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑み、時差式信号機の設置された交差点における交通の安全や円滑を促進することのできる交通信号制御システムおよび車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明にかかる交通信号制御システムは、時差式信号機設置交差点において信号灯器の表示を制御するものであり、該交差点に進入する車両の進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、当該車両に対して、その旨を知らせる報知手段を備えている(請求項1)。
【0007】
本発明にかかる交通信号制御システムによれば、時差式信号機の設置されている交差点に進入する車両のドライバが、従来までは知ることのできなかった対面方向の交通流に対する信号表示を知ることができるようになる。従って、対面方向に進行する車両が赤信号で既に停止すべき状態となっているのかどうかを正確に把握できるようになり、ドライバが運転中にとまどうことがなくなる。
特に、当該交差点を右折しようとする車両のドライバは、対面方向から直進してくる車両が赤信号で停止すべき状態であるかどうかを確実に認識できるようになるため、躊躇なく右折を開始できるようになり、当該交差点における交通の安全性が向上する。
【0008】
前記報知手段に、前記車両との間で路車間通信を行うための通信手段と、前記進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、その旨の情報を含む信号情報を作成する信号情報作成手段とを備えさせておき、前記通信手段が、前記信号情報作成手段によって作成された信号情報を前記車両に対して送信するようにしても良い(請求項2)。
【0009】
路車間通信によって交差点に進入する個々の車両に対して情報を送ることで、車両それぞれに対して確実に情報を伝達することが可能となる。
【0010】
また、前記報知手段は、前記進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、前記車両に対する信号表示を行う信号灯器において点灯させている信号灯色を点滅させるようにしてもよいし(請求項3)、別途表示板を備えておいて、前記進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、前記表示板にその旨を示す文字および図柄のうち少なくとも1つを表示させてもよい(請求項4)。
【0011】
例えば、対面方向の信号灯器が赤信号となったら、進行方向に表示する青信号灯(黄信号灯)を点滅させたり、別途設けた表示板に文字等で表示したりすることで、ドライバに対して対面方向の信号灯器が赤信号になったことを視覚的に知らせることが可能になる。
信号灯器を点滅させる方法には新たな設備を交差点に設けることなく低コストで実現できるという利点があり、表示板を用いる方法には文字情報などによって的確にドライバに情報を通知できるという利点がある。
【0012】
なお、第一の発明にかかる交通信号制御システムから前記信号情報を受信する車両側の車載装置は、当該車両の進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なっている場合に、その旨を認識しうる文字列および図形のうち少なくとも1つを表示するように構成されていると良い(請求項5)。
個々の車両に搭載される車載装置において、個別にドライバに報知することで、より一層情報伝達の確実性が向上する。
【0013】
この場合、車両が交差点に接近した場合に、その交差点の構造を拡大して画面上に表示するように構成しておき、当該拡大図上に、前記進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とをそれぞれ表示するようにしておくとさらに良い(請求項6)。
このような構成とすることで、ドライバは交差点の拡大図を見て交差点の全体構造と実際に眼前に見えている光景とを対応付けた上で、どの位置の信号灯器がどのような表示をしているのかを直感的かつ瞬時に把握できる。したがって、ドライバは交差点に進入した場合の運転方法を正確かつ短時間で決定することができるようになる。
【0014】
なお、視覚的な方法だけではなく聴覚的な情報としてもドライバに通知して、ドライバへの情報伝達を確実なものとするために、前記2つの信号表示が異なっている旨を認識しうるような音声を再生するように構成するとなお一層良い(請求項7)。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の交通信号制御システムおよび車載装置によれば、時差式信号機の設置された交差点における交通の安全性が高まり、円滑化が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る交通信号制御システムの機器配置の概要を示す模式図である。
【0017】
〔システムの全体構成〕
交差点Aには交通信号制御機1が設置されており、信号灯器2Aと2Bを含む信号灯器の各信号灯色を点灯、消灯、及び点滅させて、交差点Aに向かって進行する1又は複数の車両(図中の車両Cを含む)に対して通行権の有無を表示する。
信号灯器2Aは、交差点Aに接続する道路R1上を交差点Aに向かって進行する車両に対して通行権を表示するものであり、一方の信号灯器2Bは道路R2上を交差点Aに向かって進行する車両に対する通行権を表示する。つまり、信号灯器2Aと2Bは、互いに対面して進行する車両に対する通行権を表示するように設置されている。
【0018】
交通信号制御機1には車両に対して無線で通信データを送信するための送信機4(図4)が内蔵されており、当該送信機4に接続された通信アンテナ5Aから道路R1に向けて通信データが送信される。道路R1上を走行する車両Cは、通信領域Q(図1において斜線で示す範囲)において、通信アンテナ5Aから送信される前記通信データを受信することができる。
【0019】
前記通信データには、交通信号制御機1が制御する信号灯器2Aや2Bの表示灯色やその継続秒数の予定に関する信号情報が含まれる。
ここにいう信号情報には、例えば、現在表示中の青信号の継続期間や、その後に表示する黄信号や赤信号等の表示の順序やその継続予定期間等が格納される。
また、前記通信データには、道路R1等の車線数や勾配といった道路の形状等に関する道路形状情報や道路R1等の路面状態を通知する路面状態情報等が含まれている。
【0020】
なお、前記送信機4は交通信号制御機1に内蔵しなくても良く、例えば、送信機4を独立した装置として別途道路上等に設置して用いても良い。
この場合、交通信号制御機1は、作成した信号情報等を、送信機4に対して別途通信回線等を通じて送信すれば良い。
また、前記信号情報等はどのような形式であっても良く、例えば信号情報と道路形状情報をあわせて1つの情報としても良いし、逆に信号情報を2つ以上の複数の情報としても良い。また、送信機は送信するデータの種類毎に用意しても良く、信号情報と道路形状情報が異なる送信機から送信される構成であっても良い。
【0021】
一方、交通管制センターには信号制御装置7が設置され、ルータ8や通信回線を通じて、交通信号制御機1との間で情報を交換する。
交通信号制御機1は、信号制御装置7からの信号制御指令情報に基づいてサイクル毎に信号制御プランを決定し、サイクル開始時に決定した前記信号制御プランに基づいて、信号灯器2A等の各信号灯色を点灯等する機能を有する。
ここにいう信号制御指令情報には、例えば主道路と従道路のそれぞれに対して割り当てるべき青信号の時間又はその割合に関する情報、1サイクルの時間、地点感応制御(例えば、ギャップ感応制御、バス感応制御やジレンマ感応制御等)を実施してよいか否かに関する情報等が格納される。
【0022】
そして、道路R1上を走行する車両Cは、前記信号情報等を受信して安全運転支援動作を行う機能を有する。
ここにいう安全運転支援動作とは、前記信号情報や道路形状情報等に基づいて、車両Cが停止線を通過する時点における信号機の表示状態を予測した上で、例えば前記時点で赤信号になっていると予測される場合には、停止線の手前に車両を停止させるように自動的にブレーキを制御したり、ドライバに対して停止を促すような警告を発したりすることをいう。
なお、道路上を走行する全ての車両が前記安全運転支援動作の機能を有する必要はなく、また、前記機能を有する車両であっても当該機能を停止していても良い。
【0023】
〔信号情報の内容〕
図2に前記信号情報の一例を示す。
(a)は信号情報の基本構造の一例であり、ヘッダ部、データ部、及びフッタ部によって構成されることを示す。
(b)は情報の詳細を示す一例である。
ここでは、時差式信号機の設置された交差点で、対面する2つの信号灯器2Aおよび2Bの情報を格納した場合の例を示す。
【0024】
ヘッダ部には、信号情報のデータサイズや、交通信号制御機1が車両に対して情報提供する対象となる信号灯器の数(02)、情報提供する灯色の数(03)が格納されており、後続のデータ部に各信号灯器の各表示灯色の表示予定秒数が、前記信号灯器数分格納されている。
そして、フッタ部にはCRCやSUM値等が格納される。
【0025】
また、データ部には、まず信号灯器2Aの灯器番号(01)が格納され、信号灯器2Aの前記灯色数分の灯色の表示予定秒数が格納される。この例では、現在表示している信号灯色は青信号(データ「01」)で、その表示予定秒数は22秒(16進数で「16」)であり、青信号の次に表示するのは黄信号(データ「02」)で、その表示予定秒数は8秒(16進数で「08」)であり、黄信号の次に表示するのは赤信号(データ「03」)で、その表示予定秒数は64秒(16進数で「40」)であることを示している。
後続の信号灯器2B(灯器番号は「02」)の信号灯色に関する情報についても同様である。
なお、表示予定秒数は、100msや10ms単位で表現しても良いし、表示予定秒数が不明の場合には、例えば「FF」などと表現しても良い。
【0026】
この例では、格納される2つの信号灯器の情報について、青信号の表示予定秒数が異なっているが(信号灯器2Aが22秒であるのに対し、信号灯器2Bが12秒(16進数で「0C」)である)、これは、対面する信号灯器2Aおよび2Bを時差式で制御しているためである。
【0027】
〔交通信号制御機の基本的動作〕
以下、交通信号制御機1の基本的動作を説明する。
【0028】
交通信号制御機1の信号制御プラン作成手段101は、サイクル開始時点において、信号制御装置7から送信された信号制御指令情報に基づいて、前記各信号灯色の表示期間に関する信号制御プランを決定し、信号制御プランテーブル102に格納する。
そして、信号灯器制御手段111は、前記テーブル102の状態1乃至8の順番で信号灯器2A等を制御し、各信号灯色の点灯や消灯等を行う。
【0029】
この例では、状態2および状態3で先に信号灯器2Bの表示を黄色および赤色に変化させ、次に状態4および状態5で信号灯器2Aの表示を黄色および赤色に変化させている。これは、対面する信号灯器2Aと2Bを時差式で制御しているためである。
【0030】
信号情報作成手段121は、所定の周期毎(例えば100ms毎)に、信号制御プランテーブル102に基づいて、図2に例示した信号情報を作成する。そして、作成された信号情報は、送信機4を通じて通信領域Qに対して送信される。
この信号情報を受信した車載機6は、信号灯器2Aと2Bが時差式で制御されていることを知ることができる。そして、信号灯器2Bが黄信号の表示を開始した時点(状態2の開始時点)において、信号灯器2Aと2Bの現在灯色が異なっていることを認識できるようになる。
【0031】
なお、信号情報作成手段121は、常時、信号情報を通信領域Qに対して送信し続けても良いし、信号灯器2Aと2Bが異なる表示をしている時間帯のみ又はその時間帯とその前後数秒間のみ送信するようにしても良い。
【0032】
また、状態2の開始時点で、表示板制御手段131は、信号灯器2Aと信号灯器2Bの表示が現時点で異なっている旨の文字や図柄等を表示板3に表示させるようにすると良い。例えば、「現在、対面方向の車両に対して赤信号を表示中」などといった文字列を注意喚起する旨の図柄等と共に表示させる。対面方向の信号灯器2Bの状態を図柄で表示しても良い。あるいは、カメラで信号灯器2Bを常時撮影し、その映像を表示板3に表示しても良い。
【0033】
また、信号灯器制御手段111は、状態2又は状態3の開始時点で信号灯器2Aの青色の信号灯色を点滅させるようにしても良い。車両Cのドライバは青信号が点滅し始めたことで対面側の信号灯色2Bの信号表示が黄色又は赤色に変化したことを知ることができる。この場合、状態3の開始時点で青信号の点滅を開始するようにすることが好ましい。道路R1上を進行してきた車両が安全に右折を開始できるのは、対面側の信号灯器2Bが赤信号となった後だからである。
【0034】
なお、信号情報の送信、表示板3への表示、および信号灯器2Aの青信号の点滅は、いずれか1つのみを実施しても良いし、複数を組み合わせて実施するようにしても良い。
信号情報の送信と共に信号灯器2Aの点滅等を同時に行うようにすれば、路車間通信手段を有する車両とそうでない車両の双方のドライバに対して報知できるようになり至便である。
【0035】
〔信号制御装置の動作〕
次に、信号制御装置7の動作を説明する。
図5は、信号制御装置7の機能ブロックの概略図である。
信号制御装置7は、交通信号制御機1及び他の交通信号制御機(図示せず)を含む複数の交通信号制御機との間で、送信手段701及び受信手段711により、通信回線を通じて情報を送受信している。
【0036】
交通状況取得手段731は、道路上に設置された1又は複数の車両感知器(図示せず)から送信されてくる感知器情報を収集し、交通情報データベース732に蓄積する。そして、これらの感知器情報に基づいて車両感知器の設置された道路やその周辺における交通状況を把握する。この場合、交通状況の把握は例えば5分毎や信号機のサイクル時間毎等の周期で行われる。前記交通状況の把握に当たっては、各道路における交通量、占有時間、平均走行速度、車群の待ち行列長等の指標が用いられる。
例えば、ある交差点では主道路側と従道路側の交通量の比率が大幅に変動したことや、別の交差点では流入交通量が交差点の飽和交通流率を上回り飽和状態に達していること等の状況を把握する。
【0037】
次に、前記交通状況に基づいて、各交差点の現示に割り当てる青時間、サイクル長やオフセット等を決定し、信号制御指令作成手段721がこれらを含む前記信号制御指令情報を作成する。そして、前記作成された信号制御指令情報を随時各交通信号制御機に送信することで、各交通信号制御機の動作に関する指示を与える。
当該信号制御指令情報を受信した各交通信号制御機は、前述の方法等で信号制御プランを決定する。
【0038】
〔車載機の基本的動作〕
以下、車載機6の基本的動作を詳しく説明する。
図6は、車載機6と車載機6を搭載した車両Cの機能ブロックの概略図である。
【0039】
車両Cには車載機6の他に、車両Cを進行させるためのエンジンと制動するためのブレーキが備えられている。前記エンジンやブレーキは、ドライバがアクセルペダルやブレーキペダル等を操作することによって制御できるが、この他にも、車載機6からの指示等に基づいて自動的に制御することができる。
また、車両Cには、車載機6からの情報等に基づいて、搭乗者に対して画像や音声等によって各種情報を報知するためのディスプレイ6A(ヘッドアップディスプレイやカーナビゲーション装置の画面等)やスピーカ6Bが備えられている。
【0040】
信号情報等取得手段601は、通信アンテナ5Aから所定の通信方式で送出される前記信号情報や道路形状情報等を、車両Cに搭載した受信アンテナ(図示せず)等を介して受信して取得する。
この場合、路車間通信に用いられる通信方式では、長波帯や短波帯等いずれの周波数帯を使用しても良く、変調方式もOFDMやCDMA等いかなる方法を用いても良いし、手順についてもCSMA/CA等どのような方法でも良い。
また、信号情報等が異なる送信機から送信される場合には、情報毎に受信手段を備えていても良い。
【0041】
そして、取得した前記信号情報や道路形状情報等に基づいて、停止線に到達するまでに要する所要時間から停止線到達時の信号灯器2A等の表示灯色を予測し、当該予測結果に応じて、スピーカ制御手段621が搭乗者に対する音声情報を作成してスピーカを通じて報知したり、ディスプレイ制御手段611が画像情報を作成してディスプレイ2Aを通じて報知したりする。
また、速度制御手段631は、エンジンやブレーキを制御し、車両Cを自動的に制動したり、ドライバの運転をアシストしたりする。
【0042】
ここで、ディスプレイ6Aに表示する画像情報について図7を用いて詳しく説明する。
車両Cの搭載するGPS等(図示せず)から取得される車両Cの位置が交差点Aに近づき、所定の距離以内となった時点で、ディスプレイ6Aの表示は、地図画面から交差点Aの拡大表示に切り替えられる。
図7のように、道路R1上を交差点Aに向かって進行した場合の交差点Aの模式図が3次元的に表示され、ドライバは瞬時に手前の矢印記号の方向から交差点Aに進入することを理解することができる。
【0043】
そして、車両Cに対して通行権を表示する信号灯器2Aが交差点Aのすぐ向こう側に設置されていて、その信号表示がどうなっているかと、車両Cと対面方向に通行権を表示する信号灯器2Bが交差点Aの手前側に設置されていて、その信号表示がどうなっているか、を一目で把握することができる。
信号灯器2Bはドライバから直接視認できないため、信号灯器2Bの上方に吹き出し図形を表示し、その吹き出し図形の中に信号灯器2Bの状態を表示するとよい。
【0044】
そして、図7のように信号灯器2Aが青信号で信号灯器2Bが赤信号である場合、時差式制御によって両者の表示が異なった状態であることを示す文字列や図柄等を画面上に目立つように表示する。
このように、画面上にドライバが瞬時に認識可能な文字列等を表示することで、ドライバは交差点Aに進入する段階でとまどうことがなくなり、安全性がより一層高くなる。
【0045】
なお、ディスプレイ6Aへの画面表示と同時に、スピーカ制御手段621がスピーカ6Bを通じて音声によってドライバに注意喚起するようにしても良い。この場合の音声情報は画面に表示した文字情報と同じ「現在、対面方向は赤信号です」といった内容にすれば良い。
【0046】
また、車載機6は受信した信号情報により、現在表示されている信号灯器2A等の表示があと何秒継続するか、を把握することができるため、その継続秒数を信号灯器2A等の近くにリアルタイム表示しておいても良い。そして、「間もなく進行方向の信号が赤に変わる」といった情報を画面に表示したり、音声でドライバに伝えたりしても良い。
【0047】
なお、本発明における交通信号制御機1や信号制御装置7等は、1つの筐体によって実現されていても良いし、複数の筐体の組み合わせによって実現されても良い。また、これらは、それぞれ1つのコンピュータによって実現されていても良いし、複数のコンピュータを組み合わせて実現されていても良い。
【0048】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る交通信号制御システムの機器配置の概要を示す模式図である。
【図2】(a)は本発明に係る信号情報のフォーマットの一例を示す図、(b)は信号情報の一例を示す図である。
【図3】信号制御プランの一例を示す図である。
【図4】交通信号制御機1の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【図5】信号制御装置7の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【図6】車載機6の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【図7】ディスプレイ6Aの表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 交通信号制御機
2A、2B 信号灯器
3 表示板
4 送信機
5A 通信アンテナ
6 車載機
7 信号制御装置
8 ルータ
101 信号制御プラン作成手段
102 信号制御プランテーブル
111 信号灯器制御手段
121 信号情報作成手段
131 表示板制御手段
601 信号情報等取得手段
611 ディスプレイ制御手段
621 スピーカ制御手段
631 速度制御手段
6A ディスプレイ
6B スピーカ
701 送信手段
711 受信手段
721 信号制御指令作成手段
731 交通状況取得手段
732 交通情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時差式信号機設置交差点において信号灯器の表示を制御する交通信号制御システムであって、
該交差点に進入する車両の進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、当該車両に対して、その旨を知らせる報知手段を備えること
を特徴とする交通信号制御システム。
【請求項2】
前記報知手段は、
前記車両との間で路車間通信を行うための通信手段と、
前記進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、その旨の情報を含む信号情報を作成する信号情報作成手段とを備えており、
前記通信手段は、
前記信号情報作成手段によって作成された信号情報を前記車両に対して送信すること
を特徴とする請求項1に記載の交通信号制御システム。
【請求項3】
前記報知手段は、
前記進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、前記車両に対する信号表示を行う信号灯器において点灯させている信号灯色を点滅させること
を特徴とする請求項1又は2に記載の交通信号制御システム。
【請求項4】
前記交通信号制御システムは、表示板を備えており、
前記報知手段は、
前記進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、
前記表示板にその旨を示す文字および図柄のうち少なくとも1つを表示させること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の交通信号制御システム。
【請求項5】
請求項2に記載の交通信号制御システムから信号情報を受信する車両に搭載される車載装置であって、
当該車両の進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とが異なる場合に、その旨を認識しうる文字列および図形のうち少なくとも1つを当該車載装置の画面上に表示するように構成されていること
を特徴とする車載装置。
【請求項6】
前記車両が交差点に接近した場合に、その交差点の構造を拡大して当該車載装置の画面上に表示するように構成されており、
当該拡大図上に、前記進行方向に対する信号表示と対面方向に対する信号表示とをそれぞれ表示すること
を特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記2つの信号表示が異なっている場合に、その旨を認識しうるような音声を再生するように構成されていること
を特徴とする請求項5又は6に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−169770(P2009−169770A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8583(P2008−8583)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】