説明

人形体の玩具

【課題】 リアリティの高い人形体の玩具を、簡易な方法で実現する。
【解決手段】 人形体の各部位に対応する複数の部材101〜115が結合部300を介して回動可能に結合される人形体の玩具100であって、前記複数の部材101〜115は、それぞれ、平面形状を有する第1の面と、前記結合部300を構成する、略球形状の回動部302と該回動部302を回動可能に包持する包持部301のうちのいずれか一方が配されており、前記第1の面の裏面を形成する第2の面とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形体の玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人形体の玩具として、フィギュア人形が知られている。フィギュア人形は、実在の人物やアニメーションのキャラクタ等をモデルとして作られた立体形状の人形である。一般に、フィギュア人形の場合、リアリティが追求されるため、顔や体形、服装等の特徴を捉え、いかにしてモデルに似せてつくるかが重要となってくる。
【0003】
このため、モデルの3次元形状を正確に再現し、モデルの特徴を捉えた精度の高い着色を施すことが不可欠である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モデルの3次元形状を正確に把握し、製造用の金型の生成に反映させることは非常に困難な作業である。また、生成した金型に流し込むことで成形された立体形状の人形に、精度の高い着色を施すことは、技術的にも困難である。
【0005】
このため、大量生産されるフィギュア人形の場合、個体差が生じやすく、また、リアリティの低下も免れない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、リアリティの高い人形体の玩具を、簡易な方法で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明に係る人形体の玩具は以下のような構成を備える。即ち、
人形体の各部位に対応する複数の部材が結合部を介して摺動可能に結合される人形体の玩具であって、
前記複数の部材は、それぞれ、
平面形状を有する第1の面と、
前記第1の面の裏面を形成し、前記結合部を構成する摺動部と該摺動部を摺動可能に保持する保持部のうちのいずれか一方が配された第2の面とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リアリティの高い人形体の玩具を、簡易な方法で実現することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
<人形体の玩具の本体部分の外観構成>
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる人形体の玩具の本体部分(以下、「人形体本体」と称す)の外観構成を示す図(正面図)である。
【0011】
図1に示すように、人形体本体100は、人形体の各部位に対応する複数のパーツから構成されている。図1の例では、複数のパーツとして、頭部101、胸部102、肩部(右/左)103・104、腕部(右/左)105・106、手のひら部(右/左)107・108、腰部109、大腿部(右/左)110・111、脚部(右/左)112・113、つま先部(右/左)114・115を備える。
【0012】
各パーツは、それぞれ他のいずれかのパーツと結合部(図1中の丸点線で示した部分)を介して結合されており、所定の方向に、回動するように構成されている。
【0013】
また、各パーツは、正面側の面(第1の面)が、平面形状を有している。更に、胸部102、腕部(右/左)105・106、大腿部(右/左)110・111、つま先部(右/左)114・115には、結合部との干渉を避けるための切り欠き部(121〜127)が設けられており、これにより、当該パーツを、結合部を構成する部材と干渉することなく正面側に回動させることが可能となっている。
【0014】
図2は、人形体本体100の断面図(図1のA−A断面及びB−B断面を組み合わせた図)である。図2に示すように、人形体本体100は、結合部を除く各パーツの厚さが1〜2mm程度となっている。また、各結合部(図2中の丸点線で示した部分)を介して結合された2つのパーツの成す角度が180度となるようにした場合(図2の状態の場合)、全てのパーツの正面側の面(第1の面)は、同一平面(点線201参照)を形成する。
【0015】
図3は、人形体本体100の裏面図(斜視図)である。図3に示すように、結合部は、全て、各パーツの裏面側の面(第2の面)に配されており、例えば、ボールジョイントにより構成されている(例えば、300参照)。ボールジョイント300は、包持部(保持部)301と略球形状の回動部(摺動部)302とから構成されており、ボールジョイント300を介して結合された2つのパーツ(右大腿部110、右脚部112)のうちの一方のパーツ(右大腿部110)に、包持部(保持部)301が接続され、他方のパーツ(右脚部112)に回動部302が接続されている。なお、包持部(保持部)301は、摺動部302を摺動可能に保持することが可能な部材である。
【0016】
本実施形態の場合、1つのパーツには、包持部か回動部のいずれか一方のみが配されるように構成されており、同一パーツ内に、包持部と回動部とが混在して配されることはない。例えば、胸部102の第2の面には、包持部のみが4つ配されている。また、腰部109の第2の面には、回動部のみが3つ配されている。
【0017】
上述したように、結合部(ボールジョイント)が、全て人形体本体100の各パーツの第2の面に適切に配されることにより、人形体本体100の各パーツの第1の面の平面形状を実現するとともに、全てのパーツによる第1の面における同一平面の形成を実現している。
【0018】
<人形体本体に画像を付加するための処理>
上述したように、人形体本体100では、各パーツ(101〜115)の各結合部を180度に維持することで、第1の面が同一平面(201)を形成することとなる。つまり、人形体本体100は、第1の面に画像を付加するのに適した状態をつくりだすことが可能となっている。
【0019】
本実施形態にかかる人形体では、かかる特徴を利用して人形体本体100の第1の面に、リアリティの高い画像を精度よく付加することで、リアリティの高い人形体を実現することとしている。
【0020】
以下、人形体本体100に画像を付加するための処理の流れについて説明する。
【0021】
なお、人形体本体100の第1の面に画像を付加する方法としては、大きくわけて2つの方法が考えられる。
【0022】
第1は、人形体本体100に、直接、画像を印刷する方法であり、第2は、人形体本体を構成する各パーツの形状に合わせて貼り付け部材(例えば、シール等)に画像を印刷し、当該貼り付け部材を人形体本体100に貼り付ける方法である。
【0023】
いずれの方法も、人形体本体100の各パーツの第1の面の平面形状ならびに全てのパーツによる第1の面における同一平面の形成が実現されることで、容易に処理を行うことができる。以下、当該2通りの方法における処理の流れについて説明する。
【0024】
(1)人形体本体に画像を印刷する場合の処理の流れ
図4は、印刷により、人形体本体100に画像を付加する画像付加工程を説明するための図である。図4において、401は画像取得部であり、人形体のモデルとなる人物やキャラクタ等の画像データ(ここでは写真画像411)を取得する。
【0025】
402は画像処理部であり、画像取得部401において取得した写真画像411を、人形体本体100を構成する各パーツごとに分割するとともに、分割された写真画像411が各パーツの大きさ、形状に合致するように画像処理する。
【0026】
412は、写真画像411を画像処理部402において画像処理した後の写真画像を示している。
【0027】
403は印刷制御部であり、画像処理部402において処理された各パーツごとの写真画像412を順次読み込み、対応するパーツに印刷するための処理を制御する。
【0028】
404は人形体本体取得部であり、画像を付加する人形体本体100を取得し、支持台423上に第1の面を上側に向けて載置した後、印刷部405内に搬送する。
【0029】
405は印刷部である。なお、本実施形態では、印刷部405は、ホットスタンプにより、人形体本体100の第1の面に写真画像412の印刷を行うように構成されているものとする。
【0030】
具体的には、図4の下側に示したように、矢印425方向に支持台423とともに搬送される人形体本体100に対して、加熱ローラ421が、人形体本体100上に載置されたフィルム422を介して矢印424方向に熱押圧することで、人形体本体100の第1の面に、写真画像412を印刷する。
【0031】
上述したように、人形体本体100は、各結合部を介して結合された2つのパーツの成す角度が180度となるようにした場合、全てのパーツの正面側の面(第1の面)は、同一平面(201)を形成するため、各パーツが組み立てられた状態であっても、容易にホットスタンプを行うことができる。
【0032】
なお、図4の例では、人形体本体100を構成する各パーツが組み立てられた状態で印刷を行う場合について説明したが、人形体本体100を、各パーツごとに分解した状態で印刷を行うようにしてもよい。上述したように、各パーツは、正面側の面(第1の面)が、平面形状を有しているため、分解した状態であっても、容易に印刷を行うことができる。
【0033】
このため、ユーザに対しては、印刷がなされた各パーツを組み立てた状態で人形体を提供することもできるし、印刷がなされた各パーツを分解した状態で人形体を提供することもできる。印刷がなされた各パーツが分解された状態で人形体が提供された場合、ユーザは、各パーツの組み立て過程を楽しむことができる。
【0034】
(2)貼り付け部材に画像を印刷する場合の処理の流れ
図5は、人形体本体100を構成する各パーツの形状にあわせて貼り付け部材に画像を印刷する場合の処理の流れを説明するための図である。図5において、401は画像取得部であり、人形体のモデルとなる人物やキャラクタ等の画像データ(ここでは写真画像411)を取得する。
【0035】
501は貼り付け部材取得部であり、画像が印刷される貼り付け部材511を取得する。502は貼り付け部材加工部であり、印画面と粘着面とを備える貼付部512と、台紙513とから構成される貼り付け部材511のうち、貼付部512を、人形体本体100を構成する各パーツの形状に合致する形状に加工する。
【0036】
402は画像処理部であり、画像取得部401において取得した写真画像411を、人形体本体100を構成する各パーツに対応する各貼付部512ごとに分割するとともに、分割された写真画像411が各貼付部512の大きさ、形状に合致するように画像処理する。
【0037】
412は、写真画像411を画像処理部402において画像処理した後の写真画像を示している。
【0038】
403は印刷制御部であり、画像処理部402において処理された各貼付部512ごとの写真画像412を順次読み込み、対応する貼付部512に印刷するための処理を制御する。
【0039】
503は印刷部である。なお、本実施形態では、印刷部503は、インクジェット方式により、貼付部512の印画面に写真画像412の印刷を行うものとする。514は、貼付部512の印画面に写真画像412が印刷された貼り付け部材を示している。
【0040】
504は画像付加部であり、印刷部503において印刷された貼り付け部材514から、貼付部512をはがし、対応するパーツに貼り付ける処理を行う。
【0041】
なお、図5では、画像付加部504を含む処理の流れについて説明したが、画像付加部504は省略されても良い。つまり、ユーザに対して、人形体本体100と画像が印刷された貼り付け部材514とを提供し、ユーザ自身が、貼り付け部材514から貼付部512をはがし、人形体本体100に貼り付けるようにしてもよい。上述したように、人形体本体100を構成する各パーツの第1の面は、平面形状を有しているため、ユーザは、容易に貼付部を各パーツに貼り付けることができる。
【0042】
なお、この場合にユーザに提供される人形体本体100は、各パーツが組み立てられた状態のものであっても、分解された状態のものであってもよい。
【0043】
つまり、ユーザに対しては、貼付部が人形体本体100に貼り付けられ、かつ各パーツが組み立てられた状態で提供されても良いし、貼り付け部材514と各パーツが組み立てられた状態の人形体本体100とが別個に提供されても良い。
【0044】
あるいは、貼付部が人形体本体100に貼り付けれ、かつ各パーツが分解された状態で提供されても良いし、貼り付け部材514と各パーツが分解された状態の人形体本体100とが別個に提供されても良い。
【0045】
<人形体の外観構成>
図6は、人形体本体100に画像が付加されることで生成された人形体600の外観構成を示す図である。図6に示すように、人形体本体100には、モデルとなる人物の写真画像が付加されているため、リアリティの高い人形体600を実現することができる。
【0046】
一方で、人形体600の場合、印画紙に印画された単なる写真とは異なり、各パーツを回動させ、様々なポーズをとらせることができるため、従来のフィギュア人形と同様に、ユーザにとっては、人形体の玩具本来の興趣性を実感することができる。
【0047】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる人形体600は、写真画像を付加することで高いリアリティを実現することが可能となっている。このため、人形体本体100の形状についてまで、モデルとなる人物等の3次元形状を正確に再現する必要がなくなり、生成が容易となる。
【0048】
このように、本実施形態にかかる人形体600は、2次元形状を再現すればよいため、人形体本体の金型を生成する際の作業負荷も大幅に軽減される。
【0049】
また、画像を付加する工程においても、立体形状ではなく平面形状を対象としているため、低コストで精度の高い印刷を容易に行うことができ、画像を付加するためのコストを大幅に削減することができる。
【0050】
この結果、本実施形態によれば、リアリティの高い人形体の玩具を、簡単な方法で実現することが可能となる。
【0051】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、結合部としてボールジョイントを用いる場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。各パーツの第1の面の平面形状を実現するとともに、全てのパーツによる第1の面における同一平面の形成を実現できるものであればよい。
【0052】
図7は、人形体本体100の結合部の他の例を示す図である。図7(a)は、ヒンジにより結合部を実現した場合の一例を示している。当該結合部を用いることにより、該結合部を介して結合された各パーツを、矢印701方向に回動させることができる。
【0053】
図7(a)に示すように、ヒンジにより実現された結合部は、回動部(摺動部)701、702と、回動部701、702を摺動可能に保持する包持部(保持部)704とを有する。包持部704は軸部材であり、回動部701、702に形成された開口部に包持部704を固定することにより、回動部701、702を矢印701方向へ摺動させることができるよう構成されている。
【0054】
なお、ヒンジの形状は図7(a)に示すものに限られず、棒状の軸によって可動可能な結合部であれば様々な形状をとることができる。例えば、円柱形状であり底面に突起部が設けられた摺動部と、円柱形状であり底面に当該突起部を嵌め込むことが可能な凹部が設けられた保持部とからなる結合部を用いてもよい。
【0055】
また、図7(b)は、スライドレールにより結合部を実現した場合の一例を示している。当該結合部を用いることにより、該結合部を介して結合された各パーツを、矢印702方向にスライド動作させることができる。
【0056】
図7(b)に示すように、スライドレールにより実現された結合部は、回動部(摺動部)705と、回動部705を摺動可能に保持する包持部(保持部)706とを有している。包持部706に設けられた開口部に、回動部705の突起部が嵌めこまれることにより、回動部705が矢印702方向へ摺動するように構成されている。
【0057】
このように、人形体本体100の各結合部として、ボールジョイントではなく、ヒンジ、またはスライドレールを用いるようにしてもよい。
【0058】
あるいは、人形体本体100の各結合部として、ポールジョイント、ヒンジ、スライドレールを混在して用いるようにしてもよい。これにより、人形体に多彩なポーズをとらせることが可能となるからである。
【0059】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態においては、人形体本体の製造工程については特に言及しなかったが、人形体本体の製造工程としては、様々な製造工程が考えられる。
【0060】
一例として、各パーツごとに個別の金型を生成し、それぞれの金型に所定の樹脂を流し込むことで成形する方法が挙げられる。
【0061】
また、互いにランナーを介して全てのパーツが接続されるように金型を生成し、当該金型に所定の樹脂を流し込むことで、全てのパーツを1回の成形工程で同時に成形する方法も挙げられる。
【0062】
図8は、人形体本体100を構成する各パーツがランナー801とともに成形された場合の一例を示す図である。
【0063】
当該方法の場合、ランナーを介して接続された各パーツの第1の面が、同一方向を向き、かつ、同一平面を形成するように金型を生成すれば、各パーツに写真画像を印刷する際に、同一平面に対して印刷処理を行うこととなり、処理が容易になる。
【0064】
なお、第1の面を上側に向けて図4に示した支持台423に載置した場合に、ランナーの高さ位置と、各パーツの第1の面の高さ位置とが同じになるように、金型が生成されていることが望ましい。あるいは、ランナーの高さ位置よりも、各パーツの第1の面の高さ位置が高くなるように、金型が生成されていることが望ましい。このように金型が生成されていることにより、各パーツに写真画像を印刷する際に、ランナーが干渉することなく印刷を行うことが可能となるからである。
【0065】
図9(a)は、図8の側面図であり、ランナーの高さ位置と、各パーツの第1の面の高さ位置とが同じになるように金型を生成した場合の成形結果の一例を示している。また、図9(b)は、図8の側面図であり、ランナーの高さ位置よりも、各パーツの第1の面の高さ位置が△dだけ高くなるように、金型を生成した場合の成形結果の一例を示している。
【0066】
なお、成形される各パーツがランナー付きの場合、各パーツに写真画像を印刷する際に、各パーツが別々に成形された場合と比べて、各パーツの位置決めが容易となるため、精度の高い印刷を実現するうえで有利になるという利点がある。
【0067】
また、成形される各パーツがランナー付きの場合、ユーザは、人形体を組み立てるにあたり、各パーツをランナーから取り外したうえで組み立てを行うこととなる。このため、ユーザにとっては、プラスチックモデルを製作するような感覚で、人形体の組み立てを行うこととなり、ユーザにとって興趣性が増すという利点がある。
【0068】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、各パーツの組み立てをユーザが行うことを前提とした場合の人形体本体100の製造工程について説明したが、人形体本体100の製造工程はこれに限定されない。例えば、各パーツの結合部が予め結合された状態で成形されるように、人形体本体100を製造するようにしてもよい。
【0069】
各パーツの結合部が予め結合された状態で成形する方法としては、所謂「インサート成形」と呼ばれる成形方法があり、人形体本体100の製造工程にも適用することができる。なお、インサート成形の具体的な方法については、例えば、特許第3163255号に開示されているため、ここでは詳細な説明は割愛する。
【0070】
図10の1000は、各パーツの結合部が予め結合された状態で成形(一体成形)されるように、人形体本体100を成形した場合の一例を示す図である。
【0071】
図8の場合と異なり、各パーツが既に結合されているため、ユーザは、人形体をランナーから取り外すだけで、すぐに遊ぶことができる。
【0072】
また、上述したように、人形体本体100は、包持部が配されたパーツ(胸部102、腕部(右/左)105・106、大腿部(右/左)110・111、つま先部(右/左)114・115)と、回動部が配されたパーツ(頭部101、肩部(右/左)103・104、腰部109、脚部(右/左)112・113)とにわかれて構成されている。
【0073】
したがって、人形体本体100の場合、回動部が配されたパーツについて1次成形した後に、包持部が配されたパーツについて2次成形することで、上記インサート成形を実現することができる。
【0074】
なお、人形体本体100の製造工程にインサート成形を適用するにあたっては、上記第3の実施形態と同様、ランナーを介して接続された人形体本体の第1の面が、同一方向を向き、かつ、同一平面(201)を形成するように金型を生成することが望ましい。
【0075】
これにより、人形体本体に写真画像を印刷する際に、同一平面に対して印刷処理を行うことが可能となり、印刷処理が容易になるからである。
【0076】
更に、人形体本体の第1の面を上側に向けて図4に示した支持台423に載置した場合に、ランナーの高さ位置と、人形体本体の第1の面の高さ位置とが同じになるように、あるいは、ランナーの高さ位置よりも、人形体本体の第1の面の高さ位置が高くなるように、金型が生成されていることが望ましい。これにより、人形体本体に写真画像を印刷する際に、ランナーと干渉することなく印刷を行うことが可能となるからである。
【0077】
[第5の実施形態]
上記第1の実施形態においては、人形体本体100に付加される画像の取得方法については特に言及しなかったが、例えば、人形体本体100に付加される画像は、ユーザがネットワークを介してアップロードすることにより取得するように構成しても良い。この場合、上記画像付加工程は、人形体提供サービスとして機能させることができる。
【0078】
図11は、上記第1の実施形態において説明した画像取得工程を実行するサーバ1101を備え、人形体提供サービスを実現する場合のネットワークシステム1100の一例を示す図である(なお、図11では、画像取得部位外の画像付加工程については省略してある)。
【0079】
図11において、1101はサーバであり、インターネット1103を介して、ユーザ端末1102に、人形体提供サービス画面1106を提供する。また、ユーザ端末1102より人形体提供要求を受け付けるとともに、アップロードされた写真画像並びに当該写真画像を印刷する人形体本体のタイプを受け付ける。
【0080】
1102はユーザ端末であり、携帯電話1104やデジタルカメラ1105により取得された写真画像を取得し、格納する。また、サーバ1101にアクセスし、人形体提供サービス画面1106を介して、人形体提供要求を行う。
【0081】
なお、人形体提供要求を行うにあたっては、印刷すべき写真画像をアップロードするとともに、該写真画像が印刷される人形体本体のタイプを指定する。
【0082】
なお、上記第1の実施形態では、人形体本体の2次元形状として、普段着を着た男性の場合(ノーマル(男性))について例示したが、人形体本体は複数種類の2次元形状を成形可能であるものとする。図11の例では、普段着を着た女性(ノーマル(女性))や、花婿タイプ(和風)、花嫁タイプ(和風)等の人形体本体のタイプの中から、選択できるように構成されている。
【0083】
つまり、ユーザは、アップロードする写真画像に対応した2次元形状の人形体本体を選択することができる。
【0084】
ネットワークシステム1100を介してアップロードされた写真画像は、図4に示す画像付加工程を経て、人形体本体に印刷され、人形体が生成される。生成された人形体は、人形体提供サービス画面1106上においてユーザが入力した住所に送付される。
【0085】
[第6の実施形態]
上記第5の実施形態では、ネットワークを介して人形体本体に付加される画像を取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像取得部として、撮像装置を配し、画像付加工程を単一の装置(以下、人形体生成装置と称す)内において実現するように構成してもよい。
【0086】
<人形体生成装置の構成>
図12は、人形体生成装置の一実施形態を示す図である。図12において、1201は操作ボタンであり、画面1203上に表示される表示項目のうち、選択状態にある表示項目を変更する場合に利用する。1202は決定ボタンであり、選択状態にある表示項目を決定する場合に利用する。
【0087】
1203は画面であり、ユーザが所望の人形体を生成するために設定すべき項目を表示する。1204は画面1203に表示される表示項目の一例である。図12の例では、表示項目1204として、“人形体タイプ”が表示されている。ユーザは、操作ボタン1201を操作することで、表示された人形体タイプのうち、所望の人形体タイプを選択状態にする。選択状態にある人形体タイプに対応する人形体本体は、画面1203に表示され、ユーザは表示された人形体本体を見て確認したうえで決定ボタン1202を押下する。
【0088】
なお、人形体生成装置1200内には、表示項目1204に列挙された人形体タイプに対応する2次元形状を有する人形体本体が所定数格納されているものとする。
【0089】
また、画面1203の内部には、不図示の撮像装置が配されており、人形体生成装置1200の前方にいるユーザの全身あるいは顔部分の像を撮影し、写真画像を生成する構成となっている。
【0090】
1205は取り出し口であり、撮影により得られたユーザの写真画像が印刷された人形体が排出される。
【0091】
なお、取り出し口より排出される人形体は、ランナー付きであってもランナーなしであってもよい。また、ランナー付きの場合には、各パーツが分解状態にあるものであっても、組み立て状態にあるものであってもよい。
【0092】
更に、ランナーなしの場合についても、排出される人形体は、各パーツが分解状態にあるものであっても、組み立て状態にあるものであってもよい。
【0093】
また、上記説明では、図4に示す画像付加工程が人形体生成装置1200内において実現される場合について説明したが、図5に示す画像付加工程が人形体生成装置1200内において実現されるように構成されてもよい。
【0094】
なお、この場合、取り出し口1205からは、人形体本体と貼り付け部材とが排出されることとなる。
【0095】
<人形体生成装置の処理の流れ>
図13は、人形体生成装置1200における処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1301では、所定量のコインがユーザにより投入されたか否かを監視する。
【0096】
ステップS1301において、所定量のコインがユーザにより投入されたと判定された場合には、ステップS1202に進み、人形体タイプを表示し、ユーザに、人形体タイプの選択を促す。
【0097】
ステップS1303では、ユーザにより人形体タイプが選択されたか否かを監視し、ユーザにより人形体タイプが選択されたと判定された場合には、ステップS1304に進み、当該選択された人形体タイプを認識し、対応する人形体本体を印刷部に搬送する。
【0098】
ステップS1305では、撮像装置による撮影準備を行い、ステップS1306では、ユーザにより撮影開始の指示がなされたか否かを監視する。
【0099】
ステップS1306において、ユーザより撮影開始の指示がなされたと判定された場合には、ステップS1307に進み、撮影処理を行い、ユーザの写真画像を取得する。
【0100】
ステップS1308では、ステップS1304において認識された人形体タイプに対応する人形体本体の2次元形状に合わせて、撮影により取得された写真画像を画像処理する。
【0101】
ステップS1309では、ステップS1308において画像処理された写真画像を用いて、印刷部が人形体本体に印刷を行う。ステップS1310では、生成された人形体を取り出し口1205より排出する。
【0102】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、リアリティの高い人形体の玩具を、ユーザが簡単に入手することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる人形体の本体部分(以下、「人形体本体」と称す)の外観構成を示す図(正面図)である。
【図2】人形体本体100の断面図である。
【図3】人形体本体100の裏面図である。
【図4】印刷により、人形体本体100に画像を付加する画像付加工程を説明するための図である。
【図5】人形体本体100を構成する各パーツの形状に合致する貼り付け部材に、画像を印刷する場合の処理の流れを説明するための図である。
【図6】人形体本体100に画像が付加されることで生成された人形体600の外観構成を示す図である。
【図7】人形体本体100の結合部の他の例を示す図である。
【図8】人形体本体100を構成する各パーツがランナー701とともに提供される場合の一例を示す図である。
【図9】ランナー801とともに提供された人形体本体100の側面図である。
【図10】各パーツの結合部が予め結合された状態で成形されるように、人形体本体100を成形した場合の一例を示す図である。
【図11】画像取得工程を実行するサーバ1101を備え、人形体提供サービスを実現するネットワークシステム1100の一例を示す図である。
【図12】人形体生成装置の一実施形態を示す図である。
【図13】人形体生成装置1200における処理の流れを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形体の各部位に対応する複数の部材が結合部を介して摺動可能に結合される人形体の玩具であって、
前記複数の部材は、それぞれ、
平面形状を有する第1の面と、
前記第1の面の裏面を形成し、前記結合部を構成する摺動部と該摺動部を摺動可能に保持する保持部のうちのいずれか一方が配された第2の面と
を備えることを特徴とする人形体の玩具。
【請求項2】
前記各第1の面は、前記複数の部材が各結合部において所定の相対位置で結合されることにより、同一平面を形成することを特徴とする請求項1に記載の人形体の玩具。
【請求項3】
前記複数の部材のうち、前記第2の面に前記保持部が配された部材には、該保持部に保持される摺動部が摺動することにより起こる干渉を回避するための切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の人形体の玩具。
【請求項4】
前記各第1の面には画像が付加されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人形体の玩具。
【請求項5】
前記各第1の面には画像が印刷されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人形体の玩具。
【請求項6】
前記各第1の面には、画像が印刷された貼付部が貼り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人形体の玩具。
【請求項7】
人形体の各部位に対応する複数の部材であって、それぞれが他の部材に摺動可能に結合するための結合部を備える複数の部材を支持するランナーであって、
前記複数の部材は、それぞれ、
平面形状を有する第1の面と、
前記第1の面の裏面を形成し、前記結合部を構成する摺動部と該摺動部を摺動可能に保持する保持部のうちのいずれか一方が配された第2の面と、を備え、
前記ランナーは、
前記各第1の面が同一方向を向き、かつ同一平面を形成するように、前記複数の部材を支持していることを特徴とするランナー。
【請求項8】
人形体の各部位に対応する複数の部材であって、それぞれが他の部材に摺動可能に結合するための結合部を備える複数の部材を支持するランナーであって、
前記複数の部材は、それぞれ、
平面形状を有する第1の面と、
前記第1の面の裏面を形成し、前記結合部を構成する摺動部と該摺動部を摺動可能に保持する保持部のうちのいずれか一方が配された第2の面と、を備え、
前記複数の部材のうち、前記摺動部が配された部材は、前記第2の面において該摺動部と一体成形されており、
前記複数の部材のうち、前記保持部が配された部材は、前記第2の面において、前記摺動部を摺動可能に保持した該保持部と一体成形されており、
前記ランナーは、
前記各第1の面が同一方向を向き、かつ同一平面を形成するように、前記複数の部材を支持していることを特徴とするランナー。
【請求項9】
人形体の各部位に対応する複数の部材であって、それぞれが他の部材に摺動可能に結合するための結合部を備える複数の部材を支持するランナーの製造方法であって、
前記複数の部材は、それぞれ、
平面形状を有する第1の面と、
前記第1の面の裏面を形成し、前記結合部を構成する摺動部と該摺動部を摺動可能に保持する保持部のうちのいずれか一方が配された第2の面と、を備え、
前記製造方法は、
前記複数の部材のうち、前記摺動部が配された部材を、前記第2の面において該摺動部と一体成形する工程と、
前記複数の部材のうち、前記保持部が配された部材を、前記第2の面において、前記摺動部を摺動可能に保持した該保持部と一体成形する工程と、を備え、
前記各第1の面が同一方向を向き、かつ同一平面を形成するように、前記複数の部材を支持するランナーを製造することを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人形体の玩具を構成する前記各第1の面の形状と略等しい形状を有し、該第1の面に貼り付け可能な貼付部であって、画像が印刷された貼付部を有することを特徴とする貼り付け部材。
【請求項11】
人形体の各部位に対応する複数の部材が結合部を介して摺動可能に結合される人形体の玩具に画像を付加する画像処理装置であって、
前記複数の部材は、それぞれ、
平面形状を有する第1の面と、
前記第1の面の裏面を形成し、前記結合部を構成する摺動部と該摺動部を摺動可能に保持する保持部のうちのいずれか一方が配された第2の面と、を備え、
前記画像処理装置は、
前記画像を、前記各第1の面の形状に対応付けて分割する分割手段と、
前記分割されたそれぞれの画像を、対応する前記各第1の面の形状に合うように、処理する処理手段と、
前記処理手段により処理された画像を、前記各第1の面に付加する付加手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
前記付加手段は、前記処理手段により処理された画像を、ホットスタンプ処理により、前記各第1の面に付加することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記付加手段は、前記処理手段により処理された画像が印画面に印刷された貼付部の粘着面を、前記各第1の面に付加することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記人形体の玩具に付加する画像を、ネットワークを介して取得する画像取得手段を更に備えることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記人形体の玩具に付加する画像を撮像する撮像装置を更に備えることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項16】
人形体の各部位に対応する複数の部材が結合部を介して摺動可能に結合される人形体の玩具に画像を付加する画像処理装置における画像処理方法であって、
前記複数の部材は、それぞれ、
平面形状を有する第1の面と、
前記第1の面の裏面を形成し、前記結合部を構成する摺動部と該摺動部を摺動可能に保持する保持部のうちのいずれか一方が配された第2の面と、を備え、
前記画像処理方法は、
前記画像を、前記各第1の面の形状に対応付けて分割する分割工程と、
前記分割されたそれぞれの画像を、対応する前記各第1の面の形状に合うように、処理する処理工程と、
前記処理工程において処理された画像を、前記各第1の面に付加する付加工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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