伝送システム
【課題】同期系データと非同期系データそれぞれに求められる通信品質を維持しつつ、同期系データと非同期系データとを多重化して伝送する伝送システムを提供する。
【解決手段】同期系データ及び非同期系データそれぞれに、各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報を有するタグを付加する。各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれるに基づいて、各データが同期系データか非同期系データかを識別し、同期系データを時分割スイッチに転送し、非同期系データをパケットスイッチに転送する。
【解決手段】同期系データ及び非同期系データそれぞれに、各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報を有するタグを付加する。各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれるに基づいて、各データが同期系データか非同期系データかを識別し、同期系データを時分割スイッチに転送し、非同期系データをパケットスイッチに転送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SONET/SDHのような同期系通信とTCP/IPのような非同期系通信の両方に対応可能な伝送システムに関し、特に、非同期系データの経路処理を維持しつつ、伝送遅延及びその変動なく同期系データを転送することができる伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバによる高速伝送規格であるSONET(Synchronous Optical NETwork)/SDH(Synchronous Digital Hierarchy)のような同期系通信については、時分割スイッチが、同期系データを多重し、ルーティングする。また、TCP/IPのような非同期系通信については、パケットスイッチが、非同期系データであるパケットをあて先毎に振り分け転送する。同期系データは、常に同じ宛先を指定され、回線を占有するが、非同期系データ(パケット)は、各パケット毎に宛先が指定され、回線は占有しない。また、同期系データは、遅延時間が一定であることが要求されるが、非同期系データは、遅延時間が変動しても、エンドユーザ側で調整されるため、問題とならない。
【0003】
同期系データと非同期系データの2種類のデータが混在した通信を実現する場合、従来、次の方法が提案されている。第一の従来方法として、非同期系データを一旦すべて同期系データのフレーム形式に変換し、すべて同期系データとして取り扱う方法と、第二の従来方法として、第一の方法と反対に、同期系データを一旦すべて非同期系データの形式に変換し、すべてを非同期系データとして取り扱う方法である。
【0004】
図1は、リング構成の伝送システムを示す図である。リング状伝送路1は、SONET/SDHや10ギガビット・イーサネット(登録商標)など高速データ伝送路であって、図1において、リング状伝送路1には、伝送されるデータを所定フレームに同期させるためのフレーマ(伝送路上の「ノード」と称す場合がある)10が接続している。なお、高速側の伝送路1は、リング状である場合に限らず、メッシュ状など他のネットワーク構成も可能である。
【0005】
フレーマ10は、双方向の伝送路1をそれぞれ伝送するデータを受信する受信部11とデータを伝送路に送信する送信部12とを備える。受信部11は、受信した光信号を電気信号に変換する光→電気変換部である。また、送信部12は、電気信号を光信号に変換して送信する電気→光変換部である。フレーム同期及びOH処理部13は、受信したデータを一旦すべて経路選択処理部(スイッチ)20にドロップし、経路選択処理部(スイッチ)20は、自局宛てのデータを抽出して、低速側インターフェース30に転送する。また、経路選択処理部20は、低速側インターフェース30側からアドされる他局宛てデータをフレーム同期及びOH処理部13に転送する。フレーム同期及びOH処理部13は、伝送するデータをリング伝送路の伝送規格のフレームに同期させるとともに、オーバーヘッド(OH)に含まれる監視制御情報を処理する。
【0006】
図2は、非同期系データを同期系データに変換して伝送する場合(第一の従来方法)の伝送システムの構成例を示す図である。図2の構成例は、図1における点線部の構成を示している。同期系データを取り扱うので、経路選択処理部20は時分割スイッチ20Bである。
【0007】
同期系データがSONET/SDHのVC(Virtual Container)フレームである場合、図2に示されるように、例えばMACフレームである非同期系データを同期系データのVCフレームに変換する必要があり、非同期系通信側の低速側インターフェース30AのMAC→VCフレーム変換部31Aが、可変長のMACフレームを固定長のVCフレームに変換して、同期系データとして時分割スイッチ20Bに転送する。VCフレームは時分割多重され、フレーマ10に送られる。リング伝送路1の伝送規格もSONET/SDHの場合、同期系データは、同期系通信側の低速側インターフェース30Bからフレーム変換されることなくそのまま時分割スイッチ20に転送され、フレーマ10でのフレーム同期を経て、伝送路1を伝送する。
【0008】
また、時分割スイッチ20Bは、フレーマ10からドロップされたすべての同期系データ(フレーム変換された非同期系データを含む)から自局宛てのデータを抽出し、各データの宛先に基づいて、低速側の宛先方向へ出力する。抽出された同期系データのうち非同期系データから変換されたものは、宛先方向である非同期系通信側の低速側インターフェース30Aに出力され、VC→MACフレーム変換部32Bは、受信した同期系通信用のVCフレームを非同期系通信用のMACフレームに戻して出力する。また、自局宛ての同期系データのうち、非同期系データから変換されたものを除いた同期系データ(最初からの同期系データ)は、その宛先方向である同期系通信側の低速側インターフェース30Bに転送され、同期系データのまま出力される。
【0009】
このような第一の従来方法は、時分割スイッチ(中継局)20Bによる中継を行うので、伝送遅延時間を最小とし(1フレーム分の遅延のみ)、信頼度の高い中継が可能となる。しかし、本来、非同期系データについては、各中継局が、回線トラフィックの利用状況に応じて最適な転送先を選択したり、サービスに応じてパケットに優先権を与えて処理するといったことが期待される。すなわち、非同期系データについては、同期系データと異なり、複雑な経路処理や優先処理を行う集積回路を経由させ中継する必要が生じる。このような機能は、時分割スイッチでは取り入れられないため、結局、非同期系データは単にデータを転送するだけの機能しか利用できないため、非同期系データのメリットが大きく失われることになる。
【0010】
図3は、同期系データを非同期系データに変換して伝送する場合(第二の従来方法)の伝送システムの構成例を示す図である。図3の構成例は、図1における点線部の構成を示している。非同期系データを取り扱うので、経路選択処理部20はパケットスイッチ20Aである。
【0011】
図3に示されるように、同期系データを非同期系データに変換する必要があり、低速側インターフェース30BのVC→MACフレーム変換部32Bが、VCフレームである同期系データを非同期系データのフレームであるMACフレームに変換して、非同期系データとしてパケットスイッチ20Aに転送する。MACフレームは統計多重され、フレーマ10に送られる。非同期系データは、非同期系通信側の低速側インターフェース30Aからフレーム変換されることなくそのままパケットスイッチ20Aに転送され、フレーマ10に送られる。フレーマ10は、パケットスイッチ20からの非同期系データをリング伝送路の伝送規格(例えば、LAN PHY)のフレームに同期させて伝送する。
【0012】
また、パケットスイッチ20Aは、フレーマ10からドロップされたすべての非同期系データ(フレーム変換された同期系データを含む)から自局宛てのデータを抽出し、各データの宛先に基づいて、低速側の宛先方向へ出力する。抽出された自局宛ての非同期系データのうち、同期系データから変換されたものは、宛先方向である同期系通信側の低速側インターフェース30Bに出力され、MAC→VCフレーム変換部32Aは、受信した非同期系通信用のMACフレームを同期系通信用のVCフレームに戻して出力する。また、自局宛ての非同期系データのうち、同期系データから変換されたものを除いた非同期系データ(最初からの非同期系データ)は、その宛先方向である非同期系通信側の低速側インターフェース30Aに転送され、非同期系データのまま出力される。
【0013】
このような第二の従来方法は、パケットスイッチが用いられるため、上記第一の従来方法における非同期系データのメリットを利用することができるが、同期系データまでパケットスイッチで転送するため、同期系データの転送時間が常に変動する。また、中継処理が複雑なことから信頼度が低下してしまうだけでなく、この方法は事実上の蓄積通信となるので、伝送遅延時間が大きくなる傾向にある。
【0014】
この第二の従来方法の構成において、同期系データの遅延を最小にする方法として、同期系データを最優先パケットとして処理することが考えられる。しかし、そうすると、自局宛てでない、無関係の最優先パケット(フレーム変換された同期系データ)がパケットスイッチにすべて流れ込むため、パケットスイッチの動作能力を低下させる原因となり、優先処理されない非同期系データの通信速度の著しい低下及びパケットの破棄が増加してしまうという問題が生じる。
【0015】
また、同期系データ用の時分割スイッチと非同期系データ用のパケットスイッチを並列に配置する構成による伝送方法が考えられる(第三の従来方法と称す)。
【0016】
図4は、同期系データと非同期系データとを別々に並列処理して伝送する場合(第三の従来方法)の伝送システムの構成例を示す図である。多重部50は、時分割スイッチ20Bからアドされる同期系データとパケットスイッチ20Aからアドされる非同期系データとを多重化する。リング伝送路では、同期化データ又は非同期化データのフレーム形態のいずれかに統一する必要があり、例えば、図4では、非同期化データが同期化データのフレーム形態に変換される。同期化データがSONET/SDHのフレームであり、高速なリング伝送路もSONET/SDHである場合、非同期化データをSONET/SDHのフレームに変換する必要がある。
【0017】
フレーム変換部60は、多重部50において、同期系データと非同期系データを多重するために、非同期系データであるMACフレームをSONET/SDHのフォーマットに適合させるためのフレーム変換を行う。例えば、GFP(Generic Framing Procedure)やLCAS(Link Capacity Adjustment Scheme)に基づいて、SONET/SDHを伝送可能とするようにMACフレームをカプセル化することによりフレーム変換を行う。
【0018】
反対に、リング伝送路1の規格が非同期系データのMACフレームをそのまま扱える規格(例えば、LAN PHY)の場合は、フレーム変換部60は、伝送路方向に流れる同期系データのVCフレームをMACフレームに変換し、低速側方向に流れる同期系データをMACフレームからVCフレームに戻す。
【0019】
このような第三の従来方法は、パケットスイッチと時分割スイッチの両方を配置する必要があり、回路規模、実装効率とも不利になるだけでなく、パケットスイッチと時分割スイッチで取り扱うデータのフレーム形態が異なることから、次の問題が生じる。
【0020】
すなわち、パケットスイッチに送るべきデータなのか、時分割スイッチに送るべきデータなのかが判別できないため、フレーマ10からドロップされたデータすべてをパケットスイッチと時分割スイッチの両方に転送する必要がある、各スイッチは、すべてのデータを処理する必要が生じる。従って、両スイッチともに処理負荷が過大となり、特に、上述した第二の従来の方法の問題点は依然として残る。すなわち、パケットスイッチにおいて、非同期系データの通信速度の著しい低下及びパケットの破棄が増加してしまうという問題が生じる。
【0021】
下記特許文献1は、非同期系データの到着時刻順にバッファから読み出し、複数の識別タグを付加して送信することにより、非同期系データを同期系データに変換して多重化し、送受信する伝送装置を開示している。
【0022】
また、下記特許文献2は、送信バッファにパケット長分のデータが蓄積されたときに、非同期クロックによるタイムスタンプを付加して送信することにより、非同期系データの遅延揺らぎの影響を受けずに、非同期系データを同期系データに変換して送受員する伝送装置を開示している。両特許文献1、2ともに、非同期系データを同期系データに変換して送信する発明である。
【特許文献1】特開2003−324453号公報
【特許文献2】特開平5−37560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、同期系データと非同期系データそれぞれに求められる通信品質を維持しつつ、同期系データと非同期系データとを多重化して伝送することができる伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するための本発明の一態様による伝送システムの第一の構成は、同期系データと非同期系データとが混在し且つ同期系データのフレーム又は非同期系データのフレームのいずれか一方に統一されて多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、同期系データをスイッチングする第一のスイッチと、非同期系データをスイッチングする第二のスイッチと、各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報に基づいて、各データが同期系データか非同期系データかを識別し、同期系データを前記第一のスイッチに転送し、非同期系データを前記第二のスイッチに転送する振り分け制御部とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の他の態様による伝送システムの第二の構成は、上記第一の構成において、前記第一のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される同期系データに、同期系データであることを示す前記タグを挿入し、前記第二のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される出力される非同期系データに非同期系データであることを示す前記タグを挿入するタグ挿入部と、前記タグが挿入された同期系データと非同期データとをいずれか一方のフレームに統一して多重し、前記伝送路のノードに送出する多重部とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の伝送システムの他の態様による第三の構成は、同期系データと非同期系データとが混在し且つ非同期系データのフレームに統一して多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、非同期系データをスイッチングするパケットスイッチと、分離された各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報と宛先情報に基づいて、同期系データであって且つ前記パケットスイッチ宛てでない第一のデータを前記伝送路のノードに送出し、前記第一のデータ以外の第二のデータを前記スイッチに転送するスルー処理部と備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の伝送システムの他の態様による第四の構成は、上記第三の構成において、前記パケットスイッチは、前記第二のデータである同期系データであって且つ前記スイッチ宛てのデータを優先処理することを特徴とする。
【0028】
本発明の伝送システムの他の態様による第五の構成は、上記第三の構成において、前記パケットスイッチから低速インターフェース側に出力された同期系データを、非同期系データのフレームから同期系データのフレームに変換するフレーム変換部を備え、前記フレーム変換部は、前記パケットスイッチから出力された同期系データの遅延変動を吸収するメモリを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、同期系データ及び非同期系データが混在したデータに対して、同期系データの伝送遅延及びその変動を抑え、また、非同期系データの伝送遅延及び破棄を抑えて、信頼性の高いデータ伝送が可能となる。
【0030】
また、スイッチ(パケットスイッチ、及び時分割スイッチを用いる構成の場合は、時分割スイッチ)の負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0032】
図5は、本発明の実施の形態における伝送システムの第一の構成例を示す図である。第一の構成例は、図4の構成に、本発明に特徴的な振り分け制御部70及びタグ挿入部80(タグ挿入部80A、80Bの総称)を備える構成である。
【0033】
非同期系通信用のパケットスイッチ20Aと同期系通信用の時分割スイッチ20Bとが並列に配置され、両スイッチからフレーマ(ノード)10方向に出力されたデータは、多重部50で多重されて、フレーマ10に送られる。フレーム変換部60Aは、非同期系データのフレームと同期系データのフレームを同期系データのフレームに統一するため、非同期系データのフレームを同期系データのフレームに変換する。伝送路の伝送規格が例えばSONET/SDHであって、同期系データもSONET/SDHフォーマットのデータである場合、同期系データのフレームは、SONET/SDHフォーマットに適合しているため、同期系データをフレーム変換する必要はない。フレーム変換部60は、非同期系データのフレームがMACフレームである場合に、MACフレームに、例えば、GFP(Generic Framing Procedure)やLCAS(Link Capacity Adjustment Scheme)に基づいて、SONET/SDHを伝送可能とするようにVCフレームヘッダを付けてカプセル化することによりフレーム変換を行う。
【0034】
タグ挿入部80は、同期系データ及び非同期系データが多重化される前に、同期系データであるのか非同期系データであるのかを識別する情報を有するタグを同期系データ及び非同期系データに付加する。
【0035】
振り分け制御部70は、伝送路側のフレーマ10からデータを受信すると、各データに付されたタグの情報に基づいて、各データが同期系データであるのか、非同期系データであるのかを識別し、非同期系データの場合は、パケットスイッチ20Aに転送し、同期系データの場合は、時分割スイッチ20Bに転送する。
【0036】
このように、フレーマ10からのデータを両スイッチ20に送る前に、振り分け制御部70が、タグの情報に基づいて、同期系データと非同期系データとを識別して、パケットスイッチ20Aには、非同期系データのみが送られるので、パケットスイッチ20Aに同期系信号が送られて、優先処理されることにより、非同期系データの通信速度が低下し、また破棄される非同期系データの増加するという問題点を解決することができる。また、パケットスイッチ20Aには、非同期系データのみが送られ、時分割スイッチ20Bには、同期系データのみが送られるので、無関係なデータが送られることなく、両スイッチ20の負荷を抑制することができる。時分割スイッチ20Bには、同期系データのみが送られるので、遅延変動なしに、同期系データをスイッチングでき、無関係な非同期系データが流入することがないので、負荷が増大するのを防止できる。
【0037】
なお、パケットスイッチ20Aは、振り分け制御部70から転送されたタグが追加されたMACフレームをスイッチングできないため、フレーム変換部60は、フレーム変換の際にタグを除去する。または、タグをフレームの先頭に追加するのではなく、データ領域内に追加するか又はヘッダ領域内の所定領域に書き込むようにしてもよい。
【0038】
図6は、本発明の実施の形態における伝送システムの第二の構成例を示す図である。第二の構成例は、第一の構成例と同様に、非同期系データ用のパケットスイッチ20Aと同期系データ用の時分割スイッチ20Bとが並列に配置され、タグ挿入部80と振り分け制御部70を備える構成である。第一の構成例との相違点は、第一の構成例では、フレーム変換部60Aが非同期系データのフレームを同期系データのフレームに変換したが、第二の構成例では、伝送路の伝送規格が非同期系データのMACフレームを伝送するLAN PHY(10ギガビット・イーサネット(登録商標)のような規格である場合、フレーム変換部60Bが、同期系データのフレーム(例えば、SONET/SDHのVCフレーム)にMACフレームヘッダを付けてMACフレームに変換し、多重部50に送る。
【0039】
また、上述したように、パケットスイッチ20Aは、振り分け制御部70から転送されたタグが追加されたMACフレームをスイッチングできないため、パケットスイッチ20Aに入力されるデータからタグを除去するタグ除去部82が設けられる。または、上述したように、タグをフレームの先頭に追加するのではなく、データ領域内に追加するか又はヘッダ領域内の所定領域に書き込むようにしてもよい。
【0040】
図7A、図7B、図7Cは、タグが付された同期系データ及び非同期系データを示す図である。図7Aは、図5の構成例において、VCフレームヘッダが付されて同期系データのフレームに変換された非同期系データ(MACデータ)の先頭にタグが付される。図7Aのタグは、非同期系データであることを示す情報を有する。フレーム変換されない場合は、MACフレームの先頭にタグが付される。
【0041】
図7Bは、図6の構成例において、MACフレームヘッダが付されて非同期系データのフレームに変換された同期系データ(VCフレーム)の先頭にタグが付される。図7Bのタグは、同期系データであることを示す情報を有する。フレーム変換されない場合は、VCフレームの先頭にタグが付される。
【0042】
図7Cは、MACフレームヘッダが付されて非同期系データのフレームに変換された同期系データ(VCフレーム)を示すが、タグをフレームの先頭ではなく、データ領域に追加する例を示す。
【0043】
図8は、本発明の実施の形態における伝送システムの第三の構成例を示す図である。第三の構成例では、スイッチはパケットスイッチ20Aのみであって、時分割スイッチは設けられない。また、タグは、同期系データか非同期系データからの識別情報に加えて、各データの宛先情報を有する。
【0044】
スルー処理部75は、伝送路側のフレーマ10から多重されたデータを受信すると、各データに付されたタグの情報に基づいて、各データが同期系データであるのか、非同期系データであるのかを識別し、さらに、宛先情報がパケットスイッチ20A(自局)宛てであるかどうかを判別する。すなわち、スルー処理部75は、伝送路側からのデータを以下の4つのデータに分類することができる。
【0045】
・ 他局宛ての同期系データ
・ 自局宛ての同期系データ
・ 他局宛ての非同期系データ
・ 自局宛ての非同期系データ
第三の構成例では、スルー処理部75は、上記(1)他局宛ての同期系データをパケットスイッチ20Aに転送せずに、そのままフレーマ10から伝送路に戻すスルー処理を実行する。(1)他局宛の同期系データは、パケットスイッチ20Aで中継処理されずに、そのまま伝送路に戻るので、伝送遅延を最小とすることができ、時分割スイッチを用いるのと同様に、同期系データを中継することができる。
【0046】
一方で、スルー処理部75は、上記(1)以外のデータ、すなわち、(2)自局宛ての同期系データ、(3)他局宛ての非同期系データ、(4)自局宛の非同期系データをパケットスイッチ20Aに転送する。(2)自局宛の同期系データについては、優先パケットとして最優先処理することで遅延及びその変動を最小限に抑えることができる。
【0047】
また、(3)他局宛の非同期系データ及び(4)自局宛の非同期系データについては、(1)他局宛の同期系データがパケットスイッチ20Aに流入しないので、パケットスイッチ20Aの負荷を抑制することができる。そして、優先処理される同期系データの量が制限されるとともに、(2)自局宛ての同期系データは必ず低速側インターフェースに出力されるので、非同期系データの処理に大きな遅れは生じない。従って、(3)他局宛ての非同期系データ及び(4)自局宛の非同期系データについても、通信速度の低下及びパケットの破棄を招くことなく、非同期系データを中継処理することができる。
【0048】
図9は、スルー処理部75の構成例を示す図である。スルー処理部75のタグ識別部76は、タグの情報を識別して、(1)のデータをスルー処理し、それ以外の(2)、(3)、(4)のデータをパケットスイッチ20Aに転送する。エラスティックメモリ77は、網同期クロックとの位相合わせを行うクロック乗せ替えのための一時蓄積メモリ(いわゆるFIFO(First-in-First-out))である。挿入部78は、スルーした(1)のデータに、(3)のデータを含むパケットスイッチ20Aから伝送路側に出力されたデータを追加する。
【0049】
図8に戻って、タグ挿入部80は、第一及び第二の構成例と同様に、パケットスイッチ20Aから伝送路方向に出力されるデータに対して、同期系データであるのか、非同期系データであるかの識別情報を有するタグを付加する。さらに、第三の構成例のタグ挿入部80は、タグの情報として、データの宛先情報も付加する。
【0050】
タグ除去部82は、パケットスイッチ20Aに流入するデータに付されたタグを除去する。なお、タグが、フレームの先頭に付加されていない場合は、除去する必要はない。
【0051】
また、図8には示されていないが、第三の構成例では、同期系データは非同期系データのフレームに変換する必要があるので、図3に示したように、パケットスイッチ20Aの低速側インターフェース30側において、同期系データのフレーム(VCフレーム)は、非同期系データのフレーム(MACフレーム)に変換されて、パケットスイッチ20Aに流入し、パケットスイッチ20Aから低速側インターフェース30側に出力した同期系データ(非同期系データのフレームに変換されているもの)は、同期系データのフレーム(VCフレーム)に戻される。
【0052】
また、伝送路がMACフレームをそのまま流せない伝送規格(SONET/SDH)のような場合は、スルー処理部75とパケットスイッチ20Aとの間に、非同期系データのフレーム(MACフレーム)と同期系データのフレーム(VCフレーム)間の変換処理を行うフレーム変換部が必要となる。
【0053】
上記第三の構成例において、他局宛同期信号であるかの識別を同期系データのパス設定情報を用いて行ってもよい。同期系データは、最優先に回線を占有し、固定的に利用される性質上、ネットワーク全体にてパス管理を行うことで、タグの付加による通信速度の低下を招くことがない。しかしながら、同期系データのパスを設定する場合は、その中継に関わるすべてのスイッチ(中継局)にもパス設定情報を送る必要がある。
【0054】
上述の実施の形態例では、双方向のリング伝送路に対する伝送システムの構成例を示したが、信頼性の高いネットワークとして、双方向のリング伝送路を冗長化したネットワークが実現されている。
【0055】
図10は、冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第四の構成例を示す図である。図10は、上述の第三の構成例を冗長化した場合の例を示し、0系と1系の2つのパケットスイッチ20Aが設けられる。低速側インターフェース30も0系と1系の2つが設けられる。
【0056】
また、ブリッジ処理部90は、一方のパケットスイッチ20Aから他方のパケットスイッチ20Aにデータを転送する(0系→1系又は1系→0系)ためのブリッジ回路である。ブリッジ処理90を設けることにより、2つのパケットスイッチ20Aを1つのパケットスイッチ20Aの動作と同等に扱うことができる。また、比較的容量の小さなパケットスイッチを組み合わせることで、大容量のパケットスイッチとして利用でき、初期の導入コストを抑制することができる。
【0057】
図11は、冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第五の構成例を示す図である。第五の構成例は、第四の構成例と同様に、冗長化のために2つのパケットスイッチ20Aが設けられるが、さらに、各パケットスイッチを内部的に分割し、各パケットスイッチにおいて、0系と1系が存在する構成である。パケットスイッチを必要に応じて分割することで、効率的に利用することができる。
【0058】
図12は、冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第六の構成例を示す図である。第六の構成例は、第五の構成において、さらに、低速側インターフェース30側にも、スルー処理部75とブリッジ処理部90が設けられる構成である。マルチリンク構成やヘアピン構成(低速側同士が直接転送しあう構成)を実現する場合、低速側インターフェース30側からのデータも、高速の伝送路側からのデータと同様に、スルー処理部75によりスルー処理する必要がある。
【0059】
図13は、低速側インターフェース30の構成例を示す図である。具体的には、第三の構成例のように、同期系データ及び非同期系データともにパケットスイッチ20Aでスイッチングする構成における同期系通信の低速側インターフェース30Bの構成例である。低速側インターフェース30Bは、MACフレームをVCフレームに変換するMAC→VCフレーム変換部31B、VCフレームをMACアドレスに変換するVC→MACフレーム変換部32B、終端LSI33B、光・電気変換部34Bを備える。MAC→VCフレーム変換部31Bは、パケットスイッチ20Aから受信するパケット(MACフレーム)を組み合わせて、元の同期系データのフレームに変換する必要があるが、MACフレームは、パケットスイッチ20A内で非同期に処理され、送出されるタイミングが一定でないため、低速側インターフェース31BでのMACフレームの受信に遅延変動が生じる。そのため、MAC→VCフレーム変換部31Bは、その遅延変動分を吸収するためのバッファメモリ31Mを有し、VCフレームに戻った同期系データを所定のクロックタイミングに同期させて出力する。
【0060】
図14は、低速側インターフェース30の別の構成例を示す図である。図10乃至図12に示した冗長構成では、低速側インターフェース30Bには、0系と1系の二つパケットスイッチ20Aからデータが流入する。同期系通信においては、特に重要な回線は、冗長構成による無瞬断(hitless)切替機能を有することが要求される場合がある。無瞬断切替機能は、一方側で通信断が生じても、通信断を生じさせることなく瞬時に他方側に切り替える機能である。無瞬断切替機能を実現するには、0系、1系それぞれからのデータの位相を合わせるために、位相差を吸収するメモリが必要である。
【0061】
図14において、2つのメモリ35Bが無瞬断切替用メモリであって、セレクタ36Bがいずれか一方からのデータを選択して、MAC→VCフレーム変換部31Bに送る。図14の構成例において、この無瞬断切替用メモリ35Bに、MACフレームの遅延変動分を吸収する機能を担わせることができる。これにより、MAC→VCフレーム変換部31Bに新規にメモリを追加する必要がなくなり、MAC→VCフレーム変換部31Bの構成を小さくすることができる。
【0062】
また、冗長された同期系データ信号の無瞬断パス構成において、短い方のパスを中継する際に、同期系データを故意にパケットスイッチを通過させて転送させ、長い方のパスはスルーさせることで、遅延量を調整し受信部の無瞬断用メモリ容量を軽減化させる構成であってもよい(この場合、タグは同期系データであること及びスイッチ経由の有無の情報を含むように割り当てられる)。
【0063】
(付記1)
同期系データと非同期系データとが混在し且つ同期系データのフレーム又は非同期系データのフレームのいずれか一方に統一されて多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、
同期系データをスイッチングする第一のスイッチと、
非同期系データをスイッチングする第二のスイッチと、
各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報に基づいて、各データが同期系データか非同期系データかを識別し、同期系データを前記第一のスイッチに転送し、非同期系データを前記第二のスイッチに転送する振り分け制御部とを備えることを特徴とする伝送システム。
【0064】
(付記2)
付記1において、
前記第一のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される同期系データに、同期系データであることを示す前記タグを挿入し、前記第二のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される出力される非同期系データに非同期系データであることを示す前記タグを挿入するタグ挿入部と、
前記タグが挿入された同期系データと非同期データとをいずれか一方のフレームに統一して多重し、前記伝送路のノードに送出する多重部とを備えることを特徴とする伝送システム。
【0065】
(付記3)
同期系データと非同期系データとが混在し且つ非同期系データのフレームに統一して多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、
非同期系データをスイッチングするパケットスイッチと、
分離された各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報と宛先情報に基づいて、同期系データであって且つ前記パケットスイッチ宛てでない第一のデータを前記伝送路のノードに送出し、前記第一のデータ以外の第二のデータを前記スイッチに転送するスルー処理部と備えることを特徴とする伝送システム。
【0066】
(付記4)
付記3において、
前記パケットスイッチは、前記第二のデータである同期系データであって且つ前記スイッチ宛てのデータを優先処理することを特徴とする伝送システム。
【0067】
(付記5)
付記3において、
前記パケットスイッチから低速インターフェース側に出力された同期系データを、非同期系データのフレームから同期系データのフレームに変換するフレーム変換部を備え、
前記フレーム変換部は、前記パケットスイッチから出力された同期系データの遅延変動を吸収するメモリを有することを特徴とする伝送システム。
【0068】
(付記6)
付記5において、
前記メモリは、前記低速インターフェースに設けられる無瞬断切替用メモリと共用されることを特徴とする伝送システム。
【0069】
(付記7)
付記3において、
前記パケットスイッチがネットワークの冗長化のために複数設けられ、又は複数に分割されている場合、一方のパケットスイッチから他方のパケットスイッチにデータを転送するためのブリッジ処理部を備え、
前記ブリッジ処理部を介して、前記パケットスイッチと前記スルー処理部間のデータ伝送が行われることを特徴とする伝送システム。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】リング構成の伝送システムを示す図である。
【図2】非同期系データを同期系データに変換して伝送する場合の伝送システムの構成例を示す図である。
【図3】同期系データを非同期系データに変換して伝送する場合の伝送システムの構成例を示す図である。
【図4】同期系データと非同期系データとを別々に並列処理して伝送する場合の伝送システムの構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における伝送システムの第一の構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における伝送システムの第二の構成例を示す図である。
【図7A】タグが付された同期系データ及び非同期系データを示す図である。
【図7B】タグが付された同期系データ及び非同期系データを示す図である。
【図7C】タグが付された同期系データ及び非同期系データを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における伝送システムの第三の構成例を示す図である。
【図9】スルー処理部75の構成例を示す図である。
【図10】冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第四の構成例を示す図である。
【図11】冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第五の構成例を示す図である。
【図12】冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第六の構成例を示す図である。
【図13】低速側インターフェース30の構成例を示す図である。
【図14】低速側インターフェース30の別の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1:伝送路、10:フレーマ、11:受信部(光→電気変換部)、12:送信部(電気→光変換部、13:フレーム同期及びOH処理部、20A:パケットスイッチ、20B:時分割スイッチ、30:低速側インターフェース、50:多重部、60:フレーム変換部、70:振り分け制御部、75:スルー処理部、80:タグ挿入部、82:タグ除去部
【技術分野】
【0001】
本発明は、SONET/SDHのような同期系通信とTCP/IPのような非同期系通信の両方に対応可能な伝送システムに関し、特に、非同期系データの経路処理を維持しつつ、伝送遅延及びその変動なく同期系データを転送することができる伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバによる高速伝送規格であるSONET(Synchronous Optical NETwork)/SDH(Synchronous Digital Hierarchy)のような同期系通信については、時分割スイッチが、同期系データを多重し、ルーティングする。また、TCP/IPのような非同期系通信については、パケットスイッチが、非同期系データであるパケットをあて先毎に振り分け転送する。同期系データは、常に同じ宛先を指定され、回線を占有するが、非同期系データ(パケット)は、各パケット毎に宛先が指定され、回線は占有しない。また、同期系データは、遅延時間が一定であることが要求されるが、非同期系データは、遅延時間が変動しても、エンドユーザ側で調整されるため、問題とならない。
【0003】
同期系データと非同期系データの2種類のデータが混在した通信を実現する場合、従来、次の方法が提案されている。第一の従来方法として、非同期系データを一旦すべて同期系データのフレーム形式に変換し、すべて同期系データとして取り扱う方法と、第二の従来方法として、第一の方法と反対に、同期系データを一旦すべて非同期系データの形式に変換し、すべてを非同期系データとして取り扱う方法である。
【0004】
図1は、リング構成の伝送システムを示す図である。リング状伝送路1は、SONET/SDHや10ギガビット・イーサネット(登録商標)など高速データ伝送路であって、図1において、リング状伝送路1には、伝送されるデータを所定フレームに同期させるためのフレーマ(伝送路上の「ノード」と称す場合がある)10が接続している。なお、高速側の伝送路1は、リング状である場合に限らず、メッシュ状など他のネットワーク構成も可能である。
【0005】
フレーマ10は、双方向の伝送路1をそれぞれ伝送するデータを受信する受信部11とデータを伝送路に送信する送信部12とを備える。受信部11は、受信した光信号を電気信号に変換する光→電気変換部である。また、送信部12は、電気信号を光信号に変換して送信する電気→光変換部である。フレーム同期及びOH処理部13は、受信したデータを一旦すべて経路選択処理部(スイッチ)20にドロップし、経路選択処理部(スイッチ)20は、自局宛てのデータを抽出して、低速側インターフェース30に転送する。また、経路選択処理部20は、低速側インターフェース30側からアドされる他局宛てデータをフレーム同期及びOH処理部13に転送する。フレーム同期及びOH処理部13は、伝送するデータをリング伝送路の伝送規格のフレームに同期させるとともに、オーバーヘッド(OH)に含まれる監視制御情報を処理する。
【0006】
図2は、非同期系データを同期系データに変換して伝送する場合(第一の従来方法)の伝送システムの構成例を示す図である。図2の構成例は、図1における点線部の構成を示している。同期系データを取り扱うので、経路選択処理部20は時分割スイッチ20Bである。
【0007】
同期系データがSONET/SDHのVC(Virtual Container)フレームである場合、図2に示されるように、例えばMACフレームである非同期系データを同期系データのVCフレームに変換する必要があり、非同期系通信側の低速側インターフェース30AのMAC→VCフレーム変換部31Aが、可変長のMACフレームを固定長のVCフレームに変換して、同期系データとして時分割スイッチ20Bに転送する。VCフレームは時分割多重され、フレーマ10に送られる。リング伝送路1の伝送規格もSONET/SDHの場合、同期系データは、同期系通信側の低速側インターフェース30Bからフレーム変換されることなくそのまま時分割スイッチ20に転送され、フレーマ10でのフレーム同期を経て、伝送路1を伝送する。
【0008】
また、時分割スイッチ20Bは、フレーマ10からドロップされたすべての同期系データ(フレーム変換された非同期系データを含む)から自局宛てのデータを抽出し、各データの宛先に基づいて、低速側の宛先方向へ出力する。抽出された同期系データのうち非同期系データから変換されたものは、宛先方向である非同期系通信側の低速側インターフェース30Aに出力され、VC→MACフレーム変換部32Bは、受信した同期系通信用のVCフレームを非同期系通信用のMACフレームに戻して出力する。また、自局宛ての同期系データのうち、非同期系データから変換されたものを除いた同期系データ(最初からの同期系データ)は、その宛先方向である同期系通信側の低速側インターフェース30Bに転送され、同期系データのまま出力される。
【0009】
このような第一の従来方法は、時分割スイッチ(中継局)20Bによる中継を行うので、伝送遅延時間を最小とし(1フレーム分の遅延のみ)、信頼度の高い中継が可能となる。しかし、本来、非同期系データについては、各中継局が、回線トラフィックの利用状況に応じて最適な転送先を選択したり、サービスに応じてパケットに優先権を与えて処理するといったことが期待される。すなわち、非同期系データについては、同期系データと異なり、複雑な経路処理や優先処理を行う集積回路を経由させ中継する必要が生じる。このような機能は、時分割スイッチでは取り入れられないため、結局、非同期系データは単にデータを転送するだけの機能しか利用できないため、非同期系データのメリットが大きく失われることになる。
【0010】
図3は、同期系データを非同期系データに変換して伝送する場合(第二の従来方法)の伝送システムの構成例を示す図である。図3の構成例は、図1における点線部の構成を示している。非同期系データを取り扱うので、経路選択処理部20はパケットスイッチ20Aである。
【0011】
図3に示されるように、同期系データを非同期系データに変換する必要があり、低速側インターフェース30BのVC→MACフレーム変換部32Bが、VCフレームである同期系データを非同期系データのフレームであるMACフレームに変換して、非同期系データとしてパケットスイッチ20Aに転送する。MACフレームは統計多重され、フレーマ10に送られる。非同期系データは、非同期系通信側の低速側インターフェース30Aからフレーム変換されることなくそのままパケットスイッチ20Aに転送され、フレーマ10に送られる。フレーマ10は、パケットスイッチ20からの非同期系データをリング伝送路の伝送規格(例えば、LAN PHY)のフレームに同期させて伝送する。
【0012】
また、パケットスイッチ20Aは、フレーマ10からドロップされたすべての非同期系データ(フレーム変換された同期系データを含む)から自局宛てのデータを抽出し、各データの宛先に基づいて、低速側の宛先方向へ出力する。抽出された自局宛ての非同期系データのうち、同期系データから変換されたものは、宛先方向である同期系通信側の低速側インターフェース30Bに出力され、MAC→VCフレーム変換部32Aは、受信した非同期系通信用のMACフレームを同期系通信用のVCフレームに戻して出力する。また、自局宛ての非同期系データのうち、同期系データから変換されたものを除いた非同期系データ(最初からの非同期系データ)は、その宛先方向である非同期系通信側の低速側インターフェース30Aに転送され、非同期系データのまま出力される。
【0013】
このような第二の従来方法は、パケットスイッチが用いられるため、上記第一の従来方法における非同期系データのメリットを利用することができるが、同期系データまでパケットスイッチで転送するため、同期系データの転送時間が常に変動する。また、中継処理が複雑なことから信頼度が低下してしまうだけでなく、この方法は事実上の蓄積通信となるので、伝送遅延時間が大きくなる傾向にある。
【0014】
この第二の従来方法の構成において、同期系データの遅延を最小にする方法として、同期系データを最優先パケットとして処理することが考えられる。しかし、そうすると、自局宛てでない、無関係の最優先パケット(フレーム変換された同期系データ)がパケットスイッチにすべて流れ込むため、パケットスイッチの動作能力を低下させる原因となり、優先処理されない非同期系データの通信速度の著しい低下及びパケットの破棄が増加してしまうという問題が生じる。
【0015】
また、同期系データ用の時分割スイッチと非同期系データ用のパケットスイッチを並列に配置する構成による伝送方法が考えられる(第三の従来方法と称す)。
【0016】
図4は、同期系データと非同期系データとを別々に並列処理して伝送する場合(第三の従来方法)の伝送システムの構成例を示す図である。多重部50は、時分割スイッチ20Bからアドされる同期系データとパケットスイッチ20Aからアドされる非同期系データとを多重化する。リング伝送路では、同期化データ又は非同期化データのフレーム形態のいずれかに統一する必要があり、例えば、図4では、非同期化データが同期化データのフレーム形態に変換される。同期化データがSONET/SDHのフレームであり、高速なリング伝送路もSONET/SDHである場合、非同期化データをSONET/SDHのフレームに変換する必要がある。
【0017】
フレーム変換部60は、多重部50において、同期系データと非同期系データを多重するために、非同期系データであるMACフレームをSONET/SDHのフォーマットに適合させるためのフレーム変換を行う。例えば、GFP(Generic Framing Procedure)やLCAS(Link Capacity Adjustment Scheme)に基づいて、SONET/SDHを伝送可能とするようにMACフレームをカプセル化することによりフレーム変換を行う。
【0018】
反対に、リング伝送路1の規格が非同期系データのMACフレームをそのまま扱える規格(例えば、LAN PHY)の場合は、フレーム変換部60は、伝送路方向に流れる同期系データのVCフレームをMACフレームに変換し、低速側方向に流れる同期系データをMACフレームからVCフレームに戻す。
【0019】
このような第三の従来方法は、パケットスイッチと時分割スイッチの両方を配置する必要があり、回路規模、実装効率とも不利になるだけでなく、パケットスイッチと時分割スイッチで取り扱うデータのフレーム形態が異なることから、次の問題が生じる。
【0020】
すなわち、パケットスイッチに送るべきデータなのか、時分割スイッチに送るべきデータなのかが判別できないため、フレーマ10からドロップされたデータすべてをパケットスイッチと時分割スイッチの両方に転送する必要がある、各スイッチは、すべてのデータを処理する必要が生じる。従って、両スイッチともに処理負荷が過大となり、特に、上述した第二の従来の方法の問題点は依然として残る。すなわち、パケットスイッチにおいて、非同期系データの通信速度の著しい低下及びパケットの破棄が増加してしまうという問題が生じる。
【0021】
下記特許文献1は、非同期系データの到着時刻順にバッファから読み出し、複数の識別タグを付加して送信することにより、非同期系データを同期系データに変換して多重化し、送受信する伝送装置を開示している。
【0022】
また、下記特許文献2は、送信バッファにパケット長分のデータが蓄積されたときに、非同期クロックによるタイムスタンプを付加して送信することにより、非同期系データの遅延揺らぎの影響を受けずに、非同期系データを同期系データに変換して送受員する伝送装置を開示している。両特許文献1、2ともに、非同期系データを同期系データに変換して送信する発明である。
【特許文献1】特開2003−324453号公報
【特許文献2】特開平5−37560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、同期系データと非同期系データそれぞれに求められる通信品質を維持しつつ、同期系データと非同期系データとを多重化して伝送することができる伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するための本発明の一態様による伝送システムの第一の構成は、同期系データと非同期系データとが混在し且つ同期系データのフレーム又は非同期系データのフレームのいずれか一方に統一されて多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、同期系データをスイッチングする第一のスイッチと、非同期系データをスイッチングする第二のスイッチと、各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報に基づいて、各データが同期系データか非同期系データかを識別し、同期系データを前記第一のスイッチに転送し、非同期系データを前記第二のスイッチに転送する振り分け制御部とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の他の態様による伝送システムの第二の構成は、上記第一の構成において、前記第一のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される同期系データに、同期系データであることを示す前記タグを挿入し、前記第二のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される出力される非同期系データに非同期系データであることを示す前記タグを挿入するタグ挿入部と、前記タグが挿入された同期系データと非同期データとをいずれか一方のフレームに統一して多重し、前記伝送路のノードに送出する多重部とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の伝送システムの他の態様による第三の構成は、同期系データと非同期系データとが混在し且つ非同期系データのフレームに統一して多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、非同期系データをスイッチングするパケットスイッチと、分離された各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報と宛先情報に基づいて、同期系データであって且つ前記パケットスイッチ宛てでない第一のデータを前記伝送路のノードに送出し、前記第一のデータ以外の第二のデータを前記スイッチに転送するスルー処理部と備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の伝送システムの他の態様による第四の構成は、上記第三の構成において、前記パケットスイッチは、前記第二のデータである同期系データであって且つ前記スイッチ宛てのデータを優先処理することを特徴とする。
【0028】
本発明の伝送システムの他の態様による第五の構成は、上記第三の構成において、前記パケットスイッチから低速インターフェース側に出力された同期系データを、非同期系データのフレームから同期系データのフレームに変換するフレーム変換部を備え、前記フレーム変換部は、前記パケットスイッチから出力された同期系データの遅延変動を吸収するメモリを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、同期系データ及び非同期系データが混在したデータに対して、同期系データの伝送遅延及びその変動を抑え、また、非同期系データの伝送遅延及び破棄を抑えて、信頼性の高いデータ伝送が可能となる。
【0030】
また、スイッチ(パケットスイッチ、及び時分割スイッチを用いる構成の場合は、時分割スイッチ)の負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0032】
図5は、本発明の実施の形態における伝送システムの第一の構成例を示す図である。第一の構成例は、図4の構成に、本発明に特徴的な振り分け制御部70及びタグ挿入部80(タグ挿入部80A、80Bの総称)を備える構成である。
【0033】
非同期系通信用のパケットスイッチ20Aと同期系通信用の時分割スイッチ20Bとが並列に配置され、両スイッチからフレーマ(ノード)10方向に出力されたデータは、多重部50で多重されて、フレーマ10に送られる。フレーム変換部60Aは、非同期系データのフレームと同期系データのフレームを同期系データのフレームに統一するため、非同期系データのフレームを同期系データのフレームに変換する。伝送路の伝送規格が例えばSONET/SDHであって、同期系データもSONET/SDHフォーマットのデータである場合、同期系データのフレームは、SONET/SDHフォーマットに適合しているため、同期系データをフレーム変換する必要はない。フレーム変換部60は、非同期系データのフレームがMACフレームである場合に、MACフレームに、例えば、GFP(Generic Framing Procedure)やLCAS(Link Capacity Adjustment Scheme)に基づいて、SONET/SDHを伝送可能とするようにVCフレームヘッダを付けてカプセル化することによりフレーム変換を行う。
【0034】
タグ挿入部80は、同期系データ及び非同期系データが多重化される前に、同期系データであるのか非同期系データであるのかを識別する情報を有するタグを同期系データ及び非同期系データに付加する。
【0035】
振り分け制御部70は、伝送路側のフレーマ10からデータを受信すると、各データに付されたタグの情報に基づいて、各データが同期系データであるのか、非同期系データであるのかを識別し、非同期系データの場合は、パケットスイッチ20Aに転送し、同期系データの場合は、時分割スイッチ20Bに転送する。
【0036】
このように、フレーマ10からのデータを両スイッチ20に送る前に、振り分け制御部70が、タグの情報に基づいて、同期系データと非同期系データとを識別して、パケットスイッチ20Aには、非同期系データのみが送られるので、パケットスイッチ20Aに同期系信号が送られて、優先処理されることにより、非同期系データの通信速度が低下し、また破棄される非同期系データの増加するという問題点を解決することができる。また、パケットスイッチ20Aには、非同期系データのみが送られ、時分割スイッチ20Bには、同期系データのみが送られるので、無関係なデータが送られることなく、両スイッチ20の負荷を抑制することができる。時分割スイッチ20Bには、同期系データのみが送られるので、遅延変動なしに、同期系データをスイッチングでき、無関係な非同期系データが流入することがないので、負荷が増大するのを防止できる。
【0037】
なお、パケットスイッチ20Aは、振り分け制御部70から転送されたタグが追加されたMACフレームをスイッチングできないため、フレーム変換部60は、フレーム変換の際にタグを除去する。または、タグをフレームの先頭に追加するのではなく、データ領域内に追加するか又はヘッダ領域内の所定領域に書き込むようにしてもよい。
【0038】
図6は、本発明の実施の形態における伝送システムの第二の構成例を示す図である。第二の構成例は、第一の構成例と同様に、非同期系データ用のパケットスイッチ20Aと同期系データ用の時分割スイッチ20Bとが並列に配置され、タグ挿入部80と振り分け制御部70を備える構成である。第一の構成例との相違点は、第一の構成例では、フレーム変換部60Aが非同期系データのフレームを同期系データのフレームに変換したが、第二の構成例では、伝送路の伝送規格が非同期系データのMACフレームを伝送するLAN PHY(10ギガビット・イーサネット(登録商標)のような規格である場合、フレーム変換部60Bが、同期系データのフレーム(例えば、SONET/SDHのVCフレーム)にMACフレームヘッダを付けてMACフレームに変換し、多重部50に送る。
【0039】
また、上述したように、パケットスイッチ20Aは、振り分け制御部70から転送されたタグが追加されたMACフレームをスイッチングできないため、パケットスイッチ20Aに入力されるデータからタグを除去するタグ除去部82が設けられる。または、上述したように、タグをフレームの先頭に追加するのではなく、データ領域内に追加するか又はヘッダ領域内の所定領域に書き込むようにしてもよい。
【0040】
図7A、図7B、図7Cは、タグが付された同期系データ及び非同期系データを示す図である。図7Aは、図5の構成例において、VCフレームヘッダが付されて同期系データのフレームに変換された非同期系データ(MACデータ)の先頭にタグが付される。図7Aのタグは、非同期系データであることを示す情報を有する。フレーム変換されない場合は、MACフレームの先頭にタグが付される。
【0041】
図7Bは、図6の構成例において、MACフレームヘッダが付されて非同期系データのフレームに変換された同期系データ(VCフレーム)の先頭にタグが付される。図7Bのタグは、同期系データであることを示す情報を有する。フレーム変換されない場合は、VCフレームの先頭にタグが付される。
【0042】
図7Cは、MACフレームヘッダが付されて非同期系データのフレームに変換された同期系データ(VCフレーム)を示すが、タグをフレームの先頭ではなく、データ領域に追加する例を示す。
【0043】
図8は、本発明の実施の形態における伝送システムの第三の構成例を示す図である。第三の構成例では、スイッチはパケットスイッチ20Aのみであって、時分割スイッチは設けられない。また、タグは、同期系データか非同期系データからの識別情報に加えて、各データの宛先情報を有する。
【0044】
スルー処理部75は、伝送路側のフレーマ10から多重されたデータを受信すると、各データに付されたタグの情報に基づいて、各データが同期系データであるのか、非同期系データであるのかを識別し、さらに、宛先情報がパケットスイッチ20A(自局)宛てであるかどうかを判別する。すなわち、スルー処理部75は、伝送路側からのデータを以下の4つのデータに分類することができる。
【0045】
・ 他局宛ての同期系データ
・ 自局宛ての同期系データ
・ 他局宛ての非同期系データ
・ 自局宛ての非同期系データ
第三の構成例では、スルー処理部75は、上記(1)他局宛ての同期系データをパケットスイッチ20Aに転送せずに、そのままフレーマ10から伝送路に戻すスルー処理を実行する。(1)他局宛の同期系データは、パケットスイッチ20Aで中継処理されずに、そのまま伝送路に戻るので、伝送遅延を最小とすることができ、時分割スイッチを用いるのと同様に、同期系データを中継することができる。
【0046】
一方で、スルー処理部75は、上記(1)以外のデータ、すなわち、(2)自局宛ての同期系データ、(3)他局宛ての非同期系データ、(4)自局宛の非同期系データをパケットスイッチ20Aに転送する。(2)自局宛の同期系データについては、優先パケットとして最優先処理することで遅延及びその変動を最小限に抑えることができる。
【0047】
また、(3)他局宛の非同期系データ及び(4)自局宛の非同期系データについては、(1)他局宛の同期系データがパケットスイッチ20Aに流入しないので、パケットスイッチ20Aの負荷を抑制することができる。そして、優先処理される同期系データの量が制限されるとともに、(2)自局宛ての同期系データは必ず低速側インターフェースに出力されるので、非同期系データの処理に大きな遅れは生じない。従って、(3)他局宛ての非同期系データ及び(4)自局宛の非同期系データについても、通信速度の低下及びパケットの破棄を招くことなく、非同期系データを中継処理することができる。
【0048】
図9は、スルー処理部75の構成例を示す図である。スルー処理部75のタグ識別部76は、タグの情報を識別して、(1)のデータをスルー処理し、それ以外の(2)、(3)、(4)のデータをパケットスイッチ20Aに転送する。エラスティックメモリ77は、網同期クロックとの位相合わせを行うクロック乗せ替えのための一時蓄積メモリ(いわゆるFIFO(First-in-First-out))である。挿入部78は、スルーした(1)のデータに、(3)のデータを含むパケットスイッチ20Aから伝送路側に出力されたデータを追加する。
【0049】
図8に戻って、タグ挿入部80は、第一及び第二の構成例と同様に、パケットスイッチ20Aから伝送路方向に出力されるデータに対して、同期系データであるのか、非同期系データであるかの識別情報を有するタグを付加する。さらに、第三の構成例のタグ挿入部80は、タグの情報として、データの宛先情報も付加する。
【0050】
タグ除去部82は、パケットスイッチ20Aに流入するデータに付されたタグを除去する。なお、タグが、フレームの先頭に付加されていない場合は、除去する必要はない。
【0051】
また、図8には示されていないが、第三の構成例では、同期系データは非同期系データのフレームに変換する必要があるので、図3に示したように、パケットスイッチ20Aの低速側インターフェース30側において、同期系データのフレーム(VCフレーム)は、非同期系データのフレーム(MACフレーム)に変換されて、パケットスイッチ20Aに流入し、パケットスイッチ20Aから低速側インターフェース30側に出力した同期系データ(非同期系データのフレームに変換されているもの)は、同期系データのフレーム(VCフレーム)に戻される。
【0052】
また、伝送路がMACフレームをそのまま流せない伝送規格(SONET/SDH)のような場合は、スルー処理部75とパケットスイッチ20Aとの間に、非同期系データのフレーム(MACフレーム)と同期系データのフレーム(VCフレーム)間の変換処理を行うフレーム変換部が必要となる。
【0053】
上記第三の構成例において、他局宛同期信号であるかの識別を同期系データのパス設定情報を用いて行ってもよい。同期系データは、最優先に回線を占有し、固定的に利用される性質上、ネットワーク全体にてパス管理を行うことで、タグの付加による通信速度の低下を招くことがない。しかしながら、同期系データのパスを設定する場合は、その中継に関わるすべてのスイッチ(中継局)にもパス設定情報を送る必要がある。
【0054】
上述の実施の形態例では、双方向のリング伝送路に対する伝送システムの構成例を示したが、信頼性の高いネットワークとして、双方向のリング伝送路を冗長化したネットワークが実現されている。
【0055】
図10は、冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第四の構成例を示す図である。図10は、上述の第三の構成例を冗長化した場合の例を示し、0系と1系の2つのパケットスイッチ20Aが設けられる。低速側インターフェース30も0系と1系の2つが設けられる。
【0056】
また、ブリッジ処理部90は、一方のパケットスイッチ20Aから他方のパケットスイッチ20Aにデータを転送する(0系→1系又は1系→0系)ためのブリッジ回路である。ブリッジ処理90を設けることにより、2つのパケットスイッチ20Aを1つのパケットスイッチ20Aの動作と同等に扱うことができる。また、比較的容量の小さなパケットスイッチを組み合わせることで、大容量のパケットスイッチとして利用でき、初期の導入コストを抑制することができる。
【0057】
図11は、冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第五の構成例を示す図である。第五の構成例は、第四の構成例と同様に、冗長化のために2つのパケットスイッチ20Aが設けられるが、さらに、各パケットスイッチを内部的に分割し、各パケットスイッチにおいて、0系と1系が存在する構成である。パケットスイッチを必要に応じて分割することで、効率的に利用することができる。
【0058】
図12は、冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第六の構成例を示す図である。第六の構成例は、第五の構成において、さらに、低速側インターフェース30側にも、スルー処理部75とブリッジ処理部90が設けられる構成である。マルチリンク構成やヘアピン構成(低速側同士が直接転送しあう構成)を実現する場合、低速側インターフェース30側からのデータも、高速の伝送路側からのデータと同様に、スルー処理部75によりスルー処理する必要がある。
【0059】
図13は、低速側インターフェース30の構成例を示す図である。具体的には、第三の構成例のように、同期系データ及び非同期系データともにパケットスイッチ20Aでスイッチングする構成における同期系通信の低速側インターフェース30Bの構成例である。低速側インターフェース30Bは、MACフレームをVCフレームに変換するMAC→VCフレーム変換部31B、VCフレームをMACアドレスに変換するVC→MACフレーム変換部32B、終端LSI33B、光・電気変換部34Bを備える。MAC→VCフレーム変換部31Bは、パケットスイッチ20Aから受信するパケット(MACフレーム)を組み合わせて、元の同期系データのフレームに変換する必要があるが、MACフレームは、パケットスイッチ20A内で非同期に処理され、送出されるタイミングが一定でないため、低速側インターフェース31BでのMACフレームの受信に遅延変動が生じる。そのため、MAC→VCフレーム変換部31Bは、その遅延変動分を吸収するためのバッファメモリ31Mを有し、VCフレームに戻った同期系データを所定のクロックタイミングに同期させて出力する。
【0060】
図14は、低速側インターフェース30の別の構成例を示す図である。図10乃至図12に示した冗長構成では、低速側インターフェース30Bには、0系と1系の二つパケットスイッチ20Aからデータが流入する。同期系通信においては、特に重要な回線は、冗長構成による無瞬断(hitless)切替機能を有することが要求される場合がある。無瞬断切替機能は、一方側で通信断が生じても、通信断を生じさせることなく瞬時に他方側に切り替える機能である。無瞬断切替機能を実現するには、0系、1系それぞれからのデータの位相を合わせるために、位相差を吸収するメモリが必要である。
【0061】
図14において、2つのメモリ35Bが無瞬断切替用メモリであって、セレクタ36Bがいずれか一方からのデータを選択して、MAC→VCフレーム変換部31Bに送る。図14の構成例において、この無瞬断切替用メモリ35Bに、MACフレームの遅延変動分を吸収する機能を担わせることができる。これにより、MAC→VCフレーム変換部31Bに新規にメモリを追加する必要がなくなり、MAC→VCフレーム変換部31Bの構成を小さくすることができる。
【0062】
また、冗長された同期系データ信号の無瞬断パス構成において、短い方のパスを中継する際に、同期系データを故意にパケットスイッチを通過させて転送させ、長い方のパスはスルーさせることで、遅延量を調整し受信部の無瞬断用メモリ容量を軽減化させる構成であってもよい(この場合、タグは同期系データであること及びスイッチ経由の有無の情報を含むように割り当てられる)。
【0063】
(付記1)
同期系データと非同期系データとが混在し且つ同期系データのフレーム又は非同期系データのフレームのいずれか一方に統一されて多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、
同期系データをスイッチングする第一のスイッチと、
非同期系データをスイッチングする第二のスイッチと、
各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報に基づいて、各データが同期系データか非同期系データかを識別し、同期系データを前記第一のスイッチに転送し、非同期系データを前記第二のスイッチに転送する振り分け制御部とを備えることを特徴とする伝送システム。
【0064】
(付記2)
付記1において、
前記第一のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される同期系データに、同期系データであることを示す前記タグを挿入し、前記第二のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される出力される非同期系データに非同期系データであることを示す前記タグを挿入するタグ挿入部と、
前記タグが挿入された同期系データと非同期データとをいずれか一方のフレームに統一して多重し、前記伝送路のノードに送出する多重部とを備えることを特徴とする伝送システム。
【0065】
(付記3)
同期系データと非同期系データとが混在し且つ非同期系データのフレームに統一して多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、
非同期系データをスイッチングするパケットスイッチと、
分離された各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報と宛先情報に基づいて、同期系データであって且つ前記パケットスイッチ宛てでない第一のデータを前記伝送路のノードに送出し、前記第一のデータ以外の第二のデータを前記スイッチに転送するスルー処理部と備えることを特徴とする伝送システム。
【0066】
(付記4)
付記3において、
前記パケットスイッチは、前記第二のデータである同期系データであって且つ前記スイッチ宛てのデータを優先処理することを特徴とする伝送システム。
【0067】
(付記5)
付記3において、
前記パケットスイッチから低速インターフェース側に出力された同期系データを、非同期系データのフレームから同期系データのフレームに変換するフレーム変換部を備え、
前記フレーム変換部は、前記パケットスイッチから出力された同期系データの遅延変動を吸収するメモリを有することを特徴とする伝送システム。
【0068】
(付記6)
付記5において、
前記メモリは、前記低速インターフェースに設けられる無瞬断切替用メモリと共用されることを特徴とする伝送システム。
【0069】
(付記7)
付記3において、
前記パケットスイッチがネットワークの冗長化のために複数設けられ、又は複数に分割されている場合、一方のパケットスイッチから他方のパケットスイッチにデータを転送するためのブリッジ処理部を備え、
前記ブリッジ処理部を介して、前記パケットスイッチと前記スルー処理部間のデータ伝送が行われることを特徴とする伝送システム。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】リング構成の伝送システムを示す図である。
【図2】非同期系データを同期系データに変換して伝送する場合の伝送システムの構成例を示す図である。
【図3】同期系データを非同期系データに変換して伝送する場合の伝送システムの構成例を示す図である。
【図4】同期系データと非同期系データとを別々に並列処理して伝送する場合の伝送システムの構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における伝送システムの第一の構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における伝送システムの第二の構成例を示す図である。
【図7A】タグが付された同期系データ及び非同期系データを示す図である。
【図7B】タグが付された同期系データ及び非同期系データを示す図である。
【図7C】タグが付された同期系データ及び非同期系データを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における伝送システムの第三の構成例を示す図である。
【図9】スルー処理部75の構成例を示す図である。
【図10】冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第四の構成例を示す図である。
【図11】冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第五の構成例を示す図である。
【図12】冗長化されたネットワークに対応した本発明の実施の形態における伝送システムの第六の構成例を示す図である。
【図13】低速側インターフェース30の構成例を示す図である。
【図14】低速側インターフェース30の別の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1:伝送路、10:フレーマ、11:受信部(光→電気変換部)、12:送信部(電気→光変換部、13:フレーム同期及びOH処理部、20A:パケットスイッチ、20B:時分割スイッチ、30:低速側インターフェース、50:多重部、60:フレーム変換部、70:振り分け制御部、75:スルー処理部、80:タグ挿入部、82:タグ除去部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期系データと非同期系データとが混在し且つ同期系データのフレーム又は非同期系データのフレームのいずれか一方に統一されて多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、
同期系データをスイッチングする第一のスイッチと、
非同期系データをスイッチングする第二のスイッチと、
各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報に基づいて、各データが同期系データか非同期系データかを識別し、同期系データを前記第一のスイッチに転送し、非同期系データを前記第二のスイッチに転送する振り分け制御部とを備えることを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される同期系データに、同期系データであることを示す前記タグを挿入し、前記第二のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される出力される非同期系データに非同期系データであることを示す前記タグを挿入するタグ挿入部と、
前記タグが挿入された同期系データと非同期データとをいずれか一方のフレームに統一して多重し、前記伝送路のノードに送出する多重部とを備えることを特徴とする伝送システム。
【請求項3】
同期系データと非同期系データとが混在し且つ非同期系データのフレームに統一して多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、
非同期系データをスイッチングするパケットスイッチと、
分離された各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報と宛先情報に基づいて、同期系データであって且つ前記パケットスイッチ宛てでない第一のデータを前記伝送路のノードに送出し、前記第一のデータ以外の第二のデータを前記スイッチに転送するスルー処理部と備えることを特徴とする伝送システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記パケットスイッチは、前記第二のデータである同期系データであって且つ前記スイッチ宛てのデータを優先処理することを特徴とする伝送システム。
【請求項5】
請求項3において、
前記パケットスイッチから低速インターフェース側に出力された同期系データを、非同期系データのフレームから同期系データのフレームに変換するフレーム変換部を備え、
前記フレーム変換部は、前記パケットスイッチから出力された同期系データの遅延変動を吸収するメモリを有することを特徴とする伝送システム。
【請求項1】
同期系データと非同期系データとが混在し且つ同期系データのフレーム又は非同期系データのフレームのいずれか一方に統一されて多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、
同期系データをスイッチングする第一のスイッチと、
非同期系データをスイッチングする第二のスイッチと、
各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報に基づいて、各データが同期系データか非同期系データかを識別し、同期系データを前記第一のスイッチに転送し、非同期系データを前記第二のスイッチに転送する振り分け制御部とを備えることを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される同期系データに、同期系データであることを示す前記タグを挿入し、前記第二のスイッチから前記伝送路のノード方向に出力される出力される非同期系データに非同期系データであることを示す前記タグを挿入するタグ挿入部と、
前記タグが挿入された同期系データと非同期データとをいずれか一方のフレームに統一して多重し、前記伝送路のノードに送出する多重部とを備えることを特徴とする伝送システム。
【請求項3】
同期系データと非同期系データとが混在し且つ非同期系データのフレームに統一して多重化された多重データを伝送路のノードから受信し、各データをスイッチングする伝送システムにおいて、
非同期系データをスイッチングするパケットスイッチと、
分離された各データに付されたタグを抽出し、タグに含まれる各データが同期系データか非同期系データかを識別するための情報と宛先情報に基づいて、同期系データであって且つ前記パケットスイッチ宛てでない第一のデータを前記伝送路のノードに送出し、前記第一のデータ以外の第二のデータを前記スイッチに転送するスルー処理部と備えることを特徴とする伝送システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記パケットスイッチは、前記第二のデータである同期系データであって且つ前記スイッチ宛てのデータを優先処理することを特徴とする伝送システム。
【請求項5】
請求項3において、
前記パケットスイッチから低速インターフェース側に出力された同期系データを、非同期系データのフレームから同期系データのフレームに変換するフレーム変換部を備え、
前記フレーム変換部は、前記パケットスイッチから出力された同期系データの遅延変動を吸収するメモリを有することを特徴とする伝送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−259163(P2007−259163A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81879(P2006−81879)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]