説明

会合基を有する分子の熱硬化性樹脂用硬化剤としての使用

本発明は、材料、塗料または接着剤として主として使用される熱硬化性または熱硬化ポリマーの分野に関する。より具体的には、本発明は、熱硬化性ポリマーの硬化剤または共硬化剤としての、窒素複素環を含む会合基を有する特定の分子の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料、塗料または接着剤として主として使用される熱硬化性ポリマーまたは熱硬化性樹脂の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、熱硬化性ポリマー用の硬化系を改質するための薬剤としての特定の分子の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
熱を用いて変形および再変形させることができ、剪断機械エネルギーの寄与でまたは寄与無しで、軟化し、流動可能となる熱可塑性ポリマーとは対照的に、熱硬化性ポリマーは、化学的架橋された高分子網目構造を構成する、即ち、共有結合タイプの不可逆的架橋結合によって架橋され、一旦獲得すると、もはや熱の作用により変形させることができない。熱硬化性樹脂は、高分子網目構造が形成されてしまうと、熱硬化した高分子網目構造となり、剪断機械エネルギーの寄与があったとしても熱の影響を受けて流動しない。一定の昇温の影響を受けた熱硬化ポリマーは、共有結合によって形成された架橋網目構造の頑強性の結果として、流動できるようになる前に分解することになると習慣的に言われている。非常に様々な可能な化学現象が関係する熱硬化架橋網目構造を結果として生成することができる非常に多くの系、例えばエポキシ、ポリウレタン、フェノール/ホルムアルデヒド、メラミン/ホルムアルデヒド、シリコーン、ウレア/ホルムアルデヒド、ポリエステルまたは不飽和ポリエステル網目構造などが存在する。「Polymer Networks」by Karel Dusek and Miroslava Duskova−Smrckova,in volume 3 of the series Macromolecular Engineering[Wiley−VCH,2007,eds.K.Matyjaszewski,Y.Gnanou and L.Leibler]には、架橋した高分子網目構造を得ることを可能にする主な架橋性系が列挙されている。
【0004】
熱硬化高分子網目構造が、少なくとも2成分の混合および結果として生ずる反応によって得られ、前記2成分の少なくとも一方が、関係する反応に関して2つより多くの官能基を有すると考えることは、当業者には通例である。特に、エポキシまたはポリウレタンタイプの系の場合、エポキシまたはイソシアナート官能基を有する成分を「樹脂」と呼び、アミンまたはアルコール官能基を有する成分を「硬化剤」と呼ぶことも、当業者には通例である。当分野において遭遇することがあるもう1つのタイプの言い方は、形成される高分子網目構造にも最終高分子網目構造にも「樹脂」という名を割り当てるものである。従って、例えばエポキシ、ポリウレタンまたはポリエステル樹脂の話を聞くことは珍しいことではない。従って、特にエポキシ系に関しては、この背景を考慮して、エポキシ樹脂という名が、出発オキシラン反応性官能基を有する化合物(本明細書では、以後、基剤エポキシ樹脂と呼ぶ。)に適用されるのか、または硬化剤との反応後の最終網目構造に関するのかを判定する必要がある。
【0005】
従って、硬化剤は、この名によると、反応性アミンまたはアルコール単位を有する化合物であり、多くの場合、多官能性化合物である。この硬化剤との混合物として、数ある中でも、反応に関して不活性である化合物(例えば、溶剤)、または対照的に、反応を制御することおよび最終生成物の一定の機械的特性を調整することを可能にする反応性溶剤もしくは希釈剤、ならびに反応性成分の架橋を加速することを可能にする触媒を含めることも可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Polymer Networks」by Karel Dusek and Miroslava Duskova−Smrckova,in volume 3 of the series Macromolecular Engineering[Wiley−VCH,2007,eds.K.Matyjaszewski,Y.Gnanou and L.Leibler]
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の主題は、例えばより良好な耐薬品性、支持体へのより良好な接着性、より良好な可撓性、最適なオープンタイムまたは最適な硬化時間などの改善された特性を有する材料、塗料または接着剤を形成する目的での、通常のアミンまたはアルコール硬化剤の部分的または完全代替品としての特定のタイプの分子、例えば架橋単位を有するアミンまたはアルコールの使用である。
【0008】
本発明者らは、これらの特定の分子が、
硬化加速剤の使用をもはや必要としないように、重合反応の卓越した触媒作用、
最終樹脂の改善された可撓性、
最終エポキシ樹脂の接着力の強化
を可能にすることを証明した(実施例1から4)。
【0009】
従って、本発明の主題は、会合基を有する分子の、および好ましくは、式(I)の会合基:
【0010】
【化1】

(式中、
Rは、少なくとも1つの反応性官能基、好ましくはアルコール、チオールまたはアミン官能基を含む単位を示し;
R’は、水素原子を示し、
Aは、酸素または硫黄原子、好ましくは酸素原子を示す。)
を有する分子の、熱硬化性樹脂用硬化剤としての使用である。
【0011】
このような使用は、硬化加速剤の使用および/または可撓化剤の使用および/または最終樹脂の接着促進剤の使用を部分的にまたは完全に不要にすることを可能にするので、通常の硬化剤と比べて相当な利点を示す。
【0012】
熱硬化樹脂を改質するための様々な薬剤の使用の例は、例えば、by Petrie Edward M.,「Epoxy Adhesives Formulations」,Chemical Engineeringに詳細に記載されている。
【0013】
このように、可撓化剤のおよび接着剤の別個の製品の形態での触媒の同時添合を、必要とし得る配合物に頼ることは、エポキシ樹脂の技術分野の技術者には通例である。
【0014】
エポキシ樹脂用の触媒は、多くの場合、硬化剤に組み込まれた第四級アミンである。しかし、これらの触媒の大部分は、最終樹脂の可撓性を促進するとは言えない。
【0015】
可撓化剤は、オキシラン官能基を有する基剤エポキシ樹脂と共に導入される場合もあり、硬化剤の中に導入される場合もある。可撓化剤は、基剤エポキシ樹脂より可撓性が高い樹脂であり、または硬化剤のものより可撓性が高い分子構造を有する架橋剤(この場合は共硬化剤である。)である。しかし、両方の場合、この改質剤は、比較的高い分子量を有し、この比較的高い分子量が、最終高分子網目構造へのこれらの組み込みにより架橋ノード間の距離を増す影響を及ぼし、最終樹脂の機械的特性を有意に低下させる。完成樹脂に可撓性をもたらすことを目的とする、エポキシ樹脂の主成分の1つを改質するこの方法の代替形態が、先行ハイブリッド法である。この方法は、改質された基剤エポキシ樹脂、例えばエポキシ/ポリアミド、エポキシ/ビニルまたはエポキシ/ポリスルフィド樹脂の製造を可能にする、基剤エポキシ樹脂の製造工程の変更に関する。これらのハイブリッド改質剤の一部は、熱機械的特性を犠牲にしてであるが、接着性を改善する(基剤エポキシ樹脂、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、即ち「BADGE」タイプの液体樹脂とポリアミドとで得られるエポキシ樹脂の場合)。2成分熱硬化性樹脂の反応体の先行ハイブリッド法のこの原理によると、他のオリゴマーまたはポリマー可撓化剤を、基剤樹脂中でなければ硬化剤中で、例えば、基剤エポキシ樹脂のアルコール官能基と反応したアルキルジイソシアナートプレポリマーと共に使用すること、でなければアミン末端を含むシリコーンポリマーと共に使用すること(この時は、ポリアミン硬化剤の共反応体として利用される。)ができる。最終樹脂のより高い可撓性を可能にするために、他のポリマー共反応体または他の添加剤、例えば、熱硬化性樹脂への弾性相の導入を可能にする液体ポリブタジエン誘導体が開発された。最後に、ポリスルフィドを可撓化剤としてまたは硬化剤として基剤エポキシポリマーと共に標準比1:1で使用することができるが、この場合、これらのポリスルフィドは、例えばDMP−30などの第三級アミンによって完全に触媒されなければならない。さらに、これらの臭気により特定の添加剤の添加が必要されることがある。
【0016】
これらの高い費用に加えて、最終樹脂のより高い可撓性を可能にすることを目的として改質されたこれらすべてのポリマーまたはプレポリマーは、可撓性の必要が適用の際に求められる時、熱硬化性樹脂の加工をこの原配合に関して著しく変更する必要を一般に有する。このため、エポキシ配合物への新たなタイプの添加剤、例えば、可撓化された樹脂内での相分離および不均一性の問題を制限することを可能にする相溶化剤またはカップリング剤を導入する必要が時あり、でなければ、熱可塑性ポリマー成分に頼ることに起因する付加的粘度を低下させる添加剤を導入する必要がある(例えば、エポキシ−ナイロン樹脂の場合)。
【0017】
可撓性促進剤(flexibility−promoting agent)のもう1つのカテゴリーは、反応性または非反応性希釈剤のものである。非反応性希釈剤は、正式には可塑剤であり、可撓化剤ではなく、これらの希釈剤は、エポキシ樹脂の機械的特性の劣化を生じさせ、時として、特に接着剤には望ましくない滲出現象を生じさせる。
【0018】
反応性希釈剤は、高分子網目構造の形成に加わるので、非移動性である。反応性希釈剤は、モノグリシジル官能基を含む長鎖分子であることが多いが、ジグリシジル官能基を含む反応性希釈剤は、最終熱硬化性樹脂網目構造の密度に寄与することができ、しかし接着性を向上させることはない。これらの希釈剤は、これらの相溶性のため、従来、樹脂の基剤エポキシ成分と併用されている。
【0019】
熱硬化性樹脂の接着を促進する薬剤の中で、オルガノシランは、広く用いられているファミリーを構成するものであり、架橋エポキシ樹脂と表面ヒドロキシル官能基を有する無機支持体、例えば無機フィラー(例えば、クレーもしくはアルミナ)、複合強化ガラスまたはセラミックとの接着の良好な促進剤である。オルガノシランは、金属支持体へのエポキシ樹脂の接着を増すためにも用いられる。これらのオルガノシランは、支持体上に直接塗布するプライマーとして用いることができ、でなければ熱硬化性樹脂の配合の際に添合することができる。しかし、金属に対する接着の際の使用が、オルガノシランを支持体上にプライマー層として塗布すると最適である時、このことは、この場合、熱硬化性樹脂の堆積前の前処理工程を含意する。しかし、オルガノシランは、感湿性を示すが、この感湿性は、これらの使用を問題のあるものにすることがあり、またこれらの有効性を不確実にすることがある。さらに、ポリマー支持体上でのこれらオルガノシランの使用は、ポリマー支持体が、表面に、シランと反応できる反応性基、典型的にはOH基を有することを必要とし、この結果、オルガノシランを伴う利用は、特に、熱硬化性樹脂有機結合剤と無機または金属強化材とのカップリングにより機械的強度特性および耐久性の増加が望まれる組成物の調製に関する。
【0020】
無機支持体へのエポキシポリマー有機マトリックスの接着を促進する薬剤のもう1つのタイプは、有機金属錯体(例えば、チタン酸塩またはジルコン酸塩)のものである。しかし、これらの錯体は、これらの最適な有効性が支持体の表面での単層の形成に備える量のために得られるので、過剰投与の高いリスクのため利用には問題が多い。従って、代わりにこれら有機金属錯体の使用を無機フィラーの表面処理に限定して、有機マトリックス内でのこれらの堆積を助長する。この時、この役割は、無機フィラーと樹脂とのカップリング剤の役割であり、熱硬化樹脂と無機または金属支持体との接着の向上に寄与しない。クロムに基づくまたはコバルトに基づく他の有機金属錯体が研究されているが、これらの毒性のため、使用が制限される。
【0021】
本発明によると、上で定義したとおりの会合基を有する分子の、熱硬化性樹脂用硬化剤としての使用は、例えば、2成分熱硬化樹脂の硬化を加速することおよび可撓性に寄与することを可能にするが、最終樹脂の機械的特性を深刻に損なわせることはない。本発明による使用は、無機または金属支持体への樹脂の接着ばかりでなく、例えばPMMAなどのヒドロキシル官能基を有さないポリマーへの樹脂の接着の強化をも可能にする。熱硬化樹脂とポリマーとの接着の後述の状況は、例えば、エポキシ熱硬化性樹脂下層上へのポリウレタンタイプの熱硬化性樹脂層の接着の場合のような、異なる性質のポリマー間の接着を本発明に従って達成する可能性によって説明される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、窒素含有複素環を含む会合基を有する分子を、好ましくは異なる少なくとも2つの熱硬化性樹脂のための硬化剤として使用する。
【0023】
この実施形態は、2つの樹脂間の接着を増すことを可能にし、その上、溶剤の蒸発について起こり得る不利益を示す接着剤の使用を不要にするので、特に有利である。
【0024】
この実施形態は、反応体により部分的に改質された熱硬化性樹脂であって、後に別の樹脂と反応させるものである樹脂の使用を不要にすることも可能にする。これは、この第二の加工工程が、加熱による活性化を必要とする場合、困難であり得るため、でなければ健康に有害であり得るイソシアナートなどの高反応性基の化学作用を加工現場で用いるが反応を周囲温度で行わなければならない場合、環境についての問題をもたらすためである。
【0025】
本発明の、より詳細にはエポキシ官能基を含む熱硬化性樹脂についての一例として、過度に剛性であり接着性を欠くというこれらのエポキシ樹脂の固有の欠点が、会合基を有する分子の形態での同じ改質剤により初めて改善される。今日まで、完成エポキシ樹脂の可撓性の改質は、基剤プレ樹脂またはエポキシ官能基を有する樹脂を改質することまたは脂肪モノエポキシドなどの反応性溶剤の添加、いずれかによって達成された。このため、完成エポキシ樹脂の接着は、例えばシリル化タイプの接着促進剤の添加によって改善されたが、この結果、2つの特性、剛性および接着性が、高分子網目構造に対する有意な改質を必要とし、これらの加工を配合の点で複雑にした。
【0026】
用語「硬化剤」は、本発明の意味の中では、一旦獲得してしまうと熱の作用によりもはや変形することができない共有結合タイプの不可逆的架橋結合による高分子網目構造の化学的架橋を生じさせることができる化合物を意味すると解される。
【0027】
本発明による会合単位は、少なくとも2つの異なる分子の単位間に水素結合タイプの相補的な物理的結合を作ることができる窒素含有複素環を含む単位である。
【0028】
用語「会合基」は、水素、イオンおよび/または疎水結合により互いに会合できる基を意味すると解される。会合基は、本発明の好ましい形態によると、5または6の環員を一般に有すると共にカルボニル基を好ましくは含む窒素含有複素環、好ましくは二窒素含有複素環を含む、水素結合により会合できる基である。本発明の好ましい形態に従って使用することができる会合基の例は、イミダゾリジニル、ビス−ウレイル、ウレイド−ピリミジル基である。イミダゾリジニル基が好ましい。
【0029】
好ましい実施形態において、会合基を有するこれらの分子は、得られる熱硬化樹脂の特性、例えば支持体への接着および可撓性を調整することを可能にするアミンまたはアルコールタイプの通常の硬化剤と併用される。
【0030】
従って、本発明の好ましい実施形態において、窒素含有複素環を含む会合基を有する分子の使用は、前記樹脂の支持体への接着を増すために、共硬化剤、即ち通常の硬化剤と併用で行われる。
【0031】
実施例4に提示するように、共硬化剤と併用での会合基を有するこのような分子の使用は、会合基を有するこのタイプの分子を含まない樹脂と比較して、熱硬化性樹脂の支持体への接着を増すことを可能にする。好ましくは、式(I)の会合基を有する分子において、Rは、HN−(CH−、HS−(CH−またはHO−(CH−(この場合、nは、1と18の間の整数を表す。)から選択される。
【0032】
詳細には、窒素含有複素環に加えて少なくとも1つのアミンまたはアルコール官能基を含む会合基を有する分子が、特に好ましい。さらに、これらの分子が水溶性の性質を示す時、特に、上の式においてHN−(CH−、HS−(CH−またはHO−(CH−単位中のnが1または2に等しい場合、この性質は、これらの分子を熱硬化性樹脂用の硬化剤として水中でまたは水性エマルジョン中で使用することを可能にする。この実施形態は、特に水系塗料および接着剤の調製のために、工業的および商業的関心が非常に高いものである。
【0033】
従って、本発明のもう1つの主題は、nが1または2に等しいことおよび熱硬化性樹脂が水中または水性エマルジョン中に存在することを特徴とする、式(I)の分子の使用である。
【0034】
従って、会合基を有する前記分子は、好ましくは、1−(2−アミノエチル)イミダゾリドン[1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン(UDETA)としても公知]、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリドン(HEIO)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−(2−[2−{2−アミノエチルアミノ}エチルアミノ]エチル)イミダゾリドン(UTEPA)またはN−(6−アミノヘキシル)−N’−(6−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリミジン−2−イル)ウレア(UPy)から選択される。
【0035】
化合物UDETA、UTETAおよびUTEPAは、ウレアとポリアミンの反応によって得ることができる。例えば、UDETA、UTETAおよびUTEPAは、ウレアをジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)およびテトラエチレンペンタアミン(TEPA)と反応させることによってそれぞれ調製することができる。化合物HEIOは、ウレアを対応するジアミノアルコール、即ち2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノールと反応させることによって得ることができる。
【0036】
上記に示したように、会合基を有する分子を熱硬化性樹脂用の硬化剤として単独で使用することができるが、これらの分子は、好ましくは、他の硬化剤との混合物として使用される。
【0037】
例えば、会合基を有するこれらの分子が通常の硬化剤と併用される場合、これらの分子は、この併用物の総重量に対して0.1から50重量%の含有量で使用される。
【0038】
本発明に従って通常の硬化剤としてまたは共硬化剤として使用することができる化合物の中で、以下のものに言及することができる:
アルキル−またはアリールアミンおよび特に、直鎖エチレンポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)およびテトラエチレンペンタアミン(TEPA)、環状ジアミン、特に、1−2−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンまたはN,N’−ジイソプロピルイソホロンジアミン、芳香族一級ジアミン、例えば4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(オルト−クロロアニリン)(即ちMBOCA)、キシレンジアミン異性体、例えばジエチルトルエンジアミン(即ちDETDA)、
エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとポリアミン、例えばDETAとの付加体、例えば、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、Huntsmanにより商品名Jeffamine(登録商標)D−2000、T−403で販売されているポリエーテルアミン、
グリシジルに対し過剰なアミン官能基を有するBADGE−脂肪族アミン付加体、
ポリアミドアミン、例えば、Cognis Corp.からのVersamid(登録商標)140またはHexionからのEpikure(登録商標)3090、
ポリアミド、例えば、HexionからのEpi−cure(登録商標)3090およびEpikure(登録商標)3100−ET−60、
脂肪酸とポリアミンとの縮合によって得られるアミドアミン、例えば、Air ProductsからのAncamide(登録商標)−260A(登録商標)およびAncamide(登録商標)501、
「可撓化」ポリアミド、例えば、HexionからのEpi−cure(登録商標)3164、
ポリメルカプタン、例えば、Cognis Corp.からのCapcure(登録商標)3830−81、
(ポリ)アミンとホルムアルデヒドと(アルキル)フェノールとの反応によって得られるマンニッヒ塩基、例えば、HexionからのEpi−cure(登録商標)190、195、197、
ケチミン、例えば、HexionからのEpikure(登録商標)3502、
Air Productsからのジシアノジアミド(DICY)Amicure(登録商標)CG−1200、
ポリイソシアナートを架橋させる基剤ポリオールエポキシ樹脂、例えば、HexionからのEpikote(登録商標)1007および1009、ならびに
ポリウレタン硬化性ポリオールおよびポリオールエステル。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の1つの実施形態において、本発明による会合基を有する分子は、硬化加速剤および/もしくは可撓化剤および/もしくは接着促進剤と併用することができ、または会合基を有する別の分子と併用することさえできる。従って、例えば、ポリウレタン/ポリウレア樹脂用の硬化剤または共硬化剤としてのUDETAおよびHEIOの使用を考えることが可能である。
【0040】
エポキシまたはポリウレタン硬化加速剤は、第三級アミン、例えば、Huntsmanからのポリウレタン用Jeffcat(登録商標)触媒である場合があり、フェノール、例えば、HuntsmanからのEpikure(登録商標)3253である場合があり、エポキシオキシランまたは2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI)との反応を触媒するためのルイス酸である場合がある。
【0041】
可撓化剤は、基剤樹脂より可撓性が高い二官能性樹脂である場合があり、この時、単独で用いることができまたは通常の硬化剤との共架橋で用いることができ、でなければ可撓化剤は、モノグリシジル官能基または時折(エポキシ樹脂の場合)ジグリシジル官能基を含む長鎖分子の中に見出すことができる。
【0042】
接着促進剤は、オルガノシラン、チタン酸塩またはジルコン酸塩タイプの有機金属錯体から、およびより一般的には上述の化合物から、選択することができる。
【0043】
他の添加剤を本発明による分子と併用することができる。これらの他の添加剤は、例えば、反応性であるまたはない溶剤または希釈剤、架橋反応の触媒、および本発明による会合基を有する分子以外の一官能性化合物である。非反応性溶剤の中ではAir ProductsからのEpodil(登録商標)748に言及することができ、非反応性添加剤の中ではフタル酸ジブチル、コールピッチまたはパイン油に言及することができ、エポキシ樹脂用の反応性希釈剤の中ではグリシジルアルキルエーテル、スチレンオキシドまたはブタンジオールジグリシジルエーテルに言及することができ、架橋触媒の中ではジシアノジアミド(DICY)(例えば、Air ProductsからのAmicure CG−1200)、第三級アミン、例えばHuntsmanからのEpikure(登録商標)3253、またはHuntsmanからのJeffcat(登録商標)レンジのすべての第三級アミンに言及することができ、本発明に関連して特に評価されるフィラーの中では、タルク、焼成シリカ、アルミナ、ケイ酸塩、クレー、炭酸カルシウム、難燃剤としての三酸化アルミニウム、熱または電気伝導剤としての金属粉またはカーボンナノチューブに言及することができる。
【0044】
用語「熱硬化性樹脂」は、本発明の意味の中では、硬化剤により化学的に架橋して熱硬化樹脂を生じさせることができ、一旦獲得すると熱の作用によってもはや変形させることができないポリマーを意味すると解される。言い換えると、熱硬化性樹脂は、高分子網目構造が形成されると、熱硬化した高分子網目構造になり、この熱硬化した高分子網目構造は、たとえ剪断機械エネルギーの寄与があっても、熱の影響を受けて流動しない。
【0045】
熱硬化性樹脂の中で、エポキシ、イソシアナートまたは酸単位を含むもの、例えば、窒素含有複素環に加えてアミンまたはアルコール官能基を有する会合基を有する分子との反応によりエポキシ、ポリウレタンまたはポリエステルタイプの熱硬化網目構造を生成する結果となるものが好ましい。
【0046】
本発明による硬化剤を使用して架橋されるエポキシ樹脂に関しては、例として、少なくとも2に等しい官能価(1分子あたりのエポキシ官能基数と定義する。)を示すエポキシ化樹脂、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ブタジエンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、ビニルシクロヘキサンジオキシド、4,4’−ジ(1,2−エポキシエチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ジ(1,2−エポキシエチル)ビフェニル、2,2−ビス(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)プロパン、レゾルシノールジグリシジルエーテル、フロログルシノールジグリシジルエーテル、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,5−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)アジパート、N,N’−m−フェニレンビス(4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサン−ジカルボキサミド)、ヒダントイン環を含むジエポキシ化合物およびこれらに類するものに言及することができる。このような樹脂は、一般に式(II)によって表すことができる:
【0047】
【化2】

(式中、R3は、式−CH−O−R4−O−CH−の基であり、この式中のR4は、2から12個の炭素原子を有すると共に少なくとも1つの置換または非置換脂肪族または芳香族環も含むアルキレン基から選択される二価の基である。)。1分子に3つ以上のエポキシド基を含むポリエポキシ化樹脂、例えば、p−アミノフェノールトリグリシジルエーテル、ポリアリールグリシジルエーテル、1,3,5−トリ(1,2−エポキシ)ベンゼン、2,2’,4,4’−テトラグリシドキシベンゾフェノン、テトラグリシドキシテトラフェニルエタン、ノボラックタイプのフェノール/ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルおよびテトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなども使用することができる。
【0048】
本発明に従って架橋されるイソシアナート樹脂に関しては、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(TMDIs)、例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ウンデカントリイソシアナート(UNTIs)、2−メチルペンタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、2,4−または2,6−トルエンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDIs)、1,5−ナフタレンジイソシアナート(NDI)、p−フェニレンジイソシアナート(PPDI)、少なくとも2つのイソシアナート官能基を含む付加体であって、言及したものの中の少なくとも2つのイソシアナート官能基を含む化合物と例えばヒドロキシル、チオールまたはアミン官能基などのイソシアナート官能基と反応する他の官能基を有する化合物との縮合によって形成されたものである付加体に言及することができる。
【0049】
ポリイソシアナートの中では、改質ポリイソシアナート、例えば、カルボジイミド基、ウレタン基、イソシアヌラート基、ウレア基またはビウレア基を含むものに言及することができる。
【0050】
ポリイソシアナートを架橋してポリウレタンを得ることを可能にするポリオールであって、HEIOなどの本発明による会合官能基を有する分子を直接組み込むことができるものであるポリオールに関しては、特に、グリセロール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール、例えば、アルキレンオキシドもしくはアルキレンオキシドの混合物とグリセロール、エチレングリコール、トリメチロールプロパンもしくはペンタエリスリトールとの縮合によって得られるもの、またはポリエステルポリオール、例えば、ポリカルボン酸、特にシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸もしくはテレフタル酸とグリセロール、エチレングリコール、トリメチロールプロパンもしくはペンタエリスリトールとから得られるものに言及することができる。
【0051】
アルキレンオキシド、特にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの、芳香族アミン、特に2,4−トルエンジアミンと2,6−トルエンジアミンの混合物への、付加によって得られるポリエーテルポリオールも適する。
【0052】
他のタイプのポリオールとしては、特に、ヒドロキシル末端を含むポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカルボナート、ポリアセタール、ポリオレフィンおよびポリシロキサンに言及することができる。
【0053】
ポリ酸とポリオールの反応によって得られるポリエステルおよび不飽和ポリエステル樹脂に関しては、酸成分について、コハク酸、ペンタン二酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびこれらの酸の無水物、ヘプタン二酸、オクタン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸および36個の炭素を含む脂肪酸二量体に言及することができる。
【0054】
上述の脂肪酸二量体は、特にEP0471566に記載されているような、長い炭化水素鎖を含む不飽和一塩基性脂肪酸(例えば、リノール酸およびオレイン酸)のオリゴマー化または重合によって得られる二量体化脂肪酸である。
【0055】
前記二酸が環式脂肪族である時、この二酸は、次の炭素系骨格を含むことができる:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。
【0056】
前記二酸が芳香族である時、この二酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸およびナフタレン二酸ならびにこれらの酸の無水物から選択される。
【0057】
ポリオール、ポリ酸を架橋してポエステルを得ることを可能にする少なくとも2つのヒドロキシル基を含む分子を有する化合物に関しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレングリコール、1,8−オクタメチレングリコール、1,10−デカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサジメタノール、ポリエーテルジオール、例えばPEG、PPGまたはPTMG、ジカルボン酸単位、例えばテレフタル酸、およびグリコール(エタンジオール)またはブタンジオール単位に言及することができる。
【0058】
HEIO、UDETAおよびポリオールの三成分混合物を、言及した二酸の1つと共に用いて、ポリエステルアミドを得ることも可能である。
【0059】
以下の非限定的実施例に鑑みて本発明のより良い理解が得られる。
【0060】
実施例
実施例1から4において用いるための完成エポキシ樹脂の調製についてのプロトコル
本発明によるエポキシ樹脂配合物を以下の方法で得た:
100gまたは25gの基剤エポキシ樹脂を使い捨てプラスチックビーカーに量り入れ、次に、
当業者に公知の化学量論の原理、即ちエポキシド1当量につき1当量のNHに従って計算した必要量の硬化剤を添加する。従って、添加すべき硬化剤のグラムでの重量は、(HEW/EGC)×(関係する基剤樹脂のグラムでの重量)に等しく、この場合、HEW(g/当量で表される水素当量)は、活性水素原子の数、この場合はNHの数(各NHが1つのエポキシド基と反応できる。)で割ったグラムでの硬化剤のmol質量によって定義され、およびEGC(基剤エポキシ樹脂1キログラムあたりのエポキシド官能基のミリモルで表されるエポキシ基含有量)、ならびにEGCおよびHEWは、それぞれ、基材樹脂および硬化剤の供給業者によって示されたものである、
スティックを使用する急速均質化後に、本発明による会合官能基を有する分子を硬化剤と同時にまたは硬化剤により最終樹脂の数重量%の含有量で添加し、
メカニカルスターラーで1分間、混合を行う。
【実施例1】
【0061】
本発明によるエポキシ樹脂の硬化の加速
上で説明した共通プロトコルによる配合物の調製、
浸漬熱電対を使用する発熱架橋の進行の関数としての温度のモニタリング。触媒の添加の望ましい効果は、遅すぎると考えられる樹脂/硬化剤混合物の硬化時間の短縮である。オープンタイム(配合物が粘稠になりすぎる、実際には固体にさえなる、前の配合物を使用および塗布することが可能である時間によって定義される。)は、一般に、研究する液体系についての粘度の倍増に対応する。この時間は、発熱最大値の発生に必要な時間に類似している;エポキシ樹脂/硬化剤配合物について、および本発明による会合官能基を有する分子の添加を伴う同配合物について、架橋中に最高温度に達する時間を比較したのは、この理由による。
【0062】
配合物A:
基剤エポキシ樹脂 HexionからのEpikote(登録商標)828 EL(ビスフェノールAに基づく樹脂):100g
硬化剤 Aditya Birla ChemicalsからのCetepox(登録商標)1312 NFH(イソホロンジアミン、CAS No.2855−13−2とベンジルアルコールの混合物;この混合物は、純粋なイソホロンジアミンよりエポキシ樹脂に対して反応性が高いことが主張されている。):62.2g
配合物B:配合物Aと、加えて、6.5gの1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン CAS No.6281−42−1、即ち最終樹脂の4重量%
配合物C:配合物Aと、加えて、11.3gの1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン、即ち最終樹脂の7重量%
配合物D:
基剤エポキシ樹脂 Epikote(登録商標)828 EL:100g
硬化剤 HexionからのEpikure(登録商標)943(純粋なイソホロンジアミン):23.2g
配合物E:配合物Dと、加えて、4.9gの1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン、即ち最終樹脂の4重量%
配合物F:配合物Dと、加えて、8.6gの1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン、即ち最終樹脂の6.5重量%
配合物G:
基剤エポキシ樹脂 HexionからのEpikote(登録商標)240(モノグリシジル官能性の直鎖C10−C14分子から成る反応性希釈剤が存在する状態の、ビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂とビスフェノールFに基づくエポキシ樹脂の混合物):100g
硬化剤 Cetepox(登録商標)1312 NFH:62.2g
配合物H:配合物Gと、加えて、6.5gの1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン、即ち最終樹脂の4重量%
最大発熱時間(分での)結果を下の表1に順序正しくまとめる:
【0063】
【表1】

液体配合物A、DまたはGへの数パーセントの1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オンの添加により、(Cと比較して)配合物Aについてのおおよそ35%からD(Fと比較して)およびG(Hと比較して)についての65%までにわたる、最大発熱に達する時間の減少が可能となり、このことにより同じ割合で各配合物についてオープンタイプの短縮をあてにすることが可能となる。1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オンと市販の硬化剤の使用による架橋を加速する効果は、試験したエポキシ系のうち反応性が最も低い配合物DおよびGについて最大であることに注目される。
【実施例2】
【0064】
本発明によるエポキシ樹脂の硬化の加速:第三級アミン触媒との比較
この比較は、触媒テトラメチルプロピレンジアミン(TMPDA)CAS No.110−95−2の使用に関し、この触媒は、1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オンのものに非常に近い分子量を有するものであり(130g/mol対129g/mol)、この触媒の2つの第三級アミン官能基のため、エポキシ樹脂についての良好な触媒と考えられる。使用したTMPDAは、Arkema Franceによりテトラメチルプロピレンジアミンというこの通常の名で販売されている。
【0065】
配合物G=実施例1の配合物G
配合物I=実施例1の配合物Gと、加えて、4重量%のTMPDA
配合物J=実施例1の配合物Gと、加えて、4重量%の1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン
配合物K=実施例1の配合物D
配合物L=実施例1の配合物Dと、加えて、4重量%のTMPDA
配合物M=実施例1の配合物Dと、加えて、4重量%の1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン、即ち実施例1の配合物Eのようなもの
【0066】
発熱最大値に達する分での時間の結果を下の表2に与える:
【0067】
【表2】

1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オンの使用は、試験した配合物GおよびKの硬化時間の、類似した分子量のビ−触媒(bi−catalyst)TMPDAを伴うものより、大きな減少を達成することを可能にする。
【実施例3】
【0068】
本発明によるエポキシ樹脂の可撓化
架橋した樹脂の可撓性を幾つかの方法で測定した。このショアー硬度をNF T 51109規格に従って測定した。
【0069】
ショアー硬度測定値は、商標記号Andilog(登録商標)を有するニードル・デュロメータで得た。0.9%の炭素を含む硬化鋼について100の硬度および軟鋼について35の硬度が得られるようにこの装置を校正する。本発明による会合官能基を有する分子の使用により最終樹脂の可撓性がある期間にわたって保持されたことを確認するために、各樹脂を数日間50℃で維持し、このショアー硬度を定期的に測定した(NF T 51109規格)。この試験によると、50℃で10日間の維持は、周囲温度で6ヶ月間の経年劣化にほぼ対応する。
【0070】
配合物A=実施例1の配合物A
配合物B=実施例1の配合物B
配合物C=実施例1の配合物C
【0071】
数日間の50℃での時間の関数としてのショアー硬度として結果を提示する。時間0は、樹脂と1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オンを含む硬化剤(配合物BおよびC)とのまたは1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オンを含まない硬化剤(配合物A)との反応後の、即ち、架橋に起因する発熱の発生が完了し、樹脂が周囲温度に戻った後の、硬度測定に対応する。表3に与える測定値は、5回の硬度測定の平均値である。
【0072】
【表3】

実施例3における対照Aとの比較での配合物Bの硬度の全体にわたる減少は、本発明による会合官能基を有する分子4%の使用の最終樹脂に対する可撓化効果を示す。この効果は、高温条件下で10日間の樹脂の維持に存する経年劣化試験の間、持続する。
【実施例4】
【0073】
エポキシ樹脂の接着の強化
本発明による会合官能基を有する分子の使用による様々な支持体への最終樹脂の接着の改善を、「引き剥がし」試験、ISO 2409規格に従って測定した。
【0074】
この原理は、異なる支持体上で架橋を行った樹脂上に、この樹脂に平行および垂直の切り込みを入れることにより、十字形パターンを作ることに存する。この十字形パターンは、1mm×1mmの寸法および100μmの厚みを有する25の正方形から成る。これらの切り込みは、塗膜の支持体については貫通しなければならない。作った十字形パターンの上に接着テープのストリップを置き、5分後にこのストリップを迅速に引き剥がす。その後、テープによって引き剥がされた小正方形の数によってこの接着が特性づけられる。引き剥がされた正方形が少ないほど、接着は良好であると判定されることとなる。
【0075】
配合物N:
基剤樹脂 Epikote(登録商標)828 EL:25g
硬化剤 Ancamine(登録商標)2609(Eurochem Kimya):10g
【0076】
Ancamine(登録商標)2609は、ジ第一アルキル−およびアリールアミン、即ち、フェノール(p−(t−ブチル)フェノール)によって触媒されてエポキシドと反応する2つの−NH官能基を有するものの混合物である。
【0077】
配合物O=1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン(1.45g、即ち最終樹脂の4重量%)がさらに組み込まれている配合物N
配合物P=2.6g(最終樹脂の7重量%)の1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オンがさらに組み込まれている配合物N
【0078】
テープを引き剥がした後に接着したままである正方形の数としての、様々な支持体に対する引き剥がし試験の結果を、下の表4に順序正しくまとめる:
【0079】
【表4】

配合物OおよびPは、対照Nよりはるかに低い引き剥がしを示す;最初の配合物への数重量パーセントの1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オンの添合は、最終エポキシ樹脂のセラミック、鋼およびカルボニル基を提示するポリマー、例えばPMMAへの接着を非常に著しく改善する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の会合基:
【化1】

(式中、
Rは、少なくとも1つの反応性官能基、好ましくはアルコール、チオールまたはアミン官能基を含む単位を示し;
R’は、水素原子を示し、
Aは、酸素または硫黄原子、好ましくは酸素原子を示す。)
を有する分子の、熱硬化性樹脂用硬化剤としての使用。
【請求項2】
Rが、HN−(CH−、HS−(CH−またはHO−(CH−(この場合のnは、1と18の間の整数を表す。)から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
会合基を有する前記分子が、1−(2−アミノエチル)イミダゾリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリドン、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン、1−(2−[2−{2−アミノエチルアミノ}エチルアミノ]エチル)イミダゾリドンまたはN−(6−アミノヘキシル)−N’−(6−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリミジン−2−イル)ウレアから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
支持体への前記樹脂の接着を向上させるための、共硬化剤と併用での、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
アルキル−またはアリールアミンおよび特に、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンおよびテトラエチレンペンタアミン、環状ジアミン、特に、1−2−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンまたはN,N’−ジイソプロピルイソホロンジアミン、芳香族一級ジアミン、特に、4,4’−メチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(オルト−クロロアニリン)またはキシレンジアミン異性体、例えばジエチルトルエンジアミン、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、ポリエーテルアミン、グリシジルに対し過剰なアミン官能基を有するBADGE−脂肪族アミン付加体、ポリアミドアミン、ポリアミド、アミドアミン、ポリメルカプタン、(ポリ)アミンとホルムアルデヒドと(アルキル)フェノールとの反応によって得られるマンニッヒ塩基、ケチミン、ジシアノジアミド、ポリオールエポキシ樹脂ならびにポリウレタン硬化性ポリオールから選択される共硬化性化合物と併用での、請求項1から4のいずれか一項に記載の分子の使用。
【請求項6】
熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
少なくとも2つの熱硬化性樹脂が使用される、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記2つの樹脂が異なることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
会合基を有する分子が、組成物の総重量に対して0.1から50重量%の含有量での共硬化剤と併用されることを特徴とする、請求項4および5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
nが、1または2に等しいこと、および熱硬化性樹脂が、水中にまたは水性エマルジョン中に存在することを特徴とする、請求項2から9のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2012−528915(P2012−528915A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513663(P2012−513663)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051095
【国際公開番号】WO2010/139906
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】