説明

代謝改変光合成微生物を用いて二酸化炭素を炭化水素に直接変換する方法

【課題】
【解決手段】本発明は、代謝改変し、遺伝子改変光合成微生物を用いて、大気中二酸化炭素を直接変換することにより、イソプレンを生産するための方法に関する。本発明は、COからイソプレンを生産できるシアノバクテリア等の、遺伝子改変光合成微生物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2007年5月1日出願の仮出願第60/927102号、発明の名称「代謝改変光合成微生物を用いて二酸化炭素を炭化水素に直接変換する方法」の優先権を主張し、その全体を参照により本願明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
21世紀の社会に対する最も大きなチャレンジの一つは、輸送、加熱及び工業プロセスの増大する要求に応え、持続可能なやり方でこれらの産業に原料を提供することである。より重要なことには、将来のエネルギー及び原料供給は、温室効果ガスの排出を同時に削減することに答えなければならない。油、ガス及び石炭産業は、過去80年のエネルギー市場だけでなく、炭素系化学製品産業も支配した。原油埋蔵量が低下すると、政治的混乱及び工業化学製品の基礎を形成する石油とその精製品(石油由来化学、石油化学製品としても知られる)への世界的需要により、エネルギー並びにこれらの重要な炭化水素誘導体とその下流製品のコストは、増大してきた。さらに、化石燃料の燃焼及び精製は、地球温暖化における温室効果ガス排出の効果に関する関心の火付け役となってきた。環境への関心及び生物工学研究の最近の進歩によって刺激を受け、合成生物学技術は、現在、化学工業の重要原料の生合成(再生可能)による製造を可能にする微生物工学に適用することができる。現在のところ、再生可能な植物資源由来の液体生物燃料としてのエタノール生産は、行われている主要な方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エタノールは、ブラジル、米国及びいくつかのヨーロッパ諸国において、すでに大規模に導入されている。エタノールは、ガソリンと混合することも可能であり、専用エンジンにおいて無希釈アルコールとしても使用できる。現在、燃料市場向けエタノールは、糖(ブラジル)又はデンプン(米国)から生産される。デンプン含有材料からのエタノール生産は、液化ステップ(デンプンを可溶化する)及び加水分解ステップ(ブドウ糖を生産するため)を必要とする。生成したブドウ糖は、直ちに発酵される。しかしながら、この原料系は、動物飼料及び人間の需要にも用いられるため、燃料エタノールへの需要増加に十分に応えることにならず、糖又はデンプン系エタノールの使用から生じる温室効果ガス減少は、望まれるほどには高くない(Farrellら、2006)。
【0004】
これらの両者の限界に対処するため、農業及び森林間伐材、並びに専用作物等のリグノセルロース原料の開発が、エタノール生産を目的として、探索されてきた。リグノセルロースからのエタノールプロセスは、多くの技術的経済的課題に直面している(Hahn−Hagerdalら、2006)。
【0005】
第一に、セルロース及びヘミセルロースは、生物分解によって可溶な糖に解重合されなければならない。酵素転換は、副産物の形成がなく基質特異的であり、後続プロセスへの抑制を低下する。しかしながら、バイオマスが前処理を受けない限り、酵素触媒によるセルロースからブドウ糖への転換は遅く、前処理にも、高収量の達成及び方法の商業的成功が求められる(Mosierら、2005)。
【0006】
第二に、セルロースの解重合は、効率的なアルコール発酵が求められる炭素数6の(ヘキソース)及び炭素数5の(ペントース)糖と共に、発酵を抑制する化合物、すなわち低分子量の有機酸、フラン誘導体、フェノール類及び前処理中に放出形成される無機化合物及び/又は原料の加水分解物を生産する(Larssonら、2000)。リグノセルロース原料は、特定の広葉樹及び農業原料において、ペントース糖であるキシロース及びアラビノースを5〜20%(又はこれ以上)を含むことができるが、これらは、最も一般的に用いられる工業発酵微生物である酵母菌Saccharomyces cerevisiaeによっては、エタノールに発酵されない。ペントース発酵微生物は、遺伝子改変が行われており、化学的又は物理的方法を用いて、有毒な抑制物質を除去する方法が開発されている(Hahn−Hagerdalら、2006)。
【0007】
第三に、処理エネルギーの要求を最小限とするために、セルロースの解重合及び生成する糖の発酵を統合する進歩した方法が、開発されなければならない。加水分解と発酵とを別個に行うこと(SHF)、及び糖化とセルロース発酵とを同時に行うこと(SSF)の二つの方法が取られてきた。SHFにおいては、最初にセルロースはブドウ糖に加水分解され、次いでブドウ糖は、エタノールに発酵される。SHFの主な利点は、加水分解及び発酵が最適条件で起きることであり、不利な点は、セルロース分解酵素が最終生成物により阻害され、ブドウ糖及びセルビオース(cellubiose)が蓄積するときには加水分解速度が次第に減少することである(Tengborgら、2001)。SSFにおいては、加水分解及び発酵は同じ容器において同時に起こり、放出された糖を発酵生物体が直ちに消費するため、酵素の最終生成物に対する抑制は軽減される。さらにまた、発酵は、加水分解物に存在するいくつかの有毒な化合物を変換することにより、酵素抑制を軽減すると考えられる(Tengborgら、2001)。これにより、全体のエタノール生産性、エタノール濃度及び最終的なエタノール収量は、上昇する(Soderstromら、2005)。
【0008】
生物燃料としてエタノールの生産及び使用を取り巻く話題性は高いが、この方法には多くの弱点がある。エタノールよりも効率的に燃料として用いることができる炭化水素の生産方法が求められている。この方法は、温室効果ガスを実質的に削減する手段を提供することも必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、二酸化炭素(CO)からイソプレン等の炭化水素を生産できるシアノバクテリア等の遺伝子改変光合成微生物に関する。本発明は、また、遺伝子改変光合成微生物(代謝改変した光合成微生物とも呼ぶ)を用いて二酸化炭素を直接的に変換することにより、イソプレンを生産する方法にも関する。
【0010】
本発明の一実施形態は、実質的に水において非混合性の炭化水素化合物(炭化水素とも呼ぶ)を生産するよう遺伝子改変された、シアノバクテリア等の光合成微生物である。いくつかの実施形態において、炭化水素化合物は、ガス状、非混合性の液体状、又は沈澱性である。いくつかの実施形態において、炭化水素は、イソプレンであり、光合成微生物(例えば遺伝子改変シアノバクテリア)は、二酸化炭素が存在する培養時に、イソプレンを生産する。いくつかの実施形態において、二酸化炭素は、大気の二酸化炭素である。いくつかの実施形態において、シアノバクテリアは、化石燃料プラント又は煙突(スクラバー)から発生する二酸化炭素の存在中で培養される、いくつかの実施形態において、遺伝子改変光合成微生物は、2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸代謝経路を介して発生する前駆体から、イソプレンを生産する。多種多様なシアノバクテリアは、本願明細書に記載の方法及び/又は当技術分野において公知の方法を用いて、遺伝子を組み換えることが可能である。一実施形態において、遺伝子改変光合成微生物は、Thermosynechococcus(T.)elongatus BP−1等の、好熱性シアノバクテリアである。いくつかの実施形態において、シアノバクテリアは、アナベナ(Anabaena)属である。特定の実施形態において、シアノバクテリアは、アナベナ7120(Anabaena 7120)である。
【0011】
本発明の態様は、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子導入により遺伝子改変された、シアノバクテリア等の光合成微生物(例えば、好熱性シアノバクテリア、T.elongatus BP−1、アナベナ属の一員、アナベナ7120)である。コードされたイソプレン合成酵素は、導入される遺伝子改変微生物(例えば、シアノバクテリア)において機能的である(活性を示す)ならば、任意の源から由来することができる。源としては、植物、バクテリア、ウイルス、他の非哺乳類源及び哺乳類源が挙げられる。特定の実施形態において、イソプレン合成酵素遺伝子は、木のイソプレン合成酵素遺伝子等の、植物イソプレン合成酵素遺伝子である。一実施形態において、イソプレン合成酵素遺伝子は、ポプラ(Populus alba x Populus tremula)イソプレン合成酵素遺伝子である。イソプレン合成酵素遺伝子は、シアノバクテリアにおける発現及び/又は酵素活性を最適化するために、シアノバクテリアへの導入の前又は後に、組み換えることができる。一実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、シアノバクテリアのゲノムに組み込まれるが、別の実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、遺伝子改変光合成微生物(シアノバクテリア)に含まれるプラスミドに担持される。
【0012】
本発明の態様は、遺伝子改変シアノバクテリア等の遺伝子改変光合成微生物を容器内において二酸化炭素の存在中で培養すること、及び遺伝子改変光合成微生物の培養液のオフガスからイソプレンを集めることに関する。一実施形態において、遺伝子改変シアノバクテリアは、さらなる生合成のための基質としてイソプレンを利用できる天然又は合成酵素をコードする少なくとも一つの遺伝子の挿入によって、さらに組み換えられる。
【0013】
一実施形態において、本発明は、イソプレン合成酵素をコードする外来性遺伝子を含む遺伝子改変光合成微生物に関し、この遺伝子改変光合成微生物は、遺伝子改変光合成微生物が二酸化炭素の存在中で培養されるとき等に、二酸化炭素からイソプレンを生産することができる。一実施形態において、遺伝子改変光合成微生物は、Thermosynechococcus elongatus BP−1等のシアノバクテリアである。いくつかの実施形態において、シアノバクテリアは、アナベナ7120等のアナベナ属である。一実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、ポプラ(Populus alba x Populus tremula)イソプレン合成酵素遺伝子等の、植物(例えば、木、花、潅木、草)イソプレン合成酵素遺伝子である。代替実施形態において、光合成微生物は、組み換えのない場合には、イソプレンを全く/実質的に全く生産せず、通常は無変化の内在性イソプレン合成酵素遺伝子が活性化されるよう遺伝子改変されると、結果としてイソプレンを生産するよう機能する。
【0014】
一実施形態において、本発明は、シアノバクテリアにおける発現及び/又は活性を最適化する目的で、シアノバクテリアへの導入の前又は後に組み換えられた、外来性イソプレン合成酵素を含むシアノバクテリア等の遺伝子改変光合成微生物に関する。一実施形態において、シアノバクテリアは、シアノバクテリアのゲノムに組み込まれるイソプレン合成酵素をコードする外来性遺伝子を含み、別の実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、プラスミドに担持される。
【0015】
本発明の態様は、容器の中で、二酸化炭素の存在中に培養され、シアノバクテリアの培養液のオフガスからイソプレンを集めることができる遺伝子改変光合成微生物(例えば、遺伝子改変シアノバクテリア)等の、遺伝子改変光合成微生物に関する。一実施形態において、遺伝子改変光合成微生物は、さらなる生合成のための基質としてイソプレンを利用することができる天然又は合成酵素をコードする少なくとも一つの遺伝子の挿入によって、さらに組み換えられる。
【0016】
本発明の態様は、イソプレンを生産するよう遺伝子改変された光合成微生物を培養することと、適宜、イソプレンを生産するよう遺伝子改変された光合成微生物から生産されるイソプレンを集めることによる、イソプレンの生産方法に関する。遺伝子改変光合成微生物は、二酸化炭素の存在中、及び遺伝子改変光合成微生物の成長及び/又は保守に適切な条件下(例えば、十分な光の存在中)で、培養される。一実施形態において、遺伝子改変光合成微生物は、Thermosynechococcus elongatus BP−1等のシアノバクテリアである。いくつかの実施形態において、シアノバクテリアはアナベナ7120等のアナベナ属である。培養条件は、シアノバクテリアの保守及び/又は成長のための十分な光を含む。
【0017】
イソプレン生産方法の一実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子の導入を介してイソプレンを生産するよう遺伝子改変された、シアノバクテリア等の光合成微生物が使用される。一実施形態において、該シアノバクテリアは、木のポプラ(例えば、Populus alba x Populus tremula)等の植物由来のイソプレン合成酵素遺伝子を含むよう遺伝子改変される。この遺伝子は、他の種類の木又は植物(例えば、花、潅木、草)に由来することも可能である。
【0018】
一実施形態において、本方法は、シアノバクテリアにおける発現及び/又は酵素活性を最適化する目的で、シアノバクテリアへの導入の前又は後のイソプレン合成酵素の組み換えにおけるシアノバクテリアの使用を含む。一実施形態において、イソプレン合成酵素遺伝子は、遺伝子改変光合成微生物のゲノムに組み込まれる。別の実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、プラスミドに担持される。
【0019】
本発明の態様は、遺伝子改変シアノバクテリア等の遺伝子改変光合成微生物を容器内において二酸化炭素の存在中で培養することと、適宜、遺伝子改変光合成微生物の培養液のオフガス(例えば、遺伝子改変シアノバクテリアの培養液のオフガス)からイソプレンを集めることとの方法に関する。一実施形態において、本方法は、さらなる生合成のための基質としてイソプレンを利用することができる一以上の付加的な天然及び/又は組み換え微生物と共に遺伝子改変光合成微生物を共培養することに関する。
【0020】
本発明の態様は、イソプレン合成酵素をコードする外来性遺伝子を含む遺伝子改変光合成微生物を培養することであって、該遺伝子改変光合成微生物は、イソプレンを二酸化炭素から生産することと、適宜、イソプレン合成酵素をコードする外来性遺伝子を含む遺伝子改変光合成微生物から生産されるイソプレンを集めることと、を含むイソプレンの生産方法に関する。遺伝子改変光合成微生物は、二酸化炭素の存在中、及び成長及び/又は保守のための適切な条件下(例えば、十分な光の存在中)で、培養される。一実施形態において、Thermosynechococcus elongatus BP−1等のシアノバクテリアが使われる。いくつかの実施形態において、シアノバクテリアは、アナベナ7120等のアナベナ属である。
【0021】
一実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする外来性遺伝子は、ポプラ(Populus alba x Populus tremula)イソプレン合成酵素遺伝子である。一実施形態において、イソプレンを生産する方法は、シアノバクテリアにおけるイソプレン合成酵素の発現及び/又は酵素活性を最適化する目的で、シアノバクテリアへの導入の前又は後のイソプレン合成酵素の組み換えを含む。一実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、遺伝子改変光合成微生物(例えばシアノバクテリア)のゲノムに組み込まれ、別の実施形態において、これは微生物のプラスミド上に担持される。
【0022】
本発明の態様は、二酸化炭素の存在中において容器で遺伝子改変光合成微生物を培養することによりイソプレンを生産することと、適宜、遺伝子改変光合成微生物の培養液のオフガスからイソプレンを集めることとの方法に関する。一実施形態において、遺伝子改変光合成微生物は、さらなる生合成のための基質としてイソプレンを利用することができる一以上の付加的な天然及び/又は組み換え微生物と共に、二酸化炭素の存在中において容器で共培養される。
【0023】
本発明の態様は、イソプレン生産のための遺伝子改変光合成微生物の最適化及びイソプレンを光合成微生物から生産する方法の最適化に関する。いくつかの実施形態において、イソプレン生産量は、遺伝子改変光合成微生物におけるイソプレン合成酵素発現の発現レベル及び制御を変更することにより改善される。他の実施形態において、イソプレン生産量は、熱安定性、イソプレン合成酵素遺伝子の特定の活性及び特異性を改善するためのタンパク工学技術により、遺伝子改変光合成微生物におけるイソプレン合成酵素遺伝子のコード領域を変更することによって、改善される。他の実施形態において、イソプレン生産量は、律速であることが知られているイソプレニル2リン酸塩又はジメチルアリル2リン酸塩合成の上流の酵素の過剰発現及び/又は遺伝子改変光合成微生物の内因性活性(kcat/K)の強化によって、改善される。他の実施形態において、イソプレン生産量は、遺伝子改変光合成微生物におけるランダムな突然変異誘発(トランスポゾン又はトランスポゾン様の挿入によって、又は標準突然変異誘発による)及び生産に対する改良生物体のスクリーニングによって、改善される。他の実施形態において、イソプレン生産量は、同一又は関連生物体由来のゲノム断片のショットガンクローニングに続いて、生産に対する改良生物体のスクリーニングによって、変異における過剰発現要因によって追加又は強化が可能な不明経路を特定することで改善される。ある実施形態において、イソプレン生産量は、複数の突然変異を単一の生物体に組み込むことによって改善される。
【0024】
いくつかの実施形態において、イソプレン生産のための遺伝子改変光合成微生物の最適化、又は遺伝子改変光合成微生物からのイソプレン生産方法の最適化は、微生物バイオリアクタにおいてイソプレン生産量を改善された遺伝子改変光合成微生物を培養すること、及び微生物バイオリアクタにおける培養プロトコルを最適化することによって、さらに達成される。いくつかの実施形態において、イソプレン生産のための遺伝子改変光合成微生物の最適化、又は遺伝子改変光合成微生物からのイソプレン生産方法の最適化は、微生物バイオリアクタからイソプレンを集めるための回収プロトコルを最適化することによって、さらに達成される。
【0025】
本発明の別の態様によれば、核酸分子が提供される。核酸分子は、組み換えイソプレン合成酵素遺伝子(v2.2.1)の核酸配列を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、プロモータに作動可能に連結された組み換えイソプレン合成酵素遺伝子(v2.2.1)の核酸配列を含む発現ベクターが提供される。関連する態様において、このような発現ベクターを用いてトランスフォーム又はトランスフェクトされる宿主細胞も提供される。
【0027】
本発明の別の態様によれば、単離されたポリペプチド又はその変異体が提供される。単離されたポリペプチドは、組み換えイソプレン合成酵素遺伝子(v2.2.1)の核酸配列によってコードされる。
【0028】
本発明又は本願のファイルは、少なくとも一つの有色処理された図面を含む。カラー図面を伴う本発明又は本出願公開のコピーは、要求及び必要料金の支払いに応じ、事務局から提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】イソプレンの構造及び物理的特性を示す図である。
【図2】プリンス反応の図である。図示の式において、加えられるアルデヒドは、ホルムアルデヒドである。アセトアルデヒドの代用は、2位及び6位のメチル置換を生じる。
【図3A】ポプラの葉から分離されたイソプレン合成酵素遺伝子のアミノ酸及び核酸配列である(Millerら、2001)。
【図3B】ポプラの葉から分離されたイソプレン合成酵素遺伝子のアミノ酸及び核酸配列である(Millerら、2001)。
【図3C】ポプラの葉から分離されたイソプレン合成酵素遺伝子のアミノ酸及び核酸配列である(Millerら、2001)。
【図3D】ポプラの葉から分離されたイソプレン合成酵素遺伝子のアミノ酸及び核酸配列である(Millerら、2001)。
【図3E】ポプラの葉から分離されたイソプレン合成酵素遺伝子のアミノ酸及び核酸配列である(Millerら、2001)。
【図4A】カナダポプラ(Populus)属由来の4つのイソプレン合成酵素配列を示す図である。
【図4B】カナダポプラ(Populus)属由来の4つのイソプレン合成酵素配列を示す図である。
【図5】イソペンテニル2リン酸塩(IPP)及びその異性体であるジメチルアリル2リン酸塩(DMAPP)の生産に関与する合成経路及びキー酵素を示す、シアノバクテリアのMEP経路の図である。シアノバクテリアは、IPP及びDMAPPのイソプレン転換に関与する酵素であるイソプレン合成酵素を欠いている。略語を、以下に示す。DXS、1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸シンターゼ;DXR、1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸リダクトイソメラーゼ;MCT、MEPシチジルトランスフェラーゼ;CMK、4−(シチジン5’ホスホ−)2C−メチル・エリトリトール・キナーゼ;MECPS、MECPシンターゼ;IPI、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ。
【図6A】合成イソプレン合成酵素遺伝子(v2.2)、及び合成イソプレン合成酵素遺伝子の核酸配列である。
【図6B】合成イソプレン合成酵素遺伝子(v2.2)、及び合成イソプレン合成酵素遺伝子の核酸配列である。
【図6C】合成イソプレン合成酵素遺伝子(v2.2)、及び合成イソプレン合成酵素遺伝子の核酸配列である。
【図6D】合成イソプレン合成酵素遺伝子(v2.2)、及び合成イソプレン合成酵素遺伝子の核酸配列である。
【図6E】合成イソプレン合成酵素遺伝子(v2.2)、及び合成イソプレン合成酵素遺伝子の核酸配列である。
【図6F】合成イソプレン合成酵素遺伝子(v2.2)、及び合成イソプレン合成酵素遺伝子の核酸配列である。
【図6G】合成イソプレン合成酵素遺伝子(v2.2)、及び合成イソプレン合成酵素遺伝子の核酸配列である。
【図7】組み換えイソプレン合成酵素遺伝子(v2.2.1)の核酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の態様は、光合成微生物の遺伝子改変を通じて、COからイソプレンを生産する方法及び組成物に関する。シアノバクテリア等の遺伝子改変光合成微生物は、最後から2番目のイソプレン前駆体、すなわち2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸経路を介するイソペンテニル2リン酸塩及びジメチルアリル2リン酸塩を合成するが、植物においてこの前駆体からイソプレンの生合成の最終ステップを実行する、イソプレン合成をコードする遺伝子を欠いている。植物と同様に、シアノバクテリアは、自家栄養生物であり、光の存在中におけるイソペンテニル2リン酸塩及びジメチルアリル2リン酸塩に対する最終的な炭素源は、大気のCOの光合成による固定である。そのため、シアノバクテリアは、発現可能なイソプレン合成酵素遺伝子を組み込むよう代謝改変され、光の存在中において、二酸化炭素及び水から直接的にイソプレンを生成することができる。
【0031】
イソプレンは、沸点34℃の揮発性化合物であり、単純な濃縮によって、細菌発酵のオフガスから回収できる。遺伝子改変微生物からのイソプレン生産を最大化する観点から、生成物が培養液から連続的に除去され、したがって律速因子(生成物の抑制)を生じる蓄積が決してないため、この揮発性は極めて魅力的な特徴である。光合成細菌培養液由来イソプレン生成物の動向は、ガソリン添加物/代替物の工業合成のための有用な出発物質、及び「生物燃料」の新形式であろう。このような添加物への複数の工業合成経路が想像できるが、そうした経路は、以下に例示する。
【0032】
イソプレンは、反応容器内で適切なアルデヒド(セルロースのエタノールに由来するアセトアルデヒドを含む)及び適切な触媒と混合でき、水系プリンス反応により、高収量でアルキル置換1,3−ジオキサンに変換できる(Arundale及びMikeska(1952)、図2、化合物5)。潜在的には、1,3−ジオキサン生成物は、単純な相分離によって反応容器から連続的に回収でき、さらなる軽微な改良だけで、ガソリン添加物として直接的に使用できる。様々な1,3−ジオキサンは、高いオクタン価を与える沸点を有し、50:50(v/v)の比率でガソリンと混合して内燃機関燃料を生産できる(Arundale及びMikeska(1952))。1,3−ジオキサン添加物は、混合ガソリンを燃焼させるクリーナも生成し、これにより大気汚染に関与するエンジン沈着物及び炭化水素排出を削減する(Niebylski、1980)。1,3−ジオキサンは、環状エーテルであり、ガソリン添加物であるMTBE(メチルtert−ブチルエーテル)等のエーテルを取扱う石油工業における実績は10年以上あるので、潜在的な課題(例えば、経時的な過酸化物の集積)はすでに対処されてきた。
【0033】
本発明は、イソプレン合成酵素を発現する光合成微生物を代謝改変するための方法及び組成物を提供する。本発明は、代謝改変された光合成微生物を二酸化炭素の存在中で培養することによりイソプレンを集めるための方法を、さらに提供する。
【0034】
本発明の態様は、遺伝子改変光合成微生物の使用に関する。一実施形態において、遺伝子改変光合成微生物は、シアノバクテリアである。イソプレン合成酵素前駆体である、イソペンテニル2リン酸塩及びジメチルアリル2リン酸塩は、全ての公知のシアノバクテリアで合成される(Cunningham、Jr.ら、2000;Ershovら、2002;Okada及びHase(2005))。したがって、使用するシアノバクテリアは、下記のシアノバクテリア属(Castenholz、2001)のメンバから選択できるが、限定されない。サブセクションI:Chamaesiphon、Chroococcus、Cyanobacterium、Cyanobium、Cyanothece、Dactylococcopsis、Gloeobacter、Gloeocapsa、Gloeothece、Microcystis、Prochlorococcus、Prochloron、Synechococcus、Synechocystis、サブセクションII:Cyanocystis、Dermocarpella、Stanieria、Xenococcus、Chroococcidiopsis、Myxosarcina、Pleurocapsa、サブセクションIII:Arthrospira、Borzia、Crinalium、Geitlerinema、Halospirulina、Leptolyngbya、Limnothrix、Lyngbya、Microcoleus、Oscillatoria、Planktothrix、Prochlorothrix、Pseudanabaena、Spirulina、Starria、Symploca、Trichodesmium、Tychonema、サブセクションIV:Anabaena、Anabaenopsis、Aphanizomenon、Calothrix、Cyanospira、Cylindrospermopsis、Cylindrospermum、Nodularia、Nostoc、Rivularia、Scytonema、Tolypothrix、サブセクションV:Chlorogloeopsis、Fischerella、Geitleria、Iyengariella、Nostochopsis、Stigonema(http://tolweb.org/tree?group=Cyanobacteria;Castenholz(2001))。シアノバクテリアに対する命名法は、修正中である(Oren、2004)。
【0035】
一実施形態において、使用するシアノバクテリア種は、以下を含む、より高温での成長に適する種から選択されるが、限定されない。Thermosynechococcus elongatus BP−1(T.elongatus)及びSynechococcus属の耐熱菌株(Miller及びCastenholz(2000);Yamaokaら、1978)。別の実施形態において、使用するシアノバクテリア種は、以下を含む、天然において外来性DNAを取ることが示されている種から選択されるが、限定されない。Gloeocapsa alpicola、Agmenellum quadruplicatum、Anacystis nidulans、Synechocystis sp. PCC 6803、及びThermosynechococcus elongatus BP−1(Grigorieva及びShestakov、1982;Shestakovら、2004;Szalay及びShestakov、1988)。別の実施形態において、使用するシアノバクテリア種は、以下を含む、エレクトロポレーションが外来DNAを導入する有効な方法であることが示されている種から選択されるが、限定されない。Anabaena sp. M131、Fremyella diplosiphon、Nostoc PCC 7121、Chroococcidiopsis sp.、Spirulina platensis C1、Oscillatoria MKU 277、及びThermosynechococcus elongatus BP−1(Billiら、2001; Brunsら、1989; Iwaiら、2004; Kawataら、2004; Moserら、1993; Ravindranら、2006; Thiel及びPoo、1989)。
【0036】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアは、アナベナ属である特定の実施形態において、シアノバクテリアは、アナベナ7120である。
【0037】
本発明の態様は、光合成微生物の遺伝子工学に関する。一実施形態において、これは、遺伝子改変光合成微生物にイソプレン合成酵素をコードする遺伝子を導入することに関する。一実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、植物遺伝子であり、ポプラ(Populus alba x Populus tremula)由来の遺伝子を含むが、限定されない。
【0038】
本発明の態様は、シアノバクテリア等の遺伝子改変光合成微生物における、イソプレン合成酵素をコードする外来性遺伝子の発現に関する。ある実施形態において、イソプレン合成酵素遺伝子は、シアノバクテリアの染色体に統合される。他の実施形態において、イソプレン合成酵素遺伝子は、プラスミド上で発現される。イソプレン合成酵素遺伝子は、当業者に公知の標準方法によって、シアノバクテリアに導入できる。これは、化学変換及びエレクトロポレーションを含む変換のための標準プロトコル、及び種間接合と染色体組み換えのための標準プロトコルを含むが、限定されない(Tsinoremasら、1994;Muhlenhoff及びChauvat、1996)。形質転換の一つの形式としては、受容するシアノバクテリア細胞の染色体において隣接する、DNAの二つの側方部分に挿入される、関心の外来(外来性)遺伝子又は複数遺伝子を含むプラスミドを生成することを含む。受容する染色体DNAの側方部分の長さは、それぞれ少なくとも100塩基対(Szalay及びWilliams、1988)でなければならない。染色体挿入の適切な部位は、染色体断片のショットガンライブラリからランダムに選択でき、頑強な成長又は他の所望の表現系を表すものについてのインサータント(insertant)コロニーのスクリーニングに続く(Szalay及びWilliams、1988)。あるいは、挿入は、挿入を目標とする染色体DNAの特定領域を分離する、PCR又は別の方法を用いて、特定の部位で行うことができる(Iwaiら、2004)。二重交差(遺伝子置換を伴う挿入)又は単一の交差(部分的な遺伝子重複を伴う挿入)の事象(同書)のいずれかをプロモートするコンストラクトが、作製される。挿入DNAにおいて、関心遺伝子と共に抗生物質耐性マーカを組み入れることにより、形質転換体の選択が可能になる。
【0039】
本発明の一実施形態において、プラスミドは、イソプレン合成酵素遺伝子の発現に用いられる。プラスミドベクターは、選択宿主において複製できるか、できないかの、いずれかである。いずれの種類の挙動にも、実験的な用途がある。ベクターの複製は、潜在的には、新規宿主において外来性遺伝子を発現できる。このようなベクターは、宿主の範囲が広いか狭いかのいずれかである場合がある。例えば、プラスミドRSF1010の派生物は、Synechocystis(Marracciniら、1994;Mermet−Bouvierら、1993)並びにアナベナ7120(Thiel、1994)、Synechococcus(好熱性菌種を含む)及びPseudanabaena(Muhlenhoff及びChauvat、1996;Sodeら、1992)において複製でき、遺伝子解析に対して新規な種における複製についての保証試験を行うことができる。対照的に、Nostoc7524由来6.3kbプラスミドpDU1に基づくプラスミドは、いくつかの第IV種((Rippkaら、1979)、表1の意味を指す)及び第II種(Billiら、2001)において複製できるが、第I種では複製することは報告されていない。新規宿主に移植できるが、その中で複製できないプラスミドベクターは、安定維持を目的として、置き換え(例えば、突然変異誘発に用いられるトランスポゾン)又は統合(例えば、相同的組み換えにより)が行われなければならないDNAを移植するためには、理想的である。Thiel(1994)の文献は、シアノバクテリア用の各種類を様々に記載している。
【0040】
本発明の態様は、シアノバクテリアにおける、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子の発現に関する。いくつかの実施形態において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、植物遺伝子である。多くの遺伝子工学ツールがシアノバクテリアに対して利用可能であり(Koksharova及びWolk(2002)に総説がある)、したがって、シアノバクテリアにおけるイソプレン合成酵素の発現を最適化するための、多くのオプションが存在する。イソプレン合成酵素遺伝子は、シアノバクテリアへの導入前に組み換えることができる。一実施形態において、これは、T.elongatus又はアナベナ7120等のシアノバクテリア種における発現のために最適化したコドンを提供するよう、配列を組み換えることを含む。全遺伝子合成により、タンパクをコードする遺伝子は、一つの遺伝コードを用いて、異なる遺伝コードを利用する宿主生物体において発現することができる。これは、コードの異なる所望のタンパクにおける各アミノ酸位置に対して適切な宿主のコドンが用いられるように、合成遺伝子を設計することによって行われる。したがって、合成遺伝子から転写されるメッセージが組み換え宿主で発現されるときには、天然の宿主において発現されるタンパクと同一のアミノ酸を有して、ポリペプチドが生産されることになる。同様にして、適切なヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入の選択をガイドするための宿主の遺伝子コードを用いて、設計した遺伝子(及びタンパク)の中に、所望の変異を意図的に改変することができる。一実施形態において、コドン使用の最適化は、シアノバクテリア種T.elongatus BP−1(Nakamuraら、2002)又はアナベナ7120に対する遺伝情報及びコドン使用テーブルを基礎とすることになる。多くの他の生物体のためのコドン使用は、コドン利用データベース(http://www.kazusa.or.jp/codon/)に見出すことができる。
【0041】
別の実施形態において、シアノバクテリアの発現の最適化は、シアノバクテリアの制限部位を回避することに関する。シアノバクテリア宿主に対するゲノム配列情報が利用できる場合には、hsdRMS遺伝子によってコードされる制限系サブユニット(Bickle及びKruger、1993;Murray、2000)は、他の細菌hsdRMS遺伝子に対する配列相同性によって識別できる。T.elongatusのtll2228、tll2229及びtll2230遺伝子は、この方法によって認識され、この情報は、ttl2230遺伝子が挿入突然変異によって破壊された場合には、菌株を設計及び構築するために用いられた。この菌株は、形質転換効率の強化が見られた(Iwaiら、2004)。T.elongatusのII型制限系は、制限酵素であるSelIが細胞内に存在すること含み、これはCGCG配列を切断し(Miyakeら、1992)、RGATCY配列においてゲノムDNAをメチル化する(Kinoshita及びIkeuchi、未発表の観察、Iwaiら(2004)に収録)。全遺伝子合成により、及びシアノバクテリア宿主(上記)の遺伝コードを知ることにより、関心タンパクを正確にコードし、しかも形質転換するDNAにおいてCGCG又はRGATCYの存在を生じるであろうコドン又は他の制限部位の使用を最小化する、合成遺伝子を構築することができる。
【0042】
別の実施形態において、シアノバクテリアの発現の最適化は、シアノバクテリアの転写開始を最適化することに関する。E.coliにおいて良好に発現する多くの遺伝子は、シアノバクテリアにおいても発現する。これは、これらの遺伝子の発現を支配している転写制御配列が、シアノバクテリアにおいても活性を有することを示している。例えば、プラスミドpRL453及びクロラムフェニコール耐性(Cm)カセット由来のストレプトマイシン/スペクチノマイシンアデニリルトランスフェラーゼ遺伝子は、Thermosynechococcus elongatus BP−1(Iwaiら、2004)において効率的に発現することが見出された。Anacystis nidulans R2フェレドキシンI遺伝子(petF1)のプロモータは、単離され、以下の配列を有している(ATG開始コドンの120ヌクレオチド上流から、5’から3’方向に読む。当該プロモータの−35及び−10領域、並びに転写開始部位を、下線で示す)(Reithら、1986)。
【化1】

この特定のプロモータにおいて、−10のボックスはE.coliの共通配列と類似しているが、−35のボックスは異なる。このプロモータと、関連するpetF1リボソーム結合部位及び開始コドンとを、非相同的遺伝子であるBacillus thuringiensis cryIVB遺伝子と融合し、融合コンストラクトを用いて形質転換されるSynechococcus sp.株PCC7942細胞において、この遺伝子の発現を駆動するために用いた(Soltes−Rakら、1993)。同様に、rbcLSプロモータは、Anacystis nidulans 6301において、リボース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼオペロンの発現を支配し、シアノバクテリア宿主であるSynechococcus sp.株PCC7942において、Zymomonas mobilis由来のピルビン酸デカルボキシラーゼ及びアルコール脱水素酵素II型遺伝子を発現するために用いた。(Deng及びColeman、1999)シアノバクテリアの発現において効果的な多数の他のプロモータは、公知である。ヒト炭酸脱水酵素II(HCAII)は、E.coli由来のハイブリッドtacプロモータ及びlacIリプレッサの制御下において、Synechococcus PCC 7942で発現し、誘導物質であるイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を外因的に添加することにより、HCAII発現レベルを調節することができる(Price及びBadger、1989)。さらにまた、Zymomonas mobilis由来のピルビン酸デカルボキシラーゼ及びアルコール脱水素酵素II型遺伝子は、cI857温度感受性リプレッサの制御下において、lambdaphage cI Pプロモータを用い、Synechococcus PCC 7942の温度により誘導可能な制御下で発現した。
【0043】
本発明は、このように、一態様において、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、イソプレン合成酵素遺伝子は、ポプライソプレン合成酵素遺伝子である。本発明のイソプレン合成酵素の核酸の相同体及び対立遺伝子は、従来の技術によって識別できることを考慮すべきである。したがって、本発明の態様は、イソプレン合成酵素をコードする核酸配列である。
【0044】
一般に、相同体及び対立遺伝子は、通常は、イソプレン合成酵素及びポリペプチドの核酸配列に対して、少なくとも75%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも90%のアミノ酸同一性を、それぞれ共有し、いくつかの例においては、少なくとも90%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも95%のアミノ酸同一性を共有し、さらに他の例においては、少なくとも95%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも99%のアミノ酸同一性を共有する。相同性は、NCBI(米国メリーランド州のベセズダ)によって開発され、一般公開されている様々なソフトウェアツールを使用して算出でき、これらはNCBIインターネットサイトから得ることができる。例示的ツールとしては、NCBIインターネットサイトで同様に利用可能なBLASTソフトウェアが挙げられる。1対1及びClustalW整列(BLOSUM30マトリクス設定)並びにKyte−Doolittleハイドロパシー分析は、MacVector(登録商標)配列解析ソフトウェア(オックスフォードモレキュラグループ)を使用して得ることができる。前述の核酸のワトソン・クリック相補性も、本発明に包含される。
【0045】
本発明は、天然材料に存在するものに対する代替コドンを含む、変性した核酸も含む。例えば、セリン残基は、TCA、AGT、TCC、TCG、TCT及びAGCというコドンによってコードされる。6つのコドンのそれぞれは、セリン残基をコードする目的に対して等価である。したがって、セリンをコードするヌクレオチドトリプレットが、いずれも、伸長イソプレン合成酵素にセリンを組み込むよう、生体外又は生体内で、タンパク合成装置に指示するために使用できることは、当業者であれば明らかである。同様に、他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列トリプレットとしては、以下が挙げられるが、限定されない。CCA、CCC、CCG及びCCT(プロリン・コドン);CGA、CGC、CGG、CGT、AGA及びAGG(アルギニン・コドン);ACA、ACC、ACG及びACT(トレオニン・コドン);AAC及びAAT(アスパラギン・コドン);ATA、ATC及びATT(イソロイシン・コドン)。他のアミノ酸残基は、同様に複数のヌクレオチド配列によってコードできる。このように、本発明は、遺伝コードの変性によって、生物学的に単離された核酸とはコドン配列において異なる、変性された核酸を包含する。
【0046】
本発明は、一以上のヌクレオチドの追加、置換及び欠失を含む、組み換え核酸分子も提供する。いくつかの実施形態において、それらがコードする、これらの組み換え核酸分子及び/又はポリペプチドは、抗原性、酵素活性、錯体形成等の、組み換えのない核酸分子及び/又はポリペプチドの少なくとも一つの活性又は機能を保持する。ある実施形態において、組み換え核酸分子は、本願明細書において別途記載のように、組み換えポリペプチド、好適には保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする。組み換え核酸分子は、組み換えのない核酸分子に構造的に関連し、好適な実施形態においては、組み換えのない核酸分子に十分に構造的に関連するので、組み換えられた及び組み換えのない核酸分子は、当業者に公知の厳密な条件下においてハイブリダイズする。
【0047】
本願明細書に用いる「厳密な条件」という用語は、当業者によく知られているパラメータを指す。核酸ハイブリダイゼーションのパラメータは、当該方法を蓄積する、例えば“Molecular Cloning”、研究所マニュアル、J.Sambrookら編集、第2版、コールドスプリングハーバー研究所出版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、1989年、又は“Current Protocols in Molecular Biology”、F.M.Ausubelら編集、ジョン・ワイリー社、ニューヨーク等の参考文献に見出すことができる。より具体的には、本願明細書に用いる厳しい条件とは、例えば、ハイブリダイゼーションバッファ(3.5xSSC、0.02%フィコール(登録商標)、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、2.5mM NaHPO(pH7)0.5%SDS、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションを指す。SSCは、0.15M塩化ナトリウム/0.15Mクエン酸ナトリウム(pH7)であり、SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり、EDTAは、エチレンジアミン4酢酸である。ハイブリダイゼーション後、DNAが転写された膜は、例えば、室温中、2xSSC、次いで68℃以下の温度で0.1〜0.5xSSC/0.1xSDSで洗浄される。
【0048】
他の条件、試薬等を用いることも可能であり、同様の厳密さが得られる。熟練者であれば、このような条件に精通しているため、本願明細書には示さない。しかしながら、熟練者であれば、本発明のイソプレン合成酵素核酸の相同体及び対立遺伝子を明確に識別できる様式で、これらの条件を操作できる(例えば、厳密さがより低い条件を用いて)ことを理解されたい。熟練者は、細胞をスクリーニングするための方法論、及びルーチン的に単離されるこれらの分子の発現と、これに続く関連核酸分子の単離と塩基配列決定のためのライブラリにも精通している。
【0049】
例えば、単一のアミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする組み換え核酸分子を、調製することができる。本願明細書に記載のように、これらの核酸分子のそれぞれは、遺伝コードの変性に対応するヌクレオチド変化を除き、1個、2個又は3個のヌクレオチド置換を有することができる。同様に、2個のアミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする、例えば2〜6個のヌクレオチド変化を有する組み換え核酸分子を、調製することができる。これらのような多数の組み換え核酸分子は、例えば、アミノ酸2及び3、2及び4、2及び5、2及び6をコードするコドンにおけるヌクレオチドの置換等を含み、当業者であれば直ちに想定されるものである。前述の例において、2個のアミノ酸の組み合わせは、それぞれ、組み換え核酸分子の組、並びにアミノ酸置換をコードする全てのヌクレオチド置換に含まれる。追加的な置換(例えば、3以上)、追加又は欠損(例えば、停止コドン又はスプライス部位の導入により)を有するポリペプチドをコードする、追加の核酸分子も、当業者であれば直ちに想定されるように、本発明により調製でき、包含することが可能である。前述の核酸又はポリペプチドは、いずれも、本願明細書に開示の核酸及び/又はポリペプチドに対する構造的関連性又は活性の保持についてのルーチン試験により、試験できる。
【0050】
いくつかの実施形態において、核酸に対して行われる組み換え又は突然変異は、コードされたポリペプチドのアミノ酸配列を変更しない。いくつかの実施形態において、核酸に対して行われる組み換え又は突然変異は、コードされたポリペプチドのアミノ酸配列を変更するが、コードされたポリペプチドの活性(例えば、機能的又は生理的活性)を変更しない。
【0051】
本発明は、本願明細書に記載のイソプレン合成酵素ポリペプチドの変異体を包含する。本願明細書に使用のように、イソプレン合成酵素ポリペプチドの「変異体」は、イソプレン合成酵素の主要なアミノ酸配列に対する一以上の組み換えを含むポリペプチドである。イソプレン合成酵素変異体を作成する組み換えは、発現系におけるタンパクの安定性又はタンパクとタンパクとの結合の安定性等のイソプレン合成酵素ポリペプチドの特性を強化するために、イソプレン合成酵素ポリペプチドに対して行うことができる。イソプレン合成酵素ポリペプチドに対する組み換えは、通常は、イソプレン合成酵素ポリペプチドをコードする核酸に対して行われ、欠失、ポイントミューテーション、トランケーション、アミノ酸置換及びアミノ酸又は非アミノ酸部分の追加を含むことができる。あるいは、組み換えは、切断、リンカ分子の追加、ビオチン等の検出可能部分の追加、脂肪酸の追加等によって、ポリペプチドに直接的に行うことができる。組み換えは、イソプレン合成酵素のアミノ酸配列の全体又は一部を含む、融合タンパクも包含する。当業者であれば、タンパク配列内変化のタンパクのコンホメーション作用を予測する方法に精通しているので、公知の方法にしたがって、変異体イソプレン合成酵素ポリペプチドを「設計」することができる。このような方法の一例は、Dahiyat及びMayo、Science、第278巻、82−87ページ、1997年に記載され、タンパクは新規に設計可能である。この方法は、公知のタンパクに適用でき、ポリペプチド配列の一部のみを変化させる。Dahiyat及びMayoの計算方法を適用することにより、イソプレン合成酵素ポリペプチドの特定の変異体を提案し、該変異体が所望の形態を保持するかどうかを決定するよう試験を行うことができる。
【0052】
一般的に、変異体は、その所望の生理的活性とは無関係なポリペプチドの特徴を変更するよう、特異的に組み換えられるイソプレン合成酵素ポリペプチドを含む。例えば、システイン残基は、不要なジスルフィド結合を防ぐために、置換又は欠失することができる。同様に、あるアミノ酸は、発現系におけるプロテアーゼによるタンパク分解(例えば、KEX2プロテアーゼ活性の存在する酵母発現系における二塩基性アミノ酸残基)を除くことにより、イソプレン合成酵素ポリペプチドの発現を強化するよう変化させることができる。
【0053】
イソプレン合成酵素ポリペプチドをコードする核酸の突然変異は、好適には、コード配列のアミノ酸読み取り枠を保存し、好適には、ハイブリダイズして、変異体ポリペプチドの発現に有害となりうるヘアピン又はループ等の2次構造を形成すると思われる核酸中の領域を生成しない。
【0054】
突然変異は、アミノ酸置換を選択することによって、又はポリペプチドをコードする核酸における選択部位のランダムな突然変異誘発によって、行うことができる。次いで、変異体ポリペプチドは、発現され、いずれの突然変異が変異体ポリペプチドに所望の特性をもたらすかを決定確定するために、一以上の活性について試験される。さらなる突然変異は、ポリペプチドのアミノ酸配列に関しては無変化であるが、特定の宿主における翻訳について好適なコドンを提供する変異体に対して(又は変異体ではないイソプレン合成酵素ポリペプチドに対して)行うことができる。また他の突然変異は、イソプレン合成酵素遺伝子又はcDNAクローンの非コード配列に対して、ポリペプチドの発現を強化するために行うことができる。イソプレン合成酵素ポリペプチドの変異体の活性は、本願明細書に開示のように、適切な発現ベクターに変異体イソプレン合成酵素ポリペプチドをコードする遺伝子をクローニングすることと、該ベクターを適切な宿主細胞に導入することと、変異体イソプレン合成酵素ポリペプチドを発現することと、イソプレン合成酵素ポリペプチドの機能的な能力について試験することと、によって試験できる。当業者に公知のように、変異体ポリペプチドの調製が異なれば、他の活性試験が好まれる場合がある。
【0055】
熟練者であれば、保存的アミノ酸置換は、前述のポリペプチドの機能的に等価な変異体を提供するためにイソプレン合成酵素ポリペプチドにおいて行われてもよい、すなわち、この変異体は、イソプレン合成酵素ポリペプチドの機能的能力を保持することも理解する。本願明細書において用いる「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸置換が行われるタンパクの相対的な電荷又はサイズの特徴を変更しない、アミノ酸置換を指す。変異体は、当業者に公知のポリペプチド配列を変更する方法にしたがって調製でき、そのような方法を累積する、例えば“Molecular Clonin”、研究所マニュアル、J.Sambrookら編集、第2版、コールドスプリングハーバー研究所出版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、1989年、又は“Current Protocols in Molecular Biology”、F.M.Ausubelら編集、ジョン・ワイリー社、ニューヨーク等の参考文献に見出すことができる。イソプレン合成酵素ポリペプチドの機能的に等価な例示的変異体としては、本願明細書に開示のタンパクのアミノ酸配列における、保存的アミノ酸置換が挙げられる。アミノ酸の保存的置換は、以下の官能基内でアミノ酸の間に行われる置換を含む:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;及び(g)E、D。
【0056】
一般的に、変異体ポリペプチドを調製するときに、アミノ酸の全てよりも少数が変化することが好ましい。特定のアミノ酸残基が機能を与えることが知られている場合には、そのようなアミノ酸は置換されないか、あるいは、保存的アミノ酸置換によっては置き換えられない。好適には、変異体ポリペプチドを調製するときに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等を変化させる。通常、最小数の置換が行われることが好ましい。このように、生成変異体ポリペプチド生成の一つの方法は、特定のアミノ酸に対して全ての他のアミノ酸を置き換え、次いで変異体の活性を検定し、次いで最良の活性を有する一以上のポリペプチドを用いて処理を繰り返すことである。
【0057】
イソプレン合成酵素ポリペプチドと機能的に等価な変異体を生産するための、イソプレン合成酵素ポリペプチドのアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、通常、イソプレン合成酵素ポリペプチドをコードする核酸の変更によって行われる。このような置換は、当業者に公知の様々な方法によって行うことができる。例えば、アミノ酸置換は、キュンケルの方法(Kunkel、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.、第82巻、488−492ページ、1985年)にしたがって部位特異的突然変異により、又はイソプレン合成酵素ポリペプチドをコードする遺伝子の化学合成により、行うことができる。いくつかの実施形態において、置換は、直接的にペプチドを合成することによって行うことができる。イソプレン合成酵素ポリペプチドの機能的に等価な断片の活動は、本願明細書に開示のように、変更したイソプレン合成酵素ポリペプチドをコードする遺伝子を適切な発現ベクターにクローニングすることと、該ベクターを適切な宿主細胞に導入することと、変更したイソプレン合成酵素ポリペプチドを発現することと、イソプレン合成酵素ポリペプチドの機能的な能力について試験することと、によって試験できる。化学合成されるペプチドは、例えば、イソプレン合成酵素機能等の機能について、直接的に試験することができる。
【0058】
本発明の態様は、遺伝子改変光合成微生物由来のイソプレン生産を増加することを目的とする、最適化戦略を取り入れる。本願明細書で用いるイソプレン生産の増加とは、一以上の最適化戦略以前の遺伝子改変光合成微生物から生産されるイソプレンの量と比較して、より多量のイソプレンが、一以上の最適化戦略の後に遺伝子改変光合成微生物から生産されることを指す。
【0059】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアのイソプレン生産は、イソプレン合成酵素の発現レベルを変更することにより、及びイソプレン合成酵素の発現に対する制御の実施を通じて、増加することになる。シアノバクテリアにおける動作が示されてきた数多くのプロモータ及びリボソーム結合部位の多く、例えば、(E.coliにおいて比較的強力な)tacIIプロモータ、(E.coliにおいて比較的弱い)lacプロモータ、関連するリボソーム結合部位とlacオペレータ配列との組み合わせ(de Boerら、1983;Siebenlistら、1980)が試されことになる。共発現されるlacリプレッサが存在しない場合、これらの二つのプロモータは、生産される生成物(イソプレン)の量及びバイオリアクタ中のパフォーマンスに関して、定量化及び比較が可能な二つの異なるレベルで、この酵素を恒常的に発現するはずである。恒常的プロモータの制御下において共発現可能なlacIリプレッサのコンストラクトへの追加は、非代謝性の誘導物質であるイソプロピルβ−D−チオ・ガラクトシド(IPTG)を培地中で濃縮することにより、発現レベルの調節を可能とする。これにより、生産性及びバイオリアクタのパフォーマンスにおける効果に関して、イソプレン合成酵素の可能なレベル変化を調査できる。これにより、調節可能なイソプレン合成酵素の発現が所望のものであるか、不要であるかに関する決定も行うことになる。不要であれば、発現の最適レベルが決定されるときには、そのレベルと競合する「不変な」恒常的発現コンストラクトは、プロモータ配列、リボソーム結合部位シーケンス、リボソーム結合部位間の間隔及び開始コドン等を変化させることにより、実験的に生成できる。lacIを含む実験は、lacリプレッサが折り畳まれ、活性のあった温度で行われなければならないことに注意されたい。野生型のlacリプレッサは、50℃まで安定であり、必要であれば、lacリプレッサの熱安定型突然変異体も使用できる(Bellら、2001;Gerkら、2000)。
【0060】
イソプレン合成酵素発現の最適化に対する組み換え可能遺伝子発現において、さらなるステップは、転写の終了である。ステムループ構造をコードする配列は、潜在的な転写ターミネータの性質を有し、アナベナ及びSynechococcus由来のものを含む、いくつかのシアノバクテリア遺伝子の停止コドンに後続することも見出されている(Li及びTabita、1994;Plansangkateら、2004)。
【0061】
別の実施形態において、シアノバクテリアの発現の最適化は、シアノバクテリアの翻訳開始の最適化に関する。シアノバクテリアは、グラム陰性生物体であって、E.coli.と類似の開始部位を有する傾向がある。シアノバクテリアのmRNAは、プリンリッチなリボソーム結合部位を有することが見出され(シャイン・ダルガノ配列)、様々なヌクレオチドが基準開始コドンの上流にある。例えば、Anacystis nidulans R2のフェレドキシン遺伝子に対しては、メチオニン開始コドンの7ヌクレオチド上流に、GAGGAが見出される(Reithら、1986)。また、A.nidulansのフラボドキシンのメッセージにおいて、GGAAGが、AUG開始コドンの9ヌクレオチド上流に、GAGGAが見出される(Laudenbachら、1988)。他の例は、ジェンバンク(Genbank)(www.ncbi.nlm.nih.gov)のシアノバクテリア・ゲノム配列で見出すことができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアにおけるイソプレン生産は、イソプレン合成酵素のタンパク工学により増加する。イソプレン合成酵素の3次元ホモロジーモデルは、5−エピ−アリストロチェン合成酵素及びボルニル2リン酸合成酵素等の、相同的なテルペンシクラーゼの、実験的に決定された3次元構造との比較により、構築できる(Starksら、1997;Whittingtonら、2002)。同時に、X線結晶学又はNMR分光法により、基質又は基質類似物の結合のある場合とない場合の両方について、ポプライソプレン合成酵素の実際の3次元構造を実験的に決定する努力が、開始された。ポプライソプレン合成酵素は、至適活性温度が50℃であり、すでに極めて熱安定的である(Monsonら、1992)。しかしながら、さらなる温度安定化が望ましい場合には、構造に準拠した突然変異誘発を用いることができ、例えば、αへリックス中グリシンをアラニンに置換することは、通常、突然変異あたり1kcalを超える安定化自由エネルギーに寄与する。さらなる安定化が必要であれば、試験管内進化を含む、コンビナトリアルな突然変異の戦略が用いられることになる(Martinら、2001;Maxら、2007)。イソプレン合成酵素の特定の活性及び特異性を改良するために、基質結合を有する酵素の3次元モデル(又は、上述の実験的構造)が生成される。遷移状態の錯体に結合する酵素モデルも、有用である。これらのモデルに基づき、基質又は遷移状態との相互作用が予測される活性部位領域内の残基において、一連の部位特異的アミノ酸置換の突然変異が生成され、これらの変異体についてのkcat及びK値が測定され、それぞれの野生型の値と比較される。これらの結果に基づき、さらなる単一部位突然変異、並びに最良の単一部位突然変異の全ての可能な組み合わせが生成され(Bantaら、2002)、試験される。この選別から出現する改良された突然変異体は、バイオリアクタ培養下での組み換えシアノバクテリア宿主におけるイソプレン生産の強化について、試験される。これらの生体内試験は、宿主生物体に対して有害な改変酵素の特性変化も、全て明らかにする。
【0063】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアのイソプレン生産は、律速であるイソプレニル2リン酸塩又はジメチルアリル2リン酸塩合成の上流にある酵素の過剰発現及び/又は内因性活性(Kcat/K)の強化によって増加する。イソプレン合成酵素の基質であるIPP及びDMAPPは、シアノバクテリアの2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸経路により生成されることが知られている(Okada及びHase、2005)。この経路における酵素ステップの多くは、公知であり、その構成要素はクローニング及び過剰発現することができる(Millerら、2001;Hoefflerら、2002;Hunterら、2003;Okada及びHase(2005))。
【0064】
原理的には、組み換え宿主生物体の当該経路を介する炭素フラックスは、速度を制約するステップを特定し、次いでこの特定のステップに含まれる酵素(及び、必要であれば補助因子)を、特定の活性(上述)の増強のために過剰発現すること又は改変することにより、増加させることが可能である。例えば、E.coliのイソプレン生産は、1−デオキシ・キシルロース5−リン酸合成酵素遺伝子を過剰発現させることによって強化されることが示され、これは、S.leopoliensisのジメチルアリル2リン酸塩合成の「上流」である(Millerら、2000;Millerら、2001)。同様に、細胞のイソペンテニル2リン酸イソメラーゼ活性を、一以上の活性酵素を過剰発現すること又は改変することのいずれかにより増加させることにより、細胞内のイソペンテニル2リン酸及びジメチルアリル2リン酸貯蔵の容易な平衡化及び釣り合いを促進することが可能であり(Barkleyら、2004)、又はイソプレン合成酵素が触媒する反応の、イソプレンに伴う生成物である無機ピロリン酸塩を分解することにより、この過程を「引き上げる」目的で無機ピロホスファターゼを過剰発現することが可能である。
【0065】
一つのボトルネックが取り除かれ、ある経路の代謝速度が増加するときには、その経路中に新たな律速ステップが現れるため、通常、これは反復的な方法である。イソプレン生産性シアノバクテリア生物体の新規な組み換えのそれぞれから生じる代謝炭素フラックスの変化は、13COの存在中で細胞を培養し、2次元核磁気共鳴分光法による細胞内容物の分析を通じ、炭素含有代謝物レベルを定量的にモニタすることによって評価できる(Emmerlingら、2002)。次いで、例えば、特異的活性を増加するための、構成要素の過剰発現及び/又はタンパク工学等、最初のボトルネックに対処するために用いたものと同様の手段により、新規なボトルネックからの解放を探求できる。続くいずれのボトルネックも、外在する要因(例えば、拡散支配される細胞内へのCOの質量移動、光の利用可能性)によって制約されたこの経路を介する炭素フラックスが最大化となるまで、同様の様式で攻略することが可能である。形質転換される宿主のシアノバクテリア生物体において、選択された遺伝子の過剰発現は、マルチコピープラスミド上での遺伝子クローニング、宿主の染色体への統合を介する遺伝子の追加的コピー又は複数コピーの挿入、上方制御を目的とした宿主の染色体の天然存在遺伝子に隣接するシス作用制御エレメント(例えば、プロモータ)の挿入、及び他の同様の戦略、という多くの手段によって達成できることに注意されたい。
【0066】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアのイソプレン生産は、ランダムな突然変異誘発(トランスポゾン又はトランスポゾン様の挿入を用いて、又は標準的な変異原を用いて)及び生物体による生産の改良のためのスクリーニングによって増加する。イソプレンの生産は、内在的な宿主の要因によって宿主生物体の特定の代謝経路が抑制されることにより、いくつかの条件下で制限される場合もある。これらの場合、サプレッサとして作用している宿主の要因又は配列を「不活性化」又は下方制御することは、イソプレンへの経路を通じて炭素フラックスを増加させると考えられる。このようなサプレッサが公知である場合には、二重組み換えによる抗生物質耐性カセットの挿入を介した遺伝子破壊を用いて、ヌル変異体を生成することが直接的である(Iwaiら、2004)。遺伝子活性の完全なノックアウトが、例えば致死性のために望ましくない場合には、抑制活性の「不活性化」は、遺伝子を下方制御することのできるシス作用制御エレメントを挿入することによって探求できる。しかしながら、多くの場合、生産性を抑制する宿主生物体の遺伝子の同一性は、直ちに明らかでないが、それでもなお、ランダムな突然変異誘発及びスクリーニングを介して、このような遺伝子の活性を変更することは可能である。このような活性、すなわち化学的な変異原による飽和突然変異誘発の後に、何万もの細菌コロニーのスクリーニングが望まれる場合がある活性に対する生命線は、規模縮小され、高度に並列化が可能な検定法である。ランダムな突然変異誘発を実行するための適切な変異原は、ニトロソグアニジン及び紫外線である。トランスポゾン挿入を介するランダムな突然変異誘発も、実行できる(Tolonenら、2006;Zhangら、2004)。突然変異誘発されたコロニーは、適切な培地を少量含む96穴(又は48若しくは24穴)の深いウェルのマイクロタイタープレートに入れられ、プレートはガス透過膜で覆われ、細胞が飽和に達するまで、プレートは照明下で振とうしながらインキュベートされる。次いで、イソプレン合成酵素の誘導(必要に応じて)後に、プレートはガス不透膜でシールされ、インキュベーションが継続され、各ミクロ培養液から放出されるガス状イソプレンは、培養液上方の上部空間に蓄積することができる。次いで、ガスクロマトグラフィ/質量分析機器に適合するオートサンプラにより、各ミクロ培養液からのイソプレンを集め、定量化できる。再度のストリークによるクローン精製後のイソプレン生産の増加が表れる変異体クローンのミクロ培養は、振とうフラスコ及びバイオリアクタ(3−10L)スケールでの改良イソプレン生産表現型の再現性を確認する。化学的な突然変異誘発の場合には、検証された高生産性の菌株は、完全なゲノムの塩基配列の再決定が行われ、この配列は、突然変異誘発部位を確認するために野生型ゲノムのものと比較される。突然変異誘発の複数の部位が単独の菌株に見られる場合には、これらは、突然変異した遺伝子を生体外で精製し、「ノックイン」法によって野生型の染色体に導入することにより、単独に特徴分析することができる(すなわち、野生型の遺伝子を対照として)。トランスポゾンによる突然変異誘発の場合には、ゲノムの突然変異部位は、「逆PCR」を用いて塩基配列決定のための識別及び分離を行うことができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアのイソプレン生産は、同一又は関連生物体由来のゲノム断片のショットガンクローニングに続いて、変異における過剰発現要因によって追加又は強化が可能な不明経路を識別することを目的とする、生産に対する改良生物体のスクリーニングによって増加する。イソプレン生産を刺激するよう変異において作用する律速因子は、同一の生物体(多くの遺伝子コピー数が望ましい場合)、又は関連性はあるが潜在的にはより有効な遺伝子が存在するかもしれない他の菌種(特に、シアノバクテリアの)等の他の生物体のいずれかから、ショットガンクローニングによって、イソプレン生産性生物体のゲノム配列に供給(及び識別)することができる。唯一の必要条件は、ゲノム配列が宿主生物体において発現できるという状況で供給されなければならないということであり、これは、内在性の制御配列(例えば、プロモータ)により、又は必要であればクローニングベクター上に供給される発現制御配列により、多くの場合で満足できる。イソプレン生産のためのクローンのスクリーニングは、上述と同一のランダムに突然変異させたクローンをスクリーニングするための、マイクロタイタープレートアッセイを用いて、同様の様式で実行される。振とうフラスコ及びバイオリアクタスケールでのイソプレン生産において増加が実証されたクローンは、挿入されたゲノム断片をPCRにより増幅するための側方ベクター配列を用いた後に、DNA塩基配列決定により、特徴分析される。
【0068】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアのイソプレン生産は、単一の生物体に突然変異を組み込むことによって増加する。2以上の新しい突然変異、新規遺伝子の挿入。又は他の遺伝子組み換えが、再現性を有して生物体の生産性の強化を示すときには、これらの組み換えの全ての可能な組み合わせが試験される。それぞれの場合における実際の遺伝子組み換えは、DNA塩基配列決定により特徴分析されたと仮定し、標準的な分子遺伝子操作を用いて、複数の独立した「上方」突然変異を単一のゲノムに改変することが可能である。次いで、このような二重の突然変異、三重の突然変異等が行われたそれぞれの生物体は、それぞれの独立した遺伝子組み換えの相加性、相乗効果、又は拮抗作用について、他のそれぞれとの関連において試験することができる。ビルディングブロックとしての相加性又は相乗効果が表れる遺伝子組み換えを用い、これらを組み合わせることにより、さらに生産性を強化したイソプレン生産性生物体を生成できる。
【0069】
本発明の態様は、シアノバクテリアを培養することに関する。特徴分析された全てのシアノバクテリア種は、少なくとも研究所スケールでうまく培養されてきた。これらの多くは、BG−11(ATCC培地616)等の「ラン藻(blue green algae)」用標準培地上で成長する。多くの専用培地も開発されている。このように、シアノバクテリアは、次のような標準又は専用培地中で培養できるが、限定されない。Aiba−Ogawa(AO)培地、硝酸塩添加Allen−Arnon培地:ATCC培地1142、Antiaの(ANT)培地、Aquil培地、Ashbeyの窒素フリー寒天培地、ASN−III培地、ASP2培地、ASW培地:人工海水及び派生物、ATCC培地617:海洋性ラン藻用BG−11;組み換えATCC培地616[BG−11培地]、ATCC培地819:ラン藻用窒素固定培地;NO3非含有ATCC培地616[BG−11培地]、ATCC培地854:ビタミンB12含有ATCC培地616[BG−11培地]、ATCC培地1047:ビタミンB12含有ATCC培地957[MN海洋性培地]、ATCC培地1077:窒素固定海洋性培地;NO3非含有ATCC培地957[MN海洋性培地]、ATCC培地1234:BG−11ウラシル培地;ウラシル含有ATCC培地616[BG−11培地]、Beggiatoa培地:ATCC培地138、Beggiatoa培地2:ATCC培地1193、ラン藻用BG−11培地:ATCC培地616、ラン藻(BG)培地、BoldのBasal(BB)培地、CastenholtzD培地、修正CastenholtzD培地:好塩性シアノバクテリア、CastenholtzDG培地、CastenholtzDGN培地、CastenholtzND培地、ChloroflexusBroth、Chloroflexus培地:ATCC培地920、Chuの#10培地:ATCC培地341、Chuの修正#10培地、Chuの修正#11培地、DCM培地、DYIV培地、E27培地、E31培地及び派生物、f/2培地、f/2培地派生物、Fraquil培地:淡水微量金属緩衝培地、ラン藻用Gorhamの培地:ATCC培地625、h/2培地、Jaworskiの(JM)培地、K培地、L1培地及び派生物(MN海洋性培地):ATCC培地957、Plymouth Erdschreiber(PE)培地、ProchlorococcusPC培地、ProteosePeptone(PP)培地、Prov培地、Prov培地派生物、ビタミン添加S77培地、ビタミン添加S88培地、塩水栄養寒天(SNA)培地及び派生物、SES培地、SN培地、修正SN培地、SNAX培地、土壌/水2相(S/W)培地及び派生物、スピルリナ用SOT培地:ATCC培地1679、スピルリナ(SP)培地、van Rijn及びCohen(RC)培地、Walsbyの培地、Yopp培地、Z8培地(http://www−cyanosite.bio.purdue.edu/media/table/media.html、(Castenholz、1998))。シアノバクテリアの培養は、標準方法にしたがって実行され、当業者に公知である(Rogers及びGallon、1988;Burlew、1961;Round、1965)。微生物は、遺伝子改変した光合成微生物であるため、これらの条件は十分な光を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアのイソプレン生産は、シアノバクテリアバイオリアクタで培養するプロトコルを改良することにより、増加する。所与の菌株及び所与の条件セットに対して再現性のあるイソプレン生産を行う、標準化プロトコルは、重要である。一般的に、新しい菌株ごとに記録保管用バイアルロットが生成され、番号付け及び日付記録が行われ、液体窒素中−80℃で格納される。再現性について、その菌株での新規な実験培養は、それぞれ、新規なバイアルロットの解凍と、これを使用して培養液に蒔くこととによって開始される。標準的な培地及び条件(例えば、Burlew、1961)は、培養液を最適化するための出発点として利用される。組み換え生物体成長の最適プロトコルを確立する目的で、生産相に先立ち、培養条件が調査される。所与のバイオリアクタ構成に対して独立して変化させて最適化されるいくつかの培養条件としては、以下が挙げられる。照明光の波長対強度スペクトル;pH;温度;微量金属;複合的な窒素源(例えば、イースト抽出物)を有する培地サプリメント;溶存CO濃度(Frick及びJunker(1999)を参照、発酵ブロス溶存COに関する問題の説明がある);溶存O濃度;溶存N濃度;インペラ設計及び振とう速度(注:エアリフト機構による振とうを含む);消泡剤の存在;有機共溶媒の存在(Daugulis、2001);栄養限定状態での最終的な光学濃度;その他。最適化は、時間の関数又は培養液の最適濃度の関数として、これらの変数のいずれか又は全てを変化させることも含むことができる。イソプレンの出力を最大にする目的で、生産相の間に付加的な最適化を実行する必要のある場合がある。これは、特に、イソプレン合成酵素のための誘導可能な発現系、及び/又はイソプレン合成酵素基質を合成する代謝経路の他の遺伝子の場合に正しく、最適な導入後(生産相)の細胞培養プロトコルは、最適な誘導前(成長相)プロトコルとは大きく異なる場合がある。同様に、新しい組み換え菌株の試験、又はバイオリアクタのスケール若しくはジオメトリが変わるときには、いつも、全てのプロトコルは、再び最適化を要する場合がある。
【0071】
本発明の態様は、代謝改変された光合成微生物からイソプレンを集めることに関する。光合成生物体は、発酵槽で培養することができる。34℃を超える細菌培養において、イソプレンは、ガス状である。したがって、イソプレンは、単純な濃縮により、発酵のオフガス中で集めることができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、シアノバクテリアのイソプレン生産は、回収プロトコルの改良によって増加する。細菌培養によって生産される揮発性有機化合物は、ガス状の化合物を再び液化する冷却濃縮装置を用いて、培養のオフガスから回収することができる(Millerら、2000;Newmanら、2006)。オフガス中で蒸発した水も、この手順によりトラップされる。所望であれば、多少揮発的な構成要素の中に濃縮物を分別する目的で、一連の濃縮器又は冷却トラップは、温度を低下させるように設定することができる(Newmanら、2006)。このような濃縮器の設計、動作温度及び数は、実験的に確立することができる。しかしながら、分別なしでも、イソプレンは、比較的非混合性であり、低密度であり、二相の凝縮物の上相から比較的純粋なイソプレンを回収することが可能であるため、共に凝縮した水から容易に分離することができる。あるいは、バイオリアクタ自体において、n−ドデカン等の非混合性の有機系共溶媒は、所望であれば非水相に、イソプレンをトラップするために添加することができ、ここから後に分離することができる(Daugulis、2001;Janikowskiら、2002;Newmanら、2006)。
【0073】
本発明は、以下の実施例により示されるが、いかなるやり方においても制限する意図はない。
【実施例】
【0074】
実施例1:イソプレン合成酵素(v2.2)のための遺伝子合成
イソプレン合成酵素のためのcDNAクローンは、ポプラからクローニングした(Millerら、2001)。E.coliにおける当該外来遺伝子の発現、及び組み換え生物体からのイソプレンの生産も、説明が行われている(Millerら、2001)。イソプレン合成酵素が属する酵素クラスであるテルペンシクラーゼは、比較的よく研究されており(相同体5−エピ−アリストロチェン合成酵素(Starksら、1997)及びボルニル2リン酸合成酵素(Whittingtonら、2002)の3次元構造決定を含む)、酵素の最適化を目的とする将来のタンパク工学実験の非常な助力となるはずである。
【0075】
イソプレン合成酵素をコードする遺伝子は、ポプラの配列をガイドとして使用し、(a)シーケンスを組み換えすることを総合したT.elongatusにおける発現のための至適コドンを提供し、(b)ある制限部位を除去又は挿入し(例えば、T.elongatus制限酵素系により認識される部位(Iwaiら、2004)又は分子生物学操作に必要な部位)、及び/又はイソプレン合成酵素タンパク自体の物理的性質(例えば、より高い熱安定性の提供)を有利に変更するためにアミノ酸配列を変異させる。
【0076】
実施例2:イソプレン合成酵素を発現させるためのThermosynechococcus elongatus BP−1の改変。
Thermosynechococcus elongatus BP−1は、イソプレン合成酵素の発現を評価するための、特に良好なシアノバクテリア菌株である。この微生物の光合成機構には大規模な特徴分析が行われ(Rutherford及びBoussac、2004)、そのゲノムの完全なDNA配列の決定及びアノテーションが行われてきた(中村ら、2002)。さらに、エレクトロポレーションを介したプラスミドによる形質転換及び外来遺伝子の発現が示されてきた(Iwaiら、2004)。このように、T.elongatus.を用いる代謝組み換えに対して、全ての基本ツールが存在する。最終的な効果として、T.elongatusは、イソプレンの沸点よりも20℃上の、55℃の至適成長温度を有し、生きている細胞からのイソプレン揮発の反応速度が極めて有利であり、反応を進行方向に「引く」ことを意味する。
【0077】
合成イソプレン合成酵素遺伝子は、T.elongatusにおいて転写活性を有するプロモータの後方でベクターに挿入され、このようなベクターは、T.elongatusのポジティブな形質転換体を選択することもできる(Iwaiら、2004)。
【0078】
実施例3:試験培養
微量金属を含有するが炭素源のない(COを除き)最少培地における組み換え菌株の試験培養を、次の三つの基準にしたがって実施し、二酸化炭素からのイソプレンの光合成生産を確立した。(i)オフガスとしてのイソプレン検出量が、非組み換え対照細胞からのオフガス中に見出されるものよりも顕著に高いこと、(ii)イソプレン合成の光誘導性及び光依存性の実証、及び(iii)13COが存在する組み換え生物体の培養によりイソプレンが同位体標識できることの実証。
【0079】
実施例4:シアノバクテリアのイソプレン合成酵素(v2.2.1)の合成と発現、及び培養液由来のイソプレンの検出
簡潔には、合成イソプレン合成酵素遺伝子は、PstI/KpnI断片(図6)としてベクターpUC57中にクローニングして構築した。特定の制限酵素部位を除去するための、及びレアコドン(T.elongatus BP−1コドンの使用を基礎とする)をより一般的なもの、並びに他の塩基変化に置き換えるための、ポプラ酵素コード配列について選択した変更箇所を、下線で示す。開始(ATG)及び停止(TAA)コドンは、太字で示す。
【0080】
組み換え酵素の検出及び/又は精製を容易にするため、開始コドン直後の酵素コード配列に対する5’位に、His6タグのコード配列を融合した。このタグにより、InVision(登録商標)染色(インビトロゲン、インク社)を用いるSDSゲル上での組み換え酵素のインサイツ検出、及び/又は固定化された金属アフィニティクロマトグラフィを用いる細胞抽出物からの組み換え酵素の精製が容易になる。開始コドンのすぐ上流は、tacIIプロモータが先行するリボソーム結合部位配列であり(de Boerら、1983)、開始コドンとリボソーム結合部位との間の固有EcoRIサイトは、これらの上流の制御配列を含む断片が、必要に応じて、コード配列から分離できるようにする。このコード配列は、両端のさらなる「適合化」の有無にかかわらず、硝酸還元酵素をコードする遺伝子の発現を駆動するアナベナpNirプロモータの制御下で配置された(Desplancq,D.ら、2005)。
【0081】
Desplancqらの文献は、hetR遺伝子の転写を駆動するpNirプロモータを有するp505の構造を含む。発明者らは、EcoRI及びBamHIを有するhetr遺伝子を取り除き、これを、増幅したイソプレン合成酵素遺伝子に置き換えた。EcoRI及びBamHI部位を取り付けたイソプレン合成酵素遺伝子を増幅するために用いたプライマを、以下に示す。
【化2】

【0082】
このプロモータは、窒素源としてのアンモニアで成長する細胞中ではオフ状態であるが、硝酸塩で成長する細胞中では強いオン状態である。遺伝子工学応用に対し、このプロモータは、短期のバッチ応用に有用であるが、成長の間に硝酸塩が消費されるため、一般的には適用できない。
【0083】
このコンストラクトは、25℃でのネオマイシン中の連続選択により、アナベナ7120においてプラスミドとして維持された。10日後に、可視コロニーを採取し、ネオマイシンを有するが窒素との組み合わせのないBG−11又はBG−11のいずれかの液体培地に移した。10日の成長の後、BG−11培養液に硝酸塩を加え、イソプレン合成酵素の転写を誘導した。イソプレン合成酵素の転写は、RT−PCRによって検出した。数日後、細胞培養液の温度を37℃に上昇させ、全ての生産されたイソプレンが気相に転換できるようにした。
【0084】
微量元素を含有するが炭素源のない(COを除く)最少培地上で形質転換した菌株の試験発酵を実施し、二酸化炭素からのイソプレンの光合成生産を確立した。組み換えシアノバクテリアにおけるイソプレン合成酵素遺伝子の発現の成功例は、以下の結果によって示された。
(a)適切な制御菌株との比較により、形質転換した細胞は、PCRによってIS mRNAを転写する能力を有することを示した。
(b)組み換え細胞培養物からのイソプレンの生合成生産は、細菌培養液により放出されるイソプレンを検出するために開発されたプロトコル使用いて、ガスクロマトグラフィ/質量分析により示された(Kuzmaら、1995、下記参照)。アウトガス化したイソプレンの濃度は、非組み換え対照細胞からのアウトガス中に見られるものよりも高かった。列挙した条件下で計算されたイソプレン収量は、OD700=0.23の培養液について、30分あたり1リットルにつき25マイクログラムだった。
【0085】
イソプレン生成物は、オフガスを濃縮器に通し、次いで溶媒ジクロロエタンを用いて濃縮器から洗い出すことにより、回収した。(濃縮した)DCE溶液は、定量目的でGCに注入した。
【0086】
細菌細胞培養液により生産されるイソプレンの検定(Kuzmaら、1995)。
【0087】
ガスクロマトグラフィ質量分析(GC−MS)によるイソプレンの同定。バクテリアは、10mlのリッチな培地に接種し、A600がほぼ1.5となるまで成長させた。次いで、2mlの培養液は、テフロンライニングした隔壁で密封した4.8mlのガラスバイアル中で、約6時間インキュベートした。試料のヘッドスペース(1.2ml)は、ガラスビーズと共に液体アルゴン(−186℃)に浸漬して詰めたニッケルループ中で集めた。その後に、このループを150℃に加熱してDB−1カラム(長さ30mm、直径0.25mm、膜厚1μm)(J&Wサイエンティフィック社、米国カリフォルニア州のフォルサム)に注入し、ヒューレット・パッカード社質量選択検出器(電子イオンか、全イオンモード動作)又は同等の装置に接続した。各GC−MSランに対する温度プログラムは、1分間−65℃に維持した後に、毎分4℃の速度で加温することを含む。ヘリウムキャリアガス及び毎分約0.7mlの流速を用いた。このシステムは、Ciceronら(1988)の文献にさらに詳細に記載されている。細菌性イソプレン生産の陽性識別のため、細菌のヘッドスペースから得られたピーク保持時間及び質量スペクトルは、純正のイソプレン標準の保持時間及び質量スペクトルと比較した。「ベクターのみ」の組み換え対照培養液からのヘッドスペースは、ネガティブコントロールとして、ランに用いた。
【0088】
ルーチン的イソプレン検定。細菌株は、A600が1.0から6.0となるまで成長させた。2mlの培養液は、密封バイアル中で振とうを伴って適切な温度で約3時間インキュベートし、ヘッドスペースは、イソプレンに対して高感度なガスクロマトグラフィを用いて分析した(例えば、Greenbergら、1993、Silver及びFall、1991を参照)。このシステムは、n−オクタン/ポラシルCカラム(poracil(登録商標))(オールテック・アソシエーション・インク社、米国イリノイ州のディアフィールド)と共に等温動作(85℃)させ、RGD2酸化第二水銀還元ガス検知器(トレース・アナリティカル社、米国カリフォルニア州のメンローパーク)又は同等品に連結させた。イソプレンは、3.6分で溶出した。イソプレン生産速度(nmol/g/時間)は、次のように算出できる。GC面積の単位を、標準のイソプレン濃度較正曲線に対するnmolイソプレンに変換する。試料のA600値を取り、既知のA600を用いて細胞培養液に対するウェット重量を得ることにより、細胞グラム数(g)に変換する。2〜5個の別個の測定を取り、検定箇所ごとに平均する。ネガティブコントロールは、上記の通りである。
【0089】
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本願明細書において全ての引例の教示は、参照により本願明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に水と非混合性の炭化水素化合物を生産するように遺伝子改変された光合成微生物。
【請求項2】
前記光合成微生物は、イソプレンを生産するように遺伝子改変された、請求項1に記載の光合成微生物。
【請求項3】
前記遺伝子改変光合成微生物は、二酸化炭素の存在下での培養時に、イソプレンを生産する、請求項2に記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項4】
前記遺伝子改変光合成微生物は、大気の二酸化炭素が存在する培養時に、イソプレンを生産する、請求項2又は3に記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項5】
前記遺伝子改変光合成微生物は、化石燃料プラント又は煙突(スクラバー)から発生する二酸化炭素が存在する培養時に、イソプレンを生産する、請求項2又は3に記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項6】
前記遺伝子改変光合成微生物は、2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸代謝経路を介して生成される前駆体からイソプレンを生産する、請求項2又は3に記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項7】
前記遺伝子改変光合成微生物は、シアノバクテリアである、請求項1から6のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項8】
前記遺伝子改変光合成微生物は、Thermosynechococcus elongatus BP1である、請求項1から7のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項9】
前記遺伝子改変光合成微生物は、アナベナ属である、請求項1から7のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項10】
前記遺伝子改変光合成微生物は、アナベナ7120である、請求項9に記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項11】
前記光合成微生物は、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子を含むよう遺伝子改変された、請求項1から6のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項12】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、植物イソプレン合成酵素遺伝子である、請求項1から11のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項13】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、ポプラ(Populus alba x Populus tremula)イソプレン合成酵素遺伝子である、請求項1から12のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項14】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、シアノバクテリアにおける発現のために最適化された、遺伝子改変光合成微生物。
【請求項15】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、シアノバクテリアにおける酵素活性のために最適化された、請求項1から14のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項16】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、前記遺伝子改変光合成微生物のゲノムに組み込まれている、請求項1から15のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項17】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、プラスミド上に担持されている、請求項1から16のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項18】
前記遺伝子改変光合成微生物は、容器で培養され、前記イソプレンは、前記遺伝子改変光合成微生物の前記培養液のオフガスから回収される、請求項1から17のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項19】
前記遺伝子改変光合成微生物は、さらなる生合成に対する基質としてイソプレンを利用できる天然又は合成酵素をコードする少なくとも一つの遺伝子の挿入によってさらに組み換えられる、請求項1から18のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項20】
イソプレン合成酵素をコードする外来性遺伝子を含む、遺伝子改変光合成微生物であって、前記遺伝子改変光合成微生物は、二酸化炭素からイソプレンを生成できる、微生物。
【請求項21】
前記遺伝子改変光合成微生物は、二酸化炭素が存在する培養時に、イソプレンを生産する、請求項16に記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項22】
前記遺伝子改変光合成微生物は、2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸代謝経路を介して生成される前駆体からイソプレンを生産する、請求項20又は21に記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項23】
前記遺伝子改変光合成微生物は、シアノバクテリアである、請求項20から22のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項24】
前記遺伝子改変光合成微生物は、Thermosynechococcus elongatus BP1である、請求項20から23のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項25】
前記遺伝子改変光合成微生物は、アナベナ属である、請求項20から23のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項26】
前記遺伝子改変光合成微生物は、アナベナ7120である、請求項25に記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項27】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、植物イソプレン合成酵素遺伝子である、請求項20から26のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項28】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、ポプライソプレン合成酵素遺伝子である、請求項20から27のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項29】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、シアノバクテリアにおける発現のために最適化された、請求項20から28のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項30】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、シアノバクテリアにおける酵素活性のために最適化された、請求項20から29のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項31】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、前記遺伝子改変光合成微生物のゲノムに組み込まれている、請求項20から30のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項32】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、プラスミド上に担持されている、請求項20から31のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項33】
前記遺伝子改変光合成微生物は、容器で培養され、前記イソプレンは、前記遺伝子改変光合成微生物の前記培養液のオフガスから回収される、請求項20から32のいずれかに記載の遺伝子改変光合成微生物。
【請求項34】
前記遺伝子改変光合成微生物は、さらなる生合成に対する基質としてイソプレンを利用できる、天然又は合成酵素に対する少なくとも一つの遺伝子コードの挿入によってさらに組み換えられる、請求項20から33のいずれかに記載の遺伝子改変された光合成微生物。
【請求項35】
イソプレンの生産のための方法であって、前記方法は、イソプレンを生産するように遺伝子改変された遺伝子改変光合成微生物を培養することと、適宜、イソプレンを生産するように遺伝子改変された前記光合成微生物から生産されるイソプレンを回収することと、を含む方法。
【請求項36】
前記遺伝子改変された光合成微生物は、二酸化炭素が存在する培養時に、イソプレンを生産する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記遺伝子改変された光合成微生物は、2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸代謝経路を介して生成される前駆体からイソプレンを生産する、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記遺伝子改変された光合成微生物は、シアノバクテリアである、請求項35から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記遺伝子改変された光合成微生物は、Thermosynechococcus elongatus BP1である、請求項35から38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記遺伝子改変された光合成微生物は、アナベナ属である、請求項35から38のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記遺伝子改変された光合成微生物は、アナベナ7120である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記光合成微生物は、イソプレン合成酵素をコードする遺伝子の導入を通じてイソプレンを生産するよう遺伝子改変される、請求項35から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、植物イソプレン合成酵素遺伝子である、請求項35から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、ポプライソプレン合成酵素遺伝子である、請求項35から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、シアノバクテリアにおける発現のために最適化された、請求項35から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、シアノバクテリアにおける酵素活性のために最適化された、請求項35から45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、前記遺伝子改変された光合成微生物のゲノムに組み込まれる、請求項35から46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、プラスミド上に担持される、請求項35から47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記遺伝子改変された光合成微生物は、容器で培養され、前記イソプレンは、前記遺伝子改変された光合成微生物の前記培養液の前記オフガスから回収される、請求項35から48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記遺伝子改変された光合成微生物は、さらなる生合成に対する基質としてイソプレンを利用できる、一以上の天然又は組み換え微生物と共に容器で共培養される、請求項35から49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
イソプレン合成酵素をコードする外来性遺伝子を含み、遺伝子改変光合成微生物は、二酸化炭素からイソプレンを生産できる遺伝子改変光合成微生物を培養することと、適宜、イソプレンを生産するよう遺伝子改変された前記光合成微生物から生産されるイソプレンを回収することと、を含む、イソプレンの生産のための方法。
【請求項52】
前記遺伝子改変光合成微生物は、二酸化炭素が存在する培養時に、イソプレンを生産する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記遺伝子改変光合成微生物は、2−C−メチル−D−エリトリトール−4−リン酸代謝経路を介して生成される前駆体からイソプレンを生産する、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
前記遺伝子改変光合成微生物は、シアノバクテリアである、請求項51から53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記遺伝子改変光合成微生物は、Thermosynechococcus elongatus BP−1である、請求項51から54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記遺伝子改変光合成微生物は、アナベナ属である、請求項51から55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記遺伝子改変光合成微生物は、アナベナ7120である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、植物イソプレン合成酵素遺伝子である、請求項51から57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、ポプライソプレン合成酵素遺伝子である、請求項51から58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、シアノバクテリアにおける発現のために最適化された、請求項51から59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、シアノバクテリアにおける酵素活性のために最適化された、請求項51から60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、前記遺伝子改変光合成微生物のゲノムに組み込まれる、請求項51から61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
イソプレン合成酵素をコードする前記遺伝子は、プラスミド上に運ばれる、請求項51から62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記遺伝子改変光合成微生物は、容器で培養され、前記イソプレンは、前記遺伝子改変光合成微生物の培養液の前記オフガスから回収される、請求項51から63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記遺伝子改変光合成微生物は、さらなる生合成に対する基質としてイソプレンを利用できる、一以上の追加的な天然及び/又は組み換え微生物と共に、容器で共培養される、請求項51から64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
組み換えイソプレン合成酵素遺伝子(v2.2.1)の核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項67】
プロモータと作動可能に連結されている、請求項66の前記単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項68】
請求項67の前記発現ベクターを用いてトランスフォーム又はトランスフェクトされた宿主細胞。
【請求項69】
請求項66の前記単離された核酸分子又はその変異体によってコードされる、単離されたタンパク。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−525816(P2010−525816A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506333(P2010−506333)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/005707
【国際公開番号】WO2008/137092
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(310007298)アシドフィル,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】