説明

介護用前から被せるレインコ−ト

【課題】座位のとれないリクライニング車椅子の利用者などがデイサ−ビス等施設へ通所する時などの降雨の時に、利用者介護者共に負担をかけずに簡単かつ瞬時に着脱可能なレインコ−トを提供する。
【解決手段】レインコ−トの本体は仰臥位の身体全体を包み込むための前身頃を中心に形成し、後身頃の背の中心を開口部とし、その開口部左右側から裾にかけて曲線をえがき余剰部分を省く、袖は袖付け部分を分割させず袖付幅を広げ身頃と袖を一体化させた形状とする、フ−ドは前身頃側から縫合し顔にあたる部分を半楕円形に切り取り、その部分を柔軟で張りのある透明シ−トにする、口にあたる透明シ−ト部分には穴開器具で十箇所開孔、フ−ド後方には頭頂部分より半円状の持ち出部を形成する、本体裾から背開口部、フ−ド持ち出し部にかけて共通したゴム紐を挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座位がとれないリクライニングタイプの車椅子利用の方や、抱きかかえられて移動する障害児など仰臥位の利用者を即座に降雨から保護するための、短時間移動目的の介護用レインコ−トに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレインコ−トは立位、座位の状態で使用するものが主であり、介護用としては車椅子用レインコ−トが様々考案されている。
【0003】
車椅子使用時に着脱容易を目的とした、フ−ドと身頃を一体化して前面と背中を巻回するシ−トにより形成されたものがある。
【0004】
車椅子使用時にフットレストまで被覆する大きさに前カバ−を形成し、裾から左右側縁に沿ってゴム等の紐を通して身体にフィットさせたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−68626号公報
【特許文献2】実願平6−6486公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の車椅子用レインコ−トは利用者が着席した状態で使用することを想定して考案されており、装着には頭部の上より被せる形態や身体に巻きつける形態が主であるため、後頭部から肩背中部分が他の面と接地していることの多い、座位のとれない利用者が着用するには適さなかった。
【0007】
座位のとれない利用者が着用するためには、その都度介護者により頭部と上体を起こす作業などをしなければ着用できないため、急な雨には即座に対応できず、またフ−ドは顔面まで覆うものではないため雨から保護できず、強い降りの場合は顔面にタオル等をかけるしかなく、利用者の視界を遮るなど不快感を与えていた。
【0008】
本発明の目的は、雨天時、養護学校の通学用スク−ルバスから車へ抱きかかえられて乗り降りする児童、座位のとれないリクライニング車椅子の利用者などがデイサ−ビス等施設へ通所するなどの、仰臥位状態の利用者が降雨の中短時間の移動に使用するものであり、利用者介護者共に負担をかけずに簡単かつ瞬時に着脱可能な、介護用前から被せるレインコ−トを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、レインコ−トの本体は仰臥位の身体全体を包み込むための前身頃を中心に形成し、後身頃の背の中心を開口部とし、その開口部左右側から裾にかけて曲線をえがき余剰部分を省く、袖は袖付け部分を分割させず袖付幅を広げ身頃と袖を一体化させた形状とする、フ−ドは前身頃側から縫合し顔にあたる部分を半楕円形に切り取り、その部分を柔軟で張りのある透明シ−トにする、口にあたる透明シ−ト部分には穴開器具で十箇所開孔、フ−ド後方には頭頂部分より半円状の持ち出部を形成する、本体裾から背開口部、フ−ド持ち出し部にかけて共通したゴム紐を挿入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成により、本発明のレインコ−トは、前面から被せて装着できることで、仰臥位状態の利用者の身体を起こし着せ付ける作業をなくして介護人利用者共の負担を軽減し、フ−ドの透明シ−トにより視界を遮らずに済むことで利用者に不快感を与えない、急な降雨時に慌てず簡単かつ瞬時に装着することが可能な短時間移動に適するものである。
【0011】
さらに、前後身頃裾から背の開口部及びフ−ド持ち出し部にかけて共通して挿入してあるゴム紐によって、裾の垂れ下がりによる車輪等他方面への絡まりなどの危険を防止、ゴム紐によるフ−ドから連続した本体全体の収縮は、サイズに幅をもたせ、雨の侵入を防止する。
【0012】
さらに、袖付けを作らず袖幅を広げ身頃と一体化した形状にしたことよって、防寒着などの上から着用することも容易になり、腕に麻痺がある利用者にも無理なく装着できるようにした。
【0013】
さらに、フ−ド後方の持ち出し部分は、座位の車椅子の場合に後頭部から肩への雨の侵入を防ぎ、リクライ二ングした車椅子など仰臥位状態での使用時には被せ易いように内側に折込み止着できるように面ファスナーを配置した。
【0014】
さらに、座位がとれないリクライニング車椅子利用の方、抱きかかえられて移動する児童達の送迎時や外出時に、急な降雨を心配することなく出かけることができ、瞬時にかつ容易に着脱できることで介護者の負担が軽減され円滑な介護ができ、利用者も急な降雨時の短い移動時間であったとしても、今ある残存機能を少しでも妨がないものを着用できることにより、利用者介護者共が安全で安心できる介護の手助けになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の介護用前から被せるレインコ−トの説明図
【図2】本発明の使用例の説明図
【図3】本発明の正面説明図
【図4】本発明の背面説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の一例に基づき、実施するための形態を、以下図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
図1及び図2は本発明の介護用前から被せるレインコ−ト1の装着状態を示す略示図で、図3はレインコ−ト本体の正面図、図4は同じく背面図を示すものである。
【0017】
この介護用前から被せるレインコ−ト1は図3及び図4に示すように、身体の前体を覆う身頃と袖を一体化した前身頃2と、背の中心を分割した同じく後身頃3と、前身頃側から縫合されたフ−ド7を含め柔軟で軽量なシ−トで形成した。
【0018】
上記の介護用前から被せるレインコ−ト本体1は、高い撥水性と防汚性を有した軽量の布から成り、型紙から裁断され裁縫したもので、前身頃2は足先までの身体全体を覆うため長く、同じ形状の後身頃3の背の中心4を開口、裾から開口部中間までの垂直部分は曲線をえがいて裁断し、袖付け部分は幅を広げ脇線まで延長し身頃と一体化の形状とした。
【0019】
また、フ−ドは前身頃から装着の形態7とし、顔面部の透明シ−ト9は抗菌、防汚処理を有しべたつき防止の特殊処理済みの素材を用いて顔面へのまとわりつきを防ぎ、口部は穴開器具を用いて十箇所開口し10息苦しさを解消した。
【0020】
さらに、フ−ドの後方の頭頂部から半円形に持ち出し部を設けることで、座位状態の車椅子利用者の後頭部から肩にかけての雨の侵入を防ぎ、仰臥位の利用者に使用の場合図1及び図2は内側に織り込み面ファスナーで固定することで装着を容易にし、また共通のゴム紐を挿入11することで、風雨による着衣の乱れなく隙間なく雨水から利用者を防ぐものである。
【0021】
このように、ゴム紐挿入部11を設けたので、本体のサイズに大きな幅をもたせることが可能となり、急な降雨時にサイズを確認することなく、慌てずに大人から小人まで対応できるものである。
【0022】
なお、ゴム紐は肌着用の柔軟で耐久性のある6コ−ルを介護用前から被せるレインコ−ト本体11及び袖口12に使用し、肌の弱い利用者にも配慮し、伸縮性のある柔らかいものにして安全性を高めることができた。
【0023】
袖部分については、袖付けを作らず身頃と一体化したことで裁縫部を少なくし制作しやすく、また袖幅が広がったことで利用者が防寒着着用の上からも窮屈感なく容易に装着できるので、介護人が装着を諦めてしまうような急な降雨時や腕に麻痺のある利用者でも瞬時に装着することができる。
【0024】
ゴム紐を挿入する曲線部分は、共布でバイヤステ−プを作り共通して処置、ゴムを通し易く、また交換も容易にした。
【0025】
なお、本発明のレインコ−トは降雨の際の使用を想定しているため、全般に裁縫の方法は直線縫いで縫合したあとは必ず縫い代を伏縫いし、隙間なく雨の侵入を防ぐものである。
【符号の説明】
【0026】
1 介護用前から被せるレインコ−ト本体
2 前身頃
3 後身頃
4 背の中心開口部
5 前身頃と一体化の袖
6 後身頃と一体化の袖
7 フ−ド
8 フ−ド持ち出し部
9 フ−ド顔面部透明シ−ト
10 透明シ−ト口部空気穴
11 共通ゴム挿入部
12 前後袖口ゴム挿入部
13 面ファスナ−
14 リクライニングタイプ車椅子
15 座位のとれない利用者
16 抱きかかえられる利用者
17 介護人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護用前から被せるレインコ−トにおいて、本体は仰臥位の身体全体を包み込むための前身頃を中心に形成し、後身頃は背の中心を開口部とし裾から背中心にかけて曲線をえがき余剰部分を省き、袖付け部分は幅を広げ身頃と袖を一体化させた形状とし、フ−ドは前身頃側から縫合し顔にあたる部分は、柔軟で張りのある透明シ−トで半楕円形にして、口のあたる部分には小さい穴を数箇所開け、フ−ド後方には頭頂部分より半円状の持ち出部を形成し、本体裾から背の開口部、フ−ド持ち出し部にかけて共通したゴム紐を挿入したことを特徴とする介護用前から被せるレインコ−ト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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