説明

人感センサの検出領域確認装置

【課題】人感センサの検出領域を視覚的に容易に把握できる人感センサの検出領域確認装置を提供することである。
【解決手段】赤外線を検知する人感センサの近傍に設置される本体16と、本体16に配設されて可視光を放射する光源18と、光源18から放射された可視光を拡散させて前記人感センサの検出領域と略一致する領域に照射する光拡散手段19とを備える。これにより、人感センサの検出領域をレーザ光により明示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人感センサの検出領域を確認するための人感センサの検出領域確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーへの関心の高まりや防犯意識の高まりにより、人の動きを検知して照明器具や警報器などをコントロールする人感センサが注目されている。図6は人感センサ11の一例を示す斜視図である。図6では、建家の天井面に取り付けられる人感センサ11の一例を示している。
【0003】
人感センサ11のハウジング12は建家の天井面から吊り下げられるように配置される。このハウジング12内には、図示省略のセンサ素子(例えば焦電素子)とレンズとが組み合わされて配置され、検出領域13内での赤外線量の変化を検出し、検出領域13に人が入ってきたことを検出する。検出信号は図示省略の監視制御装置に伝送され、人が検出領域内に入ってきたことを報知する。このような人感センサ11は、センサ素子とレンズとを組み合わせることによって、ある一定の検出領域を持たせることができる。
【0004】
ここで、複数個の人感センサを用いて、それぞれの検出エリアに人が入ってきたことを検出し、違和感を与えず省エネルギーを図りながら照明するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−15274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、人感センサは一定範囲の検出領域を持つものであって、また非可視光の赤外線を検出するものであるため、人感センサの検出領域を正確に把握することができない。
【0006】
例えば、人感センサを設置する場合、人感センサの検出領域を明示する手段がないことから、メーカーから提示された検出領域を目安に仮設置し、実際に対象物を動かして検出領域を推測しながら人感センサの位置を調整するようにしている。従って、人感センサの設置に手間が掛かる。
【0007】
本発明の目的は、人感センサの検出領域を視覚的に容易に把握できる人感センサの検出領域確認装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係わる人感センサの検出領域確認装置は、赤外線を検知する人感センサの近傍に設置される本体と;前記本体に配設されて可視光を放射する光源と;前記光源から放射された可視光を拡散させて前記人感センサの検出領域と略一致する領域に照射する光拡散手段と;を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明および以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は以下による。
【0010】
光源は、可視光を放射可能なものであればどのようなものであってもよく、例えば電球、LED、レーザ、放電灯等を用いることができる。ただし、小形で指向性があるものが好ましく、例えば、レーザ、LED等を使用するのが望ましい。
【0011】
光拡散手段とは、可視光を通過させる切り込みを有したスリット板、フレネルレンズ、凹レンズ、凸レンズ等またはこれらを組合せたものであってもよい。これらの光拡散手段の形状等を設定することによって光の拡がりを調整することができる。例えば、凹レンズ、凸レンズの焦点距離、スリット板のスリット幅またはフレネルレンズの凹凸間隔等を適宜設定し光の拡がりを調整し、人感センサの検出領域に可視光を照射する。
【0012】
請求項2の発明に係わる人感センサの検出領域確認装置は、請求項1の発明において、前記光拡散手段は、検知する赤外線が透過する前記人感センサの前記検出窓を覆って配置されることを特徴とする。
【0013】
人感センサの検出窓とは赤外線を集光する窓であって、検知する赤外線が透過する所定の大きさの貫通孔または赤外線が透過可能な部材からなる。この窓の後方にレンズ及びセンサ素子が設置され、このセンサ素子によって人から発せられた赤外線を検知して人の存在を検知する。
【0014】
「前記光拡散手段は、検知する赤外線が透過する前記人感センサの前記検出窓を覆って配置」とは、光拡散手段が人感センサの検出領域の一部に配置されるような状態をいう。なお、光拡散手段の中心部と人感センサの検出窓の中心が略一致していることが好ましい。
【0015】
請求項3の発明に係わる人感センサの検出領域確認装置は、請求項1の発明において、前記光拡散手段は、検知する赤外線が透過する前記人感センサの検出窓とずれた位置に配置されることを特徴とする。
【0016】
「前記光拡散手段は、検知する赤外線が透過する前記人感センサの検出窓とずれた位置に配置」とは、光拡散手段が人感センサの検出領域外に配置されるような状態をいう。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、光拡散手段が人感センサの検出領域に可視光を拡散させて出射するので、人感センサの検出領域を可視光により明示することが可能となり、人感センサの検出領域を容易に把握できる。
【0018】
請求項2の発明によれば、光拡散手段は、検知する赤外線が透過する前記人感センサの前記検出窓を覆って配置されるので、光拡散手段によって拡散された可視光と人感センサの検出領域との一致する領域が増加するため人感センサの検出領域をより正確に得ることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、光拡散手段は、検知する赤外線が透過する人感センサの検出窓とずれた位置に配置されるので、人感センサによって赤外線を検出するとともに人感センサの検出領域を可視光により明示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明の実施の形態に係わる人感センサの検出領域確認装置14の説明図であり、図1(a)は検出領域確認装置14の斜視図、図1(b)は光拡散手段としてのスリット部15の平面図、図1(c)は光拡散手段としてのスリット部15の断面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、本体16は円筒状に形成され、人感センサの検知領域側である正面側の開口部は正面板17で覆われ、この正面板17の中央部にスリット部15が設けられる。本体16の背面側は開口しており、この本体16の内部に可視光を放射する光源としてのレーザ光源18が設けられる。レーザ光源18から放射されたレーザ光はスリット部15のスリット19を透過するときに人感センサの検出領域に拡散される。図1(b)、(c)に示すように、スリット部15は、例えば薄いフィルム状に形成されており、スリット19はこのフィルムの面上に貫通する切り込みとして形成され、可視光である指向性のあるレーザ光を拡散させて出射する機能を有する。
【0022】
ここで、単波長を出射できるレーザ光は、半導体製造技術の進歩により半導体レーザが安価に製造することが可能となり、レーザポインタなどに適応され、一般に入手しやすくなっている。また、レーザ光は単波長であることから、適切なスリット19へレーザ光を通過させることで、干渉現象により様々な干渉模様を容易に形成することが可能である。つまり、スリット19の形状やスリット幅を調整することにより、レーザ光出射面を人感センサ11の検出領域に合わせて形成することが可能となる。
【0023】
図2は検出領域確認装置14から出射されるレーザ光の照射の説明図であり、図2(a)は検出領域確認装置14の側面図、図2(b)は側面から見たレーザ光ビームの説明図である。図2(a)、(b)に示すように、レーザ光源18から出射されたレーザ光は指向性のあるレーザ光L1であり、スリット部15を透過するときにスリット19によって拡散されて拡散光L2として出射される。スリット19の切り込み幅(スリット幅)Δdを大きくするとレーザ光L1の拡がりが大きくなり、より拡散した拡散光L2として出射される。従って、断面が矩形状の切り込み幅(スリット幅)Δdを調節することにより、指向性のレーザ光L1の拡がりを調整し、人感センサ11の検出領域13にレーザ光L2を照射することになる。
【0024】
なお、上記説明では、スリット部15が円形で貫通するスリット19を有している構成について説明したが、例えば光源側から見たときのスリット19の形状は楕円などの偏平形状などどのような形状であってもよいし、スリット19は例えば図3(a)に示すように断面が矩形状の切り込みであってもよいし、図3(b)に示すように切り込み溝として形成してもよい。
【0025】
図4は、検出領域確認装置14の人感センサ11への装着の一例の説明図であり、図4(a)は検出領域確認装置14を人感センサ11へ装着する前の状態を示す斜視図、図4(b)は検出領域確認装置14の人感センサ11への装着後のレーザ光出射範囲及び人感センサ11の検出範囲の説明図である。
【0026】
検出領域確認装置14は人感センサ11の検出領域13を照射するものであることから、検出領域確認装置14のレーザ光出射範囲が人感センサ11の検出領域13にほぼ一致するようにする必要がある。そのために、検出領域確認装置14は人感センサ11の近傍に設置される。
【0027】
図4では、検出領域確認装置14の本体16を、スリット19の中心軸が人感センサ11の検出窓20の中心軸に一致するように検出窓20を覆って配置した場合を示している。
【0028】
前述したように本体16の背面側は開口しているので、図4(a)に示すように、人感センサ11のハウジング12の検出窓20側に、検出領域確認装置14の本体16の背面側を差し込んで検出領域確認装置14の本体16を装着する。この場合、検出領域確認装置14のスリット19の中心軸が人感センサ11の検出窓20の中心軸に一致するように、検出領域確認装置14の本体16の背面側の開口部と、人感センサ11のハウジング12の検出窓20側とを予め位置決めしておくことになる。
【0029】
これにより、検出領域確認装置14のレーザ光源18から出射されるレーザ光の出射方向と、人感センサ11のレンズの中心軸とが一直線上に位置し、人感センサ11の検出窓20を覆うように、人感センサ11に着脱自在に取り付けられる。従って、検出領域確認装置14からのレーザ光出射範囲が人感センサの検出領域13になるように、円形状の切り込み幅(スリット幅)Δdを選択し調整することが容易になる。
【0030】
図4(b)に示すように、人感センサ11のハウジング12の検出窓20側を覆うように検出領域確認装置14を装着した状態では、人感センサ11の検出窓20の中心軸と検出領域確認装置14のスリット19の中心軸とが一直線上に位置するので、検出領域確認装置14のレーザ光出射範囲21と、人感センサ11の検出領域13とは、拡がり角度が異なるだけとなる。従って、検出領域確認装置14のレーザ光出射範囲21と人感センサ11の検出領域13とをほぼ一致させるスリット19の調整が容易に行える。
【0031】
図5は、検出領域確認装置14の人感センサ11への装着の他の一例の説明図である。図5では、検出領域確認装置14の本体16は、スリット19の中心軸と人感センサ11の検出窓20の中心軸とがずれた位置に配置した場合を示している。図5に示すように、検出領域確認装置14の本体16は、人感センサ11のハウジング12にベルト22で固定され、人感センサ11の検出窓20とスリット19とが同じ面に位置するように取り付けられている。従って、スリット19の中心軸と人感センサ11の検出窓20の中心軸とがずれた位置となり、検出領域確認装置14のレーザ光源から出射されるレーザ光の出射方向と人感センサ11のレンズの中心軸とはずれた位置関係となる。
【0032】
スリット19の中心軸は、人感センサ11の検出窓20の中心軸とずれた位置となるが、検出領域確認装置14のレーザ光出射範囲21と人感センサ11の検出領域13とをほぼ一致させるように、スリット19のスリット幅Δdを調整する。この場合、スリット19の中心軸と人感センサ11の検出窓20の中心軸とがずれた位置であるので、検出領域確認装置14の本体16で人感センサ11の検出窓20を覆うことがなくなる。
【0033】
従って、人感センサ11の動作中であっても、検出領域確認装置14によりレーザ光出射範囲21にレーザ光を出射できるので、人感センサ11の検出領域13をレーザ光により明示することが可能となる。
【0034】
以上の説明は、建家の天井面から吊り下げられる人感センサ11について説明したが、壁面に取り付ける壁付け人感センサの場合にも適用できることは言うまでもない。
【0035】
本発明の実施の形態によれば、人感センサ11の検出領域13に検出領域確認装置14から可視光のレーザ光を拡散させて出射し、人感センサ11の検出領域13をレーザ光により明示するので、人感センサの検出領域13を確認しながら人感センサ11を取り付けることができる。従って、人感センサ11の検出領域13に適合して人感センサ11を配置できる。
【0036】
また、スリット19の中心軸が人感センサ11の検出窓20の中心軸に一致するように、人感センサ11の検出窓20を覆って、検出領域確認装置14の本体16を配置する場合には、レーザ光により明示される人感センサ11の検出領域13をより正確に得ることができる。一方、スリット19の中心軸と人感センサ11の検出窓20の中心軸とがずれた位置に検出領域確認装置14の本体16を配置する場合には、人感センサ11の検出窓20を覆うことがないので、人感センサ11の動作中であっても人感センサ11の検出領域13をレーザ光により明示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係わる人感センサの検出領域確認装置の説明図。
【図2】本発明の実施の形態に係わる人感センサの検出領域確認装置から出射されるレーザ光の照射の説明図。
【図3】本発明の変形例に係わる人感センサの検出領域確認装置の光拡散手段の説明図。
【図4】本発明の実施の形態に係わる人感センサの検出領域確認装置の人感センサへの装着の一例の説明図。
【図5】本発明の実施の形態に係わる人感センサの検出領域確認装置の人感センサへの装着の他の一例の説明図。
【図6】人感センサの一例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0038】
13…検出領域、14…検出領域確認装置、15…スリット部、16…本体、18…レーザ光源、19…スリット、20…検出窓、21…レーザ光出射範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を検知する人感センサの近傍に設置される本体と;
前記本体に配設されて可視光を放射する光源と;
前記光源から放射された可視光を拡散させて前記人感センサの検出領域と略一致する領域に照射する光拡散手段と;
を備えたことを特徴とする人感センサの検出領域確認装置。
【請求項2】
前記光拡散手段は、検知する赤外線が透過する前記人感センサの検出窓を覆って配置されることを特徴とする請求項1記載の人感センサの検出領域確認装置。
【請求項3】
前記光拡散手段は、検知する赤外線が透過する前記人感センサの検出窓とずれた位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の人感センサの検出領域確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−36731(P2009−36731A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203541(P2007−203541)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】