説明

伸縮ベルトコンベヤ装置

【目的】単一の駆動源20により各段のアームを伸縮動作させることにより、軽量かつ制御が簡単な伸縮ベルトコンベヤ装置を提供する。
【構成】各段のアーム11〜14を伸縮動作させるための動力を供給する単一の駆動源20を備え、その動力を前段のアームから後段のアームへチェーン43,23,26により順次伝達する。チェーン43は連結部43Aを介して2段目のアーム12に、チェーン23は連結部23Aを介して3段目のアーム13に、チェーン26は連結部26Aを介して4段目のアーム14に、それぞれ連繋して、次段のアームを作動させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、複数段のアームを伸縮動作させて荷搬送ベルトの全長を変化させる伸縮ベルトコンベヤ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の伸縮ベルトコンベヤ装置では、各段のアーム毎に駆動源が個々に設けてあり、各駆動源を一斉に駆動することにより各段のアームを伸縮動作させている。前記駆動源として一般にサーボモータなどが用いてあり、各段のモータを同期運転させることにより各段のアームの伸縮動作を同期させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の伸縮ベルトコンベヤ装置では、各段のアーム毎に駆動源が設けてあるため、装置全体の重量が嵩み、また製作費用も高価につく。また各段の駆動源を同期運転する必要があるため、各駆動源の制御が複雑になる。
【0004】この発明は、上記問題に着目してなされたもので、単一の駆動源により各段のアームを伸縮動作させることにより、軽量かつ制御が簡単な伸縮ベルトコンベヤ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、複数段のアームを伸縮動作させて荷搬送ベルトの全長を変化させる伸縮ベルトコンベヤ装置において、各段のアームを伸縮動作させるための動力を供給する単一の駆動源と、前記駆動源の動力を前段のアームから後段のアームへ順次伝達して前段のアームに対して後段のアームを出没動作させる動力伝達機構とを備えたものである。
【0006】また請求項2の伸縮ベルトコンベヤ装置は、前記動力伝達機構として、各段のアーム毎に長さ方向へ張設されたチェーンを備えており、各段のチェーンに次段のアームを連繋して、次段のアームを作動させると共に、各段のチェーンに次段のチェーンを連繋して、後段へ動力を伝達するようにしている。
【0007】
【作用】単一の駆動源を駆動させると、その動力は前段のアームから後段のアームへ順次伝達され、前段のアームに対して後段をアームが出没動作して伸縮する。請求項2の伸縮コンベヤ装置では、各段のチェーンの走行により次段のアームが作動され、また駆動源の動力は各段のチェーンを介して後段へ順次伝達されるので、全てのアームが一斉に同期して作動する。
【0008】
【実施例】図1は、この発明の一実施例にかかる伸縮ベルトコンベヤ装置の構成および動作原理を示す。同図の伸縮ベルトコンベヤ装置は、アーム11〜14を4段に連結して成り、1段目のアーム11に対し2段目のアーム12を、2段目のアーム12に対して3段目のアーム13を、3段目のアーム13に対して4段目のアーム14を、それぞれ出没動作させることにより全体を伸縮動作させる。
【0009】1段目のアーム11には、各アーム12〜14を伸縮動作させるための動力を供給する単一の駆動源20が設けられている。この駆動源20の動力は駆動機構により前段のアームから後段のアームへ順次伝達されると共に、前段のアームに対して後段のアームが出没動作する。
【0010】この駆動機構は、1段目〜3段目の各アーム11〜13に張設されたチェーン43,23,26を備えており、1段目のチェーン43は連結部43Aを介して2段目のアーム16に、2段目のチェーン23は連結部23Aを介して3段目のアーム13に、3段目のチェーン26は連結部26Aを介して4段目のアーム14に、それぞれ連繋して各アーム11〜13を駆動する。また1段目のチェーン43は連結手段21を介して2段目のチェーン23に、2段目のチェーン23は連結手段24を介して3段目のチェーン26に、それぞれ連繋して、後段の各チェーン23,26への動力の伝達を行う。なお図中、Jはスプロケットを同軸上に配備するための連結軸を意味する。
【0011】図2〜図5は、上記原理に基づく伸縮ベルトコンベヤ装置の具体例を示しており、図2と図3とは切断線Aを介して連続する伸縮ベルトコンベヤ装置の平面図を、また図4と図5とは切断線Aを介して連続する伸縮ベルトコンベヤ装置の側面図を、それぞれ示す。
【0012】図2〜図5において、17,16,18,19は1段目〜4段目のアーム11〜14を構成するフレーム(以下、1段目フレーム〜4段目フレームという)であって、第1フレーム17は基台10上に設置されている。1段目のアーム11の基端部には、荷搬送ベルト31を駆動するモータ30が設けてあり、このモータ30の正逆駆動により荷搬送ベルト31が正逆方向へ走行して荷を搬送する。荷搬送ベルト31は、各アーム12〜14が伸びると、その先端が図5の位置P1に達し、一方各アーム12〜14が縮めると、その先端が図4R>4の位置P2に達する。
【0013】2段目のアーム12は1段目のアーム11に対して出没可能に連結される。1段目フレーム17の内面には長手方向にレール32が配設してあり、このレール32には、2段目のアーム12に設けられたカムフォロワ33,33が摺動自在に係合させてある。
【0014】1段目のアーム11の先端部にはローラ34が、2段目のアーム12の基端部にはローラ35が、それぞれ回転自由に軸支されており、前記荷搬送ベルト31をローラ34からローラ35へ迂回させて巻き掛けることにより、2段目のアーム12を縮めたときの荷搬送ベルト31の弛みを吸収するようにしてある。
【0015】1段目のアーム11の基端部には、2〜4段目の各アーム12〜14を伸縮動作させるための駆動源20が設けられている。この駆動源20は、モータ40と、このモータの動力が伝達される連結軸41とを備え、この連結軸41の両端部のスプロケット39と、1段目フレーム17の先端部両側に設けられたスプロケット42との間には、それぞれチェーン43が張設されている。
【0016】チェーン43は、連結部43Aを介して2段目フレーム16に連結されており、駆動源20を駆動してチェーン43を走行させると、2段目フレーム16が1段目フレーム17に対して出没動作する。チェーン43は連結手段21を介して2段目のアーム12のチェーン23に、さらに2段目のアーム12のチェーン23は連結手段24を介して3段目のアーム13のチェーン26に、それぞれ連繋されて、モータ40の動力が後段へ順次伝達される。
【0017】2段目のアーム12のチェーン23は、連結部23Aを介して3段目フレーム18に、また3段目のアーム13のチェーン26は、連結部26Aを介して4段目フレーム19に、それぞれ連結されており、駆動源20を駆動すると、3段目フレーム18が2段目フレーム16に対して、4段目フレーム19が3段目フレーム18に対して、それぞれ出没動作する。
【0018】なお図示していないが、2段目フレーム16および3段目フレーム18の内面にも長手方向にそれぞれレールが配設してあり、2段目フレーム16のレールには3段目のアーム13に設けられたカムフォロワが、3段目フレーム18のレールには4段目のアーム14に設けられたカムフォロワが、それぞれ摺動自在に係合させてある。
【0019】2段目のアーム12の先端部にはローラ34が、3段目のアーム13の基端部にはローラ35が、それぞれ回転自由に軸支されており、前記荷搬送ベルト31をローラ34からローラ35へ迂回させて巻き掛けることにより、3段目のアーム13を縮めたときの荷搬送ベルト31の弛みを吸収するようにしている。3段目アーム13においても、3段目フレーム18の先端部のローラ34と、4段目フレーム19の基端部のローラ35との間で、4段目フレーム19の伸縮時に発生する荷搬送ベルト31の弛みを吸収するようにしている。4段目フレーム19の先端部にはローラ36が回転自在に軸支され、このローラ36に荷搬送ベルト32が巻き掛けられている。
【0020】図6および図7は、前記連結手段24の詳細な構成を示す。なお他の連結手段21についても同様な構成であり、ここでは連結手段24についてのみ説明する。同図において、2段目のアーム12は、2段目フレーム16の先端部に回転自由に軸支されたスプロケット50を備えている。このスプロケット50に噛み合うチェーン23は、連結部23Aを介して3段目フレーム18の基端部に連結されており、チェーン23の走行により連結部23Aが移動するとき、3段目フレーム18が2段目フレーム16に対して出没動作して伸縮する。
【0021】前記スプロケット50の近傍には、3段目フレーム18に連結されたブラケット51が調整ボルト52により位置調整可能に設けられており、このブラケット51の長手方向の中央部には、チェーン23を上方から押し下げるようにしてチェーン23と噛合するスプロケット53が回転可能に軸支されている。前記ブラケット51の両端部には、一対のスプロケット54,54が設けられており、両スプロケット54はチェーン23を下方から押し上げるようにしてチェーン23と噛合している。両スプロケット54でチェーン23を押し上げ、前記調整ボルト52でブラケット51の位置を適宜に調整してチェーン23の張力を最適な状態に調整する。
【0022】前記スプロケット53と同軸にスプロケット53より若干小径のスプロケット55が連結されており、このスプロケット53と3段目フレーム18に回転自由に軸支されたスプロケット56との間にチェーン57を張設して、このチェーン57を介して前記チェーン23の動力をスプロケット56に伝達する。スプロケット56には、スプロケット56より若干小径のスプロケット58が同軸に連結されており、スプロケット58に噛み合うチェーン26により前記モータ40の動力が後段へ伝達される。
【0023】上記構成の伸縮ベルトコンベヤ装置において、駆動源20のモータ40を駆動すると、1段目のアーム11のチェーン43が走行し、連結部43Aを介して2段目のアーム12を作動させると共に、前記連結手段21を介して2段目のアーム12のチェーン23に動力が伝達される。これにより2段目のアーム12のチェーン23が走行し、連結部23Aを介して3段目のアーム13を作動させると共に、連結手段24を介して3段目のアーム13のチェーン26に動力が伝達される。これにより3段目のアーム13のチェーン26が走行し、連結部26Aを介して4段目のアーム14を作動させる。
【0024】このようにしてモータ40が駆動すると、1段目のアーム11に対して2段目のアーム12が出没動作し、2段目のアーム12に対して3段目のアーム13が出没動作し、3段目のアーム13に対して4段目のアーム14が出没動作するもので、2〜4段目のアーム12〜14は一斉に駆動しかつ同期して伸縮動作するものである。
【0025】
【発明の効果】この発明は上記の如く、各段のアームを伸縮動作させるための動力を供給する単一の駆動源と、前記駆動源の動力を前段のアームから後段のアームへ順次伝達して前段のアームに対して後段のアームを出没動作させる動力伝達機構とを備えているから、各段のアーム毎に駆動源を設けた従来例と比較して、重量を軽減でき、またコストも低減できる。しかも単一の駆動源を制御すればよいから、駆動源の制御も簡単である。
【0026】また請求項2の伸縮ベルトコンベヤ装置は、前記動力伝達機構として、各段のチェーンに次段のアームを連繋して、次段のアームを駆動すると共に、各段のチェーンに次段のチェーンを連繋して、後段へ動力を伝達するようにしたから、全てのアームを一斉に同期させて作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかる伸縮ベルトコンベヤ装置の構成および動作原理を示す説明図である。
【図2】この発明の一実施例にかかる伸縮ベルトコンベヤ装置の1段目および2段目のアームの構造を示す平面図である。
【図3】この発明の一実施例にかかる伸縮ベルトコンベヤ装置の2段目〜4段目のアームの構造を示す平面図である。
【図4】この発明の一実施例にかかる伸縮ベルトコンベヤ装置の1段目および2段目のアームの構造を示す側面図である。
【図5】この発明の一実施例にかかる伸縮ベルトコンベヤ装置の2段目〜4段目のアームの構造を示す側面図である。
【図6】連結手段の構成を示す側面図である。
【図7】図6の連結手段の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
11〜14 アーム
20 駆動源
43,23,26 チェーン
43A,23A,26A 連結部
31 荷搬送ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数段のアームを伸縮動作させて荷搬送ベルトの全長を変化させる伸縮ベルトコンベヤ装置において、各段のアームを伸縮動作させるための動力を供給する単一の駆動源と、前記駆動源の動力を前段のアームから後段のアームへ順次伝達して前段のアームに対して後段のアームを出没動作させる駆動機構とを備えて成る伸縮ベルトコンベヤ装置。
【請求項2】 前記駆動機構は、各段のアーム毎に長さ方向へ張設されたチェーンを備え、各段のチェーンに次段のアームを連繋して、次段のアームを作動させると共に、各段のチェーンに次段のチェーンを連繋して、後段へ動力を伝達するようにした請求項1に記載された伸縮ベルトコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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