説明

伝送装置及び伝送システム

【課題】TDM信号をパケット化してネットワークに送出し、パケット化されたTDM信号を元のTDM信号として出力する際に、1ビットエラー発生時に生じるパケット廃棄によるデータ欠損を補償することができる送信側、受信側の伝送装置及びそれらの伝送装置を使用した伝送システムを得る。
【解決手段】TDM信号を格納するパケットのフォーマットを、正規のタイミングでパケット化するデータと共に、既に転送済のデータをペイロード内に格納する形式とする。送信側伝送装置A1は、元データを正規と遅延の2つのデータにコピーし、正規データと、既に初回の送信より一定時間経過後の遅延データとを搭載したパケットを生成する。受信側伝送装置Z2は、パケットから正規データと遅延データとを取り出し、正規データ欠落発生時に、遅延データより欠落データを補完する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置及び伝送システムに係り、特に、TDM信号をパケット化してパケットネットワークに送出し、受信したパケット化されたTDM信号を元のTDM信号として出力する送信側、受信側の伝送装置及びそれらの伝送装置を用いてTDM信号をパケットネットワークを介して授受する伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークのパケット化が進展しており、これに伴って、従来、PDH、SDH等の時分割多重(TDM)技術により、常時線路またはチャネルリソースを占有してデータの転送を行っていた通信キャリアバックボーン(通信事業者が使用する基幹回線)についても、サーキットエミュレーション技術(CEP技術)を使用し、TDM信号をパケット化し、パケットネットワーク化する動きが広がってきている。
【0003】
一般に、TDM信号を伝送する基幹回線は、その回線上に転送されるデータに生じた1ビットエラーがそのまま1ビットエラーとして転送されるという特性を持っている。一方、パケットネットワークは、1ビットエラーの発生時、例えば、MACフレームであればFCSエラーと判定して、そのパケットを廃棄してしまうものである。このため、CEP技術を使用してTDM信号をパケットネットワークを介して転送する方法は、パケット化されたデータが、たとえ1ビットのエラーとなった場合でも、そのパケットが廃棄されてしまうので、データの欠損範囲が拡大し、TDMネットワークにより信号を転送した場合に比較して、エラーレートが約10倍以上悪く見えてしまう。
【0004】
前述したようなパケットネットワークにおける1ビットエラーに伴うデータ欠損範囲の拡大を防止することを可能とした従来技術として、例えば、非特許文献1等に開示された技術が知られている。この従来技術は、誤り訂正符号を搭載したパケットを別途送信し、1ビットエラー発生に伴うパケット欠落時にその欠損パケットを復元し、データの欠損を防止するというものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IETF RFC5109(URL->http://www.rfc-editor.org/rfc/rfc5109.txt)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来技術は、送信側において、誤り訂正符号を生成するための演算回路を必要とし、また、受信側において、チェック用の誤り訂正符号演算回路及び誤り訂正回路を必要とするため、伝送装置の回路構成が複雑になり装置コストを増加させてしまうことになるという問題点を有している。
【0007】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、TDM信号をパケット化してパケットネットワークに送出し、パケット化されたTDM信号を元のTDM信号として出力する際に、1ビットエラー発生時に生じるパケット廃棄によるデータ欠損を補償することを可能とした送信側、受信側の伝送装置及びそれらの伝送装置を用いてTDM信号をパケットネットワークを介して授受することを可能とした伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば前記目的は、TDM信号をパケット化してパケットネットワークに送出する送信側の伝送装置と、受信したパケット化されたTDM信号を元のTDM信号として出力する受信側の伝送装置とを備えてTDM信号を授受する伝送システムにおいて、前記送信側の伝送装置は、前記TDM信号のデータを2つのデータとする手段と、前記2つのデータの内一方のデータを通常データとし、前記2つのデータの内他方のデータを一定周期の間保持して遅延データとし、前記通常データと前記一定周期の間遅延され、かつ、一定周期前に既に送信済みのデータである前記遅延データとをパケットに搭載して送信する手段とを備えて構成され、前記受信側の伝送装置は、前記パケット内に搭載されている通常データと遅延データとを抽出する手段と、データの誤りにより欠落しているパケットがあった場合に、当該欠落パケットに搭載されていたはずの通常データを、一定周期後に受信したパケットから抽出した遅延データにより再生する手段とを備えて構成されることにより達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、TDM信号をパケット化してパケットネットワークで伝送する際に、1ビットエラーによるパケットの欠落を補償する回路を大幅なコスト増加を招かずに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による伝送システムの構成例を説明する図である。
【図2】図1に示す送信側の伝送装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図3】送信側の伝送装置からパケットネットワーク上に送出されるパケットの詳細な構成を示す図である。
【図4】図1に示す受信側の伝送装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図5】図4に示す読出ポインタ制御機能部での次回読み出しポインタを生成する処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】データ欠落無し時の受信データバッファ内のデータ配置とデータ読み出し順序とを説明する図である。
【図7】データ欠落有り時の受信データバッファ内のデータ配置とデータ読み出し順序とを説明する図である。
【図8】受信側の伝送装置における受信データバッファの必要な容量について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による伝送装置及び伝送システムの実施形態を図面により詳細に説明する。以下に説明する本発明の実施形態は、TDM信号をパケットネットワークを介して授受する伝送システムにおいて、TDM信号のデータをパケット化する際に、そのパケット内の余剰領域に、既に送信済のデータを格納し、1ビットエラー発生に伴うパケット廃棄により失われたデータを後着のパケット内の余剰領域に格納されている再送データより補填し、データの欠損を防止することができるようにしたものである。
【0012】
図1は本発明の一実施形態による伝送システムの構成例を説明する図である。図1に示す伝送システムは、TDM回線上のTDM信号をパケット化してパケットネットワークに送出する送信側の伝送装置、及び、パケットネットワークからのパケット内のTDM信号を抽出してTDM回線上に送出する受信側の伝送装置を備えて構成されたネットワークシステムである。なお、図1には、片方向にだけ信号を伝送するものとしたシステムを示しているが、一般に、信号伝送は、双方向に行われるので、図示していないが、図1とは逆方向に信号を伝送するシステムが備えられる。
【0013】
図1に示す本発明の実施形態による伝送システムは、送信側の伝送装置A1がTDM信号をパケット化する際に、通常データと既に一旦通常データとして送信済の遅延データとを一体化してパケット化してパケットネットワークに送出し、対向側である受信側の伝送装置Z2がパケットの欠落を検出した場合に遅延データを使用して欠落したデータの補完を行って、TDM信号のデータ列を回復するものである。
【0014】
すなわち、図1に示す本発明の実施形態である伝送システムは、TDM回線であるTDMインタフェース3から受信したTDM信号6をTDM over Packet 信号であるパケット7、パケット8、パケット9として示すようなパケット形状でカプセル化しパケットネットワーク4に送出する機能を有する伝送装置A1と、パケットネットワーク4を介して伝送装置A1と対向し、パケットネットワーク4からTDM over Packet 信号であるパケット7、パケット8、パケット9を受信し、受信したパケット信号からTDM信号を取り出し、再構成したTDM信号10をTDM回線であるTDMインタフェース5に送出する伝送装置Z2とにより構成される。なお、伝送装置Z2は、TDM信号の再生にあたり網同期クロックが必要であり、網同期クロックとして外部参照クロック11がクロック供給装置12から供給されている。
【0015】
伝送装置A1がTDMインタフェース3から受信するTDM信号6は、125μsec周期を一単位とする時分割多重構造を有している。図1に示す伝送装置A1は、a、b、c、d、eの順で順にTDM信号6のデータを受信している。そして、送信側の伝送装置は、TDM信号6をパケット化する際に、本来、a、b、c、d、eというデータのみをカプセル化すればよいが、本発明の実施形態での送信側の伝送装置A1は、本来のデータと既に送信済みの数パケット前のデータとを1つのパケット内にカプセル化している。図1に示す例の場合、伝送装置A1は、パケット7、パケット8、パケット9で示すように、本来のデータc、d、eというデータをそれぞれパケット化するときに、それと同時に、データc、d、eが搭載されるパケットのそれぞれに、既に送信済のデータa、b、cのそれぞれを共に搭載してパケット化し、これによりカプセル化したパケット7、パケット8、パケット9をパケットネットワーク4に送出している。
【0016】
受信側の伝送装置Z2は、パケットネットワーク4を介して送信されてきたパケット7、パケット8、パケット9を受信し、受信したこれらのパケットからTDMデータを取り出し、クロック供給装置12から供給される外部参照クロック11に同期するTDM信号10を再生し、TDMインタフェース5に送出する。受信側の伝送装置Z2は、パケットネットワーク4を介して受信したパケット7、パケット8、パケット9のいずれかに欠落が生じていた場合、後着のパケットの既に送信済のデータが格納されているパケット内の領域から欠落していたパケット内にあったはずの対象データを補填し、データの欠落を生じさせことなくTDM信号10を再生する。
【0017】
図2は図1に示す送信側の伝送装置A1の機能構成例を示すブロック図である。なお、図2に示す例は、TDM信号6のパケット8へのパケット化を行うものとした処理機能の構成を示している。
【0018】
伝送装置A1は、既に説明したように、TDMインタフェース3からTDM信号6を受信し、パケットネットワーク4に対してTDM信号6のデータの通常データdと既に送信済みのデータbとをカプセル化したパケット8を送信するものである。そして、伝送装置A1は、TDMインタフェース3からのTDM信号6を受信・同期化するTDM受信インタフェース101と、TDM受信インタフェース101から受け取った同期化されたTDM信号6をコピーして2つのTDM信号6とするコピー機能部102と、コピー機能部102から2つのTDM信号6の1つを受け取って送信データバッファに書き込む通常書き込み機能部104と、コピー機能部102から2つのTDM信号6の他方の1つを受け取って一定時間遅延させた後に送信データバッファに書き込む遅延書き込み機能部103と、通常書き込み機能部104からのデータを入力順に保持する通常データ記憶領域108及び遅延書き込み機能部103からのデータを入力順に保持する遅延データ記憶領域109を有する送信データバッファ105と、送信データバッファ105から記憶されているデータを読み出してパケットを生成するパケット生成機能部106と、パケット生成機能部106で生成されたパケットをパケットネットワーク4上に送信するパケット送信インタフェース107とを備えて構成されている。
【0019】
前述において、TDM受信インタフェース101が、同期化したTDM信号6を通常書き込み機能部104と遅延書き込み機能部103との両方に分配することができるようにすれば、コピー機能部102は不要である。
【0020】
前述のパケット生成機能部106は、ペイロード部生成機能部111とオーバヘッド部生成機能部112と、図示しないパケット組み立て機能部とにより構成されている。このパケット生成機能部106には、自走発振器113が生成したクロック信号を元に読出タイミング生成機能部114が生成する読み出しタイミングクロックが与えられている。
【0021】
前述したように構成される伝送装置A1において、TDM受信インタフェース101は、125μsec周期で時分割多重伝送されてくるTDM信号6を受信・同期化し、コピー機能部102に対し同期化したTDM信号6を渡す。コピー機能部102は、受け取ったTDM信号6をコピーし、通常書き込み機能部104と遅延書き込み機能部103の両方に対してTDM信号6を渡す。
【0022】
通常書き込み機能部104は、受け取った同期化されたTDM信号6を送信データバッファ105内の通常データ記憶領域108の書き込み時点に対応する番地を持つ空き領域に書き込む。遅延書き込み機能部103は、受け取った同期化されたTDM信号6を一定時間保持し、所定の保持時間後に遅延させたTDM信号6を送信データバッファ105内の遅延データ記憶領域109の書き込み時点に対応する番地を持つ空き領域に書き込む。そして、通常書き込み機能部104及び遅延書き込み機能部103の書き込みタイミングを揃えることにより、送信データバッファ内の、通常データ記憶領域108及び遅延データ記憶領域109の同一番地に受信後即書き込まれたデータと、一定期間の遅延時間後に書き込まれたデータとが格納されることになる。図2には、この同時に書き込み、読み出される通常データ及び遅延データのセットを同時処理データ単位110として示している。
【0023】
ペイロード部生成機能部111とオーバヘッド部生成機能部112とを含んで構成されるパケット生成機能部106のペイロード部生成機能部111は、自走発振器113が生成したクロック信号を元に読出タイミング生成機能部114が生成する読み出しタイミングクロックにより、送信データバッファ105からデータの読み出しを行い、生成すべきパケットのペイロード部を生成する。その際、ペイロード部生成機能部111は、通常データ記憶領域108及び遅延データ記憶領域109の両方の同一番地を同時に読み出す。これにより、同時処理データ単位110を纏めて読み出すことができる。
【0024】
パケット生成機能部106に含まれる図示しないパケット組み立て機能部は、ペイロード部生成機能部111が生成したペイロード部と、オーバヘッド部生成機能部112が生成したパケットオーバヘッドとを結合してTDM信号のパケット化を行う。パケット生成機能部106は、生成されたパケットをパケット送信インタフェース107に対し渡し、パケット送信インタフェース107は、受け取ったパケットをパケット8としてパケットネットワーク4に送出する。
【0025】
図3は送信側の伝送装置A1からパケットネットワーク上に送出されるパケットの詳細な構成を示す図である。なお、本発明の実施形態は、パケットのプロトコルとしてMPLSを使用するものとし、MPLSフレームとして、ラベルを二段スタックするMartini と呼ばれる形式のフレームを使用することとする。そして、TDM信号のMPLSパケット化(フレーム化)に当っては、IETF RFC5086に規定される標準が参照される。
【0026】
図3にはTDM信号をMPLSフレーム化したパケット200の構成を示しており、このパケットは、14byteのMACヘッダ201、4byteのトンネルLSPシムヘッダ202、4byteのVC LSPシムヘッダ203、4byteのCESoPSNコントロールワード204、TDMペイロード(通常)205、TDMペイロード(遅延)206、パディング207、4byteのFCS208の順に各データ領域が結合されて構成されている。
【0027】
前述したように構成されるMPLSフレームによるパケットは、さらに、MACフレームに収容されて入れ子構造とされている。MPLSフレームを収容したMACフレームの長さが64byteに満たない場合、IETF RFC5086をそのまま適用する(本発明を適用しない)と、TDMペイロード(遅延)206の代わりに、同一の長さ分のダミーデータがパディングされることになる。図3に示す本発明の実施形態でのTDM信号をMPLSフレーム化したパケット200は、64kbit/secの伝送速度を持つTDM信号を8フレーム分まとめてパケット化する(125μsec×8=1msec周期でパケット化する)際の例を示しており、TDMペイロード(通常)205、TDMペイロード(遅延)206は、共に9byteであり、パディング207は16byteで、パケット200全体は、64byteとなっている。
【0028】
CESoPSNコントロールワード204、TDMペイロード(通常)205、TDMペイロード(遅延)206は、共にIETF RFC5086に定義される構造を取っており、CESoPSNコントロールワード204は、10bitの制御情報209、6bitのフレーム長を示す情報210、16bitのシーケンス番号211よりなる。また、フレーム化周期1msec時のTDMペイロード(通常)205及びTDMペイロード(遅延)206は、共に8フレーム分のフレーム領域を有しており、1stフレーム領域212、2ndフレーム領域213、3rdフレーム領域214、4thフレーム領域215、5thフレーム領域216、6thフレーム領域217、7thフレーム領域218、8thフレーム領域219、及び、シグナリング領域220よりなる。
【0029】
64kbit/secの伝送速度を持つTDM信号をカプセル化する場合、前述の1stフレーム領域212〜8thフレーム領域219は、それぞれ8bit(1byte)のタイムスロット対応の領域(TS#1(8ビット))221により構成し、シグナリング領域220は、TS#1に対する4bitのシグナリング情報転送用ニブルであるSIG#1 222及び4bitのパディング223よりなる。
【0030】
64kbit/sec以上の伝送速度のTDM信号をカプセル化する場合、前述の1stフレーム領域212〜8thフレーム領域219内のタイムスロット数であるTS数が、信号速度に応じて増加することになる。また、フレーム化周期に応じ、フレーム領域数が増減させられることになる。パケット200内のパディング207のフィールド長は、信号速度及びフレーム化周期に応じて増減させられる。また、パケット200は、パディング207を除くデータ長が64byteを超過する場合、パディング207のフィールド長が0byteとされ、パディング207を除くデータ長が64byteに満たない場合、不足分がパディング207のフィールド長となる。また、TDMペイロード(通常)205及びTDMペイロード(遅延)206内のパディング223のフィールド長は、TDM信号の速度に依存し、TDM信号の速度を64kbit/secで除算した際の解が偶数である場合のフィールド長は0bit、奇数である場合のフィールド長は4bitとなる。
【0031】
前述から判るように、本発明の実施形態でのTDM信号をMPLSフレーム化したパケット200と、IETF RFC5086に定義される構造を持つパケットとは、本発明の実施形態によるパケット200が、TDMペイロード(遅延)206を有している点でのみ相違している。
【0032】
図4は図1に示す受信側の伝送装置Z2の機能構成例を示すブロック図である。なお、図4に示す例は、パケット信号8をTDM信号10へ復元する処理機能の構成を示している。
【0033】
伝送装置Z2は、既に説明したように、パケットネットワーク4からパケット8を受信し、TDMインタフェース5に対してパケット8から復元したTDM信号10を送信するものである。そして、伝送装置Z2は、パケットネットワーク4を介して送信されてくるパケット8を受信するパケット受信インタフェース301と、パケット受信インタフェース301から受け取ったパケットデータの終端処理を行って、パケットのペイロード内の通常データ及び遅延データを受信データバッファに書き込むパケット終端機能部302と、通常データ記憶領域306及び遅延データ記憶領域307を有する受信データバッファ305と、パケット終端機能部302から受け取ったパケットのシーケンス番号情報を元に、パケット欠落の有無を検出するパケット欠落検出機能部309と、パケット欠落検出機能部309から受け取ったパケット欠落の有無の情報により受信データバッファからの読み出しポインタを生成する読み出しポインタ制御機能部310と、外部参照クロック11を受信する外部参照クロック受信機能部314と、外部参照クロック受信機能部314から受け取った外部参照クロックにより読み出しタイミングを生成する読出タイミング生成機能部312と、読出タイミング生成機能部312が生成した読み出しタイミングで、読出ポインタ制御機能部310より受け取った読出し制御ポインタ情報を元に、受信データバッファ305内の情報の読み出しを行う受信データバッファ読出機能部311と、受信データバッファ読出機能部311により読み出されたデータをTDMインタフェース5に送信するTDM送信インタフェース313とを備えて構成されている。
【0034】
前述したように構成される伝送装置Z2において、パケット受信インタフェース301は、パケットネットワーク4からのパケット(図示例でパケット信号8)を受信し、パケット終端機能部302に受信したパケットデータを転送する。また、パケット受信インタフェース301は、受信したパケットの正常性のチェックをも行っている。もし、パケットネットワーク4において伝送パケットにビットエラーが発生していた場合、MACフレームの末尾に付与されている誤り検出符号FCS208と、受信パケットより再演算した誤り検出符号が不一致となり、パケット受信インタフェース301は、該当パケットを廃棄する。
【0035】
パケット終端機能部302は、オーバヘッド部終端機能部303と受信バッファ書き込み機能部304とにより構成されている。そして、パケット終端機能部302は、受け取ったパケットデータをオーバヘッド部とペイロード部とに分け、オーバヘッド部終端機能部303で受け取ったパケットデータに対して通信のために必要とする処理であるオーバヘッド部の終端処理を行い、受信バッファ書き込み機能部304で、ペイロード部に含まれるTDMペイロード(通常)205、TDMペイロード(遅延)206内のデータを受信データバッファ305に書き込む。なお、一般的なMACフレームの場合、MACヘッダ201からVC LSPシムヘッダ203までがオーバヘッド部であり、CESoPSNコントロールワード204からFCS208までがペイロード部である。
【0036】
受信データバッファ305は、すでに説明したように、通常データ記憶領域306と遅延データ記憶領域307とを備えて構成されている。受信バッファ書き込み機能部304は、パケットネットワーク4から受信したパケット8においてカプセル化されていた通常データと遅延データとのセットを同時処理データ単位308として、それぞれ通常データ記憶領域306と遅延データ記憶領域307との同一の書き込み時間に対応する番地に書込む。また、オーバヘッド部終端機能部303は、オーバヘッド部に含まれるCESoPSNコントロールワード204のデータ構造を解析し、シーケンス番号情報211を抽出してパケット欠落検出機能部309へ転送する。
【0037】
パケット欠落検出機能部309は、シーケンス番号情報211をチェックし、前回受信したシーケンス番号と連番であった場合にパケット欠落無し、前回受信したシーケンス番号と連番でなかった場合にパケット欠落有りと判定し、判定結果を読出ポインタ制御機能部310に渡す。読出しポインタ制御機能部310は、パケット欠落の判定結果を元に、読み出しポインタの生成を行い、受信データバッファ読出機能部311に生成した読み出しポインタの情報を渡す。
【0038】
受信データバッファ読出機能部311は、外部参照クロック受信機能部314を介して受信した外部参照クロック11を元に読出タイミング生成機能部312が生成した読み出しタイミングで、読出ポインタ制御機能部310より受け取った読み出し制御ポインタ情報を元に、受信データバッファ305内の情報の読み出しを行う。また、受信データバッファ読出機能部311は、受信データバッファ305から読み出したデータをTDM送信インタフェース313に渡し、TDM送信インタフェース313は、受け取ったデータをTDMデータのフォーマットに再生して、TDMインタフェース5にTDM信号10として送出する。
【0039】
図5は図4に示す読出ポインタ制御機能部310での次回読み出しポインタを生成する処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、ここでの処理の開始時における初期状態は、前回の処理時に生成した「次回通常バッファポインタ候補値」410=通常バッファ先頭アドレス+xとなっていることである。ここで、変数x415は、前回の処理時における通常バッファ読み出し時の通常バッファ先頭アドレスから読み出し位置までのオフセット値である。
【0040】
(1)読出ポインタ制御機能部310は、パケット欠落検出機能部309からパケット欠落の判定結果を受け取った際に起動され、最初に、次回読み出しポインタ候補値計算処理として、前回処理時の「次回通常バッファポインタ候補値」410を元に、次回通常バッファポインタ候補値411及び次回遅延バッファポインタ候補値412を計算する。次回通常バッファポインタ候補値411は、前回処理時の「次回通常バッファポインタ候補値」410+1=通常バッファ先頭アドレス+(x+1)、次回遅延バッファポインタ候補値412は、遅延バッファ先頭アドレスと前回処理時の「次回通常バッファポインタ候補値」410の変数xに遅延オフセット414を加えたもの=遅延バッファ先頭アドレス+x+[遅延オフセット]となる(ステップ401)。
【0041】
(2)次に、シーケンス番号に欠落があるか否かを判定し、シーケンス番号に欠落がなかった場合、次回読出しポインタ設定処理(通常)として、次回読出しポインタ値413=次回通常バッファポインタ候補値411とする処理を行う(ステップ403、404)。
【0042】
(3)ステップ403の判定で、シーケンス番号に欠落があった場合、次回読出しポインタ設定処理(遅延)として、次回読出しポインタ値413=次回遅延バッファポインタ候補値412とし、さらに、次回通常バッファポインタ候補値再設定処理(通常)として、次回通常バッファポインタ候補値411=前回処理時の「次回通常バッファポインタ候補値」410とする処理を行う(ステップ405、406)。
【0043】
図6はデータ欠落無し時の受信データバッファ305内のデータ配置とデータ読み出し順序とを説明する図、図7はデータ欠落有り時の受信データバッファ305内のデータ配置とデータ読み出し順序とを説明する図である。図7に示す例では、パケット8により転送される通常データd及び遅延データbが欠落しているものとしている。また、図6、図7に示す例では、遅延オフセットが、2フレーム化周期時間であるとしており、通常データ記憶領域306に記憶されたデータのコピーが、パケット欠落無し時には遅延データ記憶領域307の2パケット化周期時間後に相当するアドレス部に格納されており、パケット欠落有り時には1フレーム化周期時間後に相当するアドレス部に格納されている。なお、フレーム化周期は、システムへの要求に応じ、適切な値とする必要がある。
【0044】
まず、図6に示すデータ欠落無し時の場合について説明する。いま、図6に示すように、受信データバッファ305の通常データ記憶領域306の先頭からのオフセットn 510、n+1 511、n+2 512、n+3 513、n+4 514、n+5 515の各領域には、データc 533、データd 534、データe 535、データf 536、データg 537、データh 538が格納されているものとする。この場合、受信データバッファ305の遅延データ記憶領域307の先頭からのオフセットn 510、n+1 511、n+2 512、n+3 513、n+4 514、n+5 515の各領域には、データa 531、データb 532、データc 533、データd 534、データe 535、データf 536が格納されていることになる。
【0045】
そして、時刻t 550〜時刻t+5 555の各時刻において、長丸と矢印線とで示しているように、受信データバッファ305内の対応する領域からデータを順次読み出し、てTDM信号の元となるデータ列570が生成される。図6に示すデータ欠落無し時の場合、通常データ記憶領域306のみから対応する領域のデータが順次読み出されることになる。図6に示す例では、時刻t 550にはn 510からのデータが、時刻t+1 551にはn+1 511からのデータが、時刻t+2 552にはn+2 512からのデータが、時刻t+3 553にはn+3 513からのデータが、時刻t+4 554にはn+4 514からのデータが、時刻n+5 555にはn+5 515からのデータが読み出され、データ列570が生成される。
【0046】
次に、図7に示すデータ欠落有り時の場合について説明する。図7に示す例では、パケット8により転送される通常データd及び遅延データbが欠落しているものとしているので、受信データバッファ305の通常データ記憶領域306の先頭からのオフセットn 510、n+1 511、n+2 512、n+3 513、n+4 514、n+5 515の各領域には、データc 533、データe 535、データf 536、データg 537、データh 538、データi 539が格納されている。この場合、受信データバッファ305の遅延データ記憶領域307の先頭からのオフセットn 510、n+1 511、n+2 512、n+3 513、n+4 514、n+5 515の各領域には、データa 531、データc 533、データd 534、データe 535、データf 536、データg 537が格納されていることになる。
【0047】
そして、図7に示すデータ欠落有りの場合、時刻t 550及び時刻t+2 552〜時刻t+5 555には、通常データ記憶領域306の対応する領域から、時刻t+1 551には、遅延データ記憶領域307の対応する領域からデータを順次読み出すことになる。図7に示す例では、時刻t 550には通常データ記憶領域306のn 510からのデータが読み出され、また、時刻t+1 551には遅延データ記憶領域307のn+2 512からのデータが読み出される。その後、時刻t+2 552には通常データ記憶領域306のn+1 511からのデータが、時刻t+3 553には通常データ記憶領域306のn+2 512からのデータが、時刻t+4 554には通常データ記憶領域306のn+3 513からのデータが、時刻n+5 555には通常データ記憶領域306のn+4 514からのデータが読み出され、データ列570が生成される。
【0048】
なお、図6、図7に示した時刻は、フレーム化周期時間を単位としており、例えば、8フレーム分を纏めてフレーム化する場合には、125μsec×8=1msecがフレーム化周期時間であり、これを乗算した値が処理時刻になる。
【0049】
図8は受信側の伝送装置Z2におけるデータバッファ305の必要な容量について説明する図であり、次に、図8を参照して、受信側伝送装置Z2でのパケット伝送遅延ゆらぎの吸収及びデータ欠落に伴う後着データ読み出しに伴うデータ到着時間差吸収について説明すると共に、そのために必要なデータバッファ305の容量について説明する。
【0050】
図8には、遅延データ記憶領域内の累積処理待ちデータ601と通常データ記憶領域内の累積処理待ちデータ602とを示している。両記憶領域内の累積処理待ちデータ601、602のデータ数603は、図の下部側が下限であり、図の上部側が上限すなわちバッファ量の上限値である。また、図8に示す例では、図の上部のデータ程新しく書き込まれたデータであり、下部へ行く程古いデータであることを示している。図8に示す例においては、遅延データ記憶領域内の累積処理待ちデータ601ではデータfが、通常データ記憶領域内の累積処理待ちデータ602ではデータhが最後に書き込まれたデータであり、これらより上部の領域は、それぞれ空き領域607及び空き領域608となっておりデータが書き込まれていない領域である。データは、図8の最下部すなわち最も古いデータから受信データバッファ読み出し機能部311により、図4を参照して説明したように、一定周期で読み出されていく。
【0051】
通常、TDMデータを搭載したパケットは、周期的に生成されており、また、受信データバッファ読み出し機能部311によるデータの読み出し周期は、パケット生成周期と一致しており、最新データまでのデータ累積数は、受信データバッファ305の全容量値の中間値606の付近であることが期待されている。しかし、伝送装置Z2を含むネットワーク内の伝送装置Z2の手前にあるパケットネットワーク内で発生したパケット同士の競合等により、伝送遅延にゆらぎが発生する場合がある。
【0052】
本発明による受信側の伝送装置Z2は、前述の伝送遅延ゆらぎに対し十分なバッファ量の受信データバッファを用意し、伝送遅延ゆらぎによるパケット欠落を生じないようにしている。そして、図8に示す例には、伝送遅延ゆらぎの最大ケース、最小ケースを考慮したパケット伝送遅延ゆらぎ吸収可能範囲604で示すバッファ量の受信データバッファを用意し、伝送遅延ゆらぎを吸収していることを示している。
【0053】
受信側の伝送装置Z2がパケットネットワーク4からパケットを受信する動作を続け、受信するパケットの伝送遅延が減少方向である場合、受信データバッファ305には、累積処理待ちデータ数603の中間値606よりも上部に最新データが書き込まれて存在するようになり、空き領域607及び空き領域608が減少する。一方、受信するパケットの伝送遅延が増大方向である場合、受信データバッファ305には、累積処理待ちデータ数603の中間値606よりも下部に最新データが書き込まれて存在するようになり、空き領域607、及び空き領域608が増加する。そして、伝送遅延の増大時及び減少時のいずれの場合にも、受信データバッファ305が、遅延ゆらぎに対して十分なバッファ量を持っていれば、空き領域が不足することはなく、また、データバッファ内にデータが存在しなくなり、TDMデータ列に対し送出すべきデータが途切れることもない。
【0054】
受信データバッファ305は、前述したようにネットワークにおけるパケットの遅延ゆらぎを吸収するために必要な容量を持てばよいが、容量が大きくなると、それに伴ってパケットに対する処理遅延も大きくなるので、遅延ゆらぎを吸収するために必要な最小限の容量を持つようにするのがよい。
【0055】
受信側の伝送装置Z2は、前述したようにして、パケットネットワーク内で発生したパケットの伝送遅延ゆらぎを吸収する機構を有している。この伝送遅延ゆらぎを吸収する機能は、言い換えると、受信データバッファ305の中間値606を時間換算しただけパケットネットワークから受信したデータを遅延させ、その遅延させたデータをTDMインタフェースに送信することにより遅延ゆらぎを吸収するというものである。
【0056】
図8に示した遅延ゆらぎ吸収の機能を有する受信データバッファにおいて、さらに、パケット伝送遅延ゆらぎ吸収可能範囲604を通常データと既に送信済みの遅延データをパケット化する時間差である通常データから遅延データまでの間のオフセット605の分だけデータバッファの容量を拡張すると、データ欠落に伴う後着データ読み出しに伴うデータ到着時間差を吸収することが可能となる。
【0057】
この場合、受信データバッファ読み出し機能部311は、遅延データ記憶領域内の累積処理待ちデータ601側からのデータの読み出し時、従来通り、遅延データのバッファ読出し位置609である受信データバッファ305の最下部からデータを読み出すものとし、通常データ記憶領域内の累積処理待ちデータ602側からのデータの読み出し時、最下部データより通常データと遅延データとの間のオフセット605の分だけ新しい通常バッファ読出し位置610のデータ、すなわち、上部のデータを読み出すものとする。
【0058】
前述により、受信側の伝送装置Z2は、パケットネットワーク内の伝送遅延ゆらぎを吸収する機構とほぼ同様の構成で、データ欠落に伴う後着データ読み出しに伴うデータ到着時間差を吸収することが可能となる。
【0059】
前述した本発明の実施形態によれば、送信側、受信側の両方で誤り訂正符号の演算回路、誤り訂正の演算回路のような複雑な回路を搭載することなく、バッファの読出ポインタ制御の機能追加、遅延ゆらぎ吸収のためのバッファの拡張等の簡易な機能の追加により、パケットネットワーク内で生じたビット誤りに起因するパケット欠落を補償することが可能になる。
【0060】
すなわち、本発明の実施形態によれば、TDM信号をCEP化しパケットネットワークを用いて伝送する際、1ビットエラーを補償する回路を大幅なコスト増加を招かずに実現することができる。
【0061】
一般に、TDM信号のうちでもPDH信号は低速であるため、例えば、64kbit/sec信号を1msec周期(125μsec×8フレーム)でパケット化した場合のデータ長は8byteである。これに1byteのシグナリングデータ転送領域、4byteのCEPヘッダを加えてもデータ長は13byteしかなく、MACフレームの最短のデータ長である64byteを満たすために、ペイロード領域内の余剰領域にダミーデータを詰めるパディングという操作行われることになる。
【0062】
前述した本発明の実施形態は、既に送信済のデータを搭載するペイロード内の領域が、このパディング領域であり、既に送信済みのデータをパケット内のこのパディング領域に搭載することができ、データの転送効率の低下を生じさせることなく、TDM信号をパケット化し、パケットネットワークを介して伝送することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 伝送装置A
2 伝送装置Z
3、5 TDMインタフェース
4 パケットネットワーク
6、10 TDM信号
12 クロック供給装置
101 TDM受信インタフェース
102 コピー機能部
103 遅延書き込み機能部
104 通常書き込み機能部
105 送信データバッファ
106 パケット生成機能部
107 パケット送信インタフェース
108 通常データ記憶領域
109 遅延データ記憶領域
111 ペイロード部生成機能部
112 オーバヘッド部生成機能部
113 自走発振器
114 読出タイミング生成機能部
301 パケット受信インタフェース
302 パケット終端機能部
303 オーバヘッド部終端機能
304 受信バッファ書き込み機能部
305 受信データバッファ
306 通常データ記憶領域
307 遅延データ記憶領域
309 パケット欠落検出機能部
310 読出ポインタ制御機能部
311 受信データバッファ読出機能部
312 読出タイミング生成機能部
313 TDM送信インタフェース
314 外部参照クロック受信機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TDM信号をパケット化してパケットネットワークに送出する送信側の伝送装置において、
前記TDM信号のデータを2つのデータとする手段と、
前記2つのデータの内一方のデータを通常データとし、前記2つのデータの内他方のデータを一定周期の間保持して遅延データとし、前記通常データと前記一定周期の間遅延され、かつ、一定周期前に既に送信済みのデータである前記遅延データとをパケットに搭載して送信する手段とを備えることを特徴とする送信側の伝送装置。
【請求項2】
パケットネットワークからパケットを受信し、パケット化されているTDM信号を元のTDM信号として出力する受信側の伝送装置において、
前記パケット内に搭載されている通常データと遅延データとを抽出する手段と、
データの誤りにより欠落しているパケットがあった場合に、当該欠落パケットに搭載されていたはずの通常データを、一定周期後に受信したパケットから抽出した遅延データにより再生する手段とを備えることを特徴とする受信側の伝送装置。
【請求項3】
TDM信号をパケット化してパケットネットワークに送出する送信側の伝送装置において、
TDMインタフェースからTDM信号を受信するTDM受信インタフェースと、
通常データ記憶領域及び遅延データ記憶領域を有する送信データバッファと、
前記TDM受信インタフェースから受け取ったTDM信号のデータを、前記送信データバッファの通常データ記憶領域に書き込む通常書き込み手段と、
前記TDM受信インタフェースから受け取ったTDM信号のデータを、遅延オフセット時間である一定時間保持した後、前記通常データ書き込み手段が通常データ記憶領域にデータを書き込むタイミングと同期して前記送信データバッファの遅延データ記憶領域に書き込む遅延書き込み手段と、
外部参照クロックを元に生成されたタイミングで、前記送信データバッファの通常データ記憶領域、遅延データ記憶領域の同一番地からデータを読出し、通常データ及び過去に通常データとして送信済である遅延データを1つのパケットに搭載し、シーケンス番号を付与してパケット化するパケット生成手段と、
前記パケット生成手段により生成されたパケットをパケットネットワークに送出するパケット送信インタフェースとを備えることを特徴とする送信側の伝送装置。
【請求項4】
TDM信号のデータがパケット化されているパケットからデータを抽出してTDM信号として出力する受信側の伝送装置において、
パケットネットワークからTDM信号の通常データ及び過去に通常データとして送信済である遅延データがパケット化されているパケットを受信するパケット受信インタフェースと、
通常データ記憶領域及び遅延データ記憶領域を有する受信データバッファと、
受信したパケットから取り出した通常データ及び遅延データのそれぞれを、前記受信データバッファの通常データ記憶領域及び遅延データ記憶領域の同一番地に書き込むと共に、受信したパケットからシーケンス番号を抽出するパケット終端手段と、
前記シーケンス番号を受け取り、前回受信したパケットのシーケンス番号との比較を行うことによりシーケンス番号の欠落、すなわち、パケットの欠落を検出するパケット欠落検出手段と、
検出されたパケット欠落の有無の情報に基づいて、パケット欠落なしの場合、受信データバッファからの読み出しポインタとして通常データ記憶領域内の前回読出し番地の次の番地からデータを読み出すようにポインタ決定し、パケット欠落ありの場合、受信データバッファからの読み出しポインタとして遅延データ記憶領域内の前回読出し番地に遅延オフセット時間分を加算した番地からデータを読み出すようにポインタ決定する読出ポインタ制御手段と、
外部参照クロックを元に生成されたタイミングで、前記読出ポインタ制御手段により決定された読み出しポインタが示す受信データバッファ内の番地からデータを読み出す受信データバッファ読出手段と、
前記受信データバッファから読み出されたデータをTDMデータのデータ列として再生し、TDMインタフェースに送出するTDM送信インタフェースとを備えることを特徴とする受信側の伝送装置。
【請求項5】
請求項4記載の受信側の伝送装置において、
前記受信データバッファは、パケットネットワーク内で生じ得る遅延ゆらぎを吸収するために十分なバッファ量と、前記送信側の伝送装置が、通常データをパケット化後、その通常データを遅延データとしてパケット化するまでのオフセット時間分のバッファ量を加えたバッファ容量を有することを特徴とする受信側の伝送装置。
【請求項6】
TDM信号をパケット化してパケットネットワークに送出する送信側の伝送装置と、受信したパケット化されたTDM信号を元のTDM信号として出力する受信側の伝送装置とを備えてTDM信号を授受する伝送システムにおいて、
前記送信側の伝送装置は、
前記TDM信号のデータを2つのデータとする手段と、
前記2つのデータの内一方のデータを通常データとし、前記2つのデータの内他方のデータを一定周期の間保持して遅延データとし、前記通常データと前記一定周期の間遅延され、かつ、一定周期前に既に送信済みのデータである前記遅延データとをパケットに搭載して送信する手段とを備えて構成され、
前記受信側の伝送装置は、
前記パケット内に搭載されている通常データと遅延データとを抽出する手段と、
データの誤りにより欠落しているパケットがあった場合に、当該欠落パケットに搭載されていたはずの通常データを、一定周期後に受信したパケットから抽出した遅延データにより再生する手段とを備えて構成されることを特徴とする伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−114774(P2012−114774A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263389(P2010−263389)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】