説明

伸縮性を規制した編物からなる粉体シール材

【課題】 編物の毛抜け及び伸縮性を規制し、粉体の流れを規制して外部への漏れを防止した編物からなる粉体シール材を提供する。
【解決手段】 粉体の漏れ防止として横編物の編物10を用いることで、編物10の特性である伸縮性を規制した粉体シール材6である。すなわち、ループ12aを有するパイル糸12と地糸13から形成の横編みの編物10の片面にパイル糸12を配設し、パイル糸12のループ12aをカットしてカットパイル糸14bとし、カットパイル糸14bと地糸13からなる編物10を粉体シール材6とし、回転体17である像担持体17a又は粉体担持体17bの端部シール材又は回転体17と当接する軸シール材とした粉体シール材6において、カットパイル糸14bと地糸13からなる編物10は伸縮性の規制した構造からなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転体により粉体を取り扱う装置における回転体の軸方向の端部から粉体が外部に漏出しないようにシールするためのシール部材、特に電子写真装置における画像形成装置のトナーの供給ローラーや撹拌ローラーや像担侍体又はトナー担持体などの回転体からトナーが漏れ出さないように回転体の端部をシールするための編物からなる粉体シール材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、編物でパイルをフィラメント糸、かつ、フッ素樹脂繊維から形成しているものが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このものは編物の特徴として高い伸縮性を有しており、これを回転体と摺擦する箇所に設け、粉体などのシール材として使用した場合においては、回転体との摺擦力により編物が伸びて隙間が生じる箇所ができ、そこから粉体が漏れる現象が生じている。ところで、従来より、一般的な素材からなる編物を用いて粉体のシール材としたものはなかった。それは、一般的な素材の編物からなるシール材が上記した特徴である伸縮性により回転体と摺擦してシール材が、より伸びやすく、そのために粉体のシール性が低下する減少があったからである。
【0003】
ところで、ループを有するループパイルあるいは該ループをカットしたカットループパイルを形成するパイル糸と地糸とから編まれた編物の編地には、従来より毛抜けが多いという問題があり、特に長繊維のフィラメント糸を用いたパイル糸には毛羽がないために、パイル糸と地糸との絡みが少なく、このために機械的な毛さばきなどで毛抜けが多く発生し易い状態の問題があった。
【0004】
さらに、従来よりこのような毛抜け対策として編地の裏面に粘着剤又は接着剤(以下、単に「粘着剤」という。)を設けて毛抜け対策としていた。しかし、一般的な粘着剤では、基布の薄い織物や薄い編物において、毛細管現象により複数の繊維からなるパイル糸の繊維の間のパイル糸の根元上部の方まで粘着剤が浸透して粘着剤が硬化するので、パイル糸の根元となる領域の周囲の繊維が硬化により凝集される結果、その部分に空隙を生じる。この結果、毛さばきの効果が半減してかえって粉体の漏れ出しが生じやすくなっていた。
【0005】
そこで、横編みの編物に粘着剤を介してクッション材を設けた構成としたものであっても、横編みの特徴である伸縮性が十分に規制できず、従って、このものを粉体すなわち画像形成装置のトナーのシール材とするとき、回転体との当接による回転力及び摩擦力により、編物が回転方向に伸びてしまう現象が生じ、その伸びた隙間に粉体すなわちトナーが入ってしまう問題が生じていた。
【0006】
さらに、ループを有するパイル糸からなる横編みの編物において、ループをカットした場合、カットループパイルは逆ハの字状態となっており、毛さばきを施しても逆ハの字状態のままであり、粉体のシール材とするとき、粉体の流れを規制することが十分にできず、このために粉体の流れにバラツキが生じて粉体であるトナーの外部への漏れ出しを発生させていた。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3065136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、編物からなる粉体シール材において、外部への粉体の漏れ出しをなくし、かつ粉体シール材の繊維の毛抜け及び粉体シール材の伸縮性を規制し、特に編物の特徴である伸縮性を規制することにより、回転体との摺擦による伸びを規制して粉体が漏れる隙間をなくし、かつ、粉体の流れのバラツキにより生じる外部への漏れ出しを防止した編物からなる粉体シール材を提供することである。さらに、従来の高荷重を掛けることによりシールしていたものを、本発明では、低荷重によりシールでき、かつ、コストが軽減された粉体シール材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の手段は以下のとおりである。
【0010】
(1)粉体シール材6は、粉体の漏れ防止としてパイル糸12と地糸13からなる横編みの編物10のパイル糸12からなるループ12a又はカットループ12bにより、例えば電子写真画像形成装置のトナー7である粉体が外部へ流れることを規制してトナー7の電子写真画像形成装置の外部への漏れ出しを防止した粉体シール材6を提供することである。
【0011】
すなわち、請求項1の手段では、パイル糸12と地糸13からなる横編みの編物10の片面にパイル糸12からなるループ12a又は該ループ12aをカットしたカットループ12bを形成して該横編みの編物10から粉体シール材6とする。さらに、この粉体シール材6を回転体17である像担持体17a又は粉体担持体17bの端部シール材6a又は回転体17と当接する軸シール材6bとし、かつ、粉体シール材6のループ12a又はカットループ12bを片面に形成したパイル糸12と地糸13からなる編物はループ12a又はカットループ12bを形成している面と異なる面が伸縮性を規制した構造から形成されていることを特徴とする編物10を用いた粉体シール材6である。
【0012】
(2)上記の伸縮性を規制した手段としては、ループ12a又はカットループ12bを形成している面とは異なる面である編物10の裏面に高粘度の樹脂層15を形成することによって形成した伸縮性を規制する部材を有する粉体シール材6である。
【0013】
すなわち、請求項2の手段では、編物10の伸縮性を規制した構造は、ループ12a又はカットループ12bを有するパイル糸12と地糸13から形成した編物10において、ループ12a又はカットループ12bを形成している編物10の片面である表面とは異なる他の片面である裏面に、塗布による樹脂コーティング層15a、又は霧状のスプレーによる樹脂スプレーコート層15b、又は薄い厚さの樹脂シートと粘着剤又は不織布と粘着剤からなる樹脂シート層15cを形成した伸縮性を規制した構造である。そして、この編物10の伸縮性を規制した構造は所定の引張り荷重又は当接摩擦力における伸びが5%以下としていることを特徴とする請求項1の手段の編物10を用いた粉体シール材6である。
【0014】
(3)編物10からなる粉体シール材6の片面に有するループ12a又はカットループ12bを編物10の片面の一方向へ傾斜して倒し、さらに、粉体シール材6のパイル糸からなるループ12a又はカットループ12bを取り付ける回転体17の軸方向内側18に対する取り付け角度を0°〜70°とすることで粉体の流れを規制した粉体シール材6である。
【0015】
すなわち、請求項3の手段では、ループ12a又は該ループ12aをカットしたカットループ12bを有するパイル糸12は、天然繊維、人造繊維又は合成繊維よりなる一種類以上の繊維からなる紡績糸からゲージ数が1インチ当り20ゲージ以上の横編機により編まれたパイル糸12からなっている。このループ12a又は該ループ12aから形成のカットループ12bは編物10の片面で一方向へ傾きを有して倒れ、倒れたループ12a又はカットループ12bの像担持体17a又は粉体担持体17bである回転体17の軸方向内側18への取り付け角度を0°〜70°の範囲として該ループ12a又はカットループ12bを像担持体17a又は粉体担持体17bである回転体17の端部に当接するように配置して粉体の流れを規制し、像担持体17a又は粉体担持体17bである回転体17の端部から粉体が漏れ出すことを防止したことを特徴とする請求項2の手段の編物10を用いた粉体シール材6である。
【0016】
(4)さらに、本発明の手段では、横編物を用いることで加工工程を削減し、さらに機械的な毛さばき工程をなくして毛抜けを最小限に抑えてカットループ12bのカットパイル糸14bの繊維をばらした状態に開繊した粉体シール材6である。
【0017】
すなわち、請求項4の手段では、パイル糸12から形成のカットループ12bは一定の方向の角度へ倒れたループ12aをカットした後、ソーピングを施して開繊したカットループ12bであることを特徴とする請求項3の手段の編物10を用いた粉体シール材6である。
【0018】
(5)さらに、本発明の手段では、上記の手段で形成の伸縮性を規制した高粘度の樹脂層15にさらに弾性体16を配設して所望の当接荷重となるものとした粉体シール材6である。
【0019】
すなわち、請求項5の手段では、ループ12aを有するパイル糸12又は開繊したカットループ12bを有するパイル糸12は、編物10の伸縮性を規制した高粘度の樹脂層15を編物10の裏面に形成して有し、該樹脂層15にさらに弾性体16を配設したことにより所望の当接荷重に形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4の手段の編物10を用いた粉体シール材6である。
【0020】
(6)また、本発明の手段では、伸縮性を規制した高粘度の樹脂層15にさらに形成した弾性体16にかかる当接荷重の下で一定の加速度以上の振動で、例えばトナーである粉体の外部への漏れ出しを防止した粉体シール材6であり、弾性体16は発泡体16aから形成されている。
【0021】
すなわち、請求項6の手段では、編物10の裏面に形成の伸縮性を規制した高粘度の樹脂層15に、さらに設けた弾性体16は、50%圧縮荷重以上もしくは圧縮荷重10g/cm2〜500g/cm2の範囲の当接荷重において、30m/s2の加速度の振動の下で粉体の漏れ出しを防止した発泡体16aからなることを特徴とする請求項5の手段の編物10を用いた粉体シール材6である。
【発明の効果】
【0022】
上記の手段としたことで、請求項1の手段の粉体シール材は編物の特性である伸縮性が規制された粉体シール材となっているので、長期にわたりシール作用が劣化することなく外部への粉体の漏れのバラツキを生じることなく確実に防止できる。請求項2の手段の粉体シール材は塗布による樹脂コーティング層やスプレーによる樹脂スプレーコート層やあるいは離型性の樹脂シートの貼付による樹脂シート層を設けた構造によって伸縮性を規制しているので、編物を裁断して粉体シール材とする際の裁断時の作業性が向上している。請求項3の手段の粉体シール材はそのパイル糸のループが一定の方向の角度へ倒れ、ループパイル糸の基部は編み目がグランド糸すなわち地糸で覆われて保持されているので、編み目に空隙が少なく、粉体の漏れが防止されている。請求項4の手段の粉体シール材は一定の方向への倒れたループをカットした後にソーピングにより繊維の開繊を図っているので、毛割工程の必要がなく製造工程が軽減されている。請求項5の手段の粉体シール材は編地の伸縮性を規制した高粘度の樹脂層すなわち伸縮性を規制した部材面にさらに弾性体を設けているので、従来にない低い当接荷重で粉体をシールすることができる。さらに請求項6の手段の粉体シール材は、高粘度の樹脂層にさらに設けた発泡体からなる弾性体が50%圧縮荷重以上もしくは圧縮荷重10g/cm2〜500g/cm2の範囲の当接荷重における30m/s2の加速度の振動で、粉体を漏れ出しを防止しているので、粉体の輸送や装置の振動に対して安全に対応でき、シールする間隙に合わせた必要荷重を上記の範囲内で任意に選択できるので広範囲に使用できる粉体シール材である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施形態について、図面を参照して以下に説明する。
本発明の請求項1の実施の形態では、編物10は、図1の(a)に示すように、横編みからなる編物10の片面にループ12aを形成するパイル糸12と、このパイル糸12を保持する地糸13からなっている。このパイル糸12の材質はアクリルと綿からなるマイクロファイバー及び綿(登録商標:スピーマ)からなっている。パイル糸12を保持する地糸13の材質はポリエステルからなる15%収縮糸(登録商標:エクスラン)からなっている。さらに、片面にループ12aを有するパイル糸12は地糸13によりパイル糸12の基部が保持されたプレーティングパイル11である。例えば、図4の(a)のループ12aのみの編み模様で示す例では、ループ12aは1インチ当たり28ゲージで50ステッチからなっている。このパイル糸12のループ12aの左右隣接のループ12aとの間隔は0.9mm、上下隣接のループ12aとの間隔は0.5mmで、ループ12aの長さは2.8mmで、一つのループ12aの左右の開き角度は34.3°である。また、図4の(b)は1インチ当たり28ゲージで25ステッチからなるものである。これらの28ゲージからなるものは、概ね、トータル繊度(使用糸の太さ)が200T(200T:直径ほぼ0.13mm)以下である。なお、Tはデシテックスを示す。図4の(c)は1インチ当たり20ゲージで50ステッチからなるもので、ループ12aからなる編み模様である。これらの編物10は本発明における最も特徴とする構造として、伸縮性が規制された横編みから構成されており、これらの構造により粉体であるトナー7を確実にシールできる、例えば、図5の(c)に示す粉体シール材6に形成されている。この横編みは、例えば、(1)パイル糸の繊度60/1(綿番手)で、98.6T(デシテックス)であり、(2)パイル糸の繊維構成は、アクリル繊維(1.7T)が30%、綿(3T)が70%であり、従って、平均2.61T(デシテックス)であり、従って、(3)使用糸の繊維の構成本数は98.6/2.61=35(本/糸)である。
【0024】
この横編みからなる編物10からなる粉体シール材6の第1の実施の形態では、地糸13からなる編地の片面にループ12aを形成したパイル糸12有する横編みからなる編物10であり、ループ12aの先端部はシャーリングによりカットされることなくループパイル糸14aのままの状態で粉体シール材6に形成されている。このループパイル糸14aのままの状態である粉体シール材6を製造する工程では、まず、このループパイル糸14aを有する編物10を水温90℃でソーピングすなわち洗浄する。さらにソービングしたループパイル糸14aを有する編物10を加熱温度100℃で乾燥し、次いで編地の伸縮性を規制するために、ループ12aを有する面の編物10の裏面に高粘度の樹脂層15を形成した後、検反する。この製造工程により、図1の(a)に示すように、編物10の片面に地糸13で保持されたループパイル糸14aを有する伸縮性の規制された横編みの編物10からなる粉体シール材6が形成される。
【0025】
他方、横編みからなる編物10からなる粉体シール材6の第2の実施の形態では、地糸13からなる編地の片面にループ12aを形成したパイル糸12を有する横編みからなる編物10である。しかし、これは上記の第1の実施の形態と異なり、ループ12aの先端部はシャーリングによりカットされ、カットパイル糸14bの状態からなるカットループ12bから粉体シール材6に形成されている。このカットパイル糸14bのカットループ12bを有する粉体シール材6を製造する工程では、まず、パイル糸12のループ12aの先端部をシャーリングによりカットして、図1の(b)に示すように、カットパイル糸14bからなるカットループ12bに形成する。次いでこのカットループ12bであるカットパイル糸14bを有する編物10を水温90℃でソーピングする。さらにソービングしたカットパイル糸14bを有する編物10を加熱温度100℃で乾燥し、さらに、図1の(c)に示すように、カットパイル糸14bを毛さばきした後、編地の伸縮性を規制するため、カットパイル糸14bを有する面の裏面に、図2に示すように、高粘度の樹脂層15を形成した後、検反する。この製造工程により、図1の(c)に示すように、編物10の片面に地糸13で保持されたループ12aの先端部をカットして形成したカットループ12bを有する伸縮性の規制された横編みの編物10からなる粉体シール材6が形成される。
【0026】
これらに対し、比較例である織物からなる従来のパイル織りのパイル糸からなるシール材の加工工程でカットパイル糸からなるシール材を製造するためには、まず、織物の基布に垂直方向に形成しているループの長さを揃えるためにループの先端をシャーリングし、次いで織物の基布を固定するバッキングを行う。さらにシャーリングによりカットしたカットパイル糸からなるカットループの繊維の毛割りを数回にわたり行う。さらに織物の基布に垂直方向に立っているカットループを斜めに寝かせるための斜毛を数回にわたって行う。さらに斜毛したカットループを再びシャーリングして、カットループの斜毛の先端面の高さを揃えてシール材に形成される。このように、比較例の従来の織物におけるパイル糸からなるループは、ループが織物の基布に垂直方向に立っている。したがって、吸いchぅ方向に立っているパイルを、シャーリングした後に寝かせるために、斜毛する必要がある。その一方で、織物は基布を固定するバッキングを行っているものの、織物であるので織地は伸張しない。そこで編物のような伸縮性を規制する処理は行われない。このように、本発明における編物10のパイル糸12からなるループ12a又はカットループ12bと従来の織物のパイル糸からなるループは加工工程が相違し、しかもその性質も相違するものである。
【0027】
次いで、請求項2の実施の形態について説明する。この形態では、本発明の最も特徴である編物10のシール性及び伸縮性を規制した構造とするために、ループパイル糸14a又はカットパイル糸14bと地糸13からなる編物10の、パイル糸12からなるループ12a又はカットループ12bを形成している側の片面である表面とは異なる編物10の他の片面である裏側の面に、図2に示すように、高粘度の樹脂層15を形成している。この樹脂層15は、図2の(a)の塗布による樹脂コーティング層15aとするか、又は図2の(b)の霧状に吹き付けた樹脂スプレーコート層15bとするか、図2の(c)に示すように、例えば剥離紙を有する両面接着テープの一方の剥離紙を剥離して貼り付けて、剥離紙15dを裏面に有する樹脂シート層15cとする。これらの編物10の裏面側に形成した高粘度の樹脂層15により粉体シール材6に形成される編物10の伸縮性を規制しているので、編物10を裁断して粉体シール材6とする際の裁断時の作業性が向上している。さらに、この編物10からなる粉体シール材6は所定の引張り荷重又は当接摩擦力が作用しても、粉体シール材6の伸びが5%以下となっている
【0028】
ところで、通常の塗布による樹脂コーティング層15aを形成するために、塗布量を規制して均一に塗布することあるいは噴霧量を均一に規制してスプレーコートすることは難しく、さらに、樹脂コーティング剤がパイル糸12の内部へ含浸する浸透性を小さくする必要がある。したがって、500cp〜3000cp、好適には上500〜1000cpの高粘度の樹脂を用いるものとしている。このコーティング剤としては、例えばアクリル酸エステル樹脂からなるものである。このパイル糸12の内部への浸透性を小さくする手段として、上記の高粘度の樹脂を塗布して樹脂コーティング層15aあるいは霧状にスプレーして樹脂スプレーコート層15bを形成することで、塗布量あるいはスプレー量を少なくして乾燥の速い速乾性とし、パイル糸12の内部への浸透性を少なくしている。この樹脂コーティング層15aあるいは樹脂スプレーコート層15bに使用する樹脂コーティング剤としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などであり、特に伸縮性の少ないアクリル系又はオレフィン系の樹脂である。
【0029】
上記の図2の(b)のスプレーコーティングによる樹脂スプレーコート15bに替えて、図2の(c)の剥離紙を裏面に有する樹脂シート層15cを貼り付ける場合は、編物10の編地と接着する面に速乾性の粘着剤を塗布して貼り付けるか、あるいは上記したように両面に粘着剤を有する伸びの小さい両面テープとした0.5mm以下の厚さのPETシートからなる樹脂シート層15cを貼り付ける。この場合、速乾性の粘着剤又は両面テープによる離型性の樹脂シート層15cの貼り合わせは、編物10をソーピングすなわち洗浄して乾燥した後に行うものとする。なお、製造工程と製品の安定性を考えた場合、製造上での編物10への余分な負荷を与えないものとして、スプレーによる樹脂スプレーコート層15bが最も適している。
【0030】
請求項3の実施の形態について説明すると、ループ12aをカットしたカットパイル糸14bは、天然繊維、人造繊維又は合成繊維よりなる一種類以上の繊維からなる紡績糸からなり、この紡績糸からゲージ数が1インチ当り20ゲージ以上を形成する横編機により編まれたループ12aからなっている。このループ12aは、図1の(a)の側面図に示すように、パイル糸12が一定の方向の角度へ倒れた構造から形成されている。したがって編物10は倒れたパイル糸12に覆われているので、編み目に空隙の少ない状態が形成されている。しかも、プレーティングパイル11では、そのループ12aの先端側をシャーリングしたカットパイル糸14bとなっていても、図1の(b)に示すように、カットパイル糸14bは一定の方向の角度へ倒れた状態で保持されている。一方、編物10の横編みの地糸13は上記の紡績糸又はこれに少なくとも熱収縮性を有する素材の繊維又は熱融着繊維を含む紡績糸からなっており、図1の(a)の側面図に示すように、プレーティングパイル11のループ12aの基部をグランド糸である地糸13により覆って横編みを保持している。さらに、図5に示すように、地糸13により倒れたパイル糸14a又はカットパイル糸14bを回転体17である像担持体17aの軸方向内側18への取り付け角度23を0°〜70°の範囲とし、あるいは回転体17である粉体担持体17bの軸方向内側18への取り付け角度23を0°〜70°の範囲として、回転体17の軸端部19にパイル糸14a又はカットパイル糸14bを当接するように配置し回転指示部材20に粉体シール材6を取り付ける。この場合、図5の(c)のブラケット21の下部に粉体シール材6を取り付け、回転体17の表面に付着した粉体であるトナー7を掻き落とすブレード22を粉体シール材6の上部に配設している。このようにカットパイル糸14bを配置することで、軸端部19から外側への粉体であるトナー7の流れを規制して軸端部19から外部への粉体の漏れを防止している。すなわち、粉体シール材6のパイル糸14a又はカットパイル糸14bを回転体17である像担持体17aあるいは粉体担持体17bの内側軸方向18に対する取り付け角度23を0°〜70°の範囲として、回転体17の軸端部19に当接するように回転体支持部材20に配置し、粉体の流れを規制することで粉体の漏れを的確に防止した。この場合、さらに毛抜け防止として、地糸13に熱収縮繊維又は熱融着繊維を含ませた糸を使用し、かつ毛羽の多い紡績糸をパイル糸に使用してパイル糸の根元を地糸に絡みつかせるものとしている。
【0031】
請求項4の実施の形態について説明すると、ループパイル糸14aをカットしたカットパイル糸14bは、ループ12aを構成するパイル糸12から、図1の(b)に示すように、カットしカットループ12bとした後、ソーピングし、さらに、図1の(c)に示すように、パイル糸12の繊維間を開繊したカットループ12bとしている。この開繊したカットループ12bは、図1の(c)の側面図に示すように、一定の方向の角度へ倒れている。このように本発明の手段では、粉体シール材6を編物10からなる横編物であるので、一定の方向へ倒れたカットパイル12bが自然に形成でき、加工工程の削減が図られている。すなわち、編物10である横編みでは、ループ12aが編み時より既に一定の方向に傾いて編まれるので、織物では必要とした斜毛工程を省くことができる。さらに編物10は織物よりも洗浄が容易であるので、ループパイル糸14aからなるループ12aを切断してカットパイル12bとした後に、ソーピング工程で洗浄することによりパイル糸12の繊維間の開繊が容易にできる。このように繊維間が開繊された結果、編物10のカットパイル12bでは、織物の場合に必要であった数回に及ぶ毛割工程を無くすことができ、本発明の手段では、工程の軽減が図られている。このように、本発明の手段では、機械的な毛割りによる毛さばき工程を有しないため、毛さばきによる毛抜けが生じることなく、製造の際の毛抜けは最小限に抑えられている。
【0032】
請求項5の実施の形態について説明すると、粉体シール材6は、編地の伸縮性を規制した高粘度の樹脂層15の面すなわち伸縮性を規制した部材面である裏面に、図3に示すように、例えば、両面テープからなる弾性体16を貼り合わせて有している。この弾性体16を有する粉体シール材6をシールを必要とする箇所に適用することで、従来の粉体シール材にない、低い当接荷重において粉体のシールによる漏れを向上させることができる。
【0033】
さらに請求項6の実施の形態について説明すると、間隙の広く空いた箇所をシールするための粉体シール材6では、横編みからなる粉体シール材6の裏面に上記の請求項5の手段の弾性体16を設けている。ところで、この請求項6の手段では、弾性体16は50%圧縮以上において、加速度30m/s2の振動条件で粉体であるトナー7が漏れ出さない間隙を形成できることである。この条件を満足する弾性体16として発泡体16aを用いることにより、取り付け間隙における粉体シール材6へ掛かる荷重に合わせて、上記の振動条件に耐えるものとすることができる。この結果、トナー7の搬送並びに取り付け箇所の振動条件に対応できるものとなっている。さらに粉体シール材6に掛かる必要な荷重も上記振動条件に任意に適合できるので、より広範囲に適用できる粉体シール材6とすることができる。ところで、この発泡体16aとしては、ゴム系スポンジやウレタンフォームがあり、独立気泡のものや連続気泡のものや、これらの混じった半独立半連続気泡のものがあるが、粉体の漏れ防止に対しては独立気泡の方がすぐれている。
【0034】
本発明における粉体シール材6について、実験によりトナー7の漏れの防止効果を確認した。この実験の試験装置1は図6に示す装置からなっており、トナー容器4をアングル3で加振器2に取り付け、このトナー容器4の中にトナー7を入れ、加振器2により振動させる構造となっている。実験には、トナー容器4とカバー5の間に、本発明の粉体シール材6を単体で取り付け、粉体シール材6の取り付け高さ位置における粉体シール材6に対する取付荷重を計測するものである。その測定時の粉体シール材6の取付け高さにおいて、トナー7が漏れたときの振動方向9の加速度をセンサー8で測定することにより取付荷重を計測する。
【0035】
この試験装置1を用いて以下の実験を実施し、その結果を説明する。
1.横編みからなるプレーティングパイル11を、アクリルと綿からなる材質のマイクロファイバーにより1インチ当たり28ゲージ、50ステッチの編物10を形成した。次いで、この編物10の振動試験を周波数50Hz、シール荷重15g/cm2として、粉体シール材6の伸縮性の実験を行った。この実験結果を伸縮率(%)と耐漏れ加速度(m/s2)を対比して表1として示す。さらに、この実験における編物の伸び率(%)を横軸とし、耐漏れ加速度(m/s2)を縦軸として図7のグラフによりプレーティングパイル編み振動試験として示す。
【0036】
【表1】

【0037】
2.粉体シール材6の取付荷重によるトナー7のシール性の確認を当接荷重(g/cm2)毎の振動の加速度を(m/s2)を変えて実験を行い、この結果を表2に示す。表2において、トナー7をシールできたものは〇、一部できたものは△、シールできなかったものは×で示している。
【0038】
【表2】

【0039】
表2の(a)に示すように、パイル糸2のループ12aとすることにより、4.4g/cm2の荷重で振動の加速度が20m/s2であれば、横編みからなる粉体シール材6はトナー7のシールができ、70g/cm2の当接荷重であれば40m/s2の振動の加速度まで充分にシールできた。したがって、ループ12aを有する横編みからなる粉体シール材6はトナー7のシールができることが判った。さらに、パイル糸2をカットしてカットループ12bとすることにより、0.7g/cm2の荷重であっても、振動の加速度が10m/s2であれば、横編みからなる粉体シール材6はトナー7のシールができ、13.2g/cm2の当接荷重であれば30m/s2の振動の加速度まで十分にシールできた。したがって、本発明における横編みの粉体シール材6はループ12aにおいて低荷重においてトナー7のシールができ、さらにパイル糸2をカットしてカットループ12bにおいて超低荷重においてトナー7のシールができることが検証できた。
【0040】
3.粉体シール材6の軸方向内側18への取り付け角度23と振動の加速度との関係による粉体のシール効果の確認として、当接荷重13.2g/cm2における粉体シール材6の軸方向内側18への取り付け角度23を0°〜90°の範囲とし、さらに振動の加速度を10m/s2〜50m/s2の範囲で変更して行い、この結果を表3に示す。軸方向内側18への取り付け角度23が0°〜70°までは振動の加速度を30m/s2とすることができた。なお、表3においてもトナー7をシールできたものを〇、一部できたものを△、シールできなかったものを×で示している。
【0041】
【表3】

【0042】
さらに、上記の段落0029において、編物10の裏面にスプレーによる樹脂スプレーコート層15bが最も適していると記載したので、編物10の裏面に図2の(b)に示すスプレーによる樹脂スプレーコート層15bを形成したゲージ方向及びステッチ方向の場合と、樹脂スプレーコート層15b無しの場合の、各引張り荷重(g)と伸び率(%)の関係を表4の(a)及び(b)に示す。また、これらの引張り荷重(g)と伸び率(%)の関係を図8に示す。これらの表4及び図8に見られるように、編物10の伸びを評価した結果、樹脂スプレーコートの処理を施さない場合は僅かな引張り力によって著しく伸びてしまう。これに対し、スプレーによる樹脂スプレーコート層15bを施すことで、著しく伸びを規制することが可能である。
【0043】
【表4】

【0044】
また、振動試験及び回転治具によるトナー漏れ試験においてカットを施していないループ12aを有する編物10を粉体シール材6とした場合のシール性については、必要荷重がほぼ200g/cm2以下であった。さらに、実機で450g/cm2で評価したところ、450g/cm2であっても問題がなく、伸び率5%以下では、トナー漏れが生じないことが確認された。したがって、請求項2の手段では粉体シール材6の伸びを5%以下になるように配置している。
【0045】
次に、編物10のパイル糸12のループ12aとカットループ12bの対比で、パイル糸12のカットの有無の差を図9の底辺からの高さ(mm)と反発荷重(g/cm2)の関係で示す。図9においては、パイル糸12のカットによる厚み分の差が見られる。このカットループ12bはループ12aをシャーリング機によりループの先端部をカットして形成した。
【0046】
次に、従来の織物パイルからなる粉体シール材と、本発明の横網みによる編物10のループ12a及びカットループ12bからなる粉体シール材6とを比較し、トナー7のシールに必要な荷重(g/cm2)と振動の加速度(m/s2)の関係を図10のグラフに示す。このグラフに見られるように、本発明の粉体シール材6は、ループ12aからなる粉体シール材6は200g/cm2の低荷重にてシールできることが検証でき、さらにループ12bからなる粉体シール材6は50g/cm2の超低荷重にてシールできることが検証できた。すなわち、ループ12aからなる粉体シール材6は振動が70m/s2の加速度に耐える荷重として、単位荷重200g/cm2以下で十分に達成が可能であり、さらにループ12bからなる粉体シール材6は振動が50m/s2の加速度に耐える荷重として、単位荷重50g/cm2以下で十分に達成が可能であった。
【0047】
これに対して、図10のグラフにおける、従来1及び従来2の織物からなる各粉体シール材は、振動が38m/s2の加速度に耐える荷重として330g/cm2以上が必要であった。
【0048】
さらに、本発明のカットループ12bからなる粉体シール材6と弾性体16を、図3に示すように貼り合わせたときの反発荷重とシール性の関係を、図11の反発荷重(g/cm2)と弾性体16のテープを含む粉体シール材6の底辺からの高さ(mm)との関係のグラフにより示す。この場合、振動試験条件は振動の加速度50m/s2で行った。図11において、漏れ:OK領域とは、振動の加速度50m/s2でトナー7が外部に漏れないことを指し、したがって、図11に見られるように、本発明の編物10である横編みによるカットループ12bからなる粉体シール材6とすることで、漏れない条件の使用範囲が弾性体16のテープを含む粉体シール材6の底辺からの高さを3.5mmまで拡大できることが判った。
【0049】
編物10の裏面に形成の伸縮性を規制した高粘度の樹脂層15の下に粉体の漏れ出しを規制するための弾性体16を設けるものとする。この場合、弾性体16として発泡体16aを設けるとき、発泡体の気泡には独立気泡や連続気泡や、これらの混じった半独立半連続気泡があるが、これらのうち、独立気泡が粉体の漏れ防止に対する閉塞力が最も高かった。この発泡体における粉体の漏れ試験を発泡体の素材を変えて実施したところ、図12に示すように、発泡体がたとい連続気泡であっても、圧縮率50%以上の当接荷重で30m/s2の加速度の振動に耐えることが示された。すなわち、50%圧縮荷重以上もしくは圧縮荷重10g/cm2〜500g/cm2の範囲の当接荷重において、30m/s2の加速度の振動の下で粉体の漏れ出しが防止できた。なお、図12において、ゴム系スポンジAは密度100kg/m3、ゴム系スポンジBは密度140kg/m3、ゴム系スポンジCは100kg/m3、ウレタンフォームAは28kg/m3、ウレタンフォームBは32kg/m3、ウレタンフォームCは57kg/m3であった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の編物の横編みのプレーティングパイルのパイル糸と地糸の構造を拡大して模式的に示す図で、(a)はパイル糸の切断前の側面図と平面図、(b)はパイル糸の切断後の側面図と平面図、(c)は切断したパイル糸の開繊後の側面図と平面図ある。
【図2】樹脂層を裏面に有するカットパイル糸を有する横編みの編物を拡大して模式的に示す側面図で、(a)は樹脂層が樹脂コーティング層で、(b)は樹脂層が樹脂スプレーコート層である。
【図3】樹脂層の裏面に弾性体を形成したカットパイル糸を有する横編みの編物を拡大して模式的に示す側面図で、(a)は樹脂コーティング層に弾性体を形成した図で、(b)は樹脂スプレーコート層に弾性体を形成した図である。
【図4】粉体シール材のパイル糸の形状を編物のゲージとステッチの差異で示す側面図と平面図を拡大して模式的に示す図で、(a)はゲージ28、ステッチ50からなり、(b)はゲージ28、ステッチ25からなり、(c)はゲージ20、ステッチ50からなるものである。
【図5】回転体の軸端部に軸方向内側にカットパイル糸を倒した粉体シール材を回転体支持部材設けた模式図で、(a)は粉体シール材のみを拡大して模式的に示す正面図、(b)は回転体粉体シール材を拡大して模式的に示す正面図、(c)は回転体と回転支持部材に設けた粉体シール材の軸端部側から見た模式的に示す側面図である。
【図6】粉体シール材の振動による漏れの試験装置を模式的に一部断面で示す側面図である。
【図7】プレーティングパイル編み粉体シール材の振動試験による編物の伸び率(%)と耐漏れ加速度の関係を示すグラフである。
【図8】樹脂スプレーコート層15bを形成したゲージ方向及びステッチ方向の場合と、樹脂スプレーコート層15b無しの場合の、各引張り荷重(g)と伸び率(%)の関係を示す。
【図9】編物10のパイル糸12のループ12aとカットループ12bの対比で、パイル糸12のカットの有無の差を底辺からの高さ(mm)と反発荷重(g/cm2)の関係で示す。
【図10】従来の織物のパイル糸と本発明の編物のパイル糸の各粉体シール材におけるトナーのシールに必要な荷重と振動の加速度の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の粉体シール材に弾性体を貼り合わせたときの反発荷重と底辺かの高さの関係でシール性を示す図である。
【図12】発泡体の漏れ試験における発泡体圧縮率と耐振動の加速度の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 試験装置
2 加振器
3 アングル
4 トナー容器
5 カバー
6 粉体シール材
6a 端部シール材
6b 軸シール材
7 トナー
8 センサー
9 振動方向
10 編物
11 プレーティングパイル
12 パイル糸
12a ループ
12b カットループ
13 地糸
14a ループパイル糸
14b カットパイル糸
15 樹脂層
15a 樹脂コーティング層
15b 樹脂スプレーコート層
15c シート層
16 弾性体
17 回転体
17a 像担持体
17b 粉体担持体
18 軸方向内側
19 軸端部
20 回転体支持部材
21 ブラケット
22 ブレード
23 取り付け角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイル糸と地糸からなる横編みの編物の片面にパイル糸からなるループ又は該ループをカットしたカットループを形成して粉体シール材とし、該粉体シール材を回転体である像担持体又は粉体担持体の端部シール材又は該回転体と当接する軸シール材とし、さらに、ループ又はカットループを片面に形成したパイル糸と地糸からなる編物のループ又はカットループを形成している面と異なる面を編物の伸縮性を規制した構造とし、かつ、編物のループに用いる糸を紡績糸より形成していることを特徴とする編物を用いた粉体シール材。
【請求項2】
編物の伸縮性を規制した構造は、ループ又は該ループをカットしたカットループを有するパイル糸と地糸からなる形成の編物のループ又はカットループを有する片面を表面とするとき、編物の裏面に塗布による樹脂コーティング層又は霧状のスプレーによる樹脂スプレーコート層又は薄い厚さの樹脂シートと粘着剤又は不織布と粘着剤からなる樹脂シート層を形成した構造からなる伸縮性を規制した構造とし、かつ、該編物の伸縮性を規制した構造の所定の引張り荷重又は当接摩擦による伸びを5%以下としたことを特徴とする請求項1に記載の編物を用いた粉体シール材。
【請求項3】
ループ又は該ループをカットしたカットループを有するパイル糸は、天然繊維、人造繊維又は合成繊維よりなる一種類以上の繊維からなる紡績糸からゲージ数が1インチ当り20ゲージ以上の横編機により編まれたパイル糸からなり、ループ又は該ループから形成のカットループは編物の片面で一方向へ傾きを有して倒れ、倒れたループ又はカットループの像担持体又は粉体担持体である回転体の軸方向内側への取り付け角度を0°〜70°の範囲として該ループ又はカットループを像担持体又は粉体担持体である回転体の端部に当接するように配置して粉体の流れを規制し、像担持体又は粉体担持体である回転体の端部から粉体の漏れ出しを防止したことを特徴とする請求項2に記載の編物を用いた粉体シール材。
【請求項4】
パイル糸から形成のカットループは、一定の方向に規定して倒れたループをカットした後、ソーピングを施して開繊したカットループであることを特徴とする請求項3に記載の編物を用いた粉体シール材。
【請求項5】
ループを有するパイル糸又は開繊したカットループを有するパイル糸は、編物の裏面に形成の伸縮性を規制した高粘度の樹脂層にさらに弾性体を設けて所望の当接荷重に形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の編物を用いた粉体シール材。
【請求項6】
編物の裏面に形成の伸縮性を規制した高粘度の樹脂層にさらに設けた弾性体は、50%圧縮荷重以上もしくは圧縮荷重10g/cm2〜500g/cm2の範囲の当接荷重において30m/s2の加速度の振動の下で粉体の漏れ出しを防止した発泡体からなることを特徴とする請求項5に記載の編物を用いた粉体シール材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−128449(P2010−128449A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306342(P2008−306342)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(596116363)三和テクノ株式会社 (16)
【出願人】(505094157)
【出願人】(000197241)青野パイル株式会社 (5)
【Fターム(参考)】