説明

介護用品

【課題】コストを抑制することができ、抗菌防臭性に優れ、使用状態において抗菌防臭剤の付着性向上を図る。
【解決手段】茶葉23及びゼオライト粉末24と、前記茶葉23及びゼオライト粉末24に混合され、茶葉23及びゼオライト粉末24の移動を抑止し混合状態を維持する粉末弾性素材のと、前記綿22及びこの綿22に混合された茶葉23及びゼオライト粉末24を内包するための通気性素材である表面皮21とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に介護の分野に用いられるクッション、枕、マットレス、更には、人の五指の硬直抑止器具などのような肌や髪の毛に直接触れる介護用品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような用品用具は、日常的に頻繁に使用され、人の汗や分泌物が付着するものであり、付着物に微生物が繁殖し、臭いを発生することになった。
【0003】
上記微生物殖は、グラム陰性桿菌や嫌気性菌などであり、適度な湿度を好むものである。このような臭い対策として、従来、抗菌防臭加工を施した製品が知られている。この抗菌防臭加工としては、糸繊維の中に銀、亜鉛、銅等の金属を付着させたゼオライトを抗菌剤として練り込むものが知られている(特許文献1、0016欄など)。また、有機シリコン第4級アンモニウム塩などの抗菌剤を出来上がった繊維に施すものなども知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属を付着させたゼオライト粉末を抗菌剤として練り込むものであっても、抗菌剤を出来上がった繊維に施すものにあっても製造が複雑であり、高コストであるという問題がある。
【0005】
これに対し、安価を狙って粉末活性炭を表面に付着させた健康寝具も知られている(特許文献2)が、粉末活性炭を寝具の全体に均等に配置した状態を実現し、更にその状態を維持することが困難である。
【0006】
本発明は以上のような従来の介護用品が有している問題点を解決せんとしたなされたもので、その目的は、コストを抑制することができ、抗菌防臭性に優れまた、使用状態において抗菌防臭剤の付着性に優れ更にその状態を維持するように機能する介護用品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る介護用品は、茶葉及びゼオライト粉末と、前記茶葉及びゼオライト粉末に混合され、茶葉及びゼオライト粉末の移動を抑止し混合状態を維持する粉末弾性素材と、前記弾性素材及びこの弾性素材に混合された茶葉及びゼオライト粉末を内包するための通気性素材とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る介護用品は、所定量の茶葉及びゼオライト粉末が、弾性素材に概ね均一に混合されて前記通気性素材に内包されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る介護用品は、人の五指の指間に挟まれる棒状部と、棒状部が取り付けられ、人の手の平に握られる部位である基部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る介護用品によれば、茶葉を用いるために安価であり、茶葉及びゼオライト粉末に混合され、茶葉及びゼオライト粉末の移動を抑止し混合状態を維持する粉末弾性素材を用いるため、糸に織り込むなどの複雑さがなく優れた抗菌防臭効果を発揮させることができ、しかも茶葉及びゼオライト粉末の移動が抑止され混合状態の維持が図られ、湿度の高いときには除湿が行われ湿度が低いときには水分を吸収して適度な湿度を保持する調湿により適切な湿度で細菌の増殖を抑制することができる。
【0011】
本発明に係る介護用品によれば、所定量の茶葉及びゼオライト粉末が、弾性素材に概ね均一に混合されて前記通気性素材に内包されているので、全体に抗菌防臭効果を生じさせることができる。
【0012】
本発明に係る介護用品によれば、人の五指の指間に挟まれる棒状部と、棒状部が取り付けられ、人の手の平に握られる部位である基部とを備えるので、人の手に握らせて指の拘縮を緩和させると共に抗菌防臭効果を持たせることができ、皮膚炎及び褥瘡の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る介護用品の実施例である硬直防止器具の斜視図。
【図2】本発明に係る介護用品の実施例である硬直防止器具の平面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】図1の本発明に係る介護用品の実施例について表面皮を取り去った平面図。
【図5】本発明に係る介護用品の実施例である硬直防止器具の使用状態を示す平面図。
【図6】本発明に係る介護用品の実施例である硬直防止器具において、表面皮内に詰めたもの変更し、実際に握りながら湿度の経時変化を測定した測定結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下添付図面を参照して、本発明に係る介護用品の実施例を説明する。本実施例においては、人の手の硬直防止器具を例とするが、クッション、枕、マットレスなど各種の介護用品に適用される。実施例に係る人の手の硬直防止器具10は、図1の斜視図と図2の平面図に示すように、グローブ形状を有し、手の平に相当する形状の基部11の両端からそれぞれ棒状部12、13が延びている。棒状部12と棒状部13との間には、二本の棒状部14、15が基部11に設けられている。
【0015】
棒状部12と棒状部14の間は、基部11に向かって切れ込んだ凹部16となっており、また、棒状部14と棒状部15の間は、基部11に向かって切れ込んだ凹部17となっており、更に、棒状部15と棒状部13の間は、基部11に向かって切れ込んだ凹部18となっている。
【0016】
硬直防止器具10の表面は、通気性を有する布、紙、或いは不織布などの通気性素材により構成される表面皮21により覆われている。図2のA−A断面図である図3及び表面皮21を取り去った平面図である図3に示されているように、硬直防止器具10の表面皮21内には、弾性素材である綿22が詰め込まれている。綿22は、茶葉(緑茶茶葉)23及びゼオライト粉末24と混合されている。
【0017】
茶葉23及びゼオライト粉末24は、硬直防止器具10の内部において全体的に均一に分布させられている。綿22は、茶葉23及びゼオライト粉末24の移動を抑止し混合状態を維持する機能を有する。つまり、茶葉23及びゼオライト粉末24が、綿22が有している空隙に刺さるように入り込み、移動が抑止され混合状態が維持される。従って、このような茶葉23及びゼオライト粉末24について移動を抑止し混合状態を維持させることができる弾性素材であれば、綿22に限定されるものではない。
【0018】
茶葉23は、ポリフェノールの一種であるカテキンによる抗菌及び酸化防止機能を発揮させるために用いられる。従って、茶葉23は未使用のものでも良いが、使用済みのものを乾燥させて用いると安価であり、リサイクルの観点からも好適なものである。緑茶溶液による床擦れの治癒、膿の消臭効果については、既に認められており(1999年3月4日読売東京夕刊4版第18頁参照)、茶葉23を用いた場合にも同様の効果を得ることができる。
【0019】
ゼオライト粉末24は、粒径が1mm〜0.2mm程度ものが移動抑制の観点から好適であり、クッション、枕、マットレスなどに用いる場合には粒径が細かい方が使用者に快適である。
【0020】
以上の通りに綿22に混合された茶葉23及びゼオライト粉末24は、表面皮21に内包される。表面皮21は二枚の通気性素材を重ねて端部を縫い合わせ、接着或いは溶着させることにより形成しても良いし、袋状の型により形成しても良く、その作成手法は適宜選択されるものである。
【0021】
上記の表面皮21に対し、開口部から綿22に混合された茶葉23及びゼオライト粉末24が詰め込まれて、開口部が接着或いは溶着などにより閉じられる。この結果、基部11は例えば2cm程度の厚みを有し、棒状部12〜15は直径が2cm程度に形成される。
【0022】
以上の通りに構成された硬直防止器具10は、図5に示すように用いられる。つまり、中指が凹部17に位置し、人差し指と薬指が凹部16、18に位置し、親指と小指が棒状部12、13の外側部に位置するようにし、手30の平がと五指により基部11を掴むようにして用いる。
【0023】
この硬直防止器具10によれば、握り込みが原因の指の拘縮を緩和し、手の蒸れを防止することができ、通気性に優れており、手の硬直しに指の間や手の平の臭い発生を防止し、爛れの改善、指の変形防止の作用を有する。上記硬直防止器具10指間を広げるように機能し、手の平を清潔に保持し、茶葉23及びゼオライト粉末24によって抗菌消臭及び調湿作用の効果が期待できる。なお、この硬直防止器具10は、適当な日数の使用後に廃棄する。
【0024】
上記の硬直防止器具10において、表面皮21内に20gの綿22のみを詰めたもの、表面皮21内に20gの綿22と茶葉8gとを詰めたもの、表面皮21内に20gの綿22と茶葉8gとゼオライト粉末24を詰めたもの(ゼオライト粉末24の量は、3g、6g、12g)とを作成し、実際に握りながら湿度の経時変化を測定した。この測定結果を図6に示す。
【0025】
上記測定結果から明らかな通り、20gの綿22と茶葉8gとを詰めただけでも湿度が85%程度に改善でき、更にゼオライト粉末24を加えることにより湿度が70%〜80%に改善できることが分かった。
【0026】
人の体は毎日新陳代謝を繰り返し、また、特に就寝中には大量の汗をかくことから、寝具に汗や垢などの汚れが付着する。この付着した汗や汚れに微生物が付着し、繁殖して数が増え、細菌から分泌される有機酸やアミン類などが臭いの原因となる。これに対し、上記硬直防止器具10と同様に、綿22に混合された茶葉23及びゼオライト粉末24を表面皮21にて内包するように構成したクッション、枕、マットレス、布団などの用具では、茶葉23とゼオライト粉末24により抗菌及び調湿がなされ、微生物の繁殖増殖が抑制され、防臭を図ることができ、床擦れの発生を防ぐこともできる。また、ゼオライト粉末24は臭いを吸収する脱臭効果を有することから、臭いの発生を抑制することもできる。
【0027】
そして、ゼオライト粉末24は、湿度の高いときには水分を吸収し又湿度が低いときには吸収した水分を吐きだすという湿度の調湿機能を有しているから、これを用いて湿度をコントロールし、快適な状態の介護用品を提供できる。特に、寝具の場合には四季を通して湿度が60%程度であることが求められるが、上記ゼオライト粉末24の調湿機能によりこの湿度の維持を実現することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 硬直防止器具
11 基部
12-15 棒状部
16-18 凹部
21 表面皮
22 綿
23 茶葉
24 ゼオライト粉末
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開平9−238969号公報
【特許文献2】特開2002−262978号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉及びゼオライト粉末と、
前記茶葉及びゼオライト粉末に混合され、茶葉及びゼオライト粉末の移動を抑止し混合状態を維持する弾性素材と、
前記弾性素材及びこの弾性素材に混合された茶葉及びゼオライト粉末を内包するための通気性素材と
を具備することを特徴とする介護用品。
【請求項2】
所定量の茶葉及びゼオライト粉末が、弾性素材に概ね均一に混合されて前記通気性素材に内包されていることを特徴とする請求項1に記載の介護用品。
【請求項3】
人の五指の指間に挟まれる棒状部と、
棒状部が取り付けられ、人の手の平に握られる部位である基部と
を備えることを特徴とする介護用品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−246720(P2010−246720A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99051(P2009−99051)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(505276340)株式会社ユニケア (5)
【Fターム(参考)】