仮設床構造及び仮設階段構造
【課題】階段上にある壁に挟まれている空間を床又は階段として用いる。
【解決手段】一対の壁10間に備えられている階段における階上の床面16aから階段上の空間を床面16aに同面をなすように塞ぐ複数枚の仮設床板を一方の壁に、仮設床板の先端部支持する支承部を他方の壁に設けてある仮設床構造。一対の壁10間に備えられている階段における階上の床面16aから、階段上にある壁10に挟まれた空間に仮設する階段の段板30を一方の壁に、倒し込まれる段板の先端部を支持する支承部12を他方の壁10に設けてある仮設階段構造。
【解決手段】一対の壁10間に備えられている階段における階上の床面16aから階段上の空間を床面16aに同面をなすように塞ぐ複数枚の仮設床板を一方の壁に、仮設床板の先端部支持する支承部を他方の壁に設けてある仮設床構造。一対の壁10間に備えられている階段における階上の床面16aから、階段上にある壁10に挟まれた空間に仮設する階段の段板30を一方の壁に、倒し込まれる段板の先端部を支持する支承部12を他方の壁10に設けてある仮設階段構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、階段上にある吹き抜け等の空間を効果的に用いるようにした仮設床構造及び仮設階段構造の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
階段空間は多くの場合、吹き抜け状態に構成されていることが多く、階段上にある空間を行動スペースとして用いることはなかった。
【0003】
かかる階段上の空間を当該階段上を塞ぐことによって用いるようにした階段蓋の自動開閉機構が特許文献1に示されている。
【0004】
この特許文献1に示される階段蓋の自動開閉機構は、固定基床と天井との間の空間を上下に仕切る昇降自在な可動床を有する第1の室と、該第1の室に隣接して施工されるとともに前記固定基床よりも高い位置に配置された固定床を有する第2の室とにおける前記固定基床と固定床との間に施工された階段に対し、該階段の前記固定床側の降り口を閉鎖する階段蓋の自動開閉機構において、前記可動床によって揺動自在に支持されるとともに、該可動床の上昇位置への上昇、及び前記固定床と同レベルの下降位置への下降に伴って昇降する階段蓋と、該階投蓋と前記固定床とを連結するするとともに、前記可動床が前記上昇位置に配置されたときに前記階段蓋を前記階段の上方空間から退避させる一方、前記可動床が前記下降位置に配置されたときに前記階段の降り口を閉鎖して前記固定床と可動床とを連続させる連動機構とを備えた構成としてある。
【0005】
また特許文献2では、階段の吹き抜け部の上方部分に収納部を設け、この収納部に出入りする手段として、廊下の床高さから収納郡の床高さに亘って積み重ねられた、直方体状の4段の収容箱からなる収容棚兼用階段を用意し、各段の収容箱を水平方向に各々案内するガイド部材を壁面に設置し、各段の収容箱の側面に設けたスライド係止部材をガイド部材に係止して各収容箱を支持させ、複数段の収容箱を垂直に積み重ねて収容箱を収容棚として使用する状態から、各収容箱をガイド部材に沿ってスライド移動させ、移動させた各収容箱を位置決め手段により階段状に位置決めし、各収容箱の上面板を踏み板として廊下から収納部に至る階投として使用する収納棚兼用階段を開示している。
【特許文献1】特開平9−328855
【特許文献2】特開2002−294960
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に示される階段蓋の自動開閉機構は、固定基床と天井との間の空間を上下に仕切る昇降自在な可動床を有する第1の室と、該第1の室に隣接して施工されるとともに前記固定基床よりも高い位置に配置された固定床を有する第2の室とにおける前記固定基床と固定床との間に施工された階段を塞ぐものであって、第1の室の床全体を上下方向に移動させる大がかりな設備を備えたものであって、一般的な住宅に適用し難いものであった。
【0007】
また、特許文献2に示される収納棚兼用階段は、吹き抜け部の上方部分に設けた収納部に対して出入りする階段手段を廊下に沿って設けてあり、上り下りに用いられている階段空間や、この階段空間を構成する壁面や、この階段空間に連続して備えられている各種の空間、例えば、小屋裏等の空間を用いるものではなかった。
【0008】
この発明は、上り下りに用いられている階段における階段空間を用いて、新たな動作空間を構成し、この新たな動作空間における行動を可能になすと共に、この動作空間に続く各種の空間を効率良く用い得るようにした仮設床構造及び仮設階段構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために仮設床構造の発明は、一対の壁間に備えられている階段における階上の床面から、当該階段上の空間を該床面に同面をなすように塞ぐ複数枚の仮設床板を一方の壁に下端部を組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該仮設床板の先端部を支持する支承部を他方の壁に設けてあることを特徴とする仮設床構造としてある。
【0010】
このように構成される仮設床構造にあっては、階段を構成している階段空間を通例の床面に連続する床面として活用し得ると共に、この仮設床面を通路手段として用いることによって階段に沿っている壁の上部側の壁面や当該壁で仕切られている各種収納室等を効率良く用いることができる。また、同様に、この仮設床面を通路として階段を構成している壁の上側方にある空間、例えば、小屋裏空間等を収納空間として効率良く用いることができる。
【0011】
また、前記課題を解決するために仮設階段構造の発明は、一対の壁間に備えられている階段における階上の床面から、当該階段上にある壁に挟まれた空間に仮設される階段であって、前記床面から順次段状に上るように階段を構成する複数枚の段板が一方の壁に下端部を組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該段板の先端部を支持する支承部を他方の壁に設けてあることを特徴とする仮設階段構造としてある。
【0012】
このように構成される仮設階段構造にあっては、階段を構成している階段上の空間を活用して、さらに、上方に上がる手段としての階段を構成し、例えば、小屋裏収納室等に都合良く出入りし得る階段を構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る仮設床構造及び仮設階段構造は、階段上にある壁に挟まれている空間を効果的に用いて、この階段上にある空間を構成する壁間に仮設床板を架け渡し、また、当該階段上にある空間を構成する壁間に仮設段板を架け渡すことで、階段上にある空間を効率良く用いることができ、この壁に連続して備えられている各種収納空間等を有効に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図14に基づいて、この発明を実施するための最良の形態に係る仮設床構造W及び仮設階段構造W’について説明する。
【0015】
なお、ここで図1〜図7は当該発明を実施するための最良の形態に係る典型的な仮設床板構造Wを、図8〜図14は当該発明を実施するための最良の形態に係る典型的な仮設階段構造W’を示しており、図1は当該仮設床構造Wの構成を断面で示しており、図2は、この仮設床板の収納状態を示す要部を断面して、図3は、これを一方の斜め上方から見て、図4は、これを他方の斜め上方から見て、図5は典型的な適用例を平断面の状態で、図6は、これを縦向きの断面で、図7は、これを向きを変えて縦向きの断面で示している。
また図8は当該仮設階段構造W’の構成を断面で示しており、図9は、この仮設段板の収納状態を示す要部を断面して、図10は、これを一方の斜め上方から見て、図11は、これを他方の斜め上方から見て、図12は典型的な適用例を平断面の状態で、図13は、これを縦向きの断面で、図14は、これを向きを変えて縦向きの断面で示している。
【0016】
まず、図1〜図7において示される当該発明を実施するための最良の形態に係る仮設床構造Wは、一対の壁10間に備えられている階段15における階上X’の床面16aから、当該階段15上の空間を該床面16aに同面をなすように塞ぐ複数枚の仮設床板20を一方の壁10に下端部20aを組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該仮設床板20の先端部20bを支持する支承部12を他方の壁10に設けてある。
【0017】
なお、この仮設床構造Wは、壁10間にある階段15の上にある空間を利用しうるものであれば、いかなる態様に備えられていてもよく、また、いかなる形態の建造物に備えられていてもよい。また、この仮設床構造Wが、下階に設けてあっても、また上階に設けてあっても、さらに、これらの中間階に設けてあってもよく、階段の一部に設けてあっても、また、階段のすべてに設けてあってもよい。
【0018】
このように構成される仮設床構造Wにあっては、階段15を構成している階段空間を必要に応じて階段15の階上X’の床面16aと同面をなすように当該床面16a側から、一方の壁10に起立状態に備えられている仮設床板20を順次に他方の壁10に向けて倒し込み、この仮設床板20の先端部20bを当該壁10に備えられている支承部12上に水平状態に載せ掛けて、階段15上の空間を適宜塞ぎ、この仮設床板20の架設された仮設床面16bを階上X’の床面16aに連続した床面として各種の目的に用い得る居住空間の一部をなすようにしたり、この仮設床面16bを通路として用いることによって、この仮設床面16bの両側にある壁面や、当該壁面上にある空間、例えば、ロフト等を効果的に用いうるようにしたり、この仮設床面16bを通路として両側にある壁を介して構成される各種収納室等に対して容易に出入りすることが可能とされ、従来用いることのできなかった、階段15に沿っている壁10の上方部にある空間の有効活用をなすことができる。
【0019】
なお、前記階段15における階上X’は、当該階段15によって連絡される階上X’であれば、例えば、一般的な、2階建て、3階建て等において一つの階段15で連絡される上階Xとしてあっても、これらの中間に各種収納室等を設け、この収納室等の天井上に床面16aを備える中間階を階段15によって行き来し得る階上X’としてあっても、また、この中間階から更に階段によって行き来し得る上側に備えられた上階を階上X’としてあってもよい。
【0020】
また、この一対の壁10、10間に備えられている階段15における上方を、階上X’の床面16aに連続して同面の床面16bとする仮設床板20は、通例、前記壁10の一方側に、その下端部20aを組み付けられて起立状態に支持されており、必要に応じて、当該支持を解いて、先端側20bを他方の壁10に備えられている支承部12に向けて倒し込み、階段15上にある空間を水平に塞ぐ構成としてあれば、いかなる組み付け形態であっても、また、いかなる支持手段による支持であってもよい。また、かかる仮設床板20は、通例の床板の機能を備えたものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、他方の壁の支承部に先端側を支承し得るように起伏可能に備えられているものであれば、いかなる板厚、板幅としてあってもよい。
【0021】
ここに示される図示例は仮設床構造Wを備える住宅の一例であって、一階F1から階段50によって上がり下り可能に設けられている2階F2を示しており、廊下17から出入りされる一方側に居室Eを、他方の側に当該廊下17から出入りし得る収納室Aと居室Cとを階段15を構成する通路を介して設けてある。この居室Bに出入りするための通路は居室Cとの間仕切り壁10bと、収納室Aとの間仕切り壁10aとで構成してあり、収納室Aとの間仕切り壁が居室Bの全てを塞ぐことなく階段15から居室B内に出入りし得る幅に設けてある。なお、この収納室Aとの間の間仕切り壁10aは、居室Bにおいて手摺り壁10a’を構成するようにしてある。
【0022】
そして、この図示例の住宅にあっては、階段15を居室Cとの間にある壁10bと、収納室Aとの間にあって、しかも、上部が手すり壁10a’とされている壁10aとの間に設けてあり、この階段15で収納室A上にある居室Bに出入りし得るようにしてある。また、この図示例にかかる住宅では、この居室Bが小屋裏を一体に備えており、しかも、居室Cの天井裏空間にも連続する居住空間として構成してある。
【0023】
このように構成される収納室A上にある居室Bの床面16a側から当該階段15の出入り口側に向けて、この階段15上の空間を塞ぐように当該居室Bの床面16aに同面をなすように仮設床板20を倒し込み、この階段15の上方にある空間を当該居室Bの床面16aと同面をなすように塞いで一連の床面を構成する。
【0024】
ここで壁10に備えられている仮設床板20は、この床板20を他方の壁10に備えられている支承部12に先端側20bを支持されて当該階段15上の空間を塞ぎ得る長さを備え、しかも、この階段15上を塞ぐように備えられた仮設床板20が通例の床面におけると同様の耐荷重を備えるものとしてあって、引き上げ、あるいは倒し込むために指かけ孔、取っ手、手かけ等の操作手段22を備えた構成としてある。この図示例にあっては、操作手段22としてケースハンドルを当該仮設床板20の各面に設けてある。
【0025】
かかる仮設床板20は、一方の壁10、この図示例にあっては上側を手摺り壁10a’とした仕切り壁10aに起立状態に備えられており、その下端部20aを当該壁10に対して回動可能に枢支してあり、この起伏可能に組み付けてある各仮設床板20を他方の壁10、この図示例にあっては間仕切り壁10bに備えられている支承部12に向けて倒し込み、水平の仮設床面16bを構成した際に、この各仮設床板20が互いに重なり合うことが無く、また、各仮設床板20間に必要以上の隙間を生じないように壁10に備え付けてある。
【0026】
かかる仮設床板20は、更に、具体的には、壁10に設けられている凹部11に当該仮設床板20が納め入れられた状態で下端部20aを当該壁10に軸等適宜の手段を用いて回動可能な枢支状態に組み付けて起伏可能としてある。この図示例にあっては、上枠材11b、側枠材と共に背板11aを受ける横架材上の下枠材11cで凹部11の下端が構成してあり、この下枠材11cに蝶番21によって起伏可能に組み付けてあると共に、この凹部11内に起立状態収め入れられた状態で、当該背板13a側に適宜の手段で係脱可能に掛止してある。この図示例にあっては、凹部11内に起立状態で収め入れられた仮設床板20の上面側に被吸着手段としての磁性板41が設けてあり、背板13aに、この磁性板41に吸着する永久磁石を備えたマグネットキャッチャー42が設けてあって、仮設床板20を起立させて当該凹部11内に押し入れることによって仮設床板20の先端部20b側がマグネットキャッチャー42に吸引されて起立状態で支持され、すっきりとした階段空間を構成するようにしてある。
【0027】
かかる仮設床板20の架設される他方の壁10、この図示例にあっては、間仕切り壁10bに備えられている支承部12は、当該仮設床板20の先端部20bを乗せかけて、これを受ける受け部12aを備えている。この図示例にあっては、当該仮設床板20の先端部20bが入り込み、かつ、これを支承する受け部12bとして機能する下枠材13cと当該下枠材13cに向き合っている上枠材13b及び側枠材の内側に背板13aを張り込んで構成される凹部13を備えた構成としてある。この図示例にあっては、仮設床板20の先端部20bが都合良く載せ掛けられて水平に支承される受け部12aとしての下枠材13cを横架材上に備え、これにゴムシート等の緩衝材12a’を貼り付けて仮設床板20の落とし込み時の衝撃を和らげるように構成してある。
【0028】
かかる構成からなる仮設床板20を用いて前記階段15上にある空間を居室Bの床面16aと同面をなす仮設床面16bとして構成することで、この居室Bは、当該仮設床面16bを含めて一体の居住空間として用いることができる。
【0029】
また、この一体に構成される居室Bにおける仮設床面16bを含めた床面を用いて、この居室Bに隣り合う居室Cにおける小屋裏空間Dを当該居室Bの全幅において用いることができる。
【0030】
なお、かかる仮設床板20は、随時、これを引き起こして壁10の凹部11内に起立状態に押し入れることで、塞いでいた階段空間を容易に解放して通例の階段15として用いることができる。
【0031】
ついで、図8〜図14に示される当該発明を実施するための最良の形態に係る仮設階段構造W’について説明する。
【0032】
この発明に係るの仮設階段構造W’は、一対の壁10、10間に備えられている階段15における階上X’の床面16aから、当該階段15上にある壁10、10に挟まれた空間に仮設される階段18であって、前記床面16aから順次段状に上るように仮設階段18を構成する複数枚の段板30が一方の壁10に下端部30aを組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該段板30の先端部30b支持する支承部12を他方の壁10に設けた構成としてある。
【0033】
このように構成される仮設階段構造W’にあっては、階段15を構成している階段上の空間を活用して、さらに、上方に上がる手段としての仮設階段18を構成し、例えば、小屋裏空間Dを収納室として用いる際の出入り等に都合の良い仮設階段18を構成することができる。
【0034】
なお、この仮設階段構造W’は、壁10間にある階段15の上にある空間を利用しうるものであれば、いかなる態様に備えられていてもよく、また、いかなる形態の建造物に備えられていてもよい。また、この仮設階段構造W’が階段15上の空間を活用支得るものであれば、中間階等、いかなる階に設けてあってもよい。
【0035】
このように構成される仮設階段構造W’にあっては、階段15の上方にある階段空間を有効に活用して、新たな通路としての仮設階段18を容易に構成し、通例、梯子等による出入り等を余儀なくされていた小屋裏空間D等に対して、都合の良い昇降手段としての階段を提供するものであって、階段15の階上X’の床面16aから、必要に応じて、一方の壁10に起立状態に備えられている仮設段板30を前記階段15上に向けて、順次、段状に上がるように他方の壁10に向けて倒し込み、この仮設段板30の先端部30bを当該壁10に備えられている支承部12上に水平状態に載せ掛けて、仮設階段18を構成し、この仮設階段18を通路として当該仮設階段18の両側にある壁面や、当該壁面上にある空間、例えば、ロフト等を効果的に用いうるようにしたり、この仮設階段18を通路として容易に、かつ、無理なく小屋裏空間D等に出入りすることができる。
【0036】
なお、前記階段15における階上X’は、当該階段15によって連絡される上階Xとして、例えば、一般的な、2階建て、3階建て等において一つの階段15で連絡される上階Xとしてあっても、これらの中間に各種収納室等を設け、この収納室等の天井上に床面16aを備える中間階を階段15によって行き来し得る上階Xとしてあっても、また、この中間階から更に階段によって行き来し得る上側に備えられた上階としてあってもよい。
【0037】
また、この一対の壁10、10間に備えられている階段15における上方を用いて、階上X’の床面16a側から、この階段15上に、順次に上方に上がるように仮設階段18を構成する仮設段板30は、通例、前記壁10の一方側に、その下端部30aを組み付けられて起立状態に支持されており、必要に応じて、当該支持を解いて、先端部30bを他方の壁10に備えられている支承部12に向けて倒し込み、階段15上にある空間に仮設階段18を構成し得るものであれば、いかなる組み付け形態であっても、また、いかなる支持手段による支持であってもよい。また、かかる仮設段板30は、通例の段板の機能を備えたものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、他方の壁の支承部に先端部30bを支承し得るように起伏可能に備えられているものであれば、いかなる板厚、板幅としてあってもよい。
【0038】
この図示例は、2階に備えられている天井高さの低い収納室Aの上に設けられている居室Bに出入りするための階段15の設置空間上に仮設階段18を設け、この居室Bから、更に、小屋裏に到る通路を当該階段15の設置スペースを用いて構成してある。
【0039】
この図示例では、仮設階段構造W’を備える住宅の一例として、階段50によって一階F1から上がり下り可能に設けられている2階F2部分を示しており、廊下17から出入りされる一方側に居室Eを、他方の側に当該廊下17から出入りし得る収納室Aと居室Cとを階段15を構成する通路を介して設けてある。この居室Bに出入りするための通路は居室Cとの間仕切り壁10bと、収納室Aとの間仕切り壁10aとで構成してあり、収納室Aとの間仕切り壁が居室Bの全てを塞ぐことなく階段15から居室B内に出入りし得る幅に設けてある。なお、この収納室Aとの間の間仕切り壁10aは、ほぼ小屋裏にまで延びるように設けてある。
【0040】
そして、この図示例の住宅にあっては、階段15を居室Cとの間にある壁10bと、収納室Aとの間にあって、しかも、上部が小屋裏にまで延びるように備えられている壁10aとの間に設けてあり、この階段15で収納室A上にある居室Bに出入りし得るようにしてある。また、この図示例にかかる住宅では、この居室Bが小屋裏を一体に備えており、しかも、居室Cの天井裏空間にも連続する居住空間として構成してある。
【0041】
このように構成される収納室A上にある居室Bの床面16a側から当該階段15における壁10a,10b間にある空間に向けて、順次に段状に上がる仮設階段18を構成するように仮設段板30を倒し込み、壁10、10間にある階段15の上方に当該床面16aから、更に、上方に上がり下りをすることのできる仮設階段18を構成する。
【0042】
ここで壁10に備えられている仮設段板30は、居室Bの床面16aの側から当該壁10に、順次上方に向けて段状に上がるように、一定高さ毎に、例えば、仮設段板30の後端上に、次の仮設段板30の先端が位置するように、当該壁10に備えてあり、この壁10に向きあっている壁10に当該各仮設段板30を水平状態で受けるように同様の態様で備えられている支承部12に先端部30bを支持されて当該階段15上の空間に仮設階段18を構成し得る長さを備え、しかも、この仮設段板30が通例の階段における段板と同様の耐荷重を備えるものとしてあり、引き上げ、あるいは倒し込むために指かけ孔、取っ手、手かけ等の操作手段32を備えた構成としてあり、この図示例にあっては、ケースハンドルを当該仮設段板30の各面に設けてある。
【0043】
かかる仮設段板30は、一方の壁10、この図示例にあっては天井裏に延びる仕切り壁10aに起立状態に備えられており、その下端部30aを当該壁10に対して回動可能に枢支してあり、この枢支位置を回動軸線として起伏可能に組み付けてあり、この各仮設段板30を他方の壁10、この図示例にあっては間仕切り壁10bに備えられている支承部12に向けて倒し込み、階段における水平な各段板を構成した際に、この各仮設段板30が階段として都合の良い蹴上げ高さと、都合の良い踏み面幅とを備えるように壁10に備え付けてある。
【0044】
かかる仮設段板30は、更に、具体的には、壁10に設けられている凹部11に当該仮設段板30が納め入れられた状態で下端部30aを当該壁10に軸などの適宜の枢着手段によって枢支状態で回動可能に組み付けて起伏可能としてある。この図示例にあっては、壁10に対して上枠材11bと下枠材11cと背板11a及び側枠材とで構成する凹部11における下枠材11cに対して当該仮設段板30の下端部30aを蝶番31で起伏可能に組み付けてあると共に、この凹部11内に起立状態に収め入れられた状態で、当該壁側に適宜の手段で係脱可能に掛止してある。この図示例にあっては、凹部11内に起立状態で収め入れられた仮設段板30の上面側に被吸着手段としての磁性板41が設けてあり、凹部11内の背板11aに、この磁性板41に吸着する永久磁石を備えたマグネットキャッチャー42が設けてあって、仮設段板30を起立させて当該凹部11内に押し入れることによって仮設段板30の先端部30b側がマグネットキャッチャー42に吸引されて起立状態で支持され、すっきりとした階段空間を構成するようにしてある。
【0045】
かかる仮設段板30の架設される他方の壁10、この図示例にあっては、間仕切り壁10bに備えられている支承部12は、前記各仮設段板30に各別に対応して向き合うように順次上方に位置づけられる当該仮設段板30の先端部30bを乗せかけ得るように床面16a側から、順次段状に上がった位置毎に設けてあり、個別に仮設段板30の先端部30bを受ける受け部12aを備える構成としてある。この図示例にあっては、当該仮設段板30の先端部30bが入り込み、かつ、これを支承する受け部12bとして機能する下枠材13cと当該下枠材13cに向き合っている上枠材13b及び側枠材の内側に背板13aを張り込んで構成される凹部13を備えた構成としてある。この図示例にあっては、仮設段板30の先端部30bが都合良く載せ掛けられて水平に支承される受け部12aとしての下枠材13cを壁10に備え、これにゴムシート等の緩衝材12a’を貼り付けて仮設段板30の落とし込み時の衝撃を和らげるように構成してある。
【0046】
かかる構成からなる仮設段板30を用いて前記階段15上にある壁10、10間の空間に仮設階段18を随時、必要に応じて設け、当該居室Bから、更に上方に向けて上がりながら壁10の壁面を利用したり、居室C上にある空間に対して容易に出入りすることができる。
【0047】
なお、かかる仮設段板30は、随時、これを引き起こして壁10の凹部11内に起立状態に押し入れることで、塞いでいた階段空間を容易に解放して通例の階段15として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】典型的な仮設床構造を備える建物の要部の断面図
【図2】同要部の拡大断面図
【図3】同要部の斜視図
【図4】同他の向きから見た斜視図
【図5】同平断面図
【図6】同縦断面図
【図7】同他の向きにおける縦断面図
【図8】典型的な仮設階段構造を備える建物の要部の断面図
【図9】同要部の拡大断面図
【図10】同要部の斜視図
【図11】同他の向きから見た要部の斜視図
【図12】同平断面図
【図13】同縦断面図
【図14】同他の向きにおける縦断面図
【符号の説明】
【0049】
10 壁
15 階段
16a 床面
16b 仮設床面
18 仮設階段
20 仮設床板
20a 下端部
20b 先端部
30 仮設段板
30a 下端部
30b 先端部
X’ 階上
【技術分野】
【0001】
この発明は、階段上にある吹き抜け等の空間を効果的に用いるようにした仮設床構造及び仮設階段構造の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
階段空間は多くの場合、吹き抜け状態に構成されていることが多く、階段上にある空間を行動スペースとして用いることはなかった。
【0003】
かかる階段上の空間を当該階段上を塞ぐことによって用いるようにした階段蓋の自動開閉機構が特許文献1に示されている。
【0004】
この特許文献1に示される階段蓋の自動開閉機構は、固定基床と天井との間の空間を上下に仕切る昇降自在な可動床を有する第1の室と、該第1の室に隣接して施工されるとともに前記固定基床よりも高い位置に配置された固定床を有する第2の室とにおける前記固定基床と固定床との間に施工された階段に対し、該階段の前記固定床側の降り口を閉鎖する階段蓋の自動開閉機構において、前記可動床によって揺動自在に支持されるとともに、該可動床の上昇位置への上昇、及び前記固定床と同レベルの下降位置への下降に伴って昇降する階段蓋と、該階投蓋と前記固定床とを連結するするとともに、前記可動床が前記上昇位置に配置されたときに前記階段蓋を前記階段の上方空間から退避させる一方、前記可動床が前記下降位置に配置されたときに前記階段の降り口を閉鎖して前記固定床と可動床とを連続させる連動機構とを備えた構成としてある。
【0005】
また特許文献2では、階段の吹き抜け部の上方部分に収納部を設け、この収納部に出入りする手段として、廊下の床高さから収納郡の床高さに亘って積み重ねられた、直方体状の4段の収容箱からなる収容棚兼用階段を用意し、各段の収容箱を水平方向に各々案内するガイド部材を壁面に設置し、各段の収容箱の側面に設けたスライド係止部材をガイド部材に係止して各収容箱を支持させ、複数段の収容箱を垂直に積み重ねて収容箱を収容棚として使用する状態から、各収容箱をガイド部材に沿ってスライド移動させ、移動させた各収容箱を位置決め手段により階段状に位置決めし、各収容箱の上面板を踏み板として廊下から収納部に至る階投として使用する収納棚兼用階段を開示している。
【特許文献1】特開平9−328855
【特許文献2】特開2002−294960
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に示される階段蓋の自動開閉機構は、固定基床と天井との間の空間を上下に仕切る昇降自在な可動床を有する第1の室と、該第1の室に隣接して施工されるとともに前記固定基床よりも高い位置に配置された固定床を有する第2の室とにおける前記固定基床と固定床との間に施工された階段を塞ぐものであって、第1の室の床全体を上下方向に移動させる大がかりな設備を備えたものであって、一般的な住宅に適用し難いものであった。
【0007】
また、特許文献2に示される収納棚兼用階段は、吹き抜け部の上方部分に設けた収納部に対して出入りする階段手段を廊下に沿って設けてあり、上り下りに用いられている階段空間や、この階段空間を構成する壁面や、この階段空間に連続して備えられている各種の空間、例えば、小屋裏等の空間を用いるものではなかった。
【0008】
この発明は、上り下りに用いられている階段における階段空間を用いて、新たな動作空間を構成し、この新たな動作空間における行動を可能になすと共に、この動作空間に続く各種の空間を効率良く用い得るようにした仮設床構造及び仮設階段構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために仮設床構造の発明は、一対の壁間に備えられている階段における階上の床面から、当該階段上の空間を該床面に同面をなすように塞ぐ複数枚の仮設床板を一方の壁に下端部を組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該仮設床板の先端部を支持する支承部を他方の壁に設けてあることを特徴とする仮設床構造としてある。
【0010】
このように構成される仮設床構造にあっては、階段を構成している階段空間を通例の床面に連続する床面として活用し得ると共に、この仮設床面を通路手段として用いることによって階段に沿っている壁の上部側の壁面や当該壁で仕切られている各種収納室等を効率良く用いることができる。また、同様に、この仮設床面を通路として階段を構成している壁の上側方にある空間、例えば、小屋裏空間等を収納空間として効率良く用いることができる。
【0011】
また、前記課題を解決するために仮設階段構造の発明は、一対の壁間に備えられている階段における階上の床面から、当該階段上にある壁に挟まれた空間に仮設される階段であって、前記床面から順次段状に上るように階段を構成する複数枚の段板が一方の壁に下端部を組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該段板の先端部を支持する支承部を他方の壁に設けてあることを特徴とする仮設階段構造としてある。
【0012】
このように構成される仮設階段構造にあっては、階段を構成している階段上の空間を活用して、さらに、上方に上がる手段としての階段を構成し、例えば、小屋裏収納室等に都合良く出入りし得る階段を構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る仮設床構造及び仮設階段構造は、階段上にある壁に挟まれている空間を効果的に用いて、この階段上にある空間を構成する壁間に仮設床板を架け渡し、また、当該階段上にある空間を構成する壁間に仮設段板を架け渡すことで、階段上にある空間を効率良く用いることができ、この壁に連続して備えられている各種収納空間等を有効に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図14に基づいて、この発明を実施するための最良の形態に係る仮設床構造W及び仮設階段構造W’について説明する。
【0015】
なお、ここで図1〜図7は当該発明を実施するための最良の形態に係る典型的な仮設床板構造Wを、図8〜図14は当該発明を実施するための最良の形態に係る典型的な仮設階段構造W’を示しており、図1は当該仮設床構造Wの構成を断面で示しており、図2は、この仮設床板の収納状態を示す要部を断面して、図3は、これを一方の斜め上方から見て、図4は、これを他方の斜め上方から見て、図5は典型的な適用例を平断面の状態で、図6は、これを縦向きの断面で、図7は、これを向きを変えて縦向きの断面で示している。
また図8は当該仮設階段構造W’の構成を断面で示しており、図9は、この仮設段板の収納状態を示す要部を断面して、図10は、これを一方の斜め上方から見て、図11は、これを他方の斜め上方から見て、図12は典型的な適用例を平断面の状態で、図13は、これを縦向きの断面で、図14は、これを向きを変えて縦向きの断面で示している。
【0016】
まず、図1〜図7において示される当該発明を実施するための最良の形態に係る仮設床構造Wは、一対の壁10間に備えられている階段15における階上X’の床面16aから、当該階段15上の空間を該床面16aに同面をなすように塞ぐ複数枚の仮設床板20を一方の壁10に下端部20aを組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該仮設床板20の先端部20bを支持する支承部12を他方の壁10に設けてある。
【0017】
なお、この仮設床構造Wは、壁10間にある階段15の上にある空間を利用しうるものであれば、いかなる態様に備えられていてもよく、また、いかなる形態の建造物に備えられていてもよい。また、この仮設床構造Wが、下階に設けてあっても、また上階に設けてあっても、さらに、これらの中間階に設けてあってもよく、階段の一部に設けてあっても、また、階段のすべてに設けてあってもよい。
【0018】
このように構成される仮設床構造Wにあっては、階段15を構成している階段空間を必要に応じて階段15の階上X’の床面16aと同面をなすように当該床面16a側から、一方の壁10に起立状態に備えられている仮設床板20を順次に他方の壁10に向けて倒し込み、この仮設床板20の先端部20bを当該壁10に備えられている支承部12上に水平状態に載せ掛けて、階段15上の空間を適宜塞ぎ、この仮設床板20の架設された仮設床面16bを階上X’の床面16aに連続した床面として各種の目的に用い得る居住空間の一部をなすようにしたり、この仮設床面16bを通路として用いることによって、この仮設床面16bの両側にある壁面や、当該壁面上にある空間、例えば、ロフト等を効果的に用いうるようにしたり、この仮設床面16bを通路として両側にある壁を介して構成される各種収納室等に対して容易に出入りすることが可能とされ、従来用いることのできなかった、階段15に沿っている壁10の上方部にある空間の有効活用をなすことができる。
【0019】
なお、前記階段15における階上X’は、当該階段15によって連絡される階上X’であれば、例えば、一般的な、2階建て、3階建て等において一つの階段15で連絡される上階Xとしてあっても、これらの中間に各種収納室等を設け、この収納室等の天井上に床面16aを備える中間階を階段15によって行き来し得る階上X’としてあっても、また、この中間階から更に階段によって行き来し得る上側に備えられた上階を階上X’としてあってもよい。
【0020】
また、この一対の壁10、10間に備えられている階段15における上方を、階上X’の床面16aに連続して同面の床面16bとする仮設床板20は、通例、前記壁10の一方側に、その下端部20aを組み付けられて起立状態に支持されており、必要に応じて、当該支持を解いて、先端側20bを他方の壁10に備えられている支承部12に向けて倒し込み、階段15上にある空間を水平に塞ぐ構成としてあれば、いかなる組み付け形態であっても、また、いかなる支持手段による支持であってもよい。また、かかる仮設床板20は、通例の床板の機能を備えたものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、他方の壁の支承部に先端側を支承し得るように起伏可能に備えられているものであれば、いかなる板厚、板幅としてあってもよい。
【0021】
ここに示される図示例は仮設床構造Wを備える住宅の一例であって、一階F1から階段50によって上がり下り可能に設けられている2階F2を示しており、廊下17から出入りされる一方側に居室Eを、他方の側に当該廊下17から出入りし得る収納室Aと居室Cとを階段15を構成する通路を介して設けてある。この居室Bに出入りするための通路は居室Cとの間仕切り壁10bと、収納室Aとの間仕切り壁10aとで構成してあり、収納室Aとの間仕切り壁が居室Bの全てを塞ぐことなく階段15から居室B内に出入りし得る幅に設けてある。なお、この収納室Aとの間の間仕切り壁10aは、居室Bにおいて手摺り壁10a’を構成するようにしてある。
【0022】
そして、この図示例の住宅にあっては、階段15を居室Cとの間にある壁10bと、収納室Aとの間にあって、しかも、上部が手すり壁10a’とされている壁10aとの間に設けてあり、この階段15で収納室A上にある居室Bに出入りし得るようにしてある。また、この図示例にかかる住宅では、この居室Bが小屋裏を一体に備えており、しかも、居室Cの天井裏空間にも連続する居住空間として構成してある。
【0023】
このように構成される収納室A上にある居室Bの床面16a側から当該階段15の出入り口側に向けて、この階段15上の空間を塞ぐように当該居室Bの床面16aに同面をなすように仮設床板20を倒し込み、この階段15の上方にある空間を当該居室Bの床面16aと同面をなすように塞いで一連の床面を構成する。
【0024】
ここで壁10に備えられている仮設床板20は、この床板20を他方の壁10に備えられている支承部12に先端側20bを支持されて当該階段15上の空間を塞ぎ得る長さを備え、しかも、この階段15上を塞ぐように備えられた仮設床板20が通例の床面におけると同様の耐荷重を備えるものとしてあって、引き上げ、あるいは倒し込むために指かけ孔、取っ手、手かけ等の操作手段22を備えた構成としてある。この図示例にあっては、操作手段22としてケースハンドルを当該仮設床板20の各面に設けてある。
【0025】
かかる仮設床板20は、一方の壁10、この図示例にあっては上側を手摺り壁10a’とした仕切り壁10aに起立状態に備えられており、その下端部20aを当該壁10に対して回動可能に枢支してあり、この起伏可能に組み付けてある各仮設床板20を他方の壁10、この図示例にあっては間仕切り壁10bに備えられている支承部12に向けて倒し込み、水平の仮設床面16bを構成した際に、この各仮設床板20が互いに重なり合うことが無く、また、各仮設床板20間に必要以上の隙間を生じないように壁10に備え付けてある。
【0026】
かかる仮設床板20は、更に、具体的には、壁10に設けられている凹部11に当該仮設床板20が納め入れられた状態で下端部20aを当該壁10に軸等適宜の手段を用いて回動可能な枢支状態に組み付けて起伏可能としてある。この図示例にあっては、上枠材11b、側枠材と共に背板11aを受ける横架材上の下枠材11cで凹部11の下端が構成してあり、この下枠材11cに蝶番21によって起伏可能に組み付けてあると共に、この凹部11内に起立状態収め入れられた状態で、当該背板13a側に適宜の手段で係脱可能に掛止してある。この図示例にあっては、凹部11内に起立状態で収め入れられた仮設床板20の上面側に被吸着手段としての磁性板41が設けてあり、背板13aに、この磁性板41に吸着する永久磁石を備えたマグネットキャッチャー42が設けてあって、仮設床板20を起立させて当該凹部11内に押し入れることによって仮設床板20の先端部20b側がマグネットキャッチャー42に吸引されて起立状態で支持され、すっきりとした階段空間を構成するようにしてある。
【0027】
かかる仮設床板20の架設される他方の壁10、この図示例にあっては、間仕切り壁10bに備えられている支承部12は、当該仮設床板20の先端部20bを乗せかけて、これを受ける受け部12aを備えている。この図示例にあっては、当該仮設床板20の先端部20bが入り込み、かつ、これを支承する受け部12bとして機能する下枠材13cと当該下枠材13cに向き合っている上枠材13b及び側枠材の内側に背板13aを張り込んで構成される凹部13を備えた構成としてある。この図示例にあっては、仮設床板20の先端部20bが都合良く載せ掛けられて水平に支承される受け部12aとしての下枠材13cを横架材上に備え、これにゴムシート等の緩衝材12a’を貼り付けて仮設床板20の落とし込み時の衝撃を和らげるように構成してある。
【0028】
かかる構成からなる仮設床板20を用いて前記階段15上にある空間を居室Bの床面16aと同面をなす仮設床面16bとして構成することで、この居室Bは、当該仮設床面16bを含めて一体の居住空間として用いることができる。
【0029】
また、この一体に構成される居室Bにおける仮設床面16bを含めた床面を用いて、この居室Bに隣り合う居室Cにおける小屋裏空間Dを当該居室Bの全幅において用いることができる。
【0030】
なお、かかる仮設床板20は、随時、これを引き起こして壁10の凹部11内に起立状態に押し入れることで、塞いでいた階段空間を容易に解放して通例の階段15として用いることができる。
【0031】
ついで、図8〜図14に示される当該発明を実施するための最良の形態に係る仮設階段構造W’について説明する。
【0032】
この発明に係るの仮設階段構造W’は、一対の壁10、10間に備えられている階段15における階上X’の床面16aから、当該階段15上にある壁10、10に挟まれた空間に仮設される階段18であって、前記床面16aから順次段状に上るように仮設階段18を構成する複数枚の段板30が一方の壁10に下端部30aを組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該段板30の先端部30b支持する支承部12を他方の壁10に設けた構成としてある。
【0033】
このように構成される仮設階段構造W’にあっては、階段15を構成している階段上の空間を活用して、さらに、上方に上がる手段としての仮設階段18を構成し、例えば、小屋裏空間Dを収納室として用いる際の出入り等に都合の良い仮設階段18を構成することができる。
【0034】
なお、この仮設階段構造W’は、壁10間にある階段15の上にある空間を利用しうるものであれば、いかなる態様に備えられていてもよく、また、いかなる形態の建造物に備えられていてもよい。また、この仮設階段構造W’が階段15上の空間を活用支得るものであれば、中間階等、いかなる階に設けてあってもよい。
【0035】
このように構成される仮設階段構造W’にあっては、階段15の上方にある階段空間を有効に活用して、新たな通路としての仮設階段18を容易に構成し、通例、梯子等による出入り等を余儀なくされていた小屋裏空間D等に対して、都合の良い昇降手段としての階段を提供するものであって、階段15の階上X’の床面16aから、必要に応じて、一方の壁10に起立状態に備えられている仮設段板30を前記階段15上に向けて、順次、段状に上がるように他方の壁10に向けて倒し込み、この仮設段板30の先端部30bを当該壁10に備えられている支承部12上に水平状態に載せ掛けて、仮設階段18を構成し、この仮設階段18を通路として当該仮設階段18の両側にある壁面や、当該壁面上にある空間、例えば、ロフト等を効果的に用いうるようにしたり、この仮設階段18を通路として容易に、かつ、無理なく小屋裏空間D等に出入りすることができる。
【0036】
なお、前記階段15における階上X’は、当該階段15によって連絡される上階Xとして、例えば、一般的な、2階建て、3階建て等において一つの階段15で連絡される上階Xとしてあっても、これらの中間に各種収納室等を設け、この収納室等の天井上に床面16aを備える中間階を階段15によって行き来し得る上階Xとしてあっても、また、この中間階から更に階段によって行き来し得る上側に備えられた上階としてあってもよい。
【0037】
また、この一対の壁10、10間に備えられている階段15における上方を用いて、階上X’の床面16a側から、この階段15上に、順次に上方に上がるように仮設階段18を構成する仮設段板30は、通例、前記壁10の一方側に、その下端部30aを組み付けられて起立状態に支持されており、必要に応じて、当該支持を解いて、先端部30bを他方の壁10に備えられている支承部12に向けて倒し込み、階段15上にある空間に仮設階段18を構成し得るものであれば、いかなる組み付け形態であっても、また、いかなる支持手段による支持であってもよい。また、かかる仮設段板30は、通例の段板の機能を備えたものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、他方の壁の支承部に先端部30bを支承し得るように起伏可能に備えられているものであれば、いかなる板厚、板幅としてあってもよい。
【0038】
この図示例は、2階に備えられている天井高さの低い収納室Aの上に設けられている居室Bに出入りするための階段15の設置空間上に仮設階段18を設け、この居室Bから、更に、小屋裏に到る通路を当該階段15の設置スペースを用いて構成してある。
【0039】
この図示例では、仮設階段構造W’を備える住宅の一例として、階段50によって一階F1から上がり下り可能に設けられている2階F2部分を示しており、廊下17から出入りされる一方側に居室Eを、他方の側に当該廊下17から出入りし得る収納室Aと居室Cとを階段15を構成する通路を介して設けてある。この居室Bに出入りするための通路は居室Cとの間仕切り壁10bと、収納室Aとの間仕切り壁10aとで構成してあり、収納室Aとの間仕切り壁が居室Bの全てを塞ぐことなく階段15から居室B内に出入りし得る幅に設けてある。なお、この収納室Aとの間の間仕切り壁10aは、ほぼ小屋裏にまで延びるように設けてある。
【0040】
そして、この図示例の住宅にあっては、階段15を居室Cとの間にある壁10bと、収納室Aとの間にあって、しかも、上部が小屋裏にまで延びるように備えられている壁10aとの間に設けてあり、この階段15で収納室A上にある居室Bに出入りし得るようにしてある。また、この図示例にかかる住宅では、この居室Bが小屋裏を一体に備えており、しかも、居室Cの天井裏空間にも連続する居住空間として構成してある。
【0041】
このように構成される収納室A上にある居室Bの床面16a側から当該階段15における壁10a,10b間にある空間に向けて、順次に段状に上がる仮設階段18を構成するように仮設段板30を倒し込み、壁10、10間にある階段15の上方に当該床面16aから、更に、上方に上がり下りをすることのできる仮設階段18を構成する。
【0042】
ここで壁10に備えられている仮設段板30は、居室Bの床面16aの側から当該壁10に、順次上方に向けて段状に上がるように、一定高さ毎に、例えば、仮設段板30の後端上に、次の仮設段板30の先端が位置するように、当該壁10に備えてあり、この壁10に向きあっている壁10に当該各仮設段板30を水平状態で受けるように同様の態様で備えられている支承部12に先端部30bを支持されて当該階段15上の空間に仮設階段18を構成し得る長さを備え、しかも、この仮設段板30が通例の階段における段板と同様の耐荷重を備えるものとしてあり、引き上げ、あるいは倒し込むために指かけ孔、取っ手、手かけ等の操作手段32を備えた構成としてあり、この図示例にあっては、ケースハンドルを当該仮設段板30の各面に設けてある。
【0043】
かかる仮設段板30は、一方の壁10、この図示例にあっては天井裏に延びる仕切り壁10aに起立状態に備えられており、その下端部30aを当該壁10に対して回動可能に枢支してあり、この枢支位置を回動軸線として起伏可能に組み付けてあり、この各仮設段板30を他方の壁10、この図示例にあっては間仕切り壁10bに備えられている支承部12に向けて倒し込み、階段における水平な各段板を構成した際に、この各仮設段板30が階段として都合の良い蹴上げ高さと、都合の良い踏み面幅とを備えるように壁10に備え付けてある。
【0044】
かかる仮設段板30は、更に、具体的には、壁10に設けられている凹部11に当該仮設段板30が納め入れられた状態で下端部30aを当該壁10に軸などの適宜の枢着手段によって枢支状態で回動可能に組み付けて起伏可能としてある。この図示例にあっては、壁10に対して上枠材11bと下枠材11cと背板11a及び側枠材とで構成する凹部11における下枠材11cに対して当該仮設段板30の下端部30aを蝶番31で起伏可能に組み付けてあると共に、この凹部11内に起立状態に収め入れられた状態で、当該壁側に適宜の手段で係脱可能に掛止してある。この図示例にあっては、凹部11内に起立状態で収め入れられた仮設段板30の上面側に被吸着手段としての磁性板41が設けてあり、凹部11内の背板11aに、この磁性板41に吸着する永久磁石を備えたマグネットキャッチャー42が設けてあって、仮設段板30を起立させて当該凹部11内に押し入れることによって仮設段板30の先端部30b側がマグネットキャッチャー42に吸引されて起立状態で支持され、すっきりとした階段空間を構成するようにしてある。
【0045】
かかる仮設段板30の架設される他方の壁10、この図示例にあっては、間仕切り壁10bに備えられている支承部12は、前記各仮設段板30に各別に対応して向き合うように順次上方に位置づけられる当該仮設段板30の先端部30bを乗せかけ得るように床面16a側から、順次段状に上がった位置毎に設けてあり、個別に仮設段板30の先端部30bを受ける受け部12aを備える構成としてある。この図示例にあっては、当該仮設段板30の先端部30bが入り込み、かつ、これを支承する受け部12bとして機能する下枠材13cと当該下枠材13cに向き合っている上枠材13b及び側枠材の内側に背板13aを張り込んで構成される凹部13を備えた構成としてある。この図示例にあっては、仮設段板30の先端部30bが都合良く載せ掛けられて水平に支承される受け部12aとしての下枠材13cを壁10に備え、これにゴムシート等の緩衝材12a’を貼り付けて仮設段板30の落とし込み時の衝撃を和らげるように構成してある。
【0046】
かかる構成からなる仮設段板30を用いて前記階段15上にある壁10、10間の空間に仮設階段18を随時、必要に応じて設け、当該居室Bから、更に上方に向けて上がりながら壁10の壁面を利用したり、居室C上にある空間に対して容易に出入りすることができる。
【0047】
なお、かかる仮設段板30は、随時、これを引き起こして壁10の凹部11内に起立状態に押し入れることで、塞いでいた階段空間を容易に解放して通例の階段15として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】典型的な仮設床構造を備える建物の要部の断面図
【図2】同要部の拡大断面図
【図3】同要部の斜視図
【図4】同他の向きから見た斜視図
【図5】同平断面図
【図6】同縦断面図
【図7】同他の向きにおける縦断面図
【図8】典型的な仮設階段構造を備える建物の要部の断面図
【図9】同要部の拡大断面図
【図10】同要部の斜視図
【図11】同他の向きから見た要部の斜視図
【図12】同平断面図
【図13】同縦断面図
【図14】同他の向きにおける縦断面図
【符号の説明】
【0049】
10 壁
15 階段
16a 床面
16b 仮設床面
18 仮設階段
20 仮設床板
20a 下端部
20b 先端部
30 仮設段板
30a 下端部
30b 先端部
X’ 階上
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の壁間に備えられている階段における階上の床面から、当該階段上の空間を該床面に同面をなすように塞ぐ複数枚の仮設床板を一方の壁に下端部を組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該仮設床板の先端部を支持する支承部を他方の壁に設けてあることを特徴とする仮設床構造。
【請求項2】
一対の壁間に備えられている階段における階上の床面から、当該階段上にある壁に挟まれた空間に仮設される階段であって、前記床面から順次段状に上るように階段を構成する複数枚の段板が一方の壁に下端部を組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該段板の先端部を支持する支承部を他方の壁に設けてあることを特徴とする仮設階段構造。
【請求項1】
一対の壁間に備えられている階段における階上の床面から、当該階段上の空間を該床面に同面をなすように塞ぐ複数枚の仮設床板を一方の壁に下端部を組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該仮設床板の先端部を支持する支承部を他方の壁に設けてあることを特徴とする仮設床構造。
【請求項2】
一対の壁間に備えられている階段における階上の床面から、当該階段上にある壁に挟まれた空間に仮設される階段であって、前記床面から順次段状に上るように階段を構成する複数枚の段板が一方の壁に下端部を組み付けて起伏可能に設けてあり、倒し込まれる当該段板の先端部を支持する支承部を他方の壁に設けてあることを特徴とする仮設階段構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−224562(P2007−224562A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45620(P2006−45620)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】
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