説明

人形体

【課題】人形体においてよりダイナミックなポーズを容易に実現させる構造を提案することを目的とする。
【解決手段】凸部を有する部材が形成されている人形体である。例えば、足裏に、凸面と前記凸面を囲む側壁部とからなる凸部を有する第1の部材と、開口部を有する第2の部材とが積層して設けられており、第1の部材は、第2の部材により固定されるように設けられ、側壁部は、厚みが凸面の厚みよりも薄く形成された薄部を有しており、凸部は開口部を介して露出されている。なお、凸部は、少なくとも2つ以上設けられていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て模型玩具などの人形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるプラモデル(登録商標)と呼ばれるような組み立て模型玩具などの人形体においては、使用者が自分の気に入ったポーズを再現することができるように様々な工夫が施されている。例えば、胴部と両腕部との連結部(肩関節部)や胴部と両脚部の連結部(股関節部)あるいは肘や膝の関節部が自在に回転できるように球形の連結部材が用いられ、この連結部材によって肩、股、肘あるいは膝の関節部により自由度の高い動きが付与されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、このような精巧な人形体は観賞用に室内に飾られることが多く、実際の動きに近い、よりダイナミックなポーズを長期間保持することが要求される。
【特許文献1】特開平6-327841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、関節部分の自由度が高くなり、様々なポーズを実現することが可能となればなるほど重心が様々な位置に変動し、バランスをとることが難しくなっていた。つまり、人形体は人間と異なり多少の重心のずれを自動で調整することができず、また、柔軟性のないプラスチック材により形成されているため、ポーズを変える度に使用者がバランスを整える必要があった。結果として、バランスを整えるために希望のポーズとは異なったポーズとなってしまったり、少しの振動により倒れてしまい長期間ポーズを保持することが困難であった。
【0005】
このような問題を解決するために、人形体の足裏にコイルスプリングや板バネ等の弾性部材を設けることで、ポーズを変化させた場合にも足裏部分の床面との接地面積をある程度確保して人形体の安定感を高める方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、このような足裏にコイルスプリング等の弾性部材が設けられた人形体を作成する際には、人形体の足裏に細かな弾性部材を複数取り付ける必要があり、作業が複雑になり、使用者に組み立て模型玩具を作成する意欲を低減させる要因の一つとなっていた。また、滑止め機能が必要な場合には別途滑止め部材を設ける必要があり、更に構造が複雑になっていた。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、人形体においてよりダイナミックなポーズを容易に長期間保持する構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の人形体は、凸部を有する部材を有している。例えば、本発明の人形体は、凸面と凸面を囲む側壁部とからなる凸部を有する部材を有し、前記側壁部は、厚みが前記凸面の厚みよりも薄く形成された薄部を有しており、凸部は床面と接する位置に配置されている。
【0009】
また、本発明の人形体は、足裏に、凸面と前記凸面を囲む側壁部とからなる凸部を有する第1の部材と、開口部を有する第2の部材とが積層して設けられており、第1の部材は、第2の部材により固定されるように設けられ、前記側壁部は、厚みが前記凸面の厚みよりも薄く形成された薄部を有しており、凸部は開口部を介して露出されている。
【0010】
なお、凸部は、少なくとも2つ以上設けられていることが好ましい。また、前記薄部は、前記凸面に対して傾斜しており、凸面の表面と薄部の表面との成す角度は30度以上50度以下であることが好ましい。また、凸面と側壁部は同一素材で一体に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の人形体において、凸面と厚みが前記凸面の厚みよりも薄く形成された薄部を有する側壁部とからなる凸部を有するという簡単な構造の部材を、足裏における弾性部材及び滑止めとして用いることにより、任意のポーズを容易に長期間保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施の形態1)
本発明にかかる人形体の実施の形態として、模型玩具の足裏に凸部を有する部材を備えた人形体の構成について説明する。
【0013】
図1に本実施の形態の人形体100の外観構成を示す斜視図を示す。図1に示す人形体100は、頭部101と、胸部102と、腰部103と、上腕部104と、下腕部105と、大腿部106と、脚部107と、を有する。
【0014】
図2に、図1に示す人形体100の脚部107の足裏部分の模式図を示す。足裏部分には、凸部201を有する第1の部材202と、開口部203を有する第2の部材204とが設けられている。なお、第1の部材202は、第2の部材204と足部材205との間に設置され、凸部が形成されていない領域208が第2の部材204によって押さえられ、第2の部材204によって第1の部材201は足部材205に固定されている。また、第2の部材204に形成された開口部203から第1の部材に形成された凸部201が露出するように形成されている。
【0015】
ここで、図3(A)に第1の部材202の斜視図を示す。また、図3(A)に示す点Aと点Bとを結ぶ破線における断面図を図3(B)に示す。図3(A)、(B)に示すように、第1の部材202に形成された凸部201は、凸面206と、凸面206を囲む側壁部207とからなる。ここで、図3(B)に示すように側壁部207は、凸面206とほぼ直交するように設けられた第1の側壁部207a〜207dと、第1の側壁部207a〜207dから下側(ここでは領域208側)に延びる方向に設けられた第2の側壁部207e〜207hとから形成されている。ここで、図3(B)に示すように側壁部207の厚みは部分的に薄く形成されており、第2の側壁部207e〜207hの厚みYは、凸面206の厚みX及び第1の側壁部207a〜207dの厚みZより薄く形成されている。このように、側壁部は、厚みが凸面206の厚みよりも薄く形成された薄部(第2の側壁部207e〜207h)を有している。このことにより、凸面206に圧力をかけた場合、凸面206よりも第2の側壁部207e〜207hの方が圧縮変形しやすく、人形体のポーズを安定に保持することができる。
【0016】
また、第2の側壁部207e〜207hは、凸面206に対して傾斜しており、凸面206の表面と側壁部207e〜207hの表面との成す角度は、30度以上50度以下となるように形成されていることが好ましい。第2の側壁部207e〜207hを凸面206に対して傾斜して形成することにより、凸面206に圧力をかけた場合、凸面206よりも第2の側壁部207e〜207hの方が圧縮変形されやすく、人形体のポーズを安定に保持することができる。
【0017】
なお、第1の部材202に設けられた凸部201には、必ずしも第1の側壁部207a〜207dを設ける必要はなく、図3(C)に示すように、凸面206と、凸面206に対して傾斜するように設けられた第2の側壁部207e〜207hとからなるように凸部201を形成してもよい。なお、ここで凸面206は直方体の形状をしており、直方体の側面から下側(ここでは、領域208側)に延びる方向に第2の側壁部207e〜207hが形成されている。
【0018】
なお、凸面206の形状は本実施の形態に示す長方形(直方体)のものに限られることはなく、円形(円柱)形状などでもよく、人形体の重さや形状によって適宜選択することができる。
【0019】
本実施の形態に示すように、足裏に第1の部材202を設けることにより、人形体を床面に配置した際に足裏と床面とが平行でない場合でも、足裏401と床面402との間に第1の部材202が存在する(床面402と凸部201とが接する)ため(図4参照)、従来のように足裏が点403でのみ接した状態で保持されることがなく、人形体により安定感を持たせることができる。このように、側壁部が、厚みが凸面206の厚みよりも薄く形成された薄部として、第2の側壁部207e〜207hを有することにより、凸部201は、第2の側壁部207e〜207hにおいて変形し(曲がり)やすく、床面401に接する凸面206は形が保持されやすい。従って、足裏と床面との傾きに合わせて第2の側壁部207e〜207hは圧縮変形するものの、凸面206は床面と略平行な状態を維持することができるため、足裏と床面との接地面積を向上させることができ、人形体を安定に保持することができる。
【0020】
なお、凸面206および側壁部207は、塩化ビニル、エラストマ等の軟質部材を用いて形成することができ、足裏の滑止めとしても機能させることができる。また、本実施の形態においては、凸面206および側壁部207は同一素材にて一体に形成しており、このことにより、凸面206と圧縮変形しやすい箇所としての側壁部207を個別に成型して後に接着する場合と比して、生産が容易とされている。また、本実施の形態において、第1の部材202には同一平面上に凸部201が4つ設けられているが、凸部の個数は特に限定されることはなく、人形体の形状によって適宜形成すればよい。しかしながら、凸部を2個以上設けたほうが、人形体の安定感を容易に得ることができるため好ましい。
【0021】
本実施の形態において、凸面206と、厚みが凸面206の厚みよりも薄く形成された第2の側壁部207e〜207を有する側壁部207とからなる凸部201を有するという簡単な構造の第1の部材202を、足裏における弾性部材及び滑止めとして機能させることができる。また、本実施の形態において、第1の部材202は、第2の部材204と足部材205との間に挟むのみで容易に固定することができる。従って、本実施の形態に示す人形体は、コイルスプリング等の弾性部材や、弾性部材の他に別途滑止め部材を設ける必要がないため、任意のポーズを容易に長期間保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の人形体の構成を説明するための図。
【図2】本発明の人形体の足裏部分の構造を説明するための図。
【図3】本発明の人形体の部材の断面を説明するための図。
【図4】本発明の人形体の足裏部分の構造を説明するための図。
【符号の説明】
【0023】
100 人形体
101 頭部
102 胸部
103 腰部
104 上腕部
105 下腕部
106 大腿部
107 脚部
201 凸部
202 第1の部材
203 開口部
204 第2の部材
205 足部材
206 凸面
207 側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸面と前記凸面を囲む側壁部とからなる凸部を有する部材を有し、前記側壁部は、厚みが前記凸面の厚みよりも薄く形成された薄部を有しており、前記凸部は床面と接する位置に配置されている人形体。
【請求項2】
足裏に、凸面と前記凸面を囲む側壁部とからなる凸部を有する第1の部材と、開口部を有する第2の部材とが積層して設けられており、前記第1の部材は、前記第2の部材により固定されるように設けられ、前記側壁部は、厚みが前記凸面の厚みよりも薄く形成された薄部を有しており、
前記凸部は前記開口部を介して露出されている人形体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記凸部は、少なくとも2つ以上設けられている人形体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記薄部は、前記凸面に対して傾斜している人形体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記凸面の表面と前記薄部の表面との成す角度は、30度以上50度以下である人形体。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、前記凸面と前記側壁部は同一素材で一体に形成されている人形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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