説明

交通信号灯、及びLEDランプ

【課題】十分な明るさの色光を得ることのできる交通信号灯、及び、色付の透光性カバーを備える交通信号灯に装着しても十分な明るさの色光を得ることのできるLEDランプを提供する。
【解決手段】交通信号灯は、青色の光を強調する青色透光性カバー140と、青色透光性カバー140に覆われた給電ソケット120と、給電ソケット120に着脱可能に装着され、装着された給電ソケット120を覆う青色透光性カバー140の強調する色と同色の光を発するLEDを備える青色LEDランプ150と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号灯、及びLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、交通信号灯は、赤色、青色、及び黄色の光を強調する透光性カバーを備える。透光性カバーは所定の波長領域の光を吸収することで、吸収されずに透過した波長成分の光を強調するものである。通常、交通信号灯はこの透光性カバーに色再現性の高い白熱電球の白色光を透過させることで、赤、青、黄の色光を得る。
【0003】
近年、交通信号灯の光源として、白熱電球からLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)への置き換えが進んでいる。特許文献1には、白熱電球用のソケットにLEDランプを装着した交通信号灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005−538451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、白色LEDが発する白色光の色再現性(Ra)は60〜80である。これに対し、白熱電球から発せられる白色光の色再現性(Ra)は100である。人の目には識別できないものの、白色LEDが発する白色光の波長分布と、白熱電球が発する白色光の波長分布は大きく異なる。そのため、交通信号灯の白熱電球を、単純に同じ明るさの白色LEDに置き換えても、白熱電球の場合と同等の明るさの色光を得ることはできない。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、十分な明るさの色光を得ることのできる交通信号灯、及び、色付の透光性カバーを備える交通信号灯に装着しても十分な明るさの色光を得ることのできるLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る交通信号灯は、
所定の色の光を強調する透光性カバーと、
前記透光性カバーに覆われたランプ装着部と、
前記ランプ装着部に着脱可能に装着され、装着されたランプ装着部を覆う透光性カバーの強調する色と同色の光を発するLEDを備えるLEDランプと、を備える、
ことを特徴とする。
【0008】
前記ランプ装着部を複数備え、
少なくとも前記ランプ装着部の1つは、赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーに覆われており、
前記LEDランプは、装着されたランプ装着部を覆う透光性カバーの強調する色と同色の光であって、赤色、青色、又は黄色の光を発するLEDを備えていてもよい。
【0009】
前記ランプ装着部は、赤色の光を強調する透光性カバーに覆われており、
前記LEDランプは、赤色の透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、波長が620nmから645nmの範囲の単色光を発するLEDを備えていてもよい。
【0010】
前記ランプ装着部は、青色の光を強調する透光性カバーに覆われており、
前記LEDランプは、青色の透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、波長が490nmから520nmの範囲の単色光を発するLEDを備えていてもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る交通信号灯は、
赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーと、
前記透光性カバーに覆われたランプ装着部と、
赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に着脱可能に装着され、2700ケルビンから4500ケルビンの間の色温度の光を発するLEDを備えるLEDランプと、を備える、
ことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るLEDランプは、
所定の色の光を強調する透光性カバーと前記透光性カバーに覆われたランプ装着部とを備える交通信号灯に着脱可能に装着され、前記透光性カバーの強調する色と同色の光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする。
【0013】
前記LEDランプは
赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、赤色、青色、又は黄色の光を発するLEDを備えていてもよい。
【0014】
前記LEDランプは
赤色の光を強調する透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、波長が620nmから645nmの範囲の単色光を発するLEDを備えていてもよい。
【0015】
前記LEDランプは
青色の光を強調する透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、波長が490nmから520nmの範囲の単色光を発するLEDを備えていてもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るLEDランプは、
赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーと前記透光性カバーに覆われたランプ装着部とを備える交通信号灯に着脱可能に装着され、2700ケルビンから4500ケルビンの間の色温度の光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、十分な明るさの色光を得ることのできる交通信号灯、及び色付の透光性カバーを備える交通信号灯に装着しても十分な明るさの色光を得ることのできるLEDランプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る交通信号灯の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る交通信号灯の要部概略断面図である。
【図3】交通信号灯に装着するLEDランプの正面図である。
【図4】交通信号灯に装着するLEDランプの要部概略縦断面図である。
【図5】LEDランプが備えるヒートシンクの斜視図である。
【図6】LEDランプを口金側から見た図である。
【図7】棒状体をフランジ部に接触するようにLEDランプを電源供給用ソケットに装着した様子を示す図である。
【図8】LEDランプの変形例を説明するための図である。
【図9】LEDランプの変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る交通信号灯について図面を参照しながら説明する。
【0020】
交通信号灯1は、交差点等に設置される車両用の交通信号灯(信号機)である。交通信号灯1は、図1に示すように、青信号発光部100と、赤信号発光部200と、黄信号発光部300と、青矢印発光部400とから構成される。
【0021】
青信号発光部100は、車両が進行可能であることを示す青色の光を発する部分である。ここで、青色とは、例えば、マンセル表色系(JISZ8721)でPB(青紫)、B(青)、BG(青緑)、G(緑)、GY(黄緑)の色相に分類される色のことをいう。なお、青色には、交通信号灯の青信号の色を考慮し、緑色、例えば、BG(青緑)、G(緑)、GY(黄緑)の色相に分類される色も含まれる。青信号発光部100は、図2に示すように、外殻部110と、給電ソケット120と、反射鏡130と、青色透光性カバー140と、青色LEDランプ150とから構成される。
【0022】
外殻部110は、金属や硬質樹脂等の硬質素材の外殻から構成される。外殻部110は前面に青色透光性カバー140を設置するための大きな円形の開口を備えている。外殻部110の内部には給電ソケット120が装着された反射鏡130が格納される。
【0023】
給電ソケット120は、白熱電球やLEDランプを装着するランプ装着部として機能する。給電ソケット120は、白熱電球の口金を螺入可能なねじ山が形成されたねじ式の電力供給用ソケットから構成される。給電ソケット120は、反射鏡130の中央の円形の穴の径と略同じ径を持つ円柱形のフランジ部121と、フランジ部121の一方の底面に形成され、フランジ部121の径より一回り小さい径を持つ円柱部122とを有している。フランジ部121の一方の底面には、フランジ部121と軸を同じくする円柱部122が接続されている。また、フランジ部121の他方の底面には白熱電球の口金を螺入可能に構成されたねじ穴が形成されている。このねじ穴には、LEDランプの口金が螺入されている。給電ソケット120は、電線160で不図示の交通信号コントローラと接続されている。給電ソケット120は交通信号コントローラからの電力の供給を受け、LEDランプに電力を供給する。
【0024】
反射鏡130は、外殻部110の開口と略同じ径をもつ円形の開口部を有し、内面が放物曲面状に構成された椀形の反射鏡である。反射鏡130の内面には、可視光を反射する高反射素材、例えばアルミ膜が形成されている。反射鏡130の椀の中央(方物曲面の頂点付近)には円形の挿入穴が開けられている。この挿入穴には給電ソケット120のフランジ部121が挿入されている。また、反射鏡130の円形の開口部は、青色透光性カバー140によって覆われている。
【0025】
青色透光性カバー140は、例えば、青色の補色である黄色(波長570〜600nm)や赤色(波長600〜750nm)の光を他の波長領域の光より多く遮断(吸収)することで、透過した青色(波長:430〜570nm)の光を強調する性質を持った青色のカラーフィルタ等から構成される。なお、青色の光には緑色(波長500〜570nm)の光も含まれる。青色透光性カバー140は椀形の硬質樹脂から構成され、凹面を反射鏡130側に向けて反射鏡130の開口部を覆うとともに、外殻部110の円形の開口に凸面を外側に向けて設置されている。
【0026】
青色LEDランプ150は、例えば図3に示すような概観を備えた、青色の光を発するLEDランプである。青色LEDランプ150は、図4に示すように、架台151と、カバー152と、ヒートシンク153と、絶縁筒154と、口金155と、点灯装置156と、LED基板157と、青色LED158とから構成される。
【0027】
架台151は、LED基板157を設置するための架台である。架台151は熱伝導率の高い、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属から構成される。架台151は、筒状の収容部151aと、筒状の側面部151bと、中央に円形状の穴が形成された円板状の設置部151cとから構成される。架台151は、円板状の設置部151cの外周に側面部151bの開口端が接続され、また、設置部151cの穴が形成されている箇所に収容部151aの開口端が接続された一体的な構造である。
【0028】
収容部151aは、内部に点灯装置156が収容される筒状体である。収容部151aは点灯装置156が収容部151aと接触しないように絶縁筒154によって絶縁されている。
【0029】
側面部151bは、電源供給用ソケットにLEDランプを装着する際の持ち手となる部分である。側面部151bは後述するヒートシンク153を取り囲むように配置されている。
【0030】
設置部151cには、LED基板157およびヒートシンク153が設置される。設置部151cの一方の面にLED基板157のLEDが実装されていない面が設置され、設置部151cの他方の面にヒートシンク153が設置されている。
【0031】
カバー152は、乳白色の樹脂製の半球状のカバーである。カバー152はLED基板157を覆うように架台151に設置されている。カバー152は、LEDが放射した光を透過させるとともに、指向性の高いLEDの光を屈折して拡散させる。
【0032】
ヒートシンク153は、設置部151cより伝達した熱を外部に放出する、いわゆる放熱体としての機能を有する。ヒートシンク153は熱伝導率の高い、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属から構成される。ヒートシンク153は、板状の伝熱部153aと、放熱部153bから構成される。
【0033】
伝熱部153aは、中央に円形の穴が形成された円形状の金属板であり、図5に示すように、一方の面に複数の棒状体153cが設置されている。この伝熱部153aは、図4に示すように、他方の面が設置部151cを挟んでLED基板157と向かい合うように設置される。また、伝熱部153aは、図6に示すように、中央の穴に収容部151aが挿入されるように設置されている。
【0034】
放熱部153bは、複数の金属製の棒状体153cから構成される。この棒状体153cは円柱の形状をしており、図5に示すように、設置部151cを挟んでLED基板157の反対側に向かって林立するように設置されている。
【0035】
図4に戻り、絶縁筒154は非導電性の樹脂から構成される筒体である。絶縁筒154は、点灯装置156が周囲の金属(架台151および口金155)と接触しないように点灯装置156を覆っている。また、絶縁筒154は、口金155および架台151を接触しないように接続している。
【0036】
口金155は、給電ソケット120に螺入させるための回転式の口金である。口金155は外周面に螺旋状の溝が形成されており、対応する溝が形成された給電ソケット120に、図7に示すように、螺合して装着される。なお、棒状体153cの先端はフランジ部121に接しており、棒状体153cの熱がフランジ部121に逃げるようになっている。口金155は、給電ソケット120から供給される交流電圧(例えば100V)を、リード線159aを通じて点灯装置156に供給する。
【0037】
図4に戻り、点灯装置156は、口金155より供給された交流電圧を所定の直流電圧に変換する整流回路等から構成される。点灯装置156は絶縁筒154の内部に設置されている。点灯装置156は変換した直流電圧を、リード線159bを通じてLED基板157に供給する。
【0038】
LED基板157は、複数のLEDが実装された基盤である。LED基板157にはLEDに直流電圧を送る配線パターンが形成されており、リード線159bを介して受け取った直流電圧をLEDに印加する。
【0039】
青色LED158は、青色の可視光を発する青色発光ダイオードである。青色LED158は、LED基板157上に設置されており、LED基板157からの給電によって青色の光を放射する。なお、青色LED158の発する光は単色光(所定波長領域の光が極めて多く含まれる光、例えば、色純度(色飽和度)が99%以上の光)であることが望ましい。光の波長としては430〜570nmの範囲、より望ましくは490〜520nmの範囲であることが望ましい。
【0040】
赤信号発光部200は、車両の進行を禁止する赤色の光を発光する部分である。ここで、赤色とは、例えば、マンセル表色系(JISZ8721)でRP(赤紫)、R(赤)、YR(黄赤)の色相に分類される色のことをいう。赤信号発光部200は、図2に示す青信号発光部100と同様に、外殻部110と、給電ソケット120と、反射鏡130と、赤色透光性カバー240と、赤色LEDランプ250とから構成される。なお、赤色透光性カバー240と赤色LEDランプ250以外の構成については、青信号発光部100と同じ構成であるので説明を省略する。以下、赤色透光性カバー240から説明を開始する。
【0041】
赤色透光性カバー240は、例えば、赤色の補色である緑色の光を他の波長領域の光より多く遮断(吸収)することで、透過した赤色の光を強調する性質を持った赤色カラーフィルタ等から構成される。赤色透光性カバー240は青色透光性カバー140と同様に椀形の硬質樹脂から構成される。赤色透光性カバー240は凹面を反射鏡130側に向けて反射鏡130の開口部を覆うとともに、外殻部110の円形の開口に凸面を外側に向けて設置されている。
【0042】
赤色LEDランプ250は、赤色の光を発するLEDランプである。赤色LEDランプ250は、図4に示す青色LEDランプ150と同様に、架台151と、カバー152と、ヒートシンク153と、絶縁筒154と、口金155と、点灯装置156と、LED基板157と、赤色LED258とから構成される。なお、赤色LED258以外の構成については、青色LEDランプ150と同じ構成であるので説明を省略する。以下、赤色LED258から説明を開始する。
【0043】
赤色LED258は、赤色の可視光を発する赤色発光ダイオードである。赤色LED258は、LED基板157からの給電によって赤色の光を放射する。なお、赤色LED258の発する光は単色光であることが望ましい。光の波長としては600〜750nmの範囲、より望ましくは620〜645nmの範囲であることが望ましい。
【0044】
黄信号発光部300は、車両の新たな進行を禁止する黄色の光を発光する部分である。ここで、黄色とは、例えば、マンセル表色系(JISZ8721)でYR(黄赤)、Y(黄)、GY(黄緑)の色相に分類される色のことをいう。黄信号発光部300は、図2に示す青信号発光部100と同様に、外殻部110と、給電ソケット120と、反射鏡130と、黄色透光性カバー340と、黄色LEDランプ350とから構成される。なお、黄色透光性カバー340と黄色LEDランプ350以外の構成については、青信号発光部100と同じ構成であるので説明を省略する。以下、黄色透光性カバー340から説明を開始する。
【0045】
黄色透光性カバー340は、例えば、黄色の補色である青色の光を他の波長領域の光より多く遮断(吸収)することで、透過した黄色の光を強調する性質を持った黄色カラーフィルタ等から構成される。黄色透光性カバー340は青色透光性カバー140と同様に円板状の硬質樹脂から構成される。黄色透光性カバー340は凹面を反射鏡130側に向けて反射鏡130の開口部を覆うとともに、外殻部110の円形の開口に凸面を外側に向けて設置されている。
【0046】
黄色LEDランプ350は、黄色の光を発するLEDランプである。黄色LEDランプ350は、図4に示す青色LEDランプ150と同様に、架台151と、カバー152と、ヒートシンク153と、絶縁筒154と、口金155と、点灯装置156と、LED基板157と、黄色LED358とから構成される。なお、黄色LED358以外の構成については、青色LEDランプ150と同じ構成であるので説明を省略する。以下、黄色LED358から説明を開始する。
【0047】
黄色LED358は、黄色の可視光を発する黄色発光ダイオードである。黄色LED358は、LED基板157からの給電により黄色の光を放射する。なお、黄色LED358の発する光は単色光であることが望ましい。光の波長としては570〜600nmの範囲であることが望ましい。
【0048】
青矢印発光部400は、矢印の方向に進行可能であることを示す青色の矢印の光を発光する部分である。青矢印発光部400は、図2に示す青信号発光部100と同様に、外殻部110と、給電ソケット120と、反射鏡130と、青矢印透光性カバー440と、青色LEDランプ150とから構成される。なお、青矢印透光性カバー440以外の構成については、青信号発光部100と同じ構成であるので説明を省略する。以下、青矢印透光性カバー440から説明を開始する。
【0049】
青矢印透光性カバー440は、青色透光性カバー140と同様に、中央に青色の矢印の透光部が形成された円板上の硬質樹脂製から構成される。矢印の透光部以外は光を透過させない非透光性の素材で構成される。また、矢印の透光部は、黄色や赤色の波長領域の光を他の波長領域の光より多く吸収することで、透過した青色の波長領域の光を強調する性質を持った青色カラーフィルタ等から構成される。
【0050】
次に、このような構成を有する交通信号灯1の発光動作について説明する。
交通信号灯1は、不図示の交通信号コントローラから交流電力が供給されると、交流電力が供給された色の発光部を発光させる。
【0051】
青信号発光部100に交流電力が供給された場合、給電ソケット120は青色LEDランプ150の口金155を介し青色LEDランプ150内部の点灯装置156に交流電力を供給する。点灯装置156は交流電力を直流電力に変換し、LED基板157を介して基板上の青色LED158に直流電圧を印加する。青色LED158は、電圧が印加されると、外部に青色光を発する。青色LED158が発した青色光は、カバー152に達する。カバー152は、青色LED158が放射した光を透過させるとともに、指向性の高いLEDの光を屈折して拡散させる。カバー152を透過した光は青色透光性カバー140に達する。青色透光性カバー140は、黄色や赤色の波長領域の光を吸収するよう構成されており、かつ、青色LED158から放射された光には黄色や赤色の波長領域の光がほとんど含まれていない。そのため、青色LED158から放射された光は青色透光性カバー140によってほとんど吸収されることなく、そのままの明るさを保ったまま青信号発光部100から外部に放出される。
【0052】
赤信号発光部200に交流電力が供給された場合も青信号発光部100の場合と同様に、給電ソケット120、口金155、点灯装置156、LED基板157を介して基板上の赤色LED258に電圧が印加される。赤色LED258は電圧が印加されると、外部に赤色光を発する。赤色LED258が発した赤色光は、カバー152を介して赤色透光性カバー240に達する。赤色透光性カバー240は、緑色の波長領域の光を吸収するよう構成されており、かつ、赤色LED258から放射された光には緑色の波長領域の光がほとんど含まれていない。そのため、赤色LED258から放射された光は赤色透光性カバー240によってほとんど吸収されることなく、そのままの明るさを保ったまま赤信号発光部200から外部に放出される。
【0053】
黄信号発光部300に交流電力が供給された場合も青信号発光部100の場合と同様に、給電ソケット120、口金155、点灯装置156、LED基板157を介して基板上の黄色LED358に電圧が印加される。黄色LED358は電圧が印加されると、外部に黄色光を発する。黄色LED358が発した黄色光は、カバー152を介して黄色透光性カバー340に達する。黄色透光性カバー340は、青色の波長領域の光を吸収するよう構成されており、かつ、黄色LED358から放射された光には青色の波長領域の光がほとんど含まれていない。そのため、黄色LED358から放射された光は黄色透光性カバー340によってほとんど吸収されることなく、そのままの明るさを保ったまま黄信号発光部300から外部に放出される。
【0054】
青矢印発光部400に交流電力が供給された場合も青信号発光部100の場合と同様に、給電ソケット120、口金155、点灯装置156、LED基板157を介して基板上の青色LED158に電圧が印加される。青色LED158は電圧が印加されると、外部に青色光を発する。青色LED158が発した青色光は、カバー152を介して青矢印透光性カバー440に達する。青矢印透光性カバー440の矢印の透光部は、黄色や赤色の波長領域の光を吸収するよう構成されており、かつ、青色LED158から放射された光には黄色や赤色の波長領域の光がほとんど含まれていない。そのため、青色LED158から放射された光は青矢印透光性カバー440によってほとんど吸収されることなく、そのままの明るさを保ったまま青矢印発光部400から外部に放出される。
【0055】
本実施形態によれば、交通信号灯1の光源として使用されるLEDランプは、透光性カバーが吸収する波長の光をほとんど含んでいない。そのため、LEDランプから発せられる光は、透光性カバーによってほとんど低減せず、その結果、交通信号灯1は明るい色光を発することができる。
【0056】
交通信号灯1は明るい色光を発するので、ドライバーは擬似点灯現象(交通信号灯1の正面から入射した朝日や西日が反射鏡130に反射され、信号があたかも点灯しているように見える現象)と実際の点灯とを明確に区別できる。その結果、ドライバーの信号の見間違いによる交通事故を低減することができる。
【0057】
また、透光性カバーで光エネルギーがほとんど吸収されないので、交通信号灯1は高いエネルギー効率を実現できる。
【0058】
また、LEDランプは、LEDが発する熱を放出するヒートシンク153を備えているので、LED基板157に複数のLEDが実装されても、LEDから発せられる熱が効率的に放熱される。その結果、熱によるLEDの寿命低下やLEDの破壊が抑制される。
【0059】
なお、LEDランプの形状は、図3に示す形状に限られず、種々の形状に変形可能である。例えば、ヒートシンク153の形状は、図8に示すように、複数の円弧状の平板153dで、平面を設置部151cの半径方向と直角に向け、設置部151cを取り囲んだ形状であってもよい。また、設置部151cの形状も平面状に限られず、例えば図9に示すように、中央に向かって高くなった円錐状であってもよい。
【0060】
なお、黄信号発光部300や赤信号発光部200に設置するLEDランプは、黄色や赤色の光を発するLEDランプに限られない。例えば、色温度で2700ケルビンから4500ケルビンの間の例えば黄赤色の光を発するLEDを備えたLEDランプであってもよい。黄色や赤色の単色光を発するLEDランプを装着した場合と同様に明るい色光を得ることができる。
【0061】
また、青信号発光部100や青矢印発光部400に設置されるLEDランプも、色温度で2700ケルビンから4500ケルビンの間の光を発するLEDを備えたLEDランプであってもよい。なお、2700ケルビンから4500ケルビンの間の光を発するLEDは、青色の光を発する青色LEDと、青色LEDの発する光の一部を黄色光に変換する黄色の蛍光体と、を備え、青色の光とその補色である黄色の光とを混色することによって2700ケルビンから4500ケルビンの間の光を得てもよい。青色の光を強調する透光性カバーを透過しても、青色の波長成分の光を多く含むので、明るい青色の光を得ることができる。
【0062】
なお、交通信号灯は車両用の交通信号灯に限られない。例えば、図1に示すような、中央に人型の白色または黄色の透光部と、その人型の周囲に位置する赤色または青色の透光部を有する透光性カバーを備えた歩行者用の交通信号灯であってもよい。このとき、歩行者用の交通信号灯の内部には、人型の周囲の透光部と同色の青色や赤色の光を発するLEDを備えたLEDランプを備えていてもよいし、黄色や2700ケルビンから4500ケルビンの間の色温度の光を発するLEDを備えたLEDランプを備えていてもよい。その他、交通信号灯は、自転車用、鉄道用、路面電車用の交通信号灯であってもよいし、遮断機用の警告灯であってもよい。また、矢印灯は青矢印発光部400のような青矢印灯に限られず、電車用の黄色の矢印の光を発する黄矢印灯であってもよい。また、中央に赤い×印の透光部を有する透光性カバーを備えた、電車用の×印灯であってもよい。
【0063】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0064】
1 交通信号灯
100 青信号発光部
110 外殻部
120 給電ソケット
121 フランジ部
122 円柱部
130 反射鏡
140 青色透光性カバー
150 青色LEDランプ
151 架台
151a 収容部
151b 側面部
151c 設置部
152 カバー
153 ヒートシンク
153a 伝熱部
153b 放熱部
153c 棒状体
153d 平板
154 絶縁筒
155 口金
156 点灯装置
157 LED基板
158 青色LED
159a,159b リード線
160 電線
200 赤信号発光部
240 赤色透光性カバー
250 赤色LEDランプ
258 赤色LED
300 黄信号発光部
340 黄色透光性カバー
350 黄色LEDランプ
358 黄色LED
400 青矢印発光部
440 青矢印透光性カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の色の光を強調する透光性カバーと、
前記透光性カバーに覆われたランプ装着部と、
前記ランプ装着部に着脱可能に装着され、装着されたランプ装着部を覆う透光性カバーの強調する色と同色の光を発するLEDを備えるLEDランプと、を備える、
ことを特徴とする交通信号灯。
【請求項2】
前記ランプ装着部を複数備え、
少なくとも前記ランプ装着部の1つは、赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーに覆われており、
前記LEDランプは、装着されたランプ装着部を覆う透光性カバーの強調する色と同色の光であって、赤色、青色、又は黄色の光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の交通信号灯。
【請求項3】
前記ランプ装着部は、赤色の光を強調する透光性カバーに覆われており、
前記LEDランプは、赤色の透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、波長が620nmから645nmの範囲の単色光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の交通信号灯。
【請求項4】
前記ランプ装着部は、青色の光を強調する透光性カバーに覆われており、
前記LEDランプは、青色の透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、波長が490nmから520nmの範囲の単色光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交通信号灯。
【請求項5】
赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーと、
前記透光性カバーに覆われたランプ装着部と、
赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に着脱可能に装着され、2700ケルビンから4500ケルビンの間の色温度の光を発するLEDを備えるLEDランプと、を備える、
ことを特徴とする交通信号灯。
【請求項6】
所定の色の光を強調する透光性カバーと前記透光性カバーに覆われたランプ装着部とを備える交通信号灯に着脱可能に装着され、前記透光性カバーの強調する色と同色の光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする交通信号灯用のLEDランプ。
【請求項7】
赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、赤色、青色、又は黄色の光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のLEDランプ。
【請求項8】
赤色の光を強調する透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、波長が620nmから645nmの範囲の単色光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のLEDランプ。
【請求項9】
青色の光を強調する透光性カバーに覆われた前記ランプ装着部に装着され、波長が490nmから520nmの範囲の単色光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のLEDランプ。
【請求項10】
赤色、青色、又は黄色の光を強調する透光性カバーと前記透光性カバーに覆われたランプ装着部とを備える交通信号灯に着脱可能に装着され、2700ケルビンから4500ケルビンの間の色温度の光を発するLEDを備える、
ことを特徴とする交通信号灯用のLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−105426(P2013−105426A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250667(P2011−250667)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(596060103)エクセル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】