説明

伝送装置、伝送方法及び伝送システム

【課題】伝送網上の障害箇所を特定する処理負担を軽減する。
【解決手段】OTN4を使用して複数の伝送装置2間でデータを伝送する光伝送システム1である。伝送装置2は、OTN4を使用して接続した上流の伝送装置2からデータを受信し、受信したデータから、報告先の伝送装置2AのDCN5上のIPアドレス及び、経由ノードを示す経路情報を含む属性情報を抽出するマルチフレーム終端回路24を有する。更に、伝送装置2は、抽出された属性情報をメモリ26に上書き更新し、OTN4上の障害を検出すると、属性情報内のIPアドレスに基づき、DCN5経由でSNMPのトラップ機能を使用し、報告先の伝送装置2Aに障害警報を通知するラベル処理回路27を有する。更に、報告先の伝送装置2Aは、DCN5経由で下流の伝送装置2Cから障害警報を取得すると、害警報内の経路情報に基づき、OTN4上の障害箇所を特定し、障害の復旧処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置、伝送方法及び伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送ネットワーク(OTN:Optical Transport Network)は、複数の伝送装置を収容して接続し、伝送装置間のデータ通信を実現している。また、OTNを管理する保守者のOPS(OPeration System)サーバは、OTN上の各伝送装置の稼働状況を一元管理する。更に、OPSサーバは、OTN上で回線障害が発生した場合でも、OTN上の各伝送装置に障害状況を順次問合せ、その問合せに対する応答結果を取得する。
【0003】
そして、OPSサーバは、各伝送装置の問合せに対する応答結果に基づき、OTN上の障害箇所を特定する。また、OPSサーバは、障害箇所が特定されると、例えば、障害箇所を迂回する代替ルートを探索する。その結果、保守者は、手動で代替ルートに切替えて障害を復旧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−122184号公報
【特許文献2】特開平7−231353号公報
【特許文献3】特開2001−114526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなシステムでは、OTN上の障害箇所を特定する場合、OPSがOTN上の各伝送装置に順次問合せるため、その障害箇所を特定する際の処理負担が大きい。
【0006】
一つの側面では、伝送網上の障害箇所を特定する処理負担を軽減する伝送装置、伝送方法及び伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の態様は、第1の伝送網を使用して接続した上流の伝送装置からデータを受信し、受信されたデータから、報告先の伝送装置の宛先を示す宛先情報及び、当該データの伝送経路を示す経路情報を含む属性情報を抽出する終端回路を有する。更に、開示の態様は、前記終端回路によって抽出された前記属性情報をメモリに記憶する属性情報処理回路を有する。更に、属性情報処理回路は、前記第1の伝送網上の障害を検出した場合に、前記メモリに記憶された前記属性情報内の宛先情報に基づき、前記第1の伝送網と異なる第2の伝送網を使用して、前記報告先の伝送装置に障害警報を通知する。
【発明の効果】
【0008】
開示の態様では、第1の伝送網上の障害箇所を特定する処理負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1の光伝送システムの一例を示す説明図である。
【図2】図2は、伝送装置の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、ODUkのフレーム構造の一例を示す説明図である。
【図4】図4は、障害警報通知時の光伝送システムの動作の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、障害復旧通知時の光伝送システムの動作の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、実施例2の光伝送システムの一例を示す説明図である。
【図7】図7は、障害警報通知時の光伝送システムの動作の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、障害復旧通知時の光伝送システムの動作の一例を示す説明図である。
【図9】図9は、実施例3の光伝送システムの一例を示す説明図である。
【図10】図10は、実施例4の光伝送システムの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本願の開示する伝送装置、伝送方法及び伝送システムの実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の光伝送システムの一例を示す説明図である。図1に示す光伝送システム1は、複数の伝送装置2と、OPS(OPeration System)サーバ3と、光伝送ネットワーク(OTN:Optical Transport Network)4と、データ通信ネットワーク(DCN:Data Communication Network)5とを有する。伝送装置2は、例えば、各地域に配置されるものとする。OTN4は、複数の伝送装置2を収容して接続し、伝送装置2間で通信を実現する。DCN5は、伝送装置2間や、伝送装置2及びOPSサーバ3間の監視制御用の通信を実現する。
【0012】
図2は、伝送装置2の一例を示す説明図である。図2に示す伝送装置2は、光伝送ノード10と、制御カード20とを有する。光伝送ノード10は、OTN4との通信インタフェースを司る部位である。制御カード20は、伝送装置2全体を制御すると共に、DCN5との通信インタフェースを司る部位である。尚、説明の便宜上、図1に示す伝送装置2は、例えば、#A〜#Hで示し、“#A”の伝送装置2は“2A”、その光伝送ノード10は“10A”、その制御カード20は“20A”とする。同様に、“#B”の伝送装置2は“2B”、その光伝送ノード10は“10B”、その制御カード20は“20B”とし、以下、“#C”〜“#H”についても同様の態様で符号を付すものとする。
【0013】
光伝送ノード10は、複数枚の光インタフェースカード11と、装置内データバス12とを有する。光インタフェースカード11は、例えばOTN4との間の通信インタフェースである。光インタフェースカード11は、装置内データバス12を通じて主信号フレームを送受信する。更に、光インタフェースカード11と制御カード20との間は、装置内データベース12を通じて通信を実行する。
【0014】
制御カード20は、通信デバイス21と、ルーティングテーブル22と、オーバヘッド終端回路23と、マルチフレーム終端回路24とを有する。更に、制御カード20は、属性情報テーブル(ラベル(label)テーブル)25と、メモリ26と、ラベル処理回路27と、障害アラームDB(Data Base)28と、バス29とを有する。通信デバイス21は、DCN5との通信を司るインタフェースである。ルーティングテーブル22は、OTN3上の各伝送ルートを格納したテーブルである。オーバヘッド終端回路23は、光伝送ノード10内の装置内データバス12と接続され、装置内データバス12経由で受信した主信号フレームを終端する。マルチフレーム終端回路24は、オーバヘッド終端回路23で終端した主信号フレーム中のオーバヘッド(OH:Overhead)を抽出する。属性情報テーブル25は、当該伝送装置2自体のDCN5上のIPアドレスと、当該伝送装置2自体のOTN4上の光インタフェースカード11を識別するサーキットIDとを管理する。メモリ26は、各種情報を記憶する。
【0015】
ラベル処理回路27は、制御カード20全体を制御する。ラベル処理回路27は、OTN4上の上流の伝送装置2から主信号フレームのオーバヘッドに付加された回線の属性情報を抽出し、抽出された属性情報をメモリ26に上書き更新する。尚、主信号フレームに付加された属性情報は、報告先の伝送装置2の宛先を示すDCN5上のIPアドレス及びOTN4上のサーキットIDと、主信号フレームの伝送経路を示す経路情報とを含む。尚、報告先の伝送装置2は、障害検出時に後述する障害警報を報告する報告先の伝送装置2であって、例えば、主信号フレームのデータ配信元であるイングレス(Ingress)の#Aの光伝送ノード10Aを内蔵した伝送装置2Aである。経路情報は、イングレスの光伝送ノード10Aから直近上流の光伝送ノード10までの主信号フレームを伝送する経路上で経由した伝送装置2で表すものである。例えば、伝送装置2C内の制御カード20Cが抽出した属性情報は、報告先の伝送装置2として伝送装置2AのDCN5上のIPアドレス及びOTN4上のサーキットIDと、経路情報として、#A→#Bの情報とを含む。
【0016】
また、ラベル処理回路27は、主信号フレームをOTN4上の下流の伝送装置2の光伝送ノード10に伝送する際、メモリ26に上書き更新された属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2を追加して新たな属性情報を生成する。更に、ラベル処理回路27は、新たな属性情報をオーバヘッドに付加する。尚、例えば、伝送装置2Cが下流の伝送装置2Fに伝送する主信号フレームの属性情報は、報告先の伝送装置2として伝送装置2AのIPアドレス及びサーキットIDをそのままとし、経由ノードとして#Cを追加した#A→#B→#Cの経路情報を含む。そして、マルチフレーム終端回路24は、新たな属性情報が付加されたオーバヘッドを主信号フレームに付加し、主信号フレームを光伝送ノード10に伝送する。伝送装置2Cの光伝送ノード10Cは、主信号フレームをOTN4上の下流の伝送装置2F及び伝送装置2Eに伝送する。
【0017】
図3は、ODUkのフレーム構造の一例を示す説明図である。図3に示すODU(Optical channel Data Unit)k40は、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) G.709で規格化されたフレーム構造である。ODUk40は、ODUオーバヘッド41と、Frame Aligmentオーバヘッド42と、OTU(Optical channel Transport Unit)オーバヘッド43と、OPU(Optical channel Payload Unit)オーバヘッド44とを有する。更に、ODUk40は、Payloadエリア45と、FEC(Forward Error Correction)エリア46とを有する。また、ODUオーバヘッド41は、RES(Reserve)51と、TCM(Tandem Connection Monitoring)ACT52と、TCM1〜TCM6とを有する。RES51は、予約済みのバイトである。TCM1〜6は、タンデム接続モニタリングのバイトである。
【0018】
更に、ODUオーバヘッド41は、FTFL(Fault Type & Fault Location Reporting channel)53と、PM(Path Monitoring)54と、EXP(Experimental)55と、GCC(General Communication Channel)1と、GCC2とを有する。FTFL53は、障害タイプ及び障害場所を示すバイトである。PM54は、パスモニタリングのバイトである。EXP55は、実験用を示すバイトである。GCC1〜2は、汎用通信チャネルを示すバイトである。更に、ODUオーバヘッド41は、APS(Automatic Protection Switching coordination channel)/PCC(Protection Communication Control channel)56と、RES57とを有する。APS/PCC56は、自動プロテクションスイッチング/プロテクション通信チャネルを示すバイトである。RES57は予約済みのバイトである。尚、属性情報は、RES57に付加されるものである。
【0019】
また、ラベル処理回路27は、OTN4上の障害を検出すると、DCN5の簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP:Simple Network Management Protocol)のトラップ機能を使用して、障害警報を報告先の伝送装置2に通知する。障害警報は、障害を検出した光伝送ノード10のサーキットIDと、障害内容を示す障害情報と、メモリ26に上書き更新された属性情報内の経路情報とを含む。つまり、ラベル処理回路27は、メモリ26に上書き更新された属性情報内のIPアドレスに基づき、SNMPのトラップ機能を使用して障害警報を報告先の伝送装置2に通知する。
【0020】
また、報告先の伝送装置2側の制御カード20内のラベル処理回路27は、SNMPのトラップ機能を使用して下流の伝送装置2からの障害警報を取得すると、障害警報を障害アラームDB28に登録する。更に、ラベル処理回路27は、障害警報内の障害検出の光伝送ノード10のサーキットID、経路情報及び障害内容に基づき、OTN4上の障害箇所を特定する。尚、ラベル処理回路27は、障害警報の内容に基づき、OTN4上の障害箇所を特定するが、その他の伝送装置2からの障害警報も踏まえて、OTN4上の障害箇所を特定しても良い。
【0021】
更に、報告先の伝送装置2側のラベル処理回路27は、障害警報の内容に応じて障害復旧内容を識別し、その識別された障害復旧内容に応じて障害に対する障害復旧を指示する。例えば、障害箇所が、光伝送ノード10Bと光伝送ノード10Cとの間の回線の場合、ルーティングテーブル22のテーブル内容を参照し、#A→#D→#Cの代替ルートに変更して障害を復旧する。その結果、光伝送ノード10Cは、光伝送ノード10Dから主信号フレームを受信して障害を復旧できる。尚、ラベル処理回路27は、プロテクションスイッチング(Protection Switching)機能を使用したルート変更や、OSPF(Open Shortest Path First)−TE(Traffic Engineering)を使用した動的なルート変更を指示しても良い。
【0022】
また、ラベル処理回路27は、障害箇所が伝送装置2のFEC訂正の無効化による場合、当該障害箇所の伝送装置2に対してFEC訂正の有効化を指示する。その結果、障害箇所の伝送装置2は、FEC訂正を有効化することで障害を復旧できる。
【0023】
また、障害警報を発した伝送装置2の光伝送ノード10は、回線障害が復旧した場合、上流側の光伝送ノード10から主信号フレームを受信できる。更に、制御カード20内のラベル処理回路27は、マルチフレーム終端回路24を通じて主信号フレームのオーバヘッダから属性情報を抽出する。ラベル処理回路27は、抽出された属性情報をメモリ26内に上書き更新する。そして、ラベル処理回路27は、SNMPのトラップ機能を使用して、障害復旧を報告先の伝送装置2に通知する。障害復旧は、障害警報を発した伝送装置2側の光伝送ノード10のサーキットIDと、障害復旧の完了を示す復旧情報とを含む。ラベル処理回路27は、メモリ26に上書き更新された属性情報内の報告先の伝送装置2のIPアドレスに基づき、SNMPのトラップ機能を使用して障害復旧を報告先の伝送装置2に通知する。
【0024】
報告先の伝送装置2側のラベル処理回路27は、DCN5経由でSNMPのトラップ機能を使用して障害復旧が取得されると、障害アラームDB28に登録済みの障害警報を削除する。その結果、報告先の伝送装置2は、OTN4上の障害の復旧が完了したことを認識する。
【0025】
通信デバイス21、ルーティングテーブル22、マルチフレーム終端回路24、属性情報テーブル25、メモリ26、ラベル処理回路27及び障害アラームDB28は、バス29を使用してデータを送受信する。
【0026】
次に、実施例1の光伝送システム1の動作について説明する。図4は、障害警報通知時の光伝送システム1の動作の一例を示す説明図である。図4の光伝送システム1では、光伝送ノード10Aの伝送装置2Aをイングレスの伝送装置2とし、光伝送ノード10Aから下流の光伝送ノード10に主信号フレームを片方向(Uni-directional)配信する。主信号フレームの経路は、光伝送ノード10A“#A”→光伝送ノード10B“#B”→光伝送ノード10C“#C”→…の経路である。
【0027】
図4に示す伝送装置2A内の光伝送ノード10Aは、伝送装置2AのDCN5上のIPアドレス及びOTN4上のサーキットIDと、#Aの経路情報とを含む属性情報を付加した主信号フレームを伝送装置2B内の光伝送ノード10Bに伝送する。
【0028】
また、伝送装置2Bは、光伝送ノード10Aから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Bは、主信号フレームをOTN4上の下流の伝送装置2に伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2B(#B)を追加し、#A→#Bの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。尚、新たな属性情報内の報告先の伝送装置2のDCN5上のIPアドレス及びOTN4上のサーキットIDは、メモリ26に記憶されたままの内容である。更に、伝送装置2B内の光伝送ノード10Bは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを伝送装置2C内の光伝送ノード10Cに伝送する。
【0029】
また、伝送装置2Cは、光伝送ノード10Bから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Cは、主信号フレームをOTN4上の下流に伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2C(#C)を追加し、#A→#B→#Cの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2C内の光伝送ノード10Cは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを光伝送ノード10E及び光伝送ノード10Fに伝送する。
【0030】
また、伝送装置2Fは、光伝送ノード10Cから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Fは、主信号フレームをOTN4上の下流に伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2F(#F)を追加し、#A→#B→#C→#Fの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2F内の光伝送ノード10Fは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを光伝送ノード10G及び光伝送ノード10Hに伝送する。尚、伝送装置2G及び伝送装置2Hについても同様の処理動作を実行するものである。
【0031】
伝送装置2Cは、光伝送ノード10Bとの間の回線切断の障害を検出した場合、メモリ26に上書き更新された属性情報の報告先の伝送装置2AのDCN5上のIPアドレスを取得する。伝送装置2Cの制御カード20Cは、報告先の伝送装置2AのDCN5上のIPアドレスに基づき、SNMPのトラップ機能を使用してDCN5経由で障害警報を報告先の伝送装置2Aの制御カード20Aに通知する。尚、障害警報には、障害を検出した光伝送ノード10のサーキットIDと、属性情報内の経路情報と、障害内容とを含む。
【0032】
報告先の伝送装置2Aは、SNMPのトラップ機能を使用してDCN5経由で伝送装置2Cから障害警報を取得する。伝送装置2Aは、障害警報を取得した場合、この障害警報を障害アラームDB28に登録する。更に、伝送装置2Aは、障害警報内の障害内容、障害を検出した光伝送ノード10及び経路情報に基づきOTN4上の障害箇所、例えば、光伝送ノード10Bと光伝送ノード10Cとの間の回線を特定する。
【0033】
報告先の伝送装置2Aは、障害箇所が特定されると、ルーティングテーブル22の内容を参照し、光伝送ノード10Bと光伝送ノード10Cとの間の障害箇所を迂回し、光伝送ノード10Dを経由して光伝送ノード10Cに伝送する代替ルートへの変更を指示する。
【0034】
図5は、障害復旧通知時の光伝送システム1の動作の一例を示す説明図である。図5に示す報告先の伝送装置2Aは、OTN4上の光伝送ノード10Bを光伝送ノード10Dに切り替え、光伝送ノード10D経由で光伝送ノード10Cに主信号フレームを伝送することで、障害を復旧する。そして、報告先の伝送装置2Aは、伝送装置2AのDCN5上のIPアドレス及びOTN4上のサーキットIDと、#Aの経路情報とを含む属性情報を付加した主信号フレームを伝送装置2D内の光伝送ノード10Dに伝送する。
【0035】
また、伝送装置2Dは、光伝送ノード10Aから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Dは、主信号フレームをOTN4上の下流に伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2D(#D)を追加し、#A→#Dの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2D内の光伝送ノード10Dは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを伝送装置2C内の光伝送ノード10Cに伝送する。
【0036】
更に、伝送装置2Cは、光伝送ノード10Dから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Dは、上流からの主信号フレームが受信されると、障害復旧を認識し、属性情報内の報告先の伝送装置2AのDCN5上のIPアドレスに基づき、SNMPのトラップ機能を使用して障害復旧を報告先の伝送装置2Aに通知する。更に、伝送装置2Cは、主信号フレームをOTN4上の下流に伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2C(#C)を追加し、#A→#D→#Cの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2C内の光伝送ノード10Cは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを光伝送ノード10E及び光伝送ノード10Fに夫々伝送する。
【0037】
報告先の伝送装置2は、DCN5経由で下流の伝送装置2CからSNMPのトラップ機能を使用して障害復旧を取得すると、障害アラームDB28に登録済みの障害警報を削除する。その結果、報告先の伝送装置2は、OTN4上の障害の復旧が完了したことを認識する。
【0038】
更に、伝送装置2Fは、光伝送ノード10Cから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Fは、主信号フレームをOTN4上の下流に伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2F(#F)を追加し、#A→#D→#C→#Fの経路情報を含む属性情報を生成する。更に、伝送装置2F内の光伝送ノード10Fは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを光伝送ノード#G及び光伝送ノード#Hに夫々伝送する。尚、伝送装置2G及び伝送装置2Hについても同様の処理動作を実行するものである。
【0039】
実施例1では、OTN4上で障害が検出した場合でも、障害を検出した伝送装置2がDCN5経由でSNMPのトラップ機能を使用して障害警報を報告先の伝送装置2、すなわち主信号フレームの配信元の伝送装置2に通知する。その結果、報告先の伝送装置2は、DCN5経由で下流の伝送装置2から障害警報を取得し、伝送装置2間が片方向配信の場合でも、障害発生を認識できる。しかも、伝送装置2は、障害を検出すると、自律的に上流の報告先の伝送装置2に障害警報を通知することになるため、OPS3側の処理負担を軽減できる。
【0040】
更に、実施例1では、障害警報内には障害を検出した伝送装置2のサーキットID、経路情報及び障害内容を含む。報告先の伝送装置2は、障害警報内の障害を検出した伝送装置2のサーキットID及び経路情報に基づき、OTN4上の障害箇所を特定できる。
【0041】
更に、実施例1の報告先の伝送装置2は、OTN4上の障害箇所が特定されると、その障害箇所に対応する障害の復旧を自律的に指示し、その障害を復旧する。その結果、保守者の障害復旧に要する作業負担を軽減できる。
【0042】
更に、実施例1では、障害警報が報告先の伝送装置2に集中するため、OPS3側では報告先の伝送装置2の監視に注視していればよく、OPS3側の処理負担が軽減できる。更に、通常状態に各伝送装置2とOPS3との間で定期的なポーリング通信も必要なくなるため、DCN5内の通信資源も節減できる。
【0043】
尚、上記実施例1では、OTN4上で障害を検出した場合、障害を検出した伝送装置2がDCN5経由でSNMPのトラップ機能を使用して障害警報を上流側にある報告先の伝送装置2、すなわち主信号フレームの配信元の伝送装置2Aに通知した。
【実施例2】
【0044】
しかしながら、報告先の伝送装置2は配信元の伝送装置2Aに限定されるのではなく、障害を復旧する機能を備えた伝送装置2であれば良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。図6は、実施例2の光伝送システムの一例を示す説明図である。尚、実施例1の光伝送システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0045】
図6に示す光伝送システム1Bは、OTN4を“#1”のエリア4A及び“#2”のエリア4Bに分割し、エリア4A内に伝送装置2A、伝送装置2B及び伝送装置2Dを収容する。また、光伝送システム1Bは、エリア4B内の“#J”の伝送装置2J、“#K”の伝送装置2K、“#L”の伝送装置2L、“#M”の伝送装置2M及び“#N”の伝送装置2Nを収容する。尚、説明の便宜上、伝送装置2Jの光伝送ノード10を“10J”、伝送装置2Jの制御カード20を“20J”とし、以下、“#K”〜“#N”についても同様の態様で符号を付すものとする。
【0046】
例えば、エリア4A内では報告先の伝送装置2を伝送装置2Aとし、エリア4B内では報告先の伝送装置2を、障害復旧機能を備えた伝送装置2Jとする。
【0047】
この際、エリア4B内の伝送装置2Jは、エリア4A内の伝送装置2Dから主信号フレームを受信すると、主信号フレームから属性情報を抽出する。尚、属性情報は、配信元の伝送装置2AのDCN5上のIPアドレス及びOTN4上のサーキットIDと、#A→#Dの経路情報とを含む。この際、伝送装置2Jは、属性情報を抽出すると、当該属性情報をメモリ26に上書き更新する。
【0048】
更に、伝送装置2Jは、主信号フレームをエリア4B内の下流の伝送装置2に伝送する際、属性情報内の報告先の伝送装置2を伝送装置2JのDCN5上のIPアドレス及びサーキットIDに書換え、#A→#D→#Jの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2Jは、新たな属性情報を主信号フレームに付加し、付加された主信号フレームをエリア4B内の下流の伝送装置2K内の光伝送ノード10Kに伝送する。
【0049】
伝送装置2Kは、伝送装置2Jから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Kは、主信号フレームをエリア4B内の下流の伝送装置2Nに伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2K(#K)を追加し、#A→#D→#J→#Kの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2K内の光伝送ノード10Kは、新たな属性情報を付加した主信号フレームを伝送装置2N内の光伝送ノード10Nに伝送する。
【0050】
図7は、障害警報通知時の光伝送システム1Bの動作の一例を示す説明図である。図7の光伝送システム1Bでは、エリア4B内の伝送装置2Kと伝送装置2Nとの間の回線に障害が発生したとする。伝送装置2Nは、OTN4上の障害を検出すると、メモリ26に上書き更新された属性情報内の報告先の伝送装置2、すなわち伝送装置2JのIPアドレスに基づき、DCN5経由でSNMPのトラップ機能を使用して障害警報を伝送装置2Jに通知する。
【0051】
報告先の伝送装置2Jは、SNMPのトラップ機能を使用して下流の伝送装置2Nから障害警報を取得すると、障害警報を障害アラームDB28に登録する。更に、報告先の伝送装置2Jは、障害警報の内容に基づき、伝送装置2Kと伝送装置2Nとの間の回線の障害を特定する。更に、報告先の伝送装置2Jは、障害箇所が特定されると、ルーティングテーブル22を参照して、障害を迂回する代替ルートを探索する。その結果、伝送装置2Jは、伝送装置2J→伝送装置2L→伝送装置2Nの代替ルートへの変更を指示する。
【0052】
図8は、障害復旧時の光伝送システム1Bの動作の一例を示す説明図である。図8に示す報告先の伝送装置2Jは、自分の伝送装置2JのIPアドレス及びサーキットIDと、#A→#D→#Jの経路情報とを含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2Jは、光伝送ノード10Kを光伝送ノード10Lに切り替え、新たな更新情報を付加した主信号フレームを伝送装置2L内の光伝送ノード10Lに伝送する。
【0053】
伝送装置2Lは、光伝送ノード10Jから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。伝送装置2Lは、主信号フレームをエリア4B内の下流の伝送装置2Nに伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2L(#L)を追加し、#A→#D→#J→#Lの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2L内の光伝送ノード10Lは、新たな属性情報を付加した主信号フレームを光伝送ノード10Nに伝送する。
【0054】
また、伝送装置2Nは、光伝送ノード10Lから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Nは、上流からの主信号フレームが受信されると、障害復旧を認識し、属性情報内の報告先の伝送装置2JのDCN5上のIPアドレスに基づき、SNMPのトラップ機能を使用して障害復旧を報告先の伝送装置2Jに通知する。
【0055】
報告先の伝送装置2Jは、DCN5経由で下流の伝送装置2NからSNMPのトラップ機能を使用して障害復旧を取得すると、障害アラームDB28に登録済みの障害警報を削除する。その結果、報告先の伝送装置2Jは、障害の復旧が完了したことを認識する。
【0056】
実施例2では、報告先の伝送装置2として主信号フレームの配信元の伝送装置2Aに関係なく、障害を復旧する機能を備えた伝送装置2Jに障害警報を通知したので、障害復旧に要する、例えばルート変更等の影響を最小限に抑えることができる。
【0057】
また、実施例2では、同一OTN4を複数エリアに分割し、エリア毎に報告先の伝送装置2を備えたので、障害復旧に要する、例えばルート変更等の影響を最小限に抑えることができる。
【0058】
尚、上記実施例2では、エリア毎に報告先の伝送装置2を配置するようにしたが、エリア内に複数の報告先の伝送装置2を配置するようにしても良い。
【0059】
尚、上記実施例では、同一OTN4を複数エリアに分割し、エリア毎に報告先の伝送装置2を配置した光伝送システム1Bについて説明した。しかし、本願の技術内容は、OTN4内の伝送装置2間を異なる伝送網で接続した光伝送システムについても適用可能であり、実施の形態として実施例3として以下に説明する。
【実施例3】
【0060】
図9は、実施例3の光伝送システムの一例を示す説明図である。尚、実施例1の光伝送システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図9に示す光伝送システム1Cは、“#A”の伝送装置2Aと、“#P”の伝送装置2Pと、“#Q”の伝送装置2Qと、“#R”の伝送装置2Rとを有する。伝送装置2A、伝送装置2P、伝送装置2Q及び伝送装置2Rは、OTN4内に収容して接続する。
【0061】
更に、伝送装置2A内の光伝送ノード10Aは、伝送装置2P内の光伝送ノード10Pとの間で主信号フレームを送受信する。尚、伝送装置2A及び伝送装置2Pは、伝送装置2A及び伝送装置2P間で障害が発生した場合、主信号フレームのFTFL機能を使用して障害箇所及び障害内容を通知し合う。
【0062】
更に、伝送装置2Q内の光伝送ノード10Qは、伝送装置2R内の光伝送ノード10Rとの間で主信号フレームを送受信する。尚、伝送装置2Q及び伝送装置2Rは、伝送装置2Q及び伝送装置2R間で障害が発生した場合、主信号フレームのFTFL機能を使用して障害箇所及び障害内容を通知し合う。
【0063】
更に、光伝送ノード10Pと光伝送ノード10Qとの間は、異なる伝送網、例えば、SONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy)網6で接続する。しかしながら、伝送装置2P及び伝送装置2Qは、伝送装置2P及び伝送装置2Q間のSONET/SDH網6で障害が発生した場合、FTFL機能を使用することができないため、その障害を通知し合うことができない。
【0064】
伝送装置2A、伝送装置2P、伝送装置2Q及び伝送装置2Rは、DCN5経由で監視制御用の通信が可能となる制御カード20を内蔵している。伝送装置2Aは制御カード20A、伝送装置2Pは制御カード20P、伝送装置2Qは制御カード20Q、伝送装置2Rは制御カード20Rを内蔵している。
【0065】
伝送装置2Aは、主信号フレームを下流の伝送装置2Pに伝送する際、主信号フレームに属性情報を付加する。属性情報には、報告先の伝送装置2として伝送装置2AのDCN5上のIPアドレス及びサーキットIDと、#Aの経路情報とを含む。伝送装置2Aは、属性情報が付加された主信号フレームを伝送装置2Pに伝送する。
【0066】
伝送装置2Pは、上流の伝送装置2Aから主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Pは、主信号フレームを下流の伝送装置2Qに伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2P(#P)を追加し、#A→#Pの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2Pは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを伝送装置2Qに伝送する。
【0067】
伝送装置2Qは、上流の伝送装置2PからSONET/SDH網6経由で主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Qは、主信号フレームを下流の伝送装置2Rに伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2Q(#Q)を追加し、#A→#P→#Qの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2Qは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを伝送装置2Rに伝送する。
【0068】
更に、伝送装置2Rは、上流の伝送装置2QからSONET/SDH網6経由で主信号フレームを受信すると、主信号フレームに付加された属性情報をメモリ26に上書き更新する。更に、伝送装置2Rは、主信号フレームを下流の伝送装置に伝送する際、属性情報内の経路情報に経由ノードとして自分の伝送装置2R(#R)を追加し、#A→#P→#Q→#Rの経路情報を含む新たな属性情報を生成する。更に、伝送装置2Rは、新たな更新情報を付加した主信号フレームを下流の伝送装置2に伝送する。
【0069】
例えば、伝送装置2P及び伝送装置2Q間のSONET/SDH網6上で障害を発生したとする。伝送装置2Q内の制御カード20Qは、メモリ26内に記憶された属性情報内の報告先の伝送装置2AのIPアドレスに基づき、DCN5経由でSNMPのトラップ機能を使用して障害警報を報告先の伝送装置2Aの制御カード20Aに通知する。その結果、報告先の伝送装置2Aは、SNMPのトラップ機能を使用して下流の伝送装置2Qからの障害警報を取得する。そして、報告先の伝送装置2Aは、障害警報に基づき、伝送装置2P及び伝送装置2Q間のSONET/SDH網6上の障害箇所を特定する。更に、報告先の伝送装置2Aは、障害箇所を特定し、障害箇所を迂回する代替ルートがある場合、その代替ルートに変更して障害を復旧できる。
【0070】
実施例3では、OTN4内の伝送装置2間を接続するSONET/SDH網6上で障害が発生した場合でも、属性情報内の報告先の伝送装置2AのIPアドレスに基づき、DCN5経由でSNMPのトラップ機能を使用して障害警報を報告先の伝送装置2Aに通知する。報告先の伝送装置2Aは、OTN4内の伝送装置間を中継するSONET/SDH網6上の障害が発生したとしても、当該障害箇所を特定できる。
【0071】
上記実施例3では、OTN4内の伝送装置2間を接続する伝送網をSONET/SDH網6としたが、OTN4と異なるSONET/SDH網6以外の伝送網であっても良い。
【0072】
尚、上記実施例1及び2では、伝送装置2間の主信号フレームを片方向(Uni-directional)通信で伝送する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、伝送装置2間の主信号フレームを双方向(Bi-directional)通信で伝送する場合にも本技術内容は適用可能であり、その実施の形態につき、実施例4として以下に説明する。
【実施例4】
【0073】
図10は、実施例4の光伝送システムの一例を示す説明図である。図10に示す光伝送システム1Dは、“#S”の伝送装置2Sと、“#T”の伝送装置2Tと、“#V”の伝送装置2Vと、“#W”の伝送装置2Wとを有する。伝送装置2Sは、光ファイバ61で伝送装置2Tと双方向通信する。伝送装置2Tは、光ファイバ62で伝送装置2Vと双方向通信する。更に、伝送装置2Tは、光ファイバ63で伝送装置2Wと双方向通信する。
【0074】
伝送装置2Sは、光伝送ノード10Sと、制御カード20Sとを有する。光伝送ノード10Sは、光ファイバ61Aで伝送装置2Tに主信号フレームを送信する送信器71Sと、光ファイバ61Bで伝送装置2Tから主信号フレームを受信する受信器72Sとを有する。伝送装置2Vは、光伝送ノード10Vと、制御カード20Vとを有する。光伝送ノード10Vは、光ファイバ62Bで伝送装置2Tに主信号フレームを送信する送信器71Vと、光ファイバ62Aで伝送装置2Tから主信号フレームを受信する受信器72Vとを有する。伝送装置2Wは、光伝送ノード10Wと、制御カード20Wとを有する。光伝送ノード10Wは、光ファイバ63Bで伝送装置2Tに主信号フレームを送信する送信器71Wと、光ファイバ63Aで伝送装置2Tから主信号フレームを受信する受信器72Wとを有する。
【0075】
伝送装置2Tは、光伝送ノード10Tと、制御カード20Tとを有する。光伝送ノード10Tは、第1の受信器81と、第2の受信器82と、第1の送信器83と、第2の送信器84と、光カプラ85と、光スイッチ86と、制御カード20Tとを有する。第1の受信器81は、光ファイバ61Aで伝送装置2Sからの主信号フレームを受信し、受信された主信号フレームを第1の送信器83に伝送する。第1の送信器83は、第1の受信器81を通じて受信した主信号フレームを光カプラ85に伝送する。光カプラ85は、第1の送信器83からの主信号フレームを光分岐する。光カプラ85は、光分岐された主信号フレームを光ファイバ62Aで伝送装置2Vに伝送すると共に、光分岐された主信号フレームを光ファイバ63Aで伝送装置2Wに伝送する。
【0076】
光スイッチ86は、光ファイバ62B又は光ファイバ63Bを切替選択し、光ファイバ62Bが選択されると、光ファイバ62Bで伝送装置2Vからの主信号フレームを第2の受信器82に伝送する。また、光スイッチ86は、光ファイバ63Bが選択されると、光ファイバ63Bで伝送装置2Wからの主信号フレームを第2の受信器82に伝送する。第2の受信器82は、光スイッチ86で切替選択された光ファイバ62B又は63Bで主信号フレームを受信し、受信された主信号フレームを第2の送信器84に送信する。第2の送信器84は、第2の受信器82によって受信された主信号フレームを光ファイバ61Bで伝送装置2Sに伝送する。
【0077】
また、伝送装置2Sの制御カード20S、伝送装置2Tの制御カード20T、伝送装置2Vの制御カード20V及び伝送装置2Wの制御カード20Wは、DCN5経由で監視制御用の通信が可能となる。
【0078】
例えば、伝送装置2Tから伝送装置2Vへの光ファイバ62Aで回線障害を発生したとする。この際、伝送装置2T及び伝送装置2V間の光ファイバ62は双方向通信であるため、伝送装置2Vが光ファイバ62Bを使用して伝送装置2Tに回線障害を通知することも考えられる。しかしながら、伝送装置2T側の光スイッチ86が光ファイバ63Bを切替選択中の場合、伝送装置2Vからの回線障害を伝送装置2Sに通知できない。
【0079】
そこで、伝送装置2Vの制御カード20Vは、光ファイバ62Aの回線障害を検出すると、属性情報内の報告先の伝送装置2SのIPアドレスに基づき、DCN5経由でSNMPのトラップ機能を使用して障害警報を伝送装置2Sに通知する。その結果、伝送装置2Sは、SNMPのトラップ機能を使用して障害警報を取得し、障害警報に基づき、伝送装置2T及び伝送装置2V間の光ファイバ62A上の回線障害を特定する。そして、伝送装置2Sは、障害が特定されると、その障害を復旧する処理を実行する。
【0080】
実施例4では、双方向通信の光伝送システム1D上で回線障害が発生したとしても、DCN5経由のSNMPのトラップ機能を使用して障害警報を上流側の報告先の伝送装置2Sに通知する。そして、報告先の伝送装置2Sは、SNMPのトラップ機能を使用して障害警報を取得し、その取得された障害警報に基づき障害箇所を特定できる。
【0081】
尚、上記実施例では、障害警報を報告先の伝送装置2に通知する際にSNMPのトラップ機能を使用してDCN5経由で通知したが、障害警報を通知できる伝送網であれば良く、DCN5に限定されるものではない。
【0082】
また、上記実施例では、障害警報内に障害内容を含めるようにしたが、障害警報に障害内容を含めなくても良い。
【0083】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0084】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
1 光伝送システム
2 伝送装置
4 OTN
5 DCN
6 SONET/SDH網
10 光伝送ノード
20 制御カード
23 オーバヘッド終端回路
24 マルチフレーム終端回路
26 メモリ
27 ラベル処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の伝送網を使用して接続した上流の伝送装置からデータを受信し、受信されたデータから、報告先の伝送装置の宛先を示す宛先情報及び、当該データの伝送経路を示す経路情報を含む属性情報を抽出する終端回路と、
前記終端回路によって抽出された前記属性情報をメモリに記憶すると共に、前記第1の伝送網上の障害を検出した場合に、前記メモリに記憶された前記属性情報内の宛先情報に基づき、前記第1の伝送網と異なる第2の伝送網を使用して、前記報告先の伝送装置に障害警報を通知する属性情報処理回路と
を有することを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記属性情報処理回路は、
前記第2の伝送網を使用して下流の伝送装置から前記障害警報を受信すると、前記障害警報内の経路情報に基づき、前記第1の伝送網上の障害箇所を特定すると共に、障害の復旧を指示することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記属性情報処理回路は、
前記終端回路によって前記データから前記属性情報が抽出されると、当該属性情報内の前記経路情報に現在の伝送装置の経路を追加して当該属性情報を更新し、
前記終端回路は、
前記属性情報処理回路によって更新された属性情報を前記データに付加し、当該属性情報が付加されたデータを前記第1の伝送網を使用して接続した下流の伝送装置に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記報告先の伝送装置は、
前記データを配信する配信元の伝送装置であることを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項5】
前記報告先の伝送装置は、
前記第1の伝送網上の障害の復旧を指示することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項6】
前記属性情報処理回路は、
前記第2の伝送網の簡易ネットワーク管理プロトコルのトラップ機能を使用して前記障害警報を前記報告先の伝送装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項7】
第1の伝送網を使用して接続した上流の伝送装置からデータを受信する伝送装置の伝送方法であって、
当該伝送装置は、
前記上流の伝送装置から受信したデータから、報告先の伝送装置の宛先を示す宛先情報及び、当該データの伝送経路を示す経路情報を含む属性情報を抽出し、
抽出された属性情報をメモリに記憶し、
前記第1の伝送網上の障害を検出した場合に、前記メモリに記憶された前記属性情報内の宛先情報に基づき、前記第1の伝送網と異なる第2の伝送網を使用して、前記報告先の伝送装置に障害警報を通知する
各処理を実行することを特徴とする伝送方法。
【請求項8】
第1の伝送網を使用して複数の伝送装置間でデータを伝送する伝送システムであって、
前記伝送装置は、
前記第1の伝送網を使用して接続した上流の伝送装置からデータを受信し、受信されたデータから、報告先の伝送装置の宛先を示す宛先情報及び、当該データの伝送経路を示す経路情報を含む属性情報を抽出する終端回路と、
前記終端回路によって抽出された属性情報をメモリに記憶すると共に、前記第1の伝送網上の障害を検出した場合に、前記メモリに記憶された前記属性情報内の宛先情報に基づき、前記第1の伝送網と異なる第2の伝送網を使用して、前記報告先の伝送装置に障害警報を通知する属性情報処理回路と
を有し、
前記報告先の伝送装置は、
前記第2の伝送網を使用して下流の伝送装置から前記障害警報を受信すると、前記障害警報内の経路情報に基づき、前記第1の伝送網上の障害箇所を特定すると共に、障害の復旧を指示する属性情報処理回路
を有することを特徴とする伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−106153(P2013−106153A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247970(P2011−247970)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】