説明

伸長部材用固定レール

本発明は、ストラップにより伸長部材(4)特にケーブルハーネス又は配線に結束することができ、部材に対して静止するように意図された支持面と、該支持面から離れてストラップを収容する結束面とを有し、ストラップを収容するレール(1)に関する。本発明によると、結束面(6)はこの面に垂直な方向に柔軟な複数の突出部(10)を有している。結束面の任意の所望の位置に配置されたストラップは、1又は複数の突出部(10)にわたって横方向に配設され、この場合、これらの突出部(10)は押し下げられる。押し下げられない隣接する突出部(10)は一方及び/又は他方に配置され、これらはストラップの横変位に抵抗する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストラップにより伸長部材、特にケーブルハーネスや配線を結束することができ、部材に対して静止するように意図された支持面と、該支持面から離れてストラップを収容する結束面とを有するレール(rail)に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルハーネス、配線又はその他の伸長部材を搬送構造に固定するために、レールを使用することが知られている。このレールは、一方では、伸長部材に接続するように設計され、他方では、搬送構造に固定する手段を有している。このレールは、細長く、伸長部材に向かう方向に、この部材が静止することができる支持面を有している。より良い力の伝達のために、支持面は伸長部材の形状に適合されている。レールは伸長部材に縛り付けられる。このため、通常、断面が平坦なストラップ、特にプラスチック材料で形成されたストラップが使用され、これらは所謂ケーブルストラップの形態で商業的に入手可能である。ストラップは伸長部材とレールの回りに所定の張力で巻き付けられ、レールの表面はストラップによる結束力にさらされる部材から離れるように向けられる。したがってこの表面はこの明細書において結束面と言及されている。結束される部材に十分な支持を与えるために、レールは結束のために使用されるストラップの幅より相当に大きな長さを有している。公知のレール(FR−A−2861157)の場合、ストラップがレールに沿ってスリップすることができるため、レールはストラップに対して信頼出来ない方法で配置されるという欠点を有している。固定の信頼性を増すために、レールの下側に、ラッチ歯を設けることが提案され、それはケーブルバインダー(DE−A−19704674)のストラップに係合するように設計されている。しかしながら、ケーブル結束機のストラップが高保持力に関する理由により通常頑丈な材料からなっているため、ラッチ歯は十分に進入しないし、過剰な力の作用により破断する。この危険性を回避するために、ラッチ歯を下側のウェブ状突出部と置き換え、対応する長手方向スロットをケーブル結束機のストラップに形成し、そこに突出部を係合させることがさらに提案されている。しかしながら、これは、ストラップがレールに対して強固に配置され、この場合正確な一ヶ所でのみ設置することができることを意味する。これは取扱いを困難にし、又はレールに時に閉じ込められた状態で一体に形成されている高価なケーブル結束機を持つ必要がある(DE−A−19843633)。前者の場合、設置に高出費を伴い、前述した第2変形例は製造に高出費を伴う。
【特許文献1】FR−A−2861157
【特許文献2】DE−A−19843633
【発明の開示】
【0003】
出発点として最初に述べた従来技術を考慮すると、本発明の目的は、容易に設置し、レール上にストラップを信頼性をもって保持することができる改良されたレールを提供することである。
【0004】
本発明による解決手段は、請求の範囲の独立項の特徴部分に見られ、従属項にも見られる。
【0005】
本発明によると、序文で述べたタイプのケーブル結束機の場合に、結束面はこの面に垂直(transverse)な方向に柔軟(compliant)な複数の突出部を備えている。これらの突出部の列はストラップの幅よりも長い。結束面の任意の所望の位置に配置されたストラップは、1又は複数の突出部にわたって配置される。突出部は、結束面の範囲に対して垂直な方向に柔軟であるので、押し下げられる。一方又は他方には隣接する突出部が存在するが、これらは押し下げられないので、ストラップ自身と大体同じ程度になっている。これにより、これらの突出部はストラップの横変位に抵抗することができる。この抵抗力が十分に高くなるようにするために、レールの長手方向に作用する力に対する突出部の抵抗力は仮定される変位力と比較して十分に高く、いかなる場合にも、結束面に対して垂直な方向にこれらの突出部を変形させるのに必要な力よりも高くあるべきである。この性質は堅固(stiff)という用語で言及する。
【0006】
結束面の範囲に垂直な方向への突出部の柔軟性の程度は、仮定の最小結束力により引っ張られるストラップにより程度の差はあっても押し下げられるときに、十分に高いものであり、この場合隣接する突出部は高いレベルに立ったままである。好ましい実施例は、突出部の柔軟性の程度が十分に高く、結束面に垂直な方向の変形に対する突出部の抵抗が十分に低く、最小の結束力が加えられたときに常に押し下げられるものである。なせなら、ストラップは次に疑似剛性表面(quasi-rigid surface)に支持され、それにより結束信頼性が損なわれないからであり、突出部は程度の差はあっても依然として柔軟であることができる。
【0007】
突出部は、塑性的又は弾性的に柔軟であってもよい。このような物品に通常使用されているプラスチック材料(例えばポリアミド)は両方の事態を考慮している。
【0008】
レールと結束される部材との間の相対的変位を出来るだけ防止するために、支持面は摩擦突出部を備えていてもよい。これらは、結束力にさらされたときに、変位と反対に作用する摩擦力を生じさせる突出部である。これらの摩擦突出部は支持面の長手方向に対して横方向に延びるリブとして都合よく設計されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、有利な例示的実施形態を示す図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
レール1は、板2により支配的に形成され、その表面は、図1の上部に、結束される部材4を支持する支持面3を形成しているように見える。この表面は横リブ5を有し、該横リブ5はレール1に対する部材4の長手方向変位に対抗するように意図されている。この表面は本質的に平坦であるように図示されている。非平坦な態様で、結束される部材の形状に適合されてもよい。部材が円筒断面形状を有する場合、支持面3はそれに対応して例えば断面に溝が形成されてもよい。
【0011】
板2の結束面6は、図1では底面に現れ、図2では上面に現れ、少なくとも1つの引張ストラップ7を収容する役目をする。結束面6の長さと、2つの翼部を備えた対称設計は、2つの引張ストラップ7が設けられるようになっていることが好ましい。これらのストラップ7は従来のタイプからなるため、ここでは説明を要しない。それらのストラップ7の幅は、結束面6の長さよりも、また結束面6の各翼部の長さよりも、何倍も小さい。
【0012】
結束面6は、両端に厚肉部8を有し、該厚肉部8は、極端な変位力が作用した場合に、ストラップ7がレールの端部を滑って乗り越えることができないことを保証している。しかしながら、通常の場合、このような変位は前述した突出部により既に防止されているが、以下にさらに詳細に説明する。
【0013】
結束面6の中心線に沿って、長手リブ9が通っており、その長手リブ9に、少なくとも片側、好ましくは両側に、結束面6の全長にわたって、一列の舌状突出部10が配設されている。これらは結束面6から離れている。これらは、結束面6の関連の側縁11とリブ9の尾根との間の接続線を越えて突出している。ストラップは大体この接続線に追従し、引張りを受けるので(図6参照)、ストラップ7の下方に位置する突出部10aは下方に押圧される。ストラップ7と平行に位置する突出部10bは、その当初位置を維持し、これによりこのストラップ7に対して突出し、ストラップ7に沿って配置される。ストラップ7がレール1の長手方向に変位する傾向を示すと、隣接する突出部10bに当接し、固定される。
【0014】
突出部10がこの変位に対抗する抵抗力を出来るだけ高くし、突出部10が引っ張られたストラップ7により変形する力を出来るだけ低くするために、突出部10は、平坦な舌部が、ストラップ7の延びる方向に直角な横断面(V−V断面に平行)で小さな寸法を有し、レール1の長手方向に大きな寸法(幅)を有するように設計されている。厚さは幅の半分以下である。これは、引っ張られたストラップ7による曲げに対する突出部10の断面係数がレール1の長手方向に作用する力に対する突出部10の断面係数の8倍より小さいことを意味する。厚さは好ましくは幅の約3分の1又は4分の1である。長さは少なくとも幅に等しくすべきである。
【0015】
図示された例では、引っ張りから解放された状態で、突出部10は面2にほぼ平行な方向に延びている。それらの方向は引っ張られたストラップ7の方向から僅かに逸れている。このために加えられる変形の程度及び力の程度は低い。この形態は有利であるが、異なっていてもよい。例えば、突出部10を板2に対して、及び/又はストラップ7の方向に大きく傾斜させ、これに対応して短くすることも可能である。さらなる代案の実施形態の場合、リブ9の代わりに、一列の突出部10が板2から垂直に突出している。それらは、図示された実施例のように、平坦な舌部として同様に設計される。それらは、引っ張られたストラップ7により一方又は他方に屈曲又は傾斜される。ストラップ7に平行に残る突出部10は立ったまま残り、変位に対して抵抗する。
【0016】
結束される部材4は、本発明によるレール1により、搬送構造又は他の部材に接続される。このために、レール1は、図示された実施例では、保持穴に強制圧入されるように意図された所謂モミの木状脚部12として設計されている固定手段を備えている。この代わりにその他の所望の固定手段を設けてもよい。
【0017】
レール1は、プラスチック材料例えばポリイミドから1ピースで都合よく製造される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】支持面の斜視図を示す。
【図2】結束面の斜視図を示す。
【図3】結束面の平面図を示す。
【図4】側面図を示す。
【図5】図4のV−V線に沿うストラップを有する拡大断面図を示す。
【図6】ストラップの無い同様の断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 レール
2 板
3 支持面
4 伸長部材
5 摩擦突出部
6 結束面
10 突出部
12 固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラップにより伸長部材(4)特にケーブルハーネス又は配線に結束することができ、前記部材に対して静止するように意図された支持面と、該支持面から離れて前記ストラップを収容する結束面とを有し、前記ストラップを収容するレール(1)において、前記結束面(6)はこの面に垂直な方向に柔軟な複数の突出部(10)を有していることを特徴とするレール。
【請求項2】
前記突出部(10)は、前記レール(2)の長手方向に平行に作用する力に対して堅固であることを特徴とする請求項1に記載のレール。
【請求項3】
前記突出部(10)を前記結束面(6)に対して横向きに変形するのに必要な力は前記ストラップ力と比較して小さいことを特徴とする請求項2に記載のレール。
【請求項4】
前記突出部(10)は平坦な舌状形状を有することを特徴とする請求項3に記載のレール。
【請求項5】
前記突出部(10)の厚さは当該突出部(10)の幅の半分以下であることを特徴とする請求項4に記載のレール。
【請求項6】
前記結束面(6)は厚肉端部を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のレール。
【請求項7】
前記支持面(2)は摩擦突出部(5)を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のレール。
【請求項8】
前記摩擦突出部は横リブ(5)であることを特徴とする請求項7に記載のレール。
【請求項9】
搬送構造に接続するための固定手段(12)を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のレール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−515503(P2009−515503A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539311(P2008−539311)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010572
【国際公開番号】WO2007/051639
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(592051372)ヘラーマンタイトン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】HellermannTyton GmbH
【Fターム(参考)】