説明

人侵入検知装置

【課題】自動車の車室等に侵入した動物が人であるのか或いは虫などの小動物であるのかの識別を確実に行うことで誤警報を防止し或いは誤警報を即座に停止することができる人侵入検知装置をコンパクトな構成で提供すること。
【解決手段】自動車の車室内の動く物体を検知する人侵入検知装置であって、動く物体が検知領域内に存在するか否かの検知動作を第1の時間毎に行う検知手段と、前記検知手段により動く物体が検知されると警報を出力する警報出力手段と、前記検知手段により動く物体が検知された直後から第2の時間(第2の時間>第1の時間)が経過するまでの間に動く物体が検知された回数をカウントするカウント手段とを備え、前記カウント手段によりカウントされた回数がM回(Mは1以上の任意の整数)に達した場合、前記警報出力手段は警報出力をしない又は警報出力を停止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人侵入検知装置に関し、より詳しくは、自動車の車室等に侵入した動物が人であるのか或いは虫などの小動物であるのかの識別を確実に行うことで誤警報を防止し或いは誤警報を即座に停止することができる人侵入検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯のために自動車の車室内に人が侵入したことを検知する人侵入検知装置が搭載された自動車が実用化されている。検知方式としては、例えば、車室内に電波を放射して電波が当たった物体からの反射波の周波数等に基づいて動く物体を検知する電波式、車室内に超音波を放射して超音波が当たった物体からの反射波の周波数等に基づいて動く物体を検知する超音波式がある。
【0003】
この種の人侵入検知装置は、運転席と助手席の間の天井面に設けられたオーバーヘッドモジュール内に設けられている場合がある。図7は、人侵入検知装置が内蔵されたオーバーヘッドモジュールの一例を示す斜視図である。図8は、図7におけるオーバーヘッドモジュールをA−A線で切断したときの端面をB方向から見た矢視図である。符号18はルームミラーを示し、符号19はサンバイザーを示している。
【0004】
オーバーヘッドモジュール40は、図7、8に示されるように、人侵入検知装置100と、室内灯2と、小物入れ15と、室内灯操作ボタン16と、レンズ17とを備えている。
【0005】
人侵入検知装置100は、オーバーヘッドモジュール40の前後方向中央部に内蔵されており、検知領域側部分6(図8参照)を斜め下方に向けて配置されている。検知領域側部分6からは電波または超音波が放射される。人侵入検知装置100は駐車中に作動する。人侵入検知装置100は、電波または超音波を室内に放射し、室内の物体からの反射波の周波数や位相等に基づいて、室内で動く物体を検知する。通常、ユーザが居ない駐車中は、室内に動く物体は存在しない。よって、駐車中に動く物体が検知されれば、人侵入検知装置3は人が侵入したと判断し、警報音を出すか或いはセキュリティセンターに通報する。
【0006】
人侵入検知装置100の右隣および左隣にはそれぞれ室内灯2が設けられている。人侵入検知装置3および室内灯2の下方には、人侵入検知装置100および室内灯2を覆うようにレンズ17が設けられている。レンズ17は、室内灯2の光の進行方向を調節するとともに、人侵入検知装置3を保護する。レンズ17は、人侵入検知装置100から放射された電波および超音波を透過することができる。
【0007】
しかしながら、このオーバーヘッドモジュール40には、以下のような課題があった。
すなわち、蚊、ハエ、蛾等の虫は光に集まる習性があるため、室内灯2を点灯していると、オーバーヘッドモジュール40内にこれらの虫が侵入することがある。虫が人侵入検知装置100の検知領域側部分6とレンズ17の間の空間81(図8参照)に侵入し、空間81内で動き回ると、人侵入検知装置100が動く虫を検知し、人が侵入したと誤判断することがあった。このような誤判断があると、誤って警報音の発報やセキュリティセンターへの通報がなされるため、ユーザは非常に煩わしく感じてしまうという課題があった。
【0008】
特許文献1には、監視領域にマイクロ波を放射し反射波を解析することにより物体の動きに注目した監視を行うマイクロ波センサと、上記監視領域を撮像し撮像画像に基づいて物体の大きさに注目した監視を行う画像センサとを備え、マイクロ波センサおよび画像センサが出力する情報に基づいて監視領域に侵入した人を検知する複合型監視装置が提案されている。
【0009】
特許文献1に記載の複合型監視装置は、空間分解性能が低いために人と小動物(虫など)との識別が難しいというマイクロ波センサの弱点を、物体の大きさ認識に有効な画像センサで補っている。これにより、当該装置は、人と小動物の識別精度を高めることができる。
【0010】
しかしながら、この複合型監視装置は画像センサを必要とするため、装置全体が複雑化するとともに大型化し、製造コストが増加してしまうという問題がある。
この問題は、特に自動車に適用した場合に顕著となる。すなわち、自動車の車室内への人の侵入を検知するために、人侵入検知装置はオーバーヘッドモジュール内の小さな空間に収められることが多い。ところが、人侵入検知装置が大型化すると、当該装置をオーバーヘッドモジュール内に収めることが難しくなる。
【特許文献1】特開2000−348265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、自動車の車室等に侵入した動物が人であるのか或いは虫などの小動物であるのかの識別を確実に行うことで誤警報を防止し或いは誤警報を即座に停止することができる人侵入検知装置をコンパクトな構成で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る人侵入検知装置は、
自動車の車室内の動く物体を検知する人侵入検知装置であって、
動く物体が検知領域内に存在するか否かの検知動作を第1の時間毎に行う検知手段と、
上記検知手段により動く物体が検知されると警報を出力する警報出力手段と、
上記検知手段により動く物体が検知された直後から第2の時間(第2の時間>第1の時間)が経過するまでの間に動く物体が検知された回数をカウントするカウント手段とを備え、
上記カウント手段によりカウントされた回数がM回(Mは1以上の任意の整数)に達した場合、上記警報出力手段は警報出力をしない又は警報出力を停止することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、検知手段は第1の時間毎に動く物体の検知動作を行う。検知手段が動く物体を検知すると、カウント手段は、検知手段が検知をした時刻から第2の時間が経過するまでの間に動く物体が検知された回数をカウントする。カウント手段によりカウントされた回数がM回(Mは1以上の任意の整数)に達した場合、警報出力手段は警報出力をしない又は警報出力を停止する。
【0014】
通常、蚊やハエ等の虫が検知領域内に侵入すると、虫は検知領域内を長時間動き回る。よって、検知領域内に虫が侵入すると、検知手段は動く虫を第2の時間内に1回以上検知する。
【0015】
一方、泥棒等の侵入者が車室内に侵入して警報が鳴ると、侵入者はすぐに逃げ出すことが多い。従って、第2の時間内に侵入者が1回以上検知されることは少ない。
【0016】
よって、本発明に係る人侵入検知装置は、第2の時間内に動く物体を検知した回数がM回(Mは1以上の任意の整数)未満であれば人が侵入したと判断し、当該回数がM回以上であれば虫等の小動物が侵入したと判断することができる。Mの値は、任意に設定することができる。さらに、この装置は、侵入した物体が虫等の小動物であると判断した場合には警報出力をしない又は警報出力を停止する。
【0017】
これにより、本発明に係る人侵入検知装置は、人と小動物との識別を確実に行い、誤警報の防止および誤警報の即座の停止をすることができる。また、本発明に係る人侵入検知装置は、画像センサが不要なので、装置全体をコンパクトに構成することができ、オーバーヘッドモジュール内に容易に収納することができる。
【0018】
本発明においては、
動く物体が上記第2の時間内に検知された回数が上記M回に達した場合、上記検知手段は検知動作を停止することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、小動物の侵入が検知された場合に検知手段の検知動作が停止する。よって、誤警報をより確実に防止し或いは誤警報を停止することができる。
【0020】
本発明に係る人侵入検知装置は、
自動車の車室内の動く物体を検知する人侵入検知装置であって、
動く物体が検知領域内に存在するか否かの検知動作を第1の時間毎に行う検知手段と、
上記検知手段により動く物体が検知されると警報を出力する警報出力手段と、
上記検知手段により第3の時間(第3の時間>第1の時間)内に動く物体が検知された回数をカウントするカウント手段とを備え、
上記カウント手段によりカウントされた回数がN回(Nは2以上の任意の整数)に達した場合、上記警報出力手段は警報出力をしない又は警報出力を停止することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、検知手段は第1の時間毎に動く物体の検知動作を行う。検知手段が動く物体を検知すると、カウント手段は、第3の時間内に動く物体が検知された回数をカウントする。カウント手段によりカウントされた回数がN回(Nは2以上の任意の整数)に達した場合、警報出力手段は警報出力をしない又は警報出力を停止する。
【0022】
通常、蚊やハエ等の虫が検知領域内に侵入すると、虫は検知領域内を長時間動き回る。よって、検知領域内に虫が侵入すると、検知手段は動く虫を第3の時間内に2回以上検知する。
【0023】
一方、泥棒等の侵入者が車室内に侵入して警報が鳴ると、侵入者はすぐに逃げ出すことが多い。従って、第3の時間内に侵入者が2回以上検知されることは少ない。
【0024】
よって、本発明に係る人侵入検知装置は、第3の時間内に動く物体を検知した回数がN回(Nは2以上の任意の整数)未満であれば人が侵入したと判断し、当該回数がN回以上であれば虫等の小動物が侵入したと判断することができる。Nの値は、任意に設定することができる。さらに、この装置は、侵入した物体が虫等の小動物であると判断した場合には警報出力をしない又は警報出力を停止する。
【0025】
これにより、本発明に係る人侵入検知装置は、人と小動物との識別を確実に行い、誤警報を防止および誤警報の即座の停止をすることができる。また、本発明に係る人侵入検知装置は、画像センサが不要なので、装置全体をコンパクトに構成することができ、オーバーヘッドモジュール内に容易に収納することができる。
【0026】
本発明においては、
動く物体が上記第3の時間内に検知された回数が上記N回に達した場合、上記検知手段は検知動作を停止することが好ましい。
【0027】
この構成によれば、小動物の侵入が検知された場合に検知手段の検知動作が停止する。よって、誤警報をより確実に防止し或いは誤警報を停止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、自動車の車室等に侵入した動物が人であるのか或いは虫などの小動物であるのかの識別を確実に行うことで誤警報を防止し或いは誤警報を停止することができる人侵入検知装置をコンパクトな構成で提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る人侵入検知装置について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1実施形態に係る人侵入検知装置が設けられたオーバーヘッドモジュールを示す斜視図である。図2は、図1におけるオーバーヘッドモジュールをA−A線で切断したときの端面をB方向から見た矢視図である。図3は、第1実施形態に係る人侵入検知装置の機能的構成を示すブロック図である。図4は、第1実施形態に係る人侵入検知装置の動作を示すフローチャートである。
【0030】
オーバーヘッドモジュール4は、人侵入検知装置1と、室内灯2と、小物入れ15と、室内灯操作ボタン16と、レンズ17とを備えている。
【0031】
第1実施形態に係る人侵入検知装置1は、オーバーヘッドモジュール4に内蔵されており、自動車の車室内の動く物体を検知し、主として車室内に侵入した人を検知するものである。符号18はルームミラーを示し、符号19はサンバイザーを示している。オーバーヘッドモジュール4は、室内側の天井面に設けられ、例えばルームミラー18の直ぐ後ろに位置する。
【0032】
人侵入検知装置1は、オーバーヘッドモジュール4の前後方向中央部に内蔵されており、検知領域側部分6(図2参照)を斜め下方に向けて配置されている。検知領域側部分6からは電波または超音波が放射される。人侵入検知装置1は駐車中に作動する。人侵入検知装置1は、電波または超音波を室内に放射し、室内の物体からの反射波の周波数や位相等に基づいて、室内で動く物体を検知する。通常、ユーザが居ない駐車中は、室内に動く物体は存在しない。よって、駐車中に動く物体が検知されれば、人侵入検知センサ3は人が侵入したと判断し、その判断後すぐに或いは所定時間が経過してから、警報音を出すか或いはセキュリティセンターに通報する。
【0033】
人侵入検知センサ3の右隣および左隣にはそれぞれ室内灯2が設けられている。人侵入検知装置1および室内灯2の下方には、人侵入検知装置1および室内灯2を覆うようにレンズ17が設けられている。レンズ17は、室内灯2の光の進行方向を調節するとともに、人侵入検知装置1を保護する。レンズ17は、人侵入検知装置1から放射された電波および超音波を透過することができる。
【0034】
以下、人侵入検知装置1について詳細に説明する。
図3に示されるように、人侵入検知装置1は、検知手段3と、警報出力手段5と、カウント手段7とを備えている。
【0035】
検知手段3は、動く物体が検知領域内に存在するか否かの検知動作を第1の時間T1毎に行う。第1の時間T1は、特に限定されるものではないが、例えば10秒に設定することができる。検知手段3は、動く物体が第2の時間内に検知された回数が後述するM回に達した場合、検知動作を停止する。
【0036】
カウント手段7は、検知手段3が動く物体を検知した直後から第2の時間T2が経過するまでの間に動く物体が検知された回数をカウントする。第2の時間T2は、第1の時間T1よりも長い。第2の時間T2は、特に限定されるものではないが、例えば、20秒に設定することができる。カウント手段7は、カウント部8とタイマ9とを含む。第2の時間T2は、タイマ8により計測される。カウント部8は、検知手段3が動く物体を検知した直後から第2の時間T2が経過するまでの間に動く物体が検知された回数をカウントする。
【0037】
警報出力手段5は、検知手段3により動く物体が検知されると警報を出力する。カウント手段7によりカウントされた回数がM回(Mは1以上の任意の整数)に達した場合、警報出力手段5は警報出力をしない又は警報出力を停止する。なお、Mの値は、1以上の値であれば特に限定されるものではないが、例えば、1に設定することができる。警報の出力は、例えば、警報音の出力、セキュリティセンターへの通報を挙げることができる。
【0038】
次に、人侵入検知装置1の動作について、図4を参照しつつ説明する。
まず、カウント部8のカウント値が0に設定され、タイマ9のタイマ値が0に設定される(ステップS1)。次いで、検知手段3が、動く物体の検知動作を第1の時間毎に行う(ステップS2)。検知動作により、動く物体が検知されたか否かの判断がなされる(ステップS3)。検知動作により動く物体が検知されなかった場合、ステップS2に戻って検知動作が継続される。
【0039】
一方、検知動作により動く物体が検知された場合、警報出力手段5は警報を出力する(ステップS4)。また、検知動作により動く物体が検知された場合、タイマ9は、検知手段3により動く物体が検知された直後からの経過時間t1(タイマ値に対応)の計測を開始する(ステップS5)。動く物体が検知された場合も、検知動作は継続される(ステップS6)。検知動作により、動く物体が検知されたか否かの判断がなされる(ステップS7)。
【0040】
ステップS6の検知動作により動く物体が検知されなかった場合、経過時間t1が第2の時間T2を超えたかどうかが判断される(ステップS8)。経過時間t1が第2の時間T2以内である場合は、ステップS6に戻って検知動作が継続される。一方、経過時間t1が第2の時間T2を超えている場合は、処理が終了する。
【0041】
ステップS6の検知動作により動く物体が検知された場合、カウント部9のカウント値に「1」が加算される。次いで、カウント部9のカウント値が「M」に達しているかどうかが判断される(ステップS10)。カウント値がMに達している場合は、警報出力が停止される(ステップS11)。例えば、Mが1に設定されている場合は、ステップS9で1回加算がされただけで警報出力が停止される。これは、動く物体が所定時間内に合計2回検知された場合に、警報出力が停止されることを意味する。一方、カウント値がMに達していない場合は、ステップS8に移行する。
【0042】
ステップS11の後、検知手段3の検知動作が停止され(ステップS12)、処理が終了する。以上が、人侵入検知装置1の動作である。
【0043】
なお、図3に示される例では、ステップS4において警報出力を行っているが、ここでは警報出力を行わず、ステップS8で経過時間t1が第2の時間T2を超えたときに警報出力するようにしても良い。
【0044】
人侵入検知装置1によれば、第2の時間T2内に動く物体を検知した回数がM回(Mは1以上の任意の整数)未満であれば人が侵入したと判断し、当該回数がM回以上であれば虫等の小動物が侵入したと判断することができる。さらに、この装置1は、侵入した物体が虫等の小動物であると判断した場合には警報出力をしない又は警報出力を停止する。
【0045】
これにより、人侵入検知装置1は、人と小動物との識別を確実に行い、誤警報の防止或いは誤警報の即座の停止をすることができる。また、人侵入検知装置1は、画像センサが不要なので、装置全体をコンパクトに構成することができ、オーバーヘッドモジュール4内に容易に収納することができる。
【0046】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る人侵入検知装置について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、第2実施形態に係る人侵入検知装置の機能的構成を示すブロック図である。図6は、第2実施形態に係る人侵入検知装置の動作を示すフローチャートである。
【0047】
第2実施形態に係る人侵入検知装置10が第1実施形態と異なる点は、検知手段3が検知手段30に置換されている点と、警報出力手段5が警報出力手段50に置換されている点と、カウント手段7がカウント手段70に置換されている点であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態と同様の構成については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0048】
カウント手段70は、検知手段30により第3の時間T3内に動く物体が検知された回数をカウントする。第3の時間T3は、第1の時間T1よりも長い。第3の時間T3は、特に限定されるものではないが、例えば、20秒に設定することができる。カウント手段70は、カウント部80と、タイマ90とを含む。タイマ90は、検知動作が始まる直前の或る時点からの経過時間t2(タイマ値に対応)を計測する。カウント部80は、検知手段30により第3の時間T3内に動く物体が検知された回数をカウントする。
【0049】
警報出力手段50は、カウント手段70によりカウントされた回数がN回(Nは2以上の任意の整数)に達した場合、警報出力をしない又は警報出力を停止する。Nの値は、2以上の整数であれば特に限定されないが、例えば、2に設定することができる。
【0050】
検知手段30は、動く物体が第3の時間T3内に検知された回数がN回に達した場合、検知動作を停止する。
【0051】
次に、人侵入検知装置1の動作について、図6を参照しつつ説明する。
まず、カウント部80のカウント値が0に設定され、タイマ90のタイマ値が0に設定される(ステップS1)。次いで、タイマ90は、検知手段30が検知動作を行う直前の或る時点からの経過時間t2(タイマ値に対応)の計測を開始する(ステップS2)。次いで、検知手段30が、動く物体の検知動作を第1の時間T1毎に行う(ステップS3)。検知動作により、動く物体が検知されたか否かの判断がなされる(ステップS4)。
【0052】
ステップS3の検知動作により動く物体が検知されなかった場合、経過時間t2が第3の時間T3を超えたかどうかが判断される(ステップS5)。経過時間t2が第3の時間T3以内である場合は、ステップS3に戻って検知動作が継続される。一方、経過時間t2が第3の時間T3を超えている場合は、処理が終了する。
【0053】
ステップS3の検知動作により動く物体が検知された場合、警報出力手段50は警報を出力する(ステップS6)。次いで、カウント部90のカウント値に「1」が加算される(ステップS7)。次いで、カウント部9のカウント値が「N」に達しているかどうかが判断される(ステップS8)。カウント値がNに達している場合は、警報出力が停止される(ステップS9)。例えば、Nが2に設定されている場合は、ステップS7で2回加算がされただけで警報出力が停止される。これは、動く物体が所定時間内に合計2回検知された場合に、警報出力が停止されることを意味する。一方、カウント値がNに達していない場合は、ステップS5に移行する。
【0054】
ステップS9の後、検知手段30の検知動作が停止され(ステップS10)、処理が終了する。以上が、人侵入検知装置10の動作である。
【0055】
なお、図6に示される例では、ステップS6において警報出力を行っているが、ここでは警報出力を行わず、ステップS5で経過時間t2が第3の時間T3を超えたときに警報出力するようにしても良い。
【0056】
人侵入検知装置10によれば、第3の時間T3内に動く物体を検知した回数がN回(Nは2以上の任意の整数)未満であれば人が侵入したと判断し、当該回数がN回以上であれば虫等の小動物が侵入したと判断することができる。さらに、この装置10は、侵入した物体が虫等の小動物であると判断した場合には警報出力をしない又は警報出力を停止する。
【0057】
これにより、人侵入検知装置10は、人と小動物との識別を確実に行い、誤警報の防止および誤警報の即座の停止をすることができる。また、人侵入検知装置10は、画像センサが不要なので、装置全体をコンパクトに構成することができ、オーバーヘッドモジュール4内に容易に収納することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、人侵入検知センサが設けられたオーバーヘッドモジュール内に虫が侵入した場合に誤警報が出力されるのを防止し或いは誤警報を即座に停止させることができる人侵入検知装置等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1実施形態に係る人侵入検知装置が設けられたオーバーヘッドモジュールを示す斜視図
【図2】図1におけるオーバーヘッドモジュールをA−A線で切断したときの端面をB方向から見た矢視図
【図3】第1実施形態に係る人侵入検知装置の機能的構成を示すブロック図
【図4】第1実施形態に係る人侵入検知装置の動作を示すフローチャート
【図5】第2実施形態に係る人侵入検知装置の機能的構成を示すブロック図
【図6】第2実施形態に係る人侵入検知装置の動作を示すフローチャート
【図7】従来の人侵入検知装置が設けられたオーバーヘッドモジュールを示す斜視図
【図8】図7におけるオーバーヘッドモジュールをA−A線で切断したときの端面をB方向から見た矢視図
【符号の説明】
【0060】
1,10 人侵入検知装置
2 室内灯
3,30 検知手段
4 オーバーヘッドモジュール
5,50 警報出力手段
6 検知領域側部分
7,70 カウント手段
8,80 カウント部
9,90 タイマ
15 小物入れ
16 室内灯操作ボタン
17 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車室内の動く物体を検知する人侵入検知装置であって、
動く物体が検知領域内に存在するか否かの検知動作を第1の時間毎に行う検知手段と、
前記検知手段により動く物体が検知されると警報を出力する警報出力手段と、
前記検知手段により動く物体が検知された直後から第2の時間(第2の時間>第1の時間)が経過するまでの間に動く物体が検知された回数をカウントするカウント手段とを備え、
前記カウント手段によりカウントされた回数がM回(Mは1以上の任意の整数)に達した場合、前記警報出力手段は警報出力をしない又は警報出力を停止することを特徴とする人侵入検知装置。
【請求項2】
動く物体が前記第2の時間内に検知された回数が前記M回に達した場合、前記検知手段は検知動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の人侵入検知装置。
【請求項3】
自動車の車室内の動く物体を検知する人侵入検知装置であって、
動く物体が検知領域内に存在するか否かの検知動作を第1の時間毎に行う検知手段と、
前記検知手段により動く物体が検知されると警報を出力する警報出力手段と、
前記検知手段により第3の時間(第3の時間>第1の時間)内に動く物体が検知された回数をカウントするカウント手段とを備え、
前記カウント手段によりカウントされた回数がN回(Nは2以上の任意の整数)に達した場合、前記警報出力手段は警報出力をしない又は警報出力を停止することを特徴とする人侵入検知装置。
【請求項4】
動く物体が前記第3の時間内に検知された回数が前記N回に達した場合、前記検知手段は検知動作を停止することを特徴とする請求項3に記載の人侵入検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−33438(P2010−33438A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196537(P2008−196537)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】