会議種類推定装置および会議種類推定プログラム
【課題】行動観測上のノイズの影響を抑制しつつ、同一の位置において行われる複数の会議を区別し、それら会議の種類を判別することができる会議種類推定装置及び会議種類推定プログラムを提供する。
【解決手段】会議種類推定サーバ1は、位置情報履歴テーブル20から位置検出対象者が所在する時間帯を分節する会議分節手段10Bと、分節した時間帯において、複数の位置検出対象者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性グラフを作成する同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cと、同時検出時間会合蓋然性グラフから、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び組み合わせに共通する位置検出対象者の分布に応じて会議の種類を判定する会議種類判定手段10Fとを有する。
【解決手段】会議種類推定サーバ1は、位置情報履歴テーブル20から位置検出対象者が所在する時間帯を分節する会議分節手段10Bと、分節した時間帯において、複数の位置検出対象者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性グラフを作成する同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cと、同時検出時間会合蓋然性グラフから、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び組み合わせに共通する位置検出対象者の分布に応じて会議の種類を判定する会議種類判定手段10Fとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議種類推定装置および会議種類推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
同じ場所で検出された位置検出対象者から会議を行っていた位置検出対象者を推定する会議推定装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の会議推定装置は、位置検出対象者で構成される組織の情報や位置検出対象者が出席した会議の履歴情報等である参照情報を記憶する記憶手段と、位置検出対象者の検出される位置及び時間等の情報を有する位置情報履歴から複数の位置検出対象者が同時に検出される会議等が行われたと推定される時間を検出する同時検出判定手段と、同時検出判定手段が検出した会議等が行われたと推定される時間と参照情報とに基づいて会議が行われたか否かを推定する会議推定手段とを有し、参照情報を用いない場合に比べてより確実に会議の有無を推定して、また同じ場所に検出された位置検出対象者を組織の情報に基づいて分類する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−191886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来の技術では、位置検出対象者が会議の最初から最後まで一定している場合に、会議が行われたことを推定するものであるが、位置検出者を検出する観測機器が誤って位置検出対象者を検出した場合、観測機器が誤って位置検出対象者を検出できなかった場合、及び位置検出対象者が会議中に不規則に離脱又は合流した場合に、短時間位置が検出された人や短時間位置が検出されなかった人が存在するといった行動観測上のノイズの存在に対応するものではなく、推定した会議の種類を判断するものでもない。また、同一の位置において複数の会議が行われている場合に、それぞれの会議を区別するものでもない。
【0006】
本発明の目的は、同一の位置において行われる複数の会議を区別し、それら会議の種類を判別することができる会議種類推定装置及び会議種類推定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴から一人以上の位置検出対象者が所在する時間帯を分節する分節手段と、前記時間帯において、前記複数の位置検出対象者の二者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、前記複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性情報を作成する作成手段と、前記同時検出時間会合蓋然性情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び前記組み合わせに共通する位置検出対象者の前記組み合わせにおける分布に応じて会議の種類を判定する判定手段とを有する会議種類推定装置。
【0008】
[2]前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせを見つけ、それぞれの前記組み合わせに含まれる位置検出対象者のある二者間で、前記蓋然性が他の二者間の蓋然性に比べて相対的に小さい場合に、前記相対的に小さい前記蓋然性に対応する同時所在の関係を破棄する第1の破棄手段をさらに有する前記[1]に記載の会議種類推定装置。
【0009】
[3]前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせを見つけ、それぞれの前記組み合わせに含まれる位置検出対象者のある二者間で、同時に所在する前記時間の累計値が他の二者間で同時に所在する前記時間の累計値に比べて相対的に小さい場合に、前記相対的に小さい前記時間の累計値に対応する同時所在の関係を破棄する第2の破棄手段をさらに有する前記[2]に記載の会議種類推定装置。
【0010】
[4]前記判定手段は、前記同時検出時間会合蓋然性情報を、同時に所在する位置検出対象者を互いに含まない部分情報に分解し、それぞれの部分情報に対して、会議種類判定を行う前記[3]に記載の会議種類推定装置。
【0011】
[5]前記組み合わせが1つ抽出されるとき、前記組み合わせに含まれる位置検出対象者が所在する時間帯において通常の会議が行われたものとして判定し、前記組み合わせが2つ以上抽出され、それぞれの前記組み合わせに共通する位置検出対象者が存在しないとき、前記時間帯において通常の会議の連鎖が行われたものとして判定し、前記組み合わせが2つ以上抽出され、それぞれの前記組み合わせに共通する位置検出対象者が存在するとき、前記時間帯において共通する前記位置検出対象者がレビューを受けるレビュー型会議が行われたものとして判定する前記[4]に記載の会議種類推定装置。
【0012】
[6]前記二者間で会合する蓋然性の情報を、該二者の分析対象時間帯以外における同時滞在時間、該二者の分析対象時間帯以外における同時滞在回数、該二者のメール履歴から得られるコミュニケーション頻度、該二者の社会的な位置付けの隔たり、または該二者が所属する組織の階層間の距離の少なくとも一つに基づいて算出することを特徴とする前記[1]に記載の会議種類推定装置。
【0013】
[7]記憶手段に記憶された、複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴を参照可能なコンピュータに、複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴から一人以上の位置検出対象者が所在する時間帯を分節する分節機能と、前記時間帯において、前記複数の位置検出対象者の二者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、前記複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性情報を作成する作成機能と、前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び前記組み合わせに共通する位置検出対象者の前記組み合わせにおける分布に応じて会議の種類を判定する判定機能とを実現させるための会議種類推定プログラム。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び7に係る発明によれば、同一の位置において行われる複数の会議を区別し、それら会議の種類を判別することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、会議種類の判別に対して、会合する蓋然性の低い位置検出者の組み合わせの影響を抑制することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、会議種類の判別に対して、行動観測上のノイズの影響を抑制することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、複数の会議を区別することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、会議の種類を詳細に判別することができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、二者間で会合する蓋然性の情報を種々の指標のいずれかに基づいて得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る会議種類推定サーバの構成例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る位置情報履歴テーブルの構成例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって推定される会議の例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって推定される会議の他の例を示す概略図である。
【図6A】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの例を示す概略図である。
【図6B】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【図6C】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【図6D】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって処理された同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの会議種類の判断条件の例を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの動作例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(会議種類推定システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの構成例を示す概略図である。
【0022】
会議種類推定システム100は、会議が行われた時刻、場所、参加者及び会議の種類を推定する会議種類推定サーバ1と、位置と時刻からなる位置情報履歴テーブル20を格納する位置情報履歴データベース(DB)2と、複数の位置検出対象者の位置及び時刻を取得する位置情報取得サーバ3と、会議種類推定サーバ1にアクセスして操作する端末装置4と、各部を通信可能に接続するネットワーク5とを有する。
【0023】
位置情報取得サーバ3は、複数の位置センサ30a〜30hからなる位置センサ群30によってタグ31aを所持する位置検出対象者300aの存在する位置を定期的に、例えば、3秒おきに取得する。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定サーバの構成例を示す概略図である。
【0025】
会議種類推定サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され各部を制御するとともに各種のプログラムを実行する制御部10と、HDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置から構成され情報を記憶する記憶部11と、ネットワーク5を介して外部と通信する通信部12とを有する。
【0026】
制御部10は、後述する会議種類推定プログラム11Aを実行することで、利用者が操作することにより端末装置4から入力される操作信号等に基づいて動作し分析対象としての時刻及び場所を指定する分析対象設定手段10Aと、分析対象から会議と推定される分節としての時間帯を切り分ける会議分節手段10Bと、会議分節手段10Bが切り分けた分節から同一の場所に存在している位置検出対象者の関係性を示す同時検出時間会合蓋然性グラフを作成する同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cと、同時検出時間会合蓋然性グラフから会合蓋然性、つまり会合する確率の低い位置検出対象者同士の関係性を削除する第1の破棄手段としての会合蓋然性推定手段10Dと、同時検出時間会合蓋然性グラフから行動観測上のノイズ(以下、「行動ノイズ」と言う。)と思われる部分を除去する第2の破棄手段としての行動ノイズ除去手段10Eと、行動ノイズが除去された同時検出時間会合蓋然性グラフから会議の種類を判定する会議種類判定手段10Fとを動作させる。なお、分析対象設定手段10Aは、端末装置4からの入力の他、位置情報履歴テーブル20の情報のうち未処理のものを抽出して自動で分析対象を指定するものであってもよい。
【0027】
なお、同時検出時間会合蓋然性情報として、上記同時検出時間会合蓋然性グラフに限らず、同時検出時間及び会合蓋然性を示す評価値等を用いたものでもよい。
【0028】
また、行動ノイズとしては、観測系又は観測対象の性質に起因するものが存在する。観測場所にいる人をいないものとして誤検出したり、観測場所にいない人をいるものとして誤検出したりするのが、観測系に起因するノイズである。また、会議からの不規則な離脱、会議への不規則な合流が観測対象の性質に起因するノイズである。会議からの不規則な離脱とは、例えば、会議の参加者が会議中に電話を受けて会議室から出て電話に応対し、電話が終わったら会議室に戻る場合を指す。会議への不規則な合流とは、例えば、会議に関係無い人が会議室を通りかかった際に、その会議室で会議中のメンバの中に割り込んで話したい相手を見つけたので会議に割り込んで入って話をし、話が済んだら即座に会議室から退出していってしまう場合を指す。
【0029】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段として動作させる会議種類推定プログラム11Aと、会議種類判定手段10Fが判定して出力する結果としての会議の種類を示す会議判定結果11Bとを記憶する。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態に係る位置情報履歴テーブルの構成例を示す概略図である。
【0031】
位置情報履歴テーブル20は、位置情報検出対象者の所在としての位置及び時刻を示す情報であり、所在が始まった開始時刻と、所在が終了した終了時刻と、位置情報検出対象者の所持するタグの識別情報を示すタグIDと、所在した場所を示すエリアと、所在したエリアが主に複数の会議が同時に行われるオープンスペース、又は主に単数の会議が行われるクローズスペースのいずれかを示すエリアタイプとを有する。
【0032】
(動作)
以下に、本発明の実施の形態における会議種類推定システムの動作を各図を参照しつつ説明する。
【0033】
まず、位置情報履歴DBを用いて組織行動を分析しようとする利用者は、端末装置4を用いて会議種類推定サーバ1にネットワーク5を介してアクセスし、端末装置4の図示しない操作部を操作することで会議種類推定サーバ1を動作させる。
【0034】
次に、利用者は、分析対象設定手段10Aを用いて、分析対象としての時刻例えば、時刻15:00〜16:00、及び場所、例えば、会議室を指定する。分析対象設定手段10Aは、指定された分析対象に該当する位置情報履歴を位置情報履歴テーブル20から取得する。次に、会議分節手段10Bは、取得された位置情報履歴を以下に述べるように分節する。
【0035】
図4は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって推定される会議の例を示す概略図である。
【0036】
会議分節手段10Bは、ある場所において位置情報検出対象が検出されていない時間帯の時間t1(〜15:05)及びt3(15:40〜)と、位置情報検出対象が少なくとも1人検出された時間帯t2(15:05〜15:40)の時間を算出し、t1及びt3が予め定めた値T1、例えば、5〜10分以上であり、t2が予め定めた値T2、例えば、15〜30分以上である場合に、位置情報検出対象が検出された時間帯に会議が行われた分節期間と推定し、分節する。
【0037】
図5は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって推定される会議の他の例を示す概略図である。
【0038】
会議分節手段10Bは、図4において説明した動作に基づいて、時間帯15:00〜16:05を分節し、同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cは、時間帯15:00〜16:05における同時検出時間会合蓋然性グラフを作成し、会合蓋然性推定手段10Dが同時検出時間会合蓋然性グラフから会合する確率の低い位置検出対象者どうしの関係性を除去し、行動ノイズ除去手段10Eが同時検出時間会合蓋然性グラフから行動ノイズを伴う位置検出対象者の不在及び所在を除去して、結果的に得られた同時検出時間会合蓋然性グラフから会議種類判定手段10Fは会議の種類を推定する。なお、会合蓋然性推定手段10Dの会合蓋然性の推定の動作、行動ノイズ除去手段10Eの行動ノイズの除去の動作、及び会議種類判定手段10Fの推定の動作は、後に詳細に説明する。
【0039】
図6Aは、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの例を示す概略図である。
【0040】
同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cは、位置情報履歴テーブル20から抽出された、図5に示すような位置情報履歴から、複数の位置検出対象者を接点とし、複数の位置検出対象者間の会合蓋然性及び同時検出時間をそれぞれ辺とすることで同時検出時間会合蓋然性グラフ50を作成する。
【0041】
なお、会合蓋然性は、以下の式で定義される。
【数1】
ここで、TA(t)、TC(t)、TAC(t)は、それぞれ、分節期間の開始時点から時間t遡った過去から、分節期間の開始時点までの間にエリアタイプがクローズである場所で観測された位置検出対象者Aの滞在時間、位置観測者Cの滞在時間、位置検出者AとCの同時滞在時間である。つまり、この値が大きいものほど会合の確率が低く、蓋然性が低い珍しい会合といえる。
【0042】
図6Bは、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【0043】
会合蓋然性推定手段10Dは、同時検出時間会合蓋然性グラフ50中のクリークを抽出し、各クリークに含まれる辺の会合蓋然性の値と会合蓋然性の最小値(例えば、図6Bの「A,B,C,D」のクリーク集合では3.98)との差が所定の値以上、例えば、5以上の辺は、相対的に情報量が大きく会合しているとは考えにくいことから削除する。そうすることで、図6Bの破線で示す位置検出対象者AとC、BとC及びCとDの辺が削除され、同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bに分割される。ここで、クリークの抽出は、既存のアルゴリズム(例えば、Coen Bron and Joep Kerbosch: Finding All Cliques of an Undirected Graph, Communications of the ACM, Vol.16, Number.9, pp.575-577, 1973)等を用いて行われる。
【0044】
図6Cは、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【0045】
次に、同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bにおいて、他の辺より相対的に同時検出時間が小さい辺、図6Cの破線で示す位置検出対象者AとX、BとX、CとY及びEとYを結ぶ辺が除去されることで、図6Cに示すクリークが得られる。なお、相対的に同時検出時間が小さい辺は、各同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bそれぞれの辺の値の最大値のx%未満、例えば、20%未満のもの、又は、各同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bそれぞれの辺の値の分散σに対して、−xσ未満のもの等として定義する。また、ここで除去した行動ノイズとは、前述した行動ノイズのうち、観測場所にいない人をいるものとして誤検出する観測系に起因するノイズ、及び会議への不規則な合流による観測対象の性質に起因するノイズである。
【0046】
図6Dは、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって処理された同時検出時間会合蓋然性グラフの例を示す概略図である。
【0047】
図6Dに示すように、図6Aに示す同時検出時間会合蓋然性グラフ50から、会合蓋然性推定手段10D及び行動ノイズ除去手段10Eによって、全ての接点が辺でつながっている完全グラフとしてのクリークを含む同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bが抽出される。
【0048】
次に、会議種類判定手段10Fによって、同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bに含まれるクリークから、会議種別が判定される。なお、会議種類判定手段10Fの判定動作については図7において詳しく延べる。また、ここで、会議種類判定手段10Fの判定が辺の重みを考慮せず、クリークの形状に基づいて判定することで、観測場所にいる人がいないものとして誤検出する観測系に起因するノイズ、及び会議からの不規則な退席による観測対象の性質に起因するノイズの影響を除外することができる。例えば、位置検出対象者が短時間だけ一時的に不在となる場合、同時検出時間会合蓋然性グラフ50において辺の重みがわずかに小さくなるだけであり、行動ノイズ除去手段10Eによって除去されることもなく、クリークの形状に影響を与えないためである。
【0049】
図7は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの会議種類の判断条件の例を示す概略図である。
【0050】
図7に示す表は、会議種類判定手段10Fが、図6Dに示した同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bにおいて検出されるクリークの数、及び共通の位置検出対象者を有するクリークの割合によって、会議種類を推定するための表である。会議種類判定手段10Fは、クリークの数が0のとき、会議が存在しないと推定し、クリークの数が1のとき、通常の会議と推定する。つまり、同時検出時間会合蓋然性グラフ50aは、位置検出対象者A、B及びDによる通常の会議と判定される。
【0051】
また、クリークの数が2以上のときで、共通位置検出対象者を有するクリークの割合が100%の場合は、その共通位置検出対象者がレビューを受ける人と推定できるため、レビュー型会議と推定し、共通位置検出対象者を有するクリークの割合が100%より小さい場合は、レビューを受ける人が存在しないと推定し、通常の会議の連鎖と推定する。つまり、同時検出時間会合蓋然性グラフ50bは、位置検出対象者CとE、及びCとFからなるクリークが抽出されるため、クリークは2つで、それぞれに位置検出対象者Cが含まれるため、レビュー型会議と判定される。
【0052】
図8は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの動作例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cが図6Aに示す同時検出時間会合蓋然性グラフ50をグラフGとして抽出する(S1)。次に、会合蓋然性推定手段10Dは、図6Bに示すように会合蓋然性の最小値との差が閾値以上の辺をカットして同時検出時間会合蓋然性グラフ50をグラフG’として作成する(S2)。
【0054】
次に、グラフG’から同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bをクリークとして抽出し(S3)、行動ノイズ除去手段10Eは、図6Cに示すように各クリークにおいて同時検出時間の極端に短い辺をカットして、図6Dに示すように同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bをグラフG”として作成する(S4)。
【0055】
次に、グラフG”としての同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bは、会議種類判定手段10Fに入力される(S5)。なお、以下において会議種類判定手段10Fの動作について説明する。
【0056】
図9は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの動作例を示すフローチャートである。
【0057】
まず、会議種類判定手段10Fは、図6Dに示す行動ノイズが除去されたグラフG”としての同時検出時間会合蓋然性グラフ50aと50bとから、それぞれ全ての接点が辺でつながっている完全グラフとしてのクリーク(A,B,D)と、(C,E)及び(C,F)とを抽出する(S11)。
【0058】
次に、会議種類判定手段10Fは、図7に示す表に応じて以下の動作を実行する。図6Dに示した同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bにおいてそれぞれ検出されるクリークの数、及び共通の位置検出対象者を有するクリークの割合によって会議種類を推定する。なお、クリークの数が0のときは、ステップS1でクリークが抽出されず、会議が存在しないため、説明を省略する。
【0059】
図6Dに示す同時検出時間会合蓋然性グラフ50bのように、クリークの数が2以上のとき(S12;Yes)、抽出される全てのクリークについて、位置検出対象者の集合の積集合Kを求める(S13)。集合Kが空集合でないとき(S14;No)、つまり、例えば、位置検出対象者Cのように全てのクリーク(C,E)及び(C,F)に共通する位置検出対象者が存在するとき、集合Kに含まれる位置検出対象者Cをレビューを受ける人として行われるレビュー型の会議と判定する(S15)。
【0060】
次に、レビュー型会議として判定されると判定結果が観測事実と矛盾しないか以下に説明する検証を行う(S16)。位置検出対象者個々のレビュー時間の合計は、レビュー型会議全体の長さ以内に収まっている必要があるため、
【数2】
が成立する必要がある。ただし、Nはクリーク数、T(Ci)はクリークCiの最大同時滞在時間であり、Nodes(Ci)はクリークCiの接点集合、Kは、
【数3】
また、T(K)は、レビューアの集合Kのうち1人以上が滞在していた時間帯の長さである。
【0061】
判定結果と観測事実が矛盾しないとき(S16;Yes)、動作を終了するが、判定結果と観測事実が矛盾するとき(S16;No)、レビュー型会議との判定結果を「解釈不可能」と判定しなおす(S17)。
【0062】
また、集合Kが空集合のとき(S14;Yes)、つまり、全てのクリークに共通する位置検出対象者が存在しないときは、各クリークが個々の会議として行われる通常の会議の連鎖と判定する(S18)
【0063】
また、ステップS19の後、ステップS16へと進むが、通常の会議の連鎖と判定されたとき、判定結果が観測事実と矛盾しないか以下に説明する検証を行う。各通常の会議の時間の合計は、分節期間の長さ以内に収まっている必要があるため、
【数4】
が成立する必要がある。ただし、Tは分節期間の長さである。
【0064】
また、ステップS12において、同時検出時間会合蓋然性グラフ50aに示すように、クリークの数が1のとき(S12;No)、会議が1つだけ行われたと推定し、通常の会議と判定する(S19)。
【0065】
ステップS15、S18及びS19において判定された会議の種類は、会議の行われた位置、時間帯、位置情報検出対象者とともに会議判定結果11Bとして記憶部11に記憶される。
【0066】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0067】
例えば、会合蓋然性は、分節期間の開始時間から時間t遡った過去から、分節期間の開始時点までの間にエリアタイプがクローズである場所で観測された位置検出対象者の滞在時間及び位置検出対象者同士の同時滞在時間から算出されるが、分節期間以降の位置情報履歴が存在するときは、TA(t)、TC(t)、TAC(t)を、それぞれ、分節期間の終了時点から、分節期間の終了時点から時間t進んだ未来までの間にエリアタイプがクローズである場所で観測される位置検出対象者の滞在時間及び位置検出対象者同士の同時滞在時間として「数1」を用いて算出してもよい。
【0068】
また、会合蓋然性は、分節期間の開始時間から時間t遡った過去から、分節期間の開始時点までの間にエリアタイプがクローズである場所で観測された位置検出対象者の滞在回数NA(t)及びNC(t)及び位置検出対象者同士の同時滞在回数NAC(t)を用いて、
【数5】
から算出されるものであってもよい。このとき、NA(t)、NC(t)、NAC(t)の情報は、会議判定結果11Bから同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cにフィードバックされる。
【0069】
また、会合蓋然性は、同時滞在時間と同時滞在回数を用いて、それぞれに重み係数w1及びw2を乗じて、
【数6】
から算出されるものであってもよい。
【0070】
また、会合蓋然性は、ネットワークを介して接続されたメールサーバ及びメール履歴DBが存在するとき、分節期間の開始時間から時間t遡った過去から、分節期間の開始時点までの間にやりとりされた位置検出対象者A及びCの発信した総メール送信回数NA(t)及びNC(t)及び位置検出対象者AからCへ送信されたメール送信回数NAC(t)及び位置検出対象者CからAへ送信されたメール送信回数NCA(t)を取得して、
【数7】
から算出されるものであってもよい。また、位置検出者同士のコミュニケーション量を示すものであれば、文書の作成及び閲覧履歴等、他の履歴を用いても良い。また、コミュニケーション実績によらず、位置検出者同士の社会的な位置付けから求められる距離の隔たりを用いても良い。一例として、位置検出対象者の所定の役職の人物を基点とし、その他の位置検出対象者との役職との間の距離を隔たりとして用いてもよい。役職が上位から部長、次長、課長、課長代理、係長、一般社員の6階層存在する場合、課長を基点とすると、部長との距離は2、一般社員との距離は3になる。また、位置検出対象者の所属する組織階層間の距離の逆数などを用いても良い。組織階層間の距離の逆数は、ある基点から組織図のグラフをたどる際に、いくつの部門を通過するかで定義される。組織図のグラフは、ツリー構造を有する。一例として、A部門を上位部門とし、A部門の直接の下部組織であるB部門、C部門があり、A部門に社員A、B部門に社員B1と社員B2、C部門に社員Cが所属しているケースを想定する。この場合、社員B1を基点とすると社員B2との距離は同じ部門のため1、社員Aとの距離は2、社員Cとの距離は3になる。
【0071】
また、上記実施の形態で使用される分析対象設定手段10A、会議分節手段10B、同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10C、会合蓋然性推定手段10D、行動ノイズ除去手段10E、会議種類判定手段10Fは、CD−ROM等の記憶媒体から装置内の記憶部に読み込んでも良く、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ装置等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。また、上記実施の形態で使用される手段の一部または全部をASIC等のハードウェアによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…会議種類推定サーバ、2…位置情報履歴データベース(DB)、3…位置情報取得サーバ、4…端末装置、5…ネットワーク、10…制御部、10A…分析対象設定手段、10B…会議分節手段、10C…同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段、10D…会合蓋然性推定手段、10E…行動ノイズ除去手段、10F…会議種類判定手段、11…記憶部、11A…会議種類推定プログラム、11B…会議判定結果、12…通信部、20…位置情報履歴テーブル、30…位置センサ群、30…同時検出時間会合蓋然性グラフ、30a-30h…位置センサ、31a…タグ、50a…同時検出時間会合蓋然性グラフ、50b…同時検出時間会合蓋然性グラフ、100…会議種類推定システム、300a…位置検出対象者
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議種類推定装置および会議種類推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
同じ場所で検出された位置検出対象者から会議を行っていた位置検出対象者を推定する会議推定装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の会議推定装置は、位置検出対象者で構成される組織の情報や位置検出対象者が出席した会議の履歴情報等である参照情報を記憶する記憶手段と、位置検出対象者の検出される位置及び時間等の情報を有する位置情報履歴から複数の位置検出対象者が同時に検出される会議等が行われたと推定される時間を検出する同時検出判定手段と、同時検出判定手段が検出した会議等が行われたと推定される時間と参照情報とに基づいて会議が行われたか否かを推定する会議推定手段とを有し、参照情報を用いない場合に比べてより確実に会議の有無を推定して、また同じ場所に検出された位置検出対象者を組織の情報に基づいて分類する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−191886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来の技術では、位置検出対象者が会議の最初から最後まで一定している場合に、会議が行われたことを推定するものであるが、位置検出者を検出する観測機器が誤って位置検出対象者を検出した場合、観測機器が誤って位置検出対象者を検出できなかった場合、及び位置検出対象者が会議中に不規則に離脱又は合流した場合に、短時間位置が検出された人や短時間位置が検出されなかった人が存在するといった行動観測上のノイズの存在に対応するものではなく、推定した会議の種類を判断するものでもない。また、同一の位置において複数の会議が行われている場合に、それぞれの会議を区別するものでもない。
【0006】
本発明の目的は、同一の位置において行われる複数の会議を区別し、それら会議の種類を判別することができる会議種類推定装置及び会議種類推定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴から一人以上の位置検出対象者が所在する時間帯を分節する分節手段と、前記時間帯において、前記複数の位置検出対象者の二者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、前記複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性情報を作成する作成手段と、前記同時検出時間会合蓋然性情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び前記組み合わせに共通する位置検出対象者の前記組み合わせにおける分布に応じて会議の種類を判定する判定手段とを有する会議種類推定装置。
【0008】
[2]前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせを見つけ、それぞれの前記組み合わせに含まれる位置検出対象者のある二者間で、前記蓋然性が他の二者間の蓋然性に比べて相対的に小さい場合に、前記相対的に小さい前記蓋然性に対応する同時所在の関係を破棄する第1の破棄手段をさらに有する前記[1]に記載の会議種類推定装置。
【0009】
[3]前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせを見つけ、それぞれの前記組み合わせに含まれる位置検出対象者のある二者間で、同時に所在する前記時間の累計値が他の二者間で同時に所在する前記時間の累計値に比べて相対的に小さい場合に、前記相対的に小さい前記時間の累計値に対応する同時所在の関係を破棄する第2の破棄手段をさらに有する前記[2]に記載の会議種類推定装置。
【0010】
[4]前記判定手段は、前記同時検出時間会合蓋然性情報を、同時に所在する位置検出対象者を互いに含まない部分情報に分解し、それぞれの部分情報に対して、会議種類判定を行う前記[3]に記載の会議種類推定装置。
【0011】
[5]前記組み合わせが1つ抽出されるとき、前記組み合わせに含まれる位置検出対象者が所在する時間帯において通常の会議が行われたものとして判定し、前記組み合わせが2つ以上抽出され、それぞれの前記組み合わせに共通する位置検出対象者が存在しないとき、前記時間帯において通常の会議の連鎖が行われたものとして判定し、前記組み合わせが2つ以上抽出され、それぞれの前記組み合わせに共通する位置検出対象者が存在するとき、前記時間帯において共通する前記位置検出対象者がレビューを受けるレビュー型会議が行われたものとして判定する前記[4]に記載の会議種類推定装置。
【0012】
[6]前記二者間で会合する蓋然性の情報を、該二者の分析対象時間帯以外における同時滞在時間、該二者の分析対象時間帯以外における同時滞在回数、該二者のメール履歴から得られるコミュニケーション頻度、該二者の社会的な位置付けの隔たり、または該二者が所属する組織の階層間の距離の少なくとも一つに基づいて算出することを特徴とする前記[1]に記載の会議種類推定装置。
【0013】
[7]記憶手段に記憶された、複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴を参照可能なコンピュータに、複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴から一人以上の位置検出対象者が所在する時間帯を分節する分節機能と、前記時間帯において、前記複数の位置検出対象者の二者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、前記複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性情報を作成する作成機能と、前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び前記組み合わせに共通する位置検出対象者の前記組み合わせにおける分布に応じて会議の種類を判定する判定機能とを実現させるための会議種類推定プログラム。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び7に係る発明によれば、同一の位置において行われる複数の会議を区別し、それら会議の種類を判別することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、会議種類の判別に対して、会合する蓋然性の低い位置検出者の組み合わせの影響を抑制することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、会議種類の判別に対して、行動観測上のノイズの影響を抑制することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、複数の会議を区別することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、会議の種類を詳細に判別することができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、二者間で会合する蓋然性の情報を種々の指標のいずれかに基づいて得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る会議種類推定サーバの構成例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る位置情報履歴テーブルの構成例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって推定される会議の例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって推定される会議の他の例を示す概略図である。
【図6A】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの例を示す概略図である。
【図6B】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【図6C】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【図6D】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって処理された同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの会議種類の判断条件の例を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの動作例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(会議種類推定システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの構成例を示す概略図である。
【0022】
会議種類推定システム100は、会議が行われた時刻、場所、参加者及び会議の種類を推定する会議種類推定サーバ1と、位置と時刻からなる位置情報履歴テーブル20を格納する位置情報履歴データベース(DB)2と、複数の位置検出対象者の位置及び時刻を取得する位置情報取得サーバ3と、会議種類推定サーバ1にアクセスして操作する端末装置4と、各部を通信可能に接続するネットワーク5とを有する。
【0023】
位置情報取得サーバ3は、複数の位置センサ30a〜30hからなる位置センサ群30によってタグ31aを所持する位置検出対象者300aの存在する位置を定期的に、例えば、3秒おきに取得する。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定サーバの構成例を示す概略図である。
【0025】
会議種類推定サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され各部を制御するとともに各種のプログラムを実行する制御部10と、HDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置から構成され情報を記憶する記憶部11と、ネットワーク5を介して外部と通信する通信部12とを有する。
【0026】
制御部10は、後述する会議種類推定プログラム11Aを実行することで、利用者が操作することにより端末装置4から入力される操作信号等に基づいて動作し分析対象としての時刻及び場所を指定する分析対象設定手段10Aと、分析対象から会議と推定される分節としての時間帯を切り分ける会議分節手段10Bと、会議分節手段10Bが切り分けた分節から同一の場所に存在している位置検出対象者の関係性を示す同時検出時間会合蓋然性グラフを作成する同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cと、同時検出時間会合蓋然性グラフから会合蓋然性、つまり会合する確率の低い位置検出対象者同士の関係性を削除する第1の破棄手段としての会合蓋然性推定手段10Dと、同時検出時間会合蓋然性グラフから行動観測上のノイズ(以下、「行動ノイズ」と言う。)と思われる部分を除去する第2の破棄手段としての行動ノイズ除去手段10Eと、行動ノイズが除去された同時検出時間会合蓋然性グラフから会議の種類を判定する会議種類判定手段10Fとを動作させる。なお、分析対象設定手段10Aは、端末装置4からの入力の他、位置情報履歴テーブル20の情報のうち未処理のものを抽出して自動で分析対象を指定するものであってもよい。
【0027】
なお、同時検出時間会合蓋然性情報として、上記同時検出時間会合蓋然性グラフに限らず、同時検出時間及び会合蓋然性を示す評価値等を用いたものでもよい。
【0028】
また、行動ノイズとしては、観測系又は観測対象の性質に起因するものが存在する。観測場所にいる人をいないものとして誤検出したり、観測場所にいない人をいるものとして誤検出したりするのが、観測系に起因するノイズである。また、会議からの不規則な離脱、会議への不規則な合流が観測対象の性質に起因するノイズである。会議からの不規則な離脱とは、例えば、会議の参加者が会議中に電話を受けて会議室から出て電話に応対し、電話が終わったら会議室に戻る場合を指す。会議への不規則な合流とは、例えば、会議に関係無い人が会議室を通りかかった際に、その会議室で会議中のメンバの中に割り込んで話したい相手を見つけたので会議に割り込んで入って話をし、話が済んだら即座に会議室から退出していってしまう場合を指す。
【0029】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段として動作させる会議種類推定プログラム11Aと、会議種類判定手段10Fが判定して出力する結果としての会議の種類を示す会議判定結果11Bとを記憶する。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態に係る位置情報履歴テーブルの構成例を示す概略図である。
【0031】
位置情報履歴テーブル20は、位置情報検出対象者の所在としての位置及び時刻を示す情報であり、所在が始まった開始時刻と、所在が終了した終了時刻と、位置情報検出対象者の所持するタグの識別情報を示すタグIDと、所在した場所を示すエリアと、所在したエリアが主に複数の会議が同時に行われるオープンスペース、又は主に単数の会議が行われるクローズスペースのいずれかを示すエリアタイプとを有する。
【0032】
(動作)
以下に、本発明の実施の形態における会議種類推定システムの動作を各図を参照しつつ説明する。
【0033】
まず、位置情報履歴DBを用いて組織行動を分析しようとする利用者は、端末装置4を用いて会議種類推定サーバ1にネットワーク5を介してアクセスし、端末装置4の図示しない操作部を操作することで会議種類推定サーバ1を動作させる。
【0034】
次に、利用者は、分析対象設定手段10Aを用いて、分析対象としての時刻例えば、時刻15:00〜16:00、及び場所、例えば、会議室を指定する。分析対象設定手段10Aは、指定された分析対象に該当する位置情報履歴を位置情報履歴テーブル20から取得する。次に、会議分節手段10Bは、取得された位置情報履歴を以下に述べるように分節する。
【0035】
図4は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって推定される会議の例を示す概略図である。
【0036】
会議分節手段10Bは、ある場所において位置情報検出対象が検出されていない時間帯の時間t1(〜15:05)及びt3(15:40〜)と、位置情報検出対象が少なくとも1人検出された時間帯t2(15:05〜15:40)の時間を算出し、t1及びt3が予め定めた値T1、例えば、5〜10分以上であり、t2が予め定めた値T2、例えば、15〜30分以上である場合に、位置情報検出対象が検出された時間帯に会議が行われた分節期間と推定し、分節する。
【0037】
図5は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって推定される会議の他の例を示す概略図である。
【0038】
会議分節手段10Bは、図4において説明した動作に基づいて、時間帯15:00〜16:05を分節し、同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cは、時間帯15:00〜16:05における同時検出時間会合蓋然性グラフを作成し、会合蓋然性推定手段10Dが同時検出時間会合蓋然性グラフから会合する確率の低い位置検出対象者どうしの関係性を除去し、行動ノイズ除去手段10Eが同時検出時間会合蓋然性グラフから行動ノイズを伴う位置検出対象者の不在及び所在を除去して、結果的に得られた同時検出時間会合蓋然性グラフから会議種類判定手段10Fは会議の種類を推定する。なお、会合蓋然性推定手段10Dの会合蓋然性の推定の動作、行動ノイズ除去手段10Eの行動ノイズの除去の動作、及び会議種類判定手段10Fの推定の動作は、後に詳細に説明する。
【0039】
図6Aは、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの例を示す概略図である。
【0040】
同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cは、位置情報履歴テーブル20から抽出された、図5に示すような位置情報履歴から、複数の位置検出対象者を接点とし、複数の位置検出対象者間の会合蓋然性及び同時検出時間をそれぞれ辺とすることで同時検出時間会合蓋然性グラフ50を作成する。
【0041】
なお、会合蓋然性は、以下の式で定義される。
【数1】
ここで、TA(t)、TC(t)、TAC(t)は、それぞれ、分節期間の開始時点から時間t遡った過去から、分節期間の開始時点までの間にエリアタイプがクローズである場所で観測された位置検出対象者Aの滞在時間、位置観測者Cの滞在時間、位置検出者AとCの同時滞在時間である。つまり、この値が大きいものほど会合の確率が低く、蓋然性が低い珍しい会合といえる。
【0042】
図6Bは、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【0043】
会合蓋然性推定手段10Dは、同時検出時間会合蓋然性グラフ50中のクリークを抽出し、各クリークに含まれる辺の会合蓋然性の値と会合蓋然性の最小値(例えば、図6Bの「A,B,C,D」のクリーク集合では3.98)との差が所定の値以上、例えば、5以上の辺は、相対的に情報量が大きく会合しているとは考えにくいことから削除する。そうすることで、図6Bの破線で示す位置検出対象者AとC、BとC及びCとDの辺が削除され、同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bに分割される。ここで、クリークの抽出は、既存のアルゴリズム(例えば、Coen Bron and Joep Kerbosch: Finding All Cliques of an Undirected Graph, Communications of the ACM, Vol.16, Number.9, pp.575-577, 1973)等を用いて行われる。
【0044】
図6Cは、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって導出される同時検出時間会合蓋然性グラフの他の例を示す概略図である。
【0045】
次に、同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bにおいて、他の辺より相対的に同時検出時間が小さい辺、図6Cの破線で示す位置検出対象者AとX、BとX、CとY及びEとYを結ぶ辺が除去されることで、図6Cに示すクリークが得られる。なお、相対的に同時検出時間が小さい辺は、各同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bそれぞれの辺の値の最大値のx%未満、例えば、20%未満のもの、又は、各同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bそれぞれの辺の値の分散σに対して、−xσ未満のもの等として定義する。また、ここで除去した行動ノイズとは、前述した行動ノイズのうち、観測場所にいない人をいるものとして誤検出する観測系に起因するノイズ、及び会議への不規則な合流による観測対象の性質に起因するノイズである。
【0046】
図6Dは、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムによって処理された同時検出時間会合蓋然性グラフの例を示す概略図である。
【0047】
図6Dに示すように、図6Aに示す同時検出時間会合蓋然性グラフ50から、会合蓋然性推定手段10D及び行動ノイズ除去手段10Eによって、全ての接点が辺でつながっている完全グラフとしてのクリークを含む同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bが抽出される。
【0048】
次に、会議種類判定手段10Fによって、同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bに含まれるクリークから、会議種別が判定される。なお、会議種類判定手段10Fの判定動作については図7において詳しく延べる。また、ここで、会議種類判定手段10Fの判定が辺の重みを考慮せず、クリークの形状に基づいて判定することで、観測場所にいる人がいないものとして誤検出する観測系に起因するノイズ、及び会議からの不規則な退席による観測対象の性質に起因するノイズの影響を除外することができる。例えば、位置検出対象者が短時間だけ一時的に不在となる場合、同時検出時間会合蓋然性グラフ50において辺の重みがわずかに小さくなるだけであり、行動ノイズ除去手段10Eによって除去されることもなく、クリークの形状に影響を与えないためである。
【0049】
図7は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの会議種類の判断条件の例を示す概略図である。
【0050】
図7に示す表は、会議種類判定手段10Fが、図6Dに示した同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bにおいて検出されるクリークの数、及び共通の位置検出対象者を有するクリークの割合によって、会議種類を推定するための表である。会議種類判定手段10Fは、クリークの数が0のとき、会議が存在しないと推定し、クリークの数が1のとき、通常の会議と推定する。つまり、同時検出時間会合蓋然性グラフ50aは、位置検出対象者A、B及びDによる通常の会議と判定される。
【0051】
また、クリークの数が2以上のときで、共通位置検出対象者を有するクリークの割合が100%の場合は、その共通位置検出対象者がレビューを受ける人と推定できるため、レビュー型会議と推定し、共通位置検出対象者を有するクリークの割合が100%より小さい場合は、レビューを受ける人が存在しないと推定し、通常の会議の連鎖と推定する。つまり、同時検出時間会合蓋然性グラフ50bは、位置検出対象者CとE、及びCとFからなるクリークが抽出されるため、クリークは2つで、それぞれに位置検出対象者Cが含まれるため、レビュー型会議と判定される。
【0052】
図8は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの動作例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cが図6Aに示す同時検出時間会合蓋然性グラフ50をグラフGとして抽出する(S1)。次に、会合蓋然性推定手段10Dは、図6Bに示すように会合蓋然性の最小値との差が閾値以上の辺をカットして同時検出時間会合蓋然性グラフ50をグラフG’として作成する(S2)。
【0054】
次に、グラフG’から同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bをクリークとして抽出し(S3)、行動ノイズ除去手段10Eは、図6Cに示すように各クリークにおいて同時検出時間の極端に短い辺をカットして、図6Dに示すように同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bをグラフG”として作成する(S4)。
【0055】
次に、グラフG”としての同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bは、会議種類判定手段10Fに入力される(S5)。なお、以下において会議種類判定手段10Fの動作について説明する。
【0056】
図9は、本発明の実施の形態に係る会議種類推定システムの動作例を示すフローチャートである。
【0057】
まず、会議種類判定手段10Fは、図6Dに示す行動ノイズが除去されたグラフG”としての同時検出時間会合蓋然性グラフ50aと50bとから、それぞれ全ての接点が辺でつながっている完全グラフとしてのクリーク(A,B,D)と、(C,E)及び(C,F)とを抽出する(S11)。
【0058】
次に、会議種類判定手段10Fは、図7に示す表に応じて以下の動作を実行する。図6Dに示した同時検出時間会合蓋然性グラフ50a及び50bにおいてそれぞれ検出されるクリークの数、及び共通の位置検出対象者を有するクリークの割合によって会議種類を推定する。なお、クリークの数が0のときは、ステップS1でクリークが抽出されず、会議が存在しないため、説明を省略する。
【0059】
図6Dに示す同時検出時間会合蓋然性グラフ50bのように、クリークの数が2以上のとき(S12;Yes)、抽出される全てのクリークについて、位置検出対象者の集合の積集合Kを求める(S13)。集合Kが空集合でないとき(S14;No)、つまり、例えば、位置検出対象者Cのように全てのクリーク(C,E)及び(C,F)に共通する位置検出対象者が存在するとき、集合Kに含まれる位置検出対象者Cをレビューを受ける人として行われるレビュー型の会議と判定する(S15)。
【0060】
次に、レビュー型会議として判定されると判定結果が観測事実と矛盾しないか以下に説明する検証を行う(S16)。位置検出対象者個々のレビュー時間の合計は、レビュー型会議全体の長さ以内に収まっている必要があるため、
【数2】
が成立する必要がある。ただし、Nはクリーク数、T(Ci)はクリークCiの最大同時滞在時間であり、Nodes(Ci)はクリークCiの接点集合、Kは、
【数3】
また、T(K)は、レビューアの集合Kのうち1人以上が滞在していた時間帯の長さである。
【0061】
判定結果と観測事実が矛盾しないとき(S16;Yes)、動作を終了するが、判定結果と観測事実が矛盾するとき(S16;No)、レビュー型会議との判定結果を「解釈不可能」と判定しなおす(S17)。
【0062】
また、集合Kが空集合のとき(S14;Yes)、つまり、全てのクリークに共通する位置検出対象者が存在しないときは、各クリークが個々の会議として行われる通常の会議の連鎖と判定する(S18)
【0063】
また、ステップS19の後、ステップS16へと進むが、通常の会議の連鎖と判定されたとき、判定結果が観測事実と矛盾しないか以下に説明する検証を行う。各通常の会議の時間の合計は、分節期間の長さ以内に収まっている必要があるため、
【数4】
が成立する必要がある。ただし、Tは分節期間の長さである。
【0064】
また、ステップS12において、同時検出時間会合蓋然性グラフ50aに示すように、クリークの数が1のとき(S12;No)、会議が1つだけ行われたと推定し、通常の会議と判定する(S19)。
【0065】
ステップS15、S18及びS19において判定された会議の種類は、会議の行われた位置、時間帯、位置情報検出対象者とともに会議判定結果11Bとして記憶部11に記憶される。
【0066】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0067】
例えば、会合蓋然性は、分節期間の開始時間から時間t遡った過去から、分節期間の開始時点までの間にエリアタイプがクローズである場所で観測された位置検出対象者の滞在時間及び位置検出対象者同士の同時滞在時間から算出されるが、分節期間以降の位置情報履歴が存在するときは、TA(t)、TC(t)、TAC(t)を、それぞれ、分節期間の終了時点から、分節期間の終了時点から時間t進んだ未来までの間にエリアタイプがクローズである場所で観測される位置検出対象者の滞在時間及び位置検出対象者同士の同時滞在時間として「数1」を用いて算出してもよい。
【0068】
また、会合蓋然性は、分節期間の開始時間から時間t遡った過去から、分節期間の開始時点までの間にエリアタイプがクローズである場所で観測された位置検出対象者の滞在回数NA(t)及びNC(t)及び位置検出対象者同士の同時滞在回数NAC(t)を用いて、
【数5】
から算出されるものであってもよい。このとき、NA(t)、NC(t)、NAC(t)の情報は、会議判定結果11Bから同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10Cにフィードバックされる。
【0069】
また、会合蓋然性は、同時滞在時間と同時滞在回数を用いて、それぞれに重み係数w1及びw2を乗じて、
【数6】
から算出されるものであってもよい。
【0070】
また、会合蓋然性は、ネットワークを介して接続されたメールサーバ及びメール履歴DBが存在するとき、分節期間の開始時間から時間t遡った過去から、分節期間の開始時点までの間にやりとりされた位置検出対象者A及びCの発信した総メール送信回数NA(t)及びNC(t)及び位置検出対象者AからCへ送信されたメール送信回数NAC(t)及び位置検出対象者CからAへ送信されたメール送信回数NCA(t)を取得して、
【数7】
から算出されるものであってもよい。また、位置検出者同士のコミュニケーション量を示すものであれば、文書の作成及び閲覧履歴等、他の履歴を用いても良い。また、コミュニケーション実績によらず、位置検出者同士の社会的な位置付けから求められる距離の隔たりを用いても良い。一例として、位置検出対象者の所定の役職の人物を基点とし、その他の位置検出対象者との役職との間の距離を隔たりとして用いてもよい。役職が上位から部長、次長、課長、課長代理、係長、一般社員の6階層存在する場合、課長を基点とすると、部長との距離は2、一般社員との距離は3になる。また、位置検出対象者の所属する組織階層間の距離の逆数などを用いても良い。組織階層間の距離の逆数は、ある基点から組織図のグラフをたどる際に、いくつの部門を通過するかで定義される。組織図のグラフは、ツリー構造を有する。一例として、A部門を上位部門とし、A部門の直接の下部組織であるB部門、C部門があり、A部門に社員A、B部門に社員B1と社員B2、C部門に社員Cが所属しているケースを想定する。この場合、社員B1を基点とすると社員B2との距離は同じ部門のため1、社員Aとの距離は2、社員Cとの距離は3になる。
【0071】
また、上記実施の形態で使用される分析対象設定手段10A、会議分節手段10B、同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段10C、会合蓋然性推定手段10D、行動ノイズ除去手段10E、会議種類判定手段10Fは、CD−ROM等の記憶媒体から装置内の記憶部に読み込んでも良く、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ装置等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。また、上記実施の形態で使用される手段の一部または全部をASIC等のハードウェアによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…会議種類推定サーバ、2…位置情報履歴データベース(DB)、3…位置情報取得サーバ、4…端末装置、5…ネットワーク、10…制御部、10A…分析対象設定手段、10B…会議分節手段、10C…同時検出時間会合蓋然性グラフ作成手段、10D…会合蓋然性推定手段、10E…行動ノイズ除去手段、10F…会議種類判定手段、11…記憶部、11A…会議種類推定プログラム、11B…会議判定結果、12…通信部、20…位置情報履歴テーブル、30…位置センサ群、30…同時検出時間会合蓋然性グラフ、30a-30h…位置センサ、31a…タグ、50a…同時検出時間会合蓋然性グラフ、50b…同時検出時間会合蓋然性グラフ、100…会議種類推定システム、300a…位置検出対象者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴から一人以上の位置検出対象者が所在する時間帯を分節する分節手段と、
前記時間帯において、前記複数の位置検出対象者の二者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、前記複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性情報を作成する作成手段と、
前記同時検出時間会合蓋然性情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び前記組み合わせに共通する位置検出対象者の前記組み合わせにおける分布に応じて会議の種類を判定する判定手段とを有する会議種類推定装置。
【請求項2】
前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせを見つけ、それぞれの前記組み合わせに含まれる位置検出対象者のある二者間で、前記蓋然性が他の二者間の蓋然性に比べて相対的に小さい場合に、前記相対的に小さい前記蓋然性に対応する同時所在の関係を破棄する第1の破棄手段をさらに有する請求項1に記載の会議種類推定装置。
【請求項3】
前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせを見つけ、それぞれの前記組み合わせに含まれる位置検出対象者のある二者間で、同時に所在する前記時間の累計値が他の二者間で同時に所在する前記時間の累計値に比べて相対的に小さい場合に、前記相対的に小さい前記時間の累計値に対応する同時所在の関係を破棄する第2の破棄手段をさらに有する請求項2に記載の会議種類推定装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記同時検出時間会合蓋然性情報を、同時に所在する位置検出対象者を互いに含まない部分情報に分解し、それぞれの部分情報に対して、会議種類判定を行う請求項3に記載の会議種類推定装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記組み合わせが1つ抽出されるとき、前記組み合わせに含まれる位置検出対象者が所在する時間帯において通常の会議が行われたものとして判定し、前記組み合わせが2つ以上抽出され、それぞれの前記組み合わせに共通する位置検出対象者が存在しないとき、前記時間帯において通常の会議の連鎖が行われたものとして判定し、前記組み合わせが2つ以上抽出され、それぞれの前記組み合わせに共通する位置検出対象者が存在するとき、前記時間帯において共通する前記位置検出対象者がレビューを受けるレビュー型会議が行われたものとして判定する請求項4に記載の会議種類推定装置。
【請求項6】
前記二者間で会合する蓋然性の情報を、該二者の分析対象時間帯以外における同時滞在時間、該二者の分析対象時間帯以外における同時滞在回数、メール履歴から得られる該二者のコミュニケーション頻度、該二者の社会的な位置付けの隔たり、または該二者が所属する組織の階層間の距離の少なくとも一つに基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の会議種類推定装置。
【請求項7】
記憶手段に記憶された、複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴を参照可能なコンピュータに、
複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴から一人以上の位置検出対象者が所在する時間帯を分節する分節機能と、
前記時間帯において、前記複数の位置検出対象者の二者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、前記複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性情報を作成する作成機能と、
前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び前記組み合わせに共通する位置検出対象者の前記組み合わせにおける分布に応じて会議の種類を判定する判定機能とを実現させるための会議種類推定プログラム。
【請求項1】
複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴から一人以上の位置検出対象者が所在する時間帯を分節する分節手段と、
前記時間帯において、前記複数の位置検出対象者の二者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、前記複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性情報を作成する作成手段と、
前記同時検出時間会合蓋然性情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び前記組み合わせに共通する位置検出対象者の前記組み合わせにおける分布に応じて会議の種類を判定する判定手段とを有する会議種類推定装置。
【請求項2】
前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせを見つけ、それぞれの前記組み合わせに含まれる位置検出対象者のある二者間で、前記蓋然性が他の二者間の蓋然性に比べて相対的に小さい場合に、前記相対的に小さい前記蓋然性に対応する同時所在の関係を破棄する第1の破棄手段をさらに有する請求項1に記載の会議種類推定装置。
【請求項3】
前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせを見つけ、それぞれの前記組み合わせに含まれる位置検出対象者のある二者間で、同時に所在する前記時間の累計値が他の二者間で同時に所在する前記時間の累計値に比べて相対的に小さい場合に、前記相対的に小さい前記時間の累計値に対応する同時所在の関係を破棄する第2の破棄手段をさらに有する請求項2に記載の会議種類推定装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記同時検出時間会合蓋然性情報を、同時に所在する位置検出対象者を互いに含まない部分情報に分解し、それぞれの部分情報に対して、会議種類判定を行う請求項3に記載の会議種類推定装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記組み合わせが1つ抽出されるとき、前記組み合わせに含まれる位置検出対象者が所在する時間帯において通常の会議が行われたものとして判定し、前記組み合わせが2つ以上抽出され、それぞれの前記組み合わせに共通する位置検出対象者が存在しないとき、前記時間帯において通常の会議の連鎖が行われたものとして判定し、前記組み合わせが2つ以上抽出され、それぞれの前記組み合わせに共通する位置検出対象者が存在するとき、前記時間帯において共通する前記位置検出対象者がレビューを受けるレビュー型会議が行われたものとして判定する請求項4に記載の会議種類推定装置。
【請求項6】
前記二者間で会合する蓋然性の情報を、該二者の分析対象時間帯以外における同時滞在時間、該二者の分析対象時間帯以外における同時滞在回数、メール履歴から得られる該二者のコミュニケーション頻度、該二者の社会的な位置付けの隔たり、または該二者が所属する組織の階層間の距離の少なくとも一つに基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の会議種類推定装置。
【請求項7】
記憶手段に記憶された、複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴を参照可能なコンピュータに、
複数の位置検出対象者の所在する位置及び時刻の履歴を示す位置情報履歴から一人以上の位置検出対象者が所在する時間帯を分節する分節機能と、
前記時間帯において、前記複数の位置検出対象者の二者間においてそれぞれ同時に所在する時間の累計値を含む同時検出時間情報と、前記複数の位置検出対象者の二者間で会合する蓋然性の情報とを用いて同時検出時間会合蓋然性情報を作成する作成機能と、
前記同時検出時間情報から、同時に所在する位置検出対象者の組み合わせの数、及び前記組み合わせに共通する位置検出対象者の前記組み合わせにおける分布に応じて会議の種類を判定する判定機能とを実現させるための会議種類推定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−2956(P2011−2956A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144558(P2009−144558)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]