説明

介助台付入浴装置

【課題】
浴槽内の患者の介助作業及び浴槽内の清掃等が行ない易い介助台付入浴装置を提供することである。
【解決手段】
介助台(6)が、支持具(41)で、高さ調節可能に支持されると共に可搬な浴槽(3)の側壁外面に着脱可能に取着され、介助台(6)は、浴槽(3)に沿って平行な長方形の板体(18)と、板体(18)を支持し高さ調節を可能とする支持具(41)とからなり、板体(18)の浴槽(3)から遠い側の周縁は丸く面取り形成され、板体(18)の下方には介助者の足の爪先が進入できる爪先空間(21)を開けられてなる介助台付入浴装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護を必要とする人(=以下患者という)が入浴する時に使用する介助台付入浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術には、浴槽の側壁下部にステップが一体的に設けられた移動・置き式簡易浴槽が開示されている。
従来の技術は、浴槽の側壁下部にステップが一体的に設けられたものである。患者は、ステップに足を掛ければ容易に浴槽に入れ、入浴動作が楽である。しかし、ステップの高さを変更する構成が無いので、介助者がこのステップに上がる場合、介助者の身長に対応してステップの高さを変更できず、不便である。
【特許文献1】特開平11−192278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、ステップの高さを変更できず不便であり、又、ステップの下方に空間が無く床面に立つ介助者が浴槽に接近し難くい点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、浴槽内の患者の介助作業及び浴槽内の清掃等が行ない易い介助台付入浴装置を提供することである。
【0005】
即ち本発明は、介助台(6)が、支持具(41)で、高さ調節可能に支持されると共に可搬な浴槽(3)の側壁外面に着脱可能に取着されることを特徴とする介助台付入浴装置である。
又、介助台(6)は、浴槽(3)に沿って平行な長方形の板体(18)と、板体(18)を支持し高さ調節を可能とする支持具(41)とからなり、板体(18)の浴槽(3)から遠い側の周縁は丸く面取り形成され、板体(18)の下方には介助者の足の爪先が進入できる爪先空間(21)を開けられてなる。
更に、浴槽(3)に横付けされる搬送車(2)が付加設置され、搬送車(2)には鉤形状部材でなる掛け具(26)が設けられ、浴槽(3)に前記掛け具(26)を受け止める受け具(23)が設けられ、掛け具(26)を受け具(23)に掛けて搬送車(2)が浴槽(3)に横付けされ、前記受け具(23)は、介助台(6)の縁に設けられたパイプ(20)の延設中途部に、パイプ(20)の延設方向と同方向に設けられるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る介助台6が、支持具41で高さ調節可能に支持されると共に可搬な浴槽3の側壁外面に着脱可能に取着されてなるものであるから、介助者は、患者の入浴介助、及び浴槽3内の掃除を、介助台6に上って行なえば、充分に且つ楽に行なえ、好都合である。
特に短躯の介助者の場合には、介助台6に上がって行なえば、充分に手が、患者へ又は浴槽3の底壁15へ届き、好都合である。
又、ユーザーの要望に応えて介助台6の高さを好適な高さに設定でき、介助台6を良好に使用でき、好都合である。
又、既設の浴槽3に介助台6を容易に取り付けることができ、好都合である。
【0007】
本発明に係る介助台6は、浴槽3に沿って平行な長方形の板体18と、板体18を水平に支持し高さ調節を可能とする支持具41とからなり、板体18の浴槽3から遠い側の周縁は丸く面取り形成され、板体18の下方には介助者の足の爪先が進入できる爪先空間21を開けてなるものであるから、介助台6を使わないで介助する介助者(例えば、長身の介助者)は、足の爪先を介助台6の下に入れ、介助台6に接近でき介助し易く、好都合である。又、介助台6を使わないで介助する介助者は、介助台6の周縁にパイプ20が用いられるから、介助台6の縁にぶつかっても縁が丸いので足を怪我することはなく、安全であり、好都合である。
【0008】
本発明は、浴槽3に横付けされる搬送車2が付加設置され、浴槽3には受け具23が設けられ、該受け具23は、介助台6の縁に設けられたパイプ20の延設中途部に、パイプ20の延設方向と同方向に設けられるものであり、搬送車2には前記受け具23に掛け止める掛け具26が設けられるものであるから、介助台6が、介助者を高さ支援する作用・効果と、搬送車2の掛け具26を受け止め、搬送車2を確実に浴槽3に掛止する作用・効果との両作用を発揮でき、好都合である。
又、浴槽3の左右両側に介助台6が設けられたものでは、一方の介助台6に搬送車2を接合し、他方の介助台6に介助者が上がって入浴中患者の介助ができ、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
浴槽3内の患者の介助作業及び浴槽3内の清掃等が行ない易い介助台付入浴装置1を、介助台6が、支持具41で、高さ調節可能に支持されると共に可搬な浴槽3の側壁外面に着脱可能に取着される構成として、実現した。
【実施例1】
【0010】
図1乃至5に本発明に係る介助台付入浴装置1の実施例1を示している。
実施例1は、搬送車2と、可搬な浴槽3と、搬送車2及び浴槽3に載せられそれらの搬送車2と浴槽3の間を移動する担架4と、浴槽3の側壁外面に着脱可能に取着される介助台6とからなる介助台付入浴装置1である。
【0011】
担架4は患者を乗せるものである。
搬送車2は、担架4を載せ、床面7に走行させ患者を運ぶものであり、又、介助者により、浴槽3に接合されるものである。
前記接合が完了した後、患者を乗せた担架4は、介助者により、搬送車2の幅方向に動かされ、浴槽3の架台レール8へ移乗させられるものである。
【0012】
架台レール8は一定高さに固定されている。
浴槽3は介助者の上昇スイッチ9の操作により上昇し、担架4及び患者は、浴槽3内の湯に浸けられる。
この様にして介助台付入浴装置1は、患者に対して入浴を行なうものである。
介助台6は、浴槽3内の入浴中の患者の介助を行なう介助者が上がるもので、介助者の高さを支援するものである。
【0013】
浴槽3は、床面7に載置される基枠10と、基枠10上に設けられるXフレーム11及び伸縮体12とでなる昇降機構13と、湯を内部に溜める容器であり昇降機構13に支持される浴槽部14と、浴槽部14の底壁15を貫通した架台支柱16と、該架台支柱16の頂部に取着され担架4を支持する架台レール8とからなる。
浴槽3の側壁下部に設けられた介助台6は、接合する搬送車2を所定の位置に誘導し決める機能も有するものである。
【0014】
可搬な浴槽3の側壁外面に、高さ調節可能な支持具41を備えた介助台6が、着脱可能に設けられる。当該介助台6は既設の浴槽3にも容易に取り付けることができる。
【0015】
介助台6は、浴槽3に沿って平行な略長方形の板体18と、板体18を水平面状に支持する支持具41と、板体18の浴槽3から遠い側の周縁に設けられるパイプ20と、受け具23と、ガイド用縦板50とから構成される。前記周縁はパイプ20により丸く面取り形成されている。
【0016】
支持具41は、床面7に縦状に置かれ長さ調節可能な脚19と、基枠10に横移動可能に螺着され更に脚19と上下移動可能に螺着される取着具42とからなり、介助台6を高さ調節可能に支持する。前記脚19にはネジ部材でなる高さ調節具47が設けられる。
又、取着具42の一方には長穴48があけられ、この長穴48部分は、浴槽3との離間距離を調節可能に底ボルト43で螺着され、取着具42の他方には縦長穴49があけられ、この縦長穴49部分は、脚19に上下方向に移動・固定調節可能に調節ボルト22で螺着される。
板体18の下方には爪先が進入できる爪先空間21が開けられる。
【0017】
浴槽3に横付けされる搬送車2が付加設置される。浴槽3には受け具23が設けられるが、その受け具23は、介助台6のパイプ20の延設中途部に、パイプ20の延設方向と同方向に設けられている。
【0018】
昇降機構13は、浴槽部14を昇降可能に支持するものである。即ち、昇降機構13を構成する伸縮体12を伸長させればXフレーム11の斜辺は起立方向へ回動し浴槽部14が上昇する。又逆に、伸縮体12を縮小させればXフレーム11の斜辺は倒伏方向へ回動し浴槽部14が下降する。
【0019】
浴槽部14の底壁15には、架台支柱16が貫通され該架台支柱16との水密を図るシール具25が設けられる。
【0020】
搬送車2は、浴槽3に横付け接合し又は接合を解除して離間する。搬送車2は、下フレーム27と、下フレーム27に立設される支柱28と、支柱28に支持される上フレーム29と、上フレーム29に載設される水受皿30と、水受皿30の上方位置に担架4を摺動可能に支持し上フレーム29に載設される搬送車レール31と、上フレーム29に延設されるハンドル32と、下フレーム27の下面に設けられる車輪33とから構成される。
【0021】
搬送車2の下フレーム27の左右方向(=幅方向)の端部には、浴槽3の側壁に設けられる受け具23に掛け止め又は解除する掛け具26が設けられ、搬送車2を浴槽3に接合させ又は解除する。
【0022】
下フレーム27に設けられる二つの位置決めローラー17は、介助台6の両端のガイド用縦板50にそれぞれ当接して、浴槽3に接近する搬送車2を所定位置に誘導するものである。
【0023】
担架4は、担架基枠34と、乗部35と、搬送車レール31を転動する複数のローラー36と、複数のローラー36を取り付け担架基枠34に設けられるローラー枠37とからなる。
【0024】
図1中、5は板体18を補強する補強板、46は保護枠、図2中、44は掛け具26が嵌る長穴、図3中、38はシャワー具、図4中、39は気泡盤、40は架台レール8を支持する支持枠、24は停止スイッチ、45は下降スイッチである。
【0025】
本発明を使用する際介助者は、搬送車2上に載せられた担架4に患者を乗せる。搬送車2を床面7に走行させ、患者を運ぶ。
【0026】
搬送車2を浴槽3に横付けする。
浴槽3の介助台6のパイプ20の延設中途部にある受け具23に、搬送車2の掛け具26を掛け止める。掛け具26は、受け具23の高さの変更に対応して掛止できる形状・長さのものである。
搬送車2の掛け具26が浴槽3の受け具23に引っ掛かって、搬送車2と浴槽3の接合が完了する。
【0027】
前述の接合が完了した後、担架4の中央掛止具(図示省略)を手動で解除し、担架4を搬送車2の幅方向に摺動させる。
担架4の幅方向の端縁部を押し、担架4を搬送車2から浴槽3の架台レール8へ移乗させる。
【0028】
担架4が架台レール8の幅方向中央に来ると担架4の前記中央掛止具が自動的に架台レール8の中央受け具(図示省略)に掛止され、担架4の移乗が完了する。
【0029】
次に、湯を満たした浴槽3を昇降機構13で上昇させ、担架4及び患者を湯に浸け、入浴を行なう。
介助者は介助台6の板体18に上がって浴槽3内の患者の入浴介助を行なう。
浴室へ介助台付入浴装置1を新規に設置する際新規浴槽3に、又は既設の浴槽3に、高さ調節及び接近調節をなし、介助台6の高さを好適な位置にして浴槽3に取り付ける。
前記高さ調節は、高さ調節具47を調節して脚19を伸縮して行なうと共に、取着具42の部分と支持具41を調節ボルト22で調節・固定して行なう。前記接近調節は、取着具42の縦長穴49の部分と浴槽3を底ボルト43で調節・固定して行なう。
【0030】
長身の介助者は、介助台6に上がらず、床面7に立って、板体18の下方の爪先空間21に爪先を入れ、浴槽3に接近して入浴介助を行なう。介助台6の周縁の端面はパイプ20をもって丸く面取り形成し安全を図っている。
【0031】
適宜な時間が経過すると、浴槽3を下降させ、担架4及び患者を湯から出し、退浴する。
担架4の前記中央掛止具を解除したまま、担架4を、架台レール8から搬送車2へ移乗する。
担架4が搬送車2の幅方向中央に来ると担架4の前記中央掛止具が自動的に搬送車2の中央受け具(図示省略)に掛止され、担架4の移乗を完了する。
【0032】
介助者はレバー(図示省略)を握り搬送車2の掛け具26を上方向へ動かし掛止を解除し、搬送車2を浴槽3から離間し、患者を所望位置に戻し、入浴作業を完了する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
介助台6は、支持具41で高さ調節可能に支持されると共に可搬な浴槽3の側壁外面に着脱可能に取着されるものであり、この介助台6を利用して浴槽3内の患者の介助作業及び浴槽3内の清掃等を容易に行なうものに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1の部分正面断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る介助台を示す部分斜視図である。
【図3】本発明の実施例1に係る浴槽の左側面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る浴槽の平面図である。
【図5】本発明の実施例1に係る浴槽の正面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 介助台付入浴装置
2 搬送車
3 浴槽
6 介助台
18 板体
20 パイプ
21 爪先空間
23 受け具
26 掛け具
41 支持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
介助台(6)が、支持具(41)で、高さ調節可能に支持されると共に可搬な浴槽(3)の側壁外面に着脱可能に取着されることを特徴とする介助台付入浴装置。
【請求項2】
介助台(6)は、浴槽(3)に沿って平行な長方形の板体(18)と、板体(18)を支持し高さ調節を可能とする支持具(41)とからなり、
板体(18)の浴槽(3)から遠い側の周縁は丸く面取り形成され、板体(18)の下方には介助者の足の爪先が進入できる爪先空間(21)を開けられてなることを特徴とする請求項1記載の介助台付入浴装置。
【請求項3】
浴槽(3)に横付けされる搬送車(2)が付加設置され、搬送車(2)には鉤形状部材でなる掛け具(26)が設けられ、浴槽(3)に前記掛け具(26)を受け止める受け具(23)が設けられ、掛け具(26)を受け具(23)に掛けて搬送車(2)が浴槽(3)に横付けされ、
前記受け具(23)は、介助台(6)の縁に設けられたパイプ(20)の延設中途部に、パイプ(20)の延設方向と同方向に設けられるものであることを特徴とする請求項2記載の介助台付入浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−117356(P2007−117356A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312823(P2005−312823)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】