説明

伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法及び通信システム

【課題】基地局と端末との間に存在し、且つ、所定のラウンドトリップ遅延範囲内に含まれる伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法を提供する。
【解決手段】基地局から下りリンクで開始指令信号30を端末へ送信するステップと、端末による開始指令信号の終端の受信後に、シグネチャ信号を端末から基地局へ上りリンクで送信するステップと、基地局において、シグネチャ受信タイムスロット28内でシグネチャ信号34、38、42を受信するステップと、基地局において、受信されたシグネチャ信号を処理するステップであって、それによって、ラウンドトリップ遅延情報を提供する、処理するステップと、を含む。処理するステップは、固有の参照シーケンス48を使用することにより、固定相関時間ウィンドウ54内において実行される巡回相関ステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、上りリンクトラフィック多重フレームに多重化された専用タイムスロット内で受信されたRACH信号から携帯電話端末に付随する複数のラウンドトリップ遅延を推定する方法に関する。
【0002】
[発明の背景]
一組の端末(T)から基地局(BS)への上りリンク(UL)及び基地局(BS)から一組の端末の各端末(T)への下りリンク(DL)を備えるUMTSのような携帯電話通信システムでは、時間領域においてランダムアクセスチャネル(RACH)を提供することが周知である。RACHは、上りリンク(UL)トラフィックで時間多重されている。
【0003】
上りリンクにおいて、ランダムアクセスは、通常、トラフィックチャネルがタイミングアドバンス(timing advance)メカニズムによってしっかりと同期されたスケジューリングされたトラフィックと対照的な意味を持つ。
【0004】
実際に、(時間、符号、及び/又は周波数における)上りリンク資源が基地局(BS)によって端末に割り当てられていない場合には、ランダムアクセスが端末によって使用される。たとえば、これは、端末に電源が投入された時のネットワークへの初期アクセスの場合に行われる。
【0005】
(たとえば、直交周波数分割多重を使用する)いくつかの通信システムでは、基地局において上りリンクを同期させることが、性能を増大するのに有益であり、動作にも必要とされる。
【0006】
これは、タイミングアドバンス手段によって得られる。このタイミングアドバンス手段によって、基地局は、各端末とのラウンドトリップ遅延(RTD)(ラウンドトリップ遅延は、基地局(BS)と端末(T)との間の距離に依存する)を測定し、基地局(BS)において各端末のデータを他の上りリンクの端末のデータと整列(align)させるために、各端末が自身の上りリンクデータ送信をシフトするよう、各端末に特有のタイミングアドバンス情報を端末に送信する。
【0007】
ラウンドトリップ遅延を測定する周知の方法は、以下のステップを含む。まず第1に、端末(T)は、データタイミング同期、フレーム同期、及び周波数同期を含む下りリンク(DL)同期を実行する。次に、端末は、所定のシンボルの受信の終了直後(たとえば、下りリンク(DL)フレームの最初の同期サブフレームの終了後)に、少なくともプリアンブル(シグネチャとも呼ばれる)及び場合によりメッセージを含む、自身に関連したRACHを送信する。最後に、基地局(BS)は、RACHシグネチャを検出し、所定のシンボルの下りリンク送信の終端と、結局は端末レベルでの所定の処理継続時間後の上りリンクのRACH受信の始端との間の遅延として、ラウンドトリップ遅延RTDを求める。
【0008】
本質的に分かるように、RACHシグネチャは粗く同期され、基地局における上りリンクのシグネチャ受信タイムスロットは、同期されたスケジュールトラフィックデータとのあらゆる望ましくない干渉を回避するために、注意深く把握される必要がある。
【0009】
一般的な場合に、トラフィック多重及び/又は送受信複信のタイプについては、このような干渉を回避するためにアイドル期間が必要とされる。この干渉およびアイドル期間は最小にされるべきである。
【0010】
時間領域における通常の相関プロセスを使用すると、スライディング相関ウィンドウ(sliding correlation window)又は櫛相関アーキテクチャ(comb correlating architecture)を使用する必要があるので、相関プロセスによって生成される自己雑音は限定されるが、シグネチャ受信タイムスロットのサイズは最小化できない。
【0011】
サイズが固定相関ウィンドウを使用することによって最小にされる時、相関プロセスによって生成される自己雑音は増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6546062号明細書(要約書、請求項1〜3および16〜18、第1図、第4図、第6図、第7欄30〜60行、第10欄40〜65行)
【特許文献2】米国特許第6388997号明細書(要約書、第2図、第8a図、第10欄10〜34行)
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0047530号明細書(要約書、0032段落〜0039段落)
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】JECHOUX B他著「Concatenated extended complementary sequences for inter-base station synchronization in UMTS TDD mode」 VTC FALL 2001. IEEE 54TH. VEHICULAR TECHNOLOGY CONFERENCE. PROCEEDINGS. ATLANTIC CITY, NJ, OCT. 7 - 11, 2001, IEEE VEHICULAR TECHNOLOGY CONFERENCE, NEW YORK, NY : IEEE, US, vol. VOL. 1 OF 4. CONF. 54,2001年10月7日,1691〜1695ページ, XP010562252 ISBN: 0-7803-7005-8(要約書、0III段落〜00IV段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
対象となる問題は、シグネチャ受信タイムスロットのサイズを最小にするために固定相関ウィンドウを使用すると、相関プロセスによって生成される自己雑音が増加し、ラウンドトリップ遅延RDT推定精度が減少するということである。
【0015】
[発明の概要]
本発明の目的は、RTD推定の精度を増加させる、サイズが最適化されたシグネチャ受信タイムスロットを有する、時間領域でのRTD推定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明は[請求項1]に関係する。
【0017】
特定の実施の形態によれば、伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法は、次の特徴:[従属請求項2〜15]の1つ又は2つ以上を含む。
【0018】
また、本発明は、通信システム[請求項16]にも関係する。
【0019】
特定の実施の形態によれば、この通信システムは、次の特徴:[従属請求項17〜18]の1つ又は2つ以上を備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】単一の端末を使用する移動体通信システムのアーキテクチャである。
【図2】基地局レベルにおける上りリンクフレーム及び下りリンクフレームの通信フローチャートの拡大図である。
【図3】シグネチャシーケンスのデータ構造である。
【図4】3つの異なる位置に位置する同じ端末に対応する、3つのシグネチャが重ねて配置されたものを有するシグネチャ受信タイムスロットの詳細図である。
【図5】単一の端末移動体通信システムの基地局レベルにおけるラウンドトリップ遅延を推定するのに使用される方法の第1の実施の形態のフローチャートである。
【図6】単一の端末移動体通信システムの基地局レベルにおけるラウンドトリップ遅延を推定するのに使用される方法の第2の実施の形態のフローチャートである。
【図7】図5又は図6に示す方法を用いて得られた相関の大きさ対時間を示すチャートである。
【図8】3つの端末を使用する移動体通信システムの構成図である。
【図9】3つの端末を使用する移動体通信システムの構成図である。
【図10】3つの端末を使用する移動体通信システムの構成図である。
【図11】基地局レベルにおける上りリンクフレーム及び下りリンクフレームの、3つの構成が重ねて配置されたものの通信フローチャートの拡大図である。
【図12】3つのシグネチャシーケンスを構築する方法を示す概略図である。
【図13】シグネチャシーケンスのデータ構造である。
【図14】シグネチャシーケンスのデータ構造である。
【図15】シグネチャシーケンスのデータ構造である。
【図16】3つのシステム構成のすべての受信シグネチャが重ねて配置されたシグネチャ受信タイムスロットの拡大詳細図である。
【図17】3つの端末を使用するシステムの、各ラウンドトリップ遅延及び端末識別子コードを併せて推定するのに使用される方法の、第1の実施の形態のフローチャートである。
【図18】3つの端末を使用するシステムの、各ラウンドトリップ遅延及び端末識別子コードを併せて推定するのに使用される方法の、第2の実施の形態のフローチャートである。
【図19】図17又は図18に示す方法を用いて得られた相関の大きさ対時間を示すチャートである。
【図20】同期されていない端末及び同期された端末を使用するシステムについての図17又は図18に示す方法を用いて得られた相関の大きさ対時間を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のより良い理解は、以下の説明を読むことによって容易になる。以下の説明は、もっぱら例としてのみ与えられるものであり、図面に関してのみ与えられるものである。
【0022】
図1に、単一の端末移動体通信システム2の3つの構成を示す。この単一の端末移動体通信システム2は、T1として参照されるユーザ端末4及びBSとして参照される基地局6を備える。第1の構成では、端末4は、P1として参照される第1の位置に位置する。第2の構成では、端末4は、P2として参照される第2の位置に位置する。第3の位置では、端末4は、P3として参照される第2の位置に位置する。P1はBSに近い一方、P2はBSからより遠くに位置し、P3はBSから最も遠くに位置する。
【0023】
各位置P1、P2、及びP3において、端末4は、BSから送信された同じ下りリンク信号8を、しかし異なる伝播経路遅延をもって、受信することができる。
【0024】
各位置P1、P2、及びP3において、端末は、各上りリンク信号10、12、及び14を送信することができる。
【0025】
基地局6が移動体4へデータを送信し、端末4がこれを受信し即時再送した後に基地局6が同じデータを受信するのに要する時間は、2方向の経路の距離に依存し、ラウンドトリップ遅延RTDと呼ばれる。
【0026】
P1、P2、及びP3に対応するラウンドトリップ遅延は、ラウンドトリップ遅延RTD1、RTD2、及びRTD3としてそれぞれ参照され、RTD1<RTD2<RTD3である。
【0027】
ここで位置P3により画定される最大カバレッジ範囲は、基地局6が受け持つセル16を画定し、ラウンドトリップ遅延RTD3によって特徴付けることができる。
【0028】
図2に、下りリンク18及び上りリンク20のデータ構造を示す。この図において、横座標軸に付随する時間は、左から右に流れている。下りリンクフレーム18は、いくつかのトラフィックデータバースト22及び規則的に間隔を空けて配置された同期バーストを時間多重したものである。ここでは、1つの同期バースト24のみが示されている。基地局8レベルにおける上りリンクフレーム20は、スケジューリングされたトラフィックデータ26及び規則的に間隔を空けて配置されたRACH(ランダムアクセスチャネル)受信タイムスロット28を時間多重したものである。同期特性に関するRACHの有用な部分は、シグネチャとも呼ばれるそのプリアンブルであるので、以下ではシグネチャのみを説明することにする。
【0029】
端末4が上りリンクにおいて基地局6と同期することを可能にするために、BSから送信された同期バースト24の終端信号30の伝播後で且つ受信時、場合によっては、所定の継続時間の後に、端末4はシグネチャを送信する。このシグネチャは、そのデータ構造についてはSGN1として参照され、また、端末P1、P2、及びP3の送信ロケーションに応じてそれぞれ32、36、及び40として参照される。シグネチャ受信タイムスロット28内で受信されたシグネチャSGN1は、P1、P2、及びP3に位置する端末から発行されると、端末の位置に応じて異なって位置し、それぞれ34、38、42として参照される。同期バースト24の開始指令時刻(start order time)30と、基地局6レベルでのシグネチャSGN1の受信の終端との間の時間の差、場合によっては端末レベルでの所定の継続時間後における時間の差は、端末4のラウンドトリップ遅延に等しくなる。受信シグネチャ34(実線のフレーム)、38(破線のフレーム)、及び42(二点鎖線のフレーム)にそれぞれ対応するラウンドトリップ遅延が、ラウンドトリップ遅延RTD1、RTD2、及びRTD3となる。図2では、シグネチャ末端の伝播経路が、基地局からの距離対時間の軸フレームにおいて太線で示されている。
【0030】
図3に、シグネチャSGN1のデータ構造44を示す。シグネチャSGN1は、SEQB1として参照される参照シーケンス48に分割できる一組のデータ46と、シグネチャSGN1のテール部とみなすことができる、SGN1−Tとして参照される巡回拡張部52とを備える。
【0031】
参照シーケンスSEQB1は、a1からaNの一組の連続データである。Nは、参照シーケンス44の長さである。端末によって送信される時、SGN1の最初の送信データはa1である。
【0032】
SEQB1の参照シーケンスのヘッド部50は、a1からaKにわたるデータシーケンスであり、巡回拡張部SGN1−Tは、ヘッド部SGN1−Hと同じデータ構造を有する。一変形では、巡回拡張部は、シグネチャの先頭に配置することができ、シーケンスのテール部と同じデータ構造を有することができる。
【0033】
ここで、シーケンスは、CAZAC(定振幅ゼロ自己相関(Constant Amplitude Zero Auto-Correlation))シーケンスであり、より詳細には、以下のように定義されるZadoff Chuシーケンスである。
Nが偶数の場合、
【0034】
【数1】

【0035】
であり、ここでk=0、1、…N−1であり、qは任意の整数である。
Nが奇数の場合、
【0036】
【数2】

【0037】
であり、ここでk=0、1、…N−1であり、qは任意の整数である。
ここで、WN=exp(−j2πr/N)であり、rはNと互いに素である。
【0038】
CAZACシーケンスは、ディラック関数である周期的な自己相関関数である。定振幅であることによって、高電力送信が必要とされる場合の非線形性に対する良好な保護が可能になる。
【0039】
一変形として、シーケンスZAC(ゼロ自己相関(Zero Auto-Correlation))も使用することができる。
【0040】
図4に、3つの異なる位置P1、P2、及びP3に位置する同じ端末T1に対応する3つのシグネチャ34、36、38が重ねて置かれた、シグネチャ受信タイムスロット28を示す。シグネチャ受信タイムスロット28は、すべての受信シグネチャ34、36、及び38を一体的に含むように配置され、したがって、ラウンドトリップ遅延の全範囲をカバーする。シグネチャ受信タイムスロット28は、時間が固定されている相関時間ウィンドウ54を備える。相関時間ウィンドウ54の長さは、参照シーケンスの長さNに等しく、この相関時間ウィンドウ54において巡回相関プロセスが実行される。相関プロセスの開始時刻56は、図4の相関時間ウィンドウの右端に対応する。端末4に割り当てられたシグネチャ34の受信の開始時刻58は、端末4が基地局6に非常に接近して位置していると、シグネチャ受信タイムスロット28の右端に対応する。時刻56及び58によって範囲が定められた時間間隔は、アイドル期間60を規定する。アイドル期間60は、シグネチャ又はRACHの、スケジューリングされたトラフィックデータとの干渉を回避するために必要とされ得る。
【0041】
シーケンスSEQB1の巡回拡張部52は、相関時間ウィンドウ54内に含まれるあらゆる受信シグネチャ34、36、38について、巡回的に完全な一組の参照シーケンスデータが受信されることを保証するものである。
【0042】
したがって、相関ウィンドウ54内に含まれるどの受信シグネチャデータも、SEQB1から導出された、巡回シフトされた参照シーケンスである。
【0043】
参照シーケンスSEQB1を基準とした、巡回シフトされた参照シーケンスの巡回シフトを求めることによって、端末T1が受ける対応したラウンドトリップ遅延が提供される。
【0044】
図4で分かるように、シグネチャ38の最大ラウンドトリップ遅延RTD3は、相関時間ウィンドウ内に含まれるシグネチャデータを巡回シフトしたものでもある巡回拡張部52の長さに等しい。
【0045】
図5のフローチャートは、単一の端末移動体通信システム2の基地局BSレベルにおけるラウンドトリップ遅延を推定するのに使用される方法62の第1の実施の形態を示している。
【0046】
最初のステップ64において、シグネチャ受信スロット28内の完全なシグネチャSGN1の受信後、相関時間ウィンドウ54の外部に位置する受信シグネチャSGN1のサンプルがステップ65において除去される。
【0047】
続いて、次のステップ66において、巡回相関が、初期のゼロシフトされてフィルタリングされた受信シーケンスとしてリングシフトレジスタに入力された残りのサンプルに対して実行される。
【0048】
ステップ66は、ステップ67、68、69、70、71、及び72を含む。
【0049】
シフトカウンタicが、ステップ67において、シフトカウンタicの値を1に設定することにより最初に初期化される。次に、ステップ68において、サンプルごとの積の総和が、固有の参照シーケンスSEQB1と、ic−1だけシフトされてフィルタリングされた受信シーケンスとに対して実行される。ステップ68から結果として得られた積の合計Ptime(ic)は、ステップ69により、1からN−1までインデックスされるアレイのインデックスic−1に記憶される。ステップ69の後にステップ70が続き、実際のカウンタ値icがNと比較される。
【0050】
icがNと異なる場合、カウンタ値icは、ステップ71において1つだけインクリメントされ、リングレジスタの実際のシフト受信シーケンスは、1サンプル期間だけシフトされる。次に、ステップ68、69、70が再び実行される。
【0051】
icがNに等しい場合、積の合計配列Ptime(ic)の最大値として相関ピークを検出することにより、ステップ74が進行する。積の合計Ptime(ic)が最大になるicmaxの値が、ステップ76において、t(SGN1)として参照される受信シグネチャSGN1の推定ラウンドトリップ遅延として特定される。
【0052】
第2の実施の形態では、図6のフローチャートに示すような方法62が、同じシーケンスのステップ64、65、66、74、及び76を含む。これらのステップは、ステップ66を除いてすべて同じである。ステップ66では、ステップ77、78、及び80が続けて実行される。ステップ77において、第1のFFT(高速フーリエ変換)が、ステップ65から結果として得られた時間領域のサンプルを周波数領域の受信サンプルに変換する。次に、ステップ78において、周波数領域に変換されたサンプルに、ステップ80によって得られた参照シーケンスSEQB1の対応する周波数領域のサンプルが乗算される。ステップ80において、ステップ80により時間領域の参照シーケンスSEQB1を入力した後、第2のFFTがステップ84によって実行される。2つのFFTの結果を乗算した後、次に、IFFT(逆高速フーリエ変換)がステップ80により実行される。
【0053】
図7のチャート86に、図1の3つの構成の相関の大きさ対時間を示す。
【0054】
start30を基準とした、実線88、破線90のピーク、及び二点鎖線92の時間軸上の各位置は、第1のラウンドトリップ遅延RTD1、第2のラウンドトリップ遅延RTD2、及び第3のラウンドトリップ遅延RTD3を決定する。
【0055】
図8、図9、及び図10は、T1、T2、及びT3として参照される3つの異なる端末4、94、及び98を使用する移動体通信システムの3つの構成を示し、それぞれの図において3つの端末は実線の四角形、破線の四角形、二点鎖線の四角形に囲まれている。
【0056】
図8に示すような第1の構成93では、端末4(T1)はP1に位置する一方、端末94(T2)及び端末96(T3)はP2及びP3にそれぞれ位置する。T1、T2、及びT3に割り当てられた各上りリンクは、98、100、及び102として参照される。第1の構成93では、端末T1、T2、及びT3への対応するラウンドトリップ遅延は、それぞれラウンドトリップ遅延RTD1、RTD2、及びRTD3となる。
【0057】
図9に示すような第2の構成103では、端末4(T1)がP3に位置する一方、端末94(T2)及び端末96(T3)はP1及びP2にそれぞれ位置する。T1、T2、及びT3に割り当てられた各上りリンクは、108、104、及び106として参照される。第2の構成103では、端末T1、T2、及びT3への対応するラウンドトリップ遅延は、それぞれラウンドトリップ遅延RTD3、RTD1、及びRTD2である。
【0058】
図10に示すような第3の構成110では、端末4(T1)がP2に位置する一方、端末94(T2)及び端末96(T3)はP3及びP1にそれぞれ位置する。T1、T2、及びT3に割り当てられた各上りリンクは、114、116、及び112として参照される。第3の構成110では、端末T1、T2、及びT3への対応するラウンドトリップ遅延は、それぞれラウンドトリップ遅延RTD2、RTD3、及びRTD1である。
【0059】
図11に、下りリンク18及び上りリンク20のデータ構造を図2と同じ方法で示す。
【0060】
第1の構成93に関して、端末4、94、96が基地局6と上りリンクで同期することを可能にするために、各端末4、94、及び96は、BSから送信された同期バースト24の開始指令信号30の伝播後で且つ開始指令30の受信時、場合によっては所定の継続時間の後に、関連したシグネチャを送信する。このシグネチャは、そのデータ構造についてはSGN1、SGN2、及びSGN3として参照され、また、その端末の対応するロケーション、すなわちP1、P2、及びP3については118、122、及び126として参照される。各シグネチャSGN1、SGN2、及びSGN3は、シグネチャ受信タイムスロット28内で受信され、P1、P2、及びP3にそれぞれ位置する各端末4、94、95から発行されると、端末の位置に応じて異なって位置し、それぞれ120、124、及び128として参照される。同期バースト24の開始指令時刻30と、基地局レベルでの各シグネチャSGN1、SGN2、及びSGN3の受信の終了との間の時間の差、場合によっては端末レベルでの所定の継続時間後における時間の差は、端末4、94、及び96のラウンドトリップ遅延にそれぞれ等しくなる。受信シグネチャ120、124、及び128にそれぞれ対応するラウンドトリップ遅延が、ラウンドトリップ遅延RTD1、RTD2、及びRTD3となる。図11では、シグネチャ末端の伝播経路が、基地局からの距離を表す縦軸及び時間を表す水平軸の2軸フレームにおいて太線で示されている。
【0061】
ここでは、第1の構成93の受信シグネチャ120、124、及び128のみが、シグネチャ受信タイムスロット28内に示されている。
【0062】
第2の構成103に関しては、送信シグネチャ130、132、及び134のみが示され、T2、T3、及びT1によってP1、P2、及びP3からそれぞれ発行されたSGN2、SGN3、及びSGN1としてそれぞれ割り当てられる。
【0063】
第3の構成110に関しては、送信シグネチャ136、138、及び140のみが示され、T3、T1、及びT2によってP1、P2、及びP3からそれぞれ発行されたSGN3、SGN1、及びSGN2としてそれぞれ割り当てられる。
【0064】
図12は、参照シーケンスSEQB1から導出される3つのシグネチャシーケンスを構築する方法を示している。参照シーケンスSEQB1は、参照リング142において時計回りに配置されている。Nを3の整数倍と仮定して、参照シーケンスSEQB1は、SB1、SB2、及びSB3として参照される3つの連続したサブシーケンス146、148、及び150に等分割される。
【0065】
SB1は、a1からaN/3に及ぶ一組のデータを含む。SB2は、a(N/3)+1からa2N/3に及ぶ一組のデータである。SB3は、a(2N/3)+1からaNに及ぶ一組のデータである。
【0066】
第1のシグネチャシーケンスSEQB1は、参照シーケンスであり、連続したサブシーケンスSB1、SB2、及びSB3の組として表すことができる。
【0067】
SEQB2として参照される第2のシグネチャシーケンス152は、連続したサブシーケンスSB2、SB3、及びSB1の組として定義される。
【0068】
SEQB3として参照される第3のシグネチャシーケンス154は、連続したサブシーケンスSB3、SB1、及びSB2の組として定義される。
【0069】
直線的に配備されたシーケンスSEQB1及びSEQB2、SEQB3は、図13、図14、及び図15にそれぞれ表されている。すべてのシーケンスは、互いに直交している。
【0070】
シグネチャSGN1の構築は上述されている。SGN2及びSGN3は、SGN1について上述したのと同じ方法で構築される。
【0071】
図16に、3つのシステム構成のすべての受信シグネチャ118、138、134、130、122、140、136、132、126が重ねて配置されたシグネチャ受信タイムスロット28を示す。第1の構成93のシグネチャは、実線により縁取られた長方形に囲まれている。第2の構成のシグネチャは、破線により縁取られた長方形に囲まれている。第3の構成のシグネチャは、二点鎖線により縁取られた長方形に囲まれている。
【0072】
実際の受信は、シグネチャを囲む同じタイプの線として見えるはずである。たとえば、第1の構成の場合、実際の受信では、118、122、及び126のみが示されることになる。
【0073】
シグネチャ巡回拡張部52、156、及び158は、それぞれ、各シグネチャSGN1、SGN2、及びSGN3のシグネチャのテールである。すべてのシグネチャ拡張部は、同じ長さを有する。
【0074】
一変形では、シグネチャ巡回拡張部は、それぞれ、各シグネチャSGN1、SGN2、及びSGN3のシグネチャヘッドとすることができる。
【0075】
図17のフローチャートは、3つの端末を使用する移動体通信システムの、基地局レベルにおける各ラウンドトリップ遅延及び端末識別子コードを併せて推定するのに使用される、方法の第1の実施の形態を示している。
【0076】
最初のステップ162において、シグネチャ受信スロット28のすべてのシグネチャの和SGN1+SGN2+SGN3の受信後、受信シグネチャの和SGN1+SGN2+SGN3のサンプルのうち相関時間ウィンドウ54の外部に位置するものが、ステップ164において除去される。
【0077】
続いて、次のステップ166において、巡回相関が、初期のゼロシフトされてフィルタリングされた受信信号としてリングシフトレジスタに入力された残りのサンプルに対して実行される。
【0078】
ステップ166では、シフトカウンタicが、ステップ168において、シフトカウンタicの値を1に設定することにより最初にセットアップされる。次に、ステップ170において、サンプルごとの積の総和が、参照シーケンスSEQB1と、ic−1だけシフトされた受信シーケンスとに対して実行される。ステップ170から結果として得られた積の合計Ptime(ic)は、ステップ172により、1からN−1までインデックスされるアレイのインデックスic−1に記憶される。ステップ172の後にステップ180が続き、ステップ180において、実際のカウンタ値icがNと比較される。
【0079】
icがNと異なる場合、カウンタ値icは、ステップ182において1つだけインクリメントされ、リングレジスタの実際のシフト受信信号は、1サンプル期間だけシフトされる。次に、ステップ170、172、180が再び実行される。
【0080】
icがNに等しい場合、相関の積の合計配列Ptime(ic)の3つの最も高い値として3つの相関ピークを検出することにより、ステップ186が進行する。各ピークは1つのシグネチャに対応する。このシグネチャは、各端末に割り当てられた端末識別子コードである。積の合計が最大になるicの3つの値が、ステップ188において、シグネチャに関連した3つの時間間隔の1つに属するものとして特定され、検出された各シグネチャについて、ラウンドトリップ遅延が、シグネチャピークの時間インデックスと、ラウンドトリップ遅延がない場合の同じシグネチャの予想インデックスとの時間差として求められる。
【0081】
図18は、3つの異なる端末を使用する移動体通信システムの端末識別子コード及びラウンドトリップ遅延を検出する方法の第2の実施の形態である。
【0082】
この第2の実施の形態では、方法160は、ステップ166を除いて、第1の実施の形態のステップと同じシーケンスのステップ162、164、186、及び188を含む。ステップ166では、異なるステップ190、192、及び194が続けて実行される。ステップ190において、第1のFFT(高速フーリエ変換)が、ステップ164から結果として得られた時間領域のサンプルを周波数領域の受信サンプルに変換する。次に、ステップ192において、周波数領域の受信サンプルに、ステップ196によって得られた周波数領域の参照シーケンスSEQB1の対応するサンプルが乗算される。ステップ196において、ステップ198により時間領域の参照シーケンスSEQB1を入力した後、第2のFFTがステップ200によって実行される。2つのFFTの結果を乗算した後、次に、IFFT(逆高速フーリエ変換)が、ステップ194により、結果のサンプルに対して実行される。
【0083】
図19は、重ねて配置された3つのシステム構成についての3つの端末のシグネチャの相関の大きさ対時間を示している。図19のチャートでは、実線、破線、及び二点鎖線は、第1の構成の相関ピーク、第2の構成の相関ピーク、及び第3の構成の相関ピークをそれぞれ示している。線220、222、及び224は、第1の構成についての第1のシグネチャの時間相関、第2のシグネチャの時間相関、及び第3のシグネチャの時間相関をそれぞれ示している。線226、228、及び230は、第2の構成についての第1のシグネチャの時間相関、第2のシグネチャの時間相関、及び第3のシグネチャの時間相関をそれぞれ示している。線232、234、及び236は、第3の構成についての第1のシグネチャの時間相関、第2のシグネチャの時間相関、及び第3のシグネチャの時間相関をそれぞれ示している。図から分かるように、時間間隔は、シグネチャにそれぞれ割り当てられたものとして定義することができる。したがって、ここで、[a1,a(N/3)-1]はSGN1に割り当てられ、[aN/3,a(2N/3)-1]はSGN2に割り当てられ、[a(2N/3)-1,aN-1]はSGN3に割り当てられる。各受信シグネチャについて測定されたラウンドトリップ遅延は、受信シグネチャの時間インデックスから、何ら遅延のない同じシグネチャの予想時間インデックスを引いたものに等しい。この予想時間インデックスは、SGN1では1であり、SGN2ではN/3であり、SGN3では2N/3である。
【0084】
実際の動作では、同じタイプの3つの線のみが示されることになる。例として、第1の構成の場合、相関ピーク線220は、RTD1のラウンドトリップ遅延を示す一方、線222及び224は、それぞれRTD2のラウンドトリップ遅延及びRTD3のラウンドトリップ遅延を示す。
【0085】
巡回的に隣接するシグネチャの検出においてあらゆる重なり合いを回避するために、2つの隣接するシグネチャに、少なくとも通信システムによって予想される最大ラウンドトリップ遅延だけ間隔を空けることを通じて、設計に細心の注意が払われる。上述したシステムでは、この間隔は、ラウンドトリップ遅延RTD3よりも大きくなる。
【0086】
図20は、上りリンクで同期された端末及び上りリンクで同期されていない端末を含むシステムの、上述した方法に従った相関の大きさ対時間を示している。
【0087】
ここで、2つの同期されていないシグネチャが、2つの同期されていない端末に割り当てられている。第1の端末はラウンドトリップ遅延RTD1を示すものとして配置され、第2の端末はラウンドトリップ遅延RTD2を示すものとして配置される。同期されていないシグネチャとは、そのシグネチャが初期アクセス用に送信されることを意味する。
【0088】
一組の同期されたシグネチャは、上りリンクで同期された一組の端末に割り当てられる。同期されたシグネチャとは、端末が上りリンクにおいて基地局と常に時間同期されている時、すなわち、タイミングアドバンス値がその端末ですでに利用可能である時に、そのシグネチャが送信されることを意味する。
【0089】
同期された端末の第1の同期されたシグネチャの構築コア(building core)としてのシグネチャシーケンスは、ここでは、第1の同期されていないシグネチャの生成シーケンス(generating sequence)から相対的に2N/3だけシフトされている。同期された端末のその後のどのシグネチャも、参照シーケンスに対して範囲[2N/3,N−1]内に含まれる値だけシフトされた生成シーケンスを有する。
【0090】
第1の同期されていないシグネチャ及び第2の同期されていないシグネチャは、それぞれ、時間遅延及び端末識別子を提供する。
【0091】
図20では、チャートが、ラウンドトリップ遅延RTD1と共に、第1の同期されていないシグネチャに対応する第1の相関ピーク線240を示している。
【0092】
また、このチャートは、ラウンドトリップ遅延RTD2と共に、第2の同期されていないシグネチャに対応する第2の相関ピーク線244も示している。
【0093】
このチャートは、RTDのない一組の同期されたシグネチャに対応する一組の相関ピーク線244(最初の線246、最後の線260)も示している。
【0094】
2つの異なるプロセス(同期又は非同期)間でシグネチャを分割することの利益は、同期された場合には、もはや考慮すべきトリップ遅延が存在しないので、異なるシグネチャを巡回シフトしたものをより密接にまとめることができるということである。
【0095】
この場合に、より小さな巡回シフトステップに加えて、より小さな巡回拡張部の継続時間を使用でき、アイドル期間を抑えることができる。巡回拡張部の継続時間は、チャネルの最大経路遅延、タイミングアドバンス誤差、及びフィルタリングの影響を処理するために選ばれるべきである。
【0096】
また、相互間で低い巡回相互相関(cyclic cross correlation)を有するように選択された、いくつかのCAZAC参照シーケンスを使用することも好都合となり得る。したがって、シーケンス間の干渉及び受信機の複雑さの増加を犠牲にして、利用可能なシグネチャの個数は、参照シーケンスの個数倍となる。後者は、1つの参照シーケンスのみを使用するだけの場合の単一の相関器の代わりに、基地局において複数の相関器(1つの参照CAZACシーケンスごとに1つ)が必要となることによる。
【0097】
良好な巡回相互相関特性を有するこのような一組の基本シーケンスの良い例は、オリジナルのZadoff Chuシーケンスから外挿された時計方向及び反時計方向の位相回転対のシーケンスである。
Nが偶数の場合、
【0098】
【数3】

【0099】
であり、ここでk=0、1、…N−1であり、qは任意の整数である。
Nが奇数の場合、
【0100】
【数4】

【0101】
であり、ここでk=0、1、…N−1であり、qは任意の整数である。
Nが偶数の場合、
【0102】
【数5】

【0103】
であり、ここでk=0、1、…N−1であり、qは任意の整数である。
Nが奇数の場合、
【0104】
【数6】

【0105】
であり、ここでk=0、1、…N−1であり、qは任意の整数である。
ここで、WN=exp(−j2πr/N)であり、rはNと互いに素である。
【0106】
この例は、第2の参照シーケンスが第1の参照シーケンスから導出されるので、参照シーケンスに要求されるストレージが抑制される。したがって、参照の一定の固有性が維持される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局(6)と端末(4)との間に存在し、且つ、所定のラウンドトリップ遅延範囲内に含まれる伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法であって、
以下のステップ:
前記基地局(6)から下りリンクで開始指令信号(24)を前記端末(4)へ送信するステップと、
前記端末(4)による前記開始指令信号の終端(30)の受信後に、シグネチャ信号(32、36、40)を前記端末(4)から前記基地局(6)へ上りリンクで送信するステップと、
前記基地局(6)において、シグネチャ受信タイムスロット(28)内で前記シグネチャ信号(34、38、42)を受信するステップと、
前記基地局(6)において、前記受信されたシグネチャ信号(34、38、42)を処理するステップ(62)であって、それによって、ラウンドトリップ遅延情報を提供する、処理するステップ(62)と、
を含み、
前記処理するステップ(62)は、前記シグネチャ信号(32、36、40)を計算するための固有の参照シーケンス(48)を使用することにより、固定相関時間ウィンドウ(54)内において実行される巡回相関ステップ(66)を含む
ことを特徴とする、伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項2】
前記巡回相関ステップ(66)は、少なくとも2つのステップを含み、
各ステップは、時間領域においてサンプルを処理する、ことを特徴とする、請求項1に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項3】
前記シグネチャ受信タイムスロット(28)の長さは、前記所定の範囲のラウンドトリップ遅延RTD3にわたるラウンドトリップ遅延の推定を可能にするように最小にされる、ことを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項4】
前記シグネチャ受信タイムスロット(28)は、アイドル期間(60)を含み、
前記アイドル期間(60)の長さは、推定されるべきラウンドトリップ遅延の範囲RTD3に等しい、
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項5】
前記固有の参照シーケンス(48)は、ゼロ自己相関(ZAC)シーケンスである、ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項6】
前記固有の参照シーケンス(48)は、定振幅ゼロ自己相関(CAZAC)シーケンスである、ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項7】
前記固有の参照シーケンス(48)は、Zadoff−Chuシーケンスである、ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項8】
前記シグネチャ(34、38、42、44)は、前記固有の参照シーケンス(48)と、前記固有の参照シーケンス(48)のテール又はヘッドにそれぞれ連結された巡回拡張部(52)とを含み、
前記巡回拡張部(52)は、前記固有の参照シーケンス(48)のそれぞれヘッド部(50)又はテール部である
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項9】
前記処理するステップ(62)は、以下のステップのシーケンスであって、
前記シグネチャ受信タイムスロットにおいて一組のサンプルを受信するステップ(64)と、
前記相関時間ウィンドウの外部で受信された前記サンプルを除去するステップ(65)と、
残っている前記一組のサンプルを第1の有用なシーケンスとしてリングシフトレジスタに記憶するステップと、
前記固有の参照シーケンス(48)及び前記第1の有用なシーケンス(48)からのシフトされた連続的なシーケンスに関係した、時間領域のサンプルごとの積の一組の総和(68)を実行するステップと、
時間領域のサンプルごとの積の前記総和(68)から得られた積の合計を、前記参照シーケンスの長さNから1を引いたものに等しい長さのアレイに記憶するステップ(64)と、
前記アレイにおいて、時間領域における相関の最大ピークを検出するステップ(74)と、
前記検出された相関のピークに対応する時間として前記端末の前記ラウンドトリップ遅延を求めるステップ(76)と
から成るステップのシーケンスを含む、ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項10】
前記処理するステップ(62)は、以下のステップのシーケンスであって、
前記シグネチャ受信タイムスロットにおいて一組のサンプルを受信するステップ(64)と、
前記相関時間ウィンドウの外部で受信された前記サンプルを除去するステップ(65)と、
前記相関時間ウィンドウ内で受信された前記サンプルに対して第1の高速フーリエ変換(FFT)を実行するステップ(77)と、
前記得られた周波数領域のサンプルに、第2の高速フーリエ変換(FFT)(84)から結果として得られた前記固有の参照シーケンス(48)の前記周波数領域のサンプルを乗算するステップ(78)と、
乗算ステップにおいて得られた前記サンプルに対して逆高速フーリエ変換(IFFT)を実行するステップ(80)と、
時間領域における相関の最大ピークを検出するステップ(74)と、
前記検出された相関のピークに対応する時間として前記端末の前記ラウンドトリップ遅延を求めるステップ(76)と、
から成るステップのシーケンスを含む、ことを特徴とする、請求項1、3〜8のいずれか一項に記載の伝播ラウンドトリップ遅延を推定するための方法。
【請求項11】
少なくとも2つの端末(4、94、96)(T1、T2、T3)に関係した少なくとも2つの端末コードのうちから前記端末(4)(T1)に関係した端末識別子コードを決定することを含み、
別個のシグネチャ信号(118、122、126)が各端末(4、94、96)から前記基地局(6)へ1つの上りリンクで送信され、
信号の時間合計を形成する前記受信されたシグネチャ信号(120、124、128)は、固定相関時間ウィンドウ(54)内で実行される共通の巡回相関ステップ(166)を含み且つ前記固有の参照シーケンス(48)を使用する処理ステップ(160)において同時に処理される、
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各シグネチャ(118、122、126)は、シグネチャシーケンス(48、152、154)と、前記シグネチャシーケンス(48、152、154)のテール又はヘッドにそれぞれ連結されたシグネチャ巡回拡張部(52、156、158)とを含み、
前記シグネチャシーケンス(48、152、154)は、前記固有の参照シーケンス(48)を巡回シフトしたものであり、
前記シグネチャ巡回拡張部(52、156、158)は、前記シグネチャシーケンス(48)のそれぞれヘッド部(50)又はテール部である、ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記処理ステップ(160)は、以下のステップのシーケンスであって、
前記シグネチャ受信タイムスロット(28)において一組のサンプルを受信するステップ(162)と、
前記受信されたシグネチャ信号サンプルの時間合計から、前記相関時間ウィンドウ(54)の外部で受信された前記サンプルを除去するステップ(164)と、
残っている前記一組のサンプルを第1のフィルタリングされた受信信号としてリングシフトレジスタに記憶するステップと、
前記固有の参照シーケンス(48)及び前記第1のフィルタリングされた受信信号からのシフトされた連続的な受信シーケンスに関係した、時間領域のサンプルごとの積の一組の総和(170)を実行するステップと、
時間領域のサンプルごとの積の前記総和(170)から得られた積の合計を、前記参照シーケンスの長さNから1を引いたものに等しい長さのアレイに記憶するステップ(172)と、
前記アレイにおいて、時間領域における一組の相関の最大ピークを検出するステップ(186)と、
検出された各最大ピークについて、前記時間領域の相関期間の1つの所定の間隔に単独で関連したコードであるとして前記識別子コードを求めるステップと、
検出された各最大ピークについて、前記関連した識別子コードによって特定された前記端末の前記対応するラウンドトリップ遅延を、前記検出された相関のピークに対応する時刻と、前記識別子コードに関連した前記間隔の開始時刻との時間差として求めるステップ(188)と、
から成るステップのシーケンスを含む、ことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2つの端末(4、94、96)(T1、T2、T3)に関係した少なくとも2つの端末コードのうちから前記端末(4)(T1)に関係した端末識別子コードを決定することを含み、
別個のシグネチャ信号(118、122、126)が各端末(4、94、96)から前記基地局(6)へ1つの上りリンクで送信され、
信号の時間合計を形成する前記受信されたシグネチャ信号(120、124、128)は、固定相関時間ウィンドウ(54)内で実行される共通の巡回相関ステップ(166)を含み且つ前記固有の参照シーケンス(48)を使用する処理ステップ(160)において同時に処理され、
前記処理ステップ(160)は、以下のステップのシーケンスであって、
前記シグネチャ受信タイムスロット(28)において一組のサンプルを受信するステップ(162)と、
前記受信されたシグネチャ信号サンプルの時間合計から、前記相関時間ウィンドウ(54)の外部で受信された前記サンプルを除去するステップ(164)と、
前記相関時間ウィンドウ(54)内で受信された前記サンプルに対して第1の高速フーリエ変換(FFT)を実行するステップ(190)と、
前記得られた周波数領域のサンプルに、第2の高速フーリエ変換(FFT)(200)から結果として得られた前記固有の参照シーケンス(48)の前記周波数領域のサンプルを乗算するステップ(192)と、
乗算ステップ(192)において得られた前記サンプルに対して逆高速フーリエ変換を実行するステップ(194)と、
ステップ(194)から結果として得られた前記時間領域のサンプルを、前記参照シーケンスの長さNから1を引いたものに等しい長さのアレイに記憶するステップと、
時間領域の相関期間において一組の最大の相関ピークを検出するステップ(186)と、
各最大ピークについて、前記時間領域の相関期間の1つの間隔に単独で関連したコードであるとして前記識別子コードを求めるステップと、
各最大ピークについて、前記関連した識別子コードによって特定された前記端末の前記ラウンドトリップ遅延を、前記検出された相関のピークに対応する時刻と、前記識別子コードに関連した前記間隔の開始時刻との時間差として求めるステップ(188)と、
から成るステップのシーケンスをさらに含む、ことを特徴とする、請求項1、3〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの端末が上りリンクにおいて同期され、
異なるシグネチャが各端末に割り当てられ、各シグネチャは前記固有の参照シーケンスを巡回シフトしたものであり、
上りリンクで同期された端末に割り当てられた前記一組のシグネチャは、コンパクトグループを形成する、
ことを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
基地局(6)、端末(4)を備える通信システムであって、
前記端末は、
開始指令信号(24)の終端(30)を受信するための受信手段と、
前記開始指令信号(24)の前記終端(30)の受信後に、シグネチャ信号(32、36、40)を前記基地局(6)へ上りリンクで送信するための送信手段と、
を備え、
前記基地局は、
前記開始指令信号(24)を前記端末(4)へ下りリンクで送信するための送信手段と、
受信シグネチャ信号(34、38、42)をシグネチャ受信タイムスロット(28)内において受信するための手段と、
前記受信シグネチャ信号(34、38、42)を前記基地局(6)において処理するための手段であって、それによって、ラウンドトリップ遅延情報を提供する、処理するための手段と、
を備え、
前記処理するための手段は、前記シグネチャ信号(32、36、40)を計算するための固有の参照シーケンス(48)を使用することによって、固定相関時間ウィンドウ(54)内で実行される巡回相関ステップ(66)を実行することができる、
ことを特徴する通信システム。
【請求項17】
少なくとも2つの端末(4、94、96)を備え、
前記処理するための手段は、少なくとも2つの端末(4、94、96)(T1、T2、T3)に関係した少なくとも2つの端末コードのうちから、前記端末(4)(T1)に関係した端末識別子コードを求めることができ、
別個のシグネチャ信号(118、122、126)が各端末(4、94、96)から前記基地局(6)へ1つの上りリンクで送信され、
信号の時間合計を形成する前記受信されたシグネチャ信号(120、124、128)は、固定相関時間ウィンドウ(54)内で実行される共通の巡回相関ステップ(166)を含み且つ前記固有の参照シーケンス(48)を使用する処理ステップ(160)において同時に処理される、
ことを特徴とする、請求項16に記載の通信システム。
【請求項18】
少なくとも1つの第1の端末が、第1の固有の参照シーケンス(48)として第1のZadoff Chuシーケンスを使用し、
少なくとも1つの第2の端末が、第2の固有の参照シーケンスとして第2のZadoff Chuを使用し、
前記第2のZadoff Chuは、前記第1のZadoff Chuシーケンスの逆シーケンスである、
ことを特徴とする、請求項17に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−193476(P2011−193476A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−73068(P2011−73068)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【分割の表示】特願2007−121742(P2007−121742)の分割
【原出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】