説明

伝送システム及び受電装置

【課題】 表示部に通電を行う薄い受電装置に対して、容量結合を用いて非接触にて効率よく電気信号を伝送することが可能な伝送システム等を提供する。
【解決手段】 電気信号を送信する送電装置と、少なくとも2つの受電電極により前記電気信号を非接触にて受信する電子ペーパー装置とを備える伝送システムであって、前記電子ペーパー装置は、画像を表示する表示部を有し、前記表示部は、当該表示部に通電する画素電極を有し、前記電子ペーパー装置には、前記画素電極が平面化された状態で有する面のうち最大面積を有する面である画素電極面に垂直な方向に前記画素電極面を平行移動させて形成される領域である画素電極領域があり、前記受電電極のうちの1つである第1受電電極は、前記画素電極領域以外の領域において前記電気信号を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送システム及び受電装置に関し、特に、電気信号(電力を含む。また、電力に情報信号を重畳させた信号を含む。以下、同様。)を送る送電装置と電気信号を受け取る受電装置とが互いに非接触にて電気信号を伝送する伝送システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電装置から受電装置へと非接触にて電気信号を伝送する伝送システムが開発されてきた。このうち、電磁誘導を応用して電気信号を伝送する方式は、送電側と受電側とで位置関係を精密に調整する必要があった。そこで、位置関係の制約を緩和する方式として、例えば、静電界を用いて非接触にて電気信号を伝送する伝送システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された伝送システムは、送電装置と受電装置を備える。送電装置は、交流信号を生成する交流信号生成部と、交流信号を共振させる第1共振部と、受電装置に非接触にて電気信号を送るための第1送電電極及び第2送電電極とを備える。受電装置は、送電装置から非接触にて電気信号を受け取るための第1受電電極及び第2受電電極と、受電した電気信号を共振させる第2共振部と、交流を直流に変換する整流部と、電力が消費される回路負荷とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−296857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、容量結合を用いて非接触にて電気信号を伝送するための伝送システムであって、表示部に通電を行う受電装置を備えるものは、十分に開発されていなかった。受電装置が表示部を備える場合、下記の問題が生じる。
【0006】
表示部に通電するためには、表示部に通電する電極(画素電極)を受電装置が備える必要がある。このとき、画素電極、第1受電電極及び第2受電電極の間で容量結合が起こりうる。すると、送電装置の送電電極と受電装置の受電電極との間の静電結合が阻害される。結果として、非接触の伝送効率が低下してしまう。
【0007】
特に、受電装置が薄い場合、受電装置内の第1受電電極及び第2受電電極の両方が画素電極に近接してしまう。したがって、受電装置内の容量結合の影響は大きくなり、伝送効率が低下してしまう課題がある。
【0008】
一方、電極間の相互作用を小さくするために各電極を小型化することも考えられる。しかし、受電電極を小さくすると、伝送効率が低下してしまう課題がある。また、画素電極の小型化は、表示部を小型化せざるをえなくなる課題がある。
【0009】
ゆえに、本発明は、表示部に通電を行う薄い受電装置に対して、容量結合を用いて非接触にて効率よく電気信号を伝送することが可能な伝送システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、電気信号を送信する送電装置と、少なくとも2つの受電電極により前記電気信号を非接触にて受信する電子ペーパー装置とを備える伝送システムであって、前記電子ペーパー装置は、画像を表示する表示部を有し、前記表示部は、当該表示部に通電する画素電極を有し、前記電子ペーパー装置には、前記画素電極が平面化された状態で有する面のうち最大面積を有する面である画素電極面に垂直な方向に前記画素電極面を平行移動させて形成される領域である画素電極領域があり、前記受電電極のうちの1つである第1受電電極は、前記画素電極領域以外の領域において前記電気信号を受信する。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の伝送システムであって、前記電子ペーパー装置は、前記受電電極のうちの前記第1受電電極とは異なる電極である第2受電電極を、その一部又は全部を前記画素電極領域内に存在させて備える。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の伝送システムであって、前記電子ペーパー装置は、前記電気信号の受信効率を向上させる増感部を有し、前記増感部は、外部と電気的に接続可能であって、前記第1受電電極が前記増感部と電気的に接続されている、又は、前記第1受電電極が外部と電気的に接続可能であることにより当該第1受電電極の一部若しくは全部が前記増感部として機能する。
【0013】
請求項4に係る発明は、送電装置から送信された電気信号を非接触にて受信する受電装置であって、画像情報を表示する表示部と、前記電気信号を受信するための第1受電電極とを備え、前記表示部は、当該表示部を通電させる画素電極を有し、前記第1受電電極は、前記画素電極が平面化された状態で有する面のうち最大面積を有する面である画素電極面に垂直な方向に前記画素電極面を平行移動させて形成される領域である画素電極領域に対して、前記画素電極領域以外の領域に備えられるものであり、前記画素電極が前記電気信号を受信するためにも用いられて少なくとも前記第1受電電極及び前記画素電極により前記電気信号を受信する、又は、前記画素電極とは異なる第2受電電極を、その一部又は全部を前記画素電極領域内に存在させて備えることにより少なくとも前記第1受電電極及び前記第2受電電極により前記電気信号を受信する。
【0014】
ここで、電子ペーパー装置又は受電装置は、表示部が静止画像又は動画を可逆的に曲げつつ表示することが可能であるほどに薄い装置であってもよい。すなわち、電子ペーパー装置又は受電装置は、例えば紙のような柔軟で薄型の表示装置であってもよい。また、電子ペーパー装置又は受電装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPCなどの全ての携帯端末装置、また、電子新聞、電子ポスター、電子棚札、POP、電子メニュー、電子レシピ、電子掲示板、電子情報発信ボード、電子書籍、電子工程指示書、電子荷票、電子黒板、表示機能付きICカード/ICタグなどの電子ペーパーを表示装置として用いた装置であってもよい。
【0015】
また、画素電極領域は、受電時に画素電極と容量結合されやすい領域として定義されれば他の表現で定義されてもよい。例えば、画素電極領域を「画素電極の周辺回路又は基板を含む画素電極部を画素電極面に垂直な方向に平行移動させて形成される領域」と定義してもよい。
【0016】
さらに、本願発明に係る第1受電電極は、電気信号を受け取るとき(受電時)以外は、画素電極領域内に存在してもよい。例えば、収納されているとき(収納時)には電気信号を受け取らないのであれば、収納時に第1受電電極が画素電極領域内に存在してもよい。逆に、収納時にも第1受電電極が画素電極領域外に存在する場合、収納した状態で受電装置が電気信号を受け取るものであってもよい。
【0017】
さらに、受電装置において、第2受電電極は、少なくとも一部が画素電極領域内に存在すればよく、画素電極と同一物であるか別体であるかを問わない。また、増感部は、第2受電電極と電気的に接続されるものであってもよい。
【0018】
さらに、「外部と電気的に接続可能」とは、直接的であるか間接的であるかによらず外部と電気的に接続可能であることをいう。すなわち、増感部は、外部に露出することにより電気抵抗を介して外部と電気的に接続可能であってもよい。あるいは、容量結合により絶縁体を介して外部と電気的に接続可能であってもよい。
【0019】
さらに、本願発明を、電気信号を送る送電装置と送電装置から非接触にて電気信号を受け取る電子ペーパー装置又は受電装置とを備えた伝送システムにおける伝送方法の発明と捉えてもよい。あるいは、本願発明を電子ペーパー装置又は受電装置を生産する生産方法の発明と捉えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本願の各請求項に係る発明によれば、第1受電電極は、画素電極との容量結合が抑制されるように配置される。したがって、例えば電子ペーパー装置のような表示部を備えた薄型の受電装置を用いても、送電装置から受電装置への効率よい伝送が非接触にて可能となる。
【0021】
しかも、第1受電電極と画素電極との容量結合が抑制されるため、画素電極を第1受電電極とは異なる受電電極(第2受電電極)として用いることが可能となる。これにより、受電装置が画素電極とは別に2つの受電電極を備える場合に比べて、表示部を大型化し又は受電装置を小型化することが可能となる。その上、受電装置を生産する生産方法を簡略化することも可能となる。
【0022】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、第2受電電極の少なくとも一部が画素電極領域に存在するように配置される。すなわち、第2受電電極と画素電極とを重ねるように配置することが可能となる。これにより、受電装置が画素電極、第1受電電極及び第2受電電極を同一平面上に有する場合と比べて、画素電極の面積を広くとることができる。結果として、表示部を大型化し又は受電装置を小型化することが可能となる。
【0023】
なお、第2受電電極が画素電極と容量結合しても電気信号の伝送効率が低下する問題は生じない。第2受電電極と画素電極とを同電位にすることが可能であるためである。したがって、非接触にて効率よく電気信号を受け取る薄型の受電装置を提供することができる。
【0024】
さらに、本願の請求項3に係る発明によれば、第1受電電極は、増感部を介して外部と電気的に接続可能となる。すなわち、受電装置が送電装置から電気信号を受け取ることがさらに容易となる。したがって、画素電極及び表示部を大型化して第1受電電極の面積を小型化しても、電気信号を効率よく受け取る受電装置を提供することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の実施の形態に係る伝送システムのブロック図である。
【図2】本願発明の実施の形態に係る受電装置における電極の配置を示す模式図である。
【図3】本願発明の実施の形態に係る伝送回路の回路図である。
【図4】本願発明に係る増感部の増感作用の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照して、本願発明を実施するための形態について述べる。ただし、本願発明の実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
まず、図1を参照して、本願発明に係る伝送システムについて説明する。図1は、本願発明の実施の形態に係る伝送システム1のブロック図である。
【0028】
伝送システム1(本願請求項中の「伝送システム」の一例)は、受電装置3(本願請求項中の「電子ペーパー装置」又は「受電装置」の一例)と送電装置5(本願請求項中の「送電装置」の一例)とを備える。受電装置3は、表示部を備えた薄型の受電装置であって、2つの受電電極により送電装置5から非接触にて電気信号を受け取る。送電装置5は、受電装置3に非接触にて電気信号を送る。
【0029】
受電装置3は、表示部7(本願請求項中の「表示部」の一例)と、受電部9と、増感部13(本願請求項中の「増感部」の一例)とを備える。表示部7は、ディスプレイ10と画素電極11(本願請求項中の「画素電極」の一例)を備え、静止画又は動画を表示する。受電部9は、送電装置5から電気信号を受け取る。画素電極11は、表示部7に通電を行い、ディスプレイ10に静止画又は動画を表示させる。増感部13は、受電部9が電気信号を受け取る効率を向上させる。増感部13は、外部と電気的に接続可能である。
【0030】
受電部9は、第1受電電極15(本願請求項中の「第1受電電極」の一例)と、第2受電電極17(本願請求項中の「第2受電電極」の一例)と、電源回路19と整流部21とを備える。第1受電電極15及び第2受電電極17は、送電装置5から非接触にて電気信号を受け取る。第1受電電極15は、増感部13と電気的に接続されている。電源回路19は、第1受電電極15及び第2受電電極が受け取った電気信号から交流信号を作り出す。整流部21は、電源回路19が作り出した交流信号を直流信号に変換する。
【0031】
送電装置5は、交流信号生成部31と、共振部33と、第1送電電極35と、第2送電電極37とを備える。交流信号生成部31は、交流信号を生成する。共振部33は、交流信号生成部31が生成した交流信号を共振させる。第1送電電極35は、第1受電電極15に対向しており、第1受電電極15に向けて電気信号を放射する。第2送電電極37は、第2受電電極17に対向しており、第2送電電極17に向けて電気信号を放射する。
【0032】
次に、図2を参照して、受電装置3における各電極の配置について述べる。図2は、本願発明の実施の形態に係る受電装置における電極の配置を示す模式図である。
【0033】
受電装置3が送電装置5から非接触にて電気信号を受け取るためには、少なくとも2つの電極が必要となる。この2つの電極は、それぞれ送電装置5の電極と対向して容量結合を生じる。ここで、この2つの電極がいずれも画素電極11と容量結合してしまうと、送電装置5から電気信号を受け取る効率が低下してしまう。
【0034】
この問題に対し、2つの電極の電極面と画素電極11の電極面との面間距離を大きくとることも可能である。電極間距離を大きくとることにより、容量結合を抑制することができるからである。しかし、電極間距離を大きくとることは、受電装置3の厚みを厚くすることとなり、薄型の受電装置3を実現する妨げとなってしまう。
【0035】
図2の受電装置3においては、第1受電電極15が画素電極11との容量結合が抑制されるように配置されている。すなわち、第1受電電極15は、画素電極領域51外に存在している。
【0036】
ここで、画素電極領域51(本願請求項中の「画素電極領域」の一例)とは、画素電極11と容量結合が起きやすい領域を指す。本実施例では、画素電極11が平面化された状態で有する面のうち最大面積を有する面である画素電極面53(本願請求項中の「画素電極面」の一例)に垂直な方向に画素電極面53を平行移動させた場合に形成される仮想上の領域を指す。
【0037】
第1受電電極15が画素電極領域51外に存在することにより、画素電極11と第1受電電極15との容量結合が抑制される。したがって、容量結合を用いて非接触にて送電装置5から受電装置3へと効率よく電気信号を伝送することが可能となる。
【0038】
また、第2受電電極17は、画素電極領域51内に設置されている。これにより、第1受電電極15及び第2受電電極17の両方を画素電極領域51外に設置する場合と比べて受電装置3の設計の自由度が向上する。結果として、表示部7又は画素電極11を大きくし、又は、受電装置3を小型化することが容易となる。
【0039】
ここで、第2受電電極17は、一部が画素電極領域51からはみ出すように設置されてもよいが、第1受電電極領域55以外の領域に設置することが好ましい。第1受電電極15と第2受電電極17とが容量結合されると、伝送の効率が低下するからである。
【0040】
続いて、図3を参照して、本願発明の実施の形態における伝送回路について述べる。図3は、本願発明の実施の形態に係る伝送回路60の回路図である。
【0041】
伝送回路60は、負荷61と、抵抗63と、抵抗65と、コンデンサ67と、コンデンサ69と、インピーダンス71と、コイル73と、抵抗75と、コイル77と、抵抗79とを備える。
【0042】
負荷61は、画素電極11が表示部7に通電して電力を消費するものである。コンデンサ67は、第1受電電極15及び第1送電電極35が対向して形成する。コンデンサ69は、第2受電電極17及び第2送電電極37が対向して形成する。
【0043】
その他の回路素子は、それぞれ伝送回路60の成分を表すものである。抵抗63又は65は、それぞれ負荷61とコンデンサ67又は69との間の抵抗成分である。インピーダンス71は、交流信号生成部31のインピーダンスである。コイル73又は77は、それぞれ交流信号生成部31とコンデンサ67又は69との間のインダクタンス成分である。抵抗75又は79は、それぞれ交流信号生成部31とコンデンサ67又は69との間の抵抗成分である。
【0044】
伝送回路60により、送電装置5が備える交流信号生成部31で生成された電力を受電装置3が備える負荷61において消費することが可能となる。
【0045】
図4を参照して、増感部13の増感作用について述べる。図4は、増感部13の増感作用の一例を示す模式図である。
【0046】
ここでは、受電装置3は、表示部7を備えた薄型の電子ペーパー装置(本願請求項の「電子ペーパー装置」の一例)であるとする。受電装置3は、受電装置3の外部に電気的に接続されるような形態で増感部13を備える。また、送電装置5が有する第1送電電極35は、地面に接地されており、第2送電電極37は地上に表れているとする。交流信号生成部31は、第1送電電極35と第2送電電極37との間に設置されている。
【0047】
図4に示すように、受電装置3の使用者は、受電装置3を第2送電電極37にかざして充電する。このとき、第2受電電極17と第2送電電極37が対向することにより容量結合されコンデンサ67が形成される。また、第1受電電極15が地面の第1送電電極35から放射される電気信号を受け取って疑似的にコンデンサ69が形成される。
【0048】
ここで、第1受電電極15は、外部に露出している増感部13と電気的に接続されているため、電気信号を受け取る効率が向上している。また、使用者が増感部13に触れると、使用者自身が第1送電電極35から放射される電気信号を受け取るアンテナとしての役割を果たす。このとき、さらに効率を向上させることが可能となる。すなわち、第1送電電極35は、何らかの経路で、例えば使用者を介して、第1受電電極15と電気的に接続される。
【0049】
なお、上記実施例において、伝送システム1は、電気信号として電力のみを伝送してもよい。その電力に情報信号を重畳させてデーターを伝送するものでもよい。
【0050】
また、上記で画素電極面53を「平面化された状態で有する面」としたのは、受電装置3が薄型の装置であり、例えば巻いて収納される装置も想定されるためである。この場合、収納時には第1受電電極15が画素電極領域51内に存在することとなる。しかし、画素電極11と第1受電電極15との容量結合は、受電時に問題となる。したがって、第1受電電極15は、受電時以外には画素電極領域51内に存在してもよい。
【0051】
逆に、巻く以外の収納方法等により、収納時に第1受電電極15が画素電極領域51外に存在する場合も想定される。この場合、受電装置3は、収納された状態で受電するものであってもよい。
【0052】
さらに、第1受電電極15と第2受電電極17の配置が逆でもよい。すなわち、第1受電電極15の少なくとも一部が画素電極領域51内に存在し、第2受電電極17が画素電極領域51外に存在するものであってもよい。また、第1受電電極15及び第2受電電極17は、どちらか一方又は両方が複数の電極からなるものでもよい。
【0053】
さらに、受電電極は、送電装置の送電電極と近接してもよいし、離れた距離にあって送電電極からの電気信号を受け取るものであってもよい。
【0054】
さらに、画素電極11は、1枚の電極板でもよいし、短冊状の電極を複数組合せたものでもよい。さらに、画素電極11は、1枚の電極でもよいし、複数枚の電極からなるものでもよい。さらに、画素電極11は、第2受電電極17を兼ねてもよい。
【0055】
さらに、画素電極11は、ディスプレイ10と一体化していてもよい。例えば、画素電極11を複数本の短冊状パターンとした電極基板2枚(操作電極と信号線電極)とし、この2枚の電極パターンが直交するように対向させて形成する。そして、表示部7が2枚の画素電極基板の間にはさみ込まれるように設置してマトリックス表示方式としてもよい。この場合、画素電極面53及び画素電極領域51は、画素電極と受電電極との間で容量結合が起こりにくくなるように定義する。すなわち、画素電極面53をマトリックスを形成する最も外側の短冊の輪郭が形成する面としてもよい。あるいは、マトリックスの隙間の部分は、画素電極面53ではないとしてもよい。
【0056】
さらに、受電装置3は、送電装置5の共振部33とは別に、電源回路19が作り出した交流信号を共振させる共振部を備えてもよい。
【0057】
さらに、ディスプレイ10は、画素電極面と同一の面積である必要はない。ディスプレイ10の一部又は全部が画素電極領域51外にあってもよい。
【0058】
さらに、画素電極11は、ディスプレイ10に表示される静止画又は動画が更新される時のみ表示部7に通電するものであってもよい。
【0059】
さらに、増感部13に外部からアンテナを接続して増感し、受電装置3が電気信号を受け取る効率を増大させてもよい。
【0060】
さらに、負荷61は、電力を蓄えるバッテリーであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1・・・伝送システム、3・・・受電装置、5・・・送電装置、7・・・表示部、9・・・受電部、11・・・画素電極、13・・・増感部、15・・・第1受電電極、17・・・第2受電電極、51・・・画素電極領域、53・・・画素電極面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を送信する送電装置と、少なくとも2つの受電電極により前記電気信号を非接触にて受信する電子ペーパー装置とを備える伝送システムであって、
前記電子ペーパー装置は、画像を表示する表示部を有し、
前記表示部は、当該表示部に通電する画素電極を有し、
前記電子ペーパー装置には、前記画素電極が平面化された状態で有する面のうち最大面積を有する面である画素電極面に垂直な方向に前記画素電極面を平行移動させて形成される領域である画素電極領域があり、
前記受電電極のうちの1つである第1受電電極は、前記画素電極領域以外の領域において前記電気信号を受信することを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
前記電子ペーパー装置は、前記受電電極のうちの前記第1受電電極とは異なる電極である第2受電電極を、その一部又は全部を前記画素電極領域内に存在させて備える、請求項1記載の伝送システム。
【請求項3】
前記電子ペーパー装置は、前記電気信号の受信効率を向上させる増感部を有し、
前記増感部は、外部と電気的に接続可能であって、
前記第1受電電極が前記増感部と電気的に接続されている、又は、前記第1受電電極が外部と電気的に接続可能であることにより当該第1受電電極の一部若しくは全部が前記増感部として機能する、請求項1又は2記載の伝送システム。
【請求項4】
送電装置から送信された電気信号を非接触にて受信する受電装置であって、
画像情報を表示する表示部と、
前記電気信号を受信するための第1受電電極とを備え、
前記表示部は、当該表示部を通電させる画素電極を有し、
前記第1受電電極は、前記画素電極が平面化された状態で有する面のうち最大面積を有する面である画素電極面に垂直な方向に前記画素電極面を平行移動させて形成される領域である画素電極領域に対して、前記画素電極領域以外の領域に備えられるものであり、
前記画素電極が前記電気信号を受信するためにも用いられて少なくとも前記第1受電電極及び前記画素電極により前記電気信号を受信する、又は、前記画素電極とは異なる第2受電電極を、その一部又は全部を前記画素電極領域内に存在させて備えることにより少なくとも前記第1受電電極及び前記第2受電電極により前記電気信号を受信する、受電装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−157170(P2012−157170A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14368(P2011−14368)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(505164645)株式会社 ネットワーク応用技術研究所 (9)
【Fターム(参考)】