説明

人工股関節置換術支援補助部材の製造方法

【課題】 術野で直接、人工股関節の設置位置ないし方向を確認でき、且つ高価な機器を必要とせず、しかも運搬のしやすい人工股関節置換術支援補助部材を製造できる方法を提供する。
【解決手段】 人工股関節設置部位の立体モデルを作成する工程;前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を取得する工程;並びにa)人工股関節設置部位の立体モデルの少なくとも一部に嵌合する骨嵌合部と、b)前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルを、前記人工股関節設置部位の立体モデル及び前記情報に基づいて作成する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工股関節置換術に使用する臼蓋コンポーネント及び大腿骨コンポーネントの、術前計画に基づいた適切な設置位置ないし方向を、術野で直接表示することができる人工股関節置換術支援補助部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、人工股関節置換術について説明する。人工股関節置換術は股関節疾患に対して術後早期より除痛および機能回復の得られる有効な治療方法であり、骨盤臼蓋に対しては臼蓋の骨を半球形に掘削することでソケット型の臼蓋コンポーネントを設置し、大腿骨に対しては、前記大腿骨の一部である大腿骨頸部を骨切し、前記大腿骨の一部である大腿骨頭を摘出後、ボールおよびそれにつながる棒状のステムからなる大腿骨コンポーネントを設置する手術である。
【0003】
かかる手術を行う場合、前記臼蓋コンポーネントを適切な設置角度で固定する必要がある。この設置角度が不良の場合、術後脱臼等の合併症の原因となる。一方、前記大腿骨コンポーネントの場合、前記大腿骨頚部の骨切りを適切に行うことや、前記大腿骨コンポーネントを適切な位置・方向に設置する必要がある。この骨切りや前記大腿骨コンポーネントの設置が不適切な場合は、術後に下肢脚長の不一致を起こす原因となる。
【0004】
従来から、この股関節手術に対しては二次元画像であるX線像を用いて臼蓋・大腿骨のコンポーネントが適切な位置に設置できるように術前計画が行われてきた。しかし、2次元画像を基にした術前計画は、X線像の拡大率が一定にできないことや、大腿骨が下肢の回旋によって形状変化することなどの問題点をもっていた。そのためCT(コンピュータ断層撮影)画像を用いて3次元的に任意の断面像や立体的な画像を作成して術前計画を行う方法も行われるようになってきている。これによって3次元的に前記臼蓋コンポーネント・前記大腿骨のコンポーネントを適切に設置するための3次元術前計画が立案できるようになったが、この方法であっても、術中に捉えた位置が前記3次元術前計画の設置位置のどこに対応するのかが把握できないという問題点があった。
【0005】
このような問題点に対して、近年、CT画像から得られた骨の3次元コンピュータモデルと実際の骨とを、手術部位に設けられた赤外線センサなどや手術室に設置する光学式カメラなどを用いて位置合わせを行い、手術器具も前記センサで補足しつつ、前記臼蓋の掘削や、前記大腿骨頚部の骨切りおよび前記大腿骨の掘削、また前記臼蓋コンポーネントないし前記大腿骨のコンポーネントの設置などの方向ないし位置を、施術者に対してガイド可能なコンピュータナビゲーション技術が開発されてきていて一部ではすでに臨床の現場で使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなコンピュータナビゲーション技術を用いた機械は手術対象部位の位置や、手術器具の位置ないし方向などの情報をコンピュータ上に表示可能であるが、いくつかの問題点がある。第1の問題点は、施術者がコンピュータ表示を見ながら手術器具を操作する必要があるため、表示された手術器具の位置・方向に手術器具を合致するように操作するのは困難である。第2の問題点は、ナビゲーション手術を行うためには、前記センサのような、通常手術で必要としない高価な器材が、ナビゲーション手術を行うためには必要となることである。また、このような高価な器材、装置を、複数の病院で共同的に利用している場合、運搬の面で問題が生じるおそれがある。
【0007】
このような事情下、コンピュータナビゲーション手術のように、術野以外の場所で人工股関節の設置位置ないし方向を表示するのでなく、術野で直接、前記人工股関節の設置位置ないし方向を確認できることが望まれている。また、ナビゲーション手術で必要とする高価な機器を必要としないこと、さらには、利用施設が限定的なものにならないように、運搬のしやすい器材、装置とすることが求められている。
【0008】
本発明の目的は、前記要求に応えることができる人工股関節置換術支援補助部材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る人工股関節置換術支援補助部材の製造方法は、臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントの設置位置ないし方向を、術野で直接表示することができる人工股関節置換術支援補助部材の製造方法であって、人工股関節設置部位の立体モデルを作成する工程;前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を取得する工程;並びにa)人工股関節設置部位の立体モデルの少なくとも一部に嵌合する骨嵌合部と、b)前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルを、前記人工股関節設置部位の立体モデル及び前記情報に基づいて作成する工程を含む。
【0010】
前記情報は、人工股関節置換術の術前計画に基づいた、前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置位置及び方向である。
【0011】
第1の見地による、本発明の人工股関節置換術支援補助部材の製造方法は、臼蓋コンポーネントの設置位置ないし方向を、術野で直接表示することができる人工股関節置換術支援補助部材の製造方法であって、
人工股関節設置部位となる臼蓋の立体モデルを作成する工程;
前記臼蓋コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を取得する工程;並びに
a)前記臼蓋の立体モデルの少なくとも一部に嵌合する骨嵌合部と、b)前記臼蓋コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルを、前記臼蓋の立体モデル及び前記情報に基づいて作成する工程を含む。
【0012】
前記設置情報表示部は、ワイヤ又はピンを挿通できる孔が挙げられ、前記挿通の方向は、前記臼蓋コンポーネント設置方向に平行であることが好ましい。
【0013】
前記臼蓋の立体モデルを作成する工程は、手術部位となる臼蓋を含む医用画像データを取得する工程、及び当該画像データの三次元立体モデルを作成する工程を含んでもよい。
【0014】
前記骨嵌合部は、コンピュータ上で作成した任意の立体モデルから、当該任意の立体モデルと前記臼蓋の立体モデルとの重なり部分を取り除く差演算により作成することが好ましい。
【0015】
上記第1の見地による製造方法において、さらに、前記人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルに基づいて、人工股関節置換術支援補助部材を作製する工程を含んでもよく、例えば、ラピッドプロトタイピングにより作製することができる。
【0016】
第2の見地による、本発明の人工股関節置換術支援補助部材の製造方法は、大腿骨コンポーネントの設置位置ないし方向を、術野で直接表示することができる人工股関節置換術支援補助部材の製造方法であって、
人工股関節設置部位として提供される大腿骨の立体モデルを作成する工程;
前記大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を取得する工程;並びに
a)前記大腿骨の立体モデルの少なくとも一部に嵌合する骨嵌合部と、b)前記大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルを、前記大腿骨の立体モデル及び前記情報に基づいて作成する工程を含む。
【0017】
前記設置情報表示部は、直線構造のスリット、凹部及び凸部の少なくともいずれか1つが挙げられ、前記スリットは、大腿頚部の骨切り面に沿って設けられていることが好ましく、前記凹部及び凸部は、前記大腿骨コンポーネントの設置方向に平行に設けられていることが好ましい。
【0018】
前記大腿骨の立体モデルを作成する工程は、手術部位となる大腿骨を含む医用画像データを取得する工程、及び当該画像データの三次元立体モデルを作成する工程を含んでもよい。
【0019】
前記骨嵌合部は、コンピュータ上で作成した任意の立体モデル(骨嵌合部用)から、当該任意の立体モデルと前記大腿骨の立体モデルとの重なり部分を取り除く差演算により作成することができる。
【0020】
上記第2の見地による製造方法において、さらに、前記人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルに基づいて、人工股関節置換術支援補助部材を作製する工程を含んでもよく、例えば、ラピッドプロトタイピングにより作製することができる。
【0021】
本発明は、上記本発明の方法により製造される人工股関節置換術支援補助部材を包含している。本発明の方法により製造される人工股関節置換術支援補助部材は、人工股関節置換術を行う手術部位となる臼蓋ないし大腿骨の少なくとも一部に嵌合できる骨嵌合部;及び人工股関節置換術に使用する臼蓋コンポーネントないし大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を提供する設置情報表示部を備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の方法により製造される人工股関節置換術支援補助部材によれば、人工股関節置換術において、臼蓋コンポーネントないし大腿骨を適切な位置ないし方向に設置するための情報を、前記人工股関節置換術支援補助部材を前記臼蓋ないし前記大腿骨に嵌合させることだけで得ることが可能であり、しかもその情報は、術野で直接表示されている。従って、施術者にとって術野を見ながら人工股関節置換手術を行うことが可能となる。また、本発明の方法により製造される人工股関節置換術支援補助部材のサイズは、10cm以内であるので運搬に便利であり、しかも従来のコンピュータナビゲーション手術のように、高価な機器を必要とせずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】人工股関節置換術支援補助部材(臼蓋用)8を作製するための、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(臼蓋用)7の作成方法を説明するための図である。
【図2】人工股関節置換術支援補助部材8を作製するための、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル7の斜視図である。
【図3】人工股関節置換術支援補助部材8の使用方法を説明するための図である。
【図4】人工股関節置換術支援補助部材8の使用方法を説明するための図である。
【図5】人工股関節置換術支援補助部材8の使用方法を説明するための図である。
【図6】人工股関節置換術支援補助部材(大腿骨用)20を作製するための、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18の作成方法を説明するための図である。
【図7】人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18の斜視図である。
【図8】人工股関節置換術支援補助部材20の使用方法を説明するための図である。
【図9】人工股関節置換術支援補助部材20の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0025】
本発明に係る人工股関節置換術支援補助部材の製造方法は、臼蓋コンポーネント又は大腿骨コンポーネントの設置位置ないし方向を、術野で直接表示することができる人工股関節置換術支援補助部材、すなわち、手術部位となる臼蓋又は大腿骨の一部と嵌合できる骨嵌合部と、前記臼蓋コンポーネント又は大腿骨コンポーネントを設置するための位置と方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材の製造方法であって、下記工程を含む。
人工股関節設置部位の立体モデルを作成する工程;
前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を取得する工程;並びに
a)人工股関節設置部位の立体モデルの少なくとも一部に嵌合する骨嵌合部と、b)前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルを、前記人工股関節設置部位の立体モデル及び前記情報に基づいて作成する工程。
【0026】
前記骨嵌合部及び設置情報表示部は、手術部位となる臼蓋ないし大腿骨の三次元的形状を利用して作成される。また、人工股関節置換術に使用する臼蓋コンポーネントないし大腿骨コンポーネントを設置するための位置、方向は、通常、人工股関節置換術を行う手術部位のCTデータを基にした術前計画によって得られる。
前記設置情報表示部は、前記情報を提供するための孔、スリット、凹部、又は凸部のいずれかを有していることが好ましい。前記孔は、臼蓋コンポーネント設置方向に平行な孔であることが好ましく、例えば、鋼線、キルシュナーワイヤー、ホフマンピンなどが挿通可能な孔である。前記スリットは、前記大腿頚部の骨切り位置ないし方向を示すために骨切り面に沿って設けられたスリットや、大腿骨コンポーネントの設置方向に平行な凹部又は凸部であることが好ましい。
【0027】
本発明の人工股関節置換術支援補助部材の実施の形態としては、主として、(A)臼蓋コンポーネント設置における設置の方向を表示する際に用いられる人工股関節置換術支援補助部材と、(B)大腿骨コンポーネント設置位置を特定する大腿骨頭の骨切り線の位置ないし方向や大腿骨コンポーネントの挿入方向を表示する人工股関節置換術支援補助部材が挙げられる。以下、それぞれについて、詳述する。
【0028】
〔A:臼蓋コンポーネントの設置用人工股関節置換術支援補助部材〕
臼蓋コンポーネントを設置するのに用いられる人工股関節置換術支援補助部材の一実施例及びその製造方法及び使用方法について、図1〜図5に基づいて説明する。
【0029】
前記臼蓋コンポーネントを設置するための人工股関節置換術支援補助部材は、はじめにコンピュータ上で、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(臼蓋用)を作成することによって作られる。該人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(臼蓋用)7及び人工股関節置換術支援補助部材(臼蓋用)8の製造方法は以下のとおりである。
【0030】
(1)図1は、人工股関節置換術支援補助部材を作製するための、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(臼蓋用)7の作成方法を説明するための図である。
予め人工股関節を設置する際の手術部位の1つである臼蓋を含む骨盤の医用画像データを、CT(断層撮影)などによって取得する。該医用画像データをコンピュータに取り込むことによって、人工股関節を設置する際の手術部位の1つである前記臼蓋および骨盤をそれぞれ、前記臼蓋立体3次元モデル2および骨盤立体モデル1としてコンピュータ上で作成できる。
【0031】
(2)次に、コンピュータ上で前記臼蓋立体3次元モデル2と重なる位置に任意の立体3次元モデル3を作成する。
【0032】
(3)続いて図1において、該立体3次元モデル3と該臼蓋立体3次元モデル2との重なった部分を、該立体3次元モデル3から取り除く差演算によって、臼蓋と嵌合する骨嵌合部を有する骨嵌合部有立体モデル(臼蓋用)を作成する。
図2は、図1に示す方法によって作成された、人工股関節置換術支援補助部材8を作成するための、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル7の斜視図であり、図2中、6がコンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル7における、臼蓋立体3次元モデル2と嵌合することができる骨嵌合部である。
【0033】
(4)さらに図1に示すコンピュータ上において、3次元術前計画で得られた、臼蓋コンポーネントの適切な設置方向の情報を提供しうる設置情報表示部を作成する。
ここで、設置情報表示部としては、臼蓋コンポーネントの設置用人工股関節置換術支援補助部材の場合、例えば、前記臼蓋コンポーネント設置方向に平行に鋼線、キルシュナーワイヤーやホフマンピンなどを挿通することを可能とする孔が挙げられる。例えば図1に示す、コンピュータ上の人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル7における、設置情報表示部立体モデル(臼蓋用)4では、設置方向に平行に、鋼線を挿通させることができる孔5を有する部材である。
【0034】
(5)前記骨嵌合部有立体モデル(臼蓋用)と設置情報表示部立体モデル(臼蓋用)4の2つを和演算によって結合させたものが、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(臼蓋用)7となる。この前記人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(臼蓋用)7を光造形などのラピッドプロトタイピングで作製することにより、本実施形態に係る人工股関節置換術支援補助部材(臼蓋用)8(図3参照)が得られる。
【0035】
次に、この人工股関節置換術支援補助部材(臼蓋用)8の使用方法について、図3〜図5に基づいて説明する。
図3〜図5において、符号10が、人工股関節置換術の手術中の術野における臼蓋である。
【0036】
上記で作製した人工股関節置換術支援補助部材(臼蓋用)8は、前記臼蓋10と嵌合できる骨嵌合部 (臼蓋用)9;及び臼蓋コンポーネントの設置に必要な情報を提供する設置情報表示部(臼蓋用)11を備えている。設置情報表示部(臼蓋用)11は、術野で、臼蓋コンポーネントを設置する方向を表示するもので、設置方向に平行に鋼線12を挿通可能な孔13を含んでいる。
【0037】
図3は、術野における臼蓋10に、人工股関節置換術支援補助部材8を嵌合させる前の状態を示しており、図4は、前記人工股関節置換術支援補助部材8が前記臼蓋10に嵌合した状態を示す。
【0038】
前記骨嵌合部 (臼蓋用)9と嵌合する臼蓋10を術野で直接見ることができるので、嵌合が適切に行われているかの確認ができる。そして嵌合させた人工股関節置換術支援補助部材8の前記臼蓋10に対する位置は、コンピュータ上で作成された人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル7の前記臼蓋立体3次元モデル2に対する位置と合致することになる。合致したということは、人工股関節置換術支援補助部材8の前記臼蓋コンポーネントの設置に必要な情報を提供する部分である前記設置情報表示部(臼蓋用)11は、術野で、臼蓋コンポーネントを設置する方向を表示したことになる。
【0039】
図4は、さらに、例えば前記設置情報表示部(臼蓋用)11において、孔13に鋼線12を挿通させ、さらにそのまま前記臼蓋10に鋼線を突き刺し固定した状態を示している。このように、記設置情報表示部(臼蓋用)11において、孔13に挿通した鋼線12を、前記臼蓋10に突き刺し固定すると、鋼線12の方向がまさに前記臼蓋コンポーネントを設置する方向と一致することになる。
【0040】
鋼線12を臼蓋10に突き刺し固定した後、孔13を鋼線12から脱挿させることで、人工股関節置換術支援補助部材8を前記臼蓋10から取りはずす。図5は、人工股関節置換術支援補助部材8を前記臼蓋10から取り除いた状態を示している。図5に示す状態においては、術野における臼蓋10から、人工股関節置換術支援補助部材8が取り除かれているが、先に固定させた鋼線12の方向が、前記臼蓋コンポーネントを設置する方向と一致しているので、術野で、鋼線12を直接見ながら臼蓋コンポーネントを設置する手術を行えばよい。
【0041】
尚、上記形態においては、前記臼蓋コンポーネントの設置方向と3次元的に平行に挿入させるものとして鋼線を用いたが、キルシュナーワイヤーやホフマンピンなどを挿通してもよい。
【0042】
以上のように、手術部位である前記臼蓋に前記臼蓋コンポーネントを前記3次元術前計画より得られた方向に設置するための前記人工股関節置換術支援補助部材には、前記臼蓋コンポーネントの設置方向と3次元的に平行に、鋼線であるキルシュナーワイヤーやホフマンピンなどを挿通可能な孔を備えた部分、すなわち前記臼蓋コンポーネントを設置する方向の情報を提供する前記設置情報表示部をもち、同時に臼蓋に嵌合する前記骨嵌合部をもつので、術中に術野で前記臼蓋に嵌合することで、臼蓋コンポーネントの設置方向を術野で直接表示できる。また嵌合しているかどうか、つまり前記人工股関節置換術支援補助部材が機能するかどうかを前記人工股関節置換術支援補助部材の嵌合部と前記臼蓋とをみることで確認することができる。
【0043】
〔B:大腿骨コンポーネントの設置用人工関節設置補助部材〕
次に、前記大腿骨コンポーネントを設置するための人工関節設置補助部材の一実施例について、その製造方法及び使用方法を説明する。
【0044】
人工関節設置補助部材の製造に際しては、はじめに、コンピュータ上で人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)を作成することによって作られる。該人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18及び人工関節設置補助部材(大腿骨用)20の製造方法及び使用方法は、以下の通りである。
【0045】
(1)図6は、大腿骨コンポーネントの設置用人工股関節置換術支援補助部材20を作成するにあたり、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18の作成方法を説明するための図である。
【0046】
予め人工股関節を設置する際の手術部位の1つである大腿骨の医用画像データを、CT(断層撮影)などによって取得する。該医用画像データをコンピュータに取り込むことによって、人工股関節を設置する際の手術部位の1つである前記大腿骨を、コンピュータ上で大腿骨立体3次元モデル14として作成できる。
【0047】
(2)次に、図6において、コンピュータ上で前記大腿骨立体3次元モデル14と重なる位置に任意の立体3次元モデル(大腿骨用)(図6では示されない)を作成する。
【0048】
(3)続いて図6において、前記任意の立体3次元モデル(大腿骨用)(図6では示されない)と該大腿骨立体3次元モデル14との重なった部分を、前記任意の立体3次元モデル(大腿骨用)から取り除く差演算によって、大腿骨立体3次元モデル14と嵌合する骨嵌合部(大腿骨用)19(図6では示されない。図7で示す)を有する骨嵌合部有立体3次元モデル(大腿骨用)15を作成する。
【0049】
(4)さらに図6において、前記3次元術前計画より得られた、前記大腿骨コンポーネントの適切な設置方向の情報を提供しうる設置情報表示部を作成する。人工関節設置補助部材(大腿骨用)としては、例えば、ボーンソーなどの鋸器具で適切な位置ないし方向で大腿頚部の骨切りを行うための、骨切り面に沿ったスリット17や、例えば大腿骨コンポーネントの挿入方向を示すための凸部又は凹部、すなわち設置方向に平行な凸部であってもよいし、設置方向に平行な溝等の凹部であってもよい。前記大腿頚部の骨切をボーンソーなどの鋸器具で適切な位置ないし方向で行うためのスリット部や、大腿骨コンポーネントの挿入方向を示すための凸部又は凹部は、いずれか一方を有すればよい。
【0050】
図6の態様では、大腿骨コンポーネントの設置方向に平行に凹設された溝16、及び大腿骨頚部骨切りを行うためのスリット17が、設置情報表示部に該当する。図6の例では、溝16及びスリット17という設置情報表示部を備えているが、いずれか一方だけでもよい。
【0051】
溝16は、例えば、大腿骨コンポーネントの設置方向に平行な直線構造を有する円筒形立体モデルを作成し、該円筒形立体モデルと骨嵌合部有立体3次元モデル(大腿骨用)15との重なっている部分を、骨嵌合部有立体3次元モデル(大腿骨用)15から取り除く差演算によって求めることができる。
【0052】
(5)スリット17をつくるためには、例えば骨切り面を含む直方体モデルを作成し、該直方体モデルと骨嵌合部有立体3次元モデル(大腿骨用)15の重なっている部分を、骨嵌合部有立体3次元モデル(大腿骨用)15から取り除く差演算によって求めることができる。
【0053】
(6)以上のような工程によって、図7に示すような、前記大腿骨コンポーネントの適切な設置方向の情報を提供しうる設置情報表示部、すなわち、設置方向に平行な凸部と凹部のいずれか一方の直線構造である設置情報表示部16と、前記大腿頚部を骨切りするための骨切り線の位置ないし方向を示すスリット構造をもつ設置情報表示部17とを有し、且つ前記大腿骨14に嵌合せしめる骨嵌合部(大腿骨用)19を有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18を、コンピュータ上で作成することができる。そして、このコンピュータ上で作成した人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18に基づいて、光造形などのラピッドプロトタイピングで、人工股関節置換術支援補助部材(大腿骨用)20を製造することができる。
【0054】
図8に示す人工股関節置換術支援補助部材20において、22が手術部位である大腿骨21と嵌合できる骨嵌合部であり、23が大腿骨頚部骨切りを行うための位置ないし方向を表示するためのスリット構造の設置情報表示部であり、24が大腿骨コンポーネントの適切な設置を行うための、設置方向に平行な直線構造である設置情報表示部である。
尚、人工股関節置換術支援補助部材20においては、設置情報表示部として、骨切りを行うための位置ないし方向を表示するためのスリット23、大腿骨コンポーネントの適切な設置を行うための、設置方向に平行な溝24の両方を備えているが、一方だけであってもよい。
【0055】
次に、大腿骨コンポーネントを用いる人工股関節置換手術において、上記のようにして製造された人工股関節置換術支援補助部材(大腿骨用)20の使用方法について、図8及び図9に基づいて説明する。
【0056】
図8は、前記人工股関節置換術支援補助部材20の、前記大腿骨21と嵌合する骨嵌合部 (大腿骨)22を、前記大腿骨21に嵌合させる前の状態を示す。図9は、前記人工股関節置換術支援補助部材20が前記大腿骨21に嵌合した状態を示している。
【0057】
嵌合させた人工股関節置換術支援補助部材20の前記大腿骨21に対する位置は、コンピュータ上で作成された人工股関節置換術支援補助部材作成用の人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18の前記大腿骨立体3次元モデルに対する位置と合致することになる。合致したということは、人工股関節置換術支援補助部材20は前記大腿骨コンポーネントの設置に必要な情報である設置情報表示部をもつため、前記大腿骨コンポーネントを設置するために必要な位置ないし方向を表示できることになる。すなわち、前記人工股関節置換術支援補助部材20は、前記大腿骨頚部の骨切りを行うための位置ないし方向を表示するスリット構造をもつ設置情報表示部23と、前記大腿骨コンポーネントを設置するための適切な設置方向を表示する、該設置方向に平行な凸部と凹部のいずれか一方の直線構造をもつ設置情報表示部24とのいずれかもしくは両方をもつので、前記大腿骨頚部の骨切りを行うための位置ないし方向の表示と、前記大腿骨コンポーネントの適切な設置方向の表示とのいずれかもしくは両方の表示が術野で直接可能となる。
【0058】
このように、骨嵌合部(大腿骨)22と、該骨嵌合部(大腿骨)22と嵌合する大腿骨21を術野で直接見ることができるので、嵌合が適切に行われているかの確認ができる。そして、大腿骨コンポーネントを設置するために必要な位置ないし方向が表示されることになる。さらに、設置表示部23、24により、前記大腿骨頚部の骨切りを行うための位置ないし方向、前記大腿骨コンポーネントを設置するための適切な設置方向が表示されることになる。
【0059】
以上のようにして製造された人工股関節置換術支援補助部材は、前記臼蓋コンポーネントないし前記大腿骨コンポーネントのいずれかを設置する手術部位である前記臼蓋ないし前記大腿骨にあてはめることができる。また該人工股関節置換術支援補助部材は術前に計画した前記臼蓋コンポーネントないし前記大腿骨コンポーネントのいずれかを設置するための位置と方向の少なくともいずれか1つの情報を提供する該設置情報表示部をもっているので、該人工股関節置換術支援補助部材を手術部位である臼蓋ないし大腿骨に嵌合したならば、それは同時に術前に計画した前記コンポーネントのいずれかを設置するための位置と方向の少なくともいずれか1つの情報を術野に表示する事が可能となる。
【0060】
以上のように、本発明の方法により製造された人工股関節置換術支援補助部材は、手術部位である大腿骨に嵌合させることにより、前記大腿骨コンポーネントを前記3次元術前計画によって得られた位置ないし方向に設置するための情報(大腿骨頚部の骨切りの位置ないし方向や、大腿骨コンポーネント設置方向)を術野で表示することができ(例えば、Bタイプの大腿骨コンポーネントの設置用人工関節設置補助部材の場合)、あるいは手術部位である臼蓋に嵌合させ、3次元術前計画によって得られた位置ないし方向に設置するための情報(臼蓋コンポーネントの設置方向位置と一致する方向)を有する鋼線等を術野に固定することができる。
従って、施術者は、このように、本発明の方法により製造された人工股関節置換術支援補助部材を用いることで、術前計画によって得られた、大腿骨コンポーネント又は臼蓋コンポーネントの設置に必要な情報、すなわち人工股関節置換術に必要な、大腿骨頚部の骨切りの位置ないし方向や、大腿骨コンポーネント設置方向、臼蓋コンポーネントの設置方向位置を、術野で確認することができる。しかも、本発明の方法により製造される人工股関節置換術支援補助部材は、サイズがコンパクトであるから、運搬に便利であり、従来のコンピュータナビゲーション手術のような高価な機器を必要としない。
【0061】
さらに、骨嵌合部が手術部位となる臼蓋又は大腿骨に嵌合しているかどうか、つまり前記人工股関節置換術支援補助部材が機能するかどうかを、術中に術野で確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の方法により製造される人工股関節置換術支援補助部材は、高価な機器を要することなく、術前計画に基づいた、大腿骨コンポーネント又は臼蓋コンポーネントの設置位置ないし方向といった必要情報を、術野で確認することを可能にするので、人工股関節置換術を支援する補助部材として、大変有用である。
【符号の説明】
【0063】
1.コンピュータ上の骨盤立体モデル
2.コンピュータ上の臼蓋立体3次元モデル
3.コンピュータ上の任意の立体3次元モデル
4.コンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル7における、前記臼蓋コンポーネント設置方向に平行に鋼線を挿通することを可能とする孔5を有する設置情報表示部立体モデル(臼蓋用)
5.コンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル7における、前記臼蓋コンポーネント設置方向に平行に鋼線を挿通することを可能とする孔
6.コンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル7における、臼蓋立体3次元モデル2と嵌合することができる骨嵌合部
7.コンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(臼蓋用)
8.人工股関節置換術支援補助部材(臼蓋用)
9.人工股関節置換術支援補助部材8における骨嵌合部(臼蓋用)
10.臼蓋
11.人工股関節置換術支援補助部材8の、前記臼蓋コンポーネント設置方向に平行に鋼線12を挿通することを可能とする孔13をもつ設置情報表示部(臼蓋用)
12.鋼線
13.人工股関節置換術支援補助部材8の、前記臼蓋コンポーネント設置方向に平行に鋼線12を挿通することを可能とする孔
14.コンピュータ上で示される、大腿骨立体3次元モデル
15.コンピュータ上で示される、骨嵌合部有立体3次元モデル(大腿骨用)
16.コンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18の、大腿骨コンポーネントの設置方向に平行な直線構造である設置情報表示部
17.コンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18の、大腿骨頚部骨切りを行うためのスリット構造である設置情報表示部
18.コンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)
19.コンピュータ上で示される、人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデル(大腿骨用)18の、前記大腿骨立体3次元モデル14と嵌合する骨嵌合部(大腿骨用)
20.人工股関節置換術支援補助部材(大腿骨用)
21.大腿骨
22.人工股関節置換術支援補助部材20の、前記大腿骨21と嵌合する骨嵌合部
23.人工股関節置換術支援補助部材20における、大腿骨頚部骨切りを行うための位置ないし方向を表示するためのスリット構造である設置情報表示部
24.人工股関節置換術支援補助部材20における、前記大腿骨コンポーネントの適切な設置を行うための、設置方向に平行な直線構造である設置情報表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臼蓋コンポーネントの設置位置ないし方向を、術野で直接表示することができる人工股関節置換術支援補助部材の製造方法であって、
人工股関節設置部位となる臼蓋の立体モデルを作成する工程;
前記臼蓋コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を取得する工程;並びに
a)前記臼蓋の立体モデルの少なくとも一部に嵌合する骨嵌合部と、b)前記臼蓋コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルを、前記臼蓋の立体モデル及び前記情報に基づいて作成する工程を含む、
人工股関節置換術支援補助部材の製造方法。
【請求項2】
前記設置情報表示部は、ワイヤ又はピンを挿通できる孔である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記挿通の方向は、前記臼蓋コンポーネント設置方向に平行である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記臼蓋の立体モデルを作成する工程は、
手術部位となる臼蓋を含む医用画像データを取得する工程、及び当該画像データの三次元立体モデルを作成する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記骨嵌合部は、コンピュータ上で作成した任意の立体モデルから、当該任意の立体モデルと前記臼蓋の立体モデルとの重なり部分を取り除く差演算により作成する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
大腿骨コンポーネントの設置位置ないし方向を、術野で直接表示することができる人工股関節置換術支援補助部材の製造方法であって、
人工股関節設置部位となる大腿骨の立体モデルを作成する工程;
前記大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を取得する工程;並びに
a)前記大腿骨の立体モデルの少なくとも一部に嵌合する骨嵌合部と、b)前記大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルを、前記大腿骨の立体モデル及び前記情報に基づいて作成する工程を含む、
人工股関節置換術支援補助部材の製造方法。
【請求項7】
前記設置情報表示部は、直線構造のスリット、凹部及び凸部の少なくともいずれか1つである請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記スリットは、大腿頚部の骨切り面に沿って設けられている請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記凹部及び凸部は、前記大腿骨コンポーネントの設置方向に平行に設けられている請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記大腿骨の立体モデルを作成する工程は、
手術部位となる大腿骨を含む医用画像データを取得する工程、及び当該画像データの三次元立体モデルを作成する工程を含む請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記骨嵌合部は、コンピュータ上で作成した任意の立体モデルから、当該任意の立体モデルと前記大腿骨の立体モデルとの重なり部分を取り除く差演算により作成する請求項6〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントの設置位置ないし方向を、術野で直接表示することができる人工股関節置換術支援補助部材の製造方法であって、 人工股関節設置部位の立体モデルを作成する工程;
前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を取得する工程;並びに
a)人工股関節設置部位の立体モデルの少なくとも一部に嵌合する骨嵌合部と、b)前記臼蓋コンポーネントまたは大腿骨コンポーネントを設置するための位置及び方向の少なくともいずれか1つを含む情報を表示する設置情報表示部とを有する人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルを、前記人工股関節設置部位の立体モデル及び前記情報に基づいて作成する工程を含む、
人工股関節置換術支援補助部材の製造方法。
【請求項13】
さらに、前記人工股関節置換術支援補助部材作成用立体モデルに基づいて、人工股関節置換術支援補助部材を作製する工程を含む請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記作製は、ラピッドプロトタイピングにより行われる請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記情報は、人工股関節置換術の術前計画に基づいた設置位置及び方向である請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法により製造される人工股関節置換術支援補助部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−110754(P2012−110754A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59854(P2012−59854)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【分割の表示】特願2007−56337(P2007−56337)の分割
【原出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(507072483)
【Fターム(参考)】